説明

回転電機

【課題】排出される粉塵量を低減することができる回転電機を提供すること。
【解決手段】フランジ部2bには、ファン20により導かれる空気が当る箇所に、摩擦粉等を堆積させるための溜まり部2eが形成されている。溜まり部2eは、フランジ部2bの上面から反ファン20方向に向って凹設されるとともに、ファン20と同軸の円環状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転電機の防塵構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシ付モータは、ブラシとコンミテータが機械的に摺動させてコンミテータに接続されたコイルに通電し、整流することでモータが回転する。ブラシとコンミテータの摺動は機械的であるため、ブラシとコンミテータが共に摩耗する。ブラシは炭素と銅が主成分であり、コンミテータは銅であるため、摩耗粉は銅を含む。
【0003】
モータ内部に堆積した摩耗粉は、絶縁劣化等の要因となる。このため、摩耗粉が堆積する場所に樹脂により形成された部材を備え、そのカバーに摩耗粉を堆積させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−146595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように発生する摩耗粉は、モータ内部を冷却するための開口からモータ外部へ飛び出す場合がある。ブラシ付モータは、例えば、空調システムのブロワモータとして利用される。このような場合、モータから飛び出した摩耗粉はシステム内のファンやダクトの内壁等に付着する。銅がアルミニウムの部材(例えばエバポレータ)に付着すると、腐食が発生するという問題が発生する。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、排出される粉塵量を低減することができる回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、モータ本体ケースと、モータ内部と外部とを連通する開口を有し、前記モータ本体ケースの開口部を覆うエンドカバーと、を有し、ブラシ及び整流子により回転軸を駆動するモータと、前記エンドカバーから突出する回転軸に装着されるファンと、前記モータを保持するとともに、前記ファンによって、前記開口から流出する空気が導かれる溜まり部を有するモータホルダとを備える。
【0008】
この構成によれば、ブラシ及び前記整流子との摺接部から発生する粉塵は、モータの開口から流出する空気に含まれ、その空気は、溜まり部に導かれる。従って、空気に含まれる粉塵は、溜まり部に堆積するため、ファンにより送られる空気に含まれる粉塵の量が減少する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の回転電機において、前記ファンの下端部に、前記ブラシ及び前記整流子との摺接部から発生する粉塵を前記溜まり部に誘導するフィンが形成されている。
【0010】
この構成によれば、モータから流出する空気に含まれる粉塵は、ファンの下端部に形成されたフィンにより溜まり部内に誘導されるため、より溜まり部内に堆積し易くなり、ファンにより送られる空気に含まれる粉塵の量が減少する。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の回転電機において、前記フィンの軸方向先端部は、前記溜まり部内に入り込んでいる。
この構成によれば、フィンと溜まり部は迷路構造を構成し、溜まり部に堆積した粉塵が外部へと出にくくなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の回転電機において、前記フィンは、前記ファンの回転方向に傾斜した側面を有する。
この構成によれば、モータから流出する空気に含まれる粉塵は、ファンが回転することにより、傾斜した側面によって溜まり部内に強制的に導かれ、溜まり部内に堆積するため、ファンにより送られる空気に含まれる粉塵の量が減少する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、モータ本体ケースと、モータ内部と外部とを連通する開口を有し、前記モータ本体ケースの開口部を覆うエンドカバーと、回転軸を駆動するためのブラシ及び整流子と、前記エンドカバー内に配設され、前記整流子を囲む隔壁部と、を有する。
【0014】
この構成によれば、ブラシ及び前記整流子との摺接部から発生する粉塵は、整流子を囲む隔壁部の内側面に堆積するため、モータから外部へ流出する粉塵の量が低減する。
