説明

回転電機ステータ

【課題】回転電機ステータにおいて、異相コイルが一部で近づく構成であるにもかかわらず、コイルの絶縁性能を高くすることである。
【解決手段】ステータ10は、周方向複数個所に設けられたスロットを有するステータコア14と、ステータコア14に巻装された複数相のステータコイル16,18,20とを含む。各相のステータコイル16,18,20は、ステータ10の径方向に関してスロットの内端部に配置される部分に連結されて、軸方向外側に導出された部分に、ステータコア14の軸方向外側で別の相のステータコイル16,18,20をまたいで径方向外側に伸びる第1連結導出部24を設ける。第1連結導出部24及び第1連結導出部24と接合される第2連結導出部26の一方または両方の、ステータコア14の軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に突起部30,32を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスロットを有するステータコアと、複数のスロットに挿入されるようにステータコアの複数個所に巻装される複数相のステータコイルとを備える回転電機ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回転電機のステータとして、スロットと呼ばれる径方向に伸びる溝を周方向複数個所に設けたステータコアと、互いに周方向に離れた2ずつのスロットに挿入されるようにステータコアの周方向複数個所に巻装される複数相のステータコイルとを備え、ステータコアにステータコイルを分布巻きや集中巻きで巻装する構造が知られている。
【0003】
また、特許文献1には、コイルを形成する平角線の絶縁導線であって、導体上に直接または間接に熱可塑性樹脂層が形成され、熱可塑性樹脂層の最外層に長手方向に突起が設けられた絶縁導線が記載されている。そしてこの絶縁導線により、絶縁電線が挿入されるスロットとの間、または隣接する絶縁電線間のコロナ特性を向上させ、樹脂被覆を薄肉化し、さらに傷がつきにくくなる絶縁電線を提供できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−288106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のステータでは、コイルの形成構造によっては、コイルの絶縁性能の向上の面から改良の余地がある。例えば、特許文献1に記載された絶縁導線では外周面の長手方向に突起が設けられているが、コイルの形成構造に応じて突起の形成位置を工夫することは考慮されていない。このため、突起部分に電界が集中する結果、コイルの形成構造によっては、例えば印加電圧にサージ電圧が発生した場合に、コイルと別の相のコイルとの間に部分的に放電が生じやすくなり、コイルの絶縁性能が低下する可能性がある。例えば、コイルのうち、ステータコアの外側に配置されるコイルエンドで1相のコイルを構成する導線が異相のコイルと近づく部分で部分放電が生じやすくなる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、回転電機ステータにおいて、異相コイルが一部で近づく構成であるにもかかわらず、コイルの絶縁性能を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る回転電機ステータは、複数のスロットを有するステータコアと、複数のスロットに挿入されるように前記ステータコアの複数個所に巻装される複数相のステータコイルとを備え、各相のステータコイルは、ステータの径方向に関してスロットの内端部または中間部に配置される部分に連結されて、軸方向外側に導出された部分に設けられ、ステータコアの軸方向外側で別の相のステータコイルをまたいで導出部から先端に向かってステータコアの径方向外側に伸びる渡り部を含み、各相のステータコイルにおいて、渡り部または渡り部と接合される別の導体は、ステータコアの軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部を有することを特徴とする回転電機ステータである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る回転電機ステータによれば、渡り部の別の相のステータコイルをまたぐ部分で異相コイル同士が近づくのにもかかわらず、渡り部のステータコアの軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部に電界が集中しやすくなり、異相コイル同士が近づく部分の電界の緩和を図れる。このため、異相コイルが一部で近づく構成であるにもかかわらず、コイルの絶縁性能を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の回転電機ステータを軸方向に見た概略図である。
【図2】図1のステータを径方向外側から径方向に見た図である。
【図3】図1のステータに1相分であるU相分のステータコイルのみを巻装して示す概略斜視図である。
【図4】図1のステータのU相分のステータコイルの配置構成を説明する模式図である。
【図5】図2のA部拡大図である。
【図6】第1連結導出部及び第2連結導出部の接合部周辺部の別例を示す、図5のB部拡大対応図である。
【図7】図1のステータに形成する突起部の3例を示す図である。
【図8】コイル印加電圧でサージ電圧が発生する例を示す図である。
【図9】サージ電圧が生じた場合に異相コイル間で放電が生じる様子を示す模式図である。
【図10】本発明に係る第2の実施の形態の回転電機ステータを示す概略斜視図である。
