説明

回転方向判別装置

【課題】 第1のパルス信号が第2の値に反転する時刻と、第2のパルス信号が第2の値に反転する時刻との間の時間が短い場合であっても、正確にロータリースイッチの回転方向を判別すること。
【解決手段】 パルス信号A及びパルス信号Bの一方がローレベルに反転してから、他方のパルス信号がローレベルに反転するまでの時間が所定時間未満である場合、パルス信号A及びパルス信号Bのうち、どちらのパルス信号が先にハイレベルからローレベルに反転したかによって回転方向を判別せずに、どちらのパルス信号が先にハイレベルからローレベルに反転したかによって回転方向を判別する。従って、回転方向を正確に判別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのパルス信号を出力するロータリースイッチの回転方向を判別する回転方向判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AVアンプやDVDプレーヤ等のオーディオ機器において、セレクタ切換などの各種設定を実行するために、ユーザによって操作されるロータリースイッチが採用されている(例えば、下記特許文献1、2)。ロータリースイッチは、形状が概略円筒形状のスイッチであり、ユーザ操作による左右方向の回転操作に応じて、図3に示すように、2つのパルス信号AおよびBを出力する。ロータリースイッチが回転操作されていない状態において、パルス信号A、Bは共にハイレベルであり、ロータリースイッチが回転操作されると、パルス信号A、Bがローレベルに反転した後に、ハイレベルに戻るようになっている。パルス信号A、Bのローレベルに反転する際の位相の差は約90度になっており、回転方向が左方向と右方向との場合において、どちらのパルス信号が先にローレベルになるかが異なっている。例えば、図3(a)に示すように、ロータリースイッチが右方向に回転操作された場合には、パルス信号Bが先にローレベルになった後、パルス信号Aがローレベルになる。一方、図3(b)に示すように、ロータリースイッチが左方向に回転操作された場合には、パルス信号Aがローレベルになった後、パルス信号Bがローレベルになる。従って、パルス信号Aがローレベルに反転する際に(立ち下がり時に)、パルス信号Bがローレベルであれば、右方向に回転操作されたと判断することができ、パルス信号Aがローレベルに反転する際に、パルス信号Bがハイレベルであれば、左方向に回転操作されたと判断することができる。
【0003】
しかし、市販されているロータリースイッチの中には、パルス信号A、Bの位相の差が正確に90度に固定されておらず、位相の差にばらつきが生じるものがある。例えば、図4に示すように、パルス信号Aがローレベルになる時刻と、パルス信号Bがローレベルになる時刻との間の時間が短くなり、実際にはどちらのパルス信号が先にローレベルに反転したかを正確に判別できない場合がある。つまり、パルス信号Aおよびパルス信号Bがローレベルになる際の位相の差が小さくなる場合がある。このようなロータリースイッチにおいては、例えば、ロータリースイッチが右方向に回転操作される場合、パルス信号Aがローレベルに反転するときにパルス信号Bがローレベルであれば右方向であることを正確に判別することができるが、パルス信号Aがローレベルに反転するときにパルス信号Bがハイレベルであれば誤って左方向であると判別されてしまう。従って、このようなロータリースイッチにおいては、回転方向を誤判別する可能性があるという問題を有している。
【0004】
【特許文献1】特開2001−69222号
【特許文献2】特開2003−58310号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、第1のパルス信号が第2の値に反転する時刻と、第2のパルス信号が第2の値に反転する時刻との間の時間が短い場合であっても、正確にロータリースイッチの回転方向を判別することができる回転方向判別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態による回転方向判別装置は、ロータリースイッチから出力され、第1の値および第2の値を有する、第1のパルス信号および第2のパルス信号に基づいて、該ロータリースイッチの回転方向を判別する回転方向判別装置であって、該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第1の値から該第2の値に反転したかを判断する第1判断手段と、該第1のパルス信号および該第2のパルス信号の一方が該第1の値から該第2の値に反転してから、該他方のパルス信号が該第1の値から該第2の値に反転するまでの時間が所定時間未満であるか否かを判断する第2判断手段と、該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第2の値から該第1の値に反転したかを判断する第3判断手段と、該第2判断手段によって該所定時間以上であると判断された場合に、該第1判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定し、該第2判断手段によって該所定時間未満であると判断された場合に、該第3判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定する決定手段とを備える。
【0007】
