説明

固体光源を利用した量子効率高速測定装置

本発明は、少なくとも1つの被試験デバイス(DUT)と、50nm未満の帯域幅を有する少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源とを含み、前記所定の特性が付与された光源の一部をモニタリングすることができるように構成された量子効率(QE)高速測定装置を提供する。前記光源を前記DUTに導くための伝達光学系が提供され、制御部によって前記光源を時間依存的に駆動し、少なくとも1つの反射光測定アセンブリによって前記DUTで反射された前記光源の一部を受光する。時間分解測定装置は、前記光源によって前記DUTで生成された電流及び/または電圧を分解することができるようにプログラムされたコンピュータによって、前記光源からの少なくとも1つの波長の入射強度及び前記時間分解された測定値に基づいて、前記DUTの内部QE値を求め、出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギーの電子エネルギーへの変換の測定に関する。より具体的には、本発明は、所定の特性が付与された光源の量子効率高速時間分解測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオード及び太陽電池においては、多くの場合、光から電気への変換効率の測定は、量子効率(QE)及び応答度によって特徴付けられる。量子効率は、入射光子あたりの出力電子の単位で表され、前記応答度は、入射ワットあたりの出力電流の単位(A/W)で表される。さらに、スペクトル応答度(SR)は、入射光子波長または光周波数の関数としての、前記デバイスの変換効率の測定単位である。スペクトル応答度は、単純な単位変換によって、QEまたは波長に対する応答度として表すことができる。
【0003】
従来、QEの測定に使用される装置は、従来の広帯域光源(例えば、クオーツタングステンハロゲン、キセノンアークまたは金属ハロゲン化物)を用いており、波長走査単色光分光器または一連の帯域フィルタによって光をスペクトル分解していた。例えば、図1は、ランプ102、単色光分光器104、次数分離フィルタ107、光チョッパ108、レンズ系110、準単色光112、被試験デバイス(DUT)114及び電流モニタ116(一般的には、ロックイン増幅器または他の同期検波回路)を含む従来のQE測定システム100を示す。
【0004】
前記測定装置では、単色光分光器104の回折格子106の角度を調節するか、あるいは、広帯域光の光線上に個々の帯域フィルタを配置することで、一連の予め定められた波長を機械的にステップスルーすることによってQE測定を連続的に行う。得られた光112(通常は単色性と呼ばれるが、一般的に、5〜20nmの範囲の帯域を示す)はDUT114に導かれ、DUT114の電流出力が記録されると共に入射光112の強度に対して正規化される。
【0005】
図1を参照して説明したような単色光分光器をベースにしたシステムは、調節可能な波長分解及び、関心領域の実質的に連続的なカバーを提供する。太陽電池の場合、前記関心領域には、約300nmの最小太陽放射から、太陽電池のアクティブ領域に存在する最小バンドギャップに対応する波長(例えば、シリコンの場合は約1100nm。他の材料ではそれより大きい場合もある)までの波長が含まれ得る。そのような広い波長範囲を走査する場合、単色光分光器は、高次回析(λ/2、λ/3…)が出力スリットに到達することや、フィルタによって容易に除去することができない測定可能量の広帯域迷光が漏れることを防止するために、次数分離フィルタの使用を必要とする。
【0006】
干渉フィルタをベースにしたシステムは、良好な迷光除去を提供するが、使用される多層誘電膜は、高強度かつUVを含有する広帯域光源への直接的な露出に起因して、最終的には劣化する。そのため、データの完全性を保つために、フィルタを定期的に検査して交換する必要がある。幅広い阻止帯域を有するように設計されたフィルタは、非効率的(ピーク伝達率<50%)かつ高価な傾向にある。このようなフィルタは、幅広い波長範囲については、(フィルタに対する入射角度を傾斜させることにより)調節しにくい傾向があり、一般的な調節範囲は、公称波長の〜5%である。従来の、幅広い阻止帯域を有するフィルタデザインは、傾斜させることにより調節するので、損失が著しく増加するという問題があった。
【0007】
単色光分光器及び干渉フィルタは両方とも、最適に機能するためには、平行になった入射光を必要とし、通過帯域幅が減少するにつれて緊密な平行化がますます必要となる。従来の光源はエタンデューが低い光を放射するので、そのような光源と単色光分光器を組み合わせた場合、大幅なスループットペナルティが生じるという問題がある。このスループットペナルティに加えて、ランプスペクトルの一部を選択すること及び単色光分光器自体の内部非効率に関連する元々の損失がある。そのため、従来の光源は、スペクトル的に選択された光を、QE測定システムに効率的に伝達することができなかった。このことが、既存のシステムで一般的な非常に高い電力が消費される原因である。さらに、従来の光源の不安定な光出力(短期間及び長期間の両方)は、周波数較正及び電球の交換を必要とする。
【0008】
単色光分光器及び干渉フィルタの両システムにおける基本的限界は、前記システムが一連の波長をスキャンする速度である。ある波長から次の波長へステップするためには機械的な動作を行う必要があり、このことがシステムの実際の処理能力を制限する。どの時点においても前記サンプルに入射する総光量がわずかであることに起因して、スキャンが波長あたり10〜30秒間を要すると共に、フィルタの機械的動作、光線チョッパの使用、及び電気的応答を検出するロックイン(同期)増幅器の使用を伴う。加えて、光強度を制御するために、可変中性密度フィルタまたは他の機械的装置が必要となる。この測定オーバーヘッドにより、多くの場合、必要な波長範囲を十分な分能で全スペクトルをカバーするためには5〜10分間を要する。このことは、機械的動作を必要とすると共に、コスト及び装置の複雑さを増加させるため、製造環境にとって不適切になる。
【0009】
従来のQEシステムの長い測定時間は、該システムを、局所的なまたは空間的に変化する影響を調べるためにマッピングモード(サンプルあたり10〜1000個のデータ点)で効果的に使用することを妨げていた。また、従来の光源はエタンデューが低いことにより実際の測定領域は狭くなるので、測定領域が前記値よりも減少すると、空間分解能と測定速度とのさらなる二律背反が生じる。被試験デバイス(DUT)の構造細部及び目標用途に応じて、ミリメートル単位で空間分解することが望ましい。そのためには、QE高速測定技術が必要である。
【0010】
当該技術を向上させるための試みの1つとして、太陽電池または光電池の量子効率(QE)の測定にPV光学分光法が用いられてきた。この測定は1分未満で行われる。このシステムは、複数の波長を同時に生成する光源を含み、後で各波長を独立的に処理してQEを求める。前記光源は、太陽光の全スペクトルをシミュレートするために、単一のハロゲン電球により提供される標準的な白色光源ではなくて、発光ダイオード(LED)のアレイを含む。各LEDをユニークな動作周波数で個々に駆動するために、電源が用いられる。電源は、正弦波変調型または方形波変調型の電源を用いた変調型電源である。光源は常時ONモードで駆動することができ、LEDの全てまたは一部を常時ONにすることができる。
【0011】
太陽電池のQE測定中は、太陽電池に光を照射するために、前記アレイの全LEDを「同時」に駆動する。光源から照射された光によって太陽電池で生成されたAC電流は、信号処理される。AC電流は、増幅され、デジタル電圧信号(例えば、LEDアレイの各LEDのユニークな動作周波数に対応する個々の信号からなる信号)に変換される。正弦波電源の使用は、各LED光からの駆動周波数の関数としての太陽電池の電流のパワースペクトルを求めるための高速フーリエ変換(FFT)モジュールやコンピュータで実行されるアルゴリズムの使用を促進し、各動作周波数に関連する電圧波形は、各駆動周波数またはLEDに関連する振幅に変換される。FFT信号の振幅を較正するために基準太陽電池を使用し、QE測定モジュールをコンピュータプロセッサにより駆動し、基準太陽電池の使用を通じて得られた変換係数を各振幅に適用してQE曲線を生成及び表示することによって、各動作周波数あるいはLEDまたは光波長のQE値を計算する。このことにより測定時間を短縮することができるが、LED光源の不十分なスペクトル制御に起因して、及び、DUTによって反射、散乱または伝達された光が測定されないため、得られたQE測定値にはかなりの誤差が含まれる。そのため、得られたQE測定値は、DUTの完全性の最も正確な測定値を提供する内部QE値に関する情報を提供しない。
【0012】