【図11】図10のステータの具体的構造を軸方向に見た図である。
【図12】図11のステータを構成する1の導体カセットコイルを径方向導出部側から見た図である。
【図13】図12の導体カセットコイルを示す斜視図である。
【図14】図12の導体カセットコイルを構成する第1要素を径方向導出部側から見た図である。
【図15】図14の第1要素を示す斜視図である。
【図16】図12の導体カセットコイルを構成する第2要素を径方向導出部側から見た図である。
【図17】図16の第2要素を示す斜視図である。
【図18】図11のステータにおいて、1相分であるU相分のカセット環状部を取り出して、バスバーを省略して示す図である。
【図19】図11のステータにおいて、U相分のカセット環状部の結線状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図1から図9を用いて本発明に係る第1の実施の形態を説明する。本実施の形態の回転電機ステータ(以下、単に「ステータ」という。)は、例えば電動モータ、発電機等の回転電機を構成するために使用される。図1から図3に示すように、ステータ10は、内周面の周方向複数個所に複数のスロット12(図3)を有する環状のステータコア14と、ステータコア14において、複数のスロット12に複数個所が挿入されるように波巻きの分布巻きで巻装された複数相であるU相、V相、W相の3相のステータコイル16,18,20とを備える。ステータ10の使用時には、ステータ10の径方向内側に、回転軸に固定されたロータ(図示せず)を配置し、ステータ10とロータとを径方向に対向させることでラジアル型の回転電機を構成する。
【0011】
各相のステータコイル16,18,20は、図3、図4に示す複数のスパイラル巻き導線22と、各スパイラル巻き導線22の一端部に連結された渡り部である第1連結導出部24(図1、図2)と、各スパイラル巻き導線22の他端部に連結された第2連結導出部26(図2)とを含む。
【0012】
すなわち、本実施形態のステータ10は、いわゆる「スパイラル巻き型」と呼ばれるものである。ステータ10を構成する各相のステータコイル16,18,20は、複数のスパイラル巻き導線22(図3、図4)を含んでいる。各スパイラル巻き導線22は、導体線を、内層となるエナメル層と外層となる熱可塑性樹脂層とを含む絶縁被膜により被覆することで形成されたコイル素線を、ステータコア14の周方向に離れた2ずつのスロット12に順にかけ渡すように波巻きで巻装することで形成されている。各相のステータコイル16,18,20で、各スパイラル巻き導線22の少なくとも一部の第1連結導出部24が、別のスパイラル巻き導線22の第2連結導出部26と接合されて、複数のスパイラル巻き導線22が連結されている。図3で、ステータコア14の外周側に「u」「v」「w」の符号を付した部分は、それぞれU相、V相、W相のステータコイル16,18,20(ステータコイル18,20は図1、図2参照)が配置されるスロット12を表している。また、図3、図4でステータコア14の外周側または内周側に丸の中に数字を付したものは、それぞれスロット番号を示している。以下、スロット番号にSを付して説明する場合がある。
【0013】
次に、図3、図4を用いて、各相のステータコイル16,18,20のうち、U相分のステータコイル16で代表して、巻線構造を説明する。ステータコア14は、磁性粉末を加圧成形してなる圧粉磁心、または電磁鋼板等の金属板の積層体等により構成されている。
【0014】
図3、図4に示すように、U相のステータコイル16は、それぞれ周方向(単に周方向という場合、ステータの周方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)に予め定めた単位コイル間隔D1で離れた2ずつのスロット12に挿入するように、波巻きでステータコア14に巻装された複数のスパイラル巻き導線22を含む。各スパイラル巻き導線22は、断面が長方形等の矩形状の平角線の導体素線を樹脂被膜を含む絶縁被膜で被覆することにより形成されたコイル素線により構成されている。なお、絶縁被膜は、熱可塑性樹脂層のみにより被覆することもできる。図3、図4で、U1、U2、U3,U4と示しているのは、4個のスパイラル巻き導線22を区別するための導線番号で、U相ステータコイル16の巻き始めが1番目のスパイラル巻き導線U1で、巻き終わりが4番目のスパイラル巻き導線U4である。以下、スパイラル巻き導線22は、導線番号で説明する場合がある。
【0015】
分布巻きの場合、いくつかのスロット12をまたぐように、周方向に離れた2のスロット12内に各スパイラル巻き導線22の複数個所が挿入されている。この2のスロット12は、予め定めた単位コイル間隔D1で離れている。巻き始めであるスパイラル巻き導線U1は、回転電機の動力線側である、入力端子側(IN側)に接続されている。スパイラル巻き導線U1は、軸方向(単に「軸方向」という場合、ステータの軸方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)片側(図3の上側、図4の表側)からスロットS3の径方向(単に「径方向」という場合、ステータの径方向をいう。本明細書全体及び特許請求の範囲で同じである。)最外端部に挿入され、単位コイル間隔D1離れたS6に軸方向他側(図3の下側、図4の裏側)からまたぐようにかけ渡され、次に、スロットS6とS9とに軸方向片側からまたぐようにかけ渡され、これを順にステータコア14の半周分に1単位コイル間隔D1を加えた分繰り返す。このため、スパイラル巻き導線22は、単位コイル間隔D1で離れた複数のスロット12に複数個所が挿入されるように、波巻きでステータコア14に巻装される。このとき、スパイラル巻き導線22は、巻き始め側から巻き方向に沿って、径方向外側から径方向内側に徐々に向かうようにステータコア14に巻装される。
