説明

回転搬送装置

【課題】搬送手段によって載置台を回転させることができる回転搬送装置及びこれを用いた乾燥装置を提供する。
【解決手段】上面に被搬送物wが載置可能に設けられるとともに、円形に形成された外周面を有し、円形の中心を回転中心として回転自在に、かつ搬送路2に沿って移動自在に設けられた載置台1と、搬送路に沿って配設された接触壁22と、この接触壁に載置台の外周面を当接させるガイド機構31、32c、33、33aを有し、載置台を搬送路に沿って搬送する搬送手段31、32、33とを備えた回転搬送装置とした。載置台の下部には、回転中心と回転軸線を一致させて一体的に垂下された支持部材10を設け、ガイド機構は、支持部材に係合して載置台を搬送方向に案内するガイドレール31、33を備え、かつガイドレールには、回転駆動部と回転部と回転解除部とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被搬送物が載置された載置台を搬送路に沿って搬送させつつ、回転させる回転搬送装置に関し、特に、この載置台の回転によって載置台上に載置されている被搬送物の表面に付着している水分を除去する際に用いて好適な回転搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、容器入りの飲料等の製造ラインにおいては、飲料を充填した容器の表面を洗浄する洗浄工程、洗浄した容器表面を乾燥させる乾燥工程、及びこの乾燥表面に製造年月日を印字し、ラベル等を貼り付ける加工工程等が設けられている。
【0003】
この乾燥工程は、エアー吹き付け手段によって容器の表面に向けて圧縮エアーを噴射させ、この噴射エアーによって表面に付着している水分を除去し、必要な場合には、このエアーを加熱して、熱風によって表面に残存している水分を気化させて除去するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、搬送と併行して短時間に水分を除去する必要がある結果、容器表面に大量の空気が搬送方向以外に向けても吹き付けられるため、搬送が不安定になるという問題がある。また、圧縮エアーを噴射させるためのエアーコンプレッサーや搬送路に送られたエアーを排出するための設備等が必要となり、装置が大型化する上に、エアーコンプレッサー等を作動させるための動力が必要となるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開平6−7758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに対して、乾燥工程において、上述のエアー吹き付け手段の他に、例えば、容器を載置した円板状の載置台の円中心に一体に棒状の支持部材を設け、回転駆動装置によって支持部材を軸回りに回転させる回転搬送装置を用いることができる。この回転搬送装置を用いた場合には、載置台を高速回転させ、容器表面に付着している水分を遠心力によって飛散させ、水分を除去し、容器を乾燥させることができる。その結果、大量の空気を必要とせずに容器を乾燥させることができる。
【0007】
ところが、乾燥工程は、一般に、載置台を搬送方向に移動させつつ回転させるため、載置台を搬送路に沿って走行させる搬送駆動装置を含む搬送手段の他に、別途、回転駆動装置が必要となって、装置が大型化するだけでなく、エネルギー効率が悪いという欠点がある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、搬送手段によって載置台を回転させることができる回転搬送装置及びこれを用いた乾燥装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明に係る回転搬送装置は、上面に被搬送物が載置可能に設けられるとともに、円形に形成された外周面を有し、上記円形の中心を回転中心として回転自在に、かつ搬送路に沿って移動自在に設けられた載置台と、上記搬送路に沿って配設された接触壁と、この接触壁に上記載置台の上記外周面を当接させるガイド機構を有し、上記載置台を上記搬送路に沿って搬送する搬送手段とを備えてなることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回転搬送装置において、上記載置台の下部には、上記回転中心と回転軸線を一致させて一体的に垂下された支持部材が設けられているとともに、上記ガイド機構は、上記支持部材に係合して上記載置台を上記搬送方向に案内するガイドレールを備え、かつ当該ガイドレールには、上記載置台を上方に案内することにより上記載置台の外周面を上記接触壁に近接させる回転駆動部と、上記載置台の外周面を上記接触壁に当接させた位置に保持して案内する回転部と、上記載置台を下方に案内することにより上記外周面を上記接触壁から離間させる回転解除部とを有することを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回転搬送装置において、上記搬送手段は、上記搬送路の上方に上記載置台の搬送速度と同期して移動自在に設けられ、上記載置台とともに上記被搬送物を挟持する上部支持体が備えており、この上部支持体は、上記被搬送物の上部に接離自在に設けられるとともに、上記載置台の上記回転中心と同軸的に回転可能に設けられた上部支持部材と、この上部支持部材を上記被搬送物に向けて押圧する弾性体とを有し、上記回転部において、上記上部支持部材が上記被搬送物の上部に接触し、上記載置台とともに上記被搬送物を挟持し、かつ上記回転解除部において、上記上部支持部材が上記被搬送物の上部から離間する位置に配設されていることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の回転搬送装置において、上記搬送路は、環状に形成されるとともに、当該搬送路に沿って搬送される上記載置台上に上記被搬送物を供給する供給路と、上記載置台から搬出される上記被搬送物を搬送する排出路とが接続されており、かつ上記供給路との接続部の上記搬送方向の下流側に上記回転駆動部が設けられるとともに、上記排出路との接続部の上記搬送方向の上流側に上記回転解除部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の回転搬送装置において、上記搬送路の内側及び外側のいずれか一方に沿って上記接触壁が配設されるとともに、他方に沿って上記載置台の搬送速度と同期して移動する移動壁体が配設され、上記載置台が上記搬送路に沿って複数設けられるとともに、上記載置台同士の間に配設された板状の仕切部材の一側部が上記連動壁体と一体的に設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の乾燥装置に係る発明は、請求項5に記載の回転搬送装置において、上記回転部の搬送路には、上記載置台上の上記被搬送物に望む位置にエアー吹き付け手段が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の回転搬送装置によれば、載置台を搬送手段によって搬送路に沿って移動させると、ガイド機構によって載置台の円形に形成された外周面が上記接触壁に当接するため、載置台を円形の中心を回転中心として回転させることができる。
その結果、搬送手段によって載置台を回転させることができ、別途、載置台を回転させるための回転駆動装置等を必要としないため、装置を簡略化し、不要な動力を削減することができる。
【0016】
そして、この回転搬送装置は、例えば、搬送路の側方に検査用カメラ等を設置することによって、被搬送物の全周を検査する検査装置として用いることができる。また、搬送手段によって載置台を搬送するとともに、載置台を高速回転させることにより、被搬送物の表面に付着している水分を遠心力によって除去する乾燥装置として好適に用いることができる。この場合には、載置台の搬送を利用して前工程で水分を除去することによって、後工程で少量のエアーを利用して短時間で水分を完全に除去することができ、大量のエアーによって被搬送物の搬送が不安定になることを防止できる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、搬送手段によって載置台を搬送方向に向けて移動させつつ、支持部材の下部をガイドレールに沿って係合させ、載置台をガイドレールに沿って案内することにより、回転駆動部において載置台を上昇させ、回転部において載置台の外周面を接触壁に連続して当接させ、載置台を連続して回転させることができる。また、回転解除部において載置台を降下させ、載置台の外周面を接触壁から離間させることにより、載置台の回転を停止させることができる。