説明

図面管理システムおよび図面管理方法

【課題】管理対象の管理属性を新たに定義・再定義する作業の作業効率を向上でき、ヒューマンエラー発生を防止できる図面管理システムおよび図面管理方法を提供する。
【解決手段】表示機能42はラスターデータであるイメージとベクターデータであるシンボルをディスプレイ装置2に重ねて表示する。管理属性についての指示指令が入力され、線分定義が選択されると、この線分定義によるオブジェクトが描画され、表示機能42はイメージ上の管理対象に重ねてオブジェクトをディスプレイ2装置に表示する。この制御が繰り返され、色分図が作成される。オブジェクトが描画される過程において、関連付け機能45は、オブジェクトの軌跡がシンボルの座標位置近傍を通過すると、第1属性情報(管理対象のシンボル座標含む)と第2属性情報(管理属性含む)とを関連付けする。一覧表作成機能46は一覧表を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙面に書かれた図面を電子情報として管理する図面管理システムおよび図面管理方法に係り、特に図面情報と属性情報とを関連付ける図面管理システムおよび図面管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラントの配管部品の点検の計画や点検実績の管理を行う場合、技術規格の改訂あると、今回点検する範囲、点検の頻度、管理ランク等の管理属性を新たに定義する必要がある。また、プラントの運転状態の変更によっては、一度定義した管理属性を見直す必要がある場合がある。
【0003】
ところで既存のプラントの図面は、電子化されておらず、紙面に書かれているものも多い。このように電子化されていない場合、例えば管理ランク毎に色を定義し、紙図面上の管理対象(点検箇所)のルートに重ねて管理ランクに対応する色の蛍光ペンを塗り、いわゆる色分図を作成するとともに、表計算ソフトなどを用いて、管理対象と管理ランクとの一覧表を作成する方法が一般的である。
【0004】
しかし、このような手作業は作業効率が悪く、また作業結果である色分図も紙図面となり保存し管理する手間もかかるという課題があった。また、一覧表を作成する際は、色分図から管理対象および管理ランクを再度抽出し、表計算ソフトに手入力する方法が一般的であり、手入力の際にヒューマンエラー発生の可能性があるという課題があった。
【0005】
上記課題を解決する為に、紙面に書かれた図面を電子情報として管理することが望まれている。特許文献1において、紙面に書かれた図面を電子情報として管理(電子化)する従来技術が提案されている。
【0006】
特許文献1の従来技術は、ラスターデータを電子化する際の電子化作業の精度向上と、作業効率の向上をはかることを目的とし、紙面に書かれた図面をスキャンしてラスターデータであるイメージを取得し、ディスプレイ装置に背景画像として表示し、この背景画像に示される表の記載に関して新たに入力される表の記載情報を取得して、新たに入力された表の記載情報を前景画像として表示し、背景画像に示される図形上の管理対象の座標位置に貼り付けられる任意形状のベクターデータからなるデジタルタグ(後述するシンボルに相当)を識別可能なデジタルタグ識別情報を付して発行し、背景画像に示される図形にデジタルタグを貼り付け、テジタルタグを前景画像として表示し、前景画像に表示される表の記載情報とデジタルタグとをデジタルタグ識別情報に基づいて関連付けることにより、紙面に書かれた図面を電子情報として管理している。
【0007】
「ラスターデータ」とは、格子状(グリッド)に並んだピクセル(画素)の集合体で表されるデータをいう。ピクセルの集合体であるため、隣のピクセルとの関係や、全体が何を示しているか等の情報は持たない。ラスターデータは、画像データやイメージと呼ばれることもある。
【0008】
また、「電子化」とは、ラスターデータをベクターデータに変換することをいう。
【0009】
「ベクターデータ」とは、線の起終点の座標(位置)、曲線であれば曲がり方、太さ、色、線に囲まれた面の色、変化の仕方などを記号または数値で表し、コンピュータで扱いやすいデータで表現したものである。さらに、ベクターデータは、コンピュータでは1つの集合体として扱うことができ、属性情報などを付加することが可能である。
【0010】
「属性情報」とは、名称やそのデータが何を表すか、などの情報を示す。属性情報の種類、量については、特に制限はない。
【0011】
紙面に書かれた図面を電子情報として管理する従来技術として、他に特許文献2、特許文献3の従来技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−116399号公報
【特許文献2】特開平6−274557号公報
【特許文献3】特開平4−329018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1の従来技術は、ラスターデータであるイメージに重ねてベクターデータであるシンボル(デジタルタグ)を表示し、シンボルに属性情報を付加することにより、電子化作業の精度向上と、作業効率の向上をはかることができる。
【0014】
しかし、特許文献1の従来技術は、既存の紙面に書かれた図面を電子化するものであって、管理ランク等の管理属性を新たに定義したり、一度定義した管理属性を再定義するものではない。紙面に書かれた図面上の管理対象の管理属性を新たに定義したり再定義する作業に、特許文献1の従来技術を適用しようとする場合、新たな構成を付加する必要がある。
【0015】
なお、特許文献2の従来技術は、図面の属性情報の検索について省力化を行うものであって、属性情報の入力(属性の定義)の作業効率を向上させるものではない。また、特許文献3の従来技術は、属性情報の表示を制御するものであり、属性情報の入力(属性の定義)の作業効率を向上させるものではない。
【0016】
