説明

固体撮像素子の検査方法および検査装置

【課題】 固体撮像素子の検査に要する処理時間を短縮して効率的に検査することができる固体撮像素子の検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】 固体撮像素子の検査装置100は、素子駆動手段23と、光学条件設定手段25と、撮像画像データに対して画像処理を施す演算手段29と、固体撮像素子21の良否判定を行う判定手段とを備える。演算手段29は、検査装置100内部に備わる内部演算部35と、検査装置100に通信手段11を介して接続された外部演算部43A,43Bとを有し、更に内部演算部35の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、外部演算部43A,43Bに負荷を分散させる制御部31を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子の検査方法および検査装置に関し、特に、画像処理を複数の演算部に分散して並列処理することにより撮像画像データを高速処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子の検査は、一定の条件に設定された固体撮像素子の撮像面に基準となる光を照射し、各画素により光電変換されて、光の強さに応じて発生するアナログ信号をA/D変換して得られる撮像画像データ(画素情報)を記憶部に記憶する。そして、この撮像画像データに基づいて特性検査および欠陥検査のための画像処理を行い、その結果により固体撮像素子の良否の判定が行われる。即ち、固体撮像素子の検査工程は、大きく分けると、撮像画像データ取得と、画像処理および良否判定処理(以下、総称して画像処理と言う)との、2つの処理により行われ、比較的長時間を要するものであった。このような検査に要する時間を短縮して検査効率の向上を図った従来の検査装置として、撮像画像データ取得と画像処理とを、並列処理して検査時間を短縮するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平1−280267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の検査装置により、例えば3項目の検査(検査1,検査2,検査3)を行う場合、図6に示すように、先ず、検査1の撮像画像データ取得が行われる。より具体的には、固体撮像素子の駆動および光学設定J11と、これにより得られたアナログ信号をA/D変換して撮像画像データの記憶部への記憶J12とが実行される。次いで、得られた撮像画像データに基づいて演算処理部により検査1の画像処理I1が行われる。また、画像処理I1と平行して検査2の撮像画像データ取得J21、J22が行われる。検査2の撮像画像データ取得J21、J22の終了時に、まだ検査1の画像処理I1の処理が終了していない場合、画像処理I1の終了を待って検査2の画像処理Iが行われ、これと同時に検査3の撮像画像データ取得J31、J32が平行して行われる。そして、画像処理Iが終了すると検査3の画像処理Iが行われる。
【0004】
特許文献1の検査装置は、画像処理Inと次の検査のための撮像画像データ取得J(n+1)1、J(n+1)2とを並列処理することにより、処理時間(検査時間)の短縮が図られている。しかし、検査nの画像処理Inの時間が、撮像画像データ取得J(n+1)1、J(n+1)2の時間よりも長い場合には、画像処理Inの終了を待つことになるため、待ち時間が多くなって検査時間短縮の効果は少ない。
【0005】
一方、近年における高解像度や高信頼性などの強い要求に対応するため、固体撮像素子の画素数の大幅増加、検査項目の増加、および検査方法の複雑化により、検査時間、特に、画像処理Inに要する時間が長くなっている。このため、待ち時間が長くなる傾向が強まり、特許文献1の検査装置では検査を効率的に行えない問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査に要する処理時間を短縮して固体撮像素子を効率的に検査することができる固体撮像素子の検査方法および検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記方法及び構成により達成できる。
【0008】
(1) 被検査対象である固体撮像素子により所定の光学条件のもとで撮影して得た撮像画像データに対し、検査装置内部の演算部が画像処理して前記固体撮像素子の良否判定を行う固体撮像素子の検査方法であって、前記検査装置内部の演算部の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、前記検査装置と予め通信手段を介して接続された外部演算手段を用いて、前記演算部の負荷を分散処理することを特徴とする固体撮像素子の検査方法。
【0009】
このような固体撮像素子の検査方法によると、検査装置内部の演算部の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、外部演算手段を用いて演算部の負荷を分散処理するようにしたので、画像処理時間が長くなっても、前の画像処理の終了を待ってから次の画像処理を行う必要がなく、複数の演算部で分散処理して処理時間を大幅に短縮し、これにより固体撮像素子の検査を効率的に行うことができる。
