説明

回転角度検出装置

【課題】 内燃機関の吸気可変システムに使用されるバルブの全閉位置と全開位置との判別を的確に行うことを課題とする。
【解決手段】 ロータプレート4は、その回転軸線を中心とした同一円周上において、全閉位置に対応した部位にマグネット5を設置し、且つ全開位置に対応した部位にマグネット6を設置している。また、マグネット5、6は、樹脂磁石よりも安価なフェライト磁石であり、幅方向の寸法(サイズ)が異なる相似形状に形成されている。これにより、安価なON−OFFタイプの磁気センサ7を用いた場合でも、バルブ全閉時の磁気センサON電圧出力時間とバルブ全開時の磁気センサON電圧出力時間とを異ならせることができるので、全閉位置と全開位置との判別を的確に行うことができる。また、開オーバーターンなのか、あるいはバルブの中間固着故障なのかの識別を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内燃機関の可変吸気システムに使用される可変吸気制御弁の弁体であるバルブの回転角度に対応したセンサ出力信号を出力する回転角度検出装置(バルブ開度検出装置、バルブ開度センサ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、回転軸を中心にして回転するロータに固定された磁石を検出対象と連動して回転させ、磁石の回転により生じる磁界の変化を磁気検出素子で検出し、この磁気検出素子のセンサ出力信号に基づいて検出対象の回転角度を検出する回転角度検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、特許文献1では、磁石が、回転軸近傍に略平行で、磁束密度が略均一な磁界を形成する2つのマグネットにより構成されている。これらのマグネットは、互いに180°反対側に配置されている。
【0003】
また、磁気検出素子は、2つのマグネットに対して相対的に回転する2つのホール素子により構成されている。これらのホール素子は、回転方向に互いに90°の角度をなすように回転軸近傍に設置されている。この結果、2つのホール素子の近傍には、検出対象の回転角度に関わらず、平行で磁束密度が均一な磁界が形成される。これにより、2つのホール素子は、検出対象の回転角度に応じた適正なセンサ出力信号を360°の角度範囲で出力することができる。
ところが、特許文献1の回転角度検出装置においては、マグネットおよびホール素子が共に2個ずつ必要となるので、部品点数が多くコストを上昇させるという不具合があった。
【0004】
ここで、内燃機関(エンジン)の各気筒毎の燃焼室にそれぞれ連通する複数の吸気通路を開閉する複数のバルブの開度(回転角度)を検出する回転角度検出装置が知られている。この回転角度検出装置は、複数のバルブを支持固定するピンロッドと連動して回転するロータと、このロータの端面に固定されて、ロータの回転軸と平行な軸方向に磁力線が向くように着磁された1個の磁石と、この磁石に対して相対的に回転する1個の磁気センサとを備えている。
磁石は、プラスチックマグネットが使用されている。また、磁気センサは、リニアタイプのホール素子が使用されている。
ところが、従来の回転角度検出装置においては、プラスチックマグネットを使用しているので、コストが高いという問題がある。
また、単純に磁気センサとして1個のON−OFFタイプのホール素子を使用し、1個のフェライト磁石を使用した場合、バルブの中間固着故障、バルブの開オーバーターン(全開位置を通り越す故障)、リンクの位相ズレ等の故障検出ができないという問題がある。
【0005】
ここで、図7および図8は、例えば内燃機関の可変吸気システムに搭載される吸気通路長切替バルブ(以下バルブと略す)の開度を検出する回転角度検出装置(従来例1及び2)の概略構造を示した図である。
回転角度検出装置(従来例1)は、図7に示したように、バルブと連動して回転するロータ100と、このロータ100における全閉位置に対応した部位(ロータ端面)に固定された1個のマグネット101と、ロータ100と連動して回転するマグネット101の磁束を検出する1個の磁気センサ103とを備えている。
ロータ100の回転中心軸線(O)を中心とする所定の回転軌跡上で、且つバルブの全閉位置に対応した位置(バルブ全閉時に磁気センサ103の感磁面と対向する部位)には、マグネット101が固定されている。マグネット101は、ロータ100の回転軸と平行な回転軸方向に着磁した直方体形状のプラスチックマグネットである。また、磁気センサ103は、ON−OFFタイプのホールICが使用されている。
【0006】
回転角度検出装置(従来例1)は、ロータ100が回転中心軸線(O)を中心にして回転してバルブが全閉位置まで閉じると、マグネット101の磁極面と磁気センサ103の感磁面とが所定のギャップを隔てて対向して配置される。このとき、マグネット101から発生し、磁気センサ103を通過する磁束密度が所定値以上の高磁束密度となる。あるいは磁気センサ103の感磁面に対するマグネット101の磁力線の交差角度(入射角度)が略直角となり、磁気センサ103のセンサ出力信号(センサ出力電圧)がON電圧(V1)となる。
【0007】
回転角度検出装置(従来例2)は、図8に示したように、バルブと連動して回転するロータ100と、このロータ100の回転中心軸線(O)を中心にした同一円周上においてロータ100の回転方向に別々に離れて固定された2個のマグネット101、102と、ロータ100と連動して回転する2個のマグネット101、102の磁束を検出する1個の磁気センサ103とを備えている。
ロータ100の回転軸を中心とする所定の回転軌跡上で、且つバルブの全閉位置に対応した部位(バルブ全閉時に磁気センサ103の感磁面と対向する部位)には、マグネット101が固定されている。また、ロータ100の回転軸を中心とする所定の回転軌跡上で、且つバルブの全開位置に対応した部位(バルブ全開時に磁気センサ103の感磁面と対向する部位)には、マグネット102が固定されている。
マグネット101、102は、ロータ100の回転軸と平行な回転軸方向に着磁した直方体形状のプラスチックマグネットである。また、磁気センサ103は、ON−OFFタイプのホールICが使用されている。
【0008】
回転角度検出装置(従来例2)は、ロータ100が回転してバルブが全閉位置まで閉じると、マグネット101の磁極面と磁気センサ103の感磁面とが所定のギャップを隔てて対向して配置される。このとき、マグネット101から発生し、磁気センサ103を通過する磁束密度が所定値以上の高磁束密度となる。あるいは磁気センサ103の感磁面に対するマグネット101の磁力線の交差角度(入射角度)が略直角となり、磁気センサ103のセンサ出力信号(センサ出力電圧)がON電圧(V1)となる。
また、ロータ100が回転してバルブが全開位置まで開くと、マグネット102の磁極面と磁気センサ103の感磁面とが所定のギャップを隔てて対向して配置される。このとき、マグネット102から発生し、磁気センサ103を通過する磁束密度が所定値以上の高磁束密度となる。あるいは磁気センサ103の感磁面に対するマグネット102の磁力線の交差角度(入射角度)が略直角となり、磁気センサ103のセンサ出力電圧がON電圧(V1)となる。
【0009】
[従来の技術の不具合]
ところが、従来の回転角度検出装置(従来例1)においては、マグネット101がバルブの全閉位置に対応した位置のみに設置されている。これにより、バルブの全閉位置を検出した以降は、磁気センサ103の感磁面に対するマグネット101の磁力線の交差角度(入射角度)が鋭角となり、磁気センサ103を通過する磁束密度が低磁束密度となるので、磁気センサ103より出力されるセンサ出力電圧が一定値(OFF電圧V2、V3)となる。このため、バルブの全開位置(V3)、バルブの開オーバーターン(全開位置を通り越す故障:V3)とバルブの中間固着故障(V2)との識別(検出)ができないという問題があった。
【0010】
また、従来の回転角度検出装置(従来例2)においては、マグネット101がバルブの全閉位置に対応した位置に設置され、マグネット102がバルブの全開位置に対応した位置に設置されているが、2個のマグネット101、102が同一寸法(サイズ)の直方体形状に形成されている。これにより、磁気センサ103は、バルブ全閉時およびバルブ全開時におけるセンサ出力電圧が同一レベル(V1)で、センサ出力時間も同じなので、バルブの全閉位置(V1)と全開位置(V1)との識別ができず、バルブの開オーバーターン(全開位置を通り越す故障:V3)なのか、あるいはバルブの中間固着故障(V2)なのかの識別(検出)ができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−218592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、バルブの全閉位置と全開位置との判別(検出)を的確に行うことのできる回転角度検出装置を提供することにある。また、バルブの開オーバーターンなのか、あるいはバルブの中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うことのできる回転角度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、2つの第1、第2磁石は、バルブの回転に連動して回転するロータの回転軸と平行な軸方向に磁力線が向くように着磁されている。また、ロータは、バルブの全閉位置または全開位置に対応した位置に第1磁石を設置し、且つバルブの全開位置または全閉位置に対応した位置に第2磁石を設置している。また、2つの第1、第2磁石は、ロータの回転方向に所定の位相差を持って(所定の距離だけ別々に離れた位置に)設置されている。