本発明の目的は、管理対象の管理属性を新たに定義・再定義する作業の作業効率を向上でき、ヒューマンエラー発生を防止できる図面管理システムおよび図面管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、入力装置と、ディスプレイ装置と、記憶装置と、入力装置からの指令に基づき記憶装置に記憶されているデータを読み込みディスプレイ装置に表示する制御装置を備え、前記記憶装置は、紙図面をスキャニングしたラスターデータであるイメージを記憶する第1記憶部と、前記イメージ上の管理対象に対応するベクターデータであるシンボルと、このシンボルの座標情報を含み、シンボルに付加される第1属性情報を記憶する第2記憶部とを有し、前記制御装置は、前記イメージをディスプレイ装置に表示するイメージ表示機能と、前記イメージ上の管理対象に対応するシンボルを表示するシンボル表示機能とを有する図面管理システムにおいて、前記記憶装置は、更に、線分定義データを記憶する第3記憶部を有し、前記制御装置は、前記入力装置からの前記管理対象の管理属性についての指示指令に基づいて、管理属性を含む第2属性情報に対応する線分定義を選択する線分定義選択機能と、前記入力装置からのオブジェクト入力指令に基づいて、前記選択した線分定義によりオブジェクトを入力し、このオブジェクトを前記イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示するオブジェクト表示機能と、前記オブジェクトの入力に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けする関連付け機能と、前記管理属性を第1属性情報に追加して前記第2記憶部に記憶する追加記憶機能とを有するものとする。
【0018】
このように構成した本発明においては、オブジェクト表示機能が、入力装置からのオブジェクト入力指令に基づいて、選択した線分定義によりオブジェクトを入力し、このオブジェクトをイメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示することにより、色分図(管理属性区分図)を容易に効率よく作成できる。
【0019】
更に、関連付け機能が、オブジェクトの入力に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けするので、色分図を作成すると管理対象と管理属性とが自動的に関連付けされる。これにより、関連付けに係る作業効率を向上でき、その結果、管理対象の管理属性を新たに定義する作業の作業効率を向上できる。また、自動的に関連付けされるため、ヒューマンエラー発生を防止できる。
【0020】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記制御装置のオブジェクト表示機能は、前記入力装置からのオブジェクト描画指令に基づいて、オブジェクトを描画するものであり、前記制御装置の関連付け機能は、前記オブジェクト描画の軌跡が、前記シンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けする。
【0021】
このように、オブジェクトを描画することにより、オブジェクトを入力できる。また、オブジェクト描画の軌跡とシンボルの座標の位置関係に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けすることができる。
【0022】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記制御装置は、管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成する一覧表作成機能と、この一覧表を前記ディスプレイ装置に表示する一覧表表示機能とを有する。
【0023】
これにより、管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成することができ、作業者は一覧表をディスプレイ上で確認することができる。
【0024】
(4)上記(1)において、好ましくは、更に印刷装置を備え、前記制御装置は、管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成する一覧表作成機能と、この一覧表を前記印刷装置に出力する一覧表印刷機能とを有する。
【0025】
これにより、管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成することができ、作業者は一覧表を印刷した紙面上で確認することができる。
【0026】
(5)上記(1)において、好ましくは、更に印刷装置を備え、前記制御装置は、前記ラスターデータ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示されたオブジェクトにより作成される管理属性区分図を前記印刷装置に出力する図面印刷機能を有する。
【0027】
これにより、管作業者は紙図面の管理属性区分図を得ることができる。
【0028】
(6)上記(1)において、好ましくは、記制御装置は、第1属性情報と第2属性情報との関連付けがされると、前記管理属性を前記シンボル近傍に表示する添字表示機能を有する。
【0029】
これにより、関連付け機能が第1属性情報と第2属性情報とを関連付けした結果を、作業者はディスプレイ上で確認することができる。その結果として、ヒューマンエラー発生を防止できる。
【0030】
(7)上記(1)において、好ましくは、前記記憶装置は、更に、前記イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示されるオブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理属性とを含む第2属性情報を記憶する第4記憶部を有する。
【0031】
これにより、第1属性情報と第2属性情報とを別の情報とし管理できる。例えば、別レイヤーにおいて表示できる。
【0032】
(8)上記(1)において、好ましくは、前記制御装置の線分定義選択機能は、前記入力装置からの前記管理対象の管理属性についての新たな指示指令に基づいて、管理属性に対応する新たな線分定義を選択でき、前記制御装置のオブジェクト表示機能は、新たな線分定義が選択されると、この新たに選択した線分定義によりオブジェクトを書換え、ディスプレイ装置に表示する。
【0033】
これにより、管理属性の変更にも容易に対応でき、管理対象の管理属性を新たに再定義する作業の作業効率を向上できる。
【0034】
(9)上記目的を達成するために、本発明は、入力装置と、ディスプレイ装置と、記憶装置と、入力装置からの指令に基づき記憶装置に記憶されているデータを読み込みディスプレイ装置に表示する制御装置を備えた図面管理システムの図面管理方法において、前記制御装置は、前記記憶装置から紙図面をスキャニングしたラスターデータであるイメージを読み込み、前記ディスプレイ装置に表示し、前記記憶装置から前記イメージ上の管理対象に対応するベクターデータであるシンボルと、このシンボルの座標情報を含みシンボルに付加される第1属性情報を読み込み、前記イメージ上の管理対象に対応する座標に前記管理対象のシンボルを前記ディスプレイ装置に表示し、前記入力装置から前記管理対象の管理属性についての指示指令を入力し、前記記憶装置から線分定義データを読み込み、前記入力装置から選択指令を入力し、管理属性を含む第2属性情報に対応する線分定義を選択し、前記入力装置からオブジェクト入力指令を入力し、前記選択した線分定義によりオブジェクトを入力し、このオブジェクトを前記ラスターデータ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示し、前記オブジェクトの入力に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けし、前記管理属性を第1属性情報に追加して前記記憶装置に記憶する。
