回転遊技部品
【課題】 後続球が回転体の切欠部の後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、球噛みや、特定領域に停留球と後続球とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる回転遊技部品を提供する。
【解決手段】 本発明の回転遊技部品は、遊技盤の遊技領域に取付けられるベース21と、ベース21の前面に回転可能に設けられた回転体52と、ベース21の裏側に設けられた回転体の駆動源としてのモータと、回転体52の周面65から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部66と、回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての例えば下レンズ体25とを備え、切欠部66における回転体52の周面65から回転体52の中心方向への深さDが1個の球Pの直径よりも浅く形成された。
【解決手段】 本発明の回転遊技部品は、遊技盤の遊技領域に取付けられるベース21と、ベース21の前面に回転可能に設けられた回転体52と、ベース21の裏側に設けられた回転体の駆動源としてのモータと、回転体52の周面65から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部66と、回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての例えば下レンズ体25とを備え、切欠部66における回転体52の周面65から回転体52の中心方向への深さDが1個の球Pの直径よりも浅く形成された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ機の遊技領域に回転可能に設けられた回転体を備えた回転遊技部品であって、回転体が回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機枠に収納された遊技盤の前面に振り分け装置が取付けられ、振り分け装置が回転遊技部品を備えたパチンコ機が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この回転遊技部品は回転体を備え、回転体を構成する円柱体の周面の一部には円柱体の周面から円柱体の中心方向に窪む断面弧状の切欠部が形成される。切欠部は回転体を形成する円柱体の軸中心に沿ってまっすぐに延長して設けられる。切欠部は1個の球を取り込むことができる。すなわち、回転体は、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ形状に形成されて、1個の球を取り込む切欠部を備える。回転体は、円柱体の軸中心が遊技盤に取付けられた振り分け装置のベースの前面に直交する方向に沿った向きに配置されて、ベースの裏側に設けられた駆動源からの回転力を伝達する軸が軸中心に固定され、円柱体の軸中心を回転中心として回転する。すなわち、回転遊技部品は、遊技盤の遊技領域に取付けられる振り分け装置のベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部とを備える。
【特許文献1】特開2004−49898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
振り分け装置内において、図11(a)に示すように特許文献1の回転体100が振り分け装置200の図外の上方の球取込口より流下してくる球Pを切欠部101で取り込むことができる位置に設けられていて、回転体100が切欠部101内に球Pを取り込んだ状態で停止している場合に、次のような課題がある。特許文献1の回転遊技部品201の回転体100の切欠部101の断面形状は、円柱体の中心側である切欠部101の底頂部102から円柱体の外周面に向けて左右に広がるような円弧の凹形状に形成され、切欠部101における回転体100の周面から回転体100の中心方向への深さD1が1個の球Pの直径の長さ以上に形成される。すなわち、1個の球Pが切欠部101に取り込まれた場合、その取り込まれた球Pの外周は、切欠部101の左右の端縁103;104を結ぶ円柱体の外周面に相当する外周面相当線105と同じかこの外周面相当線105より回転体100の中心C側に位置する。1個の球Pが切欠部101に取り込まれて切欠部101に停留している状態において振り分け装置200の上方の球取込口より取り込まれた後続球P1が振り分け装置のベース106の前面から前方に突出する隔壁107で区切られた球通路108を経由して切欠部101の方向に流下してきた場合には、通常は、後続球P1が停留球Pに衝突して隔壁110;111で区切られた球誘導路112;113により、後続球P1が図外の排出口に排出される。隔壁110;111は、先の球Pを取り込んだ状態で停止している回転体100の切欠部101の左右の端縁103;104の位置より少し下方の位置で回転体100の周面109の位置から若干離れた位置におけるベース106の前面から前方に突出しかつ左右に延長する。しかし、後続球P1が切欠部101に停留している停留球Pと切欠部101の左右の端縁103;104のいずれかとの間(以下、「後続球停留部」と称す)にはまり込むことがある。つまり、切欠部101が開放側を上に向けて切欠部101内に1個の球Pを取り込んで停止している状態において、切欠部101に入っている停留球Pの表面114と切欠部101の左右の端縁103;104のいずれかとで形成された接触部115を備え、接触部115が、切欠部101の方向に流下してくる後続球P1の表面116と接触して当該後続球P1を後続球停留部に停止させ、かつ、停止させた後続球P1の重心Gを、切欠部101の端縁103;104の真上より停留球P側に位置させる。このように、後続球停留部にはまり込んだ後続球P1の重心Gが、切欠部101の端縁103;104の位置より停留球P側に位置する場合には、回転体100が回転したとしても、後続球P1が後続球停留部にはまり込んだ状態から抜けにくくなって球誘導路112;113に移動せず、排出口より排出されない場合がある。この後続球停留部に後続球P1がはまり込んでいる状態が継続すると、例えばさらなる後続球が切欠部101の方向に流下してきた場合に球噛みを生じたり、上記隔壁110や111で区画された回転体100の左領域120、右領域121のうちの1つの領域に設定された特定領域に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうことがある。三種と言われるパチンコ機では、特定領域に2個以上の球が続けて投入された場合には遊技者に有利な権利状態が消滅してしまうように設定されている場合があり、このように設定されている場合には、特定領域に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまって権利が消滅してしまうという問題があった。
【0004】