その結果、ガイドレールの形状を適宜選択することにより、必要に応じた場所で載置台を回転させることができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、搬送手段によって載置台を搬送方向に向けてガイドレールに沿って移動させると、上部支持体は、搬送台と同期して移動し、上部支持部材が回転部において被搬送物の上部に接触する。そして、上部支持部材は、載置台が回転する際に、弾性部材によって被搬送物に向けて押圧され、載置台とともに被搬送物を挟持するとともに、載置台と同軸的に回転することができる。このため、上部支持部材が被搬送物を安定的に挟持することができ、その結果、載置台を高速で回転させた場合においても、上部支持体により、被搬送物の転倒を防止することができる。
【0019】
さらに、載置台を搬送方向に向けてガイドレールに沿って移動させると、上部支持部材は、回転解除部において、載置台の回転が停止した際に、被搬送物の上部から離間し、被搬送物の挟持を解き、回転が停止する。
斯くして、上部支持体は、載置台が回転している間、上部支持体が載置台とともに被搬送物を挟持することができるため、載置台の回転による被搬送物の転倒を搬送路の全面に渡って防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、供給路から載置台上に供給された被搬送物を環状の搬送路に沿って搬送させ、直線状に形成された搬送路よりも回転部において載置台を長時間回転させることができる。さらに、回転解除部において載置台を降下させ、回転を停止させた後に、載置台から被搬送物を安定的に排出路に搬出させることができる。その結果、製造ラインの一部に組み入れることにより、施設内の限られたスペースを有効に利用して、被搬送物を回転させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、載置台を搬送路に沿って搬送すると、搬送路の内側又は外側に沿って配設された移動壁体が載置台の搬送速度に同期して移動し、この移動壁体とともに載置台同士の間に設けられた仕切部材を移動させることができる。
このため、上述のように、回転搬送装置を被搬送物の表面に付着している水分を除去する乾燥装置として用いた場合には、仕切部材によって載置台上の被搬送物から飛散する水分を遮断し、隣接する載置台上に位置する被搬送物に水分が付着することを防止できる。その結果、複数の載置台上に配設されている被搬送物を効率的に乾燥させることができる。
【0022】
さらに、請求項6に記載の発明によれば、載置台をガイドレールに沿って搬送すること
により、載置台が回転し、被搬送物の水分が除去される回転部に、被搬送物に望む位置にエアー吹き付け手段を設けたため、被搬送物を効率的に乾燥させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る回転搬送装置の一実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
ここで、図1は、本発明の回転搬送装置の全体平面図であって、被搬送物wの移動を説明するための概略説明図であり、図2は、図1のII−II線矢示図であって、上部支持体7を簡略的に示した概略説明図であり、図3は、上部支持体7の説明図である。
【0024】
本実施形態の回転搬送装置は、飲料の充填されたペットボトルw(被搬送物)が載置され、搬送路2に沿って搬送される円板状の複数の載置台1と、この搬送路2に沿って載置台1を移動させる搬送手段とを有する。
ここで、ペットボトルwは、前工程の洗浄によって、蓋部(上部)を除く容器本体の表面に水分が付着している。
【0025】
載置台1は、水平に配設され、その下面の中心に一体に垂下する棒状の支持部材10が設けられている。この支持部材10は、載置台1と一体の棒状部材11の下端部が回転ローラ12に接続具(図示を略す)を介して軸線回りに回転自在に取り付けられている。このため、載置台1は、搬送路2に沿って搬送可能に設けられるとともに、円形の中心を回転中心として回転自在に設けられている。
【0026】
他方、この搬送路2には、直径方向の両端部に供給路20と排出路21とがそれぞれ接続されており、供給路20から供給されたペットボトルwを搬送し、排出路21に搬出する半周のみがペットボトルwの搬送部であって、排出路21から供給路20までの間の半周が非搬送部となっている。
