説明

回転式部品供給装置

【課題】ピッキングロボットシステムにおける部品供給装置の設置面積を節約し、且つ設備投資も少なくすることができる回転式部品供給装置を提供する。
【解決手段】部品を収容する複数の部品トレイ10と、複数の部品トレイ10の姿勢を保持して回転して前記部品トレイ10を移動させる回転部12と、ロボット30がピッキングする部品についての部品情報を受信し、部品情報に基づいて所望の部品が収容されている部品トレイ10を最頂部に配置するように回転部12を制御する部品トレイ制御装置14と、回転部12の最頂部近傍に設けられ、最頂部に配置されている部品トレイ10に収容された部品の3Dデータを取得する3Dセンサ20と、3Dセンサ20で取得した3Dデータを受信し、3Dデータに基づいてロボット30が所望の部品をピッキングするためのロボット制御信号を生成する画像認識装置22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置に関し、特に、ピッキングロボットシステムに用いられる回転式部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品組立装置において、ロボットを使用して組み立てる部品をピッキングする場合、ロボットを所定の軌道に沿って走行させながら、軌道に沿って展開された複数の部品トレイから部品をピックアップするピッキングロボットシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、このようなピッキングロボットシステムでは、展開された複数の部品トレイを配置するスペースと、部品をピックアップするために走行するロボットのスペースを確保しなければならず、広い場所を占有してしまうという問題がある。また、ロボットを走行させるためには、レール等のロボット走行装置を設置しなければならず、多額の設備投資が必要であった。
【0004】
更に、このようなピッキングロボットシステムでは、ロボットが走行するために、ピックアップ時の部品認識用のカメラやセンサを可動式として設けるか、ロボットに取り付けなければならない。部品認識用のカメラやセンサを可動式としたり、ロボットに取り付けたりすることは、更なる場所の占有や設備投資を必要とする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−15865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、ピッキングロボットシステムにおける部品供給装置の設置面積を節約し、且つ設備投資も少なくすることができる回転式部品供給装置及び回転式部品供給装置制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の一態様によれば、ロボットによってピッキングされる部品を供給する回転式部品供給装置において、部品を収容する複数の部品トレイと、複数の部品トレイの姿勢を保持して回転して部品トレイを移動させる回転部と、ロボットがピッキングする部品についての部品情報および仕分けトレイについての仕分けトレイ情報を受信し、部品情報に基づいて所望の部品が収容されている部品トレイを最頂部に配置するように回転部を制御する部品トレイ制御装置と、回転部の最頂部近傍に設けられ、最頂部に配置されている部品トレイに収容された部品の3Dデータを取得する3Dセンサと、3Dセンサで取得した3Dデータを受信し、3Dデータに基づいてロボットが所望の部品をピッキングするためのロボット制御信号を生成する画像認識装置とを備える回転式部品供給装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ピッキングロボットシステムにおける部品供給装置の設置面積を節約し、且つ設備投資も少なくすることができる回転式部品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転式部品供給装置のシステム概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る回転式部品供給装置制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る回転式部品供給装置1は、図1に示すように、部品を収容する複数の部品トレイ10と、複数の部品トレイ10の姿勢を保持して回転して部品トレイを移動させる回転部12と、ロボット30がピッキングする部品についての部品情報を受信し、部品情報に基づいて所望の部品が収容されている部品トレイ10を最頂部に配置するように回転部12を制御する部品トレイ制御装置14と、回転部12の最頂部近傍に設けられ、最頂部に配置されている部品トレイ10に収容された部品の3D(3次元)データを取得する3Dセンサ20と、3Dセンサ20で取得した3Dデータを受信し、3Dデータに基づいてロボット30が所望の部品をピッキングするためのロボット制御信号を生成する画像認識装置22とを備える。
【0012】
回転式部品供給装置1は、部品トレイ制御装置14、画像認識装置22、及びロボットコントローラ40を統括して制御する統括制御装置50に接続されている。統括制御装置50は、作業者等によって入力されたロボット30がピッキングする部品についての部品情報を記憶することができる。また、統括制御装置50は、接続されている各装置に各種の信号・データを送信して、各装置を制御する装置である。統括制御装置50のその他の具体的な機能については、「回転式部品供給装置1の制御方法」にて後述する。