【0035】
このように構成した本発明においては、色分図(管理属性区分図)を容易に効率よく作成でき、色分図を作成すると管理対象と管理属性とが自動的に関連付けされる。これにより、関連付けに係る作業効率を向上でき、その結果、管理対象の管理属性を新たに定義する作業の作業効率を向上できる。また、自動的に関連付けされるため、ヒューマンエラー発生を防止できる。
【0036】
(10)上記(9)において、好ましくは、前記オブジェクトの入力は、前記入力装置からのオブジェクト描画指令に基づいて、オブジェクトを描画するものであり、前記関連付けは、前記オブジェクト描画の軌跡が、前記シンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けるものである。
【0037】
これにより、オブジェクトを入力でき、オブジェクト描画の軌跡とシンボルの座標の位置関係に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けすることができる。
【0038】
(11)上記(9)において、好ましくは、更に、前記イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示されるオブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理属性とを含む第2属性情報を前記記憶装置に記憶する。
【0039】
これにより、第1属性情報と第2属性情報とを別の情報とし管理できる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、管理対象の管理属性を新たに定義・再定義する作業の作業効率を向上でき、ヒューマンエラー発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る図面管理システムの構成および制御装置の機能ブロック図である。
【図2】制御装置の処理ステップを示すフローである。
【図3】管理属性入力テーブルの一例を示したものである。
【図4】線分定義データテーブルの一例を示したものである。
【図5】関連付けテーブルの一例を示したものである。
【図6】オブジェクトテーブルの一例を示したものである。
【図7】一覧表の一例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は、本発明の第1実施形態に係る図面管理システムの構成および制御装置の機能ブロック図である。本実施形態の特徴的な構成は、点線で囲まれている。本実施形態に係る図面管理システムは、入力装置1と、ディスプレイ装置2と、記憶装置3と、制御装置4と、印刷装置5とを備えている。
【0043】
入力装置1は例えばマウスやキーボードまたはタッチ式パネルおよび入力ペンであり、作業者により入力された情報を制御装置4に入力する。ディスプレイ装置2は、例えば液晶ディスプレイであり、入力装置1または記憶装置3からの情報を制御装置4を介して表示する。
【0044】
記憶装置3は、従来構成と共通する第1記憶部31と第2記憶部32とに加えて、本実施形態の特徴的な構成である第3記憶部33と第4記憶部34とを有している。第1記憶部31は紙図面をスキャニングしたラスターデータであるイメージを記憶する。なお、図面管理システムはスキャン装置(図示省略)を備え、スキャン装置は紙図面をスキャニングし、これにより得られたイメージは制御装置4を介して記憶装置3の第1記憶部31に予め記憶されている。第2記憶部32はシンボルと、このシンボルに付加される第1属性情報とを記憶する。シンボルはイメージ上の管理対象に対応するベクターデータである。第1属性情報はこのシンボルの座標情報を含む。なお、イメージ(ラスターデータ)からシンボル(ベクターデータ)を作成する方法については後述する。
【0045】
第3記憶部33は、線分定義データを記憶する。線分定義データでは、複数の線分について線分の色、太さ、種類などが定義される。第4記憶部34は、第2属性情報(後述するオブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理属性とを含む)を記憶する。
【0046】
制御装置4は、入力装置1からの指令に基づき記憶装置3に記憶されている諸データを読み込みディスプレイ装置2に表示したり、入力装置1からの指令に基づきディスプレイ装置2に表示されている画面データを印刷装置5に出力し印刷をするものであり、入力機能41と、表示機能42と、記憶・読込機能43と、線分定義選択機能44と、関連付け機能45と、一覧表作成機能46と、印刷機能47を有している。入力機能41と、表示機能42と、記憶・読込機能43と、印刷機能47とは、従来構成と共通する制御装置4の一般的な機能である。線分定義選択機能44と、関連付け機能45と、一覧表作成機能46と、これらの機能に伴う表示機能42の一部の機能(42c,42d,42e)は、本実施形態の特徴的な構成である。
【0047】
入力機能41は入力装置1とのインターフェースとして機能し、入力装置1を介して作業者の指令を入力する。
【0048】
表示機能42は入力装置1または記憶装置3からの情報をディスプレイ2装置に出力し表示するものであり、イメージ表示機能42aと、シンボル表示機能42bと、オブジェクト表示機能42cと、添字表示機能42dと、一覧表表示機能42eとを有している。
【0049】
イメージ表示機能42aは、第1記憶部31に記憶されているライメージをディスプレイ2装置に表示する。シンボル表示機能42bは、第2記憶部32に記憶されている第1属性情報に基づいてイメージ上の管理対象に対応するシンボルをディスプレイ装置2に表示する。オブジェクト表示機能42cは、入力装置を用いて描画されたオブジェクト(後述)をディスプレイ2装置に表示する。添字表示機能42dは、シンボル近傍に管理属性(例えば管理ランク)をディスプレイ2装置に表示する。一覧表表示機能42eは、一覧表(後述)をディスプレイ装置2に表示する。