従って、一般的QE及び内部QEの両方を正確にかつ高速に測定することができる、低コストで実施が容易な改良されたシステムが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、少なくとも1つの被試験デバイス(DUT)と、50nm未満の帯域幅を有する少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源と、少なくとも1つの光収集光学系及び少なくとも1つの光検出器を含み、前記所定の特性が付与された光源の一部を、少なくとも1つの光収集光学系及び少なくとも1つの光検出器を含む光源モニタリング部によってモニタリングするように構成した、量子効率(QE)の高速測定装置を提供する。このQE高速測定装置は、前記所定の特性が付与された光源を前記DUTへ導くことができるように構成された伝達光学系と、前記所定の特性が付与された光源に対する前記DUTの応答を個別に識別するために、前記所定の特性が付与された光源を時間依存的に駆動する制御部と、少なくとも1つの反射光収集光学系及び前記DUTから反射された前記所定の特性が付与された光源の一部を受光することができるように構成された少なくとも1つの光検出器を含む少なくとも1つの反射光測定アセンブリとをさらに含む。さらに、このQE高速測定装置は、前記所定の特性が付与された光源によって前記DUTで生成された電流、電圧またはそれらの組み合わせを前記所定の特性が付与された光源で分解することができるように構成された、電流測定装置、電圧測定装置またはそれらの組み合わせを含む時間分解測定装置を含む。この量子効率(QE)高速測定装置は、前記所定の特性が付与された光源からの少なくとも1つの波長の入射強度及び前記時間分解された測定値に基づいて前記DUTについての内部QE値を求めて出力することができるようにプログラムされたコンピュータをさらに含む。
【0014】
本発明の一態様では、前記所定の特性が付与された光源は、前記光源の帯域幅を減少させることができるように構成された少なくとも1つの、所定の特性が付与された光学系を含む。前記少なくとも1つの、所定の特性が付与された光学系は、光ファイバを含み得、前記所定の特性が付与された光源からの出力は50nm未満の帯域幅を含む。
【0015】
本発明の別の態様では、前記QE高速測定装置は、前記所定の特性が付与された光源の強度を測定することができるように構成されたセンサを含む内部較正センサをさらに含む。前記内部較正センサには、少なくとも1つのサンプリング光学系及び少なくとも1つのサンプリングフォトダイオードが含まれ得る。
【0016】
本発明の別の態様では、前記コンピュータによって求められる前記内部QE値には、電子の電荷、前記DUTからの前記反射光、前記DUTに導かれた前記光源の単位時間あたりの光子数、測定された前記DUTからの透過光、測定された前記DUTからの透過光及び反射光、前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電圧、及び前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電流からなる群より選択されるパラメータが含まれる。前記内部QEの出力値は、0から1の範囲の無次元量であり得る。
【0017】
本発明の別の態様では、前記QE高速測定装置は、前記DUTを通過して入射した前記所定の特性が付与された光源の一部を測定することができるように構成された、少なくとも1つの透過光フォトダイオードを含む透過光検出アセンブリをさらに含む。
【0018】
本発明の別の態様では、前記時間依存的駆動はパルス駆動または変調駆動であり得る。
【0019】
別の実施形態では、本発明のQE高速測定装は、少なくとも1つの被試験デバイス(DUT)と、制御部と、前記DUTの応答を個別に識別すべく前記制御部によりパルス駆動される、少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源と、前記所定の特性が付与された光源を前記DUTへ導く伝達光学系と、前記所定の特性が付与された光源によって前記DUTで生成された電流、電圧またはそれらの組み合わせを前記所定の特性が付与された光源で分解することができるように構成された、電流測定装置、電圧測定装置、またはそれらの組み合わせを含む時間分解測定装置と、前記所定の特性が付与された光源からの少なくとも1つの波長の入射強度及び前記時間分解された測定値に基づいて前記DUTについての内部QE値を求めて出力することができるようにプログラムされたコンピュータとを含む。
【0020】
本発明の一態様では、前記少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源は2以上の所定の特性が付与された光源を含み、第1の所定の特性が付与された光源が、第1のパルス幅でパルス出力され、前記第1の所定の特性が付与された光源以外の所定の特性が付与された光源が、前記第1のパルス幅とは互いに異なるパルス幅でパルス出力されるようにした。
【0021】
本発明の別の態様では、前記所定の特性が付与された光源は、50nm未満の帯域幅を有する少なくとも1つの、所定の特性が付与されたLEDを含む。
【0022】
本発明のQE高速測定装は、前記所定の特性が付与された光源の強度を測定することができるように構成された内部較正センサをさらに含む。前記内部較正センサには、少なくとも1つのサンプリング光学系及び少なくとも1つのサンプリングフォトダイオードが含まれ得る。
【0023】
さらなる態様では、前記コンピュータによって求められる前記内部QE値には、電子の電荷、前記DUTからの前記反射光、前記DUTに導かれた前記光源の単位時間あたりの光子数、測定された前記DUTからの透過光、測定された前記DUTからの透過光及び反射光、前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電圧、及び前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電流からなる群より選択されるパラメータが含まれる。前記内部QEの出力値は、0から1の範囲の無次元量であり得る。
【0024】
本発明の別の態様では、前記QE高速測定装は、前記DUTを通過した前記所定の特性が付与された光源の一部を測定することができるように構成された、少なくとも1つの透過光フォトダイオードを含む透過光検出アセンブリをさらに含む。
【0025】
本発明の別の態様では、前記QE高速測定装は、前記DUTから反射された前記所定の特性が付与された光源の一部を測定することができるように構成された、少なくとも1つの反射光フォトダイオードを含む反射光検出アセンブリをさらに含む。
【0026】
本発明のさらなる別の態様では、ユニークなパルス幅を有するパルスを前記所定の特性が付与された光源に割り当て、前記所定の特性が付与された光源の信号対ノイズ比を他の波長に対して正規化した。
【0027】
本発明の別の態様では、ユニークなパルス幅を有するパルスを前記所定の特性が付与された光源に割り当て、前記割り当てられたパルスによって、前記DUTに有用な光スペクトルにおいて、前記所定の特性が付与された光源の時間平均強度を正規化するようにした。
【0028】
本発明のさらなる別の態様では、ユニークなパルス幅を有するパルスを前記所定の特性が付与された光源の各波長に割り当て、前記割り当てられたパルスによって、所望の波長での前記所定の特性が付与された光源に対するDUT応答の信号対ノイズ比を最適化するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の目的及び利点は、図面と併せて以下の詳細な説明を読むことにより理解できるであろう。
【0030】
【図1】QR測定システムの従来技術を示す。
【図2】所定の特性が付与された光源及び伝達光学系の配置を示す。
【図3】本発明によるLEDまたは他の狭帯域光源を使用する場合のリラックス型フィルタリング必要条件のグラフを示す。
【図4】傾斜角度の関数としてプロットした誘電性干渉フィルタの透過性のグラフを示す。
【図5】本発明によるレンズアッセンブリ及び強度モニタリングスキームの概略図である
【図6】均等な周波数及び位相がバンチングにおいてどのような結果をもたらすかを示す。
【図7】周波数の均等な間隔と疑似ランダム位相が、バンチングの減少においてどのような結果をもたらすかを示す。
【図8】両位相が互いに直交する2つの周波数が、周波数においてどのようにしてより密集化されているかを示す。
【図9】(a)は、本発明による完全な測定グリッドを示すために、単位セルを繰り返すようにして配置された4つの色(B、G、Y、R)のLEDの位置の概略図を示す。(b)は、本発明による測定位置の概略図を示す。(c)は、互いに距離Pを隔てて配置され、測定が測定位置を距離P/2で移動させることにより行われる、LEDの小アレイの概略図を示す。
【図10】より重複している、LED光線の自然な回折を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の詳細な説明は、説明目的のための多くの特定事項を含むが、以下の例示的な詳細に対しての様々な変形及び変更が本発明の範囲内であることは当業者には明らかであろう。従って、以下の本発明の好適な実施形態は、請求された発明の一般性を失うことなく、かつ、これに何らかの制限を加えることなく説明される。
【0032】
本発明によるQE測定は、単純な単位変換によって、応答度またはSR(スペクトル応答度)の測定にも適用することができる。本発明は、高速量子効率(quantum efficiency:QE)測定装置を提供する。一態様では、本発明は、約10〜50nmの間隔を有する300〜1600nmのLED出力範囲を有する一般に入手可能なLED光源を使用する。LEDの高スペクトル輝度(出力/単位バンド幅/単位面積/単位立体角)は、より高価な従来の光源と比べても遜色がない上に、波長安定性、強度安定性、消費電力、耐久性、変調及びパルシング能力、並びに製造可能性の分野において、いくつかのさらなる利点を提供する。
【0033】