【0013】
部品トレイ10は、ロボット30がピッキングする部品(ワーク)を収容することができるトレイである。部品トレイ10のそれぞれには、1種類の部品が部品毎に収容される。部品トレイ10に収容される部品は、整列配置して収容しても良く、乱雑なバラ積みであっても良い。
【0014】
回転部12は、複数の部品トレイ10の姿勢を保持して略水平に保ち、部品をこぼさないようにして、モーター等により回転して部品トレイを移動させる装置である。回転部12は、部品トレイ制御装置14と接続され、回転部12の動作は部品トレイ制御装置14によって制御される。
【0015】
部品トレイ制御装置14は、回転部12及び統括制御装置50と接続されている。部品トレイ制御装置14は、ロボット30がピッキングする部品についての部品情報を統括制御装置50から受信し、部品情報に基づいて所望のピッキングする部品が収容されている部品トレイ10を最頂部に配置するように回転部12を制御する。
【0016】
3Dセンサ20は、最頂部に配置されている部品トレイ10内を計測することができる位置である回転部12の最頂部近傍に設けられ、最頂部に配置されている部品トレイ10に収容された部品の3Dデータを取得するセンサである。3Dセンサ20としては、レーザスキャナを使用する方法、及びステレオカメラを使用する方法等を採用することができる。
【0017】
3Dセンサ20としてレーザスキャナを使用する方法では、まず、パルス状の赤外線レーザを測定対象(最頂部に配置されている部品トレイ10に収容された部品)に照射する。そして、測定対象等で反射したレーザ光をCCDカメラ等で受光して位相を測定し、測定対象までの距離を算出する。更に、3Dセンサ20の照射方向を2次元的にスキャンさせながら距離を連続的に測定することで、測定対象までの距離と方位の3Dデータを取得することができる。測定対象までの距離算出としては、パルス状の赤外線レーザの位相測定の他に、三角測量および反射時間計測によっても距離を算出することができる。
【0018】
3Dセンサ20としてステレオカメラを使用する方法では、まず、複数台のカメラで測定対象を同時に撮影する。そして、各カメラで得られたその物体の画像上での映る位置の違い(視差)から位置、距離、立体的な形状を測定することで、測定対象の3Dデータを取得することができる。
【0019】
画像認識装置22は、3Dセンサ20、ロボットコントローラ40、及び統括制御装置50に接続されている。画像認識装置22は、統括制御装置50からピッキングする部品の部品情報を受信し、3Dセンサ20にピッキングする部品の測定指示を送信する。画像認識装置22は、3Dセンサ20で取得した3Dデータを受信し、3Dデータに基づいてロボット30が所望の部品をピッキングするためのロボット制御信号を生成する。そして、画像認識装置22は、生成したロボット制御信号をロボットコントローラ40又は統括制御装置50に送信する。
【0020】
ロボット制御信号は、測定対象である部品を3Dセンサ20で認識し、把持する部品の箇所(例えば、ボルトの中心)のXYZ座標位置と、把持する方向・姿勢(オイラー角やロール・ピッチ・ヨー角など、3角度A、B、C角)の6次元情報である。
【0021】
ロボット30は、図1に示すように、6自由度である軸数が6軸の多関節ロボットである。しかし、ロボット30の軸数は、6軸に限られず、4軸、5軸であっても構わないが、軸数が多いほど汎用性が高くなるので好ましい。ロボット30は、部品(ワーク)、及びトレイ等をピッキング可能なハンド32を先端部に備える。ハンド32は、付け替え可能であり、例えば、ピッキングする部品(ワーク)に合致するピッキング用ワークハンドを使用した後に、ピッキング用ワークハンドを外して、部品が仕分けられた仕分けトレイ(図示せず)をピッキングする仕分けトレイ用ハンドに付け替えて使用することができる。
【0022】
ロボットコントローラ40は、画像認識装置22、ロボット30、及び統括制御装置50に接続されている。ロボットコントローラ40は、画像認識装置22又は統括制御装置50からロボット制御信号を受信し、ロボット制御信号に基づいてロボット30の動作を制御する。
【0023】
以下に、回転式部品供給装置1の制御方法を図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0024】
(イ)まず、ステップS11において、ロボット30がピッキングする部品についての部品情報および部品を仕分ける仕分けトレイ(図示せず)についての仕分けトレイ情報が統括制御装置50に入力され、記憶される。部品情報を入力する方法としては、作業者等がキーボード、マウス、ボイスデバイス、及びライトペン等の入力装置を用いて入力することによって行われる。入力された部品情報は、周知の磁気テープ、磁気ドラム、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいはROM、RAMなどの半導体メモリ等の記憶装置に記憶される。
【0025】
(ロ)次に、ステップS12において、統括制御装置50は記憶されているピッキングする部品の部品情報を部品トレイ制御装置14に送信する。そして、部品トレイ制御装置14は、部品情報に該当する部品が収容されている部品トレイ10を最頂部に配置するように回転部12を制御して移動させる。
【0026】
(ハ)次に、ステップS13において、統括制御装置50は記憶されているピッキングする部品の部品情報を画像認識装置22に送信する。そして、画像認識装置22は、部品情報に該当する部品についての測定指示を3Dセンサ20に送信する。