また、図11(a)及び図11(a)のA−A断面に相当する図11(b)に示すように、回転体100の切欠部101の底面125は円弧面に形成されているので、上方から切欠部101内に入る球Pが底面125に衝突して上方(矢印X方向)に勢いよく跳ね返って切欠部101内から飛び出てしまうことがあった。尚、回転体100の裏側には回転体支持ベース130が位置決め部131で位置決めされて取付けられ、この回転体支持ベース130に図外の駆動源からの回転力を伝達する軸132がブッシュ133を用いて連結固定される。回転体100の前方には回転体100の前面135を覆う光透過性の有る振り分け装置200の前面パネル136が設けられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部における回転体の周面から回転体の中心方向への深さが1個の球の直径よりも浅く形成されたことを特徴とする。遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部には切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導する突起が設けられたことも特徴とする。突起が、切欠部のベース側の周面側から切欠部の前面パネル側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面を備えたこと、切欠部が開放側を上に向けて切欠部内に1個の球を取り込んで停止している状態において、切欠部に入っている停留球と切欠部の端縁とで形成された接触部を備え、接触部が、切欠部に流下してくる後続球と接触して当該後続球を停留球と切欠部の端縁との間に停止させ、かつ、停止させた後続球の重心を切欠部の端縁の真上より遊技領域の端側に位置させたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、切欠部における回転体の周面から回転体の中心方向への深さが1個の球の直径よりも浅く形成されたので、後続球が後続球停留部にはまり込む深さが浅くなるので、後続球が後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、従って、球噛みや、特定領域に停留球と後続球とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。また、切欠部には切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導する突起を備えたので、切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導させることができ、球が切欠部から飛び出すことを防止できる。突起が、切欠部のベース側の周面側から切欠部の前面パネル側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面を備えたので、傾斜面により、球を前面パネルの方向でかつ下方向に誘導させることができ、切欠部からの球の飛び出しをより効果的に防止できる。接触部が、停留球と切欠部の端縁との間で形成された後続球停留部に停止させた後続球の重心を、切欠部の端縁の真上より遊技領域の端側に位置させたので、回転体が回転することにより、後続球が後続球停留部から外れやすくなり、後続球停留部に後続球を長い間係留するような状態を回避できる。従って、球噛みや、特定領域に停留球と後続球とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1−図8は、本発明における最良の形態である。図1は振り分け装置に設けられた回転遊技部品の回転体を示し、(a)は回転体及びその付近を正面から示し、(b)は(a)のA−A断面を示し、図2は振り分け装置を備えたパチンコ機を示し、図3は振り分け装置を分解して示し、図4は振り分け装置の外観を示し、図5は遊技盤に取付けられた振り分け装置を示し、図6は回転遊技部品を構成する回転体ユニットを示し、図7は回転体ユニットの外観を示し、図8は振り分け装置内の球経路を示す。
【0008】
図2は三種と言われるパチンコ機1を図示している。パチンコ機1は、遊技盤2が遊技機枠3内に収納されて構成される。図2に図示された遊技盤2の前面4には図柄表示装置5、図柄始動入賞装置6、振り分け装置7、第三種入賞装置8、可変入賞装置9、一般入賞装置10、風車11、釘12、ガイドレール13などの遊技部品を備え、遊技盤2の裏側には図外の制御装置、球樋などの遊技部品を備える。遊技盤2の前面4の前方には光透過性の有る前面パネル15が設けられる。振り分け装置7は回転遊技部品20を備える。
【0009】
図3〜図5に示すように、振り分け装置7は、遊技盤2の前面4に止ねじ43で取付けられるベース21と、ベース21の前面22に組み付けられる一対の開閉体23;23、上レンズ体24、前面パネルとしての下レンズ体25、左レンズ体26、右レンズ体27、前飾り28からなる前部品29と、ベース21の裏面31側からベース21に組み付けられる開閉体駆動ユニット32、上可動片ユニット33、下可動片ユニット34、回転体ユニット35、及び裏カバー36からなる裏部品37とで構成される。すなわち、振り分け装置7は、特に、図4に示すように、ベース21の前面22に前部品29が組み付けられ、ベース21の裏面31に裏部品37が組み付けられて構成される。特に、図5に示すように、振り分け装置7は、遊技盤2に形成された逃げ孔38に遊技盤2の前面4側から裏部品37側が挿入されて、ベース21の裏面31に設けられた位置決め部材40を遊技盤2の前面4に形成された位置決め孔41にはめ込んで位置決めを行い、逃げ孔38の周囲における遊技盤2の前面4にベース21の裏面31を接触させた状態でベース21の取付貫通孔42に止ねじ43を通してベース21を遊技盤2の前面4に締結することで、遊技盤2の前面4に取付けられる。
【0010】
図6;7に示すように、回転体ユニット35は、回転体ユニットベース51と、回転体ユニットベース51に組み付けられる回転体52、回転体支持ベース53、軸54、ブッシュ55、原点検出用回転体カム56、駆動源としてのモータ57からなる回転体駆動ユニット58と、原点検出スイッチ基板59、後述する外れ領域に設けられた球検出スイッチ60、特定領域に設けられた球検出スイッチ61、これらスイッチを保持するスイッチホルダ62からなるスイッチユニット63とで構成される。すなわち、回転体ユニット35は、図7に示すように、回転体ユニットベース51に回転体駆動ユニット58とスイッチユニット63とが組み付けられて構成される。
【0011】
