説明

回転機構及び該回転機構を用いたテープフィーダ

【課題】 駆動源の動力を回転体に対して、精度良く安定的に伝達できる上、回転体が受ける回転抵抗や衝撃等を軽減して回転体をスムーズに回転させる。
【解決手段】 駆動源20の動力を回転体40に伝達して該回転体40を回転させるようにした回転機構であって、静止した際の前記回転体40に周方向の遊びを有する回転機構において、前記回転体40に全周にわたる環状係合部41が設けられ、前記環状係合部41の周囲の不動部位には、前記回転体40と略平行に回転可能にローラ部材62が支持され、前記ローラ部材62は、付勢部材63の付勢力により前記環状係合部41の外周部に押圧されるとともに、その押圧方向pを前記回転体40の中心軸からそらすように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の駆動によって回転体を回転させるようにした回転機構に関し、特に、電子部品を装着したテープをスプロケットによって繰り出すようにしたテープフィーダに用いるのに好適な回転機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に搭載するための手段として、電子部品を装着したテープをテープフィーダによってピッチ送りし、ピッチ送りされたテープ上の電子部品を、移載装置によって吸着して基板上に載せ替えるようにしたものが広く実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、前記した従来のテープフィーダには、前記テープを繰出すためのスプロケットに回転力を伝達する機構として、互いに噛み合う複数の歯車により回転力を伝達する動力伝達機構を用いるものがある。このような動力伝達機構においては、互いに噛み合う歯車をスムーズに回転させるために、これら歯車間には、バックラッシュと呼称される遊び(隙間)が設けられる。
このため、前記複数の歯車を停止した際、前記スプロケットには、前記バックラッシュに起因する周方向のがたつきを生じ、このがたつきに起因して、停止位置にばらつきを生じたり、再始動時に応答遅れを生じたり等する場合がある。
そこで、前記バックラッシュによるがたつきを解消する一手段として、例えば、前記スプロケットを所定ピッチ回転させる毎に、前記スプロケットと一体の歯車に、ストッパ爪を係合状態から係脱させることが提案される(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、単にストッパ爪を歯車に係合及び係脱させる構造によれば、スプロケットと一体の歯車(回転体)がストッパ爪の係合による抵抗や衝撃を受けて、スプロケットの回転がスムーズに行われなかったり、スプロケットに振動が伝達したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−243563号公報
【特許文献2】特開2011−23512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、駆動源の動力を回転体に効率よく安定的に伝達できる上、回転体が受ける回転抵抗や衝撃等を軽減して回転体をスムーズに回転させることができる回転機構及び該回転機構を用いたテープフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための技術的手段は、駆動源の動力を回転体に伝達して該回転体を回転させるようにした回転機構であって、静止した際の前記回転体に周方向の遊びを解消する手段を有する回転機構において、前記回転体に全周にわたる環状係合部が設けられ、前記環状係合部の周囲の不動部位には、前記回転体と略平行に回転可能にローラ部材が支持され、前記ローラ部材は、付勢手段の付勢力により前記環状係合部の外周部に押圧されるとともに、その押圧方向を前記回転体の中心軸からそらすように設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
ローラ部材が付勢手段に付勢されて環状係合部の外周部に押圧されるとともに、その押圧方向が回転体の中心軸からそれているため、回転体を、常時、周方向の一方に付勢して、周方向の遊びを解消することができる。
したがって、回転体が周方向の遊びによってがたつくのを防止することができる。
しかも、回転体の環状係合部に押圧されるローラ部材が回転可能であるため、回転体がローラ部材から受ける抵抗や衝撃を、従来のストッパ爪を用いた場合と比較して、小さくすることができる。
よって、駆動源の動力を回転体に効率良く安定的に伝達できる上、回転体が受ける回転抵抗や衝撃等を軽減して回転体をスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る回転機構(テープフィーダ)の一例を示す側面図である。
