説明

回転式表示付押ボタンスイッチ

【課題】 操作が容易で、スペースが削減できる単体で検索が可能な回転式表示付押ボタンスイッチを提供する。
【解決手段】 回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、回転動作とプッシュ動作が可能な操作ボタンとしての操作ドラム18と、この操作ボタン18の操作により動作するスイッチ機構(ロータリエンコーダ9及び押ボタンスイッチ7A,7B)と、このスイッチ機構の動作により表示を行う表示モジュール(表示器16、反射板13A, 13B、ディフューザ17、LEDなどのランプ類10A,10B)とを備え、前記操作ボタン18の回転動作により前記表示モジュールの表示を選択させ、前記操作ボタン18のプッシュ動作により前記表示モジュールの表示を次の階層へ移行させる動作を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式表示付押ボタンスイッチに係り、特に、回転動作とプッシュ動作を組み合わせて単体にてツリー検索などが可能な回転式表示付押ボタンスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示付スイッチ(下記特許文献1,2参照)の特徴は、「操作する度に表示が切り替わるツリー検索が可能」なことである。ここで、「ツリー」構造とは、レコード間に親子関係があり、子レコードはただ一つの親レコードをもつデータの構造を言う。
【0003】
図7は従来の液晶表示付スイッチを示す図、図8はその液晶表示付スイッチを複数個用いた使用例を示す図である。
【0004】
図7において、101はスイッチ本体、102は操作ボタン、103はスイッチ機構部である。
【0005】
ここでは、4個の液晶表示付スイッチのいずれかを選択して操作ボタン102を押すことにより、例えば、図8に示すように、階層1から階層4へと順次表示を移行させるようにしている。これを繰り返すことにより、目的に対応した検索を実施することができる。
【特許文献1】特開2005−216673号公報
【特許文献2】特開2005−216674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来の液晶表示付スイッチの特徴は、「操作する度に表示が切り換わるツリー検索が可能」なことであるが、単体でのツリー検索はできず、ツリー検索を行うには複数個の液晶表示付スイッチを使用するか、選択用の別のスイッチを組み合わせる必要があった。そのため、操作が面倒であり、かつコスト及びスペースの増大につながっていた。
【0007】
また、従来の筒状操作部材を用いた液晶表示付きスイッチは、筒状の操作部を縦に配置して、ダイヤルの様に回す動作や、押ボタンやロッカタイプで「繰り返し押す」動作によって表示内容などの信号を変更させるようにしていた。
【0008】
本発明は、上記状況に鑑みて、操作が容易で、スペースが削減できる単体で検索が可能な回転式表示付押ボタンスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、回転動作とプッシュ動作が可能な操作ボタンと、この操作ボタンの操作により動作するスイッチ機構と、このスイッチ機構の動作により表示を行う表示モジュールとを備え、前記操作ボタンの回転動作により前記表示モジュールの表示を選択させ、前記操作ボタンのプッシュ動作により前記表示モジュールの表示を次の階層へ移行させる動作を行うようにしたことを特徴とする。
【0010】
〔2〕上記〔1〕記載の回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、前記回転動作の一方の選択で前記表示モジュールの表示を前進させ、前記回転動作のもう一方の選択で前記表示モジュールの表示を後退させることを特徴とする。
【0011】
〔3〕上記〔1〕記載の回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、前記表示モジュールの横に発光素子を配設し、状態表示及び回転誘導動作を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作が容易で、スペースが削減できる単体で検索が可能な回転式表示付押ボタンスイッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、回転動作とプッシュ動作が可能な操作ボタンと、この操作ボタンの操作により動作するスイッチ機構と、このスイッチ機構の動作により表示を行う表示モジュールとを備え、前記操作ボタンの回転動作により前記表示モジュールの表示を選択させ、前記操作ボタンのプッシュ動作により前記表示モジュールの表示を次の階層へ移行させる動作を行うようにした。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施例を示す回転式表示付押ボタンスイッチの斜視図、図2はその回転式表示付押ボタンスイッチの分解斜視図、図3はその回転式表示付押ボタンスイッチの上面図、図4は図3のA−A線断面図、図5はその回転式表示付押ボタンスイッチの底面図、図6は図3のB−B線断面図である。
【0016】