第2の判断手段によって所定時間以上であると判断されると、決定手段は、従来と同様に、第1のパルス信号および第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に第1の値から第2の値に反転したかによって回転方向を決定する。一方、第2の判断手段によって所定時間未満であると判断されると、決定手段は、第1のパルス信号および第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に第2の値から第1の値に反転したかによって回転方向を決定する。従って、第1のパルス信号が第1の値から第2の値に反転する時刻と、第2のパルス信号が第1の値から第2の値に反転する時刻との間の時間が短い場合であっても、どちらのパルス信号が先に第2の値から第1の値に反転したかによって回転方向を決定することによって、回転方向の誤判別を防止することができる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態による回転方向判別装置は、ロータリースイッチから出力され、第1の値および第2の値を有する、第1のパルス信号および第2のパルス信号に基づいて、該ロータリースイッチの回転方向を検出する回転方向検出装置であって、該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第1の値から該第2の値に反転したかを判断する第1判断手段と、該第1のパルス信号および該第2のパルス信号が該第1の値から該第2の値に反転する際の位相の差が所定値未満であるか否かを判断する第2判断手段と、該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第2の値から該第1の値に反転したかを判断する第3判断手段と、該第2判断手段によって該位相の差が所定値以上であると判断された場合に、該第1判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定し、該第2判断手段によって該位相の差が所定値未満であると判断された場合に、該第3判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定する決定手段とを備える。
【0009】
第2の判断手段によって位相の差が所定値以上であると判断されると、決定手段は、従来と同様に、第1のパルス信号および第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に第1の値から第2の値に反転したかによって回転方向を決定する。一方、第2の判断手段によって位相の差が所定値未満であると判断されると、決定手段は、第1のパルス信号および第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に第2の値から第1の値に反転したかによって回転方向を決定する。従って、第1のパルス信号と第2のパルス信号とが第1の値から第2の値に反転する際に十分な位相の差がない場合であっても、どちらのパルス信号が先に第2の値から第1の値に反転したかによって回転方向を決定することによって、回転方向の誤判別を防止することができる。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記第1の値がハイレベルであり、前記第2の値がローレベルである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、第1のパルス信号が第1の値から第2の値に反転する時刻と、第2のパルス信号が第1の値から第2の値に反転する時刻との間の時間が短い場合であっても、どちらのパルス信号が先に第2の値から第1の値に反転したかによって回転方向を決定することによって、回転方向の誤判別を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。図1は、本発明の好ましい実施形態によるロータリースイッチの回転方向判別装置が適用されるオーディオ機器1を示す概略ブロック図である。オーディオ機器1は、制御部11と、ROM12と、RAM13と、操作部14と、表示部15とを備えている。なお、オーディオ機器1の一般的な構成であるアンプ、D/A変換回路等は省略する。また、本例において、回転とは回動の意味も包括する。
【0013】
操作部14は、外形が概略円筒形状であり、ユーザ操作による左右方向の回転操作に応じて、2つのパルス信号A、Bを制御部11に対して出力するロータリースイッチ16を有している。パルス信号A、Bは、制御部11が、ロータリースイッチ16の回転方向を判別し、各種設定処理や表示処理等に使用するための信号である。図3、図4は、パルス信号A、Bを説明するためのタイムチャートである。
【0014】
ロータリースイッチ16が回転操作されていない状態において、パルス信号A、Bは共に第1の値(本例ではハイレベルとする、以下同様)であり、ロータリースイッチ16が回転操作されると、パルス信号A、Bが第2の値(本例ではローレベルとする、以下同様)に反転した後に、再び、ハイレベルに戻るようになっている。
【0015】
理想的な状態では、パルス信号A、Bのローレベルに反転する際の位相の差は約90度になっており、回転方向が左方向(反時計方向)と右方向(時計方向)との場合において、どちらのパルス信号が先にローレベルになるかが異なっている。例えば、図3(a)に示すように、ロータリースイッチ16が右方向に回転操作された場合には、パルス信号Bがローレベルになった後、パルス信号Aがローレベルになる。そして、パルス信号Bがハイレベルになった後、パルス信号Aがハイレベルになる。一方、図3(b)に示すように、ロータリースイッチ16が左方向に回転操作された場合には、パルス信号Aがローレベルになった後、パルス信号Bがローレベルになる。そして、パルス信号Aがハイレベルになった後、パルス信号Bがハイレベルになる。従って、パルス信号Aがローレベルに反転する際に(立ち下がり時に)、パルス信号Bがローレベルであれば、右方向に回転操作されたと判断することができ、パルス信号Aがローレベルに反転する際に、パルス信号Bがハイレベルであれば、左方向に回転操作されたと判断することができる。
