説明

固体撮像素子の画素構造

【課題】フォトダイオード内における残留電子を低減する。
【解決手段】フォトダイオードに隣接して配置され、フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、第2段のゲートの移動制御により移動された電子を複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートとを有し、フォトダイオードのポテンシャルに第1段のゲート方向へ電子を移動させる勾配を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子の画素構造に関し、さらに詳細には、対象物へ照射した光の反射光を受光することにより光飛行時間計測法(TOF:Time of flight)を用いて光飛行時間を測定し、当該光飛行時間に基づいて当該対象物までの距離を測定する光飛行時間型距離センサや当該対象物の3次元画像を得るイメージセンサなどとして利用することができる固体撮像素子を構成する画素の改良に関し、特に、複数の電荷蓄積部を備え、飛来する光で生じた光電子を光の飛来するタイミングで弁別して当該複数の電荷蓄積部に振分け蓄積する固体撮像素子のような、未知の背景光照明下で使用することのできる電荷振り分け方式を採用した固体撮像素子の画素として用いることのできる固体撮像素子の画素構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、対象物にパルスあるいは高周波で強度変調した照明光を照射し、対象物からの反射光が撮像素子へ到達するまでの光飛行時間を計測して距離を求める、所謂、光飛行時間計測法(TOF:Time of flight)が知られている。
【0003】
こうした光飛行時間計測法に用いる撮像素子として利用することのできる固体撮像素子としては、例えば、光電変換部と複数の電荷蓄積部とを備え、飛来する光により光電変換部で発生した電子を光の飛来するタイミングで弁別し、当該弁別した電子を当該複数の電荷蓄積部に振分けて蓄積するようにした電荷振り分け方式を採用したものがある。
【0004】

ところで、上記した電荷振り分け方式を採用した固体撮像素子によれば、従来、複数の電荷蓄積部に光電変換部で発生した電子を光の飛来タイミングに応じて分配する処理は、半導体表面の酸化膜の直上に設置したゲート電極に高周波のパルス電圧を印加することにより実現していた。
【0005】
しかしながら、上記したゲート電極近傍の半導体基板にドープする不純物濃度のバラツキや上記したゲート電極の物理的な形状の不安定性、あるいは酸化膜のダメージやその厚みのバラツキなどの複合的な理由によって、各ゲート電極が同じ構造を備え、かつ、それぞれのゲート電極に同じ電圧を印加したとしても、一般に、それぞれのゲート電極直下の半導体基板に形成される電子の通過路(チャンネル)は全く同一とはならない恐れがあり、ゲート電極直下に形成されるチャンネルがそれぞれのゲート間で異なって形成されてバラツキを生ずる恐れがある。
【0006】
こうした各ゲート電極直下に形成されるチャンネルにバラツキを生じると、複数の電荷蓄積部に同じ条件で分配されるべき電子が閾値の低いゲート電極に隣接した電荷蓄積部に偏ってしまい、光電変換部で発生した電子を電荷蓄積部に正しく分配することができなくなってしまうという問題点が指摘されていた。
【0007】

従来、上記した光電変換部で発生した電子の分配に関する問題点を解決するために、例えば、特許文献1として提示する特開2005−235893号公報に開示されているように、光電変換部にフォトゲート構造を採用し、これにより電荷の残留を排除してゲートの閾値のバラツキを越えるポテンシャル差を発生させる手法が提案されている。
【0008】
しかしながら、フォトゲートの光電変換効率は、長波長の光に対しては低いことが知られており、このため上記した光電変換部にフォトゲート構造を採用した固体撮像素子では、各種用途への応用に大きな障害あるという新たな問題点を招来するものであった。
【0009】

このため、本願発明者は、従来の技術の有する上記したような種々の問題点に鑑み、特願2007−181696(出願日:平成19年7月11日)として、光飛行時間計測法などに用いる電子を分配して電荷蓄積を行う電荷振り分け方式の固体撮像素子の画素構造において、電子を分配するためのゲートの閾値電圧のバラツキによる電子の分配の偏りを排除し、かつ、長波長に感度を有するフォトダイオードを光電変換素子として用いることができるようにした固体撮像素子の画素構造に係る発明を提案した。
【0010】
この本願発明者が特願2007−181696により提案した発明は、電子を分配するためのゲートを多段に構成することにより電子の振り分け性能を向上させ、光飛行時間計測法などに用いる固体撮像素子の画素として利用することができるようにしたものであり、より詳細には、閾値のバラツキが光電変換部で発生した電子の分配に影響することが問題となる複数の電荷蓄積部に隣接するゲートの構造を変更することによって、閾値のバラツキが電子の振り分け能力に影響を及ぼさないようにしたものである。
【0011】
即ち、本願発明者が特願2007−181696により提案した発明は、フォトダイオードの読み出し制御を行う前段のゲートと、この前段のゲートの後段に位置して電荷蓄積部へ電子を分配する制御を行う後段のゲートとを設け、前段のゲートにより電荷蓄積部へ電子を分配する制御を行う後段のゲートが持つ閾値バラツキを越えるポテンシャルの差を与えることで、電子の分配を行う後段のゲートの閾値バラツキが、電荷蓄積部への電子の分配に影響を及ぼさないようにしたものである。
【0012】

ここで、図1(a)には、特願2007−181696により提案した発明の第2の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図が示されており、また、図1(b)には、図1(a)のB−B線による原理的な断面構造を模式的に表した断面構造説明図が示されている。
【0013】