本発明は、パルス光源の光学経路から高出力DCバイアス光を分離することによって信号対ノイズ比を向上させるためのユニークな角度多重化スキームを含み、入射強度、正反射率、拡散反射率、及び被試験デバイス(DUT)を通る透過率のリアルタイムのモニタリングを可能にする様々なセンサが導入される。これらの態様は、部品や従来の広帯域光源を移動させることなくQEスペクトルを約1秒間で測定することができる単一のエネルギー効率の良いシステムに組み込まれる。得られた装置は、コンパクトであり、ある製造環境において使用するのに必要な測定速度及び耐久性を示す。
【0034】
本発明によれば、太陽電池は、入射太陽光(光子)を吸収し、外部負荷に対して電力を供給することができる装置である。より一般的な用語である「光起電装置」も、「太陽電池」と相互互換的に使用され得る。
【0035】
本発明によれば、被試験デバイス(DUT)には、単一の太陽電池、あるいは、直列、並列またはそれらの組み合わせで互いに接続された太陽電池群が含まれる。この太陽電池群は、製造業者の「モジュール」、モジュール群、または、前記モジュール内の一部の太陽電池を表す。DUTには、単一のモノリシック成長型太陽電池(例えば、ガラス基板上に非晶質シリコン(a−Si)を形成したものや、スチール上にCIGS(Copper Indium Gallium Diselenide)を形成したもの)、光検出器またはそのアレイ、フォトダイオードまたはそのアレイ、あるいは、電荷結合素子(CCD)またはそのアレイがさらに含まれ得る。
【0036】
本発明によれば、LEDは、無機材料または有機材料に基づくものを含む、任意のLEDまたはダイオードアレイであり得る。さらに、本発明によれば、1以上のLEDを、固体レーザと置き換えてもよい。
【0037】
太陽電池の出力パラメータは一般的に温度の関数として測定されるが、太陽電池の温度は例えば0〜60℃の範囲で変化する。電流、電力、電圧、抵抗などの各パラメータの温度を関数とした変化を表すための単一の係数が得られ、該係数は様々な動作温度における太陽電池の挙動を予測するのに用いられる。また、劣化メカニズムをさらに特徴付けるために、前記パラメータの波長依存性を測定することがより有益である。QE対温度は、光線の各波長についての、温度を関数とする太陽電池の出力(または電流、または電圧)の変化を表す係数を求めるのに用いることができる。
【0038】
本発明は、離散狭帯域(一般的には50nm未満の帯域幅)DCまたはパルス変調発光を生成するのに使用されるLEDアレイを提供する。このアレイは、本発明では「光源」と呼ばれる。前記光源に含まれる1以上のLEDを、レーザダイオード、固体レーザまたは従来のランプ(例えば、クオーツタングステンハロゲンランプ、アークランプ、メタルハライドランプなど)に置き換えたものも本発明の範囲に含まれる。太陽電池の電流(または電圧)の出力の正確な時限的データ取得(timed data acquisition)によって、光線の各波長に対するDUTの応答を個別に測定することができるように、各LEDから発光させるために時間依存性信号が用いられる。本発明の一態様では、多数のLEDの連続的(かつ非重複的な)パルシングが実施される。
【0039】
本発明の一態様では、各LEDを所定の期間及び所定の駆動電流でパルス出力し、前記シーケンスの総持続時間が最小化され、全測定スペクトルにおける観察された信号対ノイズ比が適切となるようにする。各LEDの動作条件(駆動電流及びパルス幅)は、装置が損傷を受けることなく動作するように選択される(各LEDの動作限界は、前記装置の製造の詳細及び熱的考察(一般的には低率負荷サイクルによって減少する)に依存する)。本発明によれば、電流レベル(つまり光出力)を最大化することは各LEDにとって有利である。各LEDのパルス幅は、電流レベルに依存するだけでなく、LEDの電気対光効率、LEDから前記システムへのカップリング効率(主としてLEDのエタンデューによって測定される。エタンデューは主としてダイサイズによって測定される)、及び、そのLEDの波長での基準フォトダイオードの検出特性にも依存する。
【0040】
光パルスに対するDUTの電力出力の応答時間がRC効果(大面積かつ大容量の太陽電池に特有である)によって制限される一態様では、太陽電池の電流出力振幅対光パルス幅または変調周波数のデータセットを取得することにより、各サンプル若しくはサンプル種類について、DUTのRC減衰係数を一度に測定する方法を用いる。長パルス(DC挙動)の短パルス(高スループットモード)応答振幅に対する比率は、その後、予期されるDC挙動を計算するために、後続の全ての短パルス測定値を修正するのに使用される。あるいは、同様の結果を得るために、前記装置の時間分解電流出力を測定しながら、ステップ関数電流パルスまたは変調周波数掃引をLEDに適用してもよい。
【0041】
前記光源の最適波長範囲は、対象とする動作環境及びDUTの材料タイプに合わせられる。太陽電池に適用するためには、最短波長は、通常は、入射スペクトル(例えば、AM0(大気圏外)、AM1.5(地表面))によって決定され、最長波長は、前記装置に使用される最低バンドギャップ活性物質によって決定される。波長範囲は、用途ごとに選択され、例えば、結晶シリコンの地表面用途では400nm〜1100nm、結晶シリコンの大気圏外用途では300nm〜1100nm、CIGS(Copper Indium Gallium Diselenide)の地表面用途では400nm〜1250nm、AlInGaAsP系などのIII−V多接合太陽電池の大気圏外用途では300nm〜1800nmである。
【0042】
本発明によれば、個々の狭バンドパスフィルタは、照射光をフィルタリングするために、各LEDの前側に配置される。図2は、所定の特性が付与された光源及び光学伝達系の構成200を示し、LED202と、任意の傾斜角で表された誘電性バンドパスフィルタ204と、コリメート光を光ファイバ208の端面210に集光するように配置されたボールレンズ206とが示されている。ボールレンズ206と光ファイバ端面210との間の間隔212は、ボールレンズ206の焦点距離と等しい。
【0043】
単一のLED202からの入射光の強度は大抵のフィルタ204の損傷閾値よりもはるかに低いので、このLEDベースの用途に使用されるフィルタ204は急激に劣化するおそれがないことに留意されたい。加えて、LED202及びフィルタ204からなるシステムのスペクトル出力は、LEDのピーク発光波長から十分に離れた波長において生じるフィルタを透過する「漏れ」に対して鈍感なので、フィルタ漏れは、図3に示すように、発光強度がゼロの波長レジームにおいては問題とならない。
【0044】
図3は、LEDまたは他の狭帯域光源を使用する場合のリラックス型フィルタリング必要条件(relaxed filtering requirement)300のグラフを示しており、使用時のフィルタの透過曲線302と、使用時のLED304の強度曲線304と、LED304の発光ピークから十分に離れた波長において生じるフィルタの光漏れ306とが示されている。この波長域ではLEDは発光しないので、この光漏れは光源のスペクトル出力に対して影響を与えない。
【0045】
本発明の一態様では、前記フィルタは、LEDのウォーミングアップまたはクールダウン中に生じる波長ドリフトの影響を除去するために、あるいは、大気温度の変化によるばらつきを除去するために使用される。さらに、前記フィルタは、LEDの経年劣化により生じるピーク発光波長におけるスロードリフトを除去するために、あるいは、公差が大きいLED製造工程においてよく見られるLEDの波長のバッチ間のばらつきを除去するために使用される。本発明によれば、前記フィルタは、前記フィルタのバンドパスの外側の発光を除外することによって、LEDのスペクトルバンド幅を狭くするために使用される。これは、20〜100nmの範囲のスペクトル幅を示す多数のLEDにおいて、特に有用であり、LEDを分光的用途のためにより使いやすくする。さらに、前記フィルタは、いくつかの別個のかつ互いに重複しない光波長を生成するために単一の種類のLEDを使用することができるように、LEDの広範な発光スペクトルにおける選択した部分に対して使用することもできる。前記フィルタは、本発明に適切な(バンドパス)干渉フィルタを作製するのに使用されるイオンビームスパッタリング技術を含むことができる。この堆積技術は、温度によって誘発されるドリフトに対してロバストな、かつ、比較的影響されない膜を生成するからである。一態様では、本明細書中で説明したフィルタリングの利点を実現するために、カラーフィルタ(色ガラスまたはポリマー染色)または格子などの他のフィルタや、ロングパス、ショートパス及びバンドパスフィルタの組み合わせを使用することができる。
【0046】
LED光源はフィルタを用いないでも狭帯域スペクトルを理想的な生成できるようになってきたので、比較的単純な積層設計のフィルタが使用される。このことにより、従来のランプベースのシステムにおいてフィルタ設計を複雑にしていた、(従来の広帯域光源を使用する場合に用いられる)広い阻止帯域が不要となる。LED発光のこの限定された波長範囲は、パスバンド形状の必要条件をさらに最小限に抑え(すなわち、四角形は必須ではない)、ストップバンドを強力に減衰させるためにはわずかな必要条件だけでよい(99%の減衰が理想的であるが、90%で十分である)。このような構造は、従来のランプベースシステムよりも厳密さが大幅に低い。一態様では、このフィルタ構成は、2つの互いに同一の1/4波長スタックを含むことができる。前記スタックは、奇数個の1/4波長のスペーサー/材料(理想的には、前記スタックに使用された材料と同じもの)によって互いに隔てられる。前記1/4波長スタックの層数は、パスバンドのバンド幅及びストップバンドの減衰レベルを決定する。前記堆積層は(干渉フィルタとしては)非常に薄いため、このタイプのフィルタ設計は、幅広い範囲の入射角について有効に機能する。