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の回転電機において、前記隔壁部の前記整流子側表面には粉塵を吸着する吸着部材を備える。
【0015】
この構成によれば、粉塵が吸着部材に吸着されるため、モータから外部へ流出する粉塵の量がさらに低減する。
請求項7に記載の発明は、モータ本体ケースと、モータ内部と外部とを連通する開口を有し、前記モータ本体ケースの開口部を覆うエンドカバーと、を有し、ブラシ及び整流子により回転軸を駆動するモータと、前記モータを保持するモータホルダと、前記エンドカバーを覆うとともに、前記モータホルダに保持された防塵カバーとを備える。
【0016】
この構成によれば、ブラシ及び前記整流子との摺接部から発生する粉塵は、モータの開口から流出し、防塵カバーに付着する。従って、ファンにより送られる空気に含まれる粉塵の量が減少する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項7記載の回転電機において、前記防塵カバーは、ドーム状に形成され、その開口端部は前記モータホルダのフランジ部に取着されている。
この構成によれば、防塵カバーの開口端部がモータホルダのフランジ部に取着されているため、モータの開口から流出する空気がより確実に防塵カバーに取着し、ファンにより送られる空気に含まれる粉塵の量がより減少する。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項8記載の回転電機において、前記防塵カバーは金属製で構成されている。
この構成によれば、金属製の防塵カバーにより、モータからモータ外部へ放出されるノイズが低減する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、排出される粉塵量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)第一実施形態の送風装置の断面図、(b)一部拡大断面図。
【図2】第二実施形態のエンドカバーの断面図。
【図3】エンドカバーの概略説明図。
【図4】第三実施形態の送風装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)に示すように、車両用空調装置の送風装置1は、該装置を空調装置に取り付けるためのモータホルダ2を備えている。このモータホルダ2には、その中央部に略有底円筒状の収容部2aが形成され、該収容部2aの外周に円盤状のフランジ部2bが形成されている。この収容部2aには、送風装置1の駆動源であるモータ3が収容保持されている。
【0022】
モータ3は、略有底円筒状のヨークハウジング(モータ本体ケース)4を備えている。ヨークハウジング4は、その底部がモータホルダ2に対してネジ5等で固定されている。ヨークハウジング4の内周面には、マグネット6が固定されている。マグネット6の内側には、アーマチャ7が回転可能に収容されている。アーマチャ7の回転軸8の下端部は、ヨークハウジング4の底部に設けた軸受9により回転可能に支持されている。
【0023】
ヨークハウジング4の上部開口部には、エンドカバー10が装着されている。尚、このエンドカバー10、又はエンドカバー10とヨークハウジング4の上部開口部との間には、開口11を有している。エンドカバー10には、回転軸8の上部側を回転可能に支持する軸受12が備えられている。又、このエンドカバー10にはブラシホルダ13が備えられており、該ブラシホルダ13には、アーマチャ7のコンミテータ14に摺接するブラシ15が保持されている。ブラシ15は、外部駆動電源(図示略)に接続されており、コンミテータ14を介してアーマチャ7に電源を供給する。そして、エンドカバー10から突出した回転軸8の上端部にはファン20が固定されている。
【0024】
ヨークハウジング4の底部には、該ヨークハウジング4の内外を貫通する貫通孔4aが形成されている。又、ヨークハウジング4の底部及びモータホルダ2の収容部2aの底部との間には、その貫通孔4aと連通する連通通路17が形成されている。
【0025】
モータホルダ2には、送風路部材18が収容部2aの外側面及びフランジ部2bの下面と密着するように装着されている。この送風路部材18は、フランジ部2bの外縁部に設けた連通孔2cと連通通路17とを接続する送風路18aを有している。ここで、連通孔2cは上下方向に延び、送風路18aはその連通孔2cから斜め下方に略直線状に延びている。
【0026】