図1に示すように、回転体ユニット35の回転体52は、円柱体52Aから形成され、円柱体52Aの周面65の一部に円柱体の周面65から円柱体52Aの中心(軸中心)Cの方向に窪む断面弧状の切欠部66を備える。切欠部66は円柱体52Aの軸中心Cに沿って円柱体52Aの前面67及び裏面68にまっすぐに延長して前後に開放する。切欠部66には1個の球Pを取り込むことができる。回転体支持ベース53は、回転体52を形成する円柱体52Aの円径と同径の円盤体により形成される。図6に示すように、回転体支持ベース53の中央には回転体支持ベース53の前面69及び裏面70に貫通するブッシュ取付孔71が形成され、前面69には回転体52の裏面68に形成された位置決め突起72(図1(b)参照)及び図外の係合孔及び係合突起と係合する位置決め突孔73及び係合突起74及び係合孔75が形成される。従って、回転体支持ベース53の前面69側からブッシュ取付孔71にブッシュ55を取付けておき、回転体支持ベース53の前面69と回転体52の裏面68とが上記係合孔と係合突起とのはめ合いにより互いに取付けられ、ブッシュ55の軸取付穴79(図1(b)参照)と軸54の前部とがはめ合いにより互いに取付けられ、軸54の後部とモータ57の回転軸57Aとが原点検出用回転体カム56を介して互いに結合される。以上により、モータ57の回転駆動力で回転体52が回転する。回転体ユニット35は、振り分け装置7のベース21の裏側から取付けられ、回転体52がベース21に形成された引き出し孔21a(図3参照)を通過してベース21の前面22に引き出され、回転体支持ベース53の前面69とベース21の前面22とが同一面上で一致する状態に組み付けられる。これにより、回転体52の前面67には回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての下レンズ体25が位置する。
【0012】
さらに、回転体支持ベース53の前面69には回転体52の切欠部66内に突出して、切欠部66に入った球Pを前面パネルとしての下レンズ体25の方向に誘導する突起76が設けられる。突起76は、回転体支持ベース53の周面77側から中心側に向けて下る傾斜面78を有する。
【0013】
図2に戻り、皿16からパチンコ機1内の図外の発射装置に取り込まれた球は発射操作装置(ハンドル)17の人による操作で発射装置より発射され、ガイドレール13に沿ってガイドレール13と前面パネル15と遊技盤2の前面4とで囲まれた遊技領域18に入る。三種のパチンコ機1では、遊技領域18に投入された球が図柄始動入賞装置6に入賞すると、この入賞信号が制御装置で検出され、制御装置が入賞信号の検出タイミングで当たり外れ抽選を行うとともに図柄表示装置5の図柄19を変動させる。制御装置は抽選の当たりで図柄表示装置5の図柄を当たり図柄で停止させるとともに振り分け装置7の上部に設けられた左右の開閉体23;23を互いに離れる方向に予め決められた回数だけ開閉する。開閉体23;23の開いている間に、開閉体23;23間の隙間から振り分け装置7内に球Pが入った後、球Pが特定の条件をクリアして特定の球検出器で検出されると、遊技者に有利な権利が設定される
【0014】
図8を参照し、振り分け装置7内に投入される球Pの経路を説明する。開閉体23;23間を経由して振り分け装置7内に入ってきた球Pが球検出器80を通過したことを示す検出信号が制御装置に送られ、制御装置は一定の球数の賞を遊技者に付与するとともに、球検出器80の下方に位置する球保持筒81の下に設けられた上可動片82をソレノイドなどの駆動源を駆動して決められた時間だけ前方に突出させる。よって、上可動片82が前方に突出している間は、球検出器80を通過した球Pを球保持筒81に1個だけ保持でき、開閉体23;23間を経由して取り込まれた2個目以降の球は球保持筒81に保持されている球Pに衝突して左右の上排出口83;83より排出される。決められた時間の経過後、制御装置は駆動源を駆動して上可動片82を後方に縮退させる。これにより、球保持筒81に保持されていた球Pは球通路84を流下して下可動片85の方向に流下する。下可動片85は例えば制御装置が球検出器80からの検出信号を検出した以後ソレノイドなどの駆動源を制御することで、常時前後に出没駆動される。従って、下可動片85が前方に突出しているタイミングのときに球Pが流下してきた場合には球Pは下可動片85に導かれて図の左側の中排出口86へと排出される。下可動片85が後方に没しているタイミングのときに球Pが流下してきた場合には球Pは下可動片85の下方に位置する球検出器87を通過して回転体52の切欠部66内に入り込む。球Pが球検出器87からの球検出信号が制御装置に出力されると、制御装置は球検出信号を入力したタイミングで当たり外れ抽選を行うとともに、図柄表示装置5の図柄19(図2参照)を変動させる。そして、当たり外れ抽選の結果が当たりであれば、図柄表示装置5の図柄19を当たり図柄で停止させ、回転体52を図8の右側に回転させる。これにより球Pは特定領域を通過して当たり口90に流下して図外の特定の球検出器で検出される。この検出信号が制御装置に出力されると、制御装置が当たり権利の発生を認識する。制御装置は当たり権利の発生を認識した場合に例えば図柄表示装置5の画面に「右打ちせよ」というようなガイドを表示する。右打ちにより球が第三種始動入賞装置8に入賞すれば制御装置が大入賞口9を前後開閉扉9aを開閉する当たり遊技を行う。当たり外れ抽選の結果が外れであれば、図柄表示装置5の図柄19を外れ図柄で停止させ、回転体52を図8の左側の回転させる。これにより回転体52の切欠部66の球Pは外れ領域120を通過して外れ口89に流下する。回転体52は、通常時は、図8のように切欠部66の開放側を上方に向けた位置で停止されていて、切欠部66内に球Pを取り込んだ後も当たり外れ抽選による図柄が図柄表示装置5に確定表示されるまで図8のように切欠部66の開放側を上方に向けた位置で停止したままで切欠部66に球Pが停留されている。従って、図1に示すように、切欠部66に球Pが停留されている状態において後続球P1が流下してくる場合がある。この場合、通常は、後続球P1は切欠部66に停留されている停留球Pに衝突して、隔壁110;111で区切られた球誘導路112;113により排出口88;88に排出される。
【0015】
本形態では、図1に示すように、回転体52の切欠部66の断面形状が、円柱体52Aの中心C側である切欠部66の底頂部66Eから円柱体52Aの周面65に向けて左右に広がるような弧状の凹部に形成され、切欠部66の間口、すなわち、図1の切欠部66の左右の端縁91;92間の水平距離の長さは1個の球Pの直径より長い。そして、切欠部66における回転体52の周面65から回転体52の中心方向への深さDが1個の球Pの直径よりも浅く形成される。すなわち、切欠部66の底頂部66Eから回転体52の外周面相当線93までの垂直距離の長さDは1個の球Pの直径より短い。従って、1個の球Pが切欠部66に取り込まれた場合、その取り込まれた球Pの外周は、切欠部66の左右の端縁91;92を結ぶ円柱体52Aの周面65に相当する外周面相当線93より突出する。本形態でも、後続球P1が切欠部66に停留している停留球Pと切欠部66の左右の端縁91;92のいずれかとの間(以下、「後続球停留部」と称す)にはまり込むことがあるが、はまり込む深さHが図11の構成よりも浅くなるので、後続球P1が排出口88に排出されやすくなる。従って、後続球P1が後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、従って、球噛みや、特定領域121に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【0016】