この図1(a)(b)に示す特願2007−181696により提案した発明の第2の実施の形態による固体撮像素子の画素構造30と従来の固体撮像素子の画素構造とを比較すると、この画素構造30は、光を受光して光電変換により電子を発生するフォトダイオード(PD)13の読み出し制御を行う第1段目のゲート(前段のゲート)である読み出しゲートたる転送ゲート(TG)14と、転送ゲート14(以下、「読み出しゲート14」と称することとする。)の後段に位置して電荷蓄積部(FD)(画素構造30においては、電荷蓄積部として第1電荷蓄積部(FD1)17と第2電荷蓄積部(FD2)18との2個の電荷蓄積部が設けられている。)へ電子を分配する制御を行う第3段目のゲート(後段のゲート)たる分配ゲート(DG)(画素構造30においては、分配ゲートとして第1分配ゲート(DG1)15と第2分配ゲート(DG2)16との2個の分配ゲートが設けられている。)とが隣接して配設されているとともに、第1段目のゲートたる読み出しゲート14と第3段目のゲートたる第1分配ゲート15および第2分配ゲート16との間に中間のゲートとして、第2段目のゲートである移動ゲートたる副転送ゲート(SG)31が配設されている点において、従来の画素構造と異なっている。
【0014】
即ち、画素構造30において広い面積を占めるフォトダイオード13と第1段目のゲートたる読み出しゲート14とは隣接して配置され、第2段目のゲートである副転送ゲート31(以下、「移動ゲート31」と称することとする。)を挟んで読み出しゲート14に隣接して複数個(この実施の形態においては2個である。)の第3段目のゲートである第1分配ゲート15および第2分配ゲート16が隣接して配置され、第1分配ゲート15および第2分配ゲート16にそれぞれ隣接して各分配ゲートに対応する複数個(この実施の形態においては分配ゲートが2個であるので2個となる。)の第1電荷蓄積部17および第2電荷蓄積部18が配置されている。
【0015】
ここで、読み出しゲート14とそれに隣接した移動ゲート31との隙間g2と、移動ゲート31とそれに隣接した複数個の分配ゲート(第1分配ゲート(DG1)15および第2分配ゲート(DG2))との間のそれぞれの隙間g3とは、それぞれ小さいほど良いものであり、例えば、これらのゲートが同層のポリシリコン層に形成されるゲートである場合には、隙間g2ならびに隙間g3は製造ルールで制約される最小値、例えば、0.2〜0.3μm程度とすることが好ましい。
【0016】
一方、これらのゲートが異なるポリシリコン層に形成されるゲートである場合には、異なるポリシリコン層間の界面による最小隙間は隙間g2ならびに隙間g3の条件を自動的に満足する。このため、読み出しゲート14と移動ゲート31とが若干オーバーラップする領域を有するように構成するとともに、移動ゲート31と第1分配ゲート15および第2分配ゲート16とが若干オーバーラップする領域を有するように構成することができる。
【0017】
また、上記したフォトダイオード13、読み出しゲート14、移動ゲート31、第1分配ゲート15、第2分配ゲート16、第1電荷蓄積部17および第2電荷蓄積部18の各要素の周囲は、分離溝(STI)12により基板(SUB)11から分離されている。
【0018】

次に、図1(b)を参照しながら、基板11としてP型半導体基板を用いて、このP型半導体基板よりなる基板11上に、上記した画素構造30の固体撮像素子を構成する場合について説明する。
【0019】
即ち、この場合には、フォトダイード13は低濃度のN型不純物のドープにより形成されるが、イオン打ち込み深さを厚めにすることで、長波長側の感度を拡張するように形成する。
【0020】
また、第1電荷蓄積部17および第2電荷蓄積部18は、高濃度のN型不純物のドープで形成するドレインである。
【0021】
ここで、一般的に、これらのN型不純物のドープは、基板11上にシリコン酸化膜(SOX)19とポリシリコンの読み出しゲート14、移動ゲート31、第1分配ゲート15および第2分配ゲート16とを形成後にイオン注入する、所謂、セルフ・アライン法にて形成することができる。
【0022】
このとき、読み出しゲート14と移動ゲート31と第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とのそれぞれの間の隙間がそれぞれN型不純物でドープされないように、当該隙間をマスクする必要がある。
【0023】
その結果として、読み出しゲート14と移動ゲート31と第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とのそれぞれの間の隙間は、P型半導体基板そのままの状態、すなわち、ネイティブチャンネルとなるように形成されることになる。
【0024】
ここで、読み出しゲート14と移動ゲート31と第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とのそれぞれの間の隙間をネイティブチャンネルにする理由は、以下の通りである。
【0025】
即ち、画素構造30においては、各ゲート間の隙間のポテンシャルが隣接するゲートに印加された電圧で制御され、連続なポテンシャルのチャンネルが形成される必要があるが、その最も簡単な方法がネイティブチャンネルにすることだからである。しかしながら、各ゲート間の隙間のポテンシャルが隣接するゲートに印加された電圧で制御され、連続なポテンシャルのチャンネルが形成されるのであれば、各ゲート間の隙間に適切な不純物がドープされるようにしてもよいことは勿論である。
【0026】

なお、フォトダイオード13、読み出しゲート14、移動ゲート31、第1分配ゲート15、第2分配ゲート16、第1電荷蓄積部17および第2電荷蓄積部18の各要素は、図1(a)(b)を参照しながら上記において説明したように、一般にはP型半導体基板に形成されるものであるが、P型半導体基板に限られるものではなく、P型不純物を中濃度ドープして形成したPウェル(PW)上に形成するようにしてもよいことは勿論である。
【0027】
また、基板11としてN型半導体基板を用いるとともに、上記において説明した各要素のP型とN型とを全て反転し、N型半導体基板上に各要素を形成するようにしてもよいことは勿論であり、また、同様に、各要素をNウェル上に形成するようにしてもよいことは勿論である。
【0028】

なお、固体撮像素子の大きさは目的や用途に応じて適宜の大きさを任意に選択することができるものであるが、画素30全体の大きさは、1辺の長さLが10μm乃至75μm程度の正方形、即ち、10μm角程度乃至75μm角程度が実用的である。
【0029】
また、各ゲートのゲート長は、基板不純物濃度と酸化膜厚、印加電圧によるチャンネル形成の適合性から最適化すべきであるが、例えば、05μm〜1.5μm程度が妥当である。
【0030】