そして、搬送部には、搬送路2の外側に沿って接触板(接触壁)22が水平に配設されており、この接触板22は、薄板状に形成され、上下方向に向けて配設された板幅が載置台1の板厚よりも大きく形成されている。
【0027】
さらに、搬送部には、搬送路2の外側に沿って、ペットボトルwの高さ方向の中央部に棒状の案内部材23が水平に配設されており、この案内部材23及び接触板22が搬送路2の外周に沿って配設された略円筒状の外部カバー64によって支持されている。
【0028】
搬送手段は、載置台1の下方に環状に配設された帯状無端体の2枚のガイドレール31、33と、このガイドレール31、33と載置台1との間に搬送路2に沿って配設され、駆動装置4の作動によって搬送路2に沿って回転する移動部材32とが設けられている。
【0029】
ガイドレール31、33は、上下方向に隙間を介して互いに対向して配設されており、下方に配設されたガイドレール31が少なくともローラ12よりも幅広に形成されている。他方、上方に配設されたガイドレール33は、延在方向に沿って載置台1の外周面を接触板22に当接させる位置にガイド溝33aが形成されている。このガイド溝33aには、棒状部材11が挿通して、ガイドレール31、33の隙間にローラ12及び接続具が配設され、ガイドレール31上にローラ12が走行自在に配設されている。そして、ガイド溝33aは、延在方向に向けて支持部材10とともに載置台1を移動させる搬送路2となっている。
【0030】
ところで、ガイドレール31、33は、搬送路2の供給路20との合流部において、漸次、搬送方向の下流側に向けて上方に傾斜して配設されており、載置台1を上方に案内し、載置台1の外周面を接触板22に近接させる回転駆動部となっている。また、ガイドレール31、33は、排出路21の上流側において、漸次、下流側に向けて下方に傾斜して配設されており、載置台1を下方に案内し、載置台1の外周面を接触板22から離間させる回転解除部となっている。
【0031】
他方、ガイドレール31、33は、回転駆動部と回転解除部との間において、水平に配設されており、載置台1の外周面を接触板22に接触させた位置に保持して案内する回転部となっている。また、ガイドレール31、33は、回転解除部と回転駆動部との間の非搬送部において、水平に配設されており、載置台1の外周面を接触板22から離間した位置に保持して案内する非回転部となっている。このようにして、ガイドレール31、33は、搬送路2の全周において高低差を設けて配設され、搬送路2に沿って載置台1を昇降させるようになっている。
【0032】
上記移動部材32は、搬送路2の内側に沿って、載置台1から離間して垂直方向に向けて配設された帯状無端体の垂直プレート(連動外壁)32aと、この垂直プレート32aの下端部と一体に搬送路2の外側に向けて配設された帯状無端体の水平プレート32bとによって構成されている。
【0033】
そして、この水平プレート32bは、ガイドレール33と載置台1との間に配設されており、棒状部材11を貫通させる複数の駆動穴32cがガイド溝33aの真上に、ガイド溝33aに沿って等間隔に形成されている。これらの駆動穴32cは、駆動装置4の作動によって、それぞれ棒状部材11とともに載置台1をガイド溝33aに沿って移動させるようになっており、ガイドレール31、33及びガイド溝33aとともにガイド機構を構成している。
【0034】
他方、載置台1同士の間には、横断面略L字状の隔壁部材5が配設されている。
この隔壁部材5は、垂直プレート32aと載置台1との間に配設された板状の固定部51と、この固定部51の搬送方向後方側の側部から固定部51に対して略垂直方向に向けて配設される板状の隔壁部(仕切部材)52とを有している。
【0035】
この固定部51は、その裏面が垂直プレート32aに固定され、垂直プレート32aとともに移動するようになっている。
隔壁部52は、載置台1同士の間に、載置台1の外周に沿って配設され、水分が付着しているペットボトルwの容器本体を覆う高さをもって配設されており、高さ方向の中央部に、板幅方向に向けてスリットが入れられている。そして、隔壁部52は、連結具53によって固定部51に一体的に設けられている。
【0036】