【0010】
(2) 前記所定の状況範囲を超える場合とは、前記演算部の未処理分の負荷が予め定めた所定時間を超える場合であることを特徴とする上記(1)記載の固体撮像素子の検査方法。
【0011】
このような固体撮像素子の検査方法によると、演算部の未処理分の負荷が予め定めた所定時間を超える場合に、複数の演算部で分散処理するようにしたので、例えば、検査装置内部の演算部の処理が終了間際であり、予め定めた所定時間を超えない場合、換言すれば、他の演算部に分散するための時間が、内部の演算部の残り処理時間より長い場合、他の演算部へ処理を分散することなく、内部の演算部で処理する。これにより、最短時間での画像処理が可能となる。
【0012】
(3) 前記通信手段に接続された二次記憶手段に前記撮像画像データを記憶させ、前記外部演算手段は、前記二次記憶手段から前記撮像画像データを参照することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の固体撮像素子の検査方法。
【0013】
このような固体撮像素子の検査方法によると、外部演算手段に分散して画像処理する場合、通信手段に接続された二次記憶手段に撮像画像データを記憶させ、二次記憶手段から撮像画像データを参照して画像処理するようにしたので、検査装置内部の記憶手段から撮像画像データを参照する必要がない。従って、検査装置本体の負荷を大幅に低減することができる。
【0014】
(4) 被検査対象である固体撮像素子を駆動する素子駆動手段と、前記固体撮像素子による撮影の光学条件を設定する光学条件設定手段と、前記素子駆動手段により所定の光学条件のもとで撮影して得た撮像画像データに対して画像処理を施す演算手段と、前記画像処理の結果から前記固体撮像素子の良否判定を行う判定手段とを備えた固体撮像素子の検査装置であって、前記演算手段が、前記検査装置内部に備わる演算部と、前記検査装置に通信手段を介して接続された外部演算部とを有し、前記検査装置内部の演算部の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、前記演算部の負荷を分散処理させる制御部を備えたことを特徴とする固体撮像素子の検査装置。
【0015】
このように構成された固体撮像素子の検査装置においては、撮像画像データに対して画像処理を施す演算手段が、検査装置内部に備わる演算部と、検査装置に予め通信手段を介して接続された外部演算部とを有し、検査装置内部の演算部の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、制御部により外部演算部に負荷を分散して処理するので、極めて効率的に撮像画像データを画像処理することができる。これにより、検査時間を短縮することができる。
【0016】
(5) 前記通信手段に前記外部演算部が複数接続され、前記制御部が、前記複数の外部演算部のうち前記演算部の負荷を直ちに吸収できる演算部へ分散させることを特徴とする上記(4)記載の固体撮像素子の検査装置。
【0017】
このように構成された固体撮像素子の検査装置においては、複数の外部演算部を備え、制御部が複数の外部演算部のうち演算部の負荷を直ちに吸収できる演算部へ優先的に分散させるので、待ち時間が殆どなくなり、検査時間を大幅に短縮することができる。
【0018】
(6) 前記通信手段に接続され前記撮像画像データを記憶する二次記憶手段を備え、前記外部演算部が前記二次記憶手段から前記撮像画像データを参照することを特徴とする上記(4)又は(5)記載の固体撮像素子の検査装置。
【0019】
このように構成された固体撮像素子の検査装置においては、撮像画像データを記憶する二次記憶手段が通信手段に接続されており、外部演算部は二次記憶手段に記憶された撮像画像データを参照して画像処理するようにしたので、撮像画像データを二次記憶手段に取り込み後は、検査装置から独立して撮像画像データを画像処理することができる。これにより、検査装置にかかる負荷が大幅に軽減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の固体撮像素子の検査方法および検査装置によれば、撮像画像データの画像処理を複数の演算部で分散処理するようにしたので、待ち時間を大幅に短縮して短時間で効率的に固体撮像素子を検査することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の方法を実施するのに好適な固体撮像素子の検査装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は固体撮像素子の検査装置の概略構成図、図2は検査手順を示すフローチャート図、図3は4項目の検査を行う場合のタイムチャート図、図4は撮像画像データが各演算部で分散処理される作動状況を示す概念図である。
【0023】