次に、図2(a)(b)(c)(d)を参照しながら、半導体中のポテンシャルならびにフォトダイオード13で発生した電子の移動について説明する。
【0031】
この図2(a)(b)(c)(d)は、読み出しゲート14と移動ゲート31と第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とに電圧を印加したときの半導体中のポテンシャルを図1(b)に示す断面説明図における各要素に対応させて模式的に表した説明図である。
【0032】
なお、図2(a)(b)(c)(d)におけるポテンシャルの直上に図示された四角形の図形は、「TG」が読み出しゲート14を示し、また、「SG」が移動ゲート31を示し、また、「DG」が分配ゲート(第1分配ゲート15または第2分配ゲート16のいずれか一方を意味する。)を示し、当該四角形が白抜きの状態は基板電位Vssに近い電位を与えていることを示し、一方、当該四角形が黒で塗りつぶされた状態は正の電位が印加されていることを示している。
【0033】

上記した画素構造30による第1段目のゲートである読み出しゲート14と第3段目のゲートである分配ゲート(第1分配ゲート15および第2分配ゲート)との間に第2段目のゲートである移動ゲート31を設けた3段ゲート構造では、読み出しゲート14には基板電位Vssに近い電圧か電圧Vtgが印加され、移動ゲート31には基板電位Vssに近い電圧か電源電圧Vddが印加され、分配ゲート(DG)(第1分配ゲート15または第2分配ゲート16)には基板電位Vssに近い電圧か電圧Vdgが印加される。
【0034】
これら電圧Vtgと電圧Vdgとについては、以下に説明するように最適化することが好ましい。
【0035】
即ち、電圧Vtgは電源電圧Vddに対してポテンシャル傾斜が十分にできる電圧が望ましいので、電源電圧Vddの1/2程度が良い。また、電圧Vdgは電源電圧Vddと電圧差が蓄積可能な電子数に比例するので、基板電位Vssに近いことが望ましいが、電子移動時のポテンシャル傾斜についても考慮すべきなので、電源電圧Vddの1/3程度が望ましい。
【0036】
具体的には、例えば、電源電圧Vddが3.3Vのときには、電圧Vtgが1.8Vであり、電圧Vdgが1.0Vであるように設定することが好ましい。
【0037】

ここで、図2(a)(b)(c)(d)は、図2(a)と図2(b)と図2(c)と図2(d)とにそれぞれ示す4つの状態で電子を移動する手法をポテンシャルで示すものである。
【0038】
なお、この4つの状態とは、以下に説明するように、図2(a)に示す基本状態(電子の蓄積の状態)、図2(b)に示す電子の転送の状態、図2(c)に示すポテンシャルの谷間を分離する状態および図2(d)に示す電子の再転送の状態である。
【0039】
即ち、基本状態は、読み出しゲート14、移動ゲート31、分配ゲートに基板電位Vssに近い電位を与え、フォトダイオード13を電圧Vtgにリセットし、電荷蓄積部を電源電圧Vddにリセットした状態たる電子の蓄積状態である。図2(a)は、この基本状態を示している(電子の蓄積の状態)。
【0040】
この図2(a)に示す基本状態で光に露光すると、フォトダイオード13に光電子が蓄積され、フォトダイオード13のポテンシャルは僅かに上昇する。
【0041】
次に、読み出しゲート14に電圧Vtgを印加し、移動ゲート31に電源電圧Vddを印加すると、読み出しゲート14と移動ゲート31との直下のポテンシャルは押し下げられ、図2(b)に示すように電子は移動ゲート31の直下にできたポテンシャルの谷間に移動する(電子の転送の状態)。
【0042】
次に、読み出しゲート14に基板電位Vssに近い電位を与えて電圧を戻し、移動ゲート31には電源電圧Vddを印加したままにして、分配ゲートに電圧Vdgを印加すると、図2(c)に示すように読み出しゲート14の直下にポテンシャルの壁ができて、フォトダイオード13と移動ゲート31の直下にできたポテンシャルの谷間とが分離される(ポテンシャルの谷間を分離する状態)。なお、この時点では、電子は移動ゲート31の直下のポテンシャルの谷から出ることはできない。
【0043】
次に、分配ゲートに電圧Vdgを印加し続け、移動ゲート31に基板電位Vssに近い電位を与えて電圧を戻すと、図2(d)に示すように移動ゲート31の直下のポテンシャルの谷が消失するので、当該谷間に存在した電子はポテンシャルの低い分配ゲート側のチャンネルに移動し、分配ゲート(DG)直下のチャンネルに移動した電子は、留まることなくよりポテンシャルの低い電荷蓄積部へさらに移動し、電荷蓄積部に蓄積される(電子の再転送の状態)。
【0044】
以上において説明したように、3段のゲートを備えた画素構造30によれば、電子が完全にフォトダイオード13から電荷蓄積部へ転送できるものである。
【0045】

ところで、本願発明者は、上記した3段のゲート構造を持つ画素構造30を備え、電子の分配を行う後段のゲートの閾値バラツキが電荷蓄積部への電子の分配に影響を与えないように工夫した画素構造の固体撮像素子を試作して各種の実験を行い、その効果を確認した。
【0046】
その結果、上記した画素構造30は、バラツキを抑制する効果を有するものであることが確認できた。
【0047】
その一方で、上記した画素構造30には、電荷振り分けの高速化において未だ解決すべき課題が残されていることも同時に確認された。その課題とは、具体的には、以下に説明する課題1〜3である。
【0048】
以下、こうした画素構造30の課題1〜3について説明するが、当該課題1〜3の理解を容易にするために、画素構造30におけるポリシリコン領域(図3において実線で示す領域である。)と活性領域(図3において破線で示す領域である。)とを区分して模式的に表す図3に示す原理的な平面構造説明図(図3に示す平面構造説明図は、図1(a)に対応する平面構造説明図である。)と、画素構造30におけるN型またはP型の領域を模式的により詳細に表す図4に示す原理的な断面構造説明図(図4に示す断面構造説明図は、図1(b)に対応する断面構造説明図である。)とを参照しながら、画素構造30の動作についてあらためて説明する。
【0049】
なお、図3ならびに図4に示す画素構造において、図1(a)(b)に示す構成と同一あるいは相当する構成については、図1(a)(b)において用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その構成ならびに作用の詳細な説明は適宜に省略するものとする。
【0050】
また、図3ならびに図4における図示は省略するが、図1(a)(b)に示すと同様に、画素構造30のフォトダイオード13以外の部分は金属配線層などで遮蔽され、光は画素構造30のフォトダイオード13にのみ照射される。
【0051】
そして、図2を参照しながら説明したように、読み出しゲート14、移動ゲート31、第1分配ゲート15および第2分配ゲート16の各ゲートには、図5に示すような正の電圧を順番に印加するものとし、その繰り返し周波数は1〜30MHzである。
【0052】