また、図1のように、後続球P1が後続球停留部にはまり込んだ場合でも、切欠部66に入っている停留球Pの表面94と切欠部66の左右の端縁91;92のいずれかとで形成された接触部95が、切欠部66に流下してくる後続球P1と接触して当該後続球P1を後続球停留部に停止させ、かつ、停止させた後続球P1の重心Gを切欠部66の端縁91;92の真上より遊技領域18の端側(図1の左右側)に位置させる。例えば、図1においては、接触部95が、停留球Pと切欠部66の端縁91との間で形成された後続球停留部に停止させた後続球P1の重心Gを、切欠部66の端縁91の真上より左側に位置させた構成を示している。このように構成されたことで、回転体52が回転することにより、後続球P1が後続球停留部から外れやすくなり、後続球停留部に後続球P1を長い間係留するような状態を回避できる。従って、球噛みや、特定領域121に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【0017】
さらに、本形態では、突起76の傾斜面78は、切欠部66のベース21側の周面65側から切欠部66の下レンズ体25(前面パネル)側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面である。本形態では、上述のように切欠部66の深さを浅くしたとともに突起76を備えたので、切欠部66の深さを浅くした構成であっても、切欠部66に入った球Pを図1(b)の矢印Fに示すように下レンズ体25の方向に誘導させることができるので、球Pが切欠部66から飛び出すことを防止できる。
【0018】
すなわち、切欠部66の深さを浅くするとともに突起76を備えたので、後続球停留部に後続球P1を長い間係留するような状態を回避できるとともに切欠部66から球Pが飛び出しにくい回転体52を備えた回転遊技部品20を得ることができる。また、突起76は下レンズ体25の方向に突出するものであればよいが、突起76として、切欠部66のベース21側の周面65側から切欠部66の下レンズ体25(前面パネル)側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面78を備えたものを用いた場合には、傾斜面78により、球を下レンズ体25の方向でかつ下方向に誘導させることができ、切欠部66からの球の飛び出しをより効果的に防止できる。尚、本形態において回転遊技部品20は、ベース21と、切欠部66を有する回転体52と、回転体52の駆動源としてのモータ57と回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての下レンズ体25とで構成される。
【0019】
他の例1
図9に他の例1を示す。尚、先に示した最良の形態の構成と同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、遊技盤2の遊技領域18に取付けられるベース21と、ベース21の前面22に回転可能に設けられた回転体52と、ベース21の裏側に設けられた回転体の駆動源としてのモータ57と、回転体52の周面65から回転体の中心方向に窪んだ1個の球Pを取り込む切欠部66と、回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての例えば下レンズ体25とを備え、切欠部66における回転体52の周面65から回転体52の中心方向への深さが1個の球Pの直径よりも浅く形成された構成の回転遊技部品20Aとした。この回転遊技部品20Aによれば、後続球P1が後続球停留部にはまり込む深さHが浅くなるので、後続球P1が後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、従って、球噛みや、特定領域121に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【0020】
他の例2
図10に他の例2を示す。尚、先に示した最良の形態及び図11の構成と同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、遊技盤2の遊技領域18に取付けられるベース21と、ベース21の前面22に回転可能に設けられた回転体100と、ベース21の裏側に設けられた回転体100の駆動源としてのモータ57と、回転体100の周面109から回転体100の中心方向に窪んだ1個の球Pを取り込む切欠部101と、回転体100の前面135を覆う光透過性の有る前面パネル136とを備え、切欠部101には切欠部101に入った球Pを前面パネル136の方向に誘導する突起76が設けられた構成の回転遊技部品20Bとした。すなわち、図11の回転体100の切欠部101に突起76設けた。この回転遊技部品20Bによれば、突起76を備えたので、切欠部101に入った球Pを前面パネル136の方向に誘導させることができ、球Pが切欠部101から飛び出すことを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
回転体支持ベース53は用いないで、回転体52に軸を連結して回転させてもよい。また、突起76は切欠部66の底に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の最良の形態による回転遊技部品の回転体を示す図であって、(a)は回転体及びその付近を示す正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図2】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置を備えたパチンコ機を示す正面図。
【図3】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置の分解図。
【図4】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置の斜視図。
【図5】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置が遊技盤に取付けられた状態を示す断面図。
【図6】最良の形態による回転遊技部品を構成する回転体ユニットの分解図。
【図7】最良の形態による回転遊技部品を構成する回転体ユニットの外観図。
【図8】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置内の球経路を示す図。
【図9】他の例1による回転遊技部品の回転体を示す正面図。
【図10】他の例2による回転遊技部品の回転体を示す正面図。
【図11】従来の回転遊技部品の回転体を示す図であって、(a)は回転体及びその付近を示す正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【符号の説明】
【0023】
1 パチンコ機、2 遊技盤、18 遊技領域、21 ベース、
25 下レンズ体(前面パネル)、52 回転体、57 モータ(駆動源)、
66 切欠部、76 突起、78 傾斜面、91;92 切欠部の端縁、95 接触部。