【図2】図1におけるII部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための第一の形態では、駆動源の動力を回転体に伝達して該回転体を回転させるようにした回転機構であって、静止した際の前記回転体に周方向の遊びを有する回転機構において、前記回転体に全周にわたる環状係合部が設けられ、前記環状係合部の周囲の不動部位には、前記回転体と略平行に回転可能にローラ部材が支持され、前記ローラ部材は、付勢手段の付勢力により前記環状係合部の外周部に押圧されるとともに、その押圧方向を前記回転体の中心軸からそらすように設けられる。
【0011】
また、第二の形態では、前記押圧方向が、前記回転体の回転方向に対向するように、前記回転体の中心軸からそれている。
この形態によれば、特に、停止中の回転体が再始動する際の応答遅れを効果的に解消することができる。
【0012】
また、第三の形態では、前記環状係合部と前記ローラ部材を、互いに噛み合う歯車状に形成した。
この形態によれば、環状係合部とローラ部材との間に滑りが生じるのを防止することができ、ひいては、回転体を周方向の一方に効果的に付勢することができる。
【0013】
また、第四の形態では、先端側を前記環状係合部の外周部に接近離間するように基端側が不動部位に支持された揺動部材を備え、該揺動部材の先端側に前記ローラ部材を回転可能に支持し、前記付勢手段として、前記揺動部材を前記押圧方向に沿って揺動させる付勢部材を設けた。
この形態によれば、ローラ部材を環状係合部の外周部に対し押圧する構成を、簡素で生産性の良好な具体的構造とすることができる。
【0014】
また、第五の形態では、前記揺動部材の支点を、前記ローラ部材を基準に、前記回転体の回転方向に対する反対側に配置した。
仮に、揺動部材の支点を、ローラ部材を基準に、回転体の回転方向側に配置した場合には、ローラ部材が回転体に食付いて、停止中の回転体を再始動する際の抵抗が大きくなるおそれがある。しかしながら、前記第五の形態によれば、前記のような問題を解消し、停止中の回転体が再始動した際には、揺動部材を離間方向へスムーズに離間させることができる。
【0015】
第六の形態では、前記駆動源が回転式電動機であり、該回転式電動機から前記回転体に回転力を伝達する複数の歯車を備え、前記回転体における周方向の遊びは、互いに噛み合う前記歯車間のバックラッシュによるものとする。
この形態によれば、歯車間のバックラッシュによるがたつきを解消し、回転体の停止位置にがたつきを生じたり、再始動時に応答遅れを生じたりすることを、効果的に防止することができる。
【0016】
第七の形態では、前記回転体と一体的に回転するスプロケットを備え、テープをこのスプロケットの外周部に係合させて、前記テープを送ることができるテープフィーダを構成する。
この形態によれば、駆動源の動力をスプロケットに安定的に伝達することができ、ひいては、テープ送りを高精度に制御可能なテープフィーダを提供することができる。
【0017】
以下、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明に係る回転機構を用いて、電子部品を装着したテープTを繰出すテープフィーダを構成したものである。
このテープフィーダは、基体10と、該基体10に固定された駆動源20と、該駆動源20の動力を互いに噛み合う複数の歯車によって伝達する動力伝達機構30と、該動力伝達機構30に伝達される回転力によって回転する回転体40と、該回転体40と一体的に回転するように設けられてテープTを繰出すスプロケット50と、回転体40を回転方向に対する逆方向(図示例によれば時計方向)へ付勢する回転体付勢機構60とを備える。
【0019】
基体10は、例えば金属製等の剛性材料から平板状に形成され、その一方の面に、後述する駆動源20、動力伝達機構30、回転体40、スプロケット50、回転体付勢機構60等を支持している。
【0020】
駆動源20は、回転式電動機であり、本実施例では、所定の回転角度毎に発停するように制御されたブラシレスDCモータが用いられる。この駆動源20の他例としては、ブラシ付DCモータや、ステッピングモータ、空圧モータ等とすることも可能である。
【0021】
動力伝達機構30は、複数の歯車の噛み合わせによって、駆動源20の駆動軸の回転数を減速して、回転体40に伝達する機構である。複数の歯車の大きさ、個数、組み合わせ等は、図示例のものに限定されず、駆動源20の回転数やトルク、テープTの送り速度等に応じて適宜に設定される。
【0022】
回転体40は、基体10に対し、回転軸40aを介して双方向へ回転自在となるように支持される。この回転体40は、該回転体40の外周側(図示例によれば外周面)に全周にわたって設けられた歯車状の環状係合部41が、動力伝達機構30における反駆動源側の歯車31に噛み合わせられることで、一方向(図示例によれば反時計方向)へ回転する。環状係合部41には、前記歯車31以外に、後述する歯車状のローラ部材62が噛み合わせられる。
【0023】