フランジ部2bの上面2dには、ファン20の周囲を覆うブロワケース30が装着される。このブロワケース30の上部には車室内又は車室外の空気を導入する導入ダクト(図示略)に連設される空気取込口30aが形成され、その側面には送風ダクト(図示略)に連設される送風口(図示略)が形成されている。そして、ファン20が回転すると、空気取込口30aから取り込まれた空気が送風口に導かれ、送風ダクト、空調装置を介して車室内に送られる。
【0027】
又、ブロワケース30には、その空気取込口30aから導入された空気の一部をモータ3内部を冷却するための冷却風として分流させる分流ダクト30bが形成されている。分流ダクト30bは、ファン20の上部側に設けられる上流側開口30cから上下方向に直線状に延び、下流側開口30dがフランジ部2bの連通孔2cに接続されている。
【0028】
そして、分流ダクト30b内に導入された冷却風は、連通孔2c、送風路18a、連通通路17及びヨークハウジング4の貫通孔4aを介してモータ3内部に供給される。尚、モータ3内部に流入した冷却風は、モータ3内部を冷却し、モータ3上部の開口11から流出する。
【0029】
モータ3の内部を通過し開口11から流出する冷却風には、コンミテータ14とブラシ15の互いの摺接部分から生じる摩擦粉等の粉塵が含まれる。そして、フランジ部2bには、ファン20により導かれる空気が当る箇所に摩擦粉等の粉塵を堆積させるための溜まり部(粉塵溜まり部)2eが形成されている。
【0030】
詳述すると、ファン20は、支持部21、環状の連結部22,24、フィン23、サブフィン25を備えている。
支持部21は、モータ3のエンドカバー10を覆うように、略ドーム状に形成されている。支持部21は、その頂点部がモータ3の回転軸8の先端に、回転軸8と一体回転するよう固着されている。支持部21の径方向外側先端には、回転軸と直交する面に沿って径方向外側に向かって延びる連結部22が形成されている。連結部22は、回転軸と同軸の環状に形成されている。連結部22は、複数のフィン23の一端を連結し、複数のフィン23の他端は連結部24により連結されている。複数のフィン23は、回転軸の周方向に沿って等間隔に配置されている。なお、図1(a)には、左右にそれぞれ1つのフィン23を模式的に図示する。
【0031】
上記のように構成されたファン20は、回転軸8の回転に従って、フィン23の作用により、軸方向一端側(図1(a)の上側)の気体を、ファン20の径方向外側に流す。そして、モータ3の内部から放出される空気は、支持部21の下面に沿ってモータホルダ2のフランジ部2b上面に向って導かれる。
【0032】
フランジ部2bには、ファン20により導かれる空気が当る箇所に、摩擦粉等を堆積させるための溜まり部2eが形成されている。溜まり部2eは、フランジ部2bの上面から反ファン20方向(図1(a)において下方向)に向って凹設されるとともに、ファン20と同軸の円環状に形成されている。
【0033】
更に、フランジ部2b上面には、溜まり部2eより径方向外側に、防止壁2fが形成されている。防止壁2fは、フランジ部2bの上面からファン20に向って回転軸と平行に延びる円筒状に形成されている。
【0034】
そして、ファン20は、摩擦粉等を溜まり部2e内に導くためのサブフィン25を備えている。サブフィン25は、円環状の連結部22に沿って周方向に沿って等間隔に配置されている。なお、図1(a)には、図面の左右にそれぞれ1つのサブフィン25を示している。サブフィン25は、連結部22の下面からフランジ部2bに向って延びるように形成され、その先端は、溜まり部2e内に挿入されている。
【0035】
サブフィン25の内側面25a(回転軸側の側面)は、先端ほど回転軸から離間するように傾斜している。従って、サブフィン25の内側面25aは、モータ3の開口11から流出した空気を、溜まり部2e内へと導く。また、図1(b)に示すように、サブフィン25の周方向側面25bは、矢印にて示すファン20の回転方向に傾斜している。従って、回転するファン20のサブフィン25は、モータ3の開口11から流出した空気を、溜まり部2e内へと導く。更に、溜まり部2e内に先端が挿入されたサブフィン25は、溜まり部2eの底部及び側壁とともに、屈曲した通路(迷路構造)を形成する。
【0036】
上記の送風装置1の作用を説明する。