【0050】
記憶・読込機能43は記憶装置3とのインターフェースとして機能し、記憶装置3から情報を読み込み、また記憶装置3に情報を記憶する。
【0051】
線分定義選択機能44は、第3記憶部33に記憶されている複数の線分定義データを記憶・読込機能43を介して読み込み、入力装置を用いて管理属性に対応する線分定義を選択する。
【0052】
関連付け機能45は、入力装置1を用いて描画されたオブジェクトの軌跡が、シンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報(管理対象のシンボルに付加されている)と第2属性情報(管理属性を含む)とを関連付ける。具体的には、オブジェクトは入力装置1によりポインタで描画されるが、描画の過程でポインタがシンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、関連付け機能45が機能する。関連付け機能45は本実施形態の本質的な構成であり、その動作について詳しく後述する。
【0053】
一覧表作成機能46は、第1属性情報と第2属性情報との関連付けがされると、すなわち、管理対象と管理属性との関連付けがされると、この関連付けに係る一覧表を作成する。
【0054】
印刷機能47は、印刷装置5とのインターフェースとして機能し、印刷装置5に情報を出力し印刷する。
【0055】
印刷装置5は、入力装置1を介する作業者の指令に基づき、ディスプレイ装置2に表示されている色分図(後述)や一覧表のデータを印刷する。
【0056】
〜制御〜
図2は、制御装置4の処理ステップを示すフローである。なお、ここでは、制御装置4内の処理を中心に説明し、作業者の動作を含む本実施形態に係る図面管理システムの全体の動作については後述する。
【0057】
作業に先立って、制御装置4は、線分定義データを作成し、記憶・読込機能43は記憶装置3の第3記憶部33に線分定義データを記憶する(S10)。線分定義データでは、複数の線分について線分の色、太さ、種類などが定義される。
【0058】
以下作業中の制御装置4の処理ステップについて説明する。
【0059】
制御装置4の入力機能41は入力装置1から作業者の表示指令を入力し、表示指令に基づき、記憶・読込機能43は記憶装置3の第1記憶部31からイメージを読み込み、第2記憶部32からシンボルおよび第1属性情報を読み込み、イメージ表示機能42aはイメージをディスプレイ2装置に表示し、シンボル表示機能42bは、第1属性情報に基づきイメージ上の管理対象に対応するシンボルをディスプレイ装置2に表示する(S20)。
【0060】
入力機能41は入力装置1から各管理属性について作業者の指示指令を入力する(S30)。なお、この指示指令は一時的に記憶装置3のRAM(図示せず)に記憶してもよいし、第3記憶部33に記憶してもよいし、第4記憶部34に記憶してもよい。
【0061】
各管理属性についての指示指令が入力されると、記憶・読込機能43は記憶装置3の第3記憶部33から線分定義データを読み込み、入力機能41は入力装置1から複数の線分定義の中から管理属性に対応する線分定義を選択する作業者の選択指令を入力し、線分定義選択機能44は各管理属性について対応する線分定義を選択する(S40)。
【0062】
線分定義が選択されると、入力機能41は入力装置1から作業者の描画指令を入力し、描画指令に基づき、オブジェクト表示機能42cは選択された線分定義によりオブジェクトをイメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ2装置に表示する(S50)。
【0063】
オブジェクトが描画される過程において、関連付け機能45は、入力装置1を用いて描画されたオブジェクトの軌跡の座標を検出し、第1属性情報に含まれる管理対象のシンボルの座標を検出し(S60)、オブジェクトの軌跡がシンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けする。より詳細には、第1属性情報が付加される管理対象のシンボルまたは第1属性情報に含まれる管理対象名称と第2属性情報に含まれる管理属性とを関連付けする(S70)。
【0064】
関連付けがされると、記憶・読込機能43は、管理属性を第1属性情報に追加して第2記憶部32に記憶する(S80)。また、オブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理属性を構成する第2属性情報を第4記憶部34に記憶する(S90)。
【0065】
制御装置4は、同一の管理属性に区分される他の管理対象について、処理ステップ(S50〜90)を繰り返し、更に他の管理属性に区分される管理対象について、処理ステップ(S40〜90)を繰り返し、管理属性区分図(色分図)をディスプレイ装置2に表示する。
【0066】
色分図が作成されると、入力機能41は入力装置1から作業者の印刷指令を入力し、印刷機能47は印刷装置5に色分図に係る情報を出力し印刷する(S100)。
【0067】
同一の管理属性に区分される管理対象毎に管理属性毎に関連付けがされ(S50〜90)、さらに管理属性毎に関連付けがされる(S40〜90)と、一覧表作成機能46は、この関連付けに係る一覧表を作成する。一覧表が作成されると、入力機能41は入力装置1から作業者の印刷指令を入力し、印刷機能47は印刷装置5に一覧表に係る情報を出力し印刷する(S110)。
【0068】
〜動作〜
管理対象の管理属性が指示されたとき、作業者は本実施形態に係る図面管理システムを用いて、管理属性区分に係る色分図を作成し、一覧表を作成する。この一連の動作について、事前準備、色分図作成、一覧表作成、管理属性変更(再定義)の順に説明する。
【0069】
事前準備に係る動作について説明する。
【0070】
プラントで用いられる配管図面は、現在ではCAD(Computer Aided Design)等、コンピュータを用いて作成されることが多く、電子情報として残され、管理されている。しかしながら、過去に建設されたプラントの配管図面は、紙面に記載れている場合が多い。作業者は、スキャン装置を用いて紙図面をスキャニングする。これにより得られたラスターデータであるイメージは図面番号とともに記憶装置3に記憶される。
【0071】
紙図面には、管理対象である配管ごとに、管理対象ID、配管形状、寸法、品名、材質、肉厚、接続対象配管などの属性情報が一覧表形式で記載されている。作業者が、スキャン装置を用いて紙図面をスキャニングすると、この一覧表もラスターデータとして記憶装置3に記憶される。
【0072】