なお、図示例では、簡素で好ましい形態として、同一の環状係合部41に対し、歯車31とローラ部材62の両方が係合するようにしたが、他例としては、直径の異なる二つの環状係合部を設け、それぞれの環状係合部に歯車31とローラ部材62を別々に係合させるようにしてもよい。
【0024】
前記回転体40の歯車状の環状係合部41と、該環状係合部41に噛み合う歯車31との間や、動力伝達機構30を構成する他の複数の歯車における隣り合う歯車間には、これら両歯車をスムーズに噛み合わせて回転させるために所謂バックラッシュが設けられている。
このバックラッシュは、例えば、図2に示すように、回転体40の歯車状の環状係合部41と、該環状係合部41に噛み合う歯車31との間において、環状係合部41側で周方向に隣り合う二つの歯部41a1,41a2の間に、歯車31側の一つの歯部31aを嵌め合せた場合に、前記二つの歯部41a1,41a2における反回転方向側(図2によれば下側)の歯部41a1と、歯車31側の一つの歯部31aとの間に形成される隙間S(遊び)である。
なお、前記バックラッシュは、前記と同様にして、環状係合部41と歯車31の間以外にも、動力伝達機構30を構成する複数の歯車間に形成される。本実施例の回転機構は、環状係合部41と歯車31を含む複数の歯車間のバックラッシュ、あるいは、これらバックラッシュが積算されて前記二つの歯部41a1,41a2間に隙間Sとして形成されたバックラッシュを解消しようとするものである。
【0025】
また、スプロケット50は、回転体40と一体的に回転するように、回転体40の軸方向に並んで、回転体40と同軸に設けられる。このスプロケット50の外周部には、テープTの複数の被係合孔(図示せず)に係合するように、周方向に所定間隔を置いて複数の歯部51aが設けられる。
このスプロケット50と回転体40を一体的に回転する具体的構造は、例えば、スプロケット50を回転体40の側面に固定した態様や、スプロケット50と回転体40とを一体成形した態様、同一の回転軸40aに対しスプロケット50及び回転体40の双方を固定した態様等とすればよい。
【0026】
また、回転体付勢機構60は、先端側を回転体40の環状係合部41の外周部に接近離間させるように、基端側が基体10(不動部位)に支持された揺動部材61と、揺動部材61の先端側に回転可能に支持されたローラ部材62と、揺動部材61を押圧方向pに沿って揺動するように付勢する付勢部材63(付勢手段)とを備える。
【0027】
揺動部材61は、基端側が基体10に対し回転自在に支持されるとともに、その先端側(換言すれば自由端側)に、ローラ部材62を回転自在に支持している。
この揺動部材61における基端側の支点61aは、揺動部材61先端側のローラ部材62の支持点を基準に、回転体40の回転方向に対する反対側(図1によればローラ部材62よりも左寄り側)に配置される。ここで、前記回転方向とは、回転体40の外周部とローラ部材62の外周部との接点における回転体40の回転方向を意味する。前記支点61aは、より詳細に説明すれば、回転体40の中心とローラ部材62の中心とを結ぶ仮想直線cを境にして、前記回転方向側に対する逆方向側に位置する。
【0028】
付勢部材63は、揺動部材61の支点61a部分にコイル状に巻かれたねじりばねであり、その一端側を基体10に係止するとともに、その他端側を揺動部材61に固定し、揺動部材61の先端側のローラ部材62が環状係合部41に押圧されるように付勢している。
【0029】
付勢部材63の係止構造について詳細に説明すれば、図1に示すように、基体10における揺動部材61の下方側には、所定間隔置きに複数(図示例によれば3つ)の突起11,12,13が設けられ、これらの突起に、選択的に付勢部材63の一端側が係止されることで、付勢部材63の付勢力を適宜に調整できるようにしている。
例えば、図1に示す一例によれば、突起12に、付勢部材63の前記一端側が挿入係止されているが、付勢部材63の前記一端側を突起13に挿入すれば、付勢部材63の付勢力を弱めるとともに、環状係合部41に対するローラ部材62の押圧力を弱めることができる。
【0030】
また、ローラ部材62は、揺動部材61の先端側において外周部が回転体40側へ突出するように配置され、回転体40の中心軸と略平行な軸部材62aを介して、揺動部材61に回転自在に支持されている。
このローラ部材62の外周部は、回転体40の歯車状の環状係合部41に対し噛み合う歯車状に形成される。このローラ部材62の材質は、本実施例によれば、金属材料や、硬質の合成樹脂材料、セラミック等の剛性材料とされるが、他例としては、ゴムや、軟質の剛性樹脂材料とすることも可能である。
そして、このローラ部材62は、揺動部材61と共に付勢部材63によって付勢されることで、回転体40の環状係合部41に押圧される。この押圧方向p(図1の二点鎖線参照)は、揺動部材61及びローラ部材62を適宜に配置することで、回転体40の回転方向(図示例によれば反時計方向)に対向して、回転体40の中心軸(詳細には回転軸40aの中心部)からそれるようになっている。