ところで、供給路20は、搬送路2の接線方向に対して直角に接続されており、互いに間隔を開けて垂直に配設された2本の基体54上に、板状の載置板55が水平に配設されている。そして、幅方向の両端部に、供給路20の延在方向に沿って棒状の案内部材56、57が配設されている。
【0037】
これらの案内部材56、57は、その間にペットボトルwが一列に配設されるように、互いにペットボトルwの直径と略同一の隙間を介して配設されている。また、これらの案内部材56、57は、ペットボトルwの高さ方向の中央部に配設され、搬送路2側の先端部が隔壁部材5の移動に伴って、隔壁部52のスリット内に位置して、隔壁部52と交差するようになっている。そして、載置台1の移動方向前方側に配設された案内部材57は、搬送路側の先端部が載置台1の移動方向に向けて屈曲して配設されることにより、供給路20の搬送路2との合流部における隙間を広く形成し、ペットボトルwを載置台1に円滑に案内するようになっている。
【0038】
同様に、排出路21は、搬送路2の接線方向に対して直角に接続されており、互いに間隔を開けて垂直に配設された2本の基体54上に、板状の載置板55が水平に配設されている。そして、幅方向の両端部に、排出路21の延在方向に沿って棒状の案内部材58、59が配設されている。
【0039】
これらの案内部材58、59は、その間にペットボトルwが一列に配設されるように、互いにペットボトルwの直径と略同一の隙間を介して配設されている。また、案内部材58、59は、ペットボトルwの高さ方向の中央部に配設されるとともに、搬送路2側の先端部が搬送路2の搬送方向の上流側に向けて屈曲しており、この屈曲した先端部が隔壁部材5の移動に伴って隔壁部52のスリット内に位置して、隔壁部52と交差するようになっている。
【0040】
特に、載置台1の移動方向前方側に配設された案内部材59は、先端部が搬送路2内に突出し、後方側の案内部材58よりも搬送路2側において小さい屈曲角度で折り曲げられ、ペットボトルwを排出路21に案内するようになっている。
【0041】
一方、ガイドレール31及び移動部材32を支持する基体は、下端部にローラ61aが取り付けられ、移動自在な複数本(本実施形態においては4本)の支柱61を有している。そして、これらの支柱61によって、ガイドレール31、33を支持するとともに、移動部材32を移動自在に支持している。
さらに、これらの支柱61上には、それぞれ垂直板62が上下方向に向けて配設されており、この垂直板62の上端部に搬送路2に沿って帯状の上部回転プレート63が設けられている。
【0042】
この上部回転プレート63は、ペットボトルwの上方に配設され、水平プレート32bと一体に回転するようになっており、複数の貫通口63aがそれぞれ駆動穴32cの真上に形成されている。また、上部回転プレート63は、貫通口63aの上部に連通する1対のスリット63bがプレート63の長手方向に向けて形成されるとともに、各貫通口63aに対応して上部支持体7がそれぞれ配設されている。
【0043】
この上部支持体7は、扁平な略円柱状の上部支持部材77の上面中心部に一体に棒状体71が設けられ、棒状体71が貫通口63aを挿通して上部回転プレート63の上方に配設されている。この棒状体71は、上部にスリット63bに嵌め込み可能な棒状の係止部材71aが一体に設けられ、上部回転プレート63に支持されており、その上端部が半球状に形成されている。
【0044】
上部支持部材77は、その下面中央部にペットボトルwの蓋部に対応する凹部70が形成されている。この凹部70は、ペットボトルwの蓋部の接触面に対応する平滑な底面と、
この底面周りに、漸次、下面に向けて拡径するように形成されている傾斜面とによって形成され、テーパ形状になっている。
【0045】
さらに、上部支持体7は、この棒状体71の上端部を覆う平面視略円状の筺体73が各上部支持部材77に対応して上部回転プレート63上に固定されている。
この筺体73は、その外周面に上下方向に向けて一対のスリット73bが形成されており、その上部内壁面にバネ73aが一体的に設けられている。そして、このバネ73aの下端部に、スリット73b間に渡された水平棒74が取り付けられている。これにより、水平棒74は、係止部材71aがスリット63bから外れ、棒状体71が上方に移動すると、棒状体71の半球状の上端部に押圧され、バネ73aを収縮させるようになっており、筺体73、バネ73a、棒状体71(係止部材71aを含む)、上部支持部材77とともに上部支持体7を構成している。
