説明

固まらない粘土組成物及びその製造方法

【課題】本発明は、既存の一般の粘土、砂、人工粘土、ゴム粘土、紙粘土などの代わりに遊び、教育、作品造形などに使用できる粘土組成物に関するもので、特に、固まらないため長時間同一の性状が維持されながら、水がなくても繰り返して使用可能な環境にやさしい素材の新しい粘土組成物及びその製造方法に関するものである。
【解決手段】本発明では、多孔性の珪藻土粒子を母材として親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質を混練し、固まらずに長時間繰り返して使用できる新しい性状の粘土物質を製造する。本発明の粘土組成物は、可塑性を帯びる粘土の性質、ボロボロした土の性質、反復的に固めたり崩すことのできる砂の性質を有し、組成物の成分構成及び含量調節によって特性の異なる多様な性状の粘土に製造することができる。また、天然物質及び人体に無害でかつ自然分解が可能な環境にやさしい素材からなり、子供が長時間触って遊んでも安全であり、多孔性構造の珪藻土を媒体として用いて抗菌物質などの多様な機能性物質を担持することができ、機能性物質の持続的な効果発現も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の一般粘土、砂、人工粘土、ゴム粘土、紙粘土などの代わりに、遊び、教育、作品造形などに使用可能な粘土組成物に関するもので、特に、固まらないため長時間同一の性状が維持されながら、水がなくても繰り返して使用可能な環境にやさしい素材の新しい粘土組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然砂や粘土の代わりに、遊びや教育に使用可能な人工砂及び粘土に関する技術が多く紹介されている。特許文献1では手工芸用の造形剤組成物、特許文献2では粘度を有する砂の製造方法及びこの砂を使用した立体学習方法、特許文献3では粘性砂及びその製造方法、特許文献4では砂素材混合物及びその製造方法、特許文献5ではバサバサした土のような感じを有する展性の遊び材料混合物、特許文献6では自然硬化及び加圧による香放出型機能性人造粘土などを記述している。
【0003】
これらを概略的に説明すると、特許文献1の手工芸用の造形剤組成物は、水、塩、小麦粉、澱粉、石粉、硫酸アルミニウム、油、硼砂、塩化マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酸化チタン及び染料を適正な配合比率で配合し、撹拌及び加熱後に成形したものであって、少量の水で容易に練ることができ、凍結と腐敗の防止及び水分維持が可能であり、小麦粉と澱粉などによって触感が良いという長所を有する。
【0004】
特許文献2の粘度を有する砂の製造方法及びこの砂を使用した立体学習方法は、加えられる力の程度によって造形及び分散を繰り返すことのできる砂の製造方法であって、80〜90重量%の砂を75〜90℃で加熱し、これに0.5〜3.5重量%のカルナウバを投入し、上述した温度をそのまま維持しながら全てが溶けてコーティングされるまで混合し、これに8〜12重量%の蜜蝋と1.5〜4.5重量%のラノリンを投入し、55〜70℃を維持しながら全てが溶けてコーティングされるようにした後、徐冷したものである。
【0005】
特許文献3の粘性砂及び特許文献4の砂素材混合物は、共通的に砂粒子及び結合剤を含む砂素材混合物であって、前記結合剤は、砂粒子上に皮膜(coating)を形成し、密蝋;セレシンワックス;微細結晶相ワックス;及び地蝋とパラフィンワックスとの混合物からなる群から選択された一つ以上であって、おもちゃの素材、教育資材、模造建築デザインのための素材、及び博物館又は水族館での造景デザインの構成などのための素材として使用することができる。
【0006】
特許文献5のバサバサした土のような感じを有する展性の遊び材料混合物は、展性の無定形結合剤と多量の砂を含み、前記結合剤は、可溶性セルロース、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、水、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを含む。この混合物は、展性の結合剤と多量の砂との結合によって独特の触感特性を有するようになり、顆粒状の展性の無定形の性状を有する。
【0007】
また、特許文献6の自然硬化及び加圧による香放出型機能性人造粘土は、ポリビニルアルコール及びエチレンビニルアセテートを母材とし、比重の低い中空形態のポリアクリロニトリル粉末と熱膨張性マイクロスフェアを充填剤として選択し、濃厚剤、グリセリン、乾燥遅延剤及びその他添加物を室温で製造したり、加熱混合して製造する。
【0008】
