回転機械の回転数推定方法、装置及びプログラム
【課題】回転数が変化する回転機械の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定できるようにする。
【解決手段】周波数分析部2では、回転機械に設置された振動加速度センサ108の信号を周波数分析してFFT波形を得る。回転数推定部3では、回転機械の回転周波数の実数倍Nのピークスペクトルが観測される周波数バンドBを予め設定しておき、周波数分析部2での周波数分析の結果から、周波数バンドB内のピークスペクトル周波数Sを抽出する。そして、その抽出したピークスペクトル周波数Sを実数倍Nで除して回転周波数frを算出し、当該回転機械の推定回転数を算出する。
【解決手段】周波数分析部2では、回転機械に設置された振動加速度センサ108の信号を周波数分析してFFT波形を得る。回転数推定部3では、回転機械の回転周波数の実数倍Nのピークスペクトルが観測される周波数バンドBを予め設定しておき、周波数分析部2での周波数分析の結果から、周波数バンドB内のピークスペクトル周波数Sを抽出する。そして、その抽出したピークスペクトル周波数Sを実数倍Nで除して回転周波数frを算出し、当該回転機械の推定回転数を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転部分を有する回転機械の設備劣化等を監視する手法として、振動解析による振動診断が利用されている。回転数が変化する回転機械を振動診断する場合、例えば特許文献1にあるように、振動の測定と同時に回転数を測定し、振動値を回転数で補正することで、回転の変化による振動の増減を排除し、設備劣化による振動変化を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−218333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転数が変化する回転機械を振動診断装置によって振動診断する場合、従来は、振動診断装置のインタフェースに、回転機械に設置された振動センサの信号の他に、回転機械の制御盤から回転数の情報を取り出して入力している。すなわち、振動診断装置には、回転機械に設置された振動センサと、電気室等にある制御盤とが接続している。しかしながら、振動診断装置の設置場所等によっては、回転数の情報を入力する配線を省略するのが望ましい場合がある。特に制御盤と振動診断装置との配線距離が長くなる場合には、配線コストが高くなってしまう。
【0005】
また、制御盤から回転数の情報を取り入れるのではなく、回転機械に回転数センサを設置して、振動診断装置に接続する構成も考えられる。しかしながら、振動センサに加えて回転数センサも設置するのでは、コストが高くなってしまう。また、回転数センサは軸回転を検出するためのターゲットを取り付ける場合もあり、一般的に振動センサ等に比べて故障しやすく、信頼性に劣る場合が多い。さらに、回転機械の構造によっては、回転数センサを設置するのが困難な場合もある。
【0006】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、回転数が変化する回転機械の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回転機械の回転数推定方法は、回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定方法であって、前記回転機械の振動信号を振動センサで測定するステップと、前記振動センサで測定した振動信号を周波数分析する周波数分析ステップと、前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析ステップで周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出ステップと、前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の回転機械の回転数推定方法の他の特徴とするところは、前記周波数分析ステップでは、前記回転機械の時系列の振動信号を所定の時間間隔をおいて周波数分析し、前記ピークスペクトル周波数抽出ステップでは、前記周波数分析を行う各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出し、前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出した前記各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数に基づいて回転数変化率を求め、予め設定されている回転数変化率の閾値と比較することにより、前記回転数算出ステップで算出する回転周波数のうち有効な回転周波数を判定する回転数変化率判定ステップを行う点にある。
また、本発明の回転機械の回転数推定方法の他の特徴とするところは、前記回転数算出ステップでは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数の平均値又は中央値を求めて回転数を算出し、前記推定回転数とする、或いは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数から回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値又は中央値を求めて、前記推定回転数とする点にある。
本発明の回転機械の回転数推定装置は、回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定装置であって、振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析手段と、前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析手段で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出手段と、前記ピークスペクトル周波数抽出手段で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のプログラムは、回転数が変化する回転機械の回転数を推定するためのプログラムであって、振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析処理と、前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析処理で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出処理と、前記ピークスペクトル周波数抽出処理で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転数が変化する回転機械の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定することができる。したがって、制御盤から回転数の情報を取り入れたり、回転機器に回転数センサを設置したりしなくても、振動診断装置で回転数を推定することが可能になり、コストダウンや信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る無線振動診断装置の機能構成を示す図である。
【図2】振動時系列波形と回転数変化と回転パルス波形とを示す特性図である。
【図3】第1、2の巻取ドラムの運転パターンを示す図である。
【図4】回転周波数の実数倍の高調波振動が発生しているFFT波形を示す特性図である。
【図5】歯車振動のFFT波形を示す特性図である。