作業者は、ディスプレイ装置2にイメージを表示し、イメージ上の管理対象に対応する位置にシンボルを配置する。シンボルは、例えば、矢印付きの楕円図形データ(ベクターデータ)であり、矢印の先端が管理対象を示すように配置される。シンボルが配置されると、矢印先端の座標が、ラスターデータ上の管理対象の座標として検出され、この座標がシンボルの座標と認識される。
【0073】
シンボルは属性情報入力テーブルがリンクされており、作業者は属性情報入力テーブルとラスターデータ形式の一覧表の両方をディスプレイ装置2に表示し、この一覧表を見ながら各属性情報を属性情報入力テーブルに入力する。なお、一覧表の文字をOCRによって電子化し、電子化した文字情報を入力テーブルに入力しても良い。属性情報のうち管理対象IDが、シンボルの楕円の中に表示される。属性情報入力テーブルに入力された一覧表の各属性情報およびシンボル矢印先端の座標は記憶装置3に記憶され、第1属性情報を構成する。なお、管理対象IDとシンボル矢印先端の座標のみが第1属性情報を構成し、その他の属性情報は別の属性情報として第1属性情報とリンク付けされ、記憶装置3の別領域に記憶されていてもよい。
【0074】
なお、ラスターデータであるイメージからベクターデータであるシンボル(特許文献1のデジタルタグに相当)および第1属性情報を作成する方法は、説明の便宜上簡略化してあるものの、特許文献1の従来技術の基本的な概念と共通する。
【0075】
一方、線分定義データを予め作成しておく(S10)。線分定義データは記憶装置3に記憶される。
【0076】
色分図作成に係る動作について説明する。
【0077】
プラントの配管部品の点検管理を行う場合、技術規格の改訂あると、管理属性を新たに定義する必要がある。たとえば、管理属性として管理ランクをランクAとランクBに区分する様に定義する。そして、管理対象である配管毎に色分けし、管理属性区分図(色分図)を作成する。
【0078】
まず、作業者は、イメージおよびシンボルをディスプレイ装置2に表示したのち(S20)、管理属性入力テーブルをディスプレイ装置2に表示する。図3は、管理属性入力テーブルの一例を示したものである。管理属性入力テーブルには、属性IDと属性カテゴリと属性名称が記載されている。属性IDは本システムが自動的に付番したID番号である。属性カテゴリとは、管理属性の総称であり、本実施形態では作業者が「管理ランク」と入力する。属性名称とは、属性カテゴリの項目であり、本実施形態では作業者が「ランクA」と「ランクB」と入力する。これにより、本システムにおいて管理属性が定義される(S30)。管理ランク「ランクA」と「ランクB」は第2属性情報に含まれる。
【0079】
次いで、作業者は線分定義データをディスプレイ装置2に表示し、表示された線分定義データの中から属性ID毎に対応する線分定義を選択する。線分定義データでは、複数の線分について線分の色、太さ、種類などが定義されているが、これらは任意に変更可能である。図4は、線分定義データテーブルの一例を示したものである。図3の管理属性入力テーブルでは、属性ID「00001」は「ランクA」であり、図4の線分定義データテーブルでは、属性ID「00001」は「赤」色の「10pt」の太さの「実線」からなる線分である。すなわち、管理ランク「ランクA」に対応して「赤」「10pt」「実線」の線分定義が選択される。同様に、管理ランク「ランクB」に対応して「ピンク」「5pt」「点線」の線分定義が選択される。これにより、本システムにおいて線分定義が選択される(S40)。
【0080】
管理対象(例えば点検箇所)の管理対象ID「AA‐0001」の管理ランクが「ランクA」であるとき、作業者は、ラスターデータ上の管理対象(AA‐0001に対応)に重ねてディスプレイ装置に表示するように、「赤」「10pt」「実線」の線分定義により、オブジェクトを描画する。より具体的には、イメージ上の管理対象を代表する数ポイントがマウス(入力装置1)により選択され、ポイント同士が線分により結合されることにより、オブジェクトが描画される。なお、描画方法については、マウス(入力装置1)操作によるポインタがラスターデータ上の管理対象をなぞる様に移動することにより、オブジェクトが描画されてもよい。入力装置1がタッチ式パネルの入力ペンであるときは、ペン先がラスターデータ上の管理対象をなぞる様に移動することにより、オブジェクトが描画されてもよい。何れの描画方法においても、これによりオブジェクトがディスプレイ装置2に表示される(S50)。
【0081】
オブジェクトが描画される過程において、オブジェクトの軌跡が生じる。本システムは、管理対象ID「AA‐0001」のシンボルの座標を検出し(S60)、オブジェクト描画の軌跡がシンボルの座標近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けする。図5は、関連付けテーブルの一例を示したものである。管理対象ID「AA‐0001」に対応して属性ID「00001」が入力される。図3の管理属性入力テーブルにおいて、属性ID「00001」は「ランクA」と定義されており、その結果、管理対象ID「AA‐0001」と管理ランク「ランクA」とが関連付けされる(S70)。
【0082】
関連付けテーブルは記憶装置3に記憶される。また、管理対象ID「AA‐0001」の管理ランクが「ランクA」であるという属性情報が、第1属性情報に追記される(S80)。
【0083】
作業者が添字表示機能を設定している場合は、「ランクA」との添字が、管理対象ID「AA‐0001」のシンボルの近傍に表示される。
【0084】
図6はオブジェクトテーブルの一例を示したものである。オブジェクトテーブルには、オブジェクトIDと属性IDとが記載されている。オブジェクトIDはオブジェクトを作成するとき本システムが自動的に付番するID番号であり、描画されたオブジェクトを識別する識別番号である。図5の関連付けテーブルにおいて、管理対象ID「AA‐0001」に対応して属性ID「00001」が入力されると、オブジェクトテーブルにおいてオブジェクトID「OBJ0001」に対応して属性ID「00001」が入力される。その結果、オブジェクトID「OBJ0001」のオブジェクトが管理対象ID「AA‐0001」に関連付けされる。
【0085】
関連付けテーブルとオブジェクトテーブルとは、すなわちオブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理ランクとは、第2属性情報を構成し、第2属性情報は、記憶装置3に記憶される(S90)。
【0086】
