説明

回転電機固定子、回転電機固定子の製造方法、及び回転電機固定子用絶縁テープ

【課題】導体での発熱量の増大に対して充分に対処しうる熱伝導特性、及び導体に対する充分な絶縁特性を有する回転電機固定子を提供する。
【解決手段】複数の素線を結束してなる導体と、前記導体の外周面を被覆するようにして形成された、配向率(100)/(002)が0.04以上である鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーを含むフィラー層及びマイカ層を有する絶縁層と、を具えるようにして回転電機固定子を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機固定子、回転電機固定子の製造方法、及び回転電機固定子用絶縁テープに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機機器は、20年、30年と使用される機器であり、特に高電圧回転電機を構成する回転電機固定子等の構成部品は、高電圧のストレスに耐えうる絶縁が要求される。現在、回転電機固定子に使用されている絶縁材は、無機材料であるマイカとエポキシ樹脂やポリエステル樹脂などの樹脂との複合体である。マイカは、耐熱性と耐放電性に優れた材料であることから放電が避けられない高電圧回転電機の絶縁としては長く使用されてきている。
【0003】
一般的に、上記絶縁材は、ガラスクロスやフィルムを裏打ち材として使用し、上述したマイカと樹脂との複合体からなるマイカ層を貼り付け、絶縁テープとして形成される場合が多い。また、はがしマイカと呼ばれる大きなマイカ鱗片を貼り付けながらテープを巻き回し、上述のような絶縁テープを形成する手法も用いられてきた。
【0004】
一方、最近は、回転電機機器の性能向上により、回転電機固定子の導体部での発熱量が増大し、生成した熱を発散させるべく絶縁材の熱伝導率を上げることが求められている。このため、上述のようなマイカ層と裏打ち材とからなる絶縁テープに対して、裏打ち材の、マイカ層と相対する側に、六方晶窒化ホウ素、酸化マグネシウム、アルミナなどのフィラーを含むフィラー層を新たに設けた高熱伝導マイカテープが開発されている。
【0005】
しかしながら、このような高熱伝導マイカテープにおいては、フィラー層を設けることにより熱伝導率を向上できる反面、マイカ層の厚さが減少するため電気絶縁特性が低下してしまうという問題があった。したがって、このような高熱伝導マイカテープにおいては、上述した回転電機固定子の導体部における発熱量を考慮して、マイカ層に対するフィラー層の厚さを適宜調整するようにしていた。
【0006】
このような問題を解決すべく、特許文献1によれば、フィラー層に含有させるフィラーとして、結晶化指数1.8以上の六方晶窒化ホウ素の粉末を使用することが開示されている。六方晶窒化ホウ素は結晶化指数を高めることで熱伝導率が向上するので、電気絶縁特性を維持しながら熱伝導性を向上することができる。
【0007】
しかしながら、上述した技術による熱伝導性の向上では、昨今の回転電機固定子の導体部における発熱量に充分に対処することが困難になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−166809号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、導体での発熱量の増大に対して充分に対処しうる熱伝導特性、及び導体に対する充分な絶縁特性を有する回転電機固定子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様における回転電機固定子は、複数の素線を結束してなる導体と、前記導体の外周面を被覆するようにして形成された、配向率(100)/(002)が0.04以上である鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーを含むフィラー層及びマイカ層を有する絶縁層と、を具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導体での発熱量の増大に対して充分に対処しうる熱伝導特性、及び導体に対する充分な絶縁特性を有する回転電機固定子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態における回転電機固定子の斜視図である。
【図2】図1に示す回転電機固定子の断面図である。
【図3】図1及び図2に示す回転電機固定子の絶縁層を拡大して示す断面図である。
【図4】図3に示す絶縁層の具体的態様の一例を示す断面図である。
【図5】実施形態の回転電機固定子10の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】実施例におけるフィラー層中の、六方晶窒化ホウ素フィラーの配向率(100)/(002)と熱伝導率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本実施形態における回転電機固定子の斜視図であり、図2は、図1に示す回転電機固定子の断面図である。図3は、図1及び図2に示す回転電機固定子の絶縁層を拡大して示す断面図であり、図4は、図3に示す絶縁層の具体的態様の一例を示す断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態における回転電機固定子10は、導体11と、この導体11の外周を覆うようにして形成された絶縁層12とを有している。
【0015】
導体11は、電気的良導体である複数の素線111、例えば、銅、アルミニウム、銀等から構成され、素線111が縦及び横方向に並列するとともに結束してなる。本実施形態では、素線111を横に2列、縦に8列で並列させて結束させているが、その数及び配列構成については特に限定されるものではない。
【0016】