このように構成された送風装置1では、駆動回路の動作に基づいてモータ3が回転するとファン20が回転し、送風動作が行われる。このとき、ファン20により発生した風の一部は、冷却風として分流ダクト30b内に流れ込み、送風路18a、連通通路17及びヨークハウジング4の貫通孔4aを介してモータ3内部に供給され、その後、ファン20の回転により負圧になるモータ3の上部の開口11から放出される。このような冷却風(図1に矢印にて示す)は、送風路18aからモータ3内部へと導かれ、モータ3内部を通過する際に、モータ3内部、具体的にはアーマチャ7のコイルやブラシ15、コンミテータ14等、各種モータ構成部品を冷却する。
【0037】
そして、モータ3内部を冷却した冷却風は、モータ3の開口11から流出する。この冷却風には、コンミテータ14とブラシ15の互いの摺接により生じる摩擦粉等の粉塵が含まれる。この粉塵を含む空気は、ファン20の支持部21内面に沿ってモータホルダ2のフランジ部2b上面2dに導かれる。そして、空気は、ファン20に形成されたサブフィン25の内側面25a、及び周方向側面25bによって溜まり部2e内へと導かれる。そして、空気の流れが溜まり部2eの底部や側壁に当ること、溜まり部2e及びサブフィン25が迷路構造を形成することにより、空気に含まれる粉塵は溜まり部2e内に滞留するため、ファン20の外周方向に流れる空気に含まれる粉塵の量が低下する。
【0038】
溜まり部2eを通過した空気は、その溜まり部2eより径方向外側に円筒状に形成された防止壁2fに当る。従って、空気に含まれる粉塵は、空気が防止壁2fに当ることにより、防止壁2fの内側に堆積する。これにより、ファン20の外周方向に流れる空気に含まれる粉塵の量がさらに低下する。
【0039】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)モータホルダ2には、モータ3の開口11から流出した空気が当る箇所に溜まり部2eが凹設されている。開口11から流出する空気(冷却風)には、コンミテータ14とブラシ15の互いの摺接により生じる摩擦粉等の粉塵が含まれる。このような粉塵は、溜まり部2eに堆積する。従って、モータ3により回転するファン20によって空調装置に送られる空気に含まれる粉塵の量を低減することができる。
【0040】
(2)ファン20に形成されたサブフィン25の先端は溜まり部2e内に配置されている。従って、モータ3から流出した空気は、サブフィン25により溜まり部2e内へと導かれる。このため、モータ3から流出した空気に含まれる粉塵は、溜まり部2e内に堆積するため、モータ3により回転するファン20によって空調装置に送られる空気に含まれる粉塵の量を低減することができる。
【0041】
(3)サブフィン25の周方向側面のうち、回転方向側の周方向側面25bは、回転方向に対して傾斜して形成されている。従って、モータ3から流出した空気は、傾斜した周方向側面25bにより溜まり部2eへと押し込まれる。このため、モータ3から流出した空気に含まれる粉塵は、溜まり部2e内に堆積するため、モータ3により回転するファン20によって空調装置に送られる空気に含まれる粉塵の量を低減することができる。
【0042】
(4)溜まり部2e及びサブフィン25は、空気の流通方向(回転軸8に対して垂直な面に沿った方向)に対して、屈曲した流通経路、即ち迷路構造を構成する。従って、溜まり部2eから粉塵が外部へ流出する量を低減することができる。
【0043】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態を図面に従って説明する。
なお、第一実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。
【0044】
図2に示すように、エンドカバー41の内部には、防塵部材42が取着されている。
防塵部材42は、固定部42a、隔壁部42b、吸着シート42cを有している。固定部42aは、円筒状に形成され、エンドカバー41の内部に固定されている。
【0045】
隔壁部42bは、コンミテータ(整流子)14より径方向外側に配置され、そのコンミテータ14を囲むように形成されている。詳述すると、隔壁部42bは、モータの回転軸方向(図2において上下方向)において、ブラシ15が摺接するコンミテータ14の部分に応じて、その部分を覆うように形成されている。また、図3に示すように、隔壁部42bは、周方向に沿って、ブラシ15間のコンミテータ14を囲む略半円状に形成されている。従って、ブラシ15は、2つの隔壁部42bの間に形成されるスリットから隔壁部42b内へと挿入され、コンミテータ14に摺接する。
【0046】
隔壁部42bにおいて、コンミテータ14と対向する内側面(径方向内側面)には、吸着シート42cが取着されている。吸着シート42cは、例えば、隔壁部42bの内側面に接着されている。吸着シート42cは、多孔質状に形成され、銅などの金属を含む粉塵を吸着する。