なお、フォトダイオード13は、特開2007−110162号公報に開示されたと同様なピン止め構造により形成することが好ましい。
【0053】
また、図4で示したN型領域とP型領域との境界線などの各領域の境界線は、理解を容易にするために模式的に表現したものであって、実際には半導体プロセスに依存した不純物濃度の分布がある。
【0054】

ここで、各領域における不純物のドープ濃度については、「P−」の領域(P型不純物低濃度ドープ領域)よりなる基板(エピ層)の不純物濃度に対して、「PW」の領域(P型不純物中濃度ドープ領域)はP−領域よりなる基板より1桁程度不純物濃度を濃く、また、「N−」の領域(N型不純物低濃度ドープ領域)はPW領域よりも1桁程度不純物濃度を濃く、また、「N+」の領域(N型不純物高濃度ドープ領域)はN−の領域よりも1桁以上不純物濃度を濃く設定することが好ましい。なお、注入するイオン種は、適宜に選択すればよい。
【0055】

また、レイアウトや各層の厚みの大きさ(サイズ)の範囲は、以下の通りであることが好ましい(図3および図4を参照する。)。
【0056】
即ち、平面視におけるレイアウトのサイズは、

寸法a:3〜10.5μm
寸法b:3〜10.5μm
寸法c:2.4〜8.4μm
寸法d:0.7〜1.8μm
寸法e:0.5〜1.5μm
寸法f:0.5〜1.5μm
寸法g:1〜1.5μm
寸法h:1〜1.5μm
寸法i:1〜1.5μm
隙間g2:0.2〜0.3μm
隙間g3:0.2〜0.3μm
隙間g4:0.2〜0.3μm
隙間g5:0.2〜0.3μm
隙間g6:0.5〜0.75μm

であることが好ましい。
【0057】
また、各層の厚みは、製造する際に使用するプロセスに依存するが、以下のような厚みが好ましい。
【0058】
即ち、

厚みj(P型基板(エピタキシャル層)):5〜22.5μm
厚みk(Pウェル層):4〜13.5μm
厚みl(フォトダイオード領域):2〜6.8μm
厚みm(電荷蓄積部):0.2〜0.8μm
厚みn(Pウェル層):4〜13.5μm
厚みo(SOX厚み):5〜22.5nm(使用電圧に依存する。)
厚みp(ゲート厚み):0.1〜0.5μm

であることが好ましい。
【0059】

ここで、画素構造30に光が照射されると、その照射された光は、フォトダイオード13のN型不純物低濃度ドープ領域とP型不純物低濃度ドープ領域である基板11との接合部分に広がる空乏層によって電子と正孔に電離する。
【0060】
こうして電離した正孔は基板11に吸収され、また、電子はフォトダイオード13のN型不純物低濃度ドープ領域に蓄積されることになる(図2(a)を参照する。)。
【0061】
そして、ある時間が経過した後に、第1段目のゲートである読み出しゲート14に正の電圧を印加すると、フォトダイオード13のN型不純物低濃度ドープ領域に蓄積された電子は、読み出しゲート14の直下に形成されるチャンネルに移動する。
【0062】
次に、第2段目のゲートである移動ゲート31に正の電圧を印加すると、電子は移動ゲート31の直下に形成されるチャンネルに移動できるようになる(図2(b)を参照する)。
【0063】
それから、短い時間が経過した後に、読み出しゲート14の印加電圧をゼロに戻すと、読み出しゲート14の直下のチャンネルに存在する電子は、電圧が印加されている移動ゲート31の直下のチャンネルかフォトダイオード13へ押し出される。
【0064】
ここで、移動ゲート31のポテンシャルがフォトダイオード13へ電子が戻るポテンシャルより低い場合には、全ての電子は移動ゲート31の直下へ移動する(図2(c)を参照する。)。
【0065】
次に、第3段目のゲートである1対の分配ゲートとしての第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とのうちどちらか1方に正の電圧を印加すると、電子は電圧が印加された第1分配ゲート15または第2分配ゲート16の直下にできるチャンネルに移動する。
【0066】
ここで、移動ゲート31の印加電圧をゼロに戻すと、その直下のチャンネルが消滅し、電子は電圧が印加された第1分配ゲート15または第2分配ゲート16の直下にできるチャンネルに完全に移動する(図2(d)を参照する。)。
【0067】
次に、正の電圧を印加された第1分配ゲート15または第2分配ゲート16の印加電圧をゼロも戻すと、その直下のチャンネルに存在する電子はN型不純物高濃度ドープ領域で形成されている第1電荷蓄積部17または第2電荷蓄積部18に完全に移動し、全ての電子は回収される。
【0068】
ここで、第1分配ゲート15と第2分配ゲートとに交互に電圧を印加することで、これら一連のゲート印加電圧と同期して照射された光によって生じる電子を2つの電荷蓄積部たる第1電荷蓄積部17と第2電荷蓄積部18とに振り分けることができる。
【0069】

