説明

回転部品用の継手

【課題】システム(10)を開示する。
【解決手段】本システム(10)は、タービンエンジン(12)を含み、タービンエンジン(12)は、該タービンエンジン(12)の回転軸線(30)の周りに配置された第1の環状継手(44)を有する第1の回転部品(26)を備える。第1の環状継手(44)は、回転軸線(30)に対する軸方向収束形表面(52)を有する。本システム(10)はまた、タービンエンジン(12)の回転軸線(30)の周りに配置された第2の環状継手(46)を有する第2の回転部品(34)を含み、第2の環状継手(46)は、回転軸線(30)に対する軸方向発散形表面(58)を含み、第1の環状継手(44)の軸方向収束形表面(52)は、軸方向発散形表面(58)と結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、より具体的には、回転部品及びシャフトの位置合せに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガスタービンエンジンは、加圧空気及び燃料の混合気を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させる。燃焼ガスは、1以上のタービン段を通って流れて負荷及び/又は圧縮機のための動力を発生させることができる。タービン段は、シャフトの周りで回転するロータ及びブレードのような回転部品を含む。ガスタービンエンジンの摩耗を減少させかつ該ガスタービンエンジンの作動を可能にするために、回転部品は一般的に、軸方向にかつ同心に位置合せされる。不都合にも、既存の継手は、多くの場合に複雑であり、摩擦摩耗を示し、局所的高応力部位を生じ、或いは現場での据付け能力が不足している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6506021号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0005】
第1の実施形態では、システムは、タービンエンジンを含み、タービンエンジンは、第1の回転部品と第2の回転部品とを含む。第1の回転部品は、タービンエンジンの回転軸線の周りに配置された第1の環状継手を含み、第1の環状継手は、回転軸線に対する軸方向収束形表面を含む。第2の回転部品は、タービンエンジンの回転軸線の周りに配置された第2の環状継手を含み、第2の環状継手は、回転軸線に対する軸方向発散形表面を含む。第1の環状継手の軸方向収束形表面は、第2の環状継手の軸方向発散形表面と結合する。
【0006】
第2の実施形態では、システムは、回転軸線の周りに配置されたシャフトと回転軸線の周りに配置されたホイールとを含む。ホイールは複数のブレードを含み、シャフトは環状接合面に沿ってホイールと結合し、また環状接合面は、回転軸線の周りで円周方向に設けられた環状溝によって両半径方向に捕捉された環状突出部を含む。
【0007】
第3の実施形態では、システムは、自動整列型摩擦継手を含む。自動整列型摩擦継手は、回転軸線の周りで円周方向に延在する軸方向収束形表面を有する第1の環状面と回転軸線の周りで円周方向に延在する軸方向発散形表面を有する第2の環状面とを含み、軸方向収束形表面が、摩擦だけによって軸方向発散形表面と結合し、また軸方向収束形表面及び軸方向発散形表面が、互いに軸方向位整列状態及び同心整列状態で第1及び第2の回転部品を位置合せするように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ガスタービンエンジンの実施形態の概略流れ図。
【図2】長手方向軸線で切断した、図1のガスタービンエンジンの断面図。
【図3】本発明の実施形態による整列型トルク伝達継手を示す、ロータの回転部品の概略図。
【図4】本発明の実施形態による、図3の弓状線4−4の範囲内で取った整列型トルク伝達継手の拡大断面図。
【図5】本発明の別の実施形態による整列型トルク伝達継手の拡大断面図。
【図6】本発明の別の実施形態による整列型トルク伝達継手及び保持機構の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【0010】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0012】
本発明は、回転部品整列及びトルク伝達機構を備えた回転機械に関する。本回転機械には、ガスタービン、蒸気タービン、水力タービン、風力タービン、圧縮機、又はその他の回転組立体を含むことができる。この整列型トルク伝達機構は、第1の回転部品(例えば、ホイール)内における円周方向V字形溝と第2の回転部品(例えば、シャフト)内における対応する円周方向シェブロン形突出部とを含むことができる。V字形溝及びシェブロン形突出部間の噛合い(結合)により、回転部品間の軸方向、半径方向及び円周方向整列が得られる。例えば、V字形溝及びシェブロン形突出部間の結合は、回転部品を同心に整列させる、すなわち回転部品全てを同一の回転軸線の周りで中心を一致させた状態にすることができる。付加的な実施形態は、複数回転部品間、中間シャフト間、又はあらゆるその他の好適な部品間での同心及び軸方向の整列を含むことができる。整列型トルク伝達機構は、面摩擦によって回転部品間でトルクを伝達することができる。高応力状態時には、この方法により、機構がスリップしかつ回転部品に伝達される応力を最少にすることが可能になる。