また、図3に示すように、絶縁層12は、フィラー層121及びマイカ層122を有する。フィラー層121は、例えばアスペクト比が1対100以上の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aと樹脂121Bとを含む。具体的には、樹脂121Bからなるマトリックス中に鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aが分散しているような構成を呈する。樹脂121Bは、汎用の熱硬化性樹脂から構成することができる。
【0017】
なお、ここでいうアスペクト比とは、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aの厚さを1とした場合の、その形状を特徴づけるような主面の長さの比を意味するものである。すなわち、厚さを1とした場合に、その主面の長さが100以上であることを意味するものである。
【0018】
本実施形態では、フィラー層121中の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aの配向率(100)/(002)が0.04以上、好ましくは0.05以上である。上述のような鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aは、厚さ方向がz軸配向しており、その主面の長さ方向がa軸配向している。したがって、上述した配向率は、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aが絶縁層12の膜面に対して垂直方向に立ち上がっている割合を示すことになる。
【0019】
換言すれば、本実施形態におけるフィラー層121中の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aの配向率(100)/(002)が0.04以上とは、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aの内、フィラー層121の膜面に垂直方向に立ち上がっている割合が全体の0.04以上存在することを意味する。
【0020】
なお、上記配向率における(100)及び(002)は、いわゆる鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aの結晶学的な配向方向を意味し、本実施形態では、フィラー層121の膜面に対してX線を照射し、X線回折によって得たものである。
【0021】
一般に、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aは、樹脂121Bをマトリックスとして分散させて層を形成すると、その大きなアスペクト比に依存して主面が自ずとフィラー層12の膜面と略平行となるようにして含有される傾向がある。しかしながら、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aが膜面に対して略平行となるようにして含有されると、導体11で発生した熱はほぼ樹脂121B中を伝達することになる。したがって、その含有形態に依存して、フィラー層12の厚さ方向に熱伝導性はさほど向上しない。
【0022】
これに対して、本実施形態では、フィラー層121中の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aをその配向率(100)/(002)が0.04以上となるように、すなわち鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aをフィラー層121の膜面に対して垂直方向に立ち上がるようにしているので、導体11で発生した熱はある程度の割合で鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aを介して伝達することになる。したがって、その含有形態に依存して、フィラー層121の厚さ方向における熱伝導性が増大するようになる。
【0023】
また、上述したように、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aは、その主面の長さ方向がa軸となっており、その厚さ方向がz軸となっているが、六方晶窒化ホウ素(フィラー)においては、z軸方向に比較してa軸方向の熱伝導率が高い。したがって、本実施形態のように、配向率(100)/(002)が0.04以上となって、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aが膜面に対して垂直方向に立ち上がるとなることにより、この六方晶窒化ホウ素フィラー121Aのa軸が膜面に対して垂直方向に立ち上がるので、フィラー層121の厚さ方向における熱伝導性がさらに増大するようになる。
【0024】
したがって、絶縁層12におけるフィラー層121の熱伝導性が向上するようになるので、導体11で発生した熱は、絶縁層12のフィラー層121を通じて外方に効率良く放出されるようになる。
【0025】
フィラー層121中における樹脂121Bの割合は特に限定されるものではないが、好ましくは10体積%以上30体積%以下である。樹脂121Bの量の下限値が10体積%よりも小さいと、フィラー層121中にボイドが発生し、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aによる熱伝導性を向上させることができない場合がある。樹脂121Bの量が30体積%を超えると、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aの量が相対的に減少してしまうため、フィラー層121の熱伝導性が低下してしまう場合がある。
【0026】