図6には、上記した一連の電子移動が模式的に表されている。この図6を参照しながら説明すると、電子はフォトダイオード13を移動し(矢印A参照)、各ゲートに印加される電圧に従って、第1段目のゲートである読み出しゲート14を通過し(矢印B参照)、第2段目のゲートである移動ゲート31を通過する(矢印C参照)。
【0070】
なお、図6において矢印Cは、移動ゲート31の中央よりやや上方に描かれているが、実際に電子が通過する部位は確立的に分布すると予想され、それらのある場合について作画したものである。
【0071】
そして、第3段目のゲートである第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とは、いずれか一方に電圧が印加されるので、第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とへの電圧の印加に応じて、矢印Dまたは矢印Eのような経路でどちらか一方の分配ゲートを通過するものである。
【0072】
なお、上記において説明したように、各ゲート間の隙間g2、g3は、製造工程で許される最接近とする。
【0073】
こうした隙間g2、g3にはゲート印加電圧によるポテンシャルはかからないように見えるが、実際にはゲートの側面効果により若干の電圧が印加され浅いチャンネルが形成されるので電子は移動できる。
【0074】

しかしながら、上記したように、本願発明者が上記した画素構造30を備えた固体撮像素子を試作して各種の実験を行ったところ、以下に説明するような課題1〜3を発見するに至った。
【0075】

(1)課題1について
図6に示す電子移動の模式図を見ると自明なことであるが、フォトダイオード13内の電子移動距離(矢印A参照)は、各ゲートを通過する際の電子の移動距離(矢印B〜E参照)に比べて長い。
【0076】
しかしながら、フォトダイオード13内の電子を吸引する力は、フォトダイオード13の片端たる一方の端部に位置する第1段目のゲートである読み出しゲート14に印加された電圧によって生じるものである。
【0077】
そのため、フォトダイオード13の読み出しゲート14が位置する側と反対側の端部付近で発生した電子が受ける引力は、フォトダイオード13の読み出しゲート14が位置する側付近で発生した電子が受ける引力よりも弱いものになる。
【0078】
ここで、本願発明者の考察によれば、図7(a)に示すように、フォトダイオード13が理想的なフォトダイオードであれば、第1段目のゲートである読み出しゲート14に印加された電圧によって生じる緩やかなポテンシャル勾配に従って、電子は加速され十分に短い時間(例えば、数十ナノ秒である。)で読み出しゲート14直下のチャンネルに到達すると予想される。
【0079】
ところが、本願発明者は、フォトダイオード13の製造上の不均一さの原因により、実際には図7(b)に示すように、第1段目のゲートである読み出しゲート14に印加された電圧によって生じるポテンシャルに凹凸が生じ、フォトダイオード13内に電子がトラップされて残留することがあるものと考察した。
【0080】
そして、こうしてフォトダイオード13内に残留した電子はどの時点で移動するかを予測することができないため、ナノ秒単位の厳密な時間での読み出しが行われない可能性がある。
【0081】
露光時間が電子移動時間に比較して十分に長い(例えば、数ミリ秒である。)一般的なイメージセンサーでは、この残留時間は無視できるほど短いし、残留する電子数は無視できるほど少数である。
【0082】
しかしながら、固体撮像素子を光飛行時間型距離センサとして用いる場合を考慮すると、光飛行時間の検出の際の露光時間は50〜100ナノ秒と短く、しかもその時間で飛来する光によって生じる電子数が数個と極めて少数であることを斟酌すると、フォトダイオード13におけるポテンシャルの凹みによる電子の残留時間と残留電子数は無視できないものとなる。
【0083】
即ち、フォトダイオード13内において残留電子が存在する恐れがあることが、解決すべき課題1である。
【0084】

(2)課題2について
第1段目のゲートである読み出しゲート14直下のチャンネルから移動して、第2段目のゲートである移動ゲート31の直下のチャンネルに存在する電子は、次に電圧が印加される第3段目のゲートである第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とのいずれか一方のゲートの直下へ移動する。
【0085】
このとき、第2段目のゲートである移動ゲート31の中央付近にある電子は、電圧の印加された第3段目のゲート(第1分配ゲート15または第2分配ゲート16)に引きつけられ、正しく分配される。
【0086】
しかしながら、第2段目のゲートである移動ゲート31の図6上における上下方向の端部にある電子、例えば、図6において移動ゲート31の上方側の端部にある符号Fで示す電子は、矢印Dに示すように電子Fに近い側の第3段目のゲートである第1分配ゲート15へ移動する場合と、矢印Eに示すように電子Fから遠い側の第3段目のゲートである第2分配ゲート16へ移動する場合とで、その移動すべき経路が異なっている。
【0087】
ここで、電子Fが矢印Dに示すように近い側の第3段目のゲートである第1分配ゲート15へ移動する際には、第3段目のゲートである第1分配ゲート15に印加された電圧によって生じるポテンシャルによる強い引力を電子Fが受けるので、電子Fは確実に第1分配ゲート15へ移動する。
【0088】
一方、電子Fが矢印Eに示すように遠い側の第3段目のゲートである第2分配ゲート16へ移動しなければならない場合には、電子Fが受ける引力は距離が遠いので弱くなる。
【0089】
このように、電子Fが受ける引力が弱くても、第2段目のゲートである移動ゲート31の直下のチャンネルが理想的に均一な構造であれば、小さなポテンシャル差によって生じる弱い引力に従い移動することが可能となる。
【0090】
しかしながら、実際には上記課題1で述べたように製造上の不均一さによって、第2段目のゲートである移動ゲート31の直下に形成されるチャンネルにポテンシャルの凹凸が存在し、電子は行程に存在するポテンシャルの凹みから抜け出せず、遠い側の分配ゲートへ移動することが難しい場合があることが考えられる。
【0091】
そして、その場合には、第2段目のゲートである移動ゲート31の直下あるいは第2段目のゲートである移動ゲート31と第3段目のゲートである第1分配ゲート15または第2分配ゲート16との隙間に、電子が短時間残留してしまうことになる。
【0092】
このように、電子が第2段目のゲートである移動ゲート31の直下あるいは第2段目のゲートである移動ゲート31と第3段目のゲートである第1分配ゲート15または第2分配ゲート16との隙間に残留している間に、第3段目のゲートである分配ゲート(第1分配ゲート15または第2分配ゲート16)において電圧を印加される分配ゲートが変更され、残留電子に近い側の第3段目のゲートたる分配ゲート(第1分配ゲート15または第2分配ゲート16)に電圧が印加されると、強いポテンシャル勾配によって、残留電子は当該近い側の分配ゲート直下のチャンネルに移動してしまうことになる。
【0093】
即ち、第2段目のゲートである移動ゲート31の直下のチャンネル中のどこに電子が存在しているかということによって、その電子の行き先が決定されてしまい、時間による分配を意図して第3段目のゲートである第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とに交互に電圧を印加しても、第2段目のゲートである移動ゲート31の直下のチャンネル中における電子の存在位置よりも遠い側の分配ゲートを電子が通過しないという現象が起きる恐れがある。
【0094】
即ち、第2段目のゲートである移動ゲート31から第3段目のゲートである分配ゲート(第1分配ゲート15および第2分配ゲート16)への電子転送が不確実になってしまう恐れがあることが、解決すべき課題2である。
【0095】