まず、この固体撮像素子の検査装置の構成から説明する。図1に示すように、固体撮像素子の検査システムは、検査装置100と、外部演算手段200とを備え、検査装置100と外部演算手段200とは、イーサネットなどの通信手段11を介して接続されている。検査装置100は、固体撮像素子21を駆動する素子駆動手段23と、固体撮像素子21による撮影の光学条件を設定する光学条件設定手段25と、固体撮像素子21から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ27と、撮影して得られた撮像画像データに対して画像処理を施す演算手段29と、負荷を分散処理させる制御部31と、を備える。
【0024】
演算手段29は、撮像画像データを記憶する記憶部33と、画像処理を行うと共に画像処理の結果から判定手段(図示せず)により固体撮像素子21の良否判定を行う内部演算部35とからなる。また、外部演算手段200は、二次記憶装置41と、2つの外部演算部43A,43Bと、を備える。
【0025】
素子駆動手段23は固体撮像素子21を駆動するために駆動パルスおよびバイアスを与える電気回路であり、光学条件設定手段25は固体撮像素子21に基準となる光を照射する装置である。固体撮像素子21に駆動パルスおよびバイアスを与えて撮像面に光を照射すると、固体撮像素子21から光の強さに応じたアナログ信号が出力される。このとき、素子駆動手段23および光学条件設定手段25により固体撮像素子21を常に一定条件で駆動すれば、仕様や感度などの異なる種々の固体撮像素子21の性能を、得られた撮像画像データから容易に比較することができる。
【0026】
固体撮像素子21から出力されるアナログ信号は、A/Dコンバータ27によってディジタル信号に変換された後、記憶部33に撮像画像データとして記憶される。内部演算部35は、記憶部33に記憶された撮像画像データに基づいて画像処理を行うと共に、判定手段により、その画像処理の結果を予め設定されている基準値と比較して固体撮像素子21の良否判定を行い、制御部31から表示装置などに出力する。
【0027】
外部演算手段200の二次記憶装置41は、例えば、ハードディスク装置を用いることができ、必要に応じてイーサネットなどの通信手段11を介して検査装置100で得られた撮像画像データを取り込んで記憶する。外部演算部43A,43Bは、二次記憶装置41に記憶された撮像画像データに基づいて、内部演算部35と同様に画像処理を行うと共に、判定手段により、その画像処理の結果を予め設定されている基準値と比較して固体撮像素子21の良否判定を行い、判定結果を通信手段11を介して制御部31に出力する。外部演算部43A,43Bとしては、例えば、DSPを用いることができる。
【0028】
制御部31は、後に詳述するように、各演算部35,43A,43Bをまとめて管理し、画像処理作業を最も負荷の軽い演算部に割り振って、画像処理を分散する。
【0029】
次に、このように構成された固体撮像素子の検査装置100の処理手順について図2を参照して説明する。図2に示すように、素子駆動手段23により固体撮像素子21の駆動条件を所定の条件に設定した後(S1)、光学条件設定手段25により固体撮像素子21に基準となる光を照射する(S2)。(これは、図3における固体撮像素子21の駆動および光学設定J11に相当)。固体撮像素子21からの出力であるアナログ信号は、A/Dコンバータ27によってA/D変換され、撮像画像データとして記憶部33に記憶される(S3)(これは、図3におけるA/D変換、記憶J12に相当)。
【0030】
次に、制御部31は、検査装置100の演算手段29が既に撮像画像データを処理中であり、且つ未処理の撮像画像データを処理するのに要する予定処理時間(即ち、待ち時間)が、予め設定された時間より長いかどうか、換言すれば、撮像画像データの処理が直ぐに終了するかどうかを判断する(S4)。
【0031】
演算手段29が撮像画像データを処理中でない場合、演算手段29により直ちに撮像画像データの処理が実行され、固体撮像素子21の良否が判定される(S5)。また、処理中であっても予定処理時間が設定された時間より短い場合、次のジョブとして登録しておき、演算手段29の処理の終了を待って演算手段29により撮像画像データの処理が実行される(S5)。尚、演算手段29による撮像画像データの処理は、記憶部33に記憶されている撮像画像データを参照して行われる。
【0032】
尚、撮像画像データ取得時間が、画像処理時間より長い場合は、撮像画像データ取得時には、必ず演算手段29の画像処理は終了しているので、演算手段29は撮像画像データを処理中でないと判断されて、直ちに演算手段29で撮像画像データの処理が実行される(S5)。
【0033】
ここで、予め設定された時間は、例えば、撮像画像データの処理を外部演算手段200に分散するのに要する時間に設定するのが好ましい。これにより、未処理の撮像画像データを処理する予定処理時間が、設定された時間より短ければ、演算手段29が処理中の撮像画像データの処理の終了を待って画像処理を行うことにより、外部演算手段200に分散して処理するより短時間で画像処理することができる。
【0034】