しかし、前記のような従来の粘性砂又は人造粘土などは、物理的な特性及び外形が既存の砂、水気を含む砂、パラフィンがコーティングされた油成分の砂、天然粘土などとほぼ類似するので、幼児、児童たちに新しい興味を与えることができなかった。また、使用時に水が必要となったり、制限された造形活動のみが可能であり、造形が可能な場合にも、時間の経過と共に固まるため反復使用が難しく、作品として保管する場合以外には廃棄するようになるので、環境汚染を誘発するという問題を有していた。特に、砂にパラフィンをコーティングした粘性砂の場合、パラフィンが床、手、服などに付いて多くの不便をもたらし、細菌と埃が付くと落ちなくなり、直ぐ腐敗して激しい臭いがし、べたつく触感によって不快感を与えるという問題を有していた。
【0009】
また、現在市販中の製品を見ると、環境ホルモンの原因であるゴム粘土、プラスチック粘土などがほとんどを占めており、穀物や小麦粉などの天然物を使用した製品の場合も、ボンド、防腐剤、漂白剤などの有害成分が混入するので、子供たちが安心して触って遊ぶには適していないという問題を有する。
【0010】
そのため、本発明者は、従来の粘性砂又は人造粘土などとは全く異なる触感と特性を有するとともに、水がなくても反復使用が可能な空気粘土を開発し、特許文献7として特許を受けたことがある。この空気粘土は、きれいに砕いて微細な粉末に製造した砂パウダーなどの母材とグリセリンを含み、引っ張ると伸びながら空気が吸い込まれ、雲、綿、雪のように粗くかつ柔らかい状態になり、再び力を加えて固めると、空気が抜け出ながら稠密かつ固い粘土形態に戻るという特性を有しており、従来の粘性砂又は人造粘土における多くの問題と限界を克服している。しかし、この空気粘土も、多様な用途で活用できるように性状をより多様化し、抗菌などの機能性を与えるために機能性物質を結合又は担持できるように表面特性や物性を改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】大韓民国特許第231408号
【特許文献2】大韓民国特許公開第2004―361号
【特許文献3】US6,235,070号
【特許文献4】大韓民国特許第598001号
【特許文献5】US5,873,933号
【特許文献6】大韓民国特許公開第2006―11619号
【特許文献7】大韓民国登録番号第10―0874091号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、長時間の使用や造形後にも固まらず、同一の性状が持続的に維持され、水がなくても継続的な反復使用が可能な粘土組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、可塑性を帯びる粘土の性質、ボロボロした土の性質、反復的に固めたり崩すことのできる砂の性質を有しながらも、付く量も少なく、成分調節及び添加物によってそれぞれ特性の異なる多様な性状の粘土を製造できる粘土組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、天然物質を主材料とする環境にやさしい素材からなり、子供が長時間触って遊んでも安全であり、使用後の廃棄時には自然に戻る環境にやさしい素材の安全な粘土組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、必要に応じて抗菌などの機能性物質を担持又は結合し、機能性を持続的に発現できる粘土組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このために、本発明では、
(a)10〜10,000メッシュのサイズに粉砕された珪藻土粉末(第1の母材)100重量部と、(b)親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質5〜70重量部とを含み、
前記液状物質が前記珪藻土粉末の気孔を通過しながら分布するように充分に混練した状態で、可塑性を帯びる粘土の性質、ボロボロした土の性質、反復的に固めたり崩すことのできる砂の性質を有し、空気中でも固まらず、水がなくても繰り返して使用できることを特徴とする粘土組成物が提供される。
【0017】
また、本発明では、
下記の(a)と(b)を混合すること、及び下記の液状物質が下記の珪藻土粉末の気孔を通過しながら分布するように充分に練ることを含む粘土組成物の製造方法が提供される:
(a)10〜10,000メッシュのサイズに粉砕された珪藻土粉末(第1の母材)100重量部、