換言すれば、押圧方向pは、回転体40の中心とローラ部材62の中心を結ぶ仮想直線c(図1参照)に対し傾斜し、且つ、回転体40の回転方向に対向する方向となり、図1に示す一例によれば、この押圧方向pの延長線は、回転体40の若干左側にずれている。
【0031】
上記構成の回転体付勢機構60によれば、前記したように、回転体40の回転方向に対向するようにして、回転体40にローラ部材62が押し付けられるため、
回転体40には、逆回転方向(図1によれば時計方向)の付勢力が作用することになる。この付勢力は、付勢部材63の弾発力の加減によって調整が可能である。すなわち、付勢部材63の弾発力を強くすれば前記逆回転方向の付勢力を増加することができ、逆に付勢部材63の弾発力を弱くすれば前記逆回転方向の付勢力を減少することができる。
ここで、回転体40の中心軸と軸部材62aとの略平行な関係は、ローラ部材62が回転体40を押圧することを妨げない範囲内にあればよい。
【0032】
なお、本実施例では、ローラ部材62は、揺動部材61に固定された軸部材62aに対し、ほぼ回転自在となるように環状に装着されているが、必要に応じて、このローラ部材62と軸部材62aの間の摩擦力を調整して、ローラ部材62に適宜な回転抵抗を加えるようにしてもよい。つまり、この回転抵抗を増加することで、前記逆回転方向の付勢力を増加することも可能である。
【0033】
次に、上記構成のテープフィーダについて、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
駆動源20の駆動軸が回転すると、その回転力は、動力伝達機構30により回転体40に伝達される。より詳細には、動力伝達機構30における反駆動源側の歯車31に、回転体40の環状係合部41が噛み合って、回転体40が回転する。この際、環状係合部41と歯車31の間には、上述したように、バックラッシュによる隙間Sが形成されるとともに(図2参照)、環状係合部41における隣り合う歯部41a1,41a2のうちの回転方向側(図2によれば上側)の歯部41a2に対し、歯車31側の一つの歯部31aが当接する。
【0034】
回転体40の回転中及び停止中、環状係合部41の外周部に、ローラ部材62が付勢部材63に付勢されて押圧されるとともに、その押圧方向pが、回転体40の回転方向に対向するように、回転体40の中心軸からずれているため、回転体40は、回転体付勢機構60によって、逆回転方向(図示例によれば時計方向)の付勢力を受けることになる。
したがって、駆動源20が停止した際においても、回転体40は、前記逆回転方向の付勢力を受けるため、環状係合部41における隣り合う歯部41a1,41a2のうちの回転方向側(図2によれば上側)の歯部41a2を、歯車31側の一つの歯部31aが当接させた状態、すなわち回転中と同じように周方向のがたつきのない状態を維持して停止する。
【0035】
また、回転体40が停止状態から始動する際には、前記のようにがたつきのない状態からの始動であるため、その始動に応答遅れを生じることがない。しかも、その始動の際、ローラ部材62が回転体40の環状係合部41に沿って転動するとともに、揺動部材61が、環状係合部41から受ける反力により回転体40から離間する方向へ微動するため、回転体40は、ローラ部材62から回転抵抗や衝撃等をほとんど受けることなく、スムーズに始動し、回転する。
【0036】
よって、駆動源20の発停を所定時間置きに繰り返すことで、テープTをピッチ送りする制御においては、停止時に回転体40及びスプロケット50の停止位置がばらつき、テープTの1ピッチあたりの送り量がばらつくようなこと防ぐことができ、前記送り量を高精度に維持することができる。
【0037】
なお、上記実施例によれば、特に好ましい態様として、回転体40及びローラ部材62を歯車状に形成したが、他例としては、回転体40及びローラ部材62を、互いに外周面を接触させて転動し合う摩擦車状に形成することも可能である。
【0038】
また、上記実施例によれば、特に好ましい態様として、押圧方向pを、回転体40の回転方向に対向するように回転体40の中心軸からそらすようにしたが、他例として、上記回転機構の用途や制御態様等によっては、押圧方向pを、回転体40の回転方向に沿うように回転体40の中心軸からそらした構成(すなわち、図1によれば、押圧方向pを回転軸40aの右側にそらした構成)とすることも可能であり、この他例においても、回転体40が停止時に周方向へがたつくのを防止することができる。
【0039】
また、上記実施例によれば、特に好ましい態様として、揺動部材61の支点61aを、ローラ部材62を基準に、回転体40の回転方向に対する反対側に配置したが、他例としては、揺動部材61の支点61aを、ローラ部材62を基準に、回転体40の回転方向側(図1によれば、ローラ部材62の右側)に配置することも可能である。
【0040】