【0013】
図1は、本明細書で説明する整列型トルク伝達機構を用いることができるガスタービンエンジン12を含む例示的なシステム10のブロック図である。一部の実施形態では、本システム10は、航空機、船舶、機関車、発電装置又はそれらの組合せを含むことができる。この図示したガスタービンエンジン12は、吸気セクション16、圧縮機18、燃焼器セクション20、タービン22及び排気セクション24を含む。タービン22は、シャフト26を介して圧縮機18に結合される。
【0014】
矢印で示すように、空気は、吸気セクション16を通ってガスタービンエンジン12に入りかつ圧縮機18内に流入し、圧縮機18は、燃焼器セクション20内に流入する前に空気を加圧することができる。この図示した燃焼器セクション20は、圧縮機18及びタービン22間でシャフト26の周りに同心に又は環状に配置された燃焼器ハウジング28を含む。圧縮機18からの加圧空気は、燃焼器29に流入し、燃焼器29内で、加圧空気は、燃料と混合しかつ燃焼してタービン22を駆動することができる。
【0015】
燃焼器セクション20から流出して、高温燃焼ガスは、タービン22を通って流れて、シャフト26を介して圧縮機18を駆動する。例えば、燃焼ガスは、タービン22内のタービンロータブレードに対して駆動力を与えて、シャフト26を回転させることができる。タービン22を通って流れた後に、高温燃焼ガスは、排気セクション24を通してガスタービンエンジン12から流出することができる。下記で説明するように、整列型トルク伝達機構の実施形態は、圧縮機、タービン又はその両方において使用することができる。
【0016】
図2は、長手方向軸線30に沿って取った、図1のガスタービンエンジン12の実施形態の側面図である。図示するように、ガスタービン22は、3つの個別段31のような複数段を含むことができる。各段31は、ロータホイール34に結合されたブレード32の組のような回転部品を含むことができ、ロータホイール34は、シャフト26(図1)に対して回転可能に取付けることができる。幾つかの実施形態では、ロータホイール34は、該ロータホイール34又はその他の回転部品を貫通して延在するタイボルト35によりクランプすることができる。他の実施形態では、ロータホイール34は、該ロータホイール34又はその他の回転部品ボアを貫通して延在する中心タイボルトにより互いに軸方向にクランプすることができる。
【0017】
ブレード32は、ロータホイール34から半径方向外向きに延在することができかつ高温燃焼ガスの通路内に部分的に配置することができる。シールは、隣接ロータホイール34間で延在しかつ該隣接ロータホイール34によって支持することができる。ガスタービン22は3段タービンとして図示しているが、本明細書で説明するシールは、あらゆる数の段及びシャフトを備えたあらゆる好適な形式のタービンで用いることができる。例えば、シールは、単段式ガスタービン内、低圧タービン及び高圧タービンを備えた複合式タービンシステム内、又は蒸気タービン内に設けることができる。さらに、本明細書で説明するシールはまた、図1に示す圧縮機18のような回転圧縮機内に用いることもできる。
【0018】
図1に関して上述したように、空気は、吸気セクション16を通して流入しかつ圧縮機18によって加圧することができる。圧縮機18からの加圧空気は次に、燃焼器セクション20内に導くことができ、燃焼器セクション20において、加圧空気は、燃料ガスと混合することができる。加圧空気及び燃料ガスの混合気は、燃焼器セクション20内でほぼ燃焼されて、高温高圧燃焼ガスを発生し、この高温高圧燃焼ガスは、タービン22内でトルクを発生させるために使用することができる。具体的には、燃焼ガスは、ブレード32に駆動力を与えてホイール34を回転させることができる。従って、回転部品、例えばブレード32及びホイール34は、シャフト26にトルクを伝達することができる。高い作動温度は、回転部品及びシャフト26上に応力を導入し或いはそれら応力を増大させる可能性がある。例えば、高温燃焼ガスは、タービンホイール34間の段間ボリューム内に流入し、それにより、タービン部品上に熱応力を生じさせる可能性がある。
【0019】
