説明

回転玩具

【課題】導体パターンや接触子を用いた機械的接触から、電磁誘導作用を用いて電力供給することにより、無接点で安全な回転玩具を供給することを目的とする。
【解決手段】モータMを備えた回転玩具において、そのモータに電力を供給する送電部10と電力を受電する受電部20を備え、非接触で電力送受電してなることを特徴とする。
また、モータMに電力を供給する送電コイルL1と送電回路を備えた送電部20と電力を受電する受電コイルL2と共振整流平滑回路である共振コンデンサと整流平滑回路とを備えた受電部20とを備え、送電コイルL1および受電コイルL2を回転軸部2に設け、非接触で電力送受電してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する玩具に無接点で電力を供給する回転玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
回転する玩具としてプラスチックモデル等の飛行機や自動車の玩具が多種多様のものが市場に提供されていて広範な年齢層の人に広く愛用されている。しかしながら、これらの玩具の電源供給源は一般家庭用電源(AC100V)や一般家庭用電源でで充電した充電用二次電池を用いてモーター等を動かして走行させるか、又は、プロペラを回転させて動かしている。また、無接点で電力を供給する方法としては充電用二次電池を充電する特許文献1が公開されている。しかし、充電用二次電池または乾電池を用いた場合、使用時間が短く、交換しなければならないという煩わしさが常にある。さらに、玩具側はその分重くなる。そこで、充電用二次電池または乾電池を用いないで一般家庭用電源を用いた回転玩具が好まれる。一般家庭用電源を用いて、交流を直流に変換しその出力を導体パターンと接触子とを組み合わせたものを図1に示す。
【0003】
図1は自動車を模型とした玩具の回転玩具を示す。図1(a)は回転玩具の正面図であり、図1(b)は回転玩具の上面図を示す。
図1に示すように、家庭用AC電原を直流に変換すると共にモータが必要とする電圧に変換する電源部を内蔵したテーブル4と、電源部からの電気を回転軸部2で受け、玩具3に内蔵したモーターにより車輪を動かして回転軸部2を中心に回転させる。また、玩具の内部にはモータだけでなく光や音を発する機構を内蔵させることにより、回転しながら光や音を楽しむことができる。
【0004】
図2は回転玩具の玩具3に搭載されたモーターに電気を供給する軸受け部2を示す。図2(a)は接点部の上面図であり、図2(b)は接点部の断面図を示す。
図2より、導体パターン8と接触子9との関係は、回転が可能なように回転軸2aを中心にリング上の2本の導体パテーン8、8(+電極あるいはー電極)が設けられており、2つの導体パターン8、8の表面を2つ接触子9、9が接触することにより回転しながら電気を伝導する。
【0005】
【特許文献1】特開平9−121481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、導体パターンと接触子との電気的接続では、接点における導体パターンおよび接触子の摩耗、金属酸化、あるいは、ゴミや油の付着による接触不完全となることがある。また、接触部の接触不完全は摩擦による異常な発熱を生じる問題がある。
【0007】
こうした問題点を解決するために、本発明は、導体パターンや接触子を用いた機械的接触から、電磁誘導作用を用いて電力供給することにより、無接点で安全な回転玩具を供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る回転玩具は、モータを備えた回転玩具において、そのモータに電力を供給する送電部と電力を受電する受電部を備え、非接触で電力送受電してなることを特徴とする。また、モータに電力を供給する送電コイルと送電回路を備えた送電部と電力を受電する受電コイルと共振整流平滑回路である共振コンデンサと整流平滑回路とを備えた受電部とを備え、送電コイルおよび受電コイルを回転軸部に設け、非接触で電力送受電してなることを特徴とする。
【0009】
そして、前記送電コイルおよび前記受電コイルのいずれか一方もしくは両方に空心コイルを用い、前記回転軸部はその先端部を支点として回転させたことを特徴とする。
さらにまた、前記送電コイルおよび前記受電コイルに空心コイルを用い、前記回転軸部はその先端部を軸受けガイド孔に挿入し回転させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る回転玩具によると、送電コイルおよび受電コイルの電磁誘導作用を用いて電力供給することにより、無接点で安全な回転玩具を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図3から図9を用いて本発明の回転玩具について詳細に説明する。