【図6】回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを説明するための図である。
【図7】実施形態に係る無線振動診断装置による詳細な処理例を示すフローチャートである。
【図8】回転数の推定に使用する複数のFFT波形を計測するための周波数分析処理を示すフローチャートである。
【図9】回転数推定処理を示すフローチャートである。
【図10】カローゼルリール設備の概略構成を示す図である。
【図11】カローゼルリール設備の側面図である。
【図12】カローゼルリール設備の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
最初に、本実施形態において振動診断の対象とする回転機械としてカローゼルリール設備を説明する。図10はカローゼルリール設備の概略構成を示す。また、図11はカローゼルリール設備の側面図を、図12は平面図を示す。カローゼルリール設備は、2つの自転可能な巻取ドラム101、102を公転増速機103により公転させて、それぞれの巻取位置を交互に入れ替えることにより、搬送されるストリップを連続的に巻き取る。
【0011】
図10に示すように、第1の巻取ドラム101を回転させるための第1のモータ104と、第2の巻取ドラム102を回転させるための第2のモータ105とが減速機106に接続する。減速機106の出力軸107はアウタ及びインナを有する二重構造となっている。そして、第1のモータ104の出力は、減速機106内の歯車群106aを介して軸107(例えばアウタ軸)に伝達され、公転増速機103内の歯車群103aを介して第1の巻取ドラム101に伝達される。また、第2のモータ105の出力は、減速機106内の歯車群106aを介して軸107(例えばインナ軸)に伝達され、公転増速機103内の歯車群103aを介して第2の巻取ドラム102に伝達される。なお、歯車に記載した数字は歯数を表わす。
【0012】
このようなカローゼルリール設備において、公転部分である増速機103の振動診断を行うために、図11、12に示すように、第1の巻取ドラム101の回転軸を支持する軸受のケースに振動センサとして振動加速度センサ108が設置され、同じく第2の巻取ドラム102の回転軸を支持する軸受のケースに振動センサとして振動加速度センサ108が設置される。
【0013】
また、図11に示すように、公転する公転増速機103の側面に無線振動診断装置100が設置される。無線振動診断装置100は、振動加速度センサ108の信号をサンプリングし、詳しくは後述するが、その信号に対して振動診断に必要な周波数分析、回転数推定等の処理を実行し、その結果得たデータを外部機器にデジタル無線伝送する。
【0014】
また、公転増速機103の周囲には、非接触給電装置を構成する一対の給電器109aが径方向に対向するように配置される。そして、公転増速機103の適所には非接触給電装置を構成する受電器109bが配置されており、この受電器109bが無線振動診断装置100に接続する。公転増速機103が公転して、第1の巻取ドラム101が巻取位置にあるとき及び巻取ドラム102が巻取位置にあるときに、受電器109bが給電器109aに接近して無線振動診断装置100に電力が供給される。
【0015】
また、公転増速機103の適所には一対の測定センサ(近接スイッチ)110が配置される。これら測定センサ110と公転増速機103の周囲に配置されたターゲット111との関係により、無線振動診断装置100は、巻取ドラム101、102のうち巻取位置にある巻取ドラム(ストリップ巻取中のドラム)がいずれであるかを認識することができる。
【0016】
本実施形態のカローゼルリール設備では、図2に示すように、巻取ドラム101、102の回転数が時々刻々と変化する運転パターンを有する。すなわち、巻取中は巻取ドラムの回転数を緩やかに減少させ(測定区間A)、巻取終了後に回転数を急激に減少させる(測定区間B)。図3に示すように、この運転パターンを第1、2の巻取ドラム101、102で交互に繰り返す。
【0017】
以下、本実施形態に係る無線振動診断装置100の構成及び処理を説明する。本実施形態では、無線振動診断装置100が本発明を適用した回転数推定装置として機能する。
【0018】
図1に本実施形態に係る無線振動診断装置100の機能構成を示す。1は入力部であり、振動加速度センサ108の信号(カローゼルリール設備の軸受からの振動信号)が入力される。2は周波数分析部であり、入力部1に入力された振動加速度センサ108の信号を周波数分析してFFT波形を得る。
【0019】
3は回転数推定部であり、当該設備の推定回転数を算出する。図4はx軸(図4では紙面に水平に伸びる軸)に周波数、y軸(図4では紙面の前後に伸びる軸)に回転数、z軸に振幅をとったFFT波形を示す特性図である。回転機械の振動信号には、当該回転機械の回転周波数の実数倍(次数倍)の高調波振動が発生することがある。図4に示す例でも、回転周波数の実数倍の高調波振動が発生していることがわかる。回転数推定部3では、回転機械の振動信号には回転周波数の実数倍の高調波振動が発生する現象を利用して、この振動特性と予め観測して知り得る高調波振動の次数から回転周波数を算出し、当該設備の推定回転数を算出する。
【0020】
4は診断部であり、振動加速度センサ108から得られる振動値を回転数推定部3で推定した回転数で補正した上で、設備劣化による振動変化を判定する。5は出力部であり、診断部4での診断結果や回転数推定部3で推定した回転数等を外部機器にデジタル無線伝送する。他のハードウェアの構成として、カローゼルリール本体に設置する装置では周波数分析2までとしてFFTデータをデジタル無線伝送し、通信ネットワークに接続するコンピュータ等の外部機器に、回転数推定部3、診断部4、出力部5を持つ構成としてもよい。
【0021】
次に、本実施形態における回転数推定方法の概要を説明する。まず振動加速度センサ108から得られる振動値の絶対レベル及び振動値の変化率の閾値判定によって、測定した振動値が測定区間A(図2に示すように300rpm以上の回転状態)と測定区間B(図2に示すように300rpm未満の回転状態)のいずれのものであるかを推定する。そして、測定区間Aについて周波数分析データであるFFT波形を得る。図5(a)、(b)に、測定区間AのFFT波形の例を示す。図5(a)、(b)の横軸は周波数、縦軸は振幅である。解析条件は2kHz解析レンジ、400ライン、FFTアベレージングのオーバーラップ95%であり、周波数分解能は5Hzである。
【0022】
基本的な考え方は、当該設備の回転周波数の実数倍NのピークスペクトルSが観測される周波数バンドBを予め設定しておき、その周波数バンドB内のピークスペクトル周波数Sを抽出する。そして、ピークスペクトル周波数Sを実数倍Nで除して回転周波数frを算出し、当該設備の推定回転数を算出する。
【0023】
回転周波数に比例して変化するピークスペクトルが複数種類ある場合は、回転周波数の実数倍Niのピークスペクトルが観測される周波数バンドBiをそれぞれ予め設定しておき、各周波数バンドBi内のピークスペクトル周波数Siを抽出する。そして、ピークスペクトル周波数Siを実数倍Niで除して回転周波数friを算出し、当該設備の推定回転数を算出する。
【0024】
例えば図6に示すように、回転周波数のスペクトルが現れる範囲をBとする。本例において、当該設備の回転数の変動範囲は操業条件として設定された300〜500rpmであり(図2を参照)、回転周波数のスペクトルが現れる範囲Bは5.0〜8.3Hzとなる。
【0025】