図3は、図2の弓状線3−3の範囲内で取ったタービンセクション22の実施形態の概略断面図である。図3に示すように、2段ガスタービンエンジンは、整列型トルク伝達継手38によって互いに結合された複数のブレード32を有する様々な回転部品36、例えばシャフト26及びホイール34を備えた状態で示している。回転部品36が、回転軸線30(図2)の周りで回転すると同時に、継手38は、円周方向接合面又は軸線39の周りで整列及びトルク伝達を行なうことができる。図から分かるように、軸線39は、回転軸線30と平行である。シャフト26は、軸受40に結合されて複数の回転部品36の一体的な回転を可能にすることができる。上述のように、中心タイボルト35は、ホイール34のボアを貫通して延在して回転部品36を軸方向にクランプすることができる。幾つかの実施形態では、図2に示すように、回転部品36、例えばホイール34は、該回転部品36間で延在する中間シャフト42(「スペーサ」とも呼ばれる)により共に結合することができる。中間シャフト42はまた、回転部品36を共に結合する(噛合う)継手38を含むことができる。図3に示すように、シャフト26は、回転軸線に沿って軸方向に回転部品36に向かって全体的に拡大した部分と非拡大部分とを含むことができる。例えば、シャフト26は、円筒形部分25と円錐形部分27とを含むことができる。図示するように、シャフト26は、軸方向に互いに面した対向する円筒形及び円錐形部分25及び27を含む。従って、対向する円錐形部分27は、軸線30に沿って互いに向かって拡大又は発散する。
【0020】
継手38は、溝46と噛合う(結合する)ように構成された突出部44を含むことができる。下記で詳細に説明するように、継手38は、矢印48で示すような軸方向に、矢印49で示すような半径方向に、また矢印50で示すような円周方向に回転部品をほぼ整列させる(位置合せする)。従って、継手38は、回転部品36を同心に整列させる、すなわち回転部品の全てを同一の回転軸線30の周りで中心を一致させた状態にすることができる。さらに、継手38は、回転部品36間で、例えばシャフト26とホイール34との間でトルクを伝達することができ、さらに異常に高いトルクのような故障発生の可能性がある場合にはスリップを可能にすることができる。図から分かるように、継手38は、そのジオメトリが環状である。従って、突出部44及び溝46は、そのジオメトリが両方とも環状である。下記でさらに説明するように、突出部44及び溝46は、共にウェッジ嵌めになっていて、整列、トルク伝達及び故障防止を可能にしている。
【0021】
図4は、より詳細に継手38を示す、図3の弓状線4−4の範囲内で取った拡大断面図である。上述のように、継手38は、シャフト26の端部に設けられた環状継手、例えば突出部44を含み、この環状継手は、ホイール34内に設けられた別の環状継手、例えば溝46と結合する。第1の環状継手、例えば突出部44は、軸線39に対する軸方向収束形表面52を有することができる。軸方向収束形表面52は、矢印50で示すようにシャフト26の周りで円周方向に配置された長さ54及び56の表面を含むことができる。第2の環状継手、例えば溝46は、軸線39に対する軸方向発散形表面58を有することができ、軸方向収束形表面52が、軸方向発散形表面58と結合して継手38を形成する。軸方向発散形表面58は、溝46の周りで円周方向に配置された輪郭62及び64を有する表面を含むことができる。軸方向収束形表面52及び軸方向発散形表面58は、角度66及び68により記述することができる。
【0022】
1つの実施形態では、突出部44は、円周方向シェブロン形突出部、円周方向テーパ形突出部、又はその他の好適な収束形表面突出部とすることができる。同様に、溝46は、円周方向V字形溝、円周方向テーパ形溝、又はその他の好適な発散形表面溝とすることができる。
【0023】
一部の実施形態では、第1の環状継手、例えば突出部44及び第2の環状継手、例えば溝46は、ウェッジ摩擦嵌めだけによって結合する。つまり、継手38は、他の如何なる保持機構又は部品もない状態で、軸方向収束形表面52及び軸方向発散形表面58間のウェッジ摩擦だけによって、回転部品36を結合する、例えばシャフト26をホイール34に結合する。このようにして、第2の環状継手、例えば溝46は、第1の環状継手、例えば突出部44を半径方向に捕捉してあらゆる半径方向移動を阻止し、かつ軸方向48、半径方向49及び円周方向50に整列させるのを可能にする。従って、継手38は、同心性を可能にする自動整列型(又は「自動調心型」)摩擦継手として記述することができる。さらに、回転部品36及びシャフト26に結合された中心タイボルト35は、回転部品36の軸線30及び継手38の軸線39に沿って軸方向押圧を与えることができる。図2に示すように、軸方向押圧の別の形態は、中心軸線に沿っていないタイボルトにより達成することができる。
【0024】
組立時に、突出部44が軸方向に溝46内に移動すると、V字形は、突出部44及び溝46を軸線39に向かって徐々に導く。上述のように、軸線39は、軸線30と平行である。さらに、軸線39は、軸線30の周りで円周方向50において軸線30から等距離に位置している。その結果、突出部44及び溝46は共に、軸線39と整列した状態に徐々に移動するので、継手38は、半径方向49において回転部品36を整列状態にする。同様に、継手38は、円周方向50において軸線30の周りでかつ軸方向48において軸線30に沿って回転部品36を整列させる。従って、継手38は、回転部品36を軸方向にかつ同心に(すなわち、軸線30の周りで同一中心に)整列させる(位置合せする)ことができる。突出部44及び溝46のV字形は、この位置合せを可能にするウェッジ嵌めとして記述することができる。