【0027】
(ニ)次に、ステップS14において、3Dセンサ20は、最頂部に配置されている部品トレイ10に収容された部品の測定を行い、3Dデータを取得し、これを、画像認識装置22に送信する。
【0028】
(ホ)次に、ステップS15において、画像認識装置22は、受信した3Dデータに基づいてロボット30が所望の部品をピッキングするためのロボット制御信号を生成し、これをロボットコントローラ40に送信する。
【0029】
(ヘ)次に、ステップS16において、ロボットコントローラ40は、統括制御装置50からピッキングした部品を仕分けるための仕分けトレイ(図示せず)についての仕分けトレイ情報も受信する。そして、ロボットコントローラ40は、ロボット制御信号によってロボット30に部品のピッキング動作を行わせる制御を行い、仕分けトレイ信号によって指定された仕分けトレイにピッキングされた部品が仕分けられるように制御する。
【0030】
本発明の実施の形態に係る回転式部品供給装置によれば、部品トレイ10が立体的に回転移動するので、複数の部品トレイ10を展開して配置するスペースを確保する必要がなくなるために省スペース化を図ることができる。また、複数の部品トレイ10を展開して配置するスペースを確保する必要がなくなるために、部品をピックアップするために走行するロボットのスペースを確保しなくてすむので、更に、省スペース化を図ることができる。
【0031】
また、本発明の実施の形態に係る回転式部品供給装置によれば、ピックアップ時の部品認識用のカメラやセンサとしての3Dセンサ20は固定式として設けることができるので、可動式にする必要もなく、また、ロボット30に取り付けたりする必要もないので更なる場所の占有や設備投資を必要がなく設置することができる。
【0032】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす記述及び図面はこの発明を限定するものであると理解するべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。
【0033】
例えば、実施の形態における回転式部品供給装置は、単体として記載したが、回転式部品供給装置を複数配置して使用することも可能である。
【0034】
また、実施の形態における回転式部品供給装置は、ロボットコントローラ40を外部に設けるように記載したが、回転式部品供給装置にロボットコントローラ40を含む構成としても構わない。同様に、統括制御装置50を外部に設けるように記載したが、回転式部品供給装置に統括制御装置50を含む構成としても構わない。また、部品供給装置として、最頂部までトレイを移動させる昇降装置を中央部に持つ構成を採用してもよい。
【0035】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0036】
1…回転式部品供給装置
10…部品トレイ
12…回転部
14…部品トレイ制御装置
20…3Dセンサ
22…画像認識装置
30…ロボット
32…ハンド
40…ロボットコントローラ
50…統括制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットによってピッキングされる部品を供給する回転式部品供給装置において、
部品を収容する複数の部品トレイと、
複数の前記部品トレイの姿勢を保持して回転して前記部品トレイを移動させる回転部と、
前記ロボットがピッキングする部品についての部品情報を受信し、前記部品情報に基づいて所望の部品が収容されている前記部品トレイを最頂部に配置するように前記回転部を制御する部品トレイ制御装置と、
前記回転部の最頂部近傍に設けられ、最頂部に配置されている前記部品トレイに収容された部品の3Dデータを取得する3Dセンサと、
前記3Dセンサで取得した前記3Dデータを受信し、前記3Dデータに基づいて前記ロボットが所望の部品をピッキングするためのロボット制御信号を生成する画像認識装置と、を備えることを特徴とする回転式部品供給装置。
【請求項2】
前記部品情報を送信する、前記部品トレイ制御装置及び前記画像認識装置を統括して制御する統括制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の回転式部品供給装置。
【請求項3】
前記画像認識装置は、前記ロボット制御信号を前記ロボットを制御するロボットコントローラに送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転式部品供給装置。
【請求項4】
前記画像認識装置は、前記部品情報を受信し、前記3Dセンサにピッキングする部品の測定指示を送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転式部品供給装置。
【請求項5】
前記回転部は、前記部品トレイを略水平に保って回転して前記部品トレイを移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転式部品供給装置。
【請求項6】
前記部品トレイは、部品が種類毎に収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転式部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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