(3)課題3について
図3および図4で示した固体撮像素子の画素構造30は、複数のマスクを使用した多段階の集積回路プロセスによって製造されるものである。
【0096】
こうした集積回路プロセスによる製造工程においては、マスクそのものの誤差ならびに位置決めの誤差を無くすことはできない。
【0097】
つまり、均質な構造を意図して固体撮像素子の画素構造30を製造したとしても、若干のバラツキや偏りが生じることは許容しなければならない。
【0098】
ここで、上記した第3段目のゲートである第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とに閾値の偏りが生じると、一方の分配ゲートの電子転送効率と他方の分配ゲートの電子転送効率とで差が生じてしまうことになる。
【0099】
また、2つの電荷蓄積部たる第1電荷蓄積部17と第2電荷蓄積部18とに僅かな容量差があると、両者の間で電荷−電圧変換効率に差が生じてしまうことになる。
【0100】
こうした問題は、集積回路における一般的な問題でもあるが、固体撮像素子を光飛行時間型距離センサとして用いる場合などを考慮すると、取り扱う電子数が極めて少ないことに起因して致命的な問題となる。
【0101】
即ち、製造精度(誤差)により電子転送効率などに偏り発生することが、解決すべき課題3である。
【0102】

【特許文献1】特開2005−235893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0103】
本発明は、上記した課題1〜3に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光飛行時間計測法などに用いる電子を分配して電荷蓄積を行う電荷振り分け方式の固体撮像素子の画素構造において、高速動作時での電荷振り分け効率の向上を図るため、上記した課題1〜3を解決することができるようにした固体撮像素子の画素構造を提供しようとするものである。
【0104】
即ち、本発明の目的とするところは、上記した課題1に鑑み、フォトダイオード内における残留電子を低減することができるようにした固体撮像素子の画素構造を提供しようとするものである。
【0105】
また、本発明の目的とするところは、上記した課題2に鑑み、第2段目のゲートである移動ゲートから第3段目のゲートである分配ゲートへの電子の転送を確実に行うことができるようにした固体撮像素子の画素構造を提供しようとするものである。
【0106】
さらに、本発明の目的とするところは、上記した課題3に鑑み、製造精度(誤差)による電子転送効率などの偏りを低減することができるようにした固体撮像素子の画素構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0107】
上記目的を達成するために、本発明は、上記した特願2007−181696において発明の第2の実施の形態として提案した固体撮像素子の画素構造において、さらに構造上の特徴を追加して、高速動作時での電荷振り分け効率の向上を図るようにしたものである。
【0108】
この追加する構造上の特徴は、半導体製造過程に含まれる不純物ドープ濃度の不均一さ、シリコン酸化膜厚みの不均一さ、マスクの微小な偏り、その他の確率的なバラつきを前提としても、高い感度を有し、電子分配が高速、かつ、正確に行えることが特徴であって、本発明は、この構造上の特徴を、集積回路の平面レイアウトを最適化する設計手法として提案するものである。
【0109】

より詳細には、本発明は、フォトダイオードのポテンシャルに第1段目のゲートである読み出しゲート方向に電子が自然に移動するような勾配をつけるようにしたものである。
【0110】
従って、本発明によれば、上記勾配によってフォトダイオードに発生した電子が第1段目のゲートである読み出しゲート方向に自然と移動するようになり、フォトダイオード内における残留電子数を大幅に低減することができ、上記した課題1を解決することができる。
【0111】
また、上記目的を達成するために、本発明は、転送された電子を第3段目のゲートである一対の分配ゲートの境界付近に集中させることで、分配ゲートが効率よく電子を分配動作する条件を整えるようにしたものである。
【0112】
従って、本発明によれば、第3段目のゲートである分配ゲートにおいて偏った分配が起きる可能性を排除することができ、第2段目のゲートである移動ゲートから第3段目のゲートである分配ゲートへの電子転送を確実に行うことができるようになり、上記した課題2を解決することができる。
【0113】
また、上記目的を達成するために、本発明は、第3段目のゲートである一対の分配ゲートの一方から他方へ電子が移動できる可能性を確保し、電圧が印加されずに閉じた分配ゲート側へ電子がトラップされてしまう可能性を排除するようにしたものである。
【0114】
従って、本発明によれば、電圧が印加されずに閉じた分配ゲート側へ電子がトラップされてしまう可能性を排除することができ、第2段目のゲートである移動ゲートから第3段目のゲートである分配ゲートへの電子転送を確実に行うことができるようになり、上記した課題2を解決することができる。
【0115】
また、上記目的を達成するために、本発明は、固体撮像素子の画素構造を構成する各要素を対称的に配置するようにしたものである。
【0116】
従って、本発明によれば、製造精度を担うマスク精度や露光位置精度などバラツキを緩和することができ、製造精度(誤差)による電子転送効率などの偏りを低減することができるようになり、上記した課題3を解決することができる。
【0117】