そして、回転周波数のスペクトルが現れる範囲Bに基づいて、歯車噛合い周波数の1次が現れる周波数バンドをB1と定義し(次数N1=44)、歯車噛合い周波数の3次が現れる周波数バンドをB2と定義する(次数N2=44×3)。また、加振源は不明であるが、回転周波数に対して一定の実数倍でピークスペクトルが現れる場合があり、その周波数バンドをB3と定義する(図6の例では次数N3=335.5)。本例では、理論上は発生しうるピークスペクトル、例えば歯車噛合い周波数の2次や4次や5次が、実際に発生している歯車噛合い周波数の3次に比べて常に振幅が小さいことが事前に確認されており、それらの周波数バンドは設定しないこととしている。
【0026】
FFT波形を所定の時間間隔をおいて(例えば一定時間t秒ごとに)j回測定して、各タイミングでの周波数バンドBiのピークスペクトル周波数Sijを抽出し、実数倍Niで除して回転周波数frijを算出する。例えばj回測定データは、FFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目をバッファメモリに格納し、j=1〜3とする。
【0027】
ここでは、説明を簡単にするためにj=1、2までについて説明する。FFT16回アベレージングの1回目と8回目でのFFT波形の測定間隔(FFTアベレージングずらし時間)tは、
t=(400/2000)×0.05×(8−1)=0.07sec
である。
【0028】
FFT16回アベレージングの1回目と8回目で、ピークスペクトル周波数S11=250Hz、S21=810Hz、S12=245Hz、S22=805Hzを抽出した。したがって、ピークスペクトル周波数Sijを実数倍Niで除して回転周波数frijを算出すると、fr11=5.68Hz、fr21=6.14Hz、fr12=5.57Hz、fr22=6.10Hzとなる。
【0029】
次に、回転数変化率ΔREVij=(Si(j-1)−Sij)・60/Ni/t(=
(fri(j-1)−frij)・60/t)を演算する。そして、当該設備の回転数変化率の閾値(上下限値)を設備仕様又は操業条件から事前に把握しておき、回転数変化率判定を行う。回転数変化率ΔREVijは、
ΔREV12=(250−245)/44/0.07=1.623rpm/s
ΔREV22=(810−805)/(44×3)/0.07=0.541rpm/s
である。そして、当該設備で予め設定されている回転数変化率の閾値は上限値4rpm/s、下限値1rpm/sであり(図2を参照)、回転数変化率ΔREV12は上下限値内にあるが、回転数変化率ΔREV22は下限値から外れている。この場合、回転数変化率ΔREV22のパラメータであるピークスペクトル周波数S21、S22から推定される回転周波数fr21、fr22は破棄する。
【0030】
次に、回転数変化率判定で破棄されずに残った全ての回転周波数frijの平均値を求め、当該設備の回転周波数とする。ここでは、fr11=5.68Hzとfr12=5.57Hzの平均値である5.63Hzを当該設備の回転周波数として得る。そして、当該設備の回転周波数が得られれば、60を乗算することにより当該設備の推定回転数を算出することができる。なお、ここでは、破棄されずに残った全ての回転周波数frijの平均値を求めてから回転数を算出するとしたが、破棄されずに残った全ての回転周波数frijから回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値を求めるようにしてもよい。また、平均値を求めるとしたが、中央値を求めるようにしてもよい。
【0031】
上記の例では説明を簡単にするためにj=1、2までについて説明したが、j=3まで考えた場合、例えば上述したように回転数変化率ΔREV22は上下限値を外れるが、回転数変化率ΔREV23は上下限値内にあることも想定される。この場合は、回転周波数fr21だけを破棄し、回転周波数fr22、fr23は残す。すなわち、回転数変化率ΔREV23が上下限値内にあれば、その演算に使用するパラメータ(回転周波数fr22、fr23)は両方とも有効と考え、上下限値を外れた回転数変化率ΔREV22の演算に使用するパラメータ(回転周波数fr21、fr22)のうち一方(回転周波数fr21)に問題があると考える。
【0032】
図7〜9に、本実施形態に係る無線振動診断装置100による詳細な処理例を示す。ここでは、周波数レンジによって3段階に区分して管理する。上述した歯車噛合い周波数だけを考えれば、中周波数帯域(例えば3Hz〜10kHz)を対象とすればよいが、他の要因では低周波数帯域や高周波数帯域に回転周波数の実数倍のピークスペクトルが現れることもありうる。また、振動診断そのものには中周波数帯域だけでなく低周波数帯域や高周波数帯域の振動値を用いることもある。そこで、ここでは低〜高周波数帯域を取り扱うようにした処理を説明する。
【0033】
データ採取タイマがONの状態で(ステップS1)、測定センサ110により巻取ドラム101又は巻取ドラム102が巻取位置にあることが確認されると(ステップS2)、ステップS3に進む。ステップS3では、巻取位置にある巻取ドラムの振動加速度センサ108の信号(振動値V1)をサンプリングする。なお、図12に示すように、一つの巻取ドラムに複数の振動加速度センサ108が設置されている場合は、複数の振動加速度センサ108の信号を順次サンプリングする。
【0034】
次に、FFT波形を得るためのサンプリングと周波数分析を行う(ステップS4)。ステップS4の周波数分析処理の詳細は後述する。
【0035】
次に、区間判定を行うために、巻取位置にある巻取ドラムの振動加速度センサ108の信号(振動値V2)を再度サンプリングする(ステップS5)。そして、振動値V1及びV2が予め設定された閾値Vaより大きく(ステップS6)、かつ、振動値の変化率|V1−V2|が予め設定された閾値αより小さければ(ステップS7)、測定区間Aでの振動値であるとしてステップS8に進む。ステップS8では、振動値V1を周波数分析した結果を用いて回転数を推定する。ステップS8の回転数推定処理の詳細は後述する。なお、測定区間Bでの振動値であると判定された場合(ステップS6、S7)、及び、ステップS8で回転数が算出されなかった場合(ステップS9)、ステップS10に進んでリトライ処理する。
【0036】
ステップS8で回転数が算出された場合、振動値V1を、ステップS8で推定した回転数で補正した上で、設備劣化による振動変化を判定する。例えば平均振動値の回転数補正演算を行い、傾向管理グラフをプロットする(ステップS11、S12)。また、FFT異常周波数占有度演算を行い、異常確率演算を出力する(ステップS13、S14)。なお、振動診断自体については公知のものを利用すればよく、その内容は限定されるものではない。
【0037】
図8は、ステップS4の周波数分析処理を示すフローチャートである。振動加速度センサ108の信号(振動値V1)に対してアンチエリアジングフィルタ処理後(ステップS15)、A/D変換する(ステップS16)。
【0038】
そして、低周波数帯域のFFT波形を得るために、まず積分処理して速度換算する(ステップS17)。その後、低周波数帯域の周波数分析に必要な周波数レンジにリサンプリングし(ステップS18)、周波数分析(例えばFFT16回アベレージング)を行い(ステップS19、S20)、FFT波形を得る(ステップS21)。このとき、アベレージングに用いられるFFT波形、例えばFFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形をバッファメモリ50に格納する。
【0039】
また、中周波数帯域のFFT波形を得るために、中周波数帯域の周波数分析に必要な周波数レンジにリサンプリングし(ステップS22)、周波数分析(例えばFFT16回アベレージング)を行い(ステップS23、S24)、FFT波形を得る(ステップS25)。このとき、アベレージングに用いられるFFT波形、例えばFFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形をバッファメモリ50に格納する。