本発明の回転玩具の一実施例では、図1に示した自動車を模型とした回転玩具について説明する。
【0012】
図3は本発明の回転玩具に用いた説明のための回路ブロックである。
図3において、送電部10は、一般家庭用電源(AC)から直流に変換した電源BをスイッチSを介してスイッチング回路を用いた送電回路Pと、送電回路Pと直列に送電コイルL1が接続されている。
受電部20は、送電コイルL1と対向して受電コイルL2が配置されており、その出力は玩具3(図1参照)に内蔵した受電コイルL2と並列に接続される共振コンデンサ、整流回路、平滑回路からなる共振整流平滑回路(図示せず)とモータMから成る。また、玩具3はモータMの回転駆動力を車輪に伝えて回転するものである。
なお、図1では、車輪を動かすモータのみを記載したが、モータだけでなく、LED等を用いた発光やスピーカによる動作音を発する機構を内蔵するとさらに楽しみが増す。
【0013】
図4は、テーブル4と玩具3とアーム1に設けた回転軸部を示す説明図である。
図4に示すように、玩具3を回転させるアーム1を介して回転軸部2の先端部2aとテーブル4の軸受け部4aを支点とし玩具3を回転させるものである。このとき、テーブル4の上面に接触するアーム1で連結された複数の玩具3の車輪と回転軸部2の高さXのバランスをとることが重要である。
【0014】
図5、図6、図7は、図4に示した構成の送電コイルと受電コイルの位置関係を示す断面図である。
図5は、送電コイルL1と受電コイルL2に空心コイルを用いた第1の実施例を示す。
図5において、受電部20は、玩具3を連結したアーム1の中心部に第1の凹部2bを設け、その第1の凹部2bの内部に受電コイルL2を収納したものである。なお、第1の凹部2bの外側底面中心部に回転軸となる突起2cが設けてある。
そして、送電部10は、テーブル4の中心部にアーム1の第1の凹部2bを収納する第2の凹部4bを設け、さらに、第2の凹部4bの内部中心部に回転軸の突起2cを受ける円弧状の凹部4aが設けてある。そして、第2の凹部4bの外周4cに受電コイルL2と対向するように送電コイルL1を装着する。なお、空心コイルの対向する面は受電コイルL2の巻線の外周面と送電コイルL1の巻線の内周面が対面するように配置するもので、受電コイルL2の空心コイルは送電コイルL1の空心コイルより、巻き幅(高さ方向)は同じで、巻線径を小さくし、送電コイルL1の中に受電コイルが入るようにする。また、電力伝送の状態において送電コイルL1と受電コイルL2の空心コイルの巻き数を適切な巻き数比に変更してもよい。空心コイルは自己融着線で巻回したもの、および、絶縁被膜電線で巻回した後、融着したものを用いてもよい。
【0015】
図6は、送電コイルL1と受電コイルL2に空心コイルを用い、かつ、受電コイルL2の空心コイルの内部に磁性体から成るコアcを設けた第2の実施例を示す。
図6に示すように、コアcを用いることにより、図5で示した送電コイルL1、受電コイルL2を薄くし、小型化することができる。なお、他の構成は第1の実施例である図5と同じであり説明を省略する。なお、空心コイルの対向する面は受電コイルL2の巻線の外周面と送電コイルL1の巻線の内周面が対面するように配置することは同じであるが、、受電コイルL2の空心コイルは送電コイルL1の空心コイルより、巻き幅(高さ方向)は同じで、巻線径を小さくするとともに第1の実施例の巻き数よりもコアcを収納した分少なくできる。
【0016】
図7は、送電コイルL1と受電コイルL2に空心コイルを用い、かつ、送電コイルL1の空心コイルの内部に磁性体から成るコアcを設けた第3の実施例を示す。
図7に示すように、図6のアーム1とテーブル4の回転軸部の形状を逆にすることにより送電コイルL1にコアcを用いる構成とした。なお、空心コイルの対向する面は送電コイルL1の巻線の外周面と受電コイルL2の巻線の内周面が対面するように配置し、受電コイルL2の空心コイルは送電コイルL1の空心コイルより、巻き幅(高さ方向)は同じで、巻線径を大きくする。また、第1の実施例の巻き数よりもコアcを収納した分少なくできる。
この第3の実施例は、第1、第2で示した送電コイルL1や受電コイルL2を薄くでき、特に玩具の軽量化に適した回転玩具とすることができる。他の構成は第1の実施例である図5と同じであり説明を省略する。
【0017】
図8は、図4の回転軸部2を異ならせた回転玩具を示す説明図である。
図8に示すように、玩具3を回転させるアーム1を介して回転軸部2の先端部11をガイド孔16でガイドすることにより、テーブル4の台上の玩具3を回転させる。
テーブル4の上面にアーム1で連結された複数の玩具3の車輪により回転させるため図4で示した先端部の支点と軸受け部を設ける必要がない。そのため、回転軸の先端部および軸受け等の摩耗を考慮することがないことから壊れる心配がない。
【0018】
図9は、図8の回転軸部2を異ならせた回転玩具の第4の実施例を示す。