【0025】
継手38の組立並びに第1の環状継手、例えば突出部44及び第2の環状継手、例えば溝46の結合は、如何なる加熱、冷却又は温度変化差も使用しないものとすることができる利点がある。言い換えれば、継手38は、現場において常温で組立てることができる。溝46に対する突出部44の結合は、中心タイボルト35を締付けて軸線39に沿って荷重を与えることによって、突出部44を溝46内にウェッジのように押圧することを含むことができる。さらに、突出部44及び/又は溝46は、旋盤により完全に機械加工して製造コストを低減することができる。製造、組立及び作動時において、継手38の確認及び点検は、検査する表面の数がより少なく(より多くの複雑な継手と対照的に)かつその表面が連続している(例えば、環状である)のでより簡単に行なうことができる。
【0026】
軸方向収束形表面52の長さ54及び56は、組立及び作動時に荷重を制御するように調整することができる。一部の実施形態では、長さ54及び56は、等しい長さ又は異なる長さとすることができる。さらに、表面62及び64は、表面54及び56上での表面接触荷重分布を制御するような輪郭とすることができる。一部の実施形態では、表面62及び64は、同様の輪郭又は異なる輪郭のものとすることができる。さらに、単独で又は上記の方法と組合せてかのいずれかで、角度66及び68を調整して、組立及び作動時における荷重を制御することができる。角度66及び68は各々、約5°、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°又はそれらのあらゆる組合せのような、90°よりも小さい角度(例えば、鋭角)を有することができる。角度66及び68は、互いに同じ又は異なるものとすることができる。例えば、角度66及び68は、約45°及び45°、30°及び30°、60°及び60°、30°及び60°、60°及び30°等々とすることができる。
【0027】
図5は、湾曲突出部70及び湾曲溝72を有する継手38の別の実施形態を示している。図から分かるように、湾曲突出部70及び湾曲溝72は、軸線30の円周方向周りで円周方向50に図示した形状を有している。従って、湾曲形状は、環状である。この図5に示した実施形態では、シャフト26の軸方向収束形表面52は湾曲突出部70(例えば、円周方向「C字形」表面74)を含み、また回転部品36の軸方向発散形表面58は湾曲溝72(例えば、ほぼ円周方向C字形表面76)を含む。上述のように、湾曲突出部70及び湾曲溝72は、軸方向48、半径方向49及び円周方向50においてシャフト26及び回転部品36を整列させる。従って、突出部70及び溝72は、回転部品36を同心にする。また上述したように、突出部70及び湾曲溝72は、ウェッジ摩擦嵌めだけによって結合して、回転部品36及びシャフト26間のトルク伝達を可能にする。この場合でも同様に、このウェッジ摩擦嵌めは、より大きなトルクを生じるより大きな応力の発生時における破損防止として湾曲溝72に対する突出部70のスリップを可能にする。こうしたスリップにより、シャフト26及び/又は回転部品36に対するより大きなトルクの伝達が防止され、それによってこれら部品の損傷(及び破損)が防止される。湾曲突出部70の半径78は、表面74に沿って一定にして半球形表面を形成することができ、或いは半径78は、表面74に沿って変化させてより小さな半球形表面を形成することができる。同様に、湾曲溝72の半径80は、表面76に沿って一定にするか又は該表面76に沿って変化させて突出部70に対する対応する結合(噛合い)表面を形成することができる。
【0028】
図6は、確実なトルク伝達のためのピン82のような機構を備えた継手38の別の実施形態を示している。ピン82は、溝46及び突出部44を貫通して延在することができる。この図示した実施形態では、ピン82は、半径方向49に溝46及び突出部44を貫通して延在する。幾つかの実施形態では、ピン82は、軸方向48に又は円周方向50に配向することができる。図6に示すように、ピン82は、回転部品36の溝を貫通し、シャフト26の突出部44内のレセプタクル86を貫通しかつ表面64における対応するレセプタクル88を貫通して外に出るように、半径方向50に表面62におけるレセプタクル84内に配向することができる。保持機構は、ピン82、ボルト、ねじ、又はあらゆるその他の好適なファスナとすることができる。保持機構、例えばピン82は、継手38によって得られた軸方向、半径方向及び円周方向整列の更なる安定性をもたらすことができる。さらに、保持機構、例えばピン82は、上述したトルク伝達機能及びスリップ機能を維持するためのシヤーピン又はその他のシヤファスナとすることができる。従って、シヤーピン82は、継手38をスリップさせるのに必要なトルクを僅かに超えた特定のトルク値において剪断するように設計することができる。このようにして、継手38は、依然として所望のトルク値でスリップを生じて、回転部品36の損傷(又は破損)を防止することができる。