【0040】
また、高周波数帯域のFFT波形を得るために、まずハイパスフィルタ処理後(ステップS26)、包絡線処理を行う(ステップS27)。その後、高周波数帯域の周波数分析に必要な周波数レンジにリサンプリングし(ステップS28)、周波数分析(例えばFFT16回アベレージング)を行い(ステップS29、S30)、FFT波形を得る(ステップS31)。このとき、アベレージングに用いられるFFT波形、例えばFFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形をバッファメモリ50に格納する。
【0041】
図9は、ステップS8の回転数推定処理を示すフローチャートである。回転数推定処理では、ステップS4の周波数分析処理でバッファメモリ50に格納されたFFT波形(FFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形)を用いる。
【0042】
当該設備の回転周波数の実数倍Niのピークスペクトルが観測される周波数バンドBiを読み込む(ステップS32)。周波数バンドBiは図6に示したように予め設定されており、無線振動診断装置100に保持されている。そして、各周波数バンドBi内のピークスペクトル周波数Sijを抽出する(ステップS33)。これらステップS32、S33の処理を、すべての周波数バンド数i及び測定回数jについて繰り返す。
【0043】
そして、ピークスペクトル周波数Sijを実数倍Niで除して回転周波数frijを算出する(ステップS36)。
【0044】
次に、ステップS36で算出した回転周波数frijを用いて、回転数変化率ΔREVij=(Si(j-1)−Sij)・60/Ni/t=(fri(j-1)−frij)
・60/tを演算する(ステップS37)。そして、当該設備で予め設定されている回転数変化率の閾値(上限値ΔREVL、下限値ΔREVU)と比較して(ステップS38)、上下限値から外れた回転数変化率ΔREVijの回転周波数frijは破棄する(ステップS39)。この場合、既述したように、ある回転周波数frijを用いて2つの回転数変化率ΔREVijを演算したときに、
その両方が上下限値から外れていれば当該回転周波数frijを破棄するが、一方が上下限値内にあれば当該回転周波数frijを有効なものとする。
【0045】
次に、ステップS36で算出した回転周波数frijが全て破棄されていないか否かを判定する(ステップS40)。その結果、回転周波数frijが全て破棄されていなければ、破棄されずに残った全ての回転周波数(有効な回転周波数)frijから、当該設備の推定回転数を算出する(ステップS41)。すなわち、有効とされた全ての回転周波数frijの平均値又は中央値を求めて回転数を算出し、当該設備の推定回転数とする。或いは、有効とされた全ての回転周波数frijから回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値又は中央値を求めて、当該設備の推定回転数とする。一方、回転周波数frijが全て破棄されていれば、今回のループでは当該設備の推定回転数が算出できないとする(ステップS42)。
【0046】
以上述べたように、回転数が変化する回転機械(カローゼルリール設備)の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定することができる。したがって、制御盤から回転数の情報を取り入れたり、回転機器に回転数センサを設置したりする必要がなく、コストダウンや信頼性の向上を図ることができる。特に制御盤との配線が不要となることから、振動診断装置の設置場所の自由度が格段と高まり、本実施形態のように公転する公転増速機103に無線振動診断装置100を設置するようなレイアウトも可能となる。
【0047】
上述した無線振動診断装置100は、具体的には、演算処理を実行する中央処理装置であるCPU、演算プログラム、各種アプリケーションプログラム、データ等を記憶するROM(リードオンリーメモリ)、演算プログラムに基づいてCPUが処理を行うときに用いる作業領域であるRAM(ランダムアクセスメモリ)、演算結果等を保存するハードディスク等の記憶部等により構成される。
【符号の説明】
【0048】
1:入力部
2:周波数分析部
3:回転数推定部
4:診断部
5:出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定方法、装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
回転部分を有する回転機械の設備劣化等を監視する手法として、振動解析による振動診断が利用されている。回転数が変化する回転機械を振動診断する場合、例えば特許文献1にあるように、振動の測定と同時に回転数を測定し、振動値を回転数で補正することで、回転の変化による振動の増減を排除し、設備劣化による振動変化を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−218333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転数が変化する回転機械を振動診断装置によって振動診断する場合、従来は、振動診断装置のインタフェースに、回転機械に設置された振動センサの信号の他に、回転機械の制御盤から回転数の情報を取り出して入力している。すなわち、振動診断装置には、回転機械に設置された振動センサと、電気室等にある制御盤とが接続している。しかしながら、振動診断装置の設置場所等によっては、回転数の情報を入力する配線を省略するのが望ましい場合がある。特に制御盤と振動診断装置との配線距離が長くなる場合には、配線コストが高くなってしまう。
【0005】
また、制御盤から回転数の情報を取り入れるのではなく、回転機械に回転数センサを設置して、振動診断装置に接続する構成も考えられる。しかしながら、振動センサに加えて回転数センサも設置するのでは、コストが高くなってしまう。また、回転数センサは軸回転を検出するためのターゲットを取り付ける場合もあり、一般的に振動センサ等に比べて故障しやすく、信頼性に劣る場合が多い。さらに、回転機械の構造によっては、回転数センサを設置するのが困難な場合もある。
【0006】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、回転数が変化する回転機械の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回転機械の回転数推定方法は、回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定方法であって、前記回転機械の振動信号を振動センサで測定するステップと、前記振動センサで測定した振動信号を周波数分析する周波数分析ステップと、前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析ステップで周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出ステップと、前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の回転機械の回転数推定方法の他の特徴とするところは、前記周波数分析ステップでは、前記回転機械の時系列の振動信号を所定の時間間隔をおいて周波数分析し、前記ピークスペクトル周波数抽出ステップでは、前記周波数分析を行う各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出し、前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出した前記各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数に基づいて回転数変化率を求め、予め設定されている回転数変化率の閾値と比較することにより、前記回転数算出ステップで算出する回転周波数のうち有効な回転周波数を判定する回転数変化率判定ステップを行う点にある。