絶縁層12におけるマイカ層122は、例えばアスペクト比が1対100以上の鱗片状のマイカフィラー122Aと樹脂122Bとを含む。具体的には、樹脂122Bからなるマトリックス中に鱗片状のマイカフィラー121Aが分散しているような構成を呈する。樹脂122Bは、汎用の熱硬化性樹脂から構成することができる。
【0027】
なお、ここでいうアスペクト比とは、鱗片状のマイカフィラー122Aの厚さを1とした場合の、その形状を特徴づけるような主面の長さの比を意味するものである。すなわち、厚さを1とした場合に、その主面の長さが100以上であることを意味するものである。
【0028】
鱗片状のマイカフィラー122Aは、樹脂122Bをマトリックスとして分散させて層を形成すると、その大きなアスペクト比に依存して主面が自ずとマイカ層122の膜面と略平行となるようにして含有される傾向がある。このように、鱗片状のマイカフィラー122Aが膜面に対して略平行となるようにして含有されると、導体11で発生する電界に対してその主面が垂直方向に立ち上がるので、電界に対する遮蔽効果が増大する。すなわち、その含有形態に依存して、マイカ層122の厚さ方向における絶縁特性が向上する。
【0029】
また、マイカ自体高い絶縁性を有し、電界に対して高い遮蔽効果を有するので、上述したマイカ層122中のマイカフィラー122Aの含有形態と相伴って、マイカ層122は高い絶縁特性を呈するようになる。
【0030】
なお、マイカ層122中における樹脂122Bの割合は特に限定されるものではないが、好ましくは10体積%以上30体積%以下である。樹脂122Bの量の下限値が10体積%よりも小さいと、マイカ層122中にボイドが発生し、その絶縁耐力が低下してしまう場合がある。樹脂122Bの量が30体積%を超えると、マイカフィラー122Bの量が相対的に減少してしまうため、マイカ層122の絶縁特性が低下してしまう場合がある。
【0031】
以上より、本実施形態の回転電機固定子10は、高熱伝導性のフィラー層121及び高絶縁特性122を含む絶縁層12を導体11の周囲に有しているので、導体11での発熱量の増大に対して充分に対処する熱伝導特性、及び導体11での発電に対する充分な絶縁特性を有するようになる。
【0032】
なお、本実施形態では、マイカ層122中のマイカフィラー122Aを、高アスペクト比を有するものとしたが、粒子状のものであっても、マイカ自体が高い絶縁性を有するので、マイカ層122は充分に高い絶縁特性を有するようになる。但し、上述のように、鱗片状のものとすることにより、マイカ層122の絶縁特性をさらに向上させることができる。
【0033】
本実施形態では、図3に示すように、絶縁層12は、フィラー層121及びマイカ層122間に裏打ち層123を有している。裏打ち層123は、例えば、ガラスクロスやガラスフィルム等とすることができ、特にガラスクロスとした場合においては、その目地の隙間に熱硬化性樹脂等を含浸させることができる。このような裏打ち層123を設けることによって、絶縁層12の強度を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態において、導体11に対する絶縁層12は、図3に示すような構成の単一の層として構成することもできるが、絶縁層12を構成するフィラー層121及びマイカ層122の厚さは充分に薄いので、通常は、図3に示すような構成の絶縁テープを準備し、このテープを導体11の周りに複数回巻回することによって形成する。具体的には、図4に示すように、図3に示すような構成の絶縁テープを、各ターンの幅の約半分が互いに重なり合うようにして(ハーフラップ)複数回巻回する。
【0035】
巻回数は、所望する絶縁層12の厚さ及び絶縁テープの厚さに依存して変化するが、通常は6回から30回、すなわち絶縁テープを6層から30層積層させる。
【0036】
次に、本実施形態の回転電機固定子10の製造方法を、特に絶縁層12のフィラー層121の形成方法を中心に説明する。
【0037】
図5は、本実施形態の回転電機固定子10の製造方法を説明するための工程図である。
最初に、電気的良導体である複数の素線111が縦及び横方向に並列するとともに結束してなる導体11を準備し、この導体11の外周を覆うようにして、例えば図3に示すような構成の絶縁テープを所定の回数、例えば6回〜33回巻回する。
【0038】
なお、この状態において、絶縁テープを構成するフィラー層中の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーは、その膜面に略平行となっている。また、フィラー層等の樹脂は完全に硬化することなく、例えばBステージの状態となっている。
【0039】
次いで、複数回巻回した絶縁テープの周りにポリプロピレンテープをハーフラップで1回巻回する。なお、このプロピレンテープは、以下に説明する絶縁テープを導体11に対して固定させるための固定冶具の離型材として機能するものである。
【0040】
次いで、巻回した絶縁テープの側面に上記ポリプロピレンテープを介して、例えば冷間圧延鋼板(SPCC)である鉄板21を当てて絶縁テープの側面を導体11の側面に固定し、絶縁テープの上面及び下面に上記ポリプロピレンテープを介して、同様のSPCCである鉄板22を当てて、絶縁テープの上面及び下面をそれぞれ導体11の上面及び下面に固定する。
【0041】
なお、鉄板21及び22は、絶縁テープの導体11に対する固定冶具を構成する。次いで、鉄板21及び22の中央部を、熱収縮テープによってハーフラップで2回巻回し、鉄板21及び22を固定する。この際、鉄板21及び22に電圧がかけられるように、これら鉄板21及び22には、図示しないリード線を取り付け、所定の電圧を印加できるようにしておく。
【0042】
次いで、上述のように形成したアセンブリを真空加圧タンクにいれ、真空引きを行う。十分に真空引きを行ったところで150℃のポリエチレンワックスを流し込み、アセンブリを浸漬させ、ポリエチレンワックスを媒体として、窒素ガスで7 kgf/cm2の圧力を付加した状態で加熱する。すると、絶縁テープのフィラー層121等を構成する樹脂が硬化して樹脂121Bとなり、複数回巻回してなる絶縁テープの層は絶縁層12に転換されることになる。