そして、本発明のうち請求項1に記載の発明は、光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、上記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、上記フォトダイオードと上記電荷蓄積部との間に配置され、上記フォトダイオードで発生された電子の上記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造とを有し、上記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、上記3段のゲートは、上記フォトダイオードに隣接して配置され、上記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、上記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の上記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、上記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、上記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を上記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートとを有し、上記フォトダイオードのポテンシャルに上記第1段のゲート方向へ電子を移動させる勾配を形成したものである。
【0118】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記フォトダイオードは、上記第1段のゲートからの距離に比例して電子が存在しうるポテンシャル井戸を狭めるように形成されたものである。
【0119】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、本発明のうち請求項2に記載の発明において、上記フォトダイオードは、上記第1段のゲート側とは反対側の端部および周辺部の直下の基板不純物ドープ濃度を高め、上記フォトダイオードのポテンシャル井戸を上記フォトダイオードの中央部および上記第1段のゲートの近傍に偏在させるようにしたものである。
【0120】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、上記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、上記フォトダイオードと上記電荷蓄積部との間に配置され、上記フォトダイオードで発生された電子の上記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造とを有し、上記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、上記3段のゲートは、上記フォトダイオードに隣接して配置され、上記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、上記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の上記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、上記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、上記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を上記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートとを有し、上記第2段のゲートは、上記複数の第3段のゲートの境界付近に電子が集中するように移動するようにしたものである。
【0121】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項4に記載の発明において、上記第2段のゲートの端部における直下の基板不純物ドープ濃度を高め、上記第2段のゲートの中央部における直下に電子が集中するようにして、上記複数の第3段のゲートの境界付近に電子が集中するように移動するようにしたものである。
【0122】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、上記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、上記フォトダイオードと上記電荷蓄積部との間に配置され、上記フォトダイオードで発生された電子の上記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造とを有し、上記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、上記3段のゲートは、上記フォトダイオードに隣接して配置され、上記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、上記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の上記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、上記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、上記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を上記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートとを有し、上記複数の第3段のゲートにおける各ゲート間の境界付近に電子が移動できるチャンネルを形成したものである。
【0123】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、本発明のうち請求項6に記載の発明において、上記複数の第3段のゲートにおける各ゲート間の境界直下に基板不純物ドープ濃度の低い領域を設けることにより上記チャンネルを形成したものである。
【0124】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、上記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、上記フォトダイオードと上記電荷蓄積部との間に配置され、上記フォトダイオードで発生された電子の上記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造とを有し、上記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、上記3段のゲートは、上記フォトダイオードに隣接して配置され、上記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、上記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の上記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、上記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、上記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、上記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を上記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートとを有する固体撮像素子の画素構造を基本構成単位とし、上記基本構成単位を複数個用い、上記複数個の基本構成単位を対称配置するとともに、上記複数個の基本構成単位を並列に接続したものである。
【発明の効果】
【0125】
本発明は、以上説明したように構成されているので、光飛行時間計測法などに用いる電子を分配して電荷蓄積を行う電荷振り分け方式の固体撮像素子の画素構造において、上記した課題1〜3を解決することができるようにした固体撮像素子の画素構造を提供することができるという優れた効果を奏する。
【0126】
即ち、本発明は、以上説明したように構成されているので、フォトダイオード内における残留電子を低減した固体撮像素子の画素構造を提供することができるという優れた効果を奏する。
【0127】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、第2段ゲートである移動ゲートから第3段ゲートである分配ゲートへの電子転送を確実に行うことができる固体撮像素子の画素構造を提供することができるという優れた効果を奏する。
【0128】
さらに、本発明は、以上説明したように構成されているので、製造精度(誤差)による電子転送効率などの偏りを低減した固体撮像素子の画素構造を提供することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0129】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による固体撮像素子の画素構造の実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0130】
なお、既に説明した構成と同一あるいは相当する構成については、それぞれ同一の符号を用いて示すことにより、その構成ならびに作用の詳細な説明は適宜に省略するものとする。
【0131】

1.第1の実施の形態(課題1を解決するための実施の形態:フォトダイオードにおける残留電子を低減する手法)
この第1の実施の形態は、フォトダイオードのポテンシャルに第1段目のゲートである読み出しゲート方向に電子が自然に移動するような勾配をつけるようにしたものである。
【0132】
即ち、本願発明者は、図7(b)に示す残留電子の発生するメカニズムから、フォトダイオードのポテンシャルに読み出しゲート方向に電子が自然に移動するような勾配をつければ、フォトダイオード内における残留電子数は大幅に減ることになるものと考察した。
【0133】

ここで、フォトダイオードのポテンシャルに勾配をつける手法としては、例えば、特開平7−240505号公報に開示されたフォトダイオード自体の形状を台形状とする手法や、特開2007−81083号公報に開示されたフォトダイオード自体の形状を三角形状とする手法や、特開2002−231926号公報に開示されたフォトダイオードの不純物濃度に勾配を持たせる手法が知られている。
【0134】
しかしながら、フォトダイオード自体の形状を台形状や三角形状とする手法によれば、一般的な格子状の配列ではフォトダイオードの開口面積のロスが大きくなってしまうという問題点があった。
【0135】
また、フォトダイオードの不純物濃度に勾配を持たせる手法によれば、その製造に特殊なプロセスを必要とするとともに、得られるポテンシャルの勾配は比較的小さいという問題点があった。
【0136】