また、本発明の回転機械の回転数推定方法の他の特徴とするところは、前記回転数算出ステップでは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数の平均値又は中央値を求めて回転数を算出し、前記推定回転数とする、或いは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数から回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値又は中央値を求めて、前記推定回転数とする点にある。
本発明の回転機械の回転数推定装置は、回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定装置であって、振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析手段と、前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析手段で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出手段と、前記ピークスペクトル周波数抽出手段で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出手段とを備えたことを特徴とする。
本発明のプログラムは、回転数が変化する回転機械の回転数を推定するためのプログラムであって、振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析処理と、前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析処理で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出処理と、前記ピークスペクトル周波数抽出処理で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転数が変化する回転機械の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定することができる。したがって、制御盤から回転数の情報を取り入れたり、回転機器に回転数センサを設置したりしなくても、振動診断装置で回転数を推定することが可能になり、コストダウンや信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る無線振動診断装置の機能構成を示す図である。
【図2】振動時系列波形と回転数変化と回転パルス波形とを示す特性図である。
【図3】第1、2の巻取ドラムの運転パターンを示す図である。
【図4】回転周波数の実数倍の高調波振動が発生しているFFT波形を示す特性図である。
【図5】歯車振動のFFT波形を示す特性図である。
【図6】回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを説明するための図である。
【図7】実施形態に係る無線振動診断装置による詳細な処理例を示すフローチャートである。
【図8】回転数の推定に使用する複数のFFT波形を計測するための周波数分析処理を示すフローチャートである。
【図9】回転数推定処理を示すフローチャートである。
【図10】カローゼルリール設備の概略構成を示す図である。
【図11】カローゼルリール設備の側面図である。
【図12】カローゼルリール設備の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
最初に、本実施形態において振動診断の対象とする回転機械としてカローゼルリール設備を説明する。図10はカローゼルリール設備の概略構成を示す。また、図11はカローゼルリール設備の側面図を、図12は平面図を示す。カローゼルリール設備は、2つの自転可能な巻取ドラム101、102を公転増速機103により公転させて、それぞれの巻取位置を交互に入れ替えることにより、搬送されるストリップを連続的に巻き取る。
【0011】
図10に示すように、第1の巻取ドラム101を回転させるための第1のモータ104と、第2の巻取ドラム102を回転させるための第2のモータ105とが減速機106に接続する。減速機106の出力軸107はアウタ及びインナを有する二重構造となっている。そして、第1のモータ104の出力は、減速機106内の歯車群106aを介して軸107(例えばアウタ軸)に伝達され、公転増速機103内の歯車群103aを介して第1の巻取ドラム101に伝達される。また、第2のモータ105の出力は、減速機106内の歯車群106aを介して軸107(例えばインナ軸)に伝達され、公転増速機103内の歯車群103aを介して第2の巻取ドラム102に伝達される。なお、歯車に記載した数字は歯数を表わす。
【0012】
このようなカローゼルリール設備において、公転部分である増速機103の振動診断を行うために、図11、12に示すように、第1の巻取ドラム101の回転軸を支持する軸受のケースに振動センサとして振動加速度センサ108が設置され、同じく第2の巻取ドラム102の回転軸を支持する軸受のケースに振動センサとして振動加速度センサ108が設置される。
【0013】
また、図11に示すように、公転する公転増速機103の側面に無線振動診断装置100が設置される。無線振動診断装置100は、振動加速度センサ108の信号をサンプリングし、詳しくは後述するが、その信号に対して振動診断に必要な周波数分析、回転数推定等の処理を実行し、その結果得たデータを外部機器にデジタル無線伝送する。
【0014】
また、公転増速機103の周囲には、非接触給電装置を構成する一対の給電器109aが径方向に対向するように配置される。そして、公転増速機103の適所には非接触給電装置を構成する受電器109bが配置されており、この受電器109bが無線振動診断装置100に接続する。公転増速機103が公転して、第1の巻取ドラム101が巻取位置にあるとき及び巻取ドラム102が巻取位置にあるときに、受電器109bが給電器109aに接近して無線振動診断装置100に電力が供給される。
【0015】
また、公転増速機103の適所には一対の測定センサ(近接スイッチ)110が配置される。これら測定センサ110と公転増速機103の周囲に配置されたターゲット111との関係により、無線振動診断装置100は、巻取ドラム101、102のうち巻取位置にある巻取ドラム(ストリップ巻取中のドラム)がいずれであるかを認識することができる。
【0016】
本実施形態のカローゼルリール設備では、図2に示すように、巻取ドラム101、102の回転数が時々刻々と変化する運転パターンを有する。すなわち、巻取中は巻取ドラムの回転数を緩やかに減少させ(測定区間A)、巻取終了後に回転数を急激に減少させる(測定区間B)。図3に示すように、この運転パターンを第1、2の巻取ドラム101、102で交互に繰り返す。
【0017】
以下、本実施形態に係る無線振動診断装置100の構成及び処理を説明する。本実施形態では、無線振動診断装置100が本発明を適用した回転数推定装置として機能する。
【0018】
図1に本実施形態に係る無線振動診断装置100の機能構成を示す。1は入力部であり、振動加速度センサ108の信号(カローゼルリール設備の軸受からの振動信号)が入力される。2は周波数分析部であり、入力部1に入力された振動加速度センサ108の信号を周波数分析してFFT波形を得る。