【0016】
しかし、使用するロータリースイッチによっては、パルス信号A、Bのローレベルに反転する際の位相の差にばらつきが生じるものがある。例えば、図4に示すように、パルス信号Aがローレベルになる時刻と、パルス信号Bがローレベルになる時刻とにほとんど差が生じない場合がある。
【0017】
制御部11は、オーディオ機器1全体を制御するものであり、例えばマイコン等である。制御部11は、例えばROM12に格納されたプログラムをRAM13内に展開して実行することにより、後述する各動作を実行する。制御部11は、検出部17および設定処理部18を含む。
【0018】
検出部17は、ロータリースイッチ16から出力されるパルス信号A、Bに基づいて、ロータリースイッチ16の回転方向を検出(判別)する。詳細には、検出部18は、パルス信号A、Bの一方がローレベルに反転したことを検出した後、所定時間経過する前に他方のパルス信号がローレベルに反転したことを検出しなければ(つまり、パルス信号A、Bがローレベルに反転する際の位相の差が所定の値以上である場合)、どちらのパルス信号が先にローレベルに反転したかによって回転方向を決定する。すなわち、検出部18は、パルス信号Bが先にローレベルに反転した場合には、右方向に回転されたと判別し、パルス信号Aが先にローレベルに反転した場合には、左方向に回転されたと判別する。
【0019】
また、検出部18は、パルス信号A、Bの一方がローレベルに反転したことを検出した後、所定時間経過するまでに他方のパルス信号がローレベルに反転したことを検出すれば(つまり、パルス信号A、Bがローレベルに反転する際の位相の差が所定の値未満である場合)、どちらのパルス信号が先にローレベルに反転したかによって回転方向を決定すると誤判定となってしまう場合がある。そこで、検出部18は、どちらのパルス信号が先にローレベルに反転したかによって回転方向を決定せずに、パルス信号A、Bがローレベルに反転した後、どちらのパルス信号が先にハイレベルに反転するかによって回転方向を決定する。すなわち、検出部18は、パルス信号Bが先にハイレベルに反転した場合には、右方向に回転されたと判別し、パルス信号Aが先にハイレベルに反転した場合には、左方向に回転されたと判別する。このように処理するのは、図4のように、パルス信号A、Bがローレベルになる際の位相の差がわずかしかなくても、その後、パルス信号A、Bがハイレベルになる際の位相の差は十分にあるので(つまり、パルス信号Aがハイレベルになる時刻と、パルス信号Bがハイレベルになる時刻との間の時間が十分に長いので)、回転方向を正確に判断できるからである。
【0020】
設定処理部18は、検出部17によって判別されたロータリースイッチ16の回転方向に基づいて、オーディオ機器1のセレクタ切換等の各種設定処理や、表示部15への設定内容の表示制御を実行するものである。
【0021】
表示部15は、上記の通り、ロータリースイッチ16の回転操作に応じて設定処理部18によって設定処理される設定内容を表示するものであり、FL管やLCD(液晶ディスプレイ)等である。
【0022】
以上の構成を有するオーディオ機器1について、検出部17によるロータリースイッチ16の回転方向の判別処理を、図2を参照して説明する。まず、検出部17は、RAM13内に格納されている回転方向等の情報をクリアする(S1)。次に、検出部17は、パルス信号A、Bのどちらが先にハイレベルからローレベルに反転するかを監視している(S2、S3)。
【0023】
[パルス信号Aが先にローレベルに反転した後に、所定時間経過前にパルス信号Bがローレベルに反転する場合]
検出部17は、パルス信号Aがローレベルに反転したことを検出すると(S2でYES)、所定時間をカウントするためにタイマーを設定する(S4)。検出部17は、タイマーのカウントが終了したか否か(S5)、および、タイマー終了前にパルス信号Bがローレベルに反転したか否か(S6)を監視している。この場合は、タイマー終了前にパルス信号Bがローレベルに反転するので(S5でNOを経由して、S6でYES)検出部17は、RAM13内に方向未定である旨を設定する(S7)。すなわち、パルス信号A、Bがローレベルになる際の位相の差が所定の値未満であり、パルス信号Aが先にローレベルに反転したことに基づいて回転方向が左方向であると決定すると誤判定になる可能性があるので、この時点では回転方向を決定しない。
【0024】
続いて、検出部17は、パルス信号A、Bのどちらが先にハイレベルに反転するかを監視する(S14、S15)。パルス信号Aが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S14でYES、図4(b)のような場合)、RAM13に方向未定である旨が設定されていると判断したあと(S16でYES)、検出部17は、回転方向が左方向であることを決定し、その旨をRAM13内に設定する(S17)。その後、検出部17は、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0025】