管理対象ID「AA‐0001」に対応するオブジェクトを描画したのと同様に、管理ランク「ランクA」と区分される他の管理対象(管理対象ID「AA‐0001」以外)についても、作業者は、ラスターデータ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示するように、「赤」「10pt」「実線」の線分定義により、オブジェクトを描画し(S50〜90)、更に、管理ランク「ランクB」と区分される管理対象について、イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示するように、「ピンク」「5pt」「点線」の線分定義により、オブジェクトを描画する(S40〜90)。これにより、管理属性区分図(色分図)がディスプレイ装置2に表示される(S100)。作業者が色分図を紙図面として使用したい場合は、印刷装置5を用いて色分図を印刷する。
【0087】
一覧表作成について説明する。
【0088】
色分図作成の過程において、管理対象ID「AA‐0001」と管理ランク「ランクA」とが関連付けされ、さらに他の管理対象IDと管理ランクとが関連付けされ、各管理対象IDごとに関連付けをする結果、自動的に一覧表が作成される。作業者は、選択により一覧表をディスプレイ装置2に表示し、更に選択により印刷装置5を用いて一覧表を印刷する(S110)。図7は、一覧表の一例を示したものである。
【0089】
管理属性の変更に伴う動作について説明する。
【0090】
当初の検討のときは、管理属性として管理ランクをランクAとランクBに区分する様に定義したが、その後の検討の結果、管理ランクをランクAとランクBとランクCに区分する様に新たに再定義する場合もある。このような管理属性の変更に伴い、たとえば、管理対象ID「AA‐0003」の管理ランクが「ランクB」から「ランクC」に変更されるものとする。
【0091】
まず、作業者は、管理属性入力テーブルをディスプレイ装置2に表示し、自動的に付番される属性ID「00003」に対応して「ランクC」と入力する。
【0092】
そして、作業者は、線分定義データをディスプレイ装置2に表示し、表示された線分定義データの中から「ランクC」に対応する線分定義を選択する。管理ランク「ランクC」に対応して属性ID「00003」、および、例えば、「オレンジ」「3pt」「破線」の線分定義が選択されたとする。線分定義データテーブルには、属性ID「00003」「オレンジ」「3pt」「破線」が追記される。
【0093】
管理対象ID「AA‐0003」の変更前の管理ランクは「ランクB」であるので、作業者がオブジェクトテーブルを表示すると、オブジェクトID「OBJ0003」に対応して属性ID「00002」が記載されている。作業者が属性ID「00002」の記載を属性ID「00003」に変更すると、オブジェクトID「OBJ0003」のオブジェクトの線分定義が変更されてディスプレイ装置2に表示される。
【0094】
一方、変更前の関連付けテーブルにおいて、管理対象ID「AA‐0003」に対応して属性ID「00002」が記載されているが、オブジェクトテーブルの変更に伴い、自動的に、属性ID「00002」の記載は属性ID「00003」に変更される。つまり、管理対象ID「AA‐0003」と管理ランク「ランクC」とが関連付けされる。また、管理対象ID「AA‐0003」のシンボル近傍に表示される添字は、「ランクB」から「ランクC」に変更される。
【0095】
これにより、管理属性変更後の色分図がディスプレイ装置2に表示される。変更後の一覧表も自動的に作成される。このように、管理属性の変更にも容易に対応できる。
【0096】
〜効果〜
本実施形態の効果を従来の手作業と比較しながら説明する。
【0097】
従来の手作業の一例として、管理ランク毎に色を定義し、紙図面上の管理対象(点検箇所)のルートに重ねて管理ランクに対応する色の蛍光ペンを塗り、管理対象と管理ランクを関連付け、いわゆる色分図を作成するとともに、表計算ソフトなどを用いて、管理対象と管理ランクとの一覧表を作成する方法がある。
【0098】
しかし、このような手作業は作業効率が悪く、また作業結果である色分図も紙図面となり保存し管理する手間もかかるという課題があった。また、一覧表を作成する際は、作業者が、紙図面である色分図を目視しながら管理対象および管理ランクを再度抽出し関連付けをし、表計算ソフトに手入力する方法が一般的であり、抽出漏れや、関連付けに係る作業効率が悪く、手入力の際にヒューマンエラー発生の可能性があるという課題があった。
【0099】
本実施形態の図面管理システムを用いれば、ディスプレイ装置2に表示された管理対象に重ねてオブジェクトを描画することにより、容易に色分図を作成でき、色分図作成の作業効率を向上できる。また、図面管理システムは、従来の手作業の工程をディスプレイ装置2上で再現するものであり、従来の手作業に慣れた作業者にとっても、容易に操作できる。作成された色分図は記憶装置3に記憶されるので、管理に係る作業効率を向上できる。
【0100】
本実施形態の図面管理システムは、色分図作成の過程において、オブジェクト描画の軌跡が、シンボルの座標位置近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けをする。上述の動作説明では、オブジェクトID「OBJ0001」のオブジェクトを描画すると、管理対象ID「AA‐0001」と管理ランク「ランクA」とが自動的に関連付けされる。これにより、関連付けに係る作業効率を向上できる。また、自動的に関連付けされるため、ヒューマンエラー発生を防止できる。
【0101】
言葉を変えて、この関連付けの作業効率向上、ヒューマンエラー発生防止に係る効果を更に説明する。従来の手作業においても、本実施形態の図面管理システムによる作業においても、作業者が配管図面を見ながら、管理対象を特定し、管理対象と管理属性を関連付けしながら、色分けをしていく手順は共通する。しかし、従来の手作業は、色分図を作成した後に、再度、管理対象および管理ランクを抽出し関連付けをし、表計算ソフトに手入力するのに対し、本実施形態の図面管理システムは、色分図作成時点において、一覧表作成まで自動で行っている。すなわち、本実施形態の図面管理システムは、操作性に優れた入力端末として機能する。これにより、関連付けの作業効率向上、ヒューマンエラー発生防止に係る効果が得られる。
【0102】