【0019】
3は回転数推定部であり、当該設備の推定回転数を算出する。図4はx軸(図4では紙面に水平に伸びる軸)に周波数、y軸(図4では紙面の前後に伸びる軸)に回転数、z軸に振幅をとったFFT波形を示す特性図である。回転機械の振動信号には、当該回転機械の回転周波数の実数倍(次数倍)の高調波振動が発生することがある。図4に示す例でも、回転周波数の実数倍の高調波振動が発生していることがわかる。回転数推定部3では、回転機械の振動信号には回転周波数の実数倍の高調波振動が発生する現象を利用して、この振動特性と予め観測して知り得る高調波振動の次数から回転周波数を算出し、当該設備の推定回転数を算出する。
【0020】
4は診断部であり、振動加速度センサ108から得られる振動値を回転数推定部3で推定した回転数で補正した上で、設備劣化による振動変化を判定する。5は出力部であり、診断部4での診断結果や回転数推定部3で推定した回転数等を外部機器にデジタル無線伝送する。他のハードウェアの構成として、カローゼルリール本体に設置する装置では周波数分析2までとしてFFTデータをデジタル無線伝送し、通信ネットワークに接続するコンピュータ等の外部機器に、回転数推定部3、診断部4、出力部5を持つ構成としてもよい。
【0021】
次に、本実施形態における回転数推定方法の概要を説明する。まず振動加速度センサ108から得られる振動値の絶対レベル及び振動値の変化率の閾値判定によって、測定した振動値が測定区間A(図2に示すように300rpm以上の回転状態)と測定区間B(図2に示すように300rpm未満の回転状態)のいずれのものであるかを推定する。そして、測定区間Aについて周波数分析データであるFFT波形を得る。図5(a)、(b)に、測定区間AのFFT波形の例を示す。図5(a)、(b)の横軸は周波数、縦軸は振幅である。解析条件は2kHz解析レンジ、400ライン、FFTアベレージングのオーバーラップ95%であり、周波数分解能は5Hzである。
【0022】
基本的な考え方は、当該設備の回転周波数の実数倍NのピークスペクトルSが観測される周波数バンドBを予め設定しておき、その周波数バンドB内のピークスペクトル周波数Sを抽出する。そして、ピークスペクトル周波数Sを実数倍Nで除して回転周波数frを算出し、当該設備の推定回転数を算出する。
【0023】
回転周波数に比例して変化するピークスペクトルが複数種類ある場合は、回転周波数の実数倍Niのピークスペクトルが観測される周波数バンドBiをそれぞれ予め設定しておき、各周波数バンドBi内のピークスペクトル周波数Siを抽出する。そして、ピークスペクトル周波数Siを実数倍Niで除して回転周波数friを算出し、当該設備の推定回転数を算出する。
【0024】
例えば図6に示すように、回転周波数のスペクトルが現れる範囲をBとする。本例において、当該設備の回転数の変動範囲は操業条件として設定された300〜500rpmであり(図2を参照)、回転周波数のスペクトルが現れる範囲Bは5.0〜8.3Hzとなる。
【0025】
そして、回転周波数のスペクトルが現れる範囲Bに基づいて、歯車噛合い周波数の1次が現れる周波数バンドをB1と定義し(次数N1=44)、歯車噛合い周波数の3次が現れる周波数バンドをB2と定義する(次数N2=44×3)。また、加振源は不明であるが、回転周波数に対して一定の実数倍でピークスペクトルが現れる場合があり、その周波数バンドをB3と定義する(図6の例では次数N3=335.5)。本例では、理論上は発生しうるピークスペクトル、例えば歯車噛合い周波数の2次や4次や5次が、実際に発生している歯車噛合い周波数の3次に比べて常に振幅が小さいことが事前に確認されており、それらの周波数バンドは設定しないこととしている。
【0026】
FFT波形を所定の時間間隔をおいて(例えば一定時間t秒ごとに)j回測定して、各タイミングでの周波数バンドBiのピークスペクトル周波数Sijを抽出し、実数倍Niで除して回転周波数frijを算出する。例えばj回測定データは、FFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目をバッファメモリに格納し、j=1〜3とする。
【0027】
ここでは、説明を簡単にするためにj=1、2までについて説明する。FFT16回アベレージングの1回目と8回目でのFFT波形の測定間隔(FFTアベレージングずらし時間)tは、
t=(400/2000)×0.05×(8−1)=0.07sec
である。
【0028】
FFT16回アベレージングの1回目と8回目で、ピークスペクトル周波数S11=250Hz、S21=810Hz、S12=245Hz、S22=805Hzを抽出した。したがって、ピークスペクトル周波数Sijを実数倍Niで除して回転周波数frijを算出すると、fr11=5.68Hz、fr21=6.14Hz、fr12=5.57Hz、fr22=6.10Hzとなる。
【0029】
次に、回転数変化率ΔREVij=(Si(j-1)−Sij)・60/Ni/t(=
(fri(j-1)−frij)・60/t)を演算する。そして、当該設備の回転数変化率の閾値(上下限値)を設備仕様又は操業条件から事前に把握しておき、回転数変化率判定を行う。回転数変化率ΔREVijは、
ΔREV12=(250−245)/44/0.07=1.623rpm/s
ΔREV22=(810−805)/(44×3)/0.07=0.541rpm/s
である。そして、当該設備で予め設定されている回転数変化率の閾値は上限値4rpm/s、下限値1rpm/sであり(図2を参照)、回転数変化率ΔREV12は上下限値内にあるが、回転数変化率ΔREV22は下限値から外れている。この場合、回転数変化率ΔREV22のパラメータであるピークスペクトル周波数S21、S22から推定される回転周波数fr21、fr22は破棄する。
【0030】
次に、回転数変化率判定で破棄されずに残った全ての回転周波数frijの平均値を求め、当該設備の回転周波数とする。ここでは、fr11=5.68Hzとfr12=5.57Hzの平均値である5.63Hzを当該設備の回転周波数として得る。そして、当該設備の回転周波数が得られれば、60を乗算することにより当該設備の推定回転数を算出することができる。なお、ここでは、破棄されずに残った全ての回転周波数frijの平均値を求めてから回転数を算出するとしたが、破棄されずに残った全ての回転周波数frijから回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値を求めるようにしてもよい。また、平均値を求めるとしたが、中央値を求めるようにしてもよい。
【0031】
上記の例では説明を簡単にするためにj=1、2までについて説明したが、j=3まで考えた場合、例えば上述したように回転数変化率ΔREV22は上下限値を外れるが、回転数変化率ΔREV23は上下限値内にあることも想定される。この場合は、回転周波数fr21だけを破棄し、回転周波数fr22、fr23は残す。すなわち、回転数変化率ΔREV23が上下限値内にあれば、その演算に使用するパラメータ(回転周波数fr22、fr23)は両方とも有効と考え、上下限値を外れた回転数変化率ΔREV22の演算に使用するパラメータ(回転周波数fr21、fr22)のうち一方(回転周波数fr21)に問題があると考える。
【0032】
図7〜9に、本実施形態に係る無線振動診断装置100による詳細な処理例を示す。ここでは、周波数レンジによって3段階に区分して管理する。上述した歯車噛合い周波数だけを考えれば、中周波数帯域(例えば3Hz〜10kHz)を対象とすればよいが、他の要因では低周波数帯域や高周波数帯域に回転周波数の実数倍のピークスペクトルが現れることもありうる。また、振動診断そのものには中周波数帯域だけでなく低周波数帯域や高周波数帯域の振動値を用いることもある。そこで、ここでは低〜高周波数帯域を取り扱うようにした処理を説明する。