そして、2つの第1、第2磁石を設置したロータの回転に伴って、磁気センサを通過する磁束密度が変化する。
【0014】
このとき、第1磁石または第2磁石は、第2磁石の形状または第1磁石の形状と異なる形状を有している。つまり2つの第1、第2磁石は、互いに異なる形状に形成されている。このため、第1磁石と磁気センサとが対向した時に磁気センサより出力される信号(センサ出力信号)と、第2磁石と磁気センサとが対向した時に磁気センサより出力される信号(センサ出力信号)とが異なるものとなるので、バルブの全閉位置と全開位置との判別(検出)を的確に行うことができる。また、バルブの開オーバーターンなのか、あるいはバルブの中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、内燃機関の燃焼室に連通する吸気通路を開閉して、内燃機関の吸気通路を流れる吸入空気を制御するバルブ(吸気制御弁の弁体)を備えている。これにより、内燃機関の吸気装置に使用されるバルブの全閉位置と全開位置との判別(検出)を的確に行うことができる。また、内燃機関の吸気装置に使用されるバルブの開オーバーターンなのか、あるいはバルブの中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、内燃機関の燃焼室とサージタンクとを連通し、互いに吸気通路長が異なる2つの第1、第2吸気通路のうち吸気通路長が短い方の吸気通路を開閉するバルブ(可変吸気制御弁の弁体)を備えている。これにより、内燃機関の可変吸気装置に使用されるバルブの全閉位置と全開位置との判別(検出)を的確に行うことができる。また、内燃機関の可変吸気装置に使用されるバルブの開オーバーターンなのか、あるいはバルブの中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うことができる。したがって、内燃機関の可変吸気装置の故障検出を容易に行うことができる。
請求項4に記載の発明によれば、バルブとロータとを連結する複数のリンクプレートと、ロータおよび複数のリンクプレートを介して、バルブを回転駆動するアクチュエータとを備えている。これにより、リンク式の吸気装置の故障検出を容易に行うことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、第2磁石の形状または第1磁石の形状と異なる形状とは、第2磁石の幅または第1磁石の幅と異なる形状のことである。つまり2つの第1、第2磁石として、サイズのみが異なる相似形状の磁石、すなわち、幅寸法の異なる直方体形状の磁石が使用されている。
請求項6に記載の発明によれば、第2磁石の形状または第1磁石の形状と異なる形状とは、第2磁石の高さまたは第1磁石の高さと異なる形状のことである。つまり2つの第1、第2磁石として、サイズのみが異なる相似形状の磁石、すなわち、高さ寸法の異なる直方体形状の磁石が使用されている。
なお、2つの第1、第2磁石として、バルブ全閉時に第1磁石と磁気センサとの距離(ギャップ長)とバルブ全開時に第2磁石と磁気センサとの距離(ギャップ長)とが異なるように、オフセット配置された磁石を使用しても良い。
また、2つの第1、第2磁石として、サイズ、形状が同じでも磁気特性の異なる、例えば磁気の強さまたは磁力線の本数が異なる磁石を使用しても良い。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、磁気センサは、ON−OFFタイプの磁気検出素子を含んで構成されている。
請求項8に記載の発明によれば、磁気センサは、リニアタイプの磁気検出素子を含んで構成されている。
請求項9に記載の発明によれば、2つの第1、第2磁石としてフェライト磁石が採用されている。つまりプラスチックマグネットよりも安価なフェライトマグネットを使用することにより、コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は回転角度検出装置(バルブ開度センサ)を示した概略図で、(b)はバルブ開度に対するセンサ出力電圧の変化を示した特性図である(実施例1)。
【図2】(a)は内燃機関の可変吸気システムを示した断面図で、(b)はエンジン制御システムを示した構成図である(実施例1)。
【図3】インテークマニホールドを示した断面図である(実施例1)。
【図4】(a)はリンク機構とアクチュエータを示した断面図で、(b)は(a)のB方向矢視図である(実施例1)。
【図5】図4のA−A断面図である(実施例1)。
【図6】(a)は回転角度検出装置(バルブ開度センサ)を示した概略図で、(b)はバルブ開度に対するセンサ出力電圧の変化を示した特性図である(実施例2)。
【図7】(a)は回転角度検出装置を示した概略図で、(b)はバルブ開度に対するセンサ出力電圧の変化を示した特性図である(従来例1)。
【図8】(a)は回転角度検出装置を示した概略図で、(b)はバルブ開度に対するセンサ出力電圧の変化を示した特性図である(従来例2)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、バルブの全閉位置と全開位置との判別(検出)を的確に行うという目的、また、バルブの開オーバーターンなのか、あるいはバルブの中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うという目的を、2つの第1、第2磁石を互いに異なる形状となるように設け、バルブの全閉位置に対応した部位に第1磁石を設置し、且つバルブの全開位置に対応した部位に第2磁石を設置することで実現した。
【実施例1】
【0020】
[実施例1の構成]
図1ないし図5は本発明の実施例1を示したもので、図1(a)は回転角度検出装置(バルブ開度センサ)を示した図で、図1(b)はバルブ開度に対するセンサ出力電圧の変化を示した図で、図2(a)は内燃機関の可変吸気システムを示した図で、図2(b)はエンジン制御システムを示した図で、図3はインテークマニホールドを示した図で、図4(a)はリンク機構とアクチュエータを示した図で、図4(b)はリンク機構を示した図で、図5はアダプタを示した図である。
【0021】
本実施例の内燃機関の制御装置(エンジン制御システム)は、複数の気筒を有する内燃機関(エンジン)の各気筒毎の燃焼室に供給される吸入空気を制御する内燃機関の吸気制御装置として使用されるものである。
内燃機関の吸気制御装置は、エアクリーナ(内燃機関のエアクリーナ)、電子スロットル装置(内燃機関のスロットル装置)、リンク式の可変吸気装置(内燃機関の可変吸気装置)等を備えている。
【0022】
ここで、本実施例の可変吸気装置は、検出対象であるバルブ1のシャフト2と連動して回転するシャフト3を中心にして回転するロータプレート4と、このロータプレート4に固定された2つのマグネット5、6と、ロータプレート4の回転、特に2つのマグネット5、6の回転に伴う磁束密度の変化(磁気変化)を検出する磁気センサ7とを備え、2つのマグネット5、6をバルブ1と連動して回転させ、2つのマグネット5、6の回転により生じる磁束密度の変化を磁気センサ7で検出し、この磁気センサ7から出力される電気信号に基づいてバルブ1の回転角度を検出する非接触式の回転角度検出装置を備えている。
なお、バルブ1の回転軸であるシャフト2と、ロータプレート4の回転軸であるシャフト3とを連結するリンク機構は、3つのリンクプレート11〜13およびストッパレバー14等を有している。
【0023】
エンジンは、エアクリーナで濾過された清浄な吸入空気とインジェクタより噴射された燃料との混合気を、各気筒毎の燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーによりエンジン出力トルクを得る4気筒ガソリンエンジンである。このエンジンには、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸入空気を導入するための吸気ダクト(インテークダクト、吸気管)と、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを排気浄化装置を経由して外部に排出するための排気ダクト(エキゾーストダクト、排気管)とが接続されている。
【0024】
吸気ダクトは、エアクリーナケース、スロットルボディ、エアコネクタ21、サージタンク22およびインテークマニホールド23等によって構成されて、エンジン本体24に接続されている。吸気ダクトの内部には、エアクリーナで濾過された清浄な空気を、電子スロットル装置のスロットルボディ、インテークマニホールド23を経由して、エンジンの各気筒毎の燃焼室に導入するための吸気通路(内燃機関の吸気通路)が形成されている。