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ機の遊技領域に回転可能に設けられた回転体を備えた回転遊技部品であって、回転体が回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機枠に収納された遊技盤の前面に振り分け装置が取付けられ、振り分け装置が回転遊技部品を備えたパチンコ機が知られている(例えば、特許文献1等参照)。この回転遊技部品は回転体を備え、回転体を構成する円柱体の周面の一部には円柱体の周面から円柱体の中心方向に窪む断面弧状の切欠部が形成される。切欠部は回転体を形成する円柱体の軸中心に沿ってまっすぐに延長して設けられる。切欠部は1個の球を取り込むことができる。すなわち、回転体は、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ形状に形成されて、1個の球を取り込む切欠部を備える。回転体は、円柱体の軸中心が遊技盤に取付けられた振り分け装置のベースの前面に直交する方向に沿った向きに配置されて、ベースの裏側に設けられた駆動源からの回転力を伝達する軸が軸中心に固定され、円柱体の軸中心を回転中心として回転する。すなわち、回転遊技部品は、遊技盤の遊技領域に取付けられる振り分け装置のベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部とを備える。
【特許文献1】特開2004−49898号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
振り分け装置内において、図11(a)に示すように特許文献1の回転体100が振り分け装置200の図外の上方の球取込口より流下してくる球Pを切欠部101で取り込むことができる位置に設けられていて、回転体100が切欠部101内に球Pを取り込んだ状態で停止している場合に、次のような課題がある。特許文献1の回転遊技部品201の回転体100の切欠部101の断面形状は、円柱体の中心側である切欠部101の底頂部102から円柱体の外周面に向けて左右に広がるような円弧の凹形状に形成され、切欠部101における回転体100の周面から回転体100の中心方向への深さD1が1個の球Pの直径の長さ以上に形成される。すなわち、1個の球Pが切欠部101に取り込まれた場合、その取り込まれた球Pの外周は、切欠部101の左右の端縁103;104を結ぶ円柱体の外周面に相当する外周面相当線105と同じかこの外周面相当線105より回転体100の中心C側に位置する。1個の球Pが切欠部101に取り込まれて切欠部101に停留している状態において振り分け装置200の上方の球取込口より取り込まれた後続球P1が振り分け装置のベース106の前面から前方に突出する隔壁107で区切られた球通路108を経由して切欠部101の方向に流下してきた場合には、通常は、後続球P1が停留球Pに衝突して隔壁110;111で区切られた球誘導路112;113により、後続球P1が図外の排出口に排出される。隔壁110;111は、先の球Pを取り込んだ状態で停止している回転体100の切欠部101の左右の端縁103;104の位置より少し下方の位置で回転体100の周面109の位置から若干離れた位置におけるベース106の前面から前方に突出しかつ左右に延長する。しかし、後続球P1が切欠部101に停留している停留球Pと切欠部101の左右の端縁103;104のいずれかとの間(以下、「後続球停留部」と称す)にはまり込むことがある。つまり、切欠部101が開放側を上に向けて切欠部101内に1個の球Pを取り込んで停止している状態において、切欠部101に入っている停留球Pの表面114と切欠部101の左右の端縁103;104のいずれかとで形成された接触部115を備え、接触部115が、切欠部101の方向に流下してくる後続球P1の表面116と接触して当該後続球P1を後続球停留部に停止させ、かつ、停止させた後続球P1の重心Gを、切欠部101の端縁103;104の真上より停留球P側に位置させる。このように、後続球停留部にはまり込んだ後続球P1の重心Gが、切欠部101の端縁103;104の位置より停留球P側に位置する場合には、回転体100が回転したとしても、後続球P1が後続球停留部にはまり込んだ状態から抜けにくくなって球誘導路112;113に移動せず、排出口より排出されない場合がある。この後続球停留部に後続球P1がはまり込んでいる状態が継続すると、例えばさらなる後続球が切欠部101の方向に流下してきた場合に球噛みを生じたり、上記隔壁110や111で区画された回転体100の左領域120、右領域121のうちの1つの領域に設定された特定領域に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうことがある。三種と言われるパチンコ機では、特定領域に2個以上の球が続けて投入された場合には遊技者に有利な権利状態が消滅してしまうように設定されている場合があり、このように設定されている場合には、特定領域に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまって権利が消滅してしまうという問題があった。
【0004】
また、図11(a)及び図11(a)のA−A断面に相当する図11(b)に示すように、回転体100の切欠部101の底面125は円弧面に形成されているので、上方から切欠部101内に入る球Pが底面125に衝突して上方(矢印X方向)に勢いよく跳ね返って切欠部101内から飛び出てしまうことがあった。尚、回転体100の裏側には回転体支持ベース130が位置決め部131で位置決めされて取付けられ、この回転体支持ベース130に図外の駆動源からの回転力を伝達する軸132がブッシュ133を用いて連結固定される。回転体100の前方には回転体100の前面135を覆う光透過性の有る振り分け装置200の前面パネル136が設けられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部における回転体の周面から回転体の中心方向への深さが1個の球の直径よりも浅く形成されたことを特徴とする。遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部には切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導する突起が設けられたことも特徴とする。突起が、切欠部のベース側の周面側から切欠部の前面パネル側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面を備えたこと、切欠部が開放側を上に向けて切欠部内に1個の球を取り込んで停止している状態において、切欠部に入っている停留球と切欠部の端縁とで形成された接触部を備え、接触部が、切欠部に流下してくる後続球と接触して当該後続球を停留球と切欠部の端縁との間に停止させ、かつ、停止させた後続球の重心を切欠部の端縁の真上より遊技領域の端側に位置させたことも特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、切欠部における回転体の周面から回転体の中心方向への深さが1個の球の直径よりも浅く形成されたので、後続球が後続球停留部にはまり込む深さが浅くなるので、後続球が後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、従って、球噛みや、特定領域に停留球と後続球とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。また、切欠部には切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導する突起を備えたので、切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導させることができ、球が切欠部から飛び出すことを防止できる。