【0047】
上記したように、エンドカバー41に取着された防塵部材42の隔壁部42bは、コンミテータ14を囲み、その隔壁部42bの内側面には吸着シート42cが取着されている。従って、コンミテータ14とブラシ15との互いの機械的な摺接により生じる粉塵45は、コンミテータ14から隔壁部42bに向って飛び、隔壁部42bの内側面に取着された吸着シート42cにより吸着される。従って、モータの外部に飛び出す粉塵の量が低減される。
【0048】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)エンドカバー41内には、コンミテータ14の径方向外側に、コンミテータ14を囲む隔壁部42bを有する防塵部材42が配置されている。従って、コンミテータ14とブラシ15との互いの摺接により生じる銅などの摩擦粉は、コンミテータ14を囲む隔壁部42bの内側面に堆積する。この結果、モータから外部に流出する摩擦粉の量を低減することができる。
【0049】
(2)隔壁部42bの内側面には、吸着シート42cが取着されている。吸着シート42cは、銅などの金属粉を吸着する。従って、モータから外部に流出する摩擦粉の量を低減することができる。
【0050】
(3)吸着シート42cは、多孔質状に形成されている。従って、コンミテータ14とブラシ15との互いの摺接により生じる高周波の音(ブラシ音)がモータの外部へと伝搬し難くなる。従って、モータの駆動により生じる音を低減することができる。
【0051】
(4)多孔質状に形成された吸着シート42cは、水やシリコン等を吸着する。従って、例えば、水がコンミテータ14に付着してコンミテータ14とブラシ15が互いに固着することを低減することができる。また、シリコン雰囲気で発生する不具合(不作動)を低減することができる。
【0052】
(5)エンドカバー41の内部に防塵部材42が取着され、その防塵部材42の隔壁部42bの内側面に吸着シート42cが取着されている。従って、隔壁部42b及び吸着シート42cが一体的にエンドカバー41内に配置されるため、隔壁部42b及び吸着シート42cを容易にエンドカバー内に配置することができる。
【0053】
(第三実施形態)
以下、第三実施形態を図面に従って説明する。
なお、第一実施形態と同じ部材については同じ符号を用いる。
【0054】
図4に示すように、送風装置50は、該装置を空調装置に取り付けるためのモータホルダ51を備える。このモータホルダ51の収容部51aは円筒状に形成され、収容部51aの外周に円盤状のフランジ部51bが形成されている。収容部51aには、送風装置50の駆動源であるモータ3が収容保持されている。
【0055】
モータ3のエンドカバー10から突出する回転軸8の先端部にはファン52が固定されている。モータ3とファン52との間には、防塵カバー53が配設されている。防塵カバー53は、モータ3のエンドカバー10を覆うように形成され、モータホルダ51に保持されている。詳述すると、防塵カバー53は、被覆部53aと固定部53bを有している。被覆部53aは、エンドカバー10を覆うドーム状に形成され、その頂部に形成された挿通孔にはモータ3の回転軸8が挿通されている。固定部53bは、被覆部53a端から、回転軸と垂直な面、つまりモータホルダ51のフランジ部2b上面と平行な面に沿って延びる環状に形成されている。そして、固定部53bは、モータホルダ51のフランジ部2b上面に固定されている。また、防塵カバー53は、モータホルダ51に固定された支持部54により、支持されている。
【0056】
防塵カバー53は、網目を有する薄板状(例えばネット状)に形成され、モータ3から流れ出す空気が通過可能に形成されている。その空気に含まれる銅などの粉塵は、防塵カバー53の網目に付着する。防塵カバー53は、例えば、金属により形成され、例えばアースに接続される。
【0057】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)モータホルダ51には、モータ3のエンドカバー10を覆う防塵カバー53が保持されている。防塵カバー53は、網目を有する薄板状に形成され、モータ3から流れ出す空気が通過可能である。その空気に含まれる銅などの粉塵は、防塵カバー53の網目に付着する。従って、モータ3により回転するファン52によって空調装置に送られる空気に含まれる粉塵の量を低減することができる。
【0058】
(2)防塵カバー53は、金属よりなり、網目を有する薄板状に形成されている。従って、モータから外部へと放出されるノイズを低減することができる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0059】