排気ダクトは、エンジン本体24に接続するエキゾーストマニホールド等によって構成されている。排気ダクトの内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスを、エキゾーストマニホールド、排気浄化装置を経由して、外部に排出するための排気通路(内燃機関の排気通路)が形成されている。
【0025】
エアコネクタ21は、電子スロットル装置のスロットルボディの下流端とサージタンク22の上流端とを連結する。このエアコネクタ21の内部には、共通吸気通路が形成されている。また、エアコネクタ21の入口部は、共通吸気通路の壁面(空気流方向の上流側壁面)で開口しており、スロットルボディ内に形成されるスロットルボアに連通している。また、エアコネクタ21の出口部は、共通吸気通路の壁面(空気流方向の下流側壁面)で開口しており、サージタンク22内に形成されるサージタンク室25に連通している。また、エアコネクタ21には、EGRガスまたはブローバイガスまたは燃料蒸気ガス等のガス導入パイプが接続されている。
【0026】
サージタンク22は、吸入空気の圧力脈動を低減すると共に、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに接続するインテークマニホールド23の各吸気分岐管に吸入空気を分配するサージタンク部を有している。このサージタンク部の内部には、サージタンク室25が形成されている。また、サージタンク部の入口部は、サージタンク室25の壁面(空気流方向の上流側壁面)で開口しており、エアコネクタ21内に形成される共通吸気通路に連通している。また、サージタンク部の出口部は、サージタンク室25の壁面(空気流方向の下流側壁面)で開口しており、インテークマニホールド23の各吸気分岐管毎に形成される独立吸気通路に連通している。
【0027】
インテークマニホールド23は、複数のパーツよりなり、サージタンク22の複数の出口部にそれぞれ接続する複数の吸気分岐管を備えている。なお、複数のパーツは、全て合成樹脂によって形成されている。
複数の吸気分岐管は、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに独立して接続されて、サージタンク室25より分岐している。これらの吸気分岐管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートとサージタンク22のサージタンク室25とを連通する独立吸気通路がそれぞれ形成されている。
各独立吸気通路は、互いに吸気通路長が異なる2つの分岐吸気通路(第1、第2吸気通路)31、32、およびこれらの分岐吸気通路31、32の合流部33とエンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートとを連通する共通吸気通路34を含んで構成されている。
【0028】
各分岐吸気通路31は、サージタンク22のサージタンク室25の壁面(空気流方向の下流側壁面)で開口した入口ポート26から合流部33までの吸気通路長が、各分岐吸気通路32の吸気通路長よりも長くなっている。
各分岐吸気通路32は、サージタンク22のサージタンク室25の壁面(空気流方向の下流側壁面)で開口した入口ポート27から合流部33までの吸気通路長が、各分岐吸気通路31の吸気通路長よりも短くなっている。
なお、インテークマニホールド23には、2つの分岐吸気通路31、32を区画する隔壁部28、29が形成されている。また、共通吸気通路34を設けずに、2つの分岐吸気通路31、32の合流部33が、エンジンの各吸気ポート内に設けられていても構わない。
【0029】
エンジンのエンジン本体24は、複数の気筒(第1〜第4気筒)を有し、第1〜第4気筒が気筒配列方向に直列に配置されたシリンダブロックと、複数の吸気ポートおよび複数の排気ポートを有するシリンダヘッドとを備えている。
エンジンの各気筒毎に独立して接続される複数の吸気ポート(インテークポート)は、ポペット型の吸気バルブ(インテークバルブ)によって開閉される。また、エンジンの各気筒毎に独立して接続される複数の吸気ポートは、ポペット型の排気バルブ(エキゾーストバルブ)によって開閉される。
【0030】
エンジン本体24のシリンダヘッドには、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するようにスパークプラグが取り付けられている。また、シリンダヘッドには、吸気ポート内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)が取り付けられている。また、エンジン本体24のシリンダブロックの内部には、気筒配列方向に複数の燃焼室(第1〜第4燃焼室)が形成されている。また、シリンダブロックの内部に形成されるシリンダボア内には、連接棒を介してクランクシャフトに連結されたピストンが、シリンダボアの中心軸線方向に摺動自在に支持されている。
【0031】
本実施例の可変吸気装置は、エンジンの運転状況(運転状態)に対応して、サージタンク22のサージタンク室25の壁面で開口した入口ポート26、27から合流部33までの吸気通路長を変更し、エンジンの吸気通路内に発生する吸気脈動効果および慣性過給効果を有効利用して、エンジン出力トルクの向上を図るようにした可変吸気システム(内燃機関の可変吸気システム:VICS)である。
ここで、慣性過給効果とは、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸い込まれる吸入空気の脈動によって発生する慣性力を利用して、より多くの吸入空気をエンジンの各気筒毎の燃焼室に吸入する過給効果のことである。
【0032】
可変吸気装置は、内部に2つの分岐吸気通路31、32が形成されたインテークマニホールド(ダクト)23と、サージタンク22のサージタンク室25の壁面で開口した入口ポート26、27から合流部33までの吸気通路長(または吸気通路断面積でも良い)を変更する可変吸気制御弁(吸気通路長可変弁、吸気通路断面積可変弁)と、この可変吸気制御弁の弁体であるバルブ1を閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するリターンスプリングと、可変吸気制御弁のバルブ1を開弁作動方向(または閉弁作動方向)に回転駆動するアクチュエータと、バルブ1の実際の開度(バルブ角度、実バルブ開度)が、エンジン回転速度(エンジン回転数:NE)に対応した目標バルブ開度(目標バルブ角度)となるように、アクチュエータを制御するエンジン制御ユニット(ECU)8とを備えている。
インテークマニホールド23の各吸気分岐管の内部には、上述したように、2つの分岐吸気通路31、32および1つの共通吸気通路34がそれぞれ形成されている。このインテークマニホールド23の内部には、シャフト2の回転軸方向に貫通する貫通孔35が形成されている。
【0033】
可変吸気制御弁は、各分岐吸気通路32を開閉する複数のバルブ1、およびこのバルブ1を支持固定する1つのシャフト2等を有している。
バルブ1は、分岐吸気通路32を開閉することで、サージタンク22のサージタンク室25の壁面で開口した入口ポート26、27から合流部33までの吸気通路長を変更するバタフライ型バルブである。これらのバルブ1は、各吸気分岐管の内部(各分岐吸気通路32)において、合流部33よりも吸気流方向の上流側に設置されている。
【0034】
バルブ1は、1本のシャフト2に串刺し状態となるように結合された回転型のバルブである。これらのバルブ1は、分岐吸気通路32を閉鎖する全閉位置(バルブ全閉位置)から、分岐吸気通路32を開放する全開位置(バルブ全開位置)に至るまでの作動可能範囲(バルブ1の作動可能範囲)に渡ってバルブ開度(回転角度)が変更されることで、インテークマニホールド23の各吸気分岐管に対して相対回転する。
バルブ1は、シャフト2の周囲を取り囲むようにバルブ軸36を有している。このバルブ軸36の内部には、シャフト2の回転軸方向に貫通する貫通孔(多角孔、四角孔)37が形成されている。
【0035】
シャフト2は、その回転軸方向に垂直な断面が多角形状(例えば四角形状)に形成された多角断面シャフト(角形鋼製シャフト)である。このシャフト2は、バルブ1を串刺し状態で結合する回転軸であって、インテークマニホールド23に形成された回転軸方向の貫通孔35を貫通してインテークマニホールド23に組み込まれ、軸受け部材38、39を介して、インテークマニホールド23に回転自在に軸支されている。
シャフト2は、シャフト3の回転軸と平行な回転軸方向に真っ直ぐに延びている。
また、シャフト2には、リンクプレート11とストッパレバー14を取り付ける軸部(リンク取付部、径小部)40が設けられている。
【0036】
アクチュエータは、電力の供給を受けて駆動力を発生するモータ9と、このモータ9のモータシャフト(出力軸)の駆動力を、バルブ1を串刺し状態となるように連結するシャフト2に伝達するための動力伝達機構とを備えている。
動力伝達機構は、モータ9のモータシャフトの回転速度を所定の減速比となるように減速すると共に、モータ9のモータシャフトの駆動力(モータ出力軸トルク、モータトルク)を増大させる歯車減速機構、およびこの歯車減速機構の出力軸であるシャフト3の回転運動を、シャフト2に伝達するリンク機構等によって構成されている。
【0037】
歯車減速機構は、モータ9のモータシャフトに固定されたモータギヤ、このモータギヤに噛み合う中間減速ギヤ、およびこの中間減速ギヤに噛み合う最終減速ギヤ41を有している。これらの各ギヤは、アクチュエータケースの内部に回転自在に収容されている。