これらの図において、1はハウジング、1A,1Bは半円状のサイドバリア、1C,1Dは回転式表示付押ボタンスイッチの固定部(図示なし)への固定バネ片、2はそのハウジング1に収納される底部のカバーであり、これらのハウジング1とカバー2内に以下の部品が配置される。3はそのカバー2内に実装される第1のコネクタ、4はそのカバー2内に実装される第2のコネクタ、5は第2のプリント基板、6はベース、7A,7Bはそのベース6に実装される押ボタンスイッチ、8は第1のプリント基板、9はその第1のプリント基板8に実装されるロータリエンコーダ、10A,10BはLEDなどのランプ類、11は第1のプリント基板8に接続されるフレキシブルプリント基板、12は上下動作が可能な作動板、13A, 13Bは作動板12に設けられた不透明材質で作られた反射板、14は作動板12に設けられた板状のテーブル、作動板12に設けられた15A,15Bは押ボタンスイッチ7A,7Bのアクチュエータ、16は板状のテーブル14に実装される液晶や有機ELやプラズマなどの表示器、17は透明または半透明の材質で作られたディフューザ、18は操作ボタンとしての透明材質からなる筒状の操作ドラムであり、この筒状の操作ドラム18は横方向に配置され、操作面としての側面18Aを有する。この操作ドラム18はロータリエンコーダの回転軸9Aに連結されると共に、第1のプリント基板8及び表示モジュール(表示器16、反射板13A, 13B、ディフューザ17、LEDなどのランプ類10A,10B)をカバーする。この操作ドラム18の下方には押ボタンスイッチ7A,7Bのアクチュエータ15A,15Bが配置されている。
【0017】
このように構成したので、操作ボタンとしての筒状の操作ドラム18による回転動作とプッシュ動作が可能になった。この操作ボタンの操作により動作するスイッチ機構、つまり、ロータリエンコーダ9と押ボタンスイッチ7A,7Bからなる機構と、このスイッチ機構の動作により表示を行う表示モジュール(表示器16、反射板13A, 13B、ディフューザ17、LEDなどのランプ類10A,10B)とを備え、操作ボタンの回転動作により表示モジュールの表示を選択させ、プッシュ動作により表示を次の階層へ移行させる動作を行わせることができる。例えば、表示モジュールの表示が飲物の選択を行う場合に、順次、操作ボタンを回転させて飲物の選択を行い、図1の表示部に示すように、表示部にビールが表示されたら、操作ボタンを押して押ボタンスイッチ7A,7Bにより決定を行う。
【0018】
以下、本発明の回転式表示付押ボタンスイッチについて詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明の回転式表示付押ボタンスイッチの構造について述べる。
【0020】
第1のプリント基板8に搭載されるロータリエンコーダ9の回転軸9Aは、透明材質からなる操作ドラム18の嵌合穴18Bに取り付けられている。操作ボタンとしての操作ドラム18の回転動作の基本はこの構造による。
【0021】
第1のプリント基板8は作動板12に固定される。この作動板12は、ハウジング1内部の両側面に設置した溝(図示なし)によりガイドされて上下動作ができる。作動板12の上下運動の反力を生み出すものは、この作動板12の下方に配置されている押ボタンスイッチ7A,7Bによるものであるが、その調整のため押ボタンスイッチ7A,7Bと並列にバネを配置することも可能である。これらの押ボタンスイッチ7A,7Bは、操作ボタンとしての操作ドラム18のプッシュ動作に伴い、作動板12に固定されたアクチュエータ15A,15Bによる押圧動作で動作し信号を出力する。
【0022】
この押ボタンスイッチ7A,7Bは、その端子がベース6を貫通し、ベース6の下方に固定された第2のプリント基板5にハンダ付けされることによって、ベース6に固定される。
【0023】
ベース6には、押ボタンスイッチ7A,7Bの端子の貫通穴6Aの他、前述した作動板12の上下動作力の調整用のバネの位置決めを行うために、円形の窪み6Bが設置されている。また、ベース6は、嵌合爪6Cによりハウジング1の下方に取り付けられる。
【0024】
第1のプリント基板8にはロータリエンコーダ9以外に、LEDなどのランプ類10A,10Bが搭載される。この他、液晶や有機ELやプラズマなどの表示器16からの配線が第1のプリント基板8に繋がり、さらにこの第1のプリント基板8に取り付けられているフレキシブルプリント基板11によって、第2のプリント基板5に接続される。場合によっては、これらのプリント基板に表示器16の制御回路部品やメモリなどの半導体類が搭載可能である。
【0025】
フレキシブルプリント基板11は第1のプリント基板8から作動板12に設けられた穴12Aを通り、ハウジング1側に導かれた後、ベース6に設けられた逃げ溝6Dを経て、第2のプリント基板5に搭載された第1のコネクタ3に差し込まれる。この第1のコネクタ3によって外部との接続を行う。
【0026】
作動板12は透明材質で作られている。これにより、第1のプリント基板8などに設置されたLEDの光を導光し、操作面を点灯させることができる。また、作動板12には、前述した動作方向に直角に配置された2本の三角の腕からなるアクチュエータ15A,15Bがあり、このアクチュエータ15A,15Bで押ボタンスイッチ7A,7Bを押して動作させる。このアクチュエータ15A,15Bには押ボタンスイッチ7A,7Bと接触する面にアクチュエータの下面の円形の窪み〔図示なし(図2参照)〕が設置されており、前述したベース6の円形の窪み6Bとともに上下動作力調整用のバネの位置決めを行うようにすることもできる。さらに、作動板12に取り付けられたアクチュエータ15A,15Bの上方には、水平方向に板状のテーブル14が設置され、これに液晶や有機ELやプラズマなどの表示器16が取り付けられる。この他、作動板12には不透明材質で作られた反射板13A, 13Bが取り付けられる。この反射板13A, 13BはLEDなどのランプ類10A,10Bからの光の反射拡散効率を上げるためのものである。
【0027】
上記表示器16と反射板13A, 13Bを覆うように透明または半透明の材質で作られたディフューザ17が被せられ、このディフューザ17は、板状のテーブル14の側面に設けられた嵌合用突起14Aによって固定される。
【0028】
操作ドラム18の内部に配置されるものは、ロータリエンコーダ9、LEDなどのランプ類10A,10B、これらを搭載する第1のプリント基板8、フレキシブルプリント基板11の一部、液晶や有機ELやプラズマなどの表示器16、反射板13A, 13B、板状のテーブル14、ディフューザ17である。