【0033】
データ採取タイマがONの状態で(ステップS1)、測定センサ110により巻取ドラム101又は巻取ドラム102が巻取位置にあることが確認されると(ステップS2)、ステップS3に進む。ステップS3では、巻取位置にある巻取ドラムの振動加速度センサ108の信号(振動値V1)をサンプリングする。なお、図12に示すように、一つの巻取ドラムに複数の振動加速度センサ108が設置されている場合は、複数の振動加速度センサ108の信号を順次サンプリングする。
【0034】
次に、FFT波形を得るためのサンプリングと周波数分析を行う(ステップS4)。ステップS4の周波数分析処理の詳細は後述する。
【0035】
次に、区間判定を行うために、巻取位置にある巻取ドラムの振動加速度センサ108の信号(振動値V2)を再度サンプリングする(ステップS5)。そして、振動値V1及びV2が予め設定された閾値Vaより大きく(ステップS6)、かつ、振動値の変化率|V1−V2|が予め設定された閾値αより小さければ(ステップS7)、測定区間Aでの振動値であるとしてステップS8に進む。ステップS8では、振動値V1を周波数分析した結果を用いて回転数を推定する。ステップS8の回転数推定処理の詳細は後述する。なお、測定区間Bでの振動値であると判定された場合(ステップS6、S7)、及び、ステップS8で回転数が算出されなかった場合(ステップS9)、ステップS10に進んでリトライ処理する。
【0036】
ステップS8で回転数が算出された場合、振動値V1を、ステップS8で推定した回転数で補正した上で、設備劣化による振動変化を判定する。例えば平均振動値の回転数補正演算を行い、傾向管理グラフをプロットする(ステップS11、S12)。また、FFT異常周波数占有度演算を行い、異常確率演算を出力する(ステップS13、S14)。なお、振動診断自体については公知のものを利用すればよく、その内容は限定されるものではない。
【0037】
図8は、ステップS4の周波数分析処理を示すフローチャートである。振動加速度センサ108の信号(振動値V1)に対してアンチエリアジングフィルタ処理後(ステップS15)、A/D変換する(ステップS16)。
【0038】
そして、低周波数帯域のFFT波形を得るために、まず積分処理して速度換算する(ステップS17)。その後、低周波数帯域の周波数分析に必要な周波数レンジにリサンプリングし(ステップS18)、周波数分析(例えばFFT16回アベレージング)を行い(ステップS19、S20)、FFT波形を得る(ステップS21)。このとき、アベレージングに用いられるFFT波形、例えばFFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形をバッファメモリ50に格納する。
【0039】
また、中周波数帯域のFFT波形を得るために、中周波数帯域の周波数分析に必要な周波数レンジにリサンプリングし(ステップS22)、周波数分析(例えばFFT16回アベレージング)を行い(ステップS23、S24)、FFT波形を得る(ステップS25)。このとき、アベレージングに用いられるFFT波形、例えばFFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形をバッファメモリ50に格納する。
【0040】
また、高周波数帯域のFFT波形を得るために、まずハイパスフィルタ処理後(ステップS26)、包絡線処理を行う(ステップS27)。その後、高周波数帯域の周波数分析に必要な周波数レンジにリサンプリングし(ステップS28)、周波数分析(例えばFFT16回アベレージング)を行い(ステップS29、S30)、FFT波形を得る(ステップS31)。このとき、アベレージングに用いられるFFT波形、例えばFFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形をバッファメモリ50に格納する。
【0041】
図9は、ステップS8の回転数推定処理を示すフローチャートである。回転数推定処理では、ステップS4の周波数分析処理でバッファメモリ50に格納されたFFT波形(FFT16回アベレージングの1回目と8回目と15回目のFFT波形)を用いる。
【0042】
当該設備の回転周波数の実数倍Niのピークスペクトルが観測される周波数バンドBiを読み込む(ステップS32)。周波数バンドBiは図6に示したように予め設定されており、無線振動診断装置100に保持されている。そして、各周波数バンドBi内のピークスペクトル周波数Sijを抽出する(ステップS33)。これらステップS32、S33の処理を、すべての周波数バンド数i及び測定回数jについて繰り返す。
【0043】
そして、ピークスペクトル周波数Sijを実数倍Niで除して回転周波数frijを算出する(ステップS36)。
【0044】
次に、ステップS36で算出した回転周波数frijを用いて、回転数変化率ΔREVij=(Si(j-1)−Sij)・60/Ni/t=(fri(j-1)−frij)
・60/tを演算する(ステップS37)。そして、当該設備で予め設定されている回転数変化率の閾値(上限値ΔREVL、下限値ΔREVU)と比較して(ステップS38)、上下限値から外れた回転数変化率ΔREVijの回転周波数frijは破棄する(ステップS39)。この場合、既述したように、ある回転周波数frijを用いて2つの回転数変化率ΔREVijを演算したときに、
その両方が上下限値から外れていれば当該回転周波数frijを破棄するが、一方が上下限値内にあれば当該回転周波数frijを有効なものとする。
【0045】
次に、ステップS36で算出した回転周波数frijが全て破棄されていないか否かを判定する(ステップS40)。その結果、回転周波数frijが全て破棄されていなければ、破棄されずに残った全ての回転周波数(有効な回転周波数)frijから、当該設備の推定回転数を算出する(ステップS41)。すなわち、有効とされた全ての回転周波数frijの平均値又は中央値を求めて回転数を算出し、当該設備の推定回転数とする。或いは、有効とされた全ての回転周波数frijから回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値又は中央値を求めて、当該設備の推定回転数とする。一方、回転周波数frijが全て破棄されていれば、今回のループでは当該設備の推定回転数が算出できないとする(ステップS42)。
【0046】
以上述べたように、回転数が変化する回転機械(カローゼルリール設備)の回転数を当該回転機械の振動信号を利用して推定することができる。したがって、制御盤から回転数の情報を取り入れたり、回転機器に回転数センサを設置したりする必要がなく、コストダウンや信頼性の向上を図ることができる。特に制御盤との配線が不要となることから、振動診断装置の設置場所の自由度が格段と高まり、本実施形態のように公転する公転増速機103に無線振動診断装置100を設置するようなレイアウトも可能となる。
【0047】
上述した無線振動診断装置100は、具体的には、演算処理を実行する中央処理装置であるCPU、演算プログラム、各種アプリケーションプログラム、データ等を記憶するROM(リードオンリーメモリ)、演算プログラムに基づいてCPUが処理を行うときに用いる作業領域であるRAM(ランダムアクセスメモリ)、演算結果等を保存するハードディスク等の記憶部等により構成される。
【符号の説明】
【0048】
1:入力部
2:周波数分析部
3:回転数推定部
4:診断部
5:出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定方法であって、