ここで、シャフト3または最終減速ギヤ41に、全てのバルブ1を閉弁作動方向または開弁作動方向に付勢するスプリングを組み付けても良い。
最終減速ギヤ41は、合成樹脂によって円弧状に形成されている。この最終減速ギヤ41の内部には、シャフト3の外周に支持固定されるストッパレバー(ギヤストッパ)42がインサート成形されている。
【0038】
最終減速ギヤ41およびストッパレバー42は、座付きボルト43を用いてシャフト3の回転軸方向の他端部に結合(締結固定)されている。
ストッパレバー42の折り曲げ部44の回転方向の一方側(閉弁作動方向)には、全閉ストッパ45に当接可能な全閉ストッパ部が設けられている。また、ストッパレバー42の折り曲げ部44の回転方向の他方側(開弁作動方向)には、全開ストッパ46に当接可能な全開ストッパ部が設けられている。
ここで、図5において、全閉ストッパ45に近い位置に示されているストッパレバー42の全閉ストッパ部は、リンク機構の位相ズレ等が発生していない場合、バルブ全閉位置に対応した位置で停止している。また、図5において、全開ストッパ46に近い位置に示されているストッパレバー42の全開ストッパ部は、リンク機構の位相ズレ等が発生していない場合、バルブ全開位置に対応した位置で停止している。なお、バルブ全閉位置とバルブ全開位置との位相差は、例えば80°である。また、全閉ストッパ45と全開ストッパ46との位相差は、例えば90°である。
【0039】
モータ9および歯車減速機構の各ギヤを収容するアクチュエータケースは、インテークマニホールド23側に設置されるアダプタ15、およびこのアダプタ15に取り付けられるハウジング16等によって構成されている。
アダプタ15の内周部には、円弧状の内周凹部47、48が一体的に形成されている。 アダプタ15の内周凹部47、48間には、閉オーバーターン故障のない場合、可変吸気制御弁のバルブ全閉時にストッパレバー42の全閉ストッパ部との間に所定の隙間を隔てて対向して配置される凸状の全閉ストッパ45が設けられている。また、アダプタ15の内周凹部47、48間には、開オーバーターン故障のない場合、可変吸気制御弁のバルブ全開時にストッパレバー42の全開ストッパ部との間に所定の隙間を隔てて対向して配置される凸状の全開ストッパ46が設けられている。
【0040】
アダプタ15は、締結ボルト49を用いてハウジング16を結合(締結固定)する結合フランジ51を有している。また、ハウジング16は、アダプタ15の結合フランジ51に結合(締結固定)される結合フランジ52を有している。
アダプタ15の内部には、シャフト3の回転軸方向に貫通する貫通孔53が形成されている。
シャフト3は、バルブ1のシャフト2の回転軸と平行な回転軸方向に真っ直ぐに延びている。また、シャフト3は、オイルシール54、ベアリング55およびボールベアリング56を介して、アダプタ15の内周部(貫通孔53の孔壁面)に回転自在に支持されている。シャフト3の回転軸方向の一端部には、リンク機構のリンクプレート13がナット等を用いて結合(締結固定)される軸部(リンク取付部、径小部)57が設けられている。また、シャフト3の回転軸方向の他端部には、座付きボルト43のボルト軸部と螺合するネジ孔が形成されている。
【0041】
リンク機構は、3つのリンクプレート11〜13およびストッパレバー14等を有している。3つのリンクプレート11〜13は、バルブ1のシャフト2とシャフト3とを連結することで、バルブ1のシャフト2とシャフト3とを同一方向に回転させることができる。
リンクプレート11は、バルブ1のシャフト2とリンクプレート12とを機械的に連結する第1リンク部材である。このリンクプレート11は、リンクプレート12を回転自在に軸支するピン61が固定されている。また、リンクプレート12は、リンクプレート11とリンクプレート13とを機械的に連結する第2リンク部材である。このリンクプレート12は、リンクプレート11のピン61とリンクプレート13のピン62とを連結している。また、リンクプレート13は、リンクプレート12とシャフト3とを機械的に連結する第3リンク部材である。このリンクプレート13は、リンクプレート12を回転自在に軸支するピン62が固定されている。
【0042】
また、バルブ1のシャフト2とリンクプレート11との間には、ストッパレバー14が挟み込まれて固定されている。このストッパレバー14は、リンクプレート11と共に、ナット等を用いて結合(締結固定)されている。
ストッパレバー14は、インテークマニホールド23等の固定部材に一体的に形成された全閉ストッパ63または全開ストッパ64に選択的に係止されるように構成されている。このストッパレバー14の回転方向の一端側には、全閉ストッパ63に係止される全閉ストッパ部が設けられている。また、ストッパレバー14の回転方向の他端側には、全開ストッパ64に係止される全開ストッパ部が設けられている。
【0043】
ここで、バルブ1を回転駆動するモータ9は、ECU8によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
ECU8には、制御処理、演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
また、ECU8は、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、磁気センサ7を含むバルブ開度センサ(回転角度検出装置)、冷却水温センサおよびエアフローメータ等の各種センサからのセンサ出力信号が、A/D変換器によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。なお、これらのクランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、バルブ開度センサ、冷却水温センサおよびエアフローメータ等によって、エンジンの運転状況(運転状態)を検出する運転状態検出手段が構成される。
【0044】
そして、各種センサからのセンサ出力信号は、マイクロコンピュータのメモリに格納された制御プログラムまたは制御ロジックの制御周期毎に繰り返し読み込まれる。
ここで、クランク角度センサは、エンジンのクランクシャフトの回転角度を電気信号に変換するピックアップコイルよりなり、例えば30°CA(クランク角度)毎にNEパルス信号が出力される。また、マイクロコンピュータは、クランク角度センサより出力されたNEパルス信号の間隔時間を計測することによってエンジン回転数(NE)を検出(算出)するための回転速度検出手段として機能する。
【0045】
また、マイクロコンピュータは、磁気センサ7より出力されるセンサ出力信号(センサ出力電圧:Vout)を検出するセンサ出力信号検出回路(センサ出力電圧検出回路)、およびこのセンサ出力信号検出回路で検出されたセンサ出力電圧(Vout)に基づいて、実バルブ開度(バルブ回転角度)を特定するセンサ出力信号処理回路等を含んでいる。 そして、マイクロコンピュータは、検出したエンジン回転数(NE)に基づいて目標バルブ開度を算出し、実バルブ開度が目標バルブ開度と一致するようにモータ9に電力を供給する。これにより、バルブ1の開度が制御される。
【0046】
バルブ開度センサは、バルブ1を支持固定するシャフト2と連動して回転するシャフト3に固定されたロータプレート4と、このロータプレート4の回転中心軸線方向と平行な回転軸方向に磁力線が向くように着磁された2個のマグネット(磁石)5、6と、ロータプレート4と連動して回転する2個のマグネット5、6の磁束を検出する1個の磁気センサ7とを備えている。
そして、磁気センサ7より出力されるセンサ出力信号(センサ出力電圧:Vout)は、所定のサンプリング周期毎に繰り返しA/D変換回路を介してマイクロコンピュータに取り込まれる。
【0047】
ロータプレート4は、非磁性材料によって形成されて、シャフト3の回転軸方向の他端部に結合(締結固定)されている。具体的に、ロータプレート4は、座付きボルト43のボルト軸部の外周に環状のスペーサ65と共に嵌合され、ストッパレバー42と座付きボルト43との間にスペーサ65と共に挟み込まれている。
このロータプレート4は、磁気センサ7と対向する側の端面(対向面)に2つのマグネット5、6を別々に離した状態で固定している。具体的に、ロータプレート4は、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)にマグネット5を合成樹脂(非磁性体)66のモールド成形により設置(固定)している。また、ロータプレート4は、バルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)にマグネット6を合成樹脂66のモールド成形により設置(固定)している。
【0048】