図9において、受電部20は、玩具3を連結したアーム1の中心部下部に2段突起を設け、第1の突起11に空心コイルである受電コイルL2を固定し、第2の突起11aをガイドするテーブル4側に設けた貫通孔17に挿入することにより玩具3を回転させる。
送電部10は、内部に送電側10の電源部を収納するテーブル4とその中心に円柱状の補助台15を備えている。補助台15の中央部には、空心コイルである送電コイルL1を固定する突起部15aを備え、その突起部15aの中心に受電側20の回転軸部11aをガイドする貫通孔17が設けてある。また、補助台15には送電コイルL1を上下動するための螺子が外周に設けてある。そして、テーブル4には補助台15を収納する貫通孔16が設けてあり、その内側内周部には補助台15の螺子15bに対応する螺子16bが形成されている。
【0019】
なお、受電コイルL2を固定する第1の突起11の内径と送電コイルL1を固定する補助台15の突起15aは空心コイルの内径と同じとし、送電コイルと受電コイルの空心コイルの巻線の内径、外径および巻き数を同じとし、巻線面を対向して配置させる。なお、送電コイルL1と受電コイルL2のギャップaに応じて受電コイルL2の内径を送電コイルの内径L1より多少大きくしてもよい。さらに、第4の実施例では、送電コイルに可変機構を設けたが、回転玩具のスピードの変化等が必要でなければ、所定のギャップaで固定してもよく、補助台を設ける必要はない。玩具3とテーブル4面との間隔Xは変わらず一定である。
【0020】
このように、補助台15を上下動させることにより、送電コイルL1の巻線面と対向する受電コイルL2の巻線面とのギャップaを変えることができ、電磁誘導による出力を変化させ、玩具3のスピードを変化させることができ、変化に富んだ回転玩具とすることができる。また、図では、車輪を動かすモータのみを記載したが、モータだけでなく、LED等を用いた発光やスピーカによる動作音を発する機構を内蔵するとさらに楽しみを増すことができる。
【0021】
本実施例では玩具を自動車としたが、これに限られるものではない、例えば、自動車以外の乗り物、動物等の玩具でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自動車を模型とした回転玩具の一例を示し、(a)は正面図、(b)は上面図。
【図2】一般的な回転玩具の軸受け部2であり、(a)は接点部の上面図、(b)は接点部の断面図。
【図3】本発明の回転玩具に用いた回路ブロック図。
【図4】本発明の回転玩具の一実施例であるテーブルと玩具とアームの構成図。
【図5】本発明の回転玩具の第1の実施例を示す断面図。
【図6】本発明の回転玩具の第2の実施例を示す断面図。
【図7】本発明の回転玩具の第3の実施例を示す断面図。
【図8】本発明の回転玩具の他の一実施例であるテーブルと玩具とアームの構成図。
【図9】本発明の回転玩具の第4の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
【0023】
10 送電部
B 電源
P 送電回路
L1 送電コイル
20 受電部
L2 受電コイル
F 共振整流平滑回路
M モータ
1 アーム
2 回転軸部
3 玩具
4 テーブル
17 補助台
c コア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを備えた回転玩具において、該モータに電力を供給する送電部と電力を受電する受電部を備え、非接触で電力送受電してなることを特徴とする回転玩具。
【請求項2】
モータを備えた回転玩具において、該モータに電力を供給する送電コイルと送電回路を備えた送電部と電力を受電する受電コイルと共振整流平滑回路である共振コンデンサと整流平滑回路とを備えた受電部とを備え、該送電コイルおよび該受電コイルを回転軸部に設け、非接触で電力送受電してなることを特徴とする回転玩具。
【請求項3】
前記送電コイルおよび前記受電コイルのいずれか一方もしくは両方に空心コイルを用い、前記回転軸部はその先端部と軸受け部を支点として回転させたことを特徴とする請求項2記載の回転玩具。
【請求項4】
前記送電コイルおよび前記受電コイルに空心コイルを用い、前記回転軸部はその先端部を軸受けガイド孔に挿入し回転させたことを特徴とする請求項2記載の回転玩具。
【請求項5】
前記送電コイルを上下に動かし、対向する受電コイルの巻線面との位置関係を変化させたことを特徴とする請求項4記載の回転玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−72405(P2009−72405A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244944(P2007−244944)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】