【0029】
ハウジング1には、操作ドラム18がハウジング1の上面より出る部分の形状と合わせて、その両側方に半円状のサイドバリア1A,1Bが設けられている。サイドバリア1A,1Bの上面と操作ドラム18の側面18Aの境界部分に一つの指の腹を同時に当て操作することによって、回転しないサイドバリア1A,1B面が適度な制動力を生み、操作ドラム18のオーバーランを防ぐことが出来る。このように、サイドバリア1A,1Bは、不用意なスイッチの誤動作防止、内部の光が側方に漏れるのを防ぐ働き以外に、確実な操作をするための一助として機能する。
【0030】
なお、ベース6の下方にはカバー2が設置される。これはフレキシブルプリント基板11や回路廻りパターンなどを保護する役目を有する。
【0031】
本発明の回転式表示付押ボタンスイッチは、操作ボタンとしての透明材質からなる筒状の操作ドラム18を横方向になるように配置し、この筒状の操作ドラム18の内部に取り付けられた液晶や有機ELやプラズマなどの表示器16やLEDなどのランプ類10A,10Bの表示内容を、操作ドラム18の側面18Aに表示し、外部より確認できるようにした。この筒状の操作ドラム18の側面18Aを回転操作することによってロータリエンコーダ9を動作させて表示内容を変化させ、かつ操作ドラム18をプッシュ動作によって上下運動させることにより、アクチュエータ15A,15Bを介して押ボタンスイッチ7A,7Bを動作させるようにしている。
【0032】
このように、横方向に配置された操作ドラム18の側面18Aをなでるように左右に操作することによって表示内容などの信号を変更させるため、アナログ感覚に則した操作系を有する回転式表示付押ボタンスイッチを提供することができる。これにより、量の増減を指示する表示や、画面の前後の内容のつながりなど、表示内容の認識と人の動作のつながりがスムーズになる。更に、表示内容の確定などの信号を出力する押ボタンスイッチ機能を、同一の筒状の操作ドラム18をプッシュすることによって得られるようにした。
【0033】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の回転式表示付押ボタンスイッチは、操作が容易で、スペースが削減できる単体で検索が可能な回転式表示付押ボタンスイッチとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例を示す回転式表示付押ボタンスイッチの斜視図である。
【図2】本発明の実施例を示す回転式表示付押ボタンスイッチの分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例を示す回転式表示付押ボタンスイッチの上面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の実施例を示す回転式表示付押ボタンスイッチの底面図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】従来の液晶表示付きスイッチを示す図である。
【図8】従来の液晶表示付きスイッチを複数個用いた使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ハウジング
1A,1B 半円状のサイドバリア
1C,1D 固定バネ片
2 カバー
3 第1のコネクタ
4 第2のコネクタ
5 第2のプリント基板
6 ベース
6A 端子の貫通穴
6B 円形の窪み
6C 嵌合爪
7A,7B 押ボタンスイッチ
8 第1のプリント基板
9 ロータリエンコーダ
9A ロータリエンコーダの回転軸
10A,10B LEDなどのランプ類
11 フレキシブルプリント基板
12 作動板
12A 作動板に設けられた穴
13A, 13B 反射板
14 板状のテーブル
14A 嵌合用突起
15A,15B アクチュエータ
16 表示器(液晶や有機ELやプラズマなど)
17 ディフューザ
18 筒状の操作ドラム(操作ボタン)
18A 操作ドラムの側面(操作面)
18B 操作ドラムの嵌合穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)回転動作とプッシュ動作が可能な操作ボタンと、
(b)該操作ボタンの操作により動作するスイッチ機構と、
(c)該スイッチ機構の動作により表示を行う表示モジュールとを備え、
(d)前記操作ボタンの回転動作により前記表示モジュールの表示を選択させ、前記操作ボタンのプッシュ動作により前記表示モジュールの表示を次の階層へ移行させる動作を行うようにしたことを特徴とする回転式表示付押ボタンスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載の回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、前記回転動作の一方の選択で前記表示モジュールの表示を前進させ、前記回転動作のもう一方の選択で前記表示モジュールの表示を後退させることを特徴とする回転式表示付押ボタンスイッチ。
【請求項3】
請求項1記載の回転式表示付押ボタンスイッチにおいて、前記表示モジュールの横に発光素子を配設し、状態表示及び回転誘導動作を行うようにしたことを特徴とする回転式表示付押ボタンスイッチ。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−187746(P2009−187746A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25447(P2008−25447)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000230722)日本開閉器工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】