【0016】
例えば、図4に示すように、スロットS6内で径方向最外端に配置されるスパイラル巻き導線U1は、次にスロットS9内で、径方向最外端に位置する別の1のスパイラル巻き導線22の1つ内側に配置される。このため、スパイラル巻き導線U1は、単位コイル間隔D1で周方向に離れたスロット12に複数個所が挿入されるように波巻きで、かつ、径方向外側から内側に徐々に向かうように巻装されている。
【0017】
そしてスパイラル巻き導線U1の巻き終わり部分である、スロットS18の径方向内端部から、軸方向片側に導出された部分である一端部に、渡り部である第1連結導出部24の一端が連結されている。具体的には、図1、図2に示すように、第1連結導出部24は、ステータコア14の軸方向片側(図1の表側、図2の上側)で、1のスロットS18(図3、図4)の径方向内端部側から周方向片側(図1の反時計方向側)で、かつ径方向外側に向かうように、周方向に対し略傾斜して導出部が伸びて、ステータコア14の軸方向外側で、すなわち軸方向片側で、別の相であるV相、W相のステータコイル18,20をまたいでいる。第1連結導出部24は、スパイラル巻き導線22(図3、図4)との連結側から先端に向かうほど徐々にステータコア14の軸方向片面(図2の上面)から離れるように湾曲している。
【0018】
また、スパイラル巻き導線U1の第1連結導出部24の先端部でステータコア14の径方向に関して外側に配置する部分は、図2〜4に示すように、単位コイル間隔D1離れたスロットS21に挿入される別のスパイラル巻き導線U2の端部に連結された第2連結導出部26の先端部と接合される。すなわち、スパイラル巻き導線U1の第1連結導出部24は、別のスパイラル巻き導線U2において、ステータコア14の軸方向片側に導出するように連結された第2連結導出部26の先端部と重ね合わせてTIG溶接等の溶接により接合される。図4に示すように、スパイラル巻き導線U2は、一端部にスパイラル巻き導線U1と同様の第1連結導出部24が連結され、他端部に第2連結導出部26が連結されている。スパイラル巻き導線U2は、スロットS21で径方向の最外端部に挿入され、スロットS21と単位コイル間隔D1離れたスロットS24に挿入するように、スロットS21とS24とにステータコア14の軸方向他側(図4の裏側)からまたぐようにかけ渡される。そしてスパイラル巻き導線U2は、スパイラル巻き導線U1と同様に、単位コイル間隔D1で周方向に離れたスロット12に複数個所が挿入されるように波巻きで、かつ、径方向外側から内側に徐々に向かうようにステータコア14に巻装される。
【0019】
また、スパイラル巻き導線U2の巻き終わり部分である、スロットS12の径方向内端部から、軸方向片側に導出された部分である一端部に第1連結導出部24が連結されている。以下、これをスパイラル巻き導線U3,U4の順に繰り返す。スパイラル巻き導線U4では、巻き終わりであるスロットS24の径方向内端部から、軸方向片側に導出された部分である一端部に第1連結導出部24が連結されている。スパイラル巻き導線U4の第1連結導出部24の先端部は、ステータコア14の外周側に取り出され、V相、W相のステータコイル18,20(図1)との接続点である、回転電機の中性点に接続される。図3、図4では、4番目のスパイラル巻き導線U4の巻き終わりがOUT(中性点)として示されている。
【0020】
以上は、U相のステータコイル16について説明したが、V相、W相のステータコイル18,20についても同様に構成し、図3でu、v、wの符号で示すように、U相のステータコイル16を配置するスロット12の間のスロット12に、V相、W相のステータコイル18,20を挿入するように巻装する。このため、各相のステータコイル16,18,20は、ステータ10の径方向に関してスロット12の内端部に配置される部分に連結されて、軸方向外側に導出された部分に設けられ、ステータコア14の軸方向外側で別の相のステータコイル16,18,20をまたいで導出部から先端に向かってステータコア14の径方向外側に伸びる渡り部である第1連結導出部24を含んでいる。
【0021】
なお、ステータコア14に設けるスロット12の数は、図示の例では24個としているが、これに限定するものではなく、例えば48個等、種々の数とすることができる。また、1のスロット12内に並んで配置するスパイラル巻き導線22の中間部の数も特に限定するものではない。また、各相のステータコイル16,18,20を構成するスパイラル巻き導線22の数も4個に限定するものではなく、2個、6個等、種々の数とすることができる。また、各相のステータコイル16,18,20は、ステータコア14の周方向に並んだスロット12に1ずつ順に挿入されているが、これに限定するものではなく、例えば、周方向に隣り合う2のスロット12にU相のステータコイル16を挿入し、その隣の2のスロット12にV相のステータコイル18を挿入し、さらにその隣の2のスロット12にW相のステータコイル20を挿入することもできる。この場合、各相のステータコイル16,18,20で、隣り合う2のスロット12の片側のスロット12にステータコイル16,18,20の動力線側である巻き始め側部分を配置し、上記の図1から図4と同様に波巻きでかつ径方向外側から内側に徐々に向かうように巻装する。また、隣り合う2のスロット12の他側のスロット12にステータコイル16,18,20の中性点側である巻き終わり側部分を配置し、上記の図1から図4と同様に波巻きでかつ径方向外側から内側に徐々に向かうように巻装する。そして巻き始め側部分の巻き終わり端と、巻き終わり側部分の巻き始め端とをステータコア14の外周側で接続することで、各相で巻き始め側部分と巻き終わり側部分とを直列接続することもできる。