(b)親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質5〜70重量部。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、多孔性の珪藻土粉末に親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質を混合し、この液状物質が前記珪藻土粉末の気孔を通過しながら分布するように充分に練ることによって長い間粘性を失わずに維持することができる。また、黄土、白土、穀物、鋸屑などの多様な性質の素材(第2の母材)を第1の素材に浸透させて融合させることによって多様な性状の粘土を提供することができ、抗菌剤などの機能性物質も、親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質を通して一つに融合させて珪藻土粉末の気孔に担持することによって、多様な機能性物質を付加し、効果を持続的に発現することができる。
【0019】
本発明の粘土組成物は、長時間の使用や造形後にも固まらずに同一の性状が持続的に維持され、水がなくても継続的な反復使用が可能であり、可塑性を帯びる粘土の性質、ボロボロした土の性質、反復的に固めたり崩すことのできる砂の性質を全て有し、組成物の成分構成及び含量調節によって特性の異なる多様な性状を有することができる。また、本発明の粘土組成物は、天然物質及び人体に無害でかつ自然分解が可能な環境にやさしい素材からなり、子供が長時間触って遊んでも安全であり、廃棄時にも環境汚染の問題がなく、固まらないため繰り返して使用することができ、資源節約と経済的な効果もある。また、多様な感じと触感で子供たちの好奇心を誘発し、付く量が少ないため使用が便利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の粘土組成物を概念的に示した模式図である。
【図2】珪藻土の表面写真である。
【図3】一般砂の表面写真である。
【図4】実施例2に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図5】実施例2に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図6】実施例3に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図7】実施例3に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図8】実施例10に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図9】実施例10に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図10】実施例13に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【図11】実施例13に係る本発明の粘土組成物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の粘土組成物と製造方法の好適な実施例を説明する。以下で記載する技術構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎないもので、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらに取って代わる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0022】
本発明の粘土組成物は、第1の母材と液状物質を含み、多様な触感と物性を有する組成物を製造するために第2の母材をさらに含むことができ、抗菌性などの機能性を与えるために天然抗菌物質などの添加物をさらに含むことができる。
【0023】
本組成物において、珪藻土粉末は、多くの気孔を有する多孔性の第1の母材であって、
親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質、この液状物質に溶解又は乳化された添加物や第2の母材が気孔を通過しながら分布することのできる媒体となる。珪藻土は、珪藻の遺骸で製造された軟質の岩石と土壌をいうが、珪藻土は多くの気孔を有している。図2は、珪藻土の表面写真であって、一般砂の表面写真である図3と比較したとき、表面の多孔性構造を確認することができる。望ましくは、前記珪藻土は化石層の岩石であって、1,250℃以上の高温で焼成処理されたものである。珪藻土は、気孔を活用するために少なくとも気孔サイズより大きい粒子サイズに粉砕して使用し、望ましくは10〜10,000メッシュ程度のサイズに粉砕する。珪藻土粉末の粒子は、過度に大きいと触感が粗くなるので、前記範囲内で所望の触感に合わせて調節することが望ましい。
【0024】