演算手段29の予定処理時間が、設定された時間より長い場合、制御部31は、外部演算手段200のタスク状況を確認し(S6)、タスクの少ない外部演算部43A,43Bの有無をチェックする(S7)。より具体的には、外部演算部43Aまたは43Bが撮像画像データの処理中でないか、または処理中であっても外部演算部43Aまたは43Bの予定処理時間(待ち時間)が、検査装置100の演算手段29の予定処理時間より短いかどうかをチェックする。
【0035】
外部演算部43Aまたは43Bが処理中でないか、或いは、外部演算部43Aまたは43Bの予定処理時間が演算手段29の予定処理時間より短い場合、制御部31は負荷を外部演算手段200に分散して、空いている外部演算部43Aまたは43B、或いは、待ち時間の最も少ない外部演算部43Aまたは43Bで画像処理を行う(S8)。即ち、制御部31は、記憶部33に記憶されている撮像画像データの内、当該撮像画像データを二次記憶装置41に転送して記憶させ、外部演算部43Aまたは43Bが二次記憶装置41に記憶されている撮像画像データを参照して画像処理する。
【0036】
撮像画像データを二次記憶装置41に記憶させておき、外部演算部43Aまたは43Bが二次記憶装置41の撮像画像データを参照して画像処理することにより、その都度、撮像画像データを記憶部33に読みに行く必要がなくなり、検査装置100の負荷が軽減される。
【0037】
外部演算部43Aまたは43Bの予定処理時間(待ち時間)が、検査装置100の演算手段29の予定処理時間より長い場合、負荷を分散することなく、演算手段29の処理の終了を待って演算手段29で画像処理を行う(S5)。
【0038】
外部演算部43Aまたは43Bに分散して画像処理する場合、外部演算部43Aまたは43Bは、固体撮像素子21の良否判定を行い、判定結果だけを制御部31に戻し、制御部31が表示装置などに出力する。尚、良否判定は、検査装置100側で行うようにすることもできる。
【0039】
そして、撮像画像データの処理が、予定される所定回数終了したかどうかが判断され(S9)、所定の回数終了していない場合はS1に戻って再び同様の処理を行い、所定回数終了していれば撮像画像データの処理を終了する。通常、所定回数は、検査項目の数と一致するように設定される。
【0040】
尚、各演算部35,43Aまたは43Bへのジョブ登録は、例えば、サーバー(図示せず)や制御部31の演算手段管理部(図示せず)に登録することにより管理される。
【0041】
固体撮像素子の検査装置100の検査手順は以上のようであるが、撮像画像データの分散処理の状態を図3および図4を参照して詳述する。図3に示すように、先ず、検査1(以下、Tk1と言う。検査2から検査4についても同様。)のための撮像画像データ取得である固体撮像素子21の駆動および光学設定J11と、得られたアナログ信号をA/D変換して撮像画像データの記憶部33への記憶J12が行われ、次いで該撮像画像データを参照して、最優先使用される内部演算部35によりTk1の画像処理I1が行われる。
【0042】
画像処理I1と平行してTk2の撮像画像データ取得J21、J22を行い、制御部31は、最も負荷の軽い演算部を探す。即ち、図4に示す例のように、撮像画像データ取得J21、J22が終了した時刻T2では、内部演算部35はTk1の画像処理I1を実行中であり、また、外部演算手段200の外部演算部43Bは外部からのタスクTkE1を実行中であるので、制御部31はジョブ待ちの状態にある外部演算部43AにTk2の画像処理Iを行わせる。また、画像処理Iと平行してTk3の撮像画像データ取得J31、J32を行う。
【0043】
撮像画像データ取得J31、J32が終了する時刻T3では、外部演算部43AでTk2の画像処理Iが進行中であり、また、外部演算部43Bでは外部からのタスクTkE2を実行中であるので、既に、Tk1の画像処理I1が終了している内部演算部35でTk3の画像処理Iを行わせる。そして、画像処理Iと平行してTk4の撮像画像データ取得J41、J42を行う。撮像画像データ取得J41、J42が終了する時刻T4では、内部演算部35でTk3の画像処理Iが進行中であり、また、外部演算部43Aでは外部からのタスクTkE3を実行中である。しかし、外部演算部43Bは、実行中であった外部からのタスクTkE2を既に終了しているので、制御部31は外部演算部43BにTk4の画像処理Iを行わせる。
【0044】
上記したように、制御部31は、外部演算手段200を含む複数の演算部35,43A,43Bの内、負荷の最も軽い演算部35,43A,または43Bに分散して画像処理させるので、処理待ちすることが殆どなくなり、短時間で効率よく画像処理することができる。
【0045】
なお、本発明に係る固体撮像素子の検査装置は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良等が可能である。
【0046】
例えば、上記説明において、固体撮像素子の検査システムは、一つの二次記憶装置41および二つの外部演算部43A,43Bを備えた外部演算手段200と、一台の検査装置100と、を通信手段11で接続したものとして説明したが、これに限定されるものではなく、外部演算手段200を構成する記憶部および演算部の数を増やすこともできる。
【0047】