【0022】
また、図示は省略するが、各相のステータコイル16,18,20の両端部である動力線接続側端部と中性点接続側端部とは、単一の端子モジュールにまとめて、端子モジュールで各相の中性点接続側端部同士を接続したり、各相の動力線接続側端部を、図示しないインバータに接続された対応する相の動力線にまとめて接続することもできる。
【0023】
さらに、本実施形態では、図5に詳しく示すように、第1連結導出部24の先端部で第2連結導出部26と溶接部28により接合される部分の周辺部の外面に、複数の突起部30が設けられている。また、第2連結導出部26の先端部で第1連結導出部24と接合される部分の周辺部の外面にも、複数の第2突起部32が設けられている。図5の例では、各突起部30及び各第2突起部32は、各連結導出部24,26の先端部で絶縁被膜34から露出した導体線の接合面Pとは反対側に突出するように設けられている。すなわち、各連結導出部24,26は、導体素線の外面が絶縁被膜34で覆われた本体部36,38と、各連結導出部24,26の先端部に設けられ、導体素線の外周面が露出している露出部40,42とを有する。突起部30及び第2突起部32は、露出部40,42の外周面に設けられている。例えば、露出部40,42の側面に別の部材を接合することで突起部30,32を形成したり、露出部40,42の接合面Pとなる側面に柱状の押圧加工を施すことで接合面Pとは反対側に突起部30,32を形成することもできる。このように各連結導出部24,26は、ステータコア14(図2)の軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に突起部30,32が設けられている。
【0024】
なお、図6に示す別例のように、各連結導出部24,26において、本体部36,38の絶縁被膜34の外面に樹脂被膜が設けられている場合に、樹脂被膜の外面に、突起部30,32の一部または全部を設けることもできる。樹脂被膜に突起部30,32を設ける場合、樹脂被膜の成形時に突起部30,32も一体に形成することができる。また、突起部30,32の形状は特に限定するものではない。例えば、図7に示す3例のように、突起部30,32は、断面三角形の柱状としたり(図7(a))、断面が頂部で円弧形となる柱状としたり(図7(b))、断面矩形の柱状とする(図7(c))こともできる。
【0025】
このようなステータ10によれば、各相のステータコイル16,18,20は、ステータ10の径方向に関してスロット12の内端部に配置される部分に連結されて、軸方向外側に導出された部分に設けられ、ステータコア14の軸方向外側で別の相のステータコイル16,18,20をまたいで導出部から先端に向かってステータコア14の径方向外側に伸びる渡り部である第1連結導出部24を含んでいる。また、第1連結導出部24及び第1連結導出部24と接合される別の導体である第2連結導出部26は、ステータコア14の軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部30及び第2突起部32をそれぞれ有する。このため、第1連結導出部24の別の相のステータコイル16,18,20をまたぐ部分で、異相コイル(例えばU相、V相のステータコイル16,18)同士が近づくのにもかかわらず、各連結導出部24,26のステータコア14の軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部30及び第2突起部32に電界が集中しやすくなる。したがって、異相コイル同士が近づく部分の電界の緩和を図れるので、異相コイルが一部で近づく構成であるにもかかわらず、ステータコイル16,18,20の絶縁性能を高くできる。
【0026】
例えば、図8は、コイル印加電圧でサージ電圧が発生する例を示す図である。以下の説明では、図1から図7に示した要素と同一の要素には同一の符号を付して説明する。図8のように、ステータコイル16,18,20にコイル印加電圧として電圧を印加する場合に、電圧が急上昇する際には、図8にαで示すように、電圧が過度に急峻に上昇するオーバーシュートであるサージ電圧が生じる可能性がある。このように高い電圧が発生する場合、図9に模式図で2の導体44,46で示すように、一方の導体46の電圧が急上昇して導体44,46間での電位差が大きくなり、その電位差により導体44,46間で電子の移動である放電が生じる可能性がある。この場合、導体44,46がステータコイル16,18,20であるとすると、ステータコイル16,18,20の絶縁被膜34が損傷する可能性がある。これに対して、本実施形態では、意図的に各連結導出部24,26の先端部に突起部30及び第2突起部32を設けることで、他の相のステータコイル16,18,20とは十分に距離がある部分に電界を集中しやすくする。このため、第1連結導出部24の径方向内端側で第1連結導出部24と他の相のステータコイル16,18,20とが近くなる構成であるにもかかわらず、ステータコイル16,18,20間での放電による損傷を低減できる。このため、絶縁耐力の向上を図れる。
【0027】