本組成物で、液状物質は、珪藻土、第2の母材、他の添加物などを全て混合・融化させるべきものであるので、油と水に全て混合可能な親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質でなければならない。親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質は、本組成物で前記珪藻土粉末(第1の母材)の気孔を通過しながら分布することによって母材に粘性を与えるとともに、下記の第2の母材及び抗菌物質などの添加物を溶解及び乳化させることによって第1の母材に共に分布させることのできる媒質としての役割をする。親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質は、望ましくは、プロピレングリコール(PG);ポリエチレングリコール(PEG);及びグリセリンからなる群から選択される1種以上である。親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質は、第1の母材100重量部に対して5〜70重量部で含まれる。親水性と親油性の両方の性質を有する物質が全体の母材の50%以上で使用される場合は、粥状となって粘土形態をなすことができなく、全体の母材の5%以下で使用される場合は、粘性が不足するため組成物が非常にバサバサした状態になるという問題がある。
【0025】
前記珪藻土粉末を第1の母材とし、これに珪藻土の気孔サイズ以下の微細な粉末サイズに粉砕した多様な物質を前記液状物質を用いて混合することによって多様な触感と性状を有する粘土物質を製造することができる。第2の母材は、前記珪藻土粉末の気孔サイズ以下の粒子サイズを有するべきであり、望ましくは、珪藻土粉末の1/10以下の粒子サイズを有し、より望ましくは、この範囲で100〜100,000メッシュ程度の粒子サイズを有する。第2の母材は、本組成物のうち前記液状物質を媒体とし、第1の母材である珪藻土粉末の気孔の内部及び外部に存在するようになる。第2の母材は、前記第1の母材100重量部に対して10〜100重量部で含まれることが望ましく、100重量部を超える場合は、珪藻土粉末の気孔が塞がれるため特有の粘性が低下するおそれがある。第2の母材は、砂;貝殻;珪砂;黄土;白土;穀類;堅果類の堅い外皮;ココピート;及び鋸屑からなる群から選択される1種以上である。前記穀類は、例えば、米、麦、豆、栗、キビ、小麦などになり得る。前記堅果類の堅い外皮は、例えば、ピーナッツやクルミなどの堅い外皮になり得る。
【0026】
本発明の粘土組成物は、機能性を与える添加物として天然抗菌物質をさらに含むことができる。天然抗菌物質は、望ましくは、グレープフルーツ抽出物;アリシンを含むニンニク抽出物;緑茶抽出物;及び銀ナノからなる群から選択された1種以上になり得る。天然抗菌物質は、抗菌作用を示すのに必要な量で含むことができ、その量は抗菌物質の種類によって変わり得る。グレープフルーツ抽出物(DF―100TM)の場合、前記第1の母材100重量部に対して0.1〜10重量部で含むことができる。グレープフルーツ抽出物などの天然抗菌物質は、前記液状物質に容易に溶解されるので、望ましくは、前記液状物質に溶解された状態で本組成物に含むことができる。第1の母材である珪藻土粉末が多孔性であるので、抗菌物質は、前記液状物質を通して混和された状態で珪藻土の気孔を用いて安定的に担持することができ、持続的に効果を発揮することができる。
【0027】
本発明の粘土組成物は凝集剤をさらに含むことができる。凝集剤は、液体中に懸濁されているいくつかの固体粒子の集まりによってやや大きい塊を作るために液体に添加する薬品であって、主に水処理などに使用される。凝集剤には、消石灰、白礬、塩化アルミニウム、酸化鉄(III)、硫酸鉄(II)などの無機電解質と、澱粉類、ポリアクリルアミドとその誘導体などの有機高分子化合物があるが、両方を全て使用可能であり、望ましくは、ポリアクリルアミドとその誘導体などの有機高分子化合物を使用する。前記液状物質を媒質として用いて均一相をなす組成物に凝集剤を投入して練ると、全体的にドロドロしたエマルジョン状態になりながら粘り強くかつ強力な粘性が生じる。凝集剤は、前記第1の母材100重量部に対して0.1〜70重量部、より望ましくは0.5〜20重量部で含むことができる。
【0028】
本発明の粘土組成物は、ポリビニルアルコール又はゼラチンをさらに含むことができる。ポリビニルアルコール又はゼラチンを前記液状物質に溶解させて含ませると、粘性と触感などの性状が著しく異なる組成物を得ることができる。ポリビニルアルコール又はゼラチンは、望ましくは、前記第1の母材100重量部に対して10〜100重量部で含むことができる。
【0029】