【0047】
本発明の一態様では、バンドパスフィルタは、透過係数及びバンドパス幅へのわずかな影響だけによってピーク透過波長をブルーシフトするために傾斜させられる。図4は、傾斜角度の関数としてプロットした誘電性干渉フィルタ400の透過性のグラフを示す(AOIは入射角度)。この技術は、単一のフィルタ部を用いて様々な波長での正確なバンドパス制御を行うことを可能にし、それにより、システム設計の複雑さ及びコストを減少させることができる。このコンセプトは、上述した、単純な1/4波長スタックをベースにした干渉フィルタデザインを用いる場合に特に有効である。
【0048】
図2を参照して、本発明は、レンズ206が、バンドパスフィルタ204の後側に、光ファイバ208の端部210から所定の焦点距離212を隔てて配置された装置を含む。ボールレンズ206が光ファイバ端面210から所定の焦点距離212を隔てて配置され、ボールレンズ206に入射した平行光線だけが光ファイバ208に導入されるようにする場合は、レンズから光ファイバ端面までの距離は装置のデザインにとって重要である。従って、バンドパスフィルタ204を通過して平行化された光線だけが、光ファイバ208に導入されることになる。このことにより、干渉フィルタの狭バンドパス特性が維持される。ピーク透過波長は、入射光線の波長ベクトルと前記フィルタに対して垂直な面とがなす角度の関数だからである。
【0049】
本発明は、各々が1以上の狭帯域光源を伝達する個々の繊維が最密充填された束に集められ、伝達性を向上させるために前記束の端部が研磨された装置を含むことができる。1以上の束はその後、前記光線を集束光学系へ伝達する前に前記光線の空間的均一性を均質化するUVグレード溶融石英六角形光パイプなどの光学素子に結合される。図5は、本発明によるレンズアッセンブリ及び強度モニタリングスキーム500の概略図である。図示するように、LED光源(図2参照)からの個々の繊維502は、光パイプなどの均質化装置504の頂面へ光子を伝達する。入射光線の強度をモニタリングすべく、均質化装置504を出た空間的に一様な光線506は、入射光線の一部を捕え、反射性光学系512を介して一対の基準フォトダイオード510a/510(b)へ導くべく、小さな反射光学系(またはファイバ)508によってサンプリングされる。光線506のサンプリングされなかった部分514は、非球面レンズ518の第1象限516に導かれる。前記光線のサンプリングされなかった部分514は、DUT520により部分的に反射され、反射光522は、非球面レンズ518の第3象限524に導かれる。前記反射光は、光線分割光学系526によって、反射光の強度を測定するための2つの基準フォトダイオード528(a)/528(b)へ導かれる。DUT520を透過した光線を検出するために、離間配置された一対の検出器530(a)/530(b)と光線分割光学系532が、サンプル520の下方に配置される。反射光及び透過光の両方の拡散成分をモニタリングするために、さらなるフォトダイオードを追加してもよいことに留意されたい。上述したように、積分球や先細光パイプなどの波長結合及び光線均質化の他の方法も用いることができる。電流測定装置及び/または電圧測定装置を含み得る時間分解測定装置534がさらに示されている。時間分解測定装置534は、各DUTの初期QE値を、所定の特性が付与された光源からの少なくとも1つの波長の入射強度と前記時間分解測定値に基づいて求めて出力することができるようにプログラムされたコンピュータ536に接続される。コンピュータ536は、アナログ/デジタル電子機器を含み得ることを理解されたい。
【0050】
反射光学系508は、入射光514の強度をリアルタイムで測定すべく光パイプ504から出射された光線506の一部をサンプリングするために用いられ、前記光線を1以上の基準フォトダイオード510a/510(b)へ導く。図示するように、これと同様の技術が、DUT520を透過した光線、鏡面的に反射された光線512、またはサンプル520から拡散された光をモニタリングするのに用いられる。入射光線の強度を測定するための基準フォトダイオードに関しては、該検出器は、(光源の最短波長から最長波長までの範囲をカバーする)十分なスペクトル強度を提供するように選択される。例えば、300nm〜1700nmのスペクトル応答度を提供するために、2つのフォトダイオード(Si及びInGaAs)を用いることができる。
【0051】
フォーカシング光学系507は、主光線514を高NA非球面レンズ518の軸外位置516へ導くのに使用される。前記光線はサンプルから部分的に反射され、非球面レンズ518の軸外位置524を通って戻る。入射光線514のこの軸外位置は「角多重化」効果を生成し、それにより、さらなる光線分割光学系を必要とすることなく、入射光線514及び反射光線522を互いに空間的に分離させてクロストークを最小限に抑えると共に検出器用の空間を設けることを可能にする。基準検出器528a/528(b)が、反射光522を受光するために、非球面レンズ518の軸外位置524の上方に設けられる。鏡面反射及び乱反射を検出及び識別するために、さらなる検出器を追加してもよい。角多重化のさらなる利点は、光検出器、太陽電池及び他の光電子装置におけるキャリアトラッピング挙動を調べるまたは定量化するにDC光線バイアスを使用することを可能にする容易さである。これらの光源からの光線は、反射光及び透過光の様々な成分を測定するのに使用される光検出器を妨げない(例えば飽和)ように、何らかの形でブロックまたは補正しなければならない。本発明では、従来の広帯域光源、レーザまたはブライトLEDを含み得るバイアス光源は、前記デザインに明確に含まれ、非球面レンズ518の第2象限に導かれる:この場合、球面的に反射された光線が非球面レンズ518の第4象限に導かれる。あるいは、2つのバイアス光源を用い、一方が第2象限を占め、他方が第4象限を占めるようにしてもよい。この構成は、反射モニタリング(第3象限)フォトダイオードへ散乱するバイアス光線の量を最小限に抑えることができるという大きな利点を有している。そのため、この技術は、単一の非球面レンズによって複数の光源をDUT上の一点に伝達すると共に、様々な検出チャンネル間の不要な信号混合を最小限に抑えるために、「角多重化」を用いる。
【0052】
サンプル透過光の各波長をモニタリングするために、さらなる検出器530(a)/530(b)が、サンプル520の下方に配置される。また、光線の鏡面反射及び拡散(散乱)を検出及び識別するために、さらなる検出器を追加してもよい。サンプルの平面下に配置された光検出器530(a)/530(b)は、サンプルを透過した光線の一部を測定するのに使用される。これは、建物一体型照明を部分的に透過させることができるようにデザインされた薄い太陽電池にとって特に関心が強いところである。この場合、透過光は、QEの計算に用いる必要があり、かつ、エンドユーザーによって直接的に観察されるので製造プロセス用の重要な制御パラメータを提供する。
【0053】
両面受光型太陽電池は、本質的に、互いに反対側を向いた2つの別個の光検出器である。後側の太陽電池は、太陽電池アレイ下から反射された弱いアルベドを収集し、太陽電池の全出力をブーストするのに用いられる。この構成では(他と同様に)、太陽電池の前側及び後側の両方のQEを測定することが重要である。測定速度は、製造環境において最優先事項であり、前側及び後側QEを連続的に測定するのに、上述した前記固体QE装置の「双子」バージョンを使用することができる。この構成では、第1の測定ヘッドが、前記太陽電池の前側に面するように配向され、第2の測定ヘッドが前記太陽電池の後側に面するように配向される。両ヘッドが意図せずに干渉したり時間的に重なったりしないように、両ヘッドからの光パルスまたは変調周波数を調整するために、単一のコンピュータまたは制御システムが使用される。任意の数のQE測定ヘッドを用いることができ、それが本発明の範囲内であることは明らかである。
【0054】
QEヘッドをシステムに組み込むことにより、測定ヘッドまたはサンプルを測角器(ゴニオメータ)の位置決めステージ上に配置することができ、QEを入射光角度の関数として測定することができる。ヘッドの方向が入射光の角度に対して垂直以外である場合、部分的に反射された光線は基準検出器に対して自動的に位置合わせされない。そのため、反射光を捕えるために、調節可能なミラーまたはファイバが使用される。前記構成要素は、サンプル表面法線に対して対称的に配置される。反射光の情報が不要である場合、前記システムは、入射光の非垂直角度に保持された測定ヘッドと共に使用することができる。
【0055】
一態様によれば、前記システムは、太陽電池のスペクトルの十分な近似値が生成されDUT上に集光されるように、様々な発光波長を有する複数のLEDが同時に駆動されるモードで動作される。例えば、各LEDに供給される電流の大きさは個々に制御され、光線のスペクトル成分が、AM0、AM1.5などの目標スペクトル、または、空気質量、時刻、緯度及び曇天条件の任意の組み合わせに密接に一致するように調節することができるようにする。放射光のスペクトル成分を分析するのにスペクトロメータを使用することができ、その情報は、出力スペクトルが目標スペクトルの所定の許容範囲に収まるまで個々のLED電流を調節するのに、あるいは、スペクトル不整合率をリアルタイムで計算するのに使用される。本発明は、既知のまたは測定される照明領域、及び既知のまたは測定される光強度の空間的拡張を可能にする。この情報は、(太陽電池の電流−電圧特性の測定値と共に)太陽電池の「光が当てられた」または「光バイアスされた」J−V特性を計算するのに使用される。前記特性には、とりわけ、開回路電圧、短回路電圧、最大出力点、及び、テスト中に使用される特定の入射スペクトルに対する装置の変換効率が含まれる。