【0046】
そして、上部支持体7は、回転駆動部において載置台1が上方に案内されると、上部支持部材77がペットボトルwの蓋部に近接し、回転部において上部支持部材77の凹部70がペットボトルwによって上方に向けて押圧され、係止部材71aがスリット63bから外れ、上部支持部材77が棒状体71回りに回転自在となる。その際、上部支持部材77がバネ73aによってペットボトルwに向けて押圧されるため、上部支持部材77が載置台1とともにペットボトルwを挟持している。このため、載置台1の外周面が接触板22に当接し、載置台1が棒状部材11の軸線回りに回転することにより、上部支持部材77がペットボトルwを挟持した状態で棒状部材11と同軸線上の棒状体71回りに回転しつつ上部回転プレート63とともに搬送方向に向けて移動するようになっている。
【0047】
次いで、回転解除部において、載置台1が下方に案内されると、載置台1の外周面が接触板22から離間し、載置台1の回転が停止するとともに、バネ73aが伸長することによって、上部支持部材77も降下する。そして、上部支持体7は、係止部材71aがスリット63bに嵌め込まれ、上部支持部材77が上部回転プレート63に固定され、回転不可能となった状態で、載置台1とともに上部回転プレート63によって搬送路2に沿って移動するようになっている。
【0048】
一方、搬送路2には、回転部における回転解除部寄りの下流側に、ペットボトルwに望む位置にエアー吹き付け手段8が設けられている。
このエアー吹き付け手段8は、搬送路2の両側方にそれぞれ設けられており、高温の乾燥圧縮空気をペットボトルwに向けて吹き付けるようになっている。そして、外部カバー64には、圧縮空気を導入するための開口が形成され、同様に、隔壁部材5の固定部51及び垂直プレート32aには、圧縮空気を導入するための開口が形成されている。これにより、エアー吹き付け手段8から噴射された圧縮空気によって、ペットボトルwに残留している小さな水滴も完全に除去されるようになっている。
【0049】
次いで、上述の回転搬送装置を用いて、前工程の洗浄によってペットボトルwの容器本体に付着している水分を除去する際の作用について説明する。
【0050】
まず、駆動装置4を作動させ、移動部材32とともに載置台1を搬送路2に沿って移動させる。すると、順次、供給路20の先頭に位置する洗浄後のペットボトルwが隔壁部材5の隔壁部52及び案内部材57の先端屈曲部によって誘導され、搬送路2の接線方向に向けて移動し、載置台1上に載置される。
【0051】
このペットボトルwが載置された載置台1は、回転駆動部において、支持部材10とともにガイドレール31に沿って移動しつつ徐々に上昇し、外周面が接触板22に近接するとともに、ペットボトルwの蓋部が上部支持部材77に近接する。
【0052】
そして、載置台1は、外周面上部が接触板22に当接し、当接面において移動方向と反対方向の力が作用し、ゆっくりと時計回りに回転し始める。その際、ペットボトルwの上部が上部支持部材77の凹部70内に配設され、上部支持部材77の凹部70によってペットボトルwの転倒が防止される。
【0053】
次いで、回転部において、載置台1の外周面全体が接触板22に当接することにより、載置台1が高速回転し、その上に載置されているペットボトルwは、その表面の水分が遠心力によって、漸次、大きい水滴から外方に飛散し、水分が除去される。その際、ペットボトルwの上部が上部支持部材77の凹部70を上方に押し上げ、係止部材71aをスリット63bから外して、棒状体71とともに上部支持部材77を回転自在にする。他方、上部支持部材77は、バネ73aによってペットボトルwに向けて押圧されているため、載置台1とともにペットボトルwを挟持しつつ回転する。また、隔壁部材5が載置台1とともに搬送路2に沿って搬送され、飛散した水分が隔壁部52によって遮断されるため、隣接する他のペットボトルwに付着することがない。
【0054】
そして、ペットボトルwは、回転部における回転解除部寄りの下流側に搬送されると、エアー吹き付け手段8から噴出される高温の乾燥圧縮空気が外部カバー64や垂直プレート32a及び隔壁部材5の固定部51に形成された開口を通じて吹き付けられる。これにより、ペットボトルwは、その表面に小さな水滴が一部残留している場合にも、乾燥圧縮空気により完全に除去される。