また、図1では斜格子部分により、突起部30,32(図2)を形成する第1連結導出部24の先端部で、第2連結導出部26(図2)と接合する部分を示している。図1から明らかなように、斜格子部分で示す第1連結導出部24の先端部同士は、ステータ10の周方向に関して大きく離れている。このため、第1連結導出部24の先端部同士は、空間絶縁を十分に確保できる。したがって、第1連結導出部24の先端部及びこの先端部に接合される第2連結導出部26の先端部に突起部30,32が形成され、電界が集中しやすくなることで、ステータコイル16,18,20間での放電をより有効に抑制し、絶縁破壊を有効に抑制することができる。
【0028】
また、本実施形態では、各連結導出部24,26の先端部に突起部30,32が設けられることで、ステータコイル16,18,20の表面積を大きくして放熱効果を向上させることもできる。
【0029】
なお、本実施形態では、第1連結導出部24及び第2連結導出部26の双方に突起部30及び第2突起部32をそれぞれ設けている。ただし、第1連結導出部24の突起部30または第2連結導出部26の第2突起部32を省略することもできる。この場合でも、残りの第2突起部32または突起部30に電界を集中しやすくして、異相コイル同士が近づく部分の電界の緩和を図れる。このため、ステータコイル16,18,20の絶縁性能を高くできる。
【0030】
[第2の発明の実施の形態]
図10から図19は、本発明の第2の実施の形態を示している。図10は、本発明の第2の実施の形態のステータを示す概略斜視図である。図11は、図10のステータの具体的構造を軸方向に見た図である。ステータ48は、ステータコア14と、ステータコア14に分布巻きで巻装された複数相のステータコイル50,52,54とを備える。なお、ステータコア14の構造は、上記の第1の実施形態と同様である。
【0031】
各相のステータコイル50,52,54は、同相となる複数の導体カセットコイル56の両端同士を環状に連結して構成されるカセット環状部58(図18)を少なくとも1周分含んでいる。
【0032】
すなわち、各相のカセット環状部58は、それぞれ環状に複数の導体カセットコイル(以下、単に「カセットコイル」という。)56を連結してなる。図12,13にカセットコイル56を詳しく示している。図12は、図11のステータを構成する1のカセットコイルを径方向導出部側から見た図である。図13は、図12のカセットコイルを示す斜視図である。各カセットコイル56は、ステータコア14(図10)の周方向に離れた複数のスロット12(図10)にそれぞれ挿入される複数のスロット挿入部である片側スロット挿入部60、片側中間スロット挿入部62、他側中間スロット挿入部64、及び他側スロット挿入部66を含んでいる。また、各カセットコイル56は、各スロット挿入部60,62,64,66の軸方向一端部(図13の下端部)に設けられる片側コイルエンド部68と、1のスロット12から導出される一端部に設けられ、周方向片側(図12、図13の左側)に伸びてから径方向外側(図12、図13の上側)に伸びてステータコア14(図10)の軸方向外側で別の相のステータコイルをまたぐ渡り部である片側径方向導出部70とを含んでいる。
【0033】
すなわち、図11に戻り、本実施の形態のステータ48は、いわゆる「同芯カセット巻き型」と呼ばれるもので、絶縁被膜により被覆された導体線からなるコイル素線をコイル状に形成したカセットコイル56を複数個設け、ステータコア14の周方向に複数のカセットコイル56を少なくとも一周分環状に連結することにより、各相のカセット環状部58が構成されている。
【0034】
図12、図13に示す各カセットコイル56は、図14、図15に示す第1要素72と、図16、図17に示す第2要素74とをTIG溶接等の溶接により接合して構成されている。まず、第1要素72について説明する。図14は、第1要素を径方向導出部側から見た図である。図15は、図14の第1要素を示す斜視図である。第1要素72は、周方向片側(図14、図15の右側)に設けられた片側径方向導出部70と、片側径方向導出部70に直接または他の部分を介して連結され、周方向片側のスロット12(図10)に整列して挿入される複数の片側スロット挿入部60とを有する。片側径方向導出部70は、第1要素72の周方向片側部分の径方向最外端の片側スロット挿入部60に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、周方向他側(図14、図15の左側)に伸びてから径方向外側(図14の上側)に伸びる。
【0035】
また、第1要素72は、周方向他側(図14、図15の左側)に設けられた他側中間径方向導出部78と、他側中間径方向導出部78に直接または他の部分を介して連結され、周方向他側のスロット12に整列して挿入される複数の他側中間スロット挿入部64とを有する。他側中間径方向導出部78は、第1要素72の周方向他側部分の径方向最外端の他側中間スロット挿入部64に連結され、ステータコア14(図10)の軸方向外側に導出して、周方向片側(図14、図15の右側)に伸びてから径方向外側(図14の上側)に伸びる。また、複数の他側中間スロット挿入部64は、複数の片側スロット挿入部60から単位コイル間隔D1分、周方向他側に離れている。
【0036】
さらに、第1要素72は、片側コイルエンド部68(図12、図13)を形成し、それぞれ片側スロット挿入部60及び他側中間スロット挿入部64を連結する複数の第1連結要素80を有する。各第1連結要素80は、両端部に設けられるスロット通過部82,84と、内側連結部86とを有する。スロット通過部82,84は、片側スロット挿入部60と他側中間スロット挿入部64とが配置される2のスロット12(図10)の径方向と一致する方向に伸びるスロット外側配置部である。内側連結部86は、両スロット通過部82,84を連結する。第1要素72は、片側径方向導出部70、複数の片側スロット挿入部60、複数の第1連結要素80、複数の他側中間スロット挿入部64、及び他側中間径方向導出部78をコイル状に連結して形成されている。