【0056】
本発明によれば、前記システムは、前記装置のQE及び照明J−V特性の両方を単一のツールで迅速にかつ連続的に測定することができるように、上述したQE及びソーラーシミュレーション能力を兼ね備える。このシステムを、測定ヘッド、サンプルまたはその両方を移動させる測定ステージと組み合わせた場合、量子効率の空間マッピングが可能となる。測定ヘッドは、前記ヘッドの回転によりスキャンできるように、測角器上に配置される。一態様では、上述した前記システムを可変アパーチャーデバイスと組み合わせることにより、スポットサイズの測定を制御することができ、調節可能な空間分解能及び測定スループットが可能となる。この構成の一態様では、前記アパーチャーを光パイプの出口に配置され、この位置がDUT上に再画像化されるようにする。
【0057】
本発明の別の態様では、一連の測定部位に対して自動分析を実行することができるようにレシピベースのコンピュータ制御システムが提供され、自動ローディングと組み合わせた場合は一連のサンプルについての自動分析を行うことができる。この態様は、実際の太陽電池のプロセス中または前記プロセス環境からサンプルを取り出す前にQE測定を行うことができるように、堆積またはプロセスツールと組み合わせることができる。これは、J−V特性、QE性能またはそれらの組み合わせに基づいて太陽電池性能ビンニング(ソーティングとも呼ばれる)を行うために、電流−電圧(J−V)試験機及びソーラーシミュレータとさらに組み合わされる。さらなる態様には、電流−電圧(J−V)試験機及びソーラーシミュレータ、随意的に光ルミネッセンスまたは電気ルミネッセンス測定器、及び随意的に赤外線「ホットスポット」欠陥画像化システムが含まれ、J−V特性、QE性能、ルミネッセンス特性、赤外線欠陥特性またはそれらの組み合わせに従ったビンニングを行うことができる。別の態様には、本発明をカメラベース検査システムと組み合わせ、上述した全ての技術及び光学検査結果(ウエハチップのクラック、異常反射性(色)または均一性、不適切に形成された電気接点、または他の物理的不完全性)に基づいて性能ビンニングを実施することが含まれる。この場合、試験スポットをリアルタイムで視覚化することができるように、カメラは同軸的に配置される。
【0058】
ある変形例では、上述したシステムは、関心のある全波長範囲(UV〜近赤外線)を透過させる光学部品を用いて実施することができる。例えば、光パイプ及び全ての後続レンズ(非球面を含む)に、UVグレードの溶融石英を使用することができる。あるいは、非球面/対物レンズにフッ化カルシウムを用いることができる。ある代替例では、様々なレンズにサファイアを用いることができる。第2の代替例では、色収差の影響を解消するために、UVグレードの溶融石英、サファイア及びフッ化カルシウムの組み合わせを用いることができる。一実施形態では、LEDからの光をマルチモードファイバに導入するのにサファイアボールレンズが用いられる。この態様によれば、LEDのアレイの各波長に最適な光学ファイバ材料が選択される。例えば、800nmよりも短い波長にはUVグレード溶融石英ファイバが使用され、800nmよりも長い波長にはIRグレード溶融石英ファイバが使用される。波長遮断の正確な選択は本発明には重要ではない。
【0059】
本発明のさらなる変形例では、本発明は、DUT上の複数の点からQEデータを収集することができるマルチチャンネルシステムの一部であり、各チャンネルが、各LEDから発光させるためのユニークな時間依存性信号を用い、太陽電池の電気出力の時限データを正確に収集することによって各点での各光波長に対するDUTの反応をユニークに測定することができる。この態様は、マッピングを可能にするために、上述したようにステージまたは測角器と組み合わせてもよい。例えば、直線アレイ状に配置した一連の測定ヘッドを用いて、前記アレイに対して垂直な方向をスキャンし、二次元QEマップを作成することができる。
【0060】
本発明は、前記装置から得たQEデータを、生産制御システム(yield management system)へ供給することを含む。さらに、本発明は、QEデータをデバイス性能と相関させることを含み、QEを、装置の特定の問題(電気的及び物理的の両方の)の早期予測材料として、または、特定の照明条件下でのモジュール生産を最大化するためにデバイスをビンニング及びソーティングする手段として使用することができる。
【0061】
別の変形例では、本発明は、QEまたは照明J−Vデータを使用し、関心領域のさらなる特徴化を図るために後の検査または故障分析システムとして使用される空間座標を提供することを含む。検査または故障分析システムは、これらに限定しないが、次の種類の機器であり得る。集束{しゅうそく}イオンビーム装置、走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡、飛行時間型質量分析装置、光学カメラ、光学式欠陥走査システム、表面形状測定装置、偏光解析装置、またはレーザ光誘起電流測定措置。さらに、QEまたは照明J−V態様の使用は、プロセスツールまたは欠陥分析システムにおいてin-situで行うことができ、他の診断情報と共に、QEの単一ポイントまたはマッピング能力を提供する。本発明には、上述した装置の精度を較正するために、既知のQEを有するサンプルを、DUTホルダーまたは測定チャンバに組み込むことが含まれる。
【0062】
上述の発明は、位相情報を持たないFFTパワースペクトルの使用について説明したが、LEDの半数の駆動信号を90度位相シフトすることによって、同一の周波数空間に2倍の数のLEDを入れることができる。その後、本発明は、高速フーリエ変換(FFT)の実際の及び想像上の結果を用いて、2組のLEDを互いに区別する。各LEDの位相変調を制御することができるので、このことは使用可能である。2つの直角位相は互いに直交するので、FFT分析において妨げとならない。FFT分析は、実際の及び想像上の期間の両方において、各周波数について自然になされる。さらに、ランダムノイズプロセスが、ノイズ出力を2つの直角位相上に均等に分配する。両方の相がLEDモジュールに使用されない場合、対応するLEDの変調に相当する「既知の正しい」位相を測定するだけで、どの周波数においてもノイズの半分を除去することができる。このことにより、測定のためのS/N比を向上させることができる。変調位相は、後述するようにして、測定「ゼロ時間」基準に対してシフトされるので、同相及び直角位相情報の抽出を可能にするためには、直角位相信号をゼロする前に、測定されたFFTデータに対して2×2マトリックス「回転」を適用する必要がある。
【0063】
完全に線形なシステムでは、(線形)FFT演算により所望の情報を抽出することができるので、各LEDの調節にどの周波数及び位相を選択してもよい。しかし、実際のシステムの多くの側面が、小さい非線形性(増幅器の飽和、部品のダイナミックレンジの制限)を示すので、実際の測定結果と混合される人工的な信号が生じ得る。これらの非線形性により生じたエラーは、変調周波数及び位相の正確な選択により影響され得る。全てのLEDが正弦関数の態様で変調される場合、前記LEDの光出力の前記ピーク及び底値は、瞬間的な高光出力を生成するために一致するかもしれないし決して一致しないかもしれない。これらの条件下では、疑似周波数の非線形生成が強化される。これは、このような状況を避けるために好適である。後述するように、変調信号の不適切な選択は、一定または等間隔の位相を有する等間隔の周波数であり得る。チャープまたはランダムに分散された周波数及び/または位相は光ピーク振幅を減少させ、それにより、周波数の非線形混合による疑似信号の生成を減少させる。上記の考察の目的は、非線形性が、他のノイズソース(ショットノイズなど)よりも小さい疑似信号レベルを生成することを確実にすることである。
【0064】
図6(a)〜(b)は、レーザのモード同期と類似する、周波数及び位相が均等間隔であるバンチング位相600のグラフを示す。図6(a)では、4つの色が、各々、1、1.1、1.2、1.3の周波数を有する4つの互いに異なるLEDを表す。全ては、時間=0において同相である。図6(b)では、総光強度が、単一のLEDよりも4倍大きいピーク間の振幅を示す。このシナリオは、LEDの数に対応する。
【0065】
図7(a)〜(b)は、周波数の均等な間隔と疑似ランダム位相の結果700が、バンチングの減少においてどのような結果をもたらすかを示す。図7(a)では、4つの色が、各々、1、1.1、1.2、1.3の周波数を有する4つの互いに異なるLEDを表す。これらは、決して、互いに同相にならない。図7(b)では、総光強度が、単一のLEDよりも3倍大きいピーク間の振幅を示す。このシナリオは、LEDの数によって向上し、より良く平均化される。
【0066】
図8(a)〜(b)は、両位相が互いに直交する2つの周波数が、周波数においてどのようにしてより密集化されているかを示す(800)。
【0067】