【0055】
次いで、完全に乾燥したペットボトルwは、回転解除部において、載置台1が支持部材10とともにガイドレール31に沿って移動しつつ徐々に降下し、載置台1の外周面下部が接触板22から外れ、載置台1の回転速度が低下する。同時に、ペットボトルwの降下によりバネ73aが伸長し、上部支持部材77も降下する。次いで、載置台1の外周面全体が接触板22から離間すると、ペットボトルwの蓋部が上部支持部材77の凹部70内に配設され、載置台1及び上部支持部材77の回転が停止した後、ペットボトルwの蓋部が上部支持部材77から離間する。
その後、ペットボトルwは、排出路21の近傍において、搬送方向前方寄りの内方側面が案内部材59に接し、搬送方向後方の側面が隔壁部材5の隔壁部52によって搬送方向前方に向けて誘導されることにより、排出路21に搬出される。
【0056】
そして、ペットボトルwが搬出された載置台1は、非回転部において、載置台1が降下したまま搬送路2に沿って搬送され、供給路20近傍に移動すると、繰り返し、上述のように供給路20から供給されたペットボトルwが載置される。
【0057】
上述の回転搬送装置によれば、駆動装置4の作動によって水平プレート32b及び垂直プレート32aが搬送路2に沿って移動するため、ローラ12をガイドレール31に沿って案内しつつ載置台1を搬送路2に沿って搬送させることができる。このため、ガイドレール31によって、載置台1の高さを調整し、載置台1の外周面を接触板22に当接させることができ、載置台1の接触壁22との当接面に搬送方向と反対方向の力を作用させ、載置台1を棒状部材11の軸線回りに回転させることができる。故に、回転駆動部においてガイドレール31を上方に傾斜させて配設することによって、載置台1を上方に案内し、回転部においてガイドレール31を水平に配設し、載置台1の外周面を接触板22に接触させた位置に保持して案内することによって、載置台1を連続回転させることができる。
【0058】
このため、駆動装置4によって水平プレート32b及び垂直プレート32aを高速移動させ、棒状部材11とともに載置台1を高速搬送させることにより、ペットボトルwを連続的に高速回転させ、ペットボトルwの水分を除去することができる。
【0059】
また、水平プレート32b上に載置した隔壁部材5の隔壁部52を、水分が付着しているペットボトルwの容器本体を覆うように配設したため、載置台1上のペットボトルwから飛散する水分を遮断し、除去された水分が隣接するペットボトルwに付着することを防止できる。
【0060】
さらには、上部支持体7は、回転部において、上部支持部材77がペットボトルwの上部によって上方に向けて押圧されるとともに、バネ73aによってペットボトルwに向けて押圧されているため、上部支持部材77が載置台1とともにペットボトルwを挟持しつつ回転し、ペットボトルwの転倒を防止することができる。これに加えて、上部支持部材77にペットボトルwの蓋部に対応する凹部70を形成したため、ペットボトルwの蓋部が凹部70内の底面に接触する直前及び底面から離間した直後においても、凹部70の傾斜面によってペットボトルwの転倒を防止することができる。その結果、より確実にペットボトルwの転倒を防止し、ペットボトルwを安定的に搬送しつつ水分を除去することができる。
【0061】
加えて、水分が除去されつつ搬送されたペットボトルwは、回転部における回転解除部寄りの下流側において、搬送路2の両側方に設けられたエアー吹き付け手段8によって、高温乾燥空気が吹き付けられるため、一部小さな水滴が残留している場合にも確実に除去することができる。また、このエアー吹き付け手段8は、回転部における回転解除部寄りの下流側に設けられているため、既に、ペットボトルwの回転による水分の除去が為されており、少量の空気で充分にペットボトルwを完全に乾燥させることができる。このため、大量のエアーによってペットボトルwの搬送が不安定になることを防止できる。
【0062】
なお、本発明は、上述の実施の形態に何ら限定されるものでなく、例えば、乾燥装置に限らず、検査装置等の他の用途にも用いることができる。また、搬送路2が直線状に設けられていてもよく、供給路20と排出路21とが隣接して配設されていてもよいものである。さらには、接触板22が載置台1と反対方向に移動してもよく、載置台1が円板状のものに限られるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の回転搬送装置の一実施形態を示す全体概略平面図である。