2つのマグネット5、6は、ロータプレート4の回転中心である回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向に磁力線が向くように着磁された直方体形状のフェライト磁石である。これらのマグネット5、6は、ロータプレート4の回転中心軸線(O)を中心とした同一円周上において、別々に離れた位置に設置(固定)されている。また、2つのマグネット5、6は、ロータプレート4の回転中心軸線(O)を中心とした同一円周上において、所定の位相差(例えば80°の回転角度差)を持って設置(固定)されている。具体的には、ロータプレート4の回転方向に所定の距離(例えばバルブ全閉位置からバルブ全開位置に至るまでの距離)だけ離れた別々の位置(つまり全閉位置に対応した位置、全開位置に対応した位置)に2つのマグネット5、6が固定されている。
【0049】
ここで、バルブ全閉時、つまりマグネット5の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップを隔てて対向して配置される時に、マグネット6の磁力線、あるいはマグネット6の磁極面から発生した磁束の影響を磁気センサ7が受けない程度、2つのマグネット5、6間の距離を開けることが望ましい。逆に、バルブ全開時、つまりマグネット6の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップを隔てて対向して配置される時に、マグネット5の磁力線、あるいはマグネット5の磁極面から発生した磁束の影響を磁気センサ7が受けない程度、2つのマグネット5、6間の距離を開けることが望ましい。
【0050】
マグネット5は、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されて、バルブ全閉位置に対応した磁力を発生する第1磁力発生手段(第1磁石)である。このマグネット5は、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の一方側(図1(a)において図示上方側、図4(a)において図示右方側)に向いた磁極面の極性がN極とされ、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の他方側(図1(a)において図示下方側、図4(a)において図示左方側)に向いた磁極面の極性がS極とされている。
【0051】
マグネット6は、バルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されて、バルブ全開位置に対応した磁力を発生する第2磁力発生手段(第2磁石)である。このマグネット6は、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の一方側(図1(a)において図示上方側、図4(a)において図示右方側)に向いた磁極面の極性がN極とされ、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の他方側(図1(a)において図示下方側、図4(a)において図示左方側)に向いた磁極面の極性がS極とされている。
【0052】
そして、2つのマグネット5、6は、互いに異なる形状に形成されている。ここで、ロータプレート4の回転方向に沿った幅方向の寸法(サイズ)が異なる相似形状の2つのマグネット5、6も、互いに異なる形状に形成されたマグネットに該当するものとする。つまりマグネット5の磁極面の幅方向の寸法(サイズ)とマグネット6の磁極面の幅方向の寸法(サイズ)とが異なっている。すなわち、2つのマグネット5、6は、幅違いである。
具体的に、マグネット5の幅は、マグネット6の幅よりも小さい。これにより、図1(b)に示したように、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力信号(センサ出力電圧、ON電圧:V1)は、バルブ全閉時とバルブ全開時との間でセンサ出力時間が異なることになる。
【0053】
例えばロータプレート4の回転に伴って、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されたマグネット5の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップ(回転軸方向の隙間)を隔てて対向して配置された際(バルブ全閉時)に、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧は、バルブ全開時と比べてセンサ出力時間の比較的に短いON電圧(V1)となる。
また、ロータプレート4の回転に伴って、バルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されたマグネット6の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップ(回転軸方向の隙間)を隔てて対向して配置された際(バルブ全開時)に、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧は、バルブ全閉時と比べてセンサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)となる。
【0054】
磁気センサ7は、1つのホール素子を有する1つのホールICを使用している。この磁気センサ7のセンサリード出力端子は、ECU8に電気的に接続されている。
磁気センサ7は、2つのマグネット5、6のうちの少なくとも一方のマグネットの磁極面から発生し、磁気センサ7自身を通過する磁束密度の変化を検出する非接触式のホール素子(磁気検出素子)と、このホール素子の出力電圧(ホール電圧)を増幅する増幅回路とを一体化したホールICである。なお、ホールICの板厚方向の両側には、感磁面が形成されている。また、ホールICの板厚方向の両側に磁性体(磁性プレート)を設置しても良い。
【0055】
磁気センサ7は、ロータプレート4の対向面(2つのマグネット5、6の設置面)に対して所定の回転軸方向距離を隔てて対向するようにハウジング16のセンサ搭載部に設置されている。
磁気センサ7は、バルブ全閉時(本例では全閉位置近傍も含む)に、マグネット5の磁極面との間に所定のギャップを隔てて対向して配置される。なお、磁気センサ7の感磁面の幅方向の中心位置(全閉位置)において、マグネット5の磁力線が磁気センサ7の感磁面に対して略90°の交差角度で入射するように、マグネット5の磁極面と磁気センサ7の感磁面とを対向させることが望ましい。
【0056】
磁気センサ7は、バルブ全開時(本例では全開位置近傍も含む)に、マグネット6の磁極面との間に所定のギャップを隔てて対向して配置される。なお、磁気センサ7の感磁面の幅方向の中心位置(全開位置)において、マグネット6の磁力線が磁気センサ7の感磁面に対して略90°の交差角度で入射するように、マグネット6の磁極面と磁気センサ7の感磁面とを対向させることが望ましい。
磁気センサ7は、ON−OFFタイプのホール素子(非接触式の磁気検出素子)を含んで構成されている。この磁気センサ7は、自身を通過する磁束密度が所定値以上の高磁束密度の時、つまり2つのマグネット5、6のうちの少なくとも一方のマグネットの磁力線と自身の感磁面との交差角度が所定角度(略直角:90°)以上の時に、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)が最大値(ON電圧:V1)となるように構成されている。
【0057】
また、磁気センサ7は、自身を通過する磁束密度が所定値よりも低い低磁束密度の時、つまり2つのマグネット5、6のうちの少なくとも一方のマグネットの磁力線と自身の感磁面との交差角度が所定角度(略直角:90°)よりも小さい時に、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)が最小値(OFF電圧:V2、V3)となるように構成されている。
なお、2つのマグネット5、6のうちの少なくとも一方のマグネットの磁気変化、あるいは2つのマグネット5、6のうちの少なくとも一方のマグネットの磁力線が磁気センサ7の感磁面と交差する角度を検出するホール素子を使用しても良い。
【0058】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の可変吸気装置(内燃機関の可変吸気システム)の作用を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
【0059】
エンジンの低回転領域においては、バルブ1のシャフト2とリンクプレート11との間に挟み込まれたストッパレバー14が全閉ストッパ63に突き当たるまで、バルブ1がモータ9の駆動力によって閉弁作動方向に回転駆動される。これにより、バルブ1の開度(可変吸気制御弁のバルブ開度)が全閉開度の状態(全閉位置)となるように規制される。このとき、シャフト3に固定されたストッパレバー42の全閉ストッパ部は、アダプタ15の内周面に設けられる全閉ストッパ45との間に所定の隙間を隔てて対向して配置され、両者は接触しない。
【0060】
一方、ロータプレート4の回転に伴って、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されたマグネット5の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップ(回転軸方向の隙間)を隔てて対向して配置される。このようなバルブ全閉時には、磁気センサ7より出力されるセンサ出力電圧が、センサ出力時間の比較的に短いON電圧(V1)となる。