【0037】
また、各スロット通過部82,84は、対応する複数のスロット12(図10)に各スロット挿入部60,64を挿入させつつ、ステータコア14(図10)の軸方向片側から軸方向に後述するカセット環状部58(図18)を組み付ける際に、対応する2のスロット12に軸方向に通過した後、スロット12から外側に導出される。内側連結部86は、ステータコア14にカセット環状部58が配置された状態でステータコア14の内周面よりも径方向に関して内側に配置される。このような第1要素72は、2のスロット12に挿入されるように、ステータコア14の周方向一部に複数回(複数ターン分)巻装される。
【0038】
次に、第2要素74を説明する。図16は、第2要素を径方向導出部側から見た図である。図17は、図16の第2要素を示す斜視図である。第2要素74は、周方向片側(図16、図17の右側)に設けられた片側中間径方向導出部88と、片側中間径方向導出部88に直接または他の部分を介して連結され、周方向片側のスロット12(図10)に整列して挿入される複数の片側中間スロット挿入部62とを有する。片側中間径方向導出部88は、第2要素74の周方向片側部分の径方向最外端の片側中間スロット挿入部62に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、周方向他側(図16、図17の左側)に伸びてから径方向外側(図16の上側)に伸びる。
【0039】
また、第2要素74は、周方向他側(図16、図17の左側)に設けられた他側径方向導出部90と、他側径方向導出部90に直接または他の部分を介して連結され、周方向他側のスロット12に整列して挿入される複数の他側スロット挿入部66とを有する。他側径方向導出部90は、第2要素74の周方向他側部分の径方向最外端の他側スロット挿入部66に連結され、ステータコア14の軸方向外側に導出して、径方向外側(図16の上側)に伸びる。また、複数の他側スロット挿入部66は、複数の片側中間スロット挿入部62から単位コイル間隔D1分、周方向他側に離れている。
【0040】
さらに、第2要素74は、片側コイルエンド部68(図12、図13)を形成し、それぞれ片側中間スロット挿入部62及び他側スロット挿入部66を連結する複数の第2連結要素92を有する。各第2連結要素92は、両端部に設けられる第2スロット通過部94,96と、第2内側連結部98とを有する。第2スロット通過部94,96は、片側中間スロット挿入部62と他側スロット挿入部66とが配置される2のスロット12(図10)の径方向と一致する方向に伸びるスロット外側配置部である。第2内側連結部98は、両第2スロット通過部94,96を連結する。第2要素74は、片側中間径方向導出部88、複数の片側中間スロット挿入部62、複数の第2連結要素92、複数の他側スロット挿入部66、及び他側径方向導出部90をコイル状に連結して形成されている。
【0041】
また、各第2スロット通過部94,96は、対応する複数のスロット12(図10)に各スロット挿入部62,66を挿入させつつ、ステータコア14(図10)の軸方向片側から軸方向に後述するカセット環状部58(図18)を組み付ける際に、対応する2のスロット12に軸方向に通過した後、スロット12から外側に導出される。第2内側連結部98は、ステータコア14にカセット環状部58が配置された状態でステータコア14の内周面よりも径方向に関して内側に配置される。このような第2要素74は、2のスロット12に挿入されるように、ステータコア14の周方向一部に複数回(複数ターン分)巻装される。
【0042】
そして図12、図13に示すように、第2要素74の片側中間径方向導出部88と、第1要素72の他側中間径方向導出部78(図14、図15)との先端部が重ね合わされた状態で接合されることで、第1要素72及び第2要素74により、一体のカセットコイル56が形成されている。次に、図18に1相分であるU相分のカセット環状部58で代表して示すように、複数のカセットコイル56を、一部が軸方向に重なるように、環状に組み合わせ、後述するバスバー100(図11)で連結することでカセット環状部58を構成している。上記ではU相のカセット環状部58を説明したが、V相、W相のカセット環状部も同様に構成される。
【0043】
このようなカセット環状部58は、各相分を周方向にずらして組み合わせた状態で、片側コイルエンド部68を先にして、図11に示すステータコア14の複数のスロット12(図10)に各スロット挿入部60,62,64,66を挿入しつつ、ステータコア14の軸方向片側から軸方向に挿入することで、ステータコア14に組み付ける。この状態で、図12、図13に示す、第1要素72の片側スロット挿入部60と第2要素74の片側中間スロット挿入部62とが周方向に隣り合う2のスロット12に挿入される。また、第1要素72の他側中間スロット挿入部64と第2要素74の他側スロット挿入部66とが周方向に隣り合う2のスロット12に挿入される。片側コイルエンド部68に設けられたスロット通過部82,84及び第2スロット通過部94,96は、カセット環状部58のステータコア14への組み付け時に、対応するスロット12を軸方向に通過し、片側コイルエンド部68に設けられた内側連結部86及び第2内側連結部98は、ステータコア14の径方向に関して内周面よりも内側に配置されるので、組み付けの妨げとなることはない。
【0044】