本発明の粘土組成物は、組成物に含まれた各成分粒子をオイルでコーティングするために、流動パラフィン;ワックスからなる群から選択された1種以上を0.1〜50重量部でさらに含むことができる。このように組成物をライトオイルでコーティングする場合、保湿効果があり、手に付くことを防止することができ、各種有害物質を遮断し、臭いを抑制し、製品の性質を長く維持できるという長所がある。
【0030】
本発明の粘土組成物は、前記抗菌物質の他にも、天然香料、アロマなどの多様な機能性物質を必要に応じて含むことができる。このような機能性物質は、前記液状物質を通して混和された状態で第1の母材である珪藻土粉末の気孔構造の内外に安定的に分布・維持できるので、効果の持続的な発現が可能である。本組成物は、その他にも必要に応じて添加物を含むことができ、特に、添加物は、粘土組成物に多様な色相を与えるための着色剤を含むことができる。着色剤としては、天然又は人体に安全な合成着色剤であれば全て使用することができ、水性と油性を問わず、多様な染料、顔料などを使用することができる。
【0031】
本発明の粘土組成物は、不規則的でかつ多気孔性である珪藻土粉末と、親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質(又は第2の母材と機能性物質などを含む液状物質)との融化によって新しい特性を有する物質相をなすようになる。図1は、このような本発明の粘土組成物を概念的に示したもので、第1の母材である多孔性珪藻土粒子10の気孔11内及び各珪藻土粒子10間に第2の母材20及び抗菌物質30などの添加物が分布するようになる。本発明の粘土組成物は、可塑性を帯びる粘土の性質、ボロボロした土の性質、反復的に固めたり崩すことのできる砂の性質を有し、空気中でも固まらず、水がなくても繰り返して使用することができる。そして、本組成物内の第2の母材などの成分及び含量などを調節することによって、本組成物において粘土、土、砂の性質のうちいずれか一つを強く示すように多様に性状を調節することができる。
【0032】
以下、本発明の粘土組成物を製造する望ましい実施例を説明する。次の望ましい実施例で使用された用語の意味は前記粘土組成物に対する説明で使用された用語の意味と同一であり、組成物を構成する物質も同一であるので、重複する説明は省略する。
【0033】
本発明の製造方法は、前記のような第1の母材、第2の母材、液状物質などを混練することによって、各成分が完全に一つに融合され、新しい性状を有する粘土を製造するようになる。まず、珪藻土と第2の母材はそれぞれの粒子サイズに微細に粉砕しておく。珪藻土の場合、望ましくは、粉砕前に予め1,250℃以上に焼成処理する。天然抗菌物質などの機能性物質やポリビニルアルコール又はゼラチンを添加する場合は、前記液状物質に予め溶解させた後で混合することが望ましい。望ましくは、各成分を混合した後、ニーダーに移して練るが、このとき、凝集剤を添加すると、混合物が全体的にドロドロしたエマルジョン状態になりながら粘り強くかつ強力な粘性が生じるようになる。継続して練ると、粘性が生じながらある瞬間バサバサした感じがニチャニチャした感じに変わり、全ての物質が完全に一つに融合された新しい性状の粘土になる。必要に応じて、混練が終了した後の最終過程又は混練前の前記液状物質に、流動パラフィン;ワックスからなる群から選択された1種以上を添加して混合すると、組成物をオイルで軽くコーティングすることができる。このようにコーティング過程を経た粘土組成物は、ほとんど手に付くことなく、滑らかな感触を有するようになる。
【0034】
以下、具体的な実施例を通して本発明をより詳細に説明する。しかし、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎなく、本発明の範囲がこれら実施例によって限定されることはない。
【0035】
[実施例1]
(1)予め1,250℃以上に焼成処理した珪藻土を100メッシュ程度のサイズに粉砕した。
【0036】
(2)前記(1)で準備した珪藻土粉末100重量部にグリセリン15重量部を混合し、ニーダーに移して混練しながら凝集剤((株)ハンソルケミカルの有機高分子凝集剤)1重量部を投入し、完全に混和されて安定した性状を示すまで継続して混練した。その結果、中間程度の粘性を有する粘土組成物を得た。
【0037】
[実施例2]
(1)予め1,250℃以上に焼成処理した珪藻土を100メッシュ程度のサイズに粉砕した。
【0038】
(2)黄土を5,000メッシュ程度のサイズに微粉砕した。
【0039】
(3)前記(1)で準備した珪藻土粉末100重量部に(2)で準備した黄土粉末15重量部とグリセリン20重量部を混合し、ニーダーに移して混練しながら凝集剤((株)ハンソルケミカルの有機高分子凝集剤)1重量部を投入し、完全に混和されて安定した性状を示すまで継続して混練した。その結果、粘土の性質の強い強力な粘性の粘土組成物を得た(図4及び図5)。