【0043】
本実施形態においては、上述した工程における加熱硬化時またはその前に、導体11と鉄板21及び22間に電界が1 kV/mm以上となるような直流又は交流電圧を上記リード線を介して1分以上印加、好ましくは電界が500 V/mm以上となるような直流又は交流電圧を1分以上印加する。これによって、フィラー層121中の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aが、配向率(100)/(002)が0.04以上となるように膜面に対して垂直方向に立ち上がるようになる。
【0044】
なお、図5においては、鉄板21側を正電位、導体11側を負電位としているが、逆でもよい。また、鉄板21及び22に負荷する電圧、すなわち鉄板21及び22の電位は、フィラー層121中の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー121Aが膜面に垂直方向に立ち上がれば、等電位であってもよいし、互いに異なってもよい。
【実施例】
【0045】
銅からなる複数の素線を、図1及び図5に示すように、横に2列、縦に8列で並列させて結束して得た導体11を、エポキシ樹脂を90体積%で含有するとともに、鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー(アスペクト比:1対100)を含有するフィラー層、エポキシ樹脂を10体積%で含有するとともに、鱗片状のマイカフィラー(アスペクト比:1対100)を含有するマイカ層、及びこれらの間に位置するガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させてなる裏打ち層からなる絶縁テープで10回巻回した。
【0046】
その後、上述のようにして得たアセンブリを真空加圧タンクにいれて真空引きを行った後、150℃のポリエチレンワックスを流し込み、ポリエチレンワックスを媒体として、窒素ガスで7 kgf/cm2の圧力を付加した状態で加熱し、上記エポキシ樹脂を硬化させ、図1に示すような回転電気固定子を製造した。
【0047】
なお、上述のような製造過程において、上記アセンブリを保持するための鉄板と導体との間に1kV/mm〜10kV/mmの電圧を印加し、上記絶縁層中のフィラー層における鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーの配向率(100)/(002)を制御した。
【0048】
図6は、フィラー層中の、六方晶窒化ホウ素フィラーの配向率(100)/(002)と熱伝導率との関係を示すグラフである。図6から明らかなように、フィラー層中の六方晶窒化ホウ素フィラーの配向率(100)/(002)が0.04以上となることにより、このフィラー層の熱伝導率が著しく向上し、絶縁層の熱伝導率も向上できることが分かる。したがって、導体での発熱量の増大に対して充分に対処しうる熱伝導特性、及び導体に対する充分な絶縁特性を有する回転電機固定子を提供できることが分かる。
【0049】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
10 回転電機固定子
11 導体
111 素線
12 絶縁層
121 フィラー層
121A 鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラー
121B 樹脂
122 マイカ層
122A マイカフィラー
122B 樹脂
123 裏打ち層
21,22 鉄板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素線を結束してなる導体と、
前記導体の外周面を被覆するようにして形成された、配向率(100)/(002)が0.04以上である鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーを含むフィラー層及びマイカ層を有する絶縁層と、
を具えることを特徴とする、回転電機固定子。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記フィラー層及び前記マイカ層に対する裏打ち材を含むことを特徴とする、請求項1に記載の回転電機固定子。
【請求項3】
複数の素線を結束してなる導体の外周面を被覆するようにして、未配向の鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーを含むフィラー層及びマイカ層を有する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層を前記導体に対して固定するための金属製の固定治具を設ける工程と、
前記導体と前記固定冶具との間に電圧を印加して、前記絶縁層の厚さ方向に所定の電界を生成し、前記絶縁層の、前記フィラー層中の六方晶窒化ホウ素フィラーを、前記絶縁層の厚さ方向に配向させる工程と、
を具えることを特徴とする、回転電機固定子の製造方法。
【請求項4】
配向率(100)/(002)が0.04以上である鱗片状の六方晶窒化ホウ素フィラーを含むフィラー層と、マイカ層とを具えることを特徴とする、回転電機固定子用絶縁テープ。
【請求項5】
前記フィラー層及び前記マイカ層に対する裏打ち材を具えることを特徴とする、請求項7に記載の回転電機固定子用絶縁テープ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−175799(P2012−175799A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35110(P2011−35110)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】