一方、特許文献1の従来技術に係る図面管理システムは、色分図を作成する構成を有しておらず、色分図作成はできないが、関連付けに係る作業及び一覧表作成はできないわけではない。すなわち、管理対象のシンボル(デジタルタグに相当)は第1属性情報を付加しており、作業者は属性情報入力テーブルを用いて、各シンボルごとの属性情報に対応する管理属性をそれぞれ追記していけばよい。具体的には、管理対象ID「AA‐0001」のシンボルに付加されている属性情報に管理ランク「ランクA」を追記し、管理対象ID「AA‐0002」のシンボルに付加されている属性情報に管理ランク「ランクB」を追記する。しかし、このような作業は作業効率が悪く、さらに色分図を参照しないと視覚的な確認ができないので、ヒューマンエラーが発生しやすいという課題が生じる。特許文献1の従来技術に係る図面管理システムでは、属性情報入力テーブルが入力手段であるのに対し、本実施形態の図面管理システムではオブジェクト描画が入力手段となっている。本実施形態の図面管理システムを用いれば、作業者は色分図を参照し視覚的に確認にながら効率よくヒューマンエラーのない作業ができる。つまり、特許文献1の従来技術に係る図面管理システムと比較しても、関連付けの作業効率向上、ヒューマンエラー発生防止に係る効果が得られる。
【0103】
更に、本実施形態の図面管理システムは、一覧表の作成、表示、印刷を容易に行うことができる。また、管理属性の変更にも容易に対応できる。
【0104】
<その他の実施形態>
〜第2実施形態〜
第1実施形態に係る図面管理システムの記憶装置3は、第1属性情報を記憶する第2記憶部32と第2属性情報を記憶する第4記憶部34とを有し、管理属性は第2属性情報として第4記憶部34に記憶されるとともに、第1属性情報に追記され第2記憶部32に記憶されるが、管理属性が第2属性情報として第4記憶部34のみに記憶されてもよい。すなわち、必ずしも管理属性が第1属性情報に追記される必要はない。
【0105】
第1実施形態の動作説明で示した管理属性入力テーブル(図3)、線分定義データテーブル(図4)、関連付けテーブル(図5)、オブジェクトテーブル(図6)には属性IDが記載されており、属性IDを介して管理対象と管理属性を関連付けすることができる。
【0106】
その他の構成は、第1実施形態の構成と同様であり、第1実施形態の同様の効果が得られる。
【0107】
〜第3実施形態〜
第1実施形態に係る図面管理システムの記憶装置3は、第1属性情報を記憶する第2記憶部32と第2属性情報を記憶する第4記憶部34とを有するが、第1属性情報を記憶する第2記憶部32のみ有するものでも良い。
【0108】
管理属性は第1属性情報に追記され第2記憶部32に記憶される。追記後の第1属性情報において、管理対象と管理属性を関連付けすることができる。
【0109】
第4記憶部34がない場合、第2属性情報のうち特にオブジェクトの記憶ができない。しかし、管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成することが重要であり、色分図の保存管理が必要ない場合もある。その様な場合は、第4記憶部34がなくとも、関連付けの作業効率向上、ヒューマンエラー発生防止に係る効果が得られる。さらに、第4記憶部34がないので、記憶装置3の容量を減らし、システム構成の簡素化を図ることができる。
【0110】
〜第4実施形態〜
第1実施形態に係る図面管理システムは、印刷装置5と印刷機能47を備えているが、必ずしも必須ではない。
【0111】
管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成することが重要であり、色分図や一覧表の印刷が必要ない場合もある。一覧表がディスプレイ装置2に表示されれば、作業者は管理対象と管理属性の関連を確認できる。
【0112】
すなわち、印刷装置5と印刷機能47とがなくとも、関連付けの作業効率向上、ヒューマンエラー発生防止に係る効果が得られる。さらに、印刷装置5と印刷機能47とがないので、システム構成の簡素化を図ることができる。
【0113】
〜第5実施形態〜
第1実施形態に係る図面管理システムの制御装置4の関連付け機能45を有し、関連付け機能45は、入力装置1を用いて描画されたオブジェクトの軌跡がシンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報(管理対象のシンボルを構成する)と第2属性情報(管理属性を含む)とを関連付けるが、関連付けに係る制御機能は関連付け機能45に限られない。
【0114】
本実施形態の関連付け機能45A(図示せず)は、描画されたオブジェクトが選択され、対応するシンボルが選択されると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付ける。
【0115】
例えば、作業者は、管理ランク「ランクA」に対応する線分定義によりオブジェクトID「OBJ0001」のオブジェクトを描画し、このオブジェクトを入力装置1により選択した後、管理対象ID「AA‐0001」のシンボルを選択する。シンボルを選択した後、オブジェクトを選択しても良い。これにより、管理対象ID「AA‐0001」と管理ランク「ランクA」とが関連付けされる。
【0116】
第1実施形態に係る図面管理システムの動作にくらべ、本実施形態の図面管理システムの動作は、作業者によるシンボル選択及びオブジェクト選択の手順を要し、作業性の点で劣っている。しかし、従来の手作業に比べれば、関連付けの作業効率向上、ヒューマンエラー発生防止に係る効果が得られる。
【符号の説明】
【0117】
1 入力装置
2 ディスプレイ装置
3 記憶装置
4 制御装置
5 印刷装置
31 第1記憶部
32 第2記憶部
33 第3記憶部
34 第4記憶部
41 入力機能
42 表示機能
42a イメージ表示機能
42b シンボル表示機能
42c オブジェクト表示機能
42d 添字表示機能
42e 一覧表表示機能
43 記憶・読込機能
44 線分定義選択機能
45 関連付け機能
46 一覧表作成機能
47 印刷機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置と、ディスプレイ装置と、記憶装置と、入力装置からの指令に基づき記憶装置に記憶されているデータを読み込みディスプレイ装置に表示する制御装置を備え、
前記記憶装置は、
紙図面をスキャニングしたラスターデータであるイメージを記憶する第1記憶部と、
前記イメージ上の管理対象に対応するベクターデータであるシンボルと、このシンボルの座標情報を含み、シンボルに付加される第1属性情報を記憶する第2記憶部とを有し、
前記制御装置は、
前記イメージをディスプレイ装置に表示するイメージ表示機能と、
前記イメージ上の管理対象に対応するシンボルを表示するシンボル表示機能とを有する
図面管理システムにおいて、
前記記憶装置は、更に、線分定義データを記憶する第3記憶部を有し、
前記制御装置は、