【0040】
[実施例3]
【0041】
(1)予め1,250℃以上に焼成処理した珪藻土を100メッシュ程度のサイズに粉砕した。
【0042】
(2)黄土を3,000メッシュ程度のサイズに微粉砕した。
【0043】
(3)前記(1)で準備した珪藻土粉末100重量部に(2)で準備した黄土粉末10重量部とグリセリン20重量部を混合し、ニーダーに移して混練しながら凝集剤((株)ハンソルケミカルの有機高分子凝集剤)0.5重量部を投入し、完全に混和されて安定した性状を示すまで継続して混練した。その結果、土の性質の強い柔らかい粘性を有するボロボロした性質の粘土組成物を得た(図6及び図7)。
【0044】
[実施例4]
【0045】
(1)予め1,250℃以上に焼成処理した珪藻土を100メッシュ程度のサイズに粉砕した。
【0046】
(2)黄土を1,000メッシュ程度のサイズに微粉砕した。
【0047】
(3)前記(1)で準備した珪藻土粉末100重量部に(2)で準備した黄土粉末20重量部とグリセリン25重量部を混合し、ニーダーに移し、完全に混和されて安定した性状を示すまで継続して混練した。その結果、水に濡れた程度の粘性を有する砂と同じ性質の粘土組成物を得た。
【0048】
前記実施例1〜4で製造した粘土組成物の組成と性質を下記の表1に整理した。
【0049】
【表1】

【0050】
[実施例5]
グリセリンに抗菌物質としてグレープフルーツ抽出物(DF―100TM)5重量部を添加して溶解させた後、珪藻土粉末及び黄土粉末と混合することを除いては、前記実施例1と同一に実施した。グレープフルーツ抽出物を添加して製造した本実施例の粘土組成物とグレープフルーツ抽出物を添加していない実施例1の粘土組成物の抗菌力を比較して試験した。試験は、FITI試験研究院に依頼して実施し、試験菌液を37±1℃で24時間振蕩(120回/分)培養した後、菌数を測定することによって行った。接種培地はTSB1mlにし、試料は10gにした。2つの菌株に対して実験を実施し、第1の菌株としてはStaphylococcus aureus ATCC 6538を使用し、第2の菌株としてはEscherichia coli ATCC 25922を使用した。結果は、次の表2に示す通りである。
【0051】
【表2】

【0052】
[実施例6〜13]
グリセリン40重量部の代わりに下記の表3に記載した混合グリセリン90重量部を使用することを除いては、前記実施例2と同一に実施した。このとき、ゼラチンを溶かした後でグリセリンに混合させ、流動パラフィンは、そのままグリセリンと混合した後で他の組成成分と混練した。PVA(ポリビニルアルコール)は少量の水に溶かした後でグリセリンと混合し、混合グリセリンの組成と製造された粘土組成物の性質は下記の表2に示す通りである。実施例10に係る粘土組成物は図8及び図9に示す通りであり、実施例13に係る粘土組成物は図10及び図11に示す通りである。
【0053】
【表3】

【0054】
[実施例14]
グリセリンの代わりにプロピレングリコールを使用することを除いては、実施例1と同一に実施した。その結果、粘性を有する粘土性質の組成物を得た。製造された組成物は、実施例1で製造した組成物と比較すると粘性が多少弱く、バサバサした感じがした。
【0055】
[実施例15]
グリセリンの代わりにポリエチレングリコールを使用することを除いては、実施例1と同一に実施した。その結果、粘性を有する粘土性質の組成物を得た。製造された組成物は、実施例1で製造した組成物と比較すると粘性が多少弱く、バサバサした感じがした。また、製造された組成物は、実施例14で得られた組成物と比較すると類似した粘性を有し、触感において差があった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の粘土組成物は、固まらずに環境にやさしいとともに、粘土、土、砂の多様な性質を有することができ、既存の一般粘土、砂、人工粘土、ゴム粘土、紙粘土などの代わりに遊び、教育、作品造形などに広範囲に使用することができ、さらに、汚染した野外遊び場の砂、土などに取って代わる用途にも活用することができる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)10〜10,000メッシュサイズに粉砕された珪藻土粉末(第1の母材)100重量部と、(b)親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質5〜70重量部と、を含み、