また、上記実施例によれば、揺動部材61を押圧方向pに沿って揺動するように付勢する付勢手段として、ねじりばねである付勢部材63を設けたが、前記付勢手段の他例としては、揺動部材61をゼンマイによって付勢する態様や、揺動部材61を板バネによって付勢する態様、揺動部材61を引張バネ又は圧縮バネによって付勢する態様、揺動部材61を自重又は錘体の重量によって付勢する態様等とすることも可能である。
【0041】
また、上記実施例によれば、揺動部材61を介してローラ部材62を揺動させる構造としたが、他例としては、揺動部材61を省き、基体10に、押圧方向pに沿うガイド部(具体的には押圧方向pに沿う図示しない長穴等)を設け、このガイド部にローラ部材62の支持軸を係合させて、ローラ部材62を押圧方向pに沿って往復動可能に保持するとともに、該ローラ部材62を付勢手段(例えば、引張バネや圧縮バネ、板バネ、自重等)によって付勢して環状係合部41に押し付けるようにすることも可能である。
【0042】
また、上記によれば、回転体40の回転方向のがたつきが歯車間のバックラッシュに起因するものとしたが、上記実施例は、回転体40のがたつきが、駆動源20であるモータの特性によるものや、その他の駆動源側の特性に起因するものであっても、その回転体40のがたつきを解消することができる。
【0043】
また、上記実施例では、駆動源20の回転力を回転体40に伝達する手段として、複数の歯車からなる動力伝達機構30を用いたが、他例としては、ベルトとプーリからなる動力伝達機構によって駆動源20の回転力を回転体40に伝達する態様や、回転体40を駆動源20によって直接駆動する態様等とすることも可能である。
【0044】
また、上記実施例では、回転体40を回転させる構造として回転式の駆動源20を用いたが、他例としては、電磁ソレノイドで往復動するプランジャーにより回転体40を所定角度づつ回転させる機構や、リニアモータの直線的駆動力を回転力に変換し該回転力によって回転体40を回転させる機構等を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10:基体(不動部位)
20:駆動源
30:動力伝達機構
40:回転体
41:環状係合部
50:スプロケット
60:回転体付勢機構
61:揺動部材
62:ローラ部材
63:付勢部材(付勢手段)
p:押圧方向
S:隙間(遊び)
T:テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の動力を回転体に伝達して該回転体を回転させるようにした回転機構であって、静止した際の前記回転体に周方向の遊びを解消する手段を有する回転機構において、
前記回転体に全周にわたる環状係合部が設けられ、前記環状係合部の周囲の不動部位には、前記回転体と略平行に回転可能にローラ部材が支持され、
前記ローラ部材は、付勢手段の付勢力により前記環状係合部の外周部に押圧されるとともに、その押圧方向を前記回転体の中心軸からそらすように設けられることを特徴とする回転機構。
【請求項2】
前記押圧方向が、前記回転体の回転方向に対向するように、前記回転体の中心軸からそれていることを特徴とする請求項1記載の回転機構。
【請求項3】
前記環状係合部と前記ローラ部材を、互いに噛み合う歯車状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の回転機構。
【請求項4】
先端側を前記環状係合部の外周部に接近離間するように基端側が不動部位に支持された揺動部材を備え、該揺動部材の先端側に前記ローラ部材を回転可能に支持し、前記付勢手段として、前記揺動部材を前記押圧方向に沿って揺動させる付勢部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の回転機構。
【請求項5】
前記揺動部材の支点を、前記ローラ部材を基準に、前記回転体の回転方向に対する反対側に配置したことを特徴とする請求項4記載の回転機構。
【請求項6】
前記駆動源が回転式電動機であり、該回転式電動機から前記回転体に回転力を伝達する複数の歯車を備え、前記回転体における周方向の遊びは、互いに噛み合う前記歯車間のバックラッシュによるものであることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の回転機構。
【請求項7】
前記回転体と一体的に回転するスプロケットを備え、テープをこのスプロケットの外周部に係合させて、前記テープを送ることができる構造であることを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載の回転機構を用いたテープフィーダ。

【図1】
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【図2】
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