ECU8は、センサ出力時間の比較的に短いON電圧(V1)を検出すると、バルブ1の開度が全閉位置に到達したと判断して、モータ9への電力の供給を停止する。つまりモータ9をOFFする。
【0061】
このような可変吸気制御弁のバルブ全閉時には、サージタンク22のサージタンク室25の壁面で開口した入口ポート26から分岐吸気通路31のみに吸入空気が流入する。そして、分岐吸気通路31に流入した吸入空気は、吸気バルブが開弁している吸気ポートに連通する共通吸気通路34から燃焼室内に導入される。
このとき、サージタンク22のサージタンク室25から2つの分岐吸気通路31、32の合流部33までの吸気通路長は、比較的に長い通路長となる。
これにより、エンジンの慣性過給効果を利用した低回転領域における吸入空気量の充填効率を良好なものとすることができるので、エンジン出力を向上することができる。
【0062】
エンジンの高回転領域においては、ストッパレバー14が全開ストッパ64に突き当たるまで、バルブ1がモータ9の駆動力によって開弁作動方向に回転駆動される。これにより、バルブ1の開度が全開開度の状態(全開位置)となるように規制される。このとき、シャフト3に固定されたストッパレバー42の全開ストッパ部は、アダプタ15の内周面に設けられる全開ストッパ46との間に所定の隙間を隔てて対向配置され、両者は接触しない。
ここで、本実施例の可変吸気装置では、分岐吸気通路31よりも分岐吸気通路32の方が吸気通路長が短く、分岐吸気通路32を通過する吸入空気の圧力損失(通風抵抗)の方が分岐吸気通路31を通過する吸入空気の圧力損失(通風抵抗)よりも小さいため、サージタンク室25内に導入される吸入空気は、分岐吸気通路31よりも分岐吸気通路32の方に流れ込み易い。
【0063】
一方、ロータプレート4の回転に伴って、バルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されたマグネット6の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップ(回転軸方向の隙間)を隔てて対向して配置される。このようなバルブ全開時には、磁気センサ7より出力されるセンサ出力電圧が、センサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)となる。
ECU8は、センサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)を検出すると、バルブ1の開度が全開位置に到達したと判断して、モータ9への電力の供給を停止する。つまりモータ9をOFFする。
【0064】
このような可変吸気制御弁のバルブ全開時には、サージタンク22のサージタンク室25の壁面で開口した入口ポート27から分岐吸気通路32に吸入空気が流入する。そして、分岐吸気通路32に流入した吸入空気は、吸気バルブが開弁している吸気ポートに連通する共通吸気通路34から燃焼室内に導入される。
このとき、サージタンク22のサージタンク室25から2つの分岐吸気通路31、32の合流部33までの吸気通路長は、比較的に短い通路長となる。また、サージタンク22のサージタンク室25から2つの分岐吸気通路31、32の合流部33までの吸気通路断面積は、分岐吸気通路31のみが開放されている場合と比べて広い断面積となる。
これにより、エンジンの慣性過給効果を利用した高回転領域における吸入空気量の充填効率を良好なものとすることができるので、エンジン出力を向上することができる。
【0065】
[実施例1の検出方法]
次に、本実施例の内燃機関の可変吸気システムのバルブ開度(バルブ回転角度)を検出する回転角度検出装置による全閉位置、全開位置、中間固着故障および開オーバーターン故障の検出方法を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
【0066】
先ず、バルブ全閉時には、全閉位置に対応した部位に設置されたマグネット5の磁極面(極性がS極)と磁気センサ7の感磁面とが所定のギャップを隔てて対向(相対)して配置される。この場合、マグネット5の磁力線と磁気センサ7の感磁面との交差角度が所定角度(略90°)以上となるので、磁気センサ7自身を通過する磁束密度が所定値以上の高磁束密度となる。これにより、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力信号(センサ出力電圧:Vout)がセンサ出力時間の比較的に短いON電圧(V1)となる。
このとき、ECU8は、磁気センサ7から入力したセンサ出力電圧に基づいてバルブ1の開度を判断する。ECU8は、磁気センサ7のセンサ出力電圧が、センサ出力時間の比較的に短いON電圧(V1)であるため、内燃機関の可変吸気システムのバルブ開度が全閉位置に到達したと判断し、メモリに記憶する。
【0067】
ここで、バルブ1が全閉位置から開弁作動方向に回転駆動されると、ロータプレート4の回転に伴ってマグネット5の磁力線と磁気センサ7の感磁面との交差角度が所定角度から外れるため、磁気センサ7自身を通過する磁束密度が所定値よりも低い低磁束密度となる。これにより、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)が、ON電圧(V1)よりも低いOFF電圧(V2)となる。
このとき、ECU8は、モータ9に電力を供給(バルブ1を開弁作動方向に駆動する側へ通電)しており、磁気センサ7の出力が、上記のON電圧(V1)から切り替わったOFF電圧(V2)であるため、内燃機関の可変吸気システムのバルブ開度(バルブ回転角度)が、全閉位置と全開位置との中間の位置(中間位置)にあると判断し、メモリに記憶する。
【0068】
次に、バルブ全開時には、全開位置に対応した部位に設置されたマグネット6の磁極面(極性がS極)と磁気センサ7の感磁面とが所定のギャップを隔てて対向(相対)して配置される。この場合、マグネット6の磁力線と磁気センサ7の感磁面との交差角度が所定角度(略90°)以上となるので、磁気センサ7自身を通過する磁束密度が所定値以上の高磁束密度となる。これにより、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)がセンサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)となる。
このとき、ECU8は、磁気センサ7から入力したセンサ出力電圧に基づいてバルブ1の開度を判断する。ECU8は、磁気センサ7のセンサ出力電圧が、センサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)であるため、内燃機関の可変吸気システムのバルブ開度が全開位置に到達したと判断し、メモリに記憶する。
【0069】
ここで、磁気センサ7より出力されるセンサ出力電圧(実バルブ開度)と、エンジン回転速度等より演算される目標バルブ開度(全閉位置または全開位置)とを比較して、所定時間が経過しても、実バルブ開度が目標バルブ開度(全閉位置または全開位置)に到達しない場合、バルブ1が中間位置で固着する中間固着故障が考えられる。この場合、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)は、ON電圧(V1)よりも低いOFF電圧(V2)のまま所定時間以上継続される。
このとき、ECU8は、磁気センサ7から入力したセンサ出力電圧がOFF電圧(V2)であり、しかもそのOFF電圧(V2)が所定時間以上継続しているため、内燃機関の可変吸気システムの故障、つまり中間固着故障であると判断し、メモリに記憶する。
【0070】
また、本実施例の内燃機関の可変吸気システムにおいては、バルブ全開時にバルブ1のシャフト2とリンクプレート11との間に挟み込まれたストッパレバー14が全開ストッパ64に係止されるように構成されている。このとき、バルブ1のシャフト2とロータプレート4のシャフト3とを連結するリンク機構(3つのリンクプレート11〜13等)に位相ズレが生じていると、ストッパレバー14が全開ストッパ64に突き当たる前に、シャフト3に固定されたストッパレバー42の全開ストッパ部が全開ストッパ46に衝突する。つまりバルブ全開時にストッパレバー42の全開ストッパ部が全開ストッパ46に突き当たるまで、バルブ1が過回転してしまう開オーバーターン故障となる。
この場合、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)は、ON電圧(V1)よりも低いOFF電圧(V3)となる。
このとき、ECU8は、センサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)を通り越して、OFF電圧(V3)を入力することになるため、内燃機関の可変吸気システムの故障、つまり開オーバーターン故障であると判断し、メモリに記憶する。
【0071】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の可変吸気装置(内燃機関の可変吸気システム)においては、マグネット5の磁極面の幅方向の寸法(サイズ)とマグネット6の磁極面の幅方向の寸法(サイズ)とが異なっている。すなわち、2つのマグネット5、6は、ロータプレート4の回転方向に沿った幅方向の寸法(サイズ)が異なる相似形状(直方体形状)のフェライト磁石である。