【0029】
継手38は、本明細書で説明したガスタービンエンジンでの用途に限定されるものではなく、回転部品間に接合面を有するあらゆる回転装置で使用することができることを理解されたい。例えば、継手38は、フランジ付きボルト設計を有するタービン、蒸気タービンなどで使用することができる。同様に、継手38は、発電機、電動機、圧縮機、等々のようなあらゆる回転機械で使用することができる。
【0030】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0031】
10 システム
12 ガスタービンエンジン
16 吸気セクション
18 圧縮機
20 燃焼器セクション
22 タービン
24 排気セクション
26 シャフト
28 燃焼器ハウジング
29 燃焼器
30 長手方向軸線
31 3つの個別段
32 ブレード
34 ロータホイール
35 タイボルト
36 様々な回転部品
38 トルク伝達継手
39 軸線
40 軸受
42 中間シャフト
25 円筒形部分
27 円錐形部分
44 突出部
46 溝
48 矢印
49 矢印
50 矢印
52 軸方向収束形表面
54 長さ
56 長さ
58 軸方向発散形表面
62 輪郭
64 輪郭
66 角度
68 角度
60 溝
70 湾曲突出部
72 湾曲溝
74 C字形表面
76 C字形表面
78 半径
80 半径
82 ピン
84 レセプタクル
86 レセプタクル
88 レセプタクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(12)を含むシステムであって、該タービンエンジン(12)が、
該タービンエンジン(12)の回転軸線(30)の周りに配置されかつ該回転軸線(30)に対する軸方向収束形表面(52)を備えた第1の環状継手(44)を構成した第1の回転部品(26)と、
該タービンエンジン(12)の回転軸線(30)の周りに配置されかつ該回転軸線(30)に対する軸方向発散形表面(58)を備えた第2の環状継手(46)を構成した第2の回転部品(34)と
を備えており、上記軸方向収束形表面(52)が、軸方向発散形表面(58)と結合する、システム(10)。
【請求項2】
軸方向収束形表面(52)が円周方向シェブロン形突出部を含み、軸方向発散形表面(58)がほぼ円周方向V字形溝を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
軸方向収束形表面(52)がほぼ円周方向C字形突出部を含み、軸方向発散形表面(58)がほぼ円周方向C字形溝を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
軸方向収束形表面(52)及び軸方向発散形表面(58)が、トルクを伝達するように構成された摩擦嵌めだけによって互いに結合する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
第1の回転部品(26)及び第2の回転部品(34)間にシヤーピン(82)を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
軸方向収束形表面(52)及び軸方向発散形表面(58)が、回転軸線(30)の円周の周りで軸方向整列状態及び半径方向整列状態の両方の状態で第1及び第2の回転部品を位置合せするように互いに結合する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
第1の回転部品(26)が第1のタービンシャフトを含み、第2の回転部品(34)が第1の複数のタービンブレード(32)を有する第1のタービンホイールを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記タービンエンジン(12)が、
第2のシャフト(26)と、
第2の複数のタービンブレード(32)を備えた第2のタービンホイール(34)と、
第1のタービンホイール(34)及び第2のタービンホイール(34)間に配置された中間シャフト(42)と
を備えており、上記中間シャフト(42)が第3の環状継手(38)を含む、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
第1のタービンホイール(34)及び第2のタービンホイール(34)を貫通して延在しかつ第1のシャフト(26)、第1のタービンホイール(34)、第2のシャフト(26)及び第2のタービンホイール(34)を軸方向に押圧するように構成された1以上のタイボルト(35)を含む、請求項8記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−265896(P2010−265896A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110713(P2010−110713)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】