本発明によれば、太陽電池に入射する光線を、直接光と拡散光(空、近隣のビルまたは雲からの拡散された光)に分けることができる。拡散成分は、追加的な「フラッド(flood)」または高角度の入射光源を追加することによりシミュレートすることができ、様々な拡散条件をシミュレートし、様々な照明条件下(直接光、拡散光、またはそれらの任意の組み合わせ)での変換効率を測定することができる。一態様では、LEDは、他の方法を用いて調節することができる。例えば、符号分割多重アクセス方式(CDMA)技術を用いて、背景ノイズに対する耐性を向上させることもできる。
【0068】
別の態様では、AC調節光源と区別される、「単一パルス」測定法が用いられる。これは、時分割多重アクセス(TMAA)の一般的概念に当てはまる(すなわち、一度に1つのことを行う)。この単一パルスの利点には、マイクロコントローラがパルスと取得データとをシーケンスするのに容易なシンプルで安価な電子機器の実現、一度に1つのLEDだけが実行される低インジェクションレベル、及び/または入射出力の最小化が含まれる。このことは、キャリアトラップにより制御される、太陽電池の微光での性能を調べるのに有用である。さらなる利点には、所望の信号対ノイズ比を実現するために、LEDごとのパルス幅を調節する能力が含まれる。あるLEDは微小光を放射するため、パルスを長くすることを必要とする。全てのLEDにおいてほぼ等しいS/Nを達成しながら、所望の処理能力を実現するために、時間を「割り当てる」。
【0069】
TMDAの別の例には、1つのLEDをつけ、QE値を求めるべくDUT電流についてのFFTを行うために出力を調節し、その後、次のLEDに移ってこのプロセスを繰り返すことが含まれる。このことは、FFTのノイズ除去を、パルスの低インジェクションレベルと組み合わせる。
【0070】
純粋な位相情報を使用する別の例には、調節されたQE測定値をDC段階的方法に拡張し、アークLEDを順々につけて、太陽電池電流の階段関数を得ることが含まれる。その後、各段の高さを分析し、太陽電池の出力対波長の斬新的増加を求める。これは、純粋な位相情報を用いて、各波長での応答を識別する例である。
【0071】
本発明の一変形例では、非接触式表面電位(V)センサが前記ツールに含まれる。このセンサは、太陽電池の上側に、太陽電池が裏面接点を有する場合は太陽電池の下側に固定される。非接触式表面電位測定器の例には、振動式ケルビンプローブ(DC表面電位測定器)、回転式または振動式モンロープローブ(DC表面電位測定器)、及び透明な容量板(表面光起電力{ひょうめん こう きでんりょく}センサとも呼ばれる)(AC表面電位測定器)がある。DC表面電位測定器は、局所的なQE結果が、光生成キャリアがデバイスから外部に輸送されたときに、局所的な材料特性及び抵抗の両方によって制御される場合に用いることができる。多くの場合、研究者は、局所的な材料特性だけを調べるために、抵抗の影響を除去することを望んでいる。QE測定装置は、太陽電池の深部からのキャリア輸送を強化するために高DC逆バイアスで、あるいは、太陽電池が高照明条件下で経験すると予想されるキャリア密度をシミュレートするために高DC順方向バイアスで意図的に駆動される。これらの各場合では、抵抗降下が測定され、説明される。また、ユーザは、抵抗対サンプルのX−Y位置のマップを見ることに興味がある。本発明は、DC(V)測定を用いて、太陽電池との接点間、すなわち、プローブが太陽電池と接触する位置とQE測定器の位置との間の電位降下を測定する。前記2つの位置間の電位降下を求めるために、前記2つのDC測定値が減算される。この示差測定法は、湿度またはセンサ表面に吸着され得る双極子{そうきょくし}モーメントを有する任意の化学物質に起因するこのタイプのV測定特有のドリフトを取り除くので、重要な追加的な効果を有する。このV情報もまた一定の光電流またはバイアス条件に対してマッピングされ、全ての測定部位及び接触点の抵抗を計算するために前記電位降下が用いられる。このタイプの情報は、エミッタまたは透明導電酸化物の抵抗のばらつきを検出するのに使用することができ、製造中にしばしば発生し得る、エミッタ電流を金属製収集グリッドへ供給するのに使用することができる。一態様では、表面電位(DCまたはAC)もまた、太陽電池における局所的なショート(短絡とも呼ばれる)の存在を検出するのに使用され、「良」領域と「不良」領域との間でのV信号差を強めるために太陽電池にバイアス電流を加え、サンプルをVセンサの真下でラスタリング(rastering)して表面電位をマッピングし、その結果を位置の関数として記録する。表面電位の局所的な減少は、太陽電池における不良領域を示す。この態様は、処理能力を向上させるために、1次元でスキャンされる1次元アレイまたは2次元アレイなどのさらなるプローブを追加することにより改善することができる。
【0072】
ドライブチャンネル間のクロストークを最小限に抑えるための必要条件は、検討中のもの以外の(N−1)チャンネルについては、クロストークの合計が測定のための許容可能なノイズ/不確実性よりも低くなければならないことである。一例として、チャンネル/波長が101あり、所望する測定精度が1%である場合、各チャンネルの、残りのいずれかのチャンネルへの変調電流の漏れは0.01%だけにしなくてはならない。
(0.01%=1%×(101−1=100)−1
【0073】
LEDからの少量の光が別のLEDからの光を伝達するファイバに漏出しても、これらの2つの光学信号は較正の目的のためにピックオフされて使用される前に光学システムの後続位置(すなわち光パイプ)で再結合されるので、問題にはならない。しかし、バンドパスフィルタを所望の入射角度で通過しない光は、制御不良なスペクトルを有することとなる。この光が、隣接するチャンネルのファイバに漏出した場合、有効なスペクトル分解能を低下させることとなる。しかし、このことは、LEDのバンド幅が所望の測定分解能を超える場合にのみ重要である。一般的に、LEDのバンド幅は、所望する測定分解能の約2倍であるので、このことは大きな懸念ではない。
【0074】
太陽電池は電気容量が大きく抵抗が有限であるため、太陽電池のサイズ及び設計に応じて一般的に0.5〜8kHzでロールオフされる限定された周波数応答を示す。変調されたLEDを200〜400Hzまたは400〜800Hzなどの特定のオクターブに同時に限定し、FFT高調波の混合を防止するためには、動作オクターブは、太陽電池が前記周波数範囲に渡って十分に応答することができる十分に低い周波数(例えば、0.1〜1×DC応答)に及ぶように選択されるべきである。この制限により、前記オクターブは、本発明による測定処理能力を最大化するために可能な限り高い周波数に選択されるべきである。
【0075】
測定処理能力を最大化するために、前記周波数範囲は、太陽電池が変調周波数で減衰応答を示すように選択される。この影響は、前記測定の前に、太陽電池ごとに、または計画されたサービス間隔で、またはユーザが較正の実施を選択したときに較正される。このことは、1つのLEDを使用し、変調周波数をDC付近(例えば、前記減衰領域よりも十分に低い10Hz付近)から所望の最大周波数まで変更しながら、AC太陽電池電流出力を測定することにより実現される。この応答振幅対周波数のデータは、その後、後続の測定結果を正規化するのに使用される。内挿法または外挿法を用いて、最良の推定較正係数を計算する。
【0076】
本発明の一態様によれば、太陽電池に接触して電流出力を測定する代わりに、容量センサを太陽電池のごく近傍に保持し、光線を変調しながら表面電位の相対変化を検出する。
光誘起順方向バイアス下での内蔵pn接合電位の崩壊に起因する表面電位の変化は、量子効率の指標としての役割を果たす。従って、相対的量子効率測定を、太陽電池に接触することなく行うことができる。この技術は、ここで説明したAC結合型容量プローブに加えて、ケルビンプローブまたはモンロープローブを使用するために修正することができる。
【0077】
本発明によれば、QEをサンプル温度に対してプロットするために、QEの測定中に、サンプルの全体または局所部分のサンプル温度を傾斜させる。一態様では、サンプルは、従来の高温または低温のチャック上に配置される。さらに、前記サンプルは、適切な材料の上に載置または固定され、ランプからの放射エネルギーで加熱される。別の態様では、前記サンプルは、高温空気の噴流によって加熱される。さらに、前記サンプルは、逆方向バイアス電流または順方向バイアス電流をDUTに加え、内部抵抗によって熱くすることによって加熱される。一態様では、サンプル温度は、太陽電池または、サンプルと密接に熱接触しているチャックと接触している従来の熱電対またはサーミスタを使用することによって測定される。別の態様では、サンプル温度は、非接触マイクロボロメータ、熱電対列、InSb検出器、または別の熱画像化装置を使用して測定される。一変形例では、太陽電池は、あるテストチャックから次のチャックへ移動させられ、各チャックは一定温度に維持される。このマルチステーション技術を用いて、上記の各テストチャックについてのQE測定を実施し、QE対温度の曲線を素早く作成する。QEデータを、サンプル温度の関数としてプロットし、温度に対する太陽電池パラメータの変化を表す係数を得る。
【0078】
本発明の別の態様では、LED/フィルタアセンブリを含む所定の特性が付与された光源からの出力は調整または調節されたACであり得、DC出力はマシンセットアップの一部であり得る。この場合、放射波長を変化させるために、干渉フィルタの傾斜が調整または調節され得る。このDC調節能力は、LEDを、所与のタイプの太陽電池に最も有用な波長に「プッシュ」するのに用いられ得る。例えば、CdS層を使用する太陽電池の製造業者は、いくつかのLEDがCdS反応ピークの近傍に密集するように調節することを望んでいる。