【0072】
また、ロータプレート4は、その回転中心軸線(O)を中心とした同一円周上において所定の位相差(例えば80°の回転角度差)を持って2つのマグネット5、6を設置(固定)している。ロータプレート4は、ロータプレート4の回転方向に所定の距離を隔てて2つのマグネット5、6を設置(固定)している。
具体的には、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)にマグネット5を設置し、且つバルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)にマグネット6を設置している。これにより、マグネット5、6は、バルブ全閉位置からバルブ全開位置に至るまでの距離(例えば80°)だけ離れた位置に固定されている。
【0073】
これによって、バルブ全閉時における磁気センサ7よりECU8に出力されるON電圧(V1)のセンサ出力時間(磁気センサON電圧出力時間)と、バルブ全開時における磁気センサ7よりECU8に出力されるON電圧(V1)のセンサ出力時間とを異ならせることができる。
したがって、単純に磁気センサ7として1個のON−OFFタイプのホールICを使用し、2個のフェライト磁石(マグネット5、6)を使用した場合であっても、磁気センサ7よりECU8に出力されるON電圧(V1)のセンサ出力時間の違いに基づいてバルブ位置(実バルブ開度)を容易に特定することができるので、バルブ全閉位置とバルブ全開位置との判別(検出)を的確に行うことができる。
【0074】
また、単純に磁気センサ7として1個のON−OFFタイプのホールICを使用し、2個のフェライト磁石(マグネット5、6)を使用した場合であっても、磁気センサ7よりECU8に出力されるON電圧(V1)のセンサ出力時間の違いに基づいてバルブ位置(実バルブ開度)を容易に検出することができる。
例えばセンサ出力時間の比較的に短いON電圧(V1)を検出した後に、バルブ1を開弁作動方向に回転駆動するようにモータ9を通電制御することで、磁気センサ7のセンサ出力電圧がON電圧(V1)よりも低いOFF電圧(V2)となったら、バルブ位置(実バルブ開度)が全閉位置と全開位置との中間位置(中間開度)であると判断できる。
【0075】
また、センサ出力時間の比較的に長いON電圧(V1)を検出した後に、モータ9への電力の供給を継続して、磁気センサ7のセンサ出力電圧がON電圧(V1)よりも低いOFF電圧(V3)となったら、リンク機構の位相ズレ、あるいは全開ストッパ64の脱落等に伴う、バルブ1が全開位置を通り越して過回転する開オーバーターン故障であると判断できる。
したがって、単純に磁気センサ7として1個のON−OFFタイプのホールICを使用し、2個のフェライト磁石(マグネット5、6)を使用した場合であっても、バルブ1の開オーバーターン故障なのか、あるいはバルブ1の中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うことができる。また、バルブ1の開オーバーターン故障を検出できるので、バルブ1のシャフト2とロータプレート4のシャフト3とを連結するリンク機構(3つのリンクプレート11〜13等)の位相ズレの検出が可能となる。
【0076】
また、アクチュエータの可動範囲内で可変吸気システムの故障検出を実施することができるので、バルブ1が所定時間以上経過しても、いつまでたっても目標バルブ開度に到達しない故障(エミッション、ドライバビリティに影響が出る)、例えばリンク機構(3つのリンクプレート11〜13等)の変形等の故障を検出することができる。
また、2つのマグネット5、6として、プラスチックマグネット(樹脂磁石)よりも安価なフェライト磁石を使用しているので、回転角度検出装置(バルブ開度センサ)の製品コストを低減することができる。また、磁気センサ7として、リニアタイプよりも安価なON−OFFタイプのホール素子を含んで構成される1個のホールICを使用しているので、回転角度検出装置(バルブ開度センサ)の製品コストを更に低減することができる。
【実施例2】
【0077】
図6は本発明の実施例2を示したもので、図6(a)は回転角度検出装置(バルブ開度センサ)を示した図で、図6(b)はバルブ開度に対するセンサ出力電圧の変化を示した図である。
【0078】
本実施例のロータプレート4は、その回転中心軸線(O)を中心とした同一円周上に所定の位相差(例えば80°の回転角度差)を持って2つのマグネット5、6を設置(固定)している。これらのマグネット5、6は、実施例1と同様に、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向に磁力線が向くように着磁された直方体形状のフェライト磁石である。そして、2つのマグネット5、6は、ロータプレート4の回転方向に所定の距離(例えば80°)だけ離れた位置に固定されている。
【0079】
本実施例のマグネット5は、バルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されて、バルブ全開位置に対応した磁力を発生する第1磁力発生手段(第1磁石)である。このマグネット5は、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の一方側(図6(a)において図示上方側)に向いた磁極面の極性がN極とされ、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の他方側(図6(a)において図示下方側)に向いた磁極面の極性がS極とされている。
【0080】
本実施例のマグネット6は、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されて、バルブ全閉位置に対応した磁力を発生する第2磁力発生手段(第2磁石)である。このマグネット6は、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の一方側(図6(a)において図示上方側)に向いた磁極面の極性がN極とされ、ロータプレート4の回転中心軸線(O)と平行な回転軸方向の他方側(図6(a)において図示下方側)に向いた磁極面の極性がS極とされている。
【0081】
本実施例の磁気センサ7は、自身を通過する磁束密度の変化に対応して連続的に変化するセンサ出力信号(センサ出力電圧:Vout)をECU8に出力するリニアタイプのホール素子を含むホールICにより構成されている。なお、ホールICの板厚方向の両側には、感磁面が形成されている。また、ホールICの板厚方向の両側に磁性体(磁性プレート)を設置しても良い。
磁気センサ7は、自身を通過する磁束密度が高磁束密度である程、あるいは磁力または磁気の強さに対応して、あるいは磁力線の本数が多い程、ECU8に出力されるセンサ出力電圧(Vout)が高くなるように構成されている。
【0082】
本実施例の内燃機関の可変吸気システムのバルブ開度(バルブ回転角度)を検出する回転角度検出装置(バルブ開度センサ)では、図6(a)に示したように、2つのマグネット5、6の形状が互いに異なる形状に形成されている。ここで、ロータプレート4の回転中心軸線方向と平行な回転軸方向の寸法(サイズ)が異なる相似形状(直方体形状)のマグネットも、互いに異なる形状のマグネットに該当するものとする。つまりマグネット5の回転軸方向の寸法(サイズ)とマグネット6の回転軸方向の寸法(サイズ)とが異なっている。すなわち、2つのマグネット5、6は、高さ違いである。
【0083】
具体的には、2つのマグネット5、6の磁極面(磁性がN極)を同一平面上に配置した場合、マグネット5の磁極面(磁性がN極)から磁極面(磁性がS極)までの回転軸方向の寸法(高さ方向の寸法)は、マグネット6の磁極面(磁性がN極)から磁極面(磁性がS極)までの回転軸方向の寸法(高さ方向の寸法)よりも低い。これにより、マグネット5の磁極面(極性がS極)よりもマグネット6の磁極面(極性がS極)の方が磁気センサ7に近くなり、マグネット5の磁極面と磁気センサ7の感磁面との間のギャップ長よりもマグネット6の磁極面と磁気センサ7の感磁面との間のギャップ長の方が短くなる。
したがって、図6(b)に示したように、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧(ON電圧V1、V3)は、バルブ全開時とバルブ全閉時との間でセンサ出力電圧のレベルが異なることになる。
【0084】
例えばロータプレート4の回転に伴って、バルブ全閉位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されたマグネット6の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップ(回転軸方向の隙間)を隔てて対向して配置された際(バルブ全閉時)には、バルブ全開時におけるマグネット5と磁気センサ7との距離(ギャップ長)に比べて、マグネット6と磁気センサ7との距離(ギャップ長)が小さくなるので、2つのマグネット5、6の磁力や磁気特性が同程度であるならば、磁気センサ7に付与される磁力が強くなる。これにより、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧は、バルブ全開時と比べてセンサ出力電圧(レベル)が高いON電圧(V1)となる。