突起が、切欠部のベース側の周面側から切欠部の前面パネル側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面を備えたので、傾斜面により、球を前面パネルの方向でかつ下方向に誘導させることができ、切欠部からの球の飛び出しをより効果的に防止できる。接触部が、停留球と切欠部の端縁との間で形成された後続球停留部に停止させた後続球の重心を、切欠部の端縁の真上より遊技領域の端側に位置させたので、回転体が回転することにより、後続球が後続球停留部から外れやすくなり、後続球停留部に後続球を長い間係留するような状態を回避できる。従って、球噛みや、特定領域に停留球と後続球とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1−図8は、本発明における最良の形態である。図1は振り分け装置に設けられた回転遊技部品の回転体を示し、(a)は回転体及びその付近を正面から示し、(b)は(a)のA−A断面を示し、図2は振り分け装置を備えたパチンコ機を示し、図3は振り分け装置を分解して示し、図4は振り分け装置の外観を示し、図5は遊技盤に取付けられた振り分け装置を示し、図6は回転遊技部品を構成する回転体ユニットを示し、図7は回転体ユニットの外観を示し、図8は振り分け装置内の球経路を示す。
【0008】
図2は三種と言われるパチンコ機1を図示している。パチンコ機1は、遊技盤2が遊技機枠3内に収納されて構成される。図2に図示された遊技盤2の前面4には図柄表示装置5、図柄始動入賞装置6、振り分け装置7、第三種入賞装置8、可変入賞装置9、一般入賞装置10、風車11、釘12、ガイドレール13などの遊技部品を備え、遊技盤2の裏側には図外の制御装置、球樋などの遊技部品を備える。遊技盤2の前面4の前方には光透過性の有る前面パネル15が設けられる。振り分け装置7は回転遊技部品20を備える。
【0009】
図3〜図5に示すように、振り分け装置7は、遊技盤2の前面4に止ねじ43で取付けられるベース21と、ベース21の前面22に組み付けられる一対の開閉体23;23、上レンズ体24、前面パネルとしての下レンズ体25、左レンズ体26、右レンズ体27、前飾り28からなる前部品29と、ベース21の裏面31側からベース21に組み付けられる開閉体駆動ユニット32、上可動片ユニット33、下可動片ユニット34、回転体ユニット35、及び裏カバー36からなる裏部品37とで構成される。すなわち、振り分け装置7は、特に、図4に示すように、ベース21の前面22に前部品29が組み付けられ、ベース21の裏面31に裏部品37が組み付けられて構成される。特に、図5に示すように、振り分け装置7は、遊技盤2に形成された逃げ孔38に遊技盤2の前面4側から裏部品37側が挿入されて、ベース21の裏面31に設けられた位置決め部材40を遊技盤2の前面4に形成された位置決め孔41にはめ込んで位置決めを行い、逃げ孔38の周囲における遊技盤2の前面4にベース21の裏面31を接触させた状態でベース21の取付貫通孔42に止ねじ43を通してベース21を遊技盤2の前面4に締結することで、遊技盤2の前面4に取付けられる。
【0010】
図6;7に示すように、回転体ユニット35は、回転体ユニットベース51と、回転体ユニットベース51に組み付けられる回転体52、回転体支持ベース53、軸54、ブッシュ55、原点検出用回転体カム56、駆動源としてのモータ57からなる回転体駆動ユニット58と、原点検出スイッチ基板59、後述する外れ領域に設けられた球検出スイッチ60、特定領域に設けられた球検出スイッチ61、これらスイッチを保持するスイッチホルダ62からなるスイッチユニット63とで構成される。すなわち、回転体ユニット35は、図7に示すように、回転体ユニットベース51に回転体駆動ユニット58とスイッチユニット63とが組み付けられて構成される。
【0011】
図1に示すように、回転体ユニット35の回転体52は、円柱体52Aから形成され、円柱体52Aの周面65の一部に円柱体の周面65から円柱体52Aの中心(軸中心)Cの方向に窪む断面弧状の切欠部66を備える。切欠部66は円柱体52Aの軸中心Cに沿って円柱体52Aの前面67及び裏面68にまっすぐに延長して前後に開放する。切欠部66には1個の球Pを取り込むことができる。回転体支持ベース53は、回転体52を形成する円柱体52Aの円径と同径の円盤体により形成される。図6に示すように、回転体支持ベース53の中央には回転体支持ベース53の前面69及び裏面70に貫通するブッシュ取付孔71が形成され、前面69には回転体52の裏面68に形成された位置決め突起72(図1(b)参照)及び図外の係合孔及び係合突起と係合する位置決め突孔73及び係合突起74及び係合孔75が形成される。従って、回転体支持ベース53の前面69側からブッシュ取付孔71にブッシュ55を取付けておき、回転体支持ベース53の前面69と回転体52の裏面68とが上記係合孔と係合突起とのはめ合いにより互いに取付けられ、ブッシュ55の軸取付穴79(図1(b)参照)と軸54の前部とがはめ合いにより互いに取付けられ、軸54の後部とモータ57の回転軸57Aとが原点検出用回転体カム56を介して互いに結合される。以上により、モータ57の回転駆動力で回転体52が回転する。回転体ユニット35は、振り分け装置7のベース21の裏側から取付けられ、回転体52がベース21に形成された引き出し孔21a(図3参照)を通過してベース21の前面22に引き出され、回転体支持ベース53の前面69とベース21の前面22とが同一面上で一致する状態に組み付けられる。これにより、回転体52の前面67には回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての下レンズ体25が位置する。
【0012】
さらに、回転体支持ベース53の前面69には回転体52の切欠部66内に突出して、切欠部66に入った球Pを前面パネルとしての下レンズ体25の方向に誘導する突起76が設けられる。突起76は、回転体支持ベース53の周面77側から中心側に向けて下る傾斜面78を有する。
【0013】
図2に戻り、皿16からパチンコ機1内の図外の発射装置に取り込まれた球は発射操作装置(ハンドル)17の人による操作で発射装置より発射され、ガイドレール13に沿ってガイドレール13と前面パネル15と遊技盤2の前面4とで囲まれた遊技領域18に入る。三種のパチンコ機1では、遊技領域18に投入された球が図柄始動入賞装置6に入賞すると、この入賞信号が制御装置で検出され、制御装置が入賞信号の検出タイミングで当たり外れ抽選を行うとともに図柄表示装置5の図柄19を変動させる。制御装置は抽選の当たりで図柄表示装置5の図柄を当たり図柄で停止させるとともに振り分け装置7の上部に設けられた左右の開閉体23;23を互いに離れる方向に予め決められた回数だけ開閉する。開閉体23;23の開いている間に、開閉体23;23間の隙間から振り分け装置7内に球Pが入った後、球Pが特定の条件をクリアして特定の球検出器で検出されると、遊技者に有利な権利が設定される
【0014】