【0079】
本発明によるQE測定ヘッドはまた、他の同様のQEヘッドと組み合わせて使用することができる。このことは、非常に大きい太陽電池のいくつかの領域、または、二重接合型太陽電池の前側または後側からQEデータを取得するのに有用であり得る。選択された変調周波数及び位相が各光波長に対してユニークな変調信号を提供する場合、前記ヘッドは同時に動作され得る。あるいは、前記ヘッドは重複する周波数空間を使用するために構成され得るが、太陽電池の特性を連続的に測定できるようにトリガリングスキームによって同期化される。
【0080】
本発明の一態様では、前記QE測定は、太陽電池の空間的に分解された光応答を提供するために、多数の測定ヘッドに拡張される。必要に応じて、装置の単純化を可能にすると共に空間分解脳能を向上させるべく、波長数は減少され得る。
【0081】
例えば、極端な場合、白色LEDのアレイなどの、LEDの2次元アレイが構成され得る。上述したように、各LEDは、ユニークな周波数で変調され得る。LEDの2次元アレイは、屈折工学系、反射工学系、近接光学系、またはそれらの組み合わせを用いてサンプル表面上に画像化され、前記装置の電流出力は、時間の関数として測定される。各ユニークLEDから光応答を求め、太陽電池の位置に対する太陽電池の光応答を2次元マップにプロットするために、電流または電圧出力のFFTが使用され得る、このことにより、完全なまたは部分的な、1秒単位のウエハ光応答マップを作成することができる。この効果的な空間分解能は、内部LED空間のごく一部の太陽電池を移動させ、測定を繰り返し、その結果を、前記LEDの既知の点広がり関数を用いて解析することにより、向上させることができる。
【0082】
図9(a)は、完全な測定グリッド900を示すために、単位セルを繰り返すようにして配置された4つの色(B、G、Y、R)のLEDの位置の概略図を示す。この例では、「ネイティブ」グリッドは、6×6である。より大きな完全グリッドをもたらす、より大きいネイティブグリッドを用いることもでき、より大きな単位セルは4よりも多い数の色を含むことができる。長方形格子及び六角形の構成が望ましいが、他のパターンを用いてもかまわない。
【0083】
一例では、LED光源の1次元アレイが太陽電池上に画像化される。この1次元アレイ光源は、太陽電池、光学系またはビームステアリングミラーを移動させることにより、太陽電池の全体に渡ってラスタリングされる。データ取得は、太陽電池の光応答度対位置の2次元マップを再構成するために、ビームラスラリングと同期化される。
【0084】
上述した例では、空間分解能を、スペクトル分解と交換してもよい。例えば、赤色LED及び青色LEDが赤/青/赤/青と交互に配置される1次元の例では、量子効率は2つの波長で、赤色LED間の間隔と等しい空間分解能で測定される。このコンセプトは、2、4、9…個のユニークな色を繰り返し空間パターンで与えるために、2、4、9…個のLEDの単位セルを最密充填することにより、2次元アレイに拡張することができる。このことは、前記装置が、前記単位セルのサイズと同じ分解能を有する空間的光応答情報を同時に抽出しながら、従来の波長依存性QEを抽出することを可能にする。この場合、図9(a)に、4つの色(B、G、Y、R)が表されている。一実施は、図9(a)に示すようにLEDを充填することであるが、LEDとDUTとの間に隙間が残るため、LED光線の自然な回折が生じてより多く重複し、前記空間分解能が「単位セル(4つのBGYRのLED)」のサイズに近づく。
【0085】
図9(b)は、測定位置、例えば4つの位置の概略図を示す。一連の測定は、まず、全ての位置1において、一定間隔Pで配置された一連の光源により行う。次に、全ての位置2についての第2の一連の測定が要求される前に、光学系またはサンプルを少しだけ(一般的にP/Nの距離)移動させる。このプロセスを、位置1〜Nについて続ける(この例ではN=4)。その結果、N組の空間分解された測定値が連続的に得られ、空間分解能P/Nを有するQEデータが提供される。この例では、LEDは、測定部位間の距離よりも大きいピッチPで配置される。例えば、両次元において、LEDパッケージの直径の2倍に等しい間隔で配置された、白色LEDだけを使用してもよい。LEDアレイとDUTとの間を近接近させると、いつでも、DUTの25%だけに光を当てることができる。位置1での全ての測定が終わったら、第2の測定のために位置2に光を当てるために、DUTまたは光源の一方を移動させる。その後、第3の測定のために位置3に光を当てるために、DUTまたは光源の一方を移動させる。以降の測定もこのように行う。このことにより、一時的な多重化によって、測定分解能がLEDの数を超えることを可能にする。
【0086】
図9(c)は、互いに距離Pを隔てて配置されたLEDの小アレイの概略図を示す。測定は、測定位置を距離P/2で移動させることにより行われる。実線の円はLEDの初期位置を示し、破線の円はLEDの第2の測定のための第2の位置を示す。この図は、移動が、水平方向または垂直方向の一方だけに、または、水平方向または垂直方向の両方に行うことができることを示している。全範囲の測定は、P/2分解能で行われる。
【0087】
図10(a)〜(c)は、より重複している、LED光線の自然な回折1000を示す。太陽電池はラスタリングされるか、あるいは、測定ヘッド下に配置され、ブラシまたはローラ接触子などによって、または、上述した非接触電気容量検出技術によって、太陽電池に対して継続的に電気的接触される。本発明の一態様では、追加された光学系を使用してDUT上に画像化するのではなく、光ファイババンドルの研磨面がDUTの近傍に保持される。
【0088】
本発明の装置は、外部量子効率(QE)、反射率及び透過率の測定に使用することができ、これらの3つを組み合わせることによって内部量子効率を求めることができる。
QEint=QEext/(1−R−T)
【0089】
一態様では、本発明は、変調反射率の測定に使用することができる。例えば、太陽光変調反射率は、測定を行うのに非接触が要求されることが多い場合に、バンドギャップまたは堆積直後に堆積材料をモニタリングするのに用いることができる技術である。
【0090】
さらなる態様では、本発明の装置は、光反射率や光透過率などの他の測定を行うために、適切な「ポンプ」光線と共に使用され得る。ポンプは、明るい光またはレーザと定義される。他の測定にはピエゾ反射率及びピエゾ透過率が含まれ、この場合、ポンプはピエゾ変換器を介して装置に注入される出力と定義される。さらなる他の測定には熱反射率及び熱透過率が含まれ、この場合、ポンプは、レーザまたはIR源または従来のヒータを介して注入される熱と定義される。
【0091】
本発明によるQE測定は、測定速度が速いため、太陽電池特性の時間分解変化を調べるのに使用することができる。例えば、非晶質シリコン型太陽電池は、白色光に曝されると劣化する。性能が劣化する速度及び程度は、光照射中に測定することができる。(各波長での)QEをプロットすることで、実際の劣化メカニズムを調べることができる。例えば、青色応答への強力な劣化は、太陽電池表面の近傍での劣化を示す。別の例では、有機太陽電池は、多くの場合、製造直後に、場合によっては数秒または数分で劣化を示す。本発明の高速QE装置は、劣化メカニズムを定量化するために、初期性能及び経時的劣化を測定するために使用することができる。
【0092】
本発明によるQE測定は、測定速度が速いため、組み合わされた複数の実験を実施するのに使用することができる。例えば、単一の太陽電池における既知の位置において、様々な種類の表面安定化処理を行うことができる。前記QEは、本発明によって前記各部位で測定することができ、その後、最良の表面安定化処理を選択するために、前記ユニークな結果を比較することができる。このことは、エッチング、ARC堆積、レーザアニーリングなどの他の処理にも拡張することができ、それらは全て、実験に必要な太陽電池の数を節約できるという利益を受ける。加えて、ウエハ間における太陽電池性能のばらつきをより良く排除するために、測定は各処理の前及び後に行うことができる。このタイプの差異測定はまた、各処理の個々の効果を抽出するために、一連の処理中に太陽電池を何回も測定する場合に用いることができる。
【0093】
さらなる例では、本発明のQE測定装置は、太陽電池を「スペクトルビン(spectral bins)」に分類するのに使用され得る。例えば、標準白色光(AM1.5)試験条件下で同一の電流出力を生成する一連の太陽電池では、太陽電池の半分は青色光応答が強いが赤色光応答は弱く、太陽電池の残りの半分は青色光応答が弱いが赤色光応答が強い。製造過程中に、同様のスペクトル応答度を有する太陽電池をモジュールにグループ化した場合、総ファクトリー出力(kW・時間)を最大化することができる。このビンニングを用いなければ、モジュールの総出力は、太陽電池を実施するのに最小限に制限されるであろう。例えば、日の出や日没の近くの時間では、太陽スペクトルは弱い青色の出力を有するので、そのような時間ではモジュールの性能は、弱い赤色応答を有する太陽電池によって制限される。
【0094】
さらなる態様では、QE測定中に測定された反射率曲線が、太陽電池を色に基づいて分類するのに使用される。このことは、製品の外見及び視覚的均一性を向上させるために、製造業者が、互いに似ている太陽電池をモジュールにグループ化することを可能にする。さらに、本発明のQE測定装置は、太陽電池のバンドギャップをモニタリングするのに使用することができる。この情報は、MOCVDリアクター内のガス流、非晶質シリコンの堆積温度、液体前駆体堆積システムの混合物、個々の層の厚さなどのバンドギャップを調節するパラメータを調節するために、適切な堆積チャンバに送られる。