前記入力装置からの前記管理対象の管理属性についての指示指令に基づいて、管理属性を含む第2属性情報に対応する線分定義を選択する線分定義選択機能と、
前記入力装置からのオブジェクト入力指令に基づいて、前記選択した線分定義によりオブジェクトを入力し、このオブジェクトを前記イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示するオブジェクト表示機能と、
前記オブジェクトの入力に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けする関連付け機能と、
前記管理属性を第1属性情報に追加して前記第2記憶部に記憶する追加記憶機能とを有する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
前記制御装置のオブジェクト表示機能は、前記入力装置からのオブジェクト描画指令に基づいて、オブジェクトを描画するものであり、
前記制御装置の関連付け機能は、前記オブジェクト描画の軌跡が、前記シンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けする
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
前記制御装置は、
管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成する一覧表作成機能と、
この一覧表を前記ディスプレイ装置に表示する一覧表表示機能とを有する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
更に印刷装置を備え、
前記制御装置は、
管理対象と管理属性の関連付けの一覧表を作成する一覧表作成機能と、
この一覧表を前記印刷装置に出力する一覧表印刷機能とを有する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項5】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
更に印刷装置を備え、
前記制御装置は、前記ラスターデータ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示されたオブジェクトにより作成される管理属性区分図を前記印刷装置に出力する図面印刷機能を有する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項6】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
前記制御装置は、第1属性情報と第2属性情報との関連付けがされると、前記管理属性を前記シンボル近傍に表示する添字表示機能を有する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項7】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
前記記憶装置は、更に、前記イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示されるオブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理属性とを含む第2属性情報を記憶する第4記憶部を有する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項8】
請求項1記載の図面管理システムにおいて、
前記制御装置の線分定義選択機能は、前記入力装置からの前記管理対象の管理属性についての新たな指示指令に基づいて、管理属性に対応する新たな線分定義を選択でき、
前記制御装置のオブジェクト表示機能は、新たな線分定義が選択されると、この新たに選択した線分定義によりオブジェクトを書換え、ディスプレイ装置に表示する
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項9】
入力装置と、ディスプレイ装置と、記憶装置と、入力装置からの指令に基づき記憶装置に記憶されているデータを読み込みディスプレイ装置に表示する制御装置を備えた図面管理システムの図面管理方法において、
前記制御装置は、
前記記憶装置から紙図面をスキャニングしたラスターデータであるイメージを読み込み、前記ディスプレイ装置に表示し、
前記記憶装置から前記イメージ上の管理対象に対応するベクターデータであるシンボルと、このシンボルの座標情報を含みシンボルに付加される第1属性情報を読み込み、前記イメージ上の管理対象に対応する座標に前記管理対象のシンボルを前記ディスプレイ装置に表示し、
前記入力装置から前記管理対象の管理属性についての指示指令を入力し、
前記記憶装置から線分定義データを読み込み、前記入力装置から選択指令を入力し、管理属性を含む第2属性情報に対応する線分定義を選択し、
前記入力装置からオブジェクト入力指令を入力し、前記選択した線分定義によりオブジェクトを入力し、このオブジェクトを前記ラスターデータ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示し、
前記オブジェクトの入力に基づいて、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けし、
前記管理属性を第1属性情報に追加して前記記憶装置に記憶する
ことを特徴とする図面管理方法。
【請求項10】
請求項9記載の図面管理方法において、
前記オブジェクトの入力は、前記入力装置からのオブジェクト描画指令に基づいて、オブジェクトを描画するものであり、
前記関連付けは、前記オブジェクト描画の軌跡が、前記シンボルの座標位置またはその近傍を通過すると、第1属性情報と第2属性情報とを関連付けるものである
ことを特徴とする図面管理システム。
【請求項11】
請求項9記載の図面管理方法において、
前記制御装置は、更に、前記イメージ上の管理対象に重ねてディスプレイ装置に表示されるオブジェクトとこのオブジェクトに対応する管理属性とを含む第2属性情報を前記記憶装置に記憶する
ことを特徴とする図面管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−145965(P2011−145965A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7863(P2010−7863)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】