また、図5に示すように、複数の検査装置100A,100B,100C,・・・と、複数の外部演算部43A,43B,43C,43D,・・・とを、イーサネットなどの通信手段11で接続するようにしてもよい。
【0048】
検査システムを構成する検査装置および外部演算手段の台数は、画像処理時間(良否判定処理も含む)と撮像画像データ取得時間との比率で決定される。例えば、画像処理時間が撮像画像データ取得時間の2倍以下であれば二台構成とし、また3倍以下であれば三台構成とすることにより、最小の構成で効率よく固体撮像素子の検査時間を短縮することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の固体撮像素子の検査方法および検査装置100によれば、撮像画像データの画像処理を複数の演算部35,43A,または43Bに分散するようにしたので、待ち時間が大幅に短縮し、これにより短時間で効率的に固体撮像素子21を検査することができる。
【0050】
また、本発明の検査装置は、固体撮像素子の検査だけでなく、例えば、液晶パネルの検査装置などのように、処理時間が長い検査装置にも応用可能であり、効率的な検査が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】固体撮像素子の検査装置の概略構成図である。
【図2】検査手順を示すフローチャート図である。
【図3】4項目の検査を行う場合のタイムチャート図である。
【図4】撮像画像データが各演算部で分散処理される作動状況を示す概念図である。
【図5】複数の検査装置と複数の外部演算部が通信手段により接続された状態を示す構成図である。
【図6】従来検査装置によるタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0052】
11 通信手段
21 固体撮像素子
23 素子駆動手段
25 光学条件設定手段
29 演算手段
31 制御部
35 内部演算部
41 二次記憶装置
43A 外部演算部
43B 外部演算部
100 固体撮像素子の検査装置
200 外部演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象である固体撮像素子により所定の光学条件のもとで撮影して得た撮像画像データに対し、検査装置内部の演算部が画像処理して前記固体撮像素子の良否判定を行う固体撮像素子の検査方法であって、
前記検査装置内部の演算部の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、前記検査装置と予め通信手段を介して接続された外部演算手段を用いて、前記演算部の負荷を分散処理することを特徴とする固体撮像素子の検査方法。
【請求項2】
前記所定の状況範囲を超える場合とは、前記演算部の未処理分の負荷が予め定めた所定時間を超える場合であることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子の検査方法。
【請求項3】
前記通信手段に接続された二次記憶手段に前記撮像画像データを記憶させ、前記外部演算手段は、前記二次記憶手段から前記撮像画像データを参照することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の固体撮像素子の検査方法。
【請求項4】
被検査対象である固体撮像素子を駆動する素子駆動手段と、前記固体撮像素子による撮影の光学条件を設定する光学条件設定手段と、前記素子駆動手段により所定の光学条件のもとで撮影して得た撮像画像データに対して画像処理を施す演算手段と、前記画像処理の結果から前記固体撮像素子の良否判定を行う判定手段とを備えた固体撮像素子の検査装置であって、
前記演算手段が、前記検査装置内部に備わる演算部と、前記検査装置に通信手段を介して接続された外部演算部とを有し、
前記検査装置内部の演算部の負荷状況が所定の状況範囲を超える場合に、前記演算部の負荷を分散処理させる制御部を備えたことを特徴とする固体撮像素子の検査装置。
【請求項5】
前記通信手段に前記外部演算部が複数接続され、前記制御部が、前記複数の外部演算部のうち前記演算部の負荷を直ちに吸収できる演算部へ分散させることを特徴とする請求項4記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項6】
前記通信手段に接続され前記撮像画像データを記憶する二次記憶手段を備え、
前記外部演算部が前記二次記憶手段から前記撮像画像データを参照することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の固体撮像素子の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−343227(P2006−343227A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169598(P2005−169598)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000005201)富士フイルムホールディングス株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】