図8を参照し、振り分け装置7内に投入される球Pの経路を説明する。開閉体23;23間を経由して振り分け装置7内に入ってきた球Pが球検出器80を通過したことを示す検出信号が制御装置に送られ、制御装置は一定の球数の賞を遊技者に付与するとともに、球検出器80の下方に位置する球保持筒81の下に設けられた上可動片82をソレノイドなどの駆動源を駆動して決められた時間だけ前方に突出させる。よって、上可動片82が前方に突出している間は、球検出器80を通過した球Pを球保持筒81に1個だけ保持でき、開閉体23;23間を経由して取り込まれた2個目以降の球は球保持筒81に保持されている球Pに衝突して左右の上排出口83;83より排出される。決められた時間の経過後、制御装置は駆動源を駆動して上可動片82を後方に縮退させる。これにより、球保持筒81に保持されていた球Pは球通路84を流下して下可動片85の方向に流下する。下可動片85は例えば制御装置が球検出器80からの検出信号を検出した以後ソレノイドなどの駆動源を制御することで、常時前後に出没駆動される。従って、下可動片85が前方に突出しているタイミングのときに球Pが流下してきた場合には球Pは下可動片85に導かれて図の左側の中排出口86へと排出される。下可動片85が後方に没しているタイミングのときに球Pが流下してきた場合には球Pは下可動片85の下方に位置する球検出器87を通過して回転体52の切欠部66内に入り込む。球Pが球検出器87からの球検出信号が制御装置に出力されると、制御装置は球検出信号を入力したタイミングで当たり外れ抽選を行うとともに、図柄表示装置5の図柄19(図2参照)を変動させる。そして、当たり外れ抽選の結果が当たりであれば、図柄表示装置5の図柄19を当たり図柄で停止させ、回転体52を図8の右側に回転させる。これにより球Pは特定領域を通過して当たり口90に流下して図外の特定の球検出器で検出される。この検出信号が制御装置に出力されると、制御装置が当たり権利の発生を認識する。制御装置は当たり権利の発生を認識した場合に例えば図柄表示装置5の画面に「右打ちせよ」というようなガイドを表示する。右打ちにより球が第三種始動入賞装置8に入賞すれば制御装置が大入賞口9を前後開閉扉9aを開閉する当たり遊技を行う。当たり外れ抽選の結果が外れであれば、図柄表示装置5の図柄19を外れ図柄で停止させ、回転体52を図8の左側の回転させる。これにより回転体52の切欠部66の球Pは外れ領域120を通過して外れ口89に流下する。回転体52は、通常時は、図8のように切欠部66の開放側を上方に向けた位置で停止されていて、切欠部66内に球Pを取り込んだ後も当たり外れ抽選による図柄が図柄表示装置5に確定表示されるまで図8のように切欠部66の開放側を上方に向けた位置で停止したままで切欠部66に球Pが停留されている。従って、図1に示すように、切欠部66に球Pが停留されている状態において後続球P1が流下してくる場合がある。この場合、通常は、後続球P1は切欠部66に停留されている停留球Pに衝突して、隔壁110;111で区切られた球誘導路112;113により排出口88;88に排出される。
【0015】
本形態では、図1に示すように、回転体52の切欠部66の断面形状が、円柱体52Aの中心C側である切欠部66の底頂部66Eから円柱体52Aの周面65に向けて左右に広がるような弧状の凹部に形成され、切欠部66の間口、すなわち、図1の切欠部66の左右の端縁91;92間の水平距離の長さは1個の球Pの直径より長い。そして、切欠部66における回転体52の周面65から回転体52の中心方向への深さDが1個の球Pの直径よりも浅く形成される。すなわち、切欠部66の底頂部66Eから回転体52の外周面相当線93までの垂直距離の長さDは1個の球Pの直径より短い。従って、1個の球Pが切欠部66に取り込まれた場合、その取り込まれた球Pの外周は、切欠部66の左右の端縁91;92を結ぶ円柱体52Aの周面65に相当する外周面相当線93より突出する。本形態でも、後続球P1が切欠部66に停留している停留球Pと切欠部66の左右の端縁91;92のいずれかとの間(以下、「後続球停留部」と称す)にはまり込むことがあるが、はまり込む深さHが図11の構成よりも浅くなるので、後続球P1が排出口88に排出されやすくなる。従って、後続球P1が後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、従って、球噛みや、特定領域121に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【0016】
また、図1のように、後続球P1が後続球停留部にはまり込んだ場合でも、切欠部66に入っている停留球Pの表面94と切欠部66の左右の端縁91;92のいずれかとで形成された接触部95が、切欠部66に流下してくる後続球P1と接触して当該後続球P1を後続球停留部に停止させ、かつ、停止させた後続球P1の重心Gを切欠部66の端縁91;92の真上より遊技領域18の端側(図1の左右側)に位置させる。例えば、図1においては、接触部95が、停留球Pと切欠部66の端縁91との間で形成された後続球停留部に停止させた後続球P1の重心Gを、切欠部66の端縁91の真上より左側に位置させた構成を示している。このように構成されたことで、回転体52が回転することにより、後続球P1が後続球停留部から外れやすくなり、後続球停留部に後続球P1を長い間係留するような状態を回避できる。従って、球噛みや、特定領域121に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【0017】
さらに、本形態では、突起76の傾斜面78は、切欠部66のベース21側の周面65側から切欠部66の下レンズ体25(前面パネル)側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面である。本形態では、上述のように切欠部66の深さを浅くしたとともに突起76を備えたので、切欠部66の深さを浅くした構成であっても、切欠部66に入った球Pを図1(b)の矢印Fに示すように下レンズ体25の方向に誘導させることができるので、球Pが切欠部66から飛び出すことを防止できる。
【0018】
すなわち、切欠部66の深さを浅くするとともに突起76を備えたので、後続球停留部に後続球P1を長い間係留するような状態を回避できるとともに切欠部66から球Pが飛び出しにくい回転体52を備えた回転遊技部品20を得ることができる。また、突起76は下レンズ体25の方向に突出するものであればよいが、突起76として、切欠部66のベース21側の周面65側から切欠部66の下レンズ体25(前面パネル)側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面78を備えたものを用いた場合には、傾斜面78により、球を下レンズ体25の方向でかつ下方向に誘導させることができ、切欠部66からの球の飛び出しをより効果的に防止できる。尚、本形態において回転遊技部品20は、ベース21と、切欠部66を有する回転体52と、回転体52の駆動源としてのモータ57と回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての下レンズ体25とで構成される。
【0019】
他の例1