【図2】図1のII−II線矢示図である。
【図3】図1の一部拡大図であり、上部支持体7の説明図である。
【図4】図1の一部拡大図であり、供給路20から搬送路2の載置台1に被搬送物wが載置される際の説明図である。
【図5】図1の一部拡大図であり、搬送路2の載置台1から被搬送物wが排出路21に排出される際の説明図である。
【符号の説明】
【0064】
w ペットボトル(被搬送物)
1 載置台
2 搬送路
10 棒状部材
22 接触板(接触壁)
31 ガイドレール(ガイド機構、搬送手段)
32 移動部材(搬送手段)
32b 水平プレート
32c 駆動穴(ガイド機構)
33 ガイドレール(ガイド機構、搬送手段)
33a ガイド溝(ガイド機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に被搬送物が載置可能に設けられるとともに、円形に形成された外周面を有し、上記円形の中心を回転中心として回転自在に、かつ搬送路に沿って移動自在に設けられた載置台と、
上記搬送路に沿って配設された接触壁と、
この接触壁に上記載置台の上記外周面を当接させるガイド機構を有し、上記載置台を上記搬送路に沿って搬送する搬送手段とを備えてなることを特徴とする回転搬送装置。
【請求項2】
上記載置台の下部には、上記回転中心と回転軸線を一致させて一体的に垂下された支持部材が設けられているとともに、
上記ガイド機構は、上記支持部材に係合して上記載置台を上記搬送方向に案内するガイドレールを備え、かつ当該ガイドレールには、上記載置台を上方に案内することにより上記載置台の外周面を上記接触壁に近接させる回転駆動部と、上記載置台の外周面を上記接触壁に当接させた位置に保持して案内する回転部と、上記載置台を下方に案内することにより上記外周面を上記接触壁から離間させる回転解除部とを有することを特徴とする請求項1に記載の回転搬送装置。
【請求項3】
上記搬送手段は、上記搬送路の上方に上記載置台の搬送速度と同期して移動自在に設けられ、上記載置台とともに上記被搬送物を挟持する上部支持体が備えており、
この上部支持体は、上記被搬送物の上部に接離自在に設けられるとともに、上記載置台の上記回転中心と同軸的に回転可能に設けられた上部支持部材と、この上部支持部材を上記被搬送物に向けて押圧する弾性体とを有し、
上記回転部において、上記上部支持部材が上記被搬送物の上部に接触し、上記載置台とともに上記被搬送物を挟持し、かつ上記回転解除部において、上記上部支持部材が上記被搬送物の上部から離間する位置に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の回転搬送装置。
【請求項4】
上記搬送路は、環状に形成されるとともに、当該搬送路に沿って搬送される上記載置台上に上記被搬送物を供給する供給路と、上記載置台から搬出される上記被搬送物を搬送する排出路とが接続されており、かつ
上記供給路との接続部の上記搬送方向の下流側に上記回転駆動部が設けられるとともに、上記排出路との接続部の上記搬送方向の上流側に上記回転解除部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の回転搬送装置。
【請求項5】
上記搬送路の内側及び外側のいずれか一方に沿って上記接触壁が配設されるとともに、他方に沿って上記載置台の搬送速度と同期して移動する移動壁体が配設され、
上記載置台が上記搬送路に沿って複数設けられるとともに、上記載置台同士の間に配設された板状の仕切部材の一側部が上記連動壁体と一体的に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の回転搬送装置。
【請求項6】
上記回転部の搬送路には、上記載置台上の上記被搬送物に望む位置にエアー吹き付け手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の回転搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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