また、図11に示すように、各相のカセット環状部58において、各カセットコイル56の少なくとも一部のカセットコイル56で、片側径方向導出部70が別のカセットコイル56の片側径方向導出部70または他側径方向導出部90(図12)にバスバー100により接続され、少なくとも一部のカセットコイル56で、他側径方向導出部90が別のカセットコイル56の片側径方向導出部70または他側径方向導出部90にバスバー100により接続されている。すなわち、各相のカセット環状部58において、各カセットコイル56に設けられた径方向導出部70,90は、周方向に隣り合う別のカセットコイル56の径方向導出部とバスバー100により連結され、各相のステータコイル50,52,54が形成されている。
【0045】
図19は、図11のステータにおいて、U相分のカセット環状部58の結線状態を示す図である。図19では、ステータコア14の内周側の数字を付した部分がスロット番号を示している。また、「in」は動力線に接続されることを、「out」は中性点に接続されることをそれぞれ示している。また、C1、C2・・・でカセットコイル56のコイル番号を示している。以下、カセットコイル56をコイル番号で説明する場合がある。カセット環状部58は、動力線側である巻き始め側のカセットコイルC1にカセットコイルC2が接続され、以下、同様に、C3,C4・・・が順に接続され、巻き終わり側のカセットコイルC8が中性点に接続されている。以上は、U相のカセット環状部58の場合を説明したが、V相、W相の場合も同様に構成され、V相のカセット環状部58は、U相のカセット環状部58に対しスロット12が2ずつずれるように配置され、W相のカセット環状部58は、さらにスロット12が2ずつずれるように配置される。また、図11に示すように、各相のステータコイル50,52,54において、各カセットコイル56の片側径方向導出部70は、ステータコア14の径方向に関してスロット12(図10)の中間部に配置される部分から軸方向片側(図11の表側)に導出した部分に設けられ、ステータコア14の軸方向片側で別の相のステータコイル50,52,54をまたいで導出部から先端に向かってステータコア14の径方向外側に伸びている。
【0046】
さらに、本実施形態では、図12、図13にβで示す、片側径方向導出部70の先端部、またはこの先端部と接合されるバスバー100(図11、図19)の先端部の周辺部に突起部が設けられている。突起部の構成は、上記の第1の実施形態で各連結導出部24,26(図5、図6)の先端部に設けられた突起部30,32(図5、図6)と同様であり、図11から図18での具体的な突起部の図示は省略する。
【0047】
このような本実施形態の場合、各相のステータコイル50,52,54は、ステータコア14の径方向に関してスロット12の中間部に配置される部分に連結されて、軸方向外側に導出された部分に設けられ、ステータコア14の軸方向外側で別の相のステータコイル50,52,54をまたいで導出部から先端に向かってステータコア14の径方向外側に伸びる渡り部である片側径方向導出部70を含んでいる。また、片側径方向導出部70及び片側径方向導出部70と接合される別の導体であるバスバー100は、ステータコア14の軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部をそれぞれ有する。このため、片側径方向導出部70の別の相のステータコイル50,52,54をまたぐ部分で異相コイル(例えばU相、V相のステータコイル50,52)同士が近づくのにもかかわらず、各片側径方向導出部70及び対応するバスバー100のステータコア14の軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部に電界が集中しやすくなる。したがって、異相コイル同士が近づく部分の電界の緩和を図れるので、上記の第1の実施形態と同様に、異相コイルが一部で近づく構成であるにもかかわらず、ステータコイル50,52,54の絶縁性能を高くできる。なお、片側径方向導出部70及び対応するバスバー100に設けられる突起部は、いずれか一方を省略することもできる。
【0048】
なお、上記の各実施の形態においては、ステータコイルがスパイラル巻き型の場合と同芯カセット巻き型の場合とに本発明を適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定するものではない。また、ステータは、ラジアル型の回転電機を構成するものに限定するものではなく、アキシャル型、すなわちステータとロータとが軸方向に対向する構成で使用するステータで本発明を実施することもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 ステータ、12 スロット、14 ステータコア、16,18,20 ステータコイル、22 スパイラル巻き導線、24 第1連結導出部、26 第2連結導出部、28 溶接部、30 突起部、32 第2突起部、34 絶縁被膜、36,38 本体部、40,42 露出部、44,46 導体、48 ステータ、50,52,54 ステータコイル、56 導体カセットコイル、58 カセット環状部、60 片側スロット挿入部、62 片側中間スロット挿入部、64 他側中間スロット挿入部、66 他側スロット挿入部、68 片側コイルエンド部、70 片側径方向導出部、72 第1要素、74 第2要素、76 片側スロット挿入部、78 他側中間径方向導出部、80 第1連結要素、82,84 スロット通過部、86 内側連結部、88 片側中間径方向導出部、90 他側径方向導出部、92 第2連結要素、94,96 第2スロット通過部、98 第2内側連結部、100 バスバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスロットを有するステータコアと、