一方、パルス信号Bが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S15でYES、図4(a)のような場合)、RAM13に方向未定である旨が設定されていると判断したあと(S18でYES)、検出部17は、回転方向が右方向であることを決定し、その旨をRAM13内に設定する(S19)。その後、検出部17は、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0026】
[パルス信号Bが先にローレベルに反転した後に、所定時間経過前にパルス信号Aがローレベルに反転する場合]
検出部17は、パルス信号Bが先にローレベルに反転したことを検出すると(S3でYES)、所定時間をカウントするためにタイマーを設定する(S9)。検出部17は、タイマーのカウントが終了したか否か(S10)、および、タイマー終了前にパルス信号Aがローレベルに反転したか否か(S11)を監視している。この場合は、タイマー終了前にパルス信号Aがローレベルに反転するので(S10でNOを経由して、S11でYES)、検出部17は、RAM13内に方向未定である旨を設定する(S12)。すなわち、パルス信号A、Bがローレベルになる際の位相の差が所定の値未満であり、パルス信号Bが先にローレベルに反転したことに基づいて回転方向が右方向であると決定すると誤判定になる可能性があるので、この時点では回転方向を決定しない。
【0027】
続いて、検出部17は、パルス信号A、Bのどちらが先にハイレベルに反転するかを監視する(S14、S15)。パルス信号Aが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S14でYES)、RAM13に方向未定である旨が設定されていると判断したあと(S16でYES)、検出部17は、回転方向が左方向であることを決定し、その旨をRAM13内に設定する(S17)。その後、検出部17は、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0028】
一方、パルス信号Bが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S15でYES)、RAM13に方向未定である旨が設定されていると判断したあと(S18でYES)、検出部17は、回転方向が右方向であることを決定し、その旨をRAM13内に設定する(S19)。その後、検出部17は、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0029】
[パルス信号Aが先にローレベルに反転した後に、所定時間経過後にパルス信号Bがローレベルに反転する場合(図3(b)のような場合)]
検出部17は、パルス信号Aがローレベルに反転したことを検出すると(S2でYES)、所定時間をカウントするためにタイマーを設定する(S4)。検出部17は、タイマーのカウントが終了したか否か(S5)、および、タイマー終了前にパルス信号Bがローレベルに反転したか否か(S6)を監視している。この場合は、タイマーのカウントが先に終了するの(S5でYES)、検出部17は、回転方向が左方向であることを決定し、その旨をRAM13内に設定する(S8)。すなわち、パルス信号A、Bがローレベルになる際の位相の差が所定の値以上であるので、パルス信号Aが先にローレベルに反転したことに基づいて回転方向が左方向であると判別しても、回転方向を正確に判別できるからである。
【0030】
続いて、検出部17は、パルス信号A、Bのどちらが先にハイレベルに反転するかを監視する(S14、S15)。パルス信号Aが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S14でYES)、検出部17は、RAM13に左方向である旨が設定されていると判断したあと(S16でNO)、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0031】
一方、パルス信号Bが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S15でYES)、検出部17は、RAM13に左方向である旨が設定されていると判断したあと(S18でNO)、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0032】
[パルス信号Bが先にローレベルに反転した後に、所定時間経過後にパルス信号Aがローレベルに反転する場合(図3(a)のような場合)]
検出部17は、パルス信号Bがローレベルに反転したことを検出すると(S3でYES)、所定時間をカウントするためにタイマーを設定する(S9)。検出部17は、タイマーのカウントが終了したか否か(S10)、および、タイマー終了前にパルス信号Aがローレベルに反転したか否か(S11)を監視している。この場合は、タイマーのカウントが先に終了するの(S10でYES)、検出部17は、回転方向が右方向であることを決定し、その旨をRAM13内に設定する(S13)。すなわち、パルス信号A、Bがローレベルになる際の位相の差が所定の値以上であるので、パルス信号Bが先にローレベルに反転したことに基づいて回転方向が右方向であると判別しても、回転方向を正確に判別できるからである。
【0033】
続いて、検出部17は、パルス信号A、Bのどちらが先にハイレベルに反転するかを監視する(S14、S15)。パルス信号Aが先にハイレベルに反転したことを検出すると(S14でYES)、検出部17は、RAM13に左方向である旨が設定されていると判断したあと(S16でNO)、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0034】