【0095】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらはあらゆる面において、説明を目的としたものであり、限定するためのものではない。従って、本発明は、詳細な実施においては、当業者が本明細書中に記載された説明から導き出すことができる、様々な変更が可能である。
【0096】
このような変形例は、特許請求の範囲及びその均等物によって規定される本発明の範囲及び要旨に含まれると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子効率(QE)高速測定装置であって、
(a)少なくとも1つの被試験デバイス(DUT)と、
(b)少なくとも1つの光収集光学系及び少なくとも1つの光検出器を含む光源モニタリング部によってその一部がモニタリングされる、50nm未満の帯域幅を有する少なくとも1つのフィルタ処理されたLEDを含む少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源と、
(c)前記所定の特性が付与された光源を前記DUTへ導く伝達光学系と、
(d)前記所定の特性が付与された光源に対する前記DUTの応答を個別に識別すべく、前記所定の特性が付与された光源を時間依存的に駆動する制御部と、
(e)少なくとも1つの反射光収集光学系及び前記DUTから反射された前記所定の特性が付与された光源の一部を受光することができるように構成された少なくとも1つの光検出器を含む少なくとも1つの反射光測定アセンブリと、
(f)前記所定の特性が付与された光源によって前記DUTで生成された電流、電圧またはそれらの組み合わせを前記所定の特性が付与された光源で分解することができるように構成された、(i)電流測定装置、(ii)電圧測定装置または(i)及び(ii)の組み合わせを含む時間分解測定装置と、
(g)前記所定の特性が付与された光源からの少なくとも1つの波長の入射強度及び前記時間分解された測定値に基づいて前記DUTについての内部QE値を求めて出力することができるようにプログラムされたコンピュータとを含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記所定の特性が付与された光源が、前記光源の帯域幅を減少させることができるように構成された少なくとも1つの、所定の特性が付与された光学系を含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記コンピュータによって求められる前記内部QE値が、
電子の電荷、
前記DUTからの前記反射光、
前記DUTに導かれた前記光源の単位時間あたりの光子数、
測定された前記DUTからの透過光、
測定された前記DUTからの透過光及び反射光、
前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電圧、及び
前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電流からなる群より選択されるパラメータを含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記内部QEの出力値が、0から1の範囲の無次元量を含むことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記DUTを通過した前記所定の特性が付与された光源の一部を測定することができるように構成された、少なくとも1つの透過光フォトダイオードを含む透過光検出アセンブリをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記時間依存的駆動が、パルス駆動または変調駆動を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
量子効率(QE)高速測定装置であって、
(a)少なくとも1つの被試験デバイス(DUT)と、
(b)制御部と、
(c)前記DUTの応答を個別に識別すべく前記制御部によってパルス駆動される、少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源と、
(d)前記所定の特性が付与された光源を前記DUTへ導く伝達光学系と、
(e)前記所定の特性が付与された光源によって前記DUTで生成された電流、電圧またはそれらの組み合わせを前記所定の特性が付与された光源で分解することができるように構成された、(i)電流測定装置、(ii)電圧測定装置、または(i)及び(ii)の組み合わせを含む時間分解測定装置と、
(f)前記所定の特性が付与された光源からの少なくとも1つの波長の入射強度及び前記時間分解された測定値に基づいて前記DUTについての内部QE値を求めて出力することができるようにプログラムされたコンピュータとを含む装置。
【請求項8】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記少なくとも1つの、所定の特性が付与された光源が2以上の所定の特性が付与された光源を含み、
第1の所定の特性が付与された光源が、第1のパルス幅でパルス出力され、
前記第1の所定の特性が付与された光源以外の所定の特性が付与された光源が、前記第1のパルス幅とは互いに異なるパルス幅でパルス出力されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記所定の特性が付与された光源が、50nm未満の帯域幅を有する少なくとも1つの、所定の特性が付与されたLEDを含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記所定の特性が付与された光源の強度を測定することができるように構成されたセンサを含む内部較正センサをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記内部較正センサが、少なくとも1つのサンプリング光学系及び少なくとも1つのサンプリングフォトダイオードを含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記コンピュータによって求められる前記内部QE値が、
電子の電荷、
前記DUTからの前記反射光、
前記DUTに導かれた前記光源の単位時間あたりの光子数、
測定された前記DUTからの透過光、
測定された前記DUTからの透過光及び反射光、
前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電圧、及び
前記所定の特性が付与された光源が照射されたときに前記DUTで生成された電流からなる群より選択されるパラメータを含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記内部QEの出力値が、0から1の範囲の無次元量を含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記DUTを通過した前記所定の特性が付与された光源の一部を測定することができるように構成された、少なくとも1つの透過光フォトダイオードを含む透過光検出アセンブリをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
前記DUTから反射された前記所定の特性が付与された光源の一部を測定することができるように構成された、少なくとも1つの反射光フォトダイオードを含む反射光検出アセンブリをさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
ユニークなパルス幅を有するパルスを前記所定の特性が付与された光源に割り当て、
前記所定の特性が付与された光源に対するDUT応答の信号対ノイズ比を、他の波長に対するDUT応答に対して正規化するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
ユニークなパルス幅を有するパルスを前記所定の特性が付与された光源に割り当て、
前記割り当てられたパルスによって、前記DUTに有用な光スペクトルにおいて、前記所定の特性が付与された光源の時間平均強度を正規化するようにしたことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項7に記載の量子効率(QE)高速測定装置であって、
ユニークなパルス幅を有するパルスを前記所定の特性が付与された光源の各波長に割り当て、
前記割り当てられたパルスによって、所望の波長での前記所定の特性が付与された光源に対するDUT応答の信号対ノイズ比を最適化するようにしたことを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−519276(P2012−519276A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552036(P2011−552036)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/000637
【国際公開番号】WO2010/101629
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511210992)タウ・サイエンス・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】