前記回転機械の振動信号を振動センサで測定するステップと、
前記振動センサで測定した振動信号を周波数分析する周波数分析ステップと、
前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析ステップと、
前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析ステップで周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出ステップと、
前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出ステップとを有することを特徴とする回転機械の回転数推定方法。
【請求項2】
前記周波数分析ステップでは、前記回転機械の時系列の振動信号を所定の時間間隔をおいて周波数分析し、
前記ピークスペクトル周波数抽出ステップでは、前記周波数分析を行う各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出し、
前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出した前記各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数に基づいて回転数変化率を求め、予め設定されている回転数変化率の閾値と比較することにより、前記回転数算出ステップで算出する回転周波数のうち有効な回転周波数を判定する回転数変化率判定ステップを行うことを特徴とする請求項1に記載の回転機械の回転数推定方法。
【請求項3】
前記回転数算出ステップでは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数の平均値又は中央値を求めて回転数を算出し、前記推定回転数とする、或いは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数から回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値又は中央値を求めて、前記推定回転数とすることを特徴とする請求項2に記載の回転機械の回転数推定方法。
【請求項4】
回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定装置であって、
振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析手段と、
前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析手段で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出手段と、
前記ピークスペクトル周波数抽出手段で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出手段とを備えたことを特徴とする回転機械の回転数推定装置。
【請求項5】
回転数が変化する回転機械の回転数を推定するためのプログラムであって、
振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析処理と、
前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析処理で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出処理と、
前記ピークスペクトル周波数抽出処理で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定方法であって、
前記回転機械の振動信号を振動センサで測定するステップと、
前記振動センサで測定した振動信号を周波数分析する周波数分析ステップと、
前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析ステップと、
前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析ステップで周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出ステップと、
前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出ステップとを有することを特徴とする回転機械の回転数推定方法。
【請求項2】
前記周波数分析ステップでは、前記回転機械の時系列の振動信号を所定の時間間隔をおいて周波数分析し、
前記ピークスペクトル周波数抽出ステップでは、前記周波数分析を行う各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出し、
前記ピークスペクトル周波数抽出ステップで抽出した前記各タイミングでの前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数に基づいて回転数変化率を求め、予め設定されている回転数変化率の閾値と比較することにより、前記回転数算出ステップで算出する回転周波数のうち有効な回転周波数を判定する回転数変化率判定ステップを行うことを特徴とする請求項1に記載の回転機械の回転数推定方法。
【請求項3】
前記回転数算出ステップでは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数の平均値又は中央値を求めて回転数を算出し、前記推定回転数とする、或いは、前記回転数変化率判定ステップで有効とされた全ての回転周波数から回転数をそれぞれ算出し、それら全ての回転数の平均値又は中央値を求めて、前記推定回転数とすることを特徴とする請求項2に記載の回転機械の回転数推定方法。
【請求項4】
回転数が変化する回転機械の回転数を推定する回転機械の回転数推定装置であって、
振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析手段と、
前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析手段で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出手段と、
前記ピークスペクトル周波数抽出手段で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出手段とを備えたことを特徴とする回転機械の回転数推定装置。
【請求項5】
回転数が変化する回転機械の回転数を推定するためのプログラムであって、
振動センサで測定した前記回転機械の振動信号を周波数分析する周波数分析処理と、
前記回転機械の回転周波数の実数倍のピークスペクトルが観測される周波数バンドを予め設定しておき、前記周波数分析処理で周波数分析した結果から、前記周波数バンド内のピークスペクトル周波数を抽出するピークスペクトル周波数抽出処理と、
前記ピークスペクトル周波数抽出処理で抽出したピークスペクトル周波数を前記実数倍で除して回転周波数を算出し、前記回転機械の推定回転数を算出する回転数算出処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−196944(P2011−196944A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66751(P2010−66751)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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