図9に他の例1を示す。尚、先に示した最良の形態の構成と同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、遊技盤2の遊技領域18に取付けられるベース21と、ベース21の前面22に回転可能に設けられた回転体52と、ベース21の裏側に設けられた回転体の駆動源としてのモータ57と、回転体52の周面65から回転体の中心方向に窪んだ1個の球Pを取り込む切欠部66と、回転体52の前面67を覆う光透過性の有る前面パネルとしての例えば下レンズ体25とを備え、切欠部66における回転体52の周面65から回転体52の中心方向への深さが1個の球Pの直径よりも浅く形成された構成の回転遊技部品20Aとした。この回転遊技部品20Aによれば、後続球P1が後続球停留部にはまり込む深さHが浅くなるので、後続球P1が後続球停留部にはまり込む現象事態を少なくでき、従って、球噛みや、特定領域121に停留球Pと後続球P1とが続けて投入されてしまうというような事態を少なくできる。
【0020】
他の例2
図10に他の例2を示す。尚、先に示した最良の形態及び図11の構成と同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、遊技盤2の遊技領域18に取付けられるベース21と、ベース21の前面22に回転可能に設けられた回転体100と、ベース21の裏側に設けられた回転体100の駆動源としてのモータ57と、回転体100の周面109から回転体100の中心方向に窪んだ1個の球Pを取り込む切欠部101と、回転体100の前面135を覆う光透過性の有る前面パネル136とを備え、切欠部101には切欠部101に入った球Pを前面パネル136の方向に誘導する突起76が設けられた構成の回転遊技部品20Bとした。すなわち、図11の回転体100の切欠部101に突起76設けた。この回転遊技部品20Bによれば、突起76を備えたので、切欠部101に入った球Pを前面パネル136の方向に誘導させることができ、球Pが切欠部101から飛び出すことを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
回転体支持ベース53は用いないで、回転体52に軸を連結して回転させてもよい。また、突起76は切欠部66の底に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の最良の形態による回転遊技部品の回転体を示す図であって、(a)は回転体及びその付近を示す正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【図2】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置を備えたパチンコ機を示す正面図。
【図3】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置の分解図。
【図4】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置の斜視図。
【図5】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置が遊技盤に取付けられた状態を示す断面図。
【図6】最良の形態による回転遊技部品を構成する回転体ユニットの分解図。
【図7】最良の形態による回転遊技部品を構成する回転体ユニットの外観図。
【図8】最良の形態による回転遊技部品を組み込んだ振り分け装置内の球経路を示す図。
【図9】他の例1による回転遊技部品の回転体を示す正面図。
【図10】他の例2による回転遊技部品の回転体を示す正面図。
【図11】従来の回転遊技部品の回転体を示す図であって、(a)は回転体及びその付近を示す正面図、(b)は(a)のA−A断面図。
【符号の説明】
【0023】
1 パチンコ機、2 遊技盤、18 遊技領域、21 ベース、
25 下レンズ体(前面パネル)、52 回転体、57 モータ(駆動源)、
66 切欠部、76 突起、78 傾斜面、91;92 切欠部の端縁、95 接触部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部における回転体の周面から回転体の中心方向への深さが1個の球の直径よりも浅く形成されたことを特徴とする回転遊技部品。
【請求項2】
遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部には切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導する突起が設けられたことを特徴とする回転遊技部品。
【請求項3】
突起が、切欠部のベース側の周面側から切欠部の前面パネル側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面を備えたことを特徴とする請求項2に記載の回転遊技部品。
【請求項4】
切欠部が開放側を上に向けて切欠部内に1個の球を取り込んで停止している状態において、切欠部に入っている停留球と切欠部の端縁とで形成された接触部を備え、接触部が、切欠部に流下してくる後続球と接触して当該後続球を停留球と切欠部の端縁との間に停止させ、かつ、停止させた後続球の重心を切欠部の端縁の真上より遊技領域の端側に位置させたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回転遊技部品。
【請求項1】
遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部における回転体の周面から回転体の中心方向への深さが1個の球の直径よりも浅く形成されたことを特徴とする回転遊技部品。
【請求項2】
遊技盤の遊技領域に取付けられるベースと、ベースの前面に回転可能に設けられた回転体と、ベースの裏側に設けられた回転体の駆動源と、回転体の周面から回転体の中心方向に窪んだ1個の球を取り込む切欠部と、回転体の前面を覆う光透過性の有る前面パネルとを備えた回転遊技部品において、切欠部には切欠部に入った球を前面パネルの方向に誘導する突起が設けられたことを特徴とする回転遊技部品。
【請求項3】
突起が、切欠部のベース側の周面側から切欠部の前面パネル側の底にかけて連続して滑らかに傾斜する傾斜面を備えたことを特徴とする請求項2に記載の回転遊技部品。
【請求項4】
切欠部が開放側を上に向けて切欠部内に1個の球を取り込んで停止している状態において、切欠部に入っている停留球と切欠部の端縁とで形成された接触部を備え、接触部が、切欠部に流下してくる後続球と接触して当該後続球を停留球と切欠部の端縁との間に停止させ、かつ、停止させた後続球の重心を切欠部の端縁の真上より遊技領域の端側に位置させたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の回転遊技部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−20741(P2006−20741A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200050(P2004−200050)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]