この第1の実施の形態においては、本願発明者が提案した図1(a)(b)ならびに図3および図4に示す固体撮像素子の画素構造30において、上記した従来の手法とは全く異なる手法により、フォトダイオード13のポテンシャルに勾配をつけるようにしたものである。
【0137】
以下、添付の図面を参照しながら、第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造について詳細に説明するが、図8には、第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した図3に対応する平面構造説明図が示されており、また、図9には、第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な断面構造を模式的に表した図4に対応する断面構造説明図が示されており、また、図10(a)には、第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造におけるフォトダイオードを構成するP型不純物中濃度ドープ領域よりなるPW層の原理的な立体構造を模式的に表した立体構造説明図が示されており、また、図10(b)には、第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造におけるフォトダイオードを構成するN型不純物低濃度ドープ領域よりなるN−層の原理的な立体構造を模式的に表した立体構造説明図が示されており、また、図10(c)には、P−領域よりなる基板上に図10(a)に示すPW層を積層するとともに該PW層上に図10(b)に示すN−層を積層して構成される第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造におけるフォトダイオードの原理的な立体構造を模式的に表した立体構造説明図が示されている。
【0138】

この第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造100は、画素構造30におけるフォトダイオード13に対応するフォトダイオード102の構造が、フォトダイオード13と異なる点において、固体撮像素子の画素構造30とは異なる。
【0139】
ここで、画素構造30のフォトダイオード13は、フォトダイオード13を構成するN型不純物低濃度ドープ領域と当該N型不純物低濃度ドープ領域とPN接合を作る基板11のP型不純物低濃度ドープ領域とは、フォトダイオード13を構成するN型不純物低濃度ドープ領域の全面が基板11のP型不純物低濃度ドープ領域と接合するようにして形成されており、その周囲はやや不純物濃度が高いP型不純物中濃度ドープ領域で隣の画素と隔絶されている(図4を参照する。)。
【0140】
一方、画素構造100におけるフォトダイオード102は、P型不純物低濃度ドープ領域よりなる基板11上にP型不純物中濃度ドープ領域で構成されるとともに平面視において下底が読み出しゲート14側に位置する台形状の空間を備えたPW層102aを形成し(図10(a)を参照する。)、PW層102aの上面にN型不純物低濃度ドープ領域で構成されるとともに平面視において方形状のN−層102b(図10(b)を参照する。)を積層して構成されている(図10(c)を参照する。)。
【0141】
即ち、フォトダイオード102は、フォトダイオード13と比較すると、基板11におけるP型不純物中濃度ドープ領域のレイアウトが異なっている。
【0142】
より詳細には、フォトダイオード102を構成するN型不純物低濃度ドープ領域のN−層102bは、平面視において方形であるが、N型不純物低濃度ドープ領域のN−層102bとPN接合を作るN−層102bの直下の基板11のP型不純物低濃度ドープ領域の形状は、下底が読み出しゲート14側に位置する台形状となる。
【0143】
図8における薄墨色領域はP型不純物中濃度ドープ領域(PW領域)を示し、平面視においてN−層102bの直下に位置するPW層102aの位置を示している。
【0144】
なお、平面視におけるレイアウトのサイズとして、

寸法q:0.5〜3μm

であることが好ましい。
【0145】
また、上記したように、PW層102aを構成するP型不純物中濃度ドープ領域は、P型不純物濃度が、基板11を構成するP型不純物低濃度ドープ領域に比べて1桁程度濃く形成されている。
【0146】

従って、フォトダイオード102においては、PW層102aでは空乏層は浅く、PW層102a以外の領域ではP型不純物低濃度ドープ領域により空乏層が深く広がって形成されることになる。
【0147】
なお、PW層102aまで到達した光子が発生した電子正孔対は、ある確率で再結合してしまうが、PW層102aとP型不純物低濃度ドープ領域との境界は、半導体のアニーリング工程を経ることにより実際には図示するほど明確ではなく、P型不純物濃度に若干の勾配があるので全てが再結合することはなく、電子はよりP型不純物濃度の低い方向へ引き寄せられ、空乏層に到達することになる。
【0148】
これら移動した電子とPW層102aの境界より内側のPN接合の空乏層で発生した電子は、P型領域から離れてN型領域へ移動するが、電子は基板11上のP型不純物濃度の高いPW層102aの部分の直上を避けるように移動する。
【0149】
その結果、電子はフォトダイオード102の周辺部から中央へ、そして読み出しゲート14の近くへ移動する。
【0150】
従って、フォトダイオード102のN−層102bは平面視において方形状であるが、電子は図11(a)において符号αで示す網かけ領域に集中することになる。
【0151】
そして、読み出しゲート14の近傍では読み出しゲート14に電圧を印加して直下にチャンネルが形成されるとフォトダイオード102内にポテンシャルの勾配ができるので、電子は非常に短い時間(例えば、数十ナノ秒である。)で読み出しゲート14の直下のチャンネルに回収される。即ち、電子は、図11(b)において符号βで示す網かけ領域に集中することになる。
【0152】

以上において説明したように、画素構造100によれば、フォトダイオード102の構造が、第1段目のゲートである読み出しゲート14からの距離に比例して電子が存在しうるポテンシャル井戸を狭め、これによりポテンシャルに第1段目のゲートである読み出しゲート14方向に電子が自然に移動するような勾配がつけられることとなり、電子はフォトダイオード102の周辺部から中央へ、そして読み出しゲート14の近くへと自然と移動するようになり、フォトダイオード102内における残留電子数を大幅に低減することができるようになる。
【0153】

ここで、フォトダイオード102の製造方法について説明すると、一般的にCMOSプロセスでは、基板下地のイオンドープ、酸化膜形成、ポリシリコンのゲート形成、高濃度イオン打ち込みによるソース・ドレイン形成の順番で素子を形成する。
【0154】
本発明によるフォトダイオード102は、上記したその一般的なプロセスでフォトダイオードの構造を形成することができる。
【0155】
ところで、実際の半導体プロセスでは多段階の複雑な工程を経るため、フォトダイオード102の製造するには、多くのマスクを