一方、S14でパルス信号Bがハイレベルに反転したことを検出すると(S15でYES)、検出部17は、RAM13に左方向である旨が設定されていると判断したあと(S18でNO)、以降の制御処理を担当する設定処理部18に回転方向の情報を供給する(S20)。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、パルス信号Aがローレベルに反転する時刻と、パルス信号Bがローレベルに反転する時刻との間の時間が所定時間未満であれば、どちらのパルス信号が先にローレベルに反転したかによって回転方向を決定せずに、どちらのパルス信号が先にハイレベルに反転したかによって回転方向を決定するので、図4のようなパルス信号A、Bであっても、正確に回転方向を決定することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、パルス信号のハイレベル、ローレベルを入れ替えた実施形態(つまり、第1の値がローレベル、第2の値がハイレベル)も適用することができる。また、ロータリースイッチ16は、パルス信号A、Bがローレベルからハイレベルに反転した後に、ロータリースイッチの回転を機械的に制限するもの、いわゆるクリック有りのロータリースイッチであってもよく、そうでなくてもよい。本発明は、上記の回転方向判別装置を動作させるためのコンピュータプログラムまたはそのコンピュータプラグラムを記録した記録媒体という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明はオーディオ機器の操作装置に特に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好ましい実施形態による回転方向判別装置が適用されるオーディオ機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態による回転方向判別装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】ロータリースイッチから出力される理想的なパルス信号A、Bの波形を示すタイムチャートであり、(a)は右回転、(b)は左回転を示す。
【図4】ロータリースイッチから出力される異常なパルス信号A、Bの波形を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 オーディオ機器(回転方向判別装置)
11 制御部
12 ROM
13 RAM
14 操作部
15 表示部
16 ロータリースイッチ
17 検出部
18 設定処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリースイッチから出力され、第1の値および第2の値を有する、第1のパルス信号および第2のパルス信号に基づいて、該ロータリースイッチの回転方向を判別する回転方向判別装置であって、
該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第1の値から該第2の値に反転したかを判断する第1判断手段と、
該第1のパルス信号および該第2のパルス信号の一方が該第1の値から該第2の値に反転してから、該他方のパルス信号が該第1の値から該第2の値に反転するまでの時間が所定時間未満であるか否かを判断する第2判断手段と、
該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第2の値から該第1の値に反転したかを判断する第3判断手段と、
該第2判断手段によって該所定時間以上であると判断された場合に、該第1判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定し、該第2判断手段によって該所定時間未満であると判断された場合に、該第3判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定する決定手段とを備える、回転方向判別装置。
【請求項2】
ロータリースイッチから出力され、第1の値および第2の値を有する、第1のパルス信号および第2のパルス信号に基づいて、該ロータリースイッチの回転方向を検出する回転方向検出装置であって、
該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第1の値から該第2の値に反転したかを判断する第1判断手段と、
該第1のパルス信号および該第2のパルス信号が該第1の値から該第2の値に反転する際の位相の差が所定値未満であるか否かを判断する第2判断手段と、
該第1のパルス信号および該第2のパルス信号のうち、どちらのパルス信号が先に該第2の値から該第1の値に反転したかを判断する第3判断手段と、
該第2判断手段によって該位相の差が所定値以上であると判断された場合に、該第1判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定し、該第2判断手段によって該位相の差が所定値未満であると判断された場合に、該第3判断手段による判断結果に基づいて回転方向を決定する決定手段とを備える、回転方向判別装置。
【請求項3】
前記第1の値がハイレベルであり、前記第2の値がローレベルである、請求項1または2に記載の回転方向判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−37983(P2009−37983A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203546(P2007−203546)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】