【0085】
また、ロータプレート4の回転に伴って、バルブ全開位置に対応した部位(ロータプレート端面)に設置されたマグネット5の磁極面と磁気センサ7の感磁面とがギャップ(回転軸方向の隙間)を隔てて対向して配置された際(バルブ全開時)には、バルブ全閉時におけるマグネット6と磁気センサ7との距離(ギャップ長)に比べて、マグネット5と磁気センサ7との距離(ギャップ長)が大きくなるので、2つのマグネット5、6の磁力や磁気特性が同程度であるならば、磁気センサ7に付与される磁力が弱くなる。これにより、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧は、バルブ全閉時と比べてセンサ出力電圧(レベル)が低いON電圧(V3)となる。
また、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧は、バルブ1が全閉位置と全開位置との中間の中間開度にある場合、バルブ全閉時およびバルブ全開時と比べてセンサ出力電圧(レベル)が低いON電圧(V2)となる。また、開オーバーターン故障時には、磁気センサ7よりECU8に出力されるセンサ出力電圧が、ON電圧(V2)と同程度のON電圧(V4)となる。
【0086】
以上のように、本実施例の可変吸気装置(内燃機関の可変吸気システム)においては、実施例1と同様に、単純に磁気センサとして1個のリニアタイプのホールICを使用し、2個のフェライト磁石(マグネット5、6)を使用した場合であっても、バルブ全閉位置とバルブ全開位置との判別(検出)を的確に行うことができる。
また、単純に磁気センサとして1個のリニアタイプのホールICを使用し、2個のフェライト磁石(マグネット5、6)を使用した場合であっても、バルブ1の開オーバーターン故障なのか、あるいはバルブ1の中間固着故障なのかの識別(検出)を容易に行うことができる。
また、バルブ1の開オーバーターン故障を検出できるので、バルブ1のシャフト2とロータプレート4のシャフト3とを連結するリンク機構(3つのリンクプレート11〜13等)の位相ズレの検出が可能となる。
【0087】
[変形例]
本実施例では、可変吸気制御弁の弁体であるバルブ1を回転駆動するアクチュエータを、モータ9と動力伝達機構(例えば歯車減速機構およびリンク機構等)とを含んで構成される電動アクチュエータによって構成したが、可変吸気制御弁の弁体であるバルブ1を駆動するアクチュエータを、負圧制御弁および電動バキュームポンプを備えた負圧作動式アクチュエータや、電磁式アクチュエータによって構成しても良い。
【0088】
本実施例では、アクチュエータを、エンジン回転速度に対応してインテークマニホールド(ケーシング)23の吸気通路の通路長を2段階に切り替えるバルブ1のバルブ開度(バルブ位置)を一括変更することが可能なバルブ駆動装置(アクチュエータ)に適用しているが、アクチュエータを、エンジン回転速度に対応してケーシングの吸気通路の通路断面積を2段階以上に連続的または段階的に切り替える複数の吸気制御バルブ(移動体)のバルブ開度(バルブ位置)を一括変更することが可能なバルブ駆動装置(アクチュエータ)に適用しても良い。
また、可変吸気制御弁の弁体であるバルブ1は、多連一体型のバルブに限定されず、内燃機関の吸気通路等の流体流路に設置されるバルブであれば、1個のバルブでも良い。
【0089】
ここで、バルブ等の移動体として、本実施例のバルブ1の他に、吸入空気量制御装置のスロットルバルブや回転速度制御バルブ、吸気渦流発生装置の吸気流制御バルブ(タンブル流制御バルブやスワール流制御バルブ)、排気ガス再循環装置の排気ガス還流量制御バルブ等を使用しても良い。
また、バルブ等の移動体として、バタフライバルブ方式の回転型バルブの他に、片開き式の回転型バルブ、ロータリー型のバルブ、ポペット型のバルブ、シャッター式のバルブ、一辺のみ支持されたドア型のバルブに適用しても良い。
また、本実施例のアクチュエータの歯車減速機構は、2段減速であるが、1段減速あるいは3段減速以上の歯車減速機構でも良い。
【0090】
本実施例では、互いに異なる形状に形成された第1、第2磁石(マグネット)として、サイズのみ異なる相似形状のマグネット5、6を使用しているが、互いに異なる形状に形成された第1、第2磁石(マグネット)として、円柱体形状と直方体形状とのように互いに異なる形状に形成された第1、第2磁石(マグネット)を使用しても良い。また、リング状のマグネット、三角柱体形状のマグネット、四角柱体形状のマグネット等を使用しても良い。
実施例1では、ON−OFFタイプのホール素子(磁気検出素子)を含んで構成されるホールICからなる磁気センサ7を使用しているが、リニアタイプのホール素子(磁気検出素子)を含んで構成されるホールICからなる磁気センサ7を使用しても良い。
実施例2では、リニアタイプのホール素子(磁気検出素子)を含んで構成されるホールICからなる磁気センサ7を使用しているが、ON−OFFタイプのホール素子(磁気検出素子)を含んで構成されるホールICからなる磁気センサ7を使用しても良い。
また、磁気検出素子として、ホール素子単体、磁気抵抗素子等の他の磁気検出素子を使用しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 バルブ(可変吸気制御弁の弁体)
2 シャフト(バルブの回転軸)
3 シャフト(ロータの回転軸)
4 ロータプレート
5 マグネット(第1磁石)
6 マグネット(第2磁石)
7 磁気センサ
8 ECU(エンジン制御ユニット、回転速度検出手段)
9 モータ
11 リンクプレート(リンク機構、第1リンク部材)
12 リンクプレート(リンク機構、第2リンク部材)
13 リンクプレート(リンク機構、第3リンク部材)
22 サージタンク
23 インテークマニホールド
24 エンジン本体
31 分岐吸気通路(第1吸気通路)
32 分岐吸気通路(第2吸気通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)バルブの回転に連動して回転するロータと、
(b)このロータの回転方向に所定の位相差を持って設置され、前記ロータの回転軸と平行な軸方向に磁力線が向くように着磁された2つの第1、第2磁石と、
(c)前記ロータの回転に伴う磁束密度の変化に対応した信号を出力する磁気センサとを備えた回転角度検出装置において、
前記ロータは、前記バルブの全閉位置または全開位置に対応した位置に前記第1磁石を設置し、且つ前記バルブの全開位置または全閉位置に対応した位置に前記第2磁石を設置しており、
前記第1磁石または前記第2磁石は、前記第2磁石の形状または前記第1磁石の形状と異なる形状を有していることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転角度検出装置において、
前記バルブは、内燃機関の吸気通路を開閉することを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の回転角度検出装置において、
前記内燃機関の吸気通路は、前記内燃機関の燃焼室とサージタンクとを連通し、互いに吸気通路長が異なる2つの第1、第2吸気通路を有し、
前記バルブは、前記2つの第1、第2吸気通路のうち吸気通路長が短い方の吸気通路を開閉することを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、
前記バルブと前記ロータとを連結する複数のリンクプレートと、前記ロータおよび前記複数のリンクプレートを介して、前記バルブを回転駆動するアクチュエータとを備えたことを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、
前記第2磁石の形状または前記第1磁石の形状と異なる形状とは、
前記第2磁石の幅または前記第1磁石の幅と異なる形状のことであることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、
前記第2磁石の形状または前記第1磁石の形状と異なる形状とは、
前記第2磁石の高さまたは前記第1磁石の高さと異なる形状のことであることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、
前記磁気センサは、ON−OFFタイプの磁気検出素子を含んで構成されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、
前記磁気センサは、リニアタイプの磁気検出素子を含んで構成されていることを特徴とする回転角度検出装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の回転角度検出装置において、
前記2つの第1、第2磁石は、フェライト磁石であることを特徴とする回転角度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−256061(P2010−256061A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103789(P2009−103789)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】