複数のスロットに挿入されるようにステータコアの複数個所に巻装される複数相のステータコイルとを備え、
各相のステータコイルは、ステータの径方向に関してスロットの内端部または中間部に配置される部分に連結されて、軸方向外側に導出された部分に設けられ、ステータコアの軸方向外側で別の相のステータコイルをまたいで導出部から先端に向かってステータコアの径方向外側に伸びる渡り部を含み、
各相のステータコイルにおいて、渡り部または渡り部と接合される別の導体は、ステータコアの軸方向端面から離れた先端寄り部分外周面に設けられた突起部を有することを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機ステータにおいて、
渡り部は、導体素線の外面が樹脂被膜で覆われた本体部と、導体素線の外周面が露出している露出部とを有し、
突起部は、本体部または露出部の外周面に設けられていることを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項3】
請求項2に記載の回転電機ステータにおいて、
樹脂被膜は、導体素線側の内層であるエナメル層と、外部側の外層である熱可塑性樹脂層とを含むことを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の回転電機ステータにおいて、
各相のステータコイルは、予め定めた単位コイル間隔で周方向に離れた複数のスロットに挿入するように波巻きで、かつ、径方向外側から内側に徐々に向かうように巻装された複数のスパイラル巻き導線と、各スパイラル巻き導線の一端部に連結され、ステータコアの軸方向片側で1のスロットの径方向内端部側から周方向片側かつ径方向外側に向かうように伸びてステータコアの軸方向片側で別の相のステータコイルをまたぐ渡り部である第1連結導出部と、少なくとも一部のスパイラル巻き導線の他端部に、ステータコアの軸方向片側に導出するように連結され、別のスパイラル巻き導線の第1連結導出部の先端部と接合される第2連結導出部とを含み、
突起部は、第1連結導出部の第2連結導出部を接合する部分の周辺部に設けられ、
さらに、第2連結導出部は、第2連結導出部の第1連結導出部を接合する部分の周辺部に設けられる第2突起部を含むことを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1に記載の回転電機ステータにおいて、
各相のステータコイルは、同相となる複数の導体カセットコイルの両端同士を環状に連結して構成されるカセット環状部を少なくとも1周分含み、
さらに、各導体カセットコイルは、周方向に離れたスロットに挿入されるスロット挿入部と、スロット挿入部の軸方向一端部に設けられる片側コイルエンド部と、ステータコアの軸方向外側に導出する一端部に設けられ、周方向に伸びてから径方向外側に伸びてステータコアの軸方向外側で別の相のステータコイルをまたぐ渡り部である径方向導出部とを含み、
片側コイルエンド部は、対応する複数のスロットに各スロット挿入部を挿入させつつ、ステータコアの軸方向片側から軸方向にカセット環状部を組み付ける際に、対応する2のスロットに軸方向に通過した後、スロットから外側に導出されるスロット外側配置部と、2のスロット外側配置部同士を連結し、ステータコアの内周面よりも径方向内側に配置される内側連結部とを有し、
各導体カセットコイルに設けられた径方向導出部は、周方向に隣り合う別の導体カセットコイルの端部または径方向導出部とバスバーにより連結されており、
突起部は、各径方向導出部の少なくとも一部の径方向導出部の先端部、またはこの先端部と接合されるバスバーの先端部の周辺部に設けられていることを特徴とする回転電機ステータ。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機ステータにおいて、
各導体カセットコイルは、第1要素と第2要素とを含み、
第1要素は、
周方向片側に設けられた片側径方向導出部と、片側径方向導出部に連結され、周方向片側のスロットに挿入される片側スロット挿入部と、周方向他側に設けられ、ステータコアの軸方向外側に導出して、周方向に伸びてから径方向外側に伸びる他側中間径方向導出部と、他側中間径方向導出部に連結され、片側スロット挿入部から周方向に離れた別のスロットに挿入される他側中間スロット挿入部と、片側コイルエンド部を形成し、片側スロット挿入部及び他側中間スロット挿入部を連結する第1連結部とを有し、
第2要素は、
周方向片側に設けられ、ステータコアの軸方向外側に導出して、周方向に伸びてから径方向外側に伸びる片側中間径方向導出部と、片側中間径方向導出部に連結され、周方向片側のスロットに挿入される片側中間スロット挿入部と、周方向他側に設けられ、ステータコアの軸方向外側に導出して、径方向外側に伸びる他側径方向導出部と、他側径方向導出部に連結され、片側中間スロット挿入部から周方向に離れた別のスロットに挿入される他側スロット挿入部と、片側コイルエンド部を形成し、片側中間スロット挿入部及び他側スロット挿入部を連結する第2連結部とを有し、
第1要素の片側中間径方向導出部と第2要素の他側中間径方向導出部との先端部が接合されており、
片側スロット挿入部と片側中間スロット挿入部とが周方向に隣り合う2のスロットに挿入され、他側スロット挿入部と他側中間スロット挿入部とが周方向に隣り合う2のスロットに挿入されていることを特徴とする回転電機ステータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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