前記液状物質が前記珪藻土粉末の気孔を通過しながら分布するように充分に混練した状態で、可塑性を帯びる粘土の性質、ボロボロした土の性質、反復的に固めたり崩すことのできる砂の性質を有し、空気中でも固まらず、水がなくても繰り返して使用できることを特徴とする粘土組成物。
【請求項2】
砂;貝殻;珪砂;黄土;白土;穀類;堅果類の堅い外皮;ココピート;及び鋸屑からなる群から選択される1種以上であって、前記珪藻土粉末の1/10以下の粒子サイズを有する第2の母材10〜100重量部をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の粘土組成物。
【請求項3】
前記液状物質は、プロピレングリコール(PG);ポリエチレングリコール(PEG);及びグリセリンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粘土組成物。
【請求項4】
前記第2の母材は100〜100,000メッシュの粒子サイズを有することを特徴とする、請求項3に記載の粘土組成物。
【請求項5】
前記珪藻土は1,250℃以上に焼成処理されたものであることを特徴とする、請求項3に記載の粘土組成物。
【請求項6】
天然抗菌物質をさらに含む、請求項3に記載の粘土組成物。
【請求項7】
前記天然抗菌物質は、グレープフルーツ抽出物;アリシンを含むニンニク抽出物;緑茶抽出物;及び銀ナノからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項6に記載の粘土組成物。
【請求項8】
凝集剤0.1〜70重量部をさらに含む、請求項3に記載の粘土組成物。
【請求項9】
ポリビニルアルコール又はゼラチン10〜100重量部をさらに含み、前記ポリビニルアルコール又はゼラチンは前記液状物質に溶解された状態で含まれることを特徴とする、請求項3に記載の粘土組成物。
【請求項10】
流動パラフィン;ワックスからなる群から選択された1種以上を0.1〜50重量部でさらに含む、請求項3に記載の粘土組成物。
【請求項11】
下記の(a)と(b)を混合すること、及び下記の液状物質が下記の珪藻土粉末の気孔を通過しながら分布するように充分に練ることを含む粘土組成物の製造方法:
(a)10〜10,000メッシュサイズに粉砕された珪藻土粉末(第1の母材)100重量部、
(b)親水性と親油性の両方の性質を有する液状物質5〜70重量部。
【請求項12】
前記混合することは、砂;貝殻;珪砂;黄土;白土;穀類;堅果類の堅い外皮;ココピート;及び鋸屑からなる群から選択される1種以上であって、前記珪藻土粉末の1/10以下の粒子サイズを有する第2の母材10〜100重量部をさらに混合することを特徴とする、請求項11に記載の粘土組成物の製造方法。
【請求項13】
前記液状物質は、プロピレングリコール(PG);ポリエチレングリコール(PEG);及びグリセリンからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の粘土組成物の製造方法。
【請求項14】
前記珪藻土は1,250℃以上に焼成処理されたものであることを特徴とする、請求項13に記載の粘土組成物。
【請求項15】
前記混合前に前記液状物質に天然抗菌物質を添加して溶解させることをさらに含む、請求項13に記載の粘土組成物の製造方法。
【請求項16】
前記混合することは、凝集剤0.1〜70重量部をさらに混合することを特徴とする、請求項13に記載の粘土組成物の製造方法。
【請求項17】
前記混合前に前記液状物質にポリビニルアルコール又はゼラチン10〜100重量部を溶解させることをさらに含む、請求項13に記載の粘土組成物の製造方法。
【請求項18】
前記液状物質又は混練した物質に、流動パラフィン;ワックスからなる群から選択された1種以上を0.1〜50重量部で添加して均一に混合し、組成物をオイルでコーティングすることをさらに含む、請求項13に記載の粘土組成物の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−530956(P2012−530956A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529696(P2012−529696)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001361
【国際公開番号】WO2012/023682
【国際公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【出願人】(511303515)エムシーエーサンド カンパニーリミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MCA SAND CO.,LTD
【Fターム(参考)】