・第二実施形態では、エンドカバー41の内部に防塵部材42を取着してコンミテータ14の周囲を隔壁部42bにより囲むようにしたが、隔壁部42bをエンドカバーと一体に形成してもよい。
【0060】
・第三実施形態において、モータ3の開口部(エンドカバー10の開口部)を防塵カバーにて覆うことができればよく、防塵カバーの形状を適宜変更してもよい。また、防塵カバーを固定する場所は、フランジ部2bに限定されない。
【0061】
・上記各形態を適宜組み合わせて具体化してもよい。例えば、第一実施形態の溜まり部2eを有するモータホルダ2に、第二実施形態のエンドカバー41を取着したモータを取り付ける、また、第一実施形態の溜まり部2eを有するモータホルダ2に、第三実施形態の防塵カバー53を固定する。また、第三実施形態のエンドカバー10に替えて第二実施形態のエンドカバー41(防塵部材42及び吸着シート42c)を用いる。また、第一〜第三実施形態を組み合わせた送風装置とする。
【0062】
・第三実施形態において、隔壁部42bの内側面に吸着シート42cを取着したが、その他の吸着部材を隔壁部42bの内側面に取着するようにしてもよい。また、隔壁部42bの内側面を、粉塵を吸着可能な構造として吸着部材としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
2…モータホルダ、2a…収容部、2b…フランジ部、2e…溜まり部、3…モータ、4…ヨークハウジング(モータ本体ケース)、8…回転軸、10…エンドカバー、11…開口、14…コンミテータ(整流子)、15…ブラシ、20…ファン、21、支持部、22…連結部、25…サブフィン、25a…内側面、25b…周方向側面、41…エンドカバー、42…防塵部材、42b…隔壁部、42c…吸着シート(吸着部材)、51、モータホルダ、51b…フランジ部、53…防塵カバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体ケースと、モータ内部と外部とを連通する開口を有し、前記モータ本体ケースの開口部を覆うエンドカバーと、を有し、ブラシ及び整流子により回転軸を駆動するモータと、
前記エンドカバーから突出する回転軸に装着されるファンと、
前記モータを保持するとともに、前記ファンによって、前記開口から流出する空気が導かれる溜まり部を有するモータホルダと
を備えることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記ファンの下端部に、前記ブラシ及び前記整流子との摺接部分から発生する粉塵を前記溜まり部に誘導するフィンが形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記フィンの軸方向先端部は、前記溜まり部内に入り込んでいることを特徴とする請求項2記載の回転電機。
【請求項4】
前記フィンは、前記ファンの回転方向に傾斜した側面を有することを特徴とする請求項3記載の回転電機。
【請求項5】
モータ本体ケースと、
モータ内部と外部とを連通する開口を有し、前記モータ本体ケースの開口部を覆うエンドカバーと、
回転軸を駆動するためのブラシ及び整流子と、
前記エンドカバー内に配設され、前記整流子を囲む隔壁部と、
を有することを特徴とする回転電機。
【請求項6】
前記隔壁部の前記整流子と対向する内側面には粉塵を吸着する吸着部材を備えることを特徴とする請求項5記載の回転電機。
【請求項7】
モータ本体ケースと、モータ内部と外部とを連通する開口を有し、前記モータ本体ケースの開口部を覆うエンドカバーと、を有し、ブラシ及び整流子により回転軸を駆動するモータと、
前記モータを保持するモータホルダと、
前記エンドカバーを覆うとともに、前記モータホルダに保持された防塵カバーと
を備えることを特徴とする回転電機。
【請求項8】
前記防塵カバーは、ドーム状に形成され、その開口端部は前記モータホルダのフランジ部に取着されていることを特徴とする請求項7記載の回転電機。
【請求項9】
前記防塵カバーは金属製で構成されていることを特徴とする請求項8記載の回転電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51788(P2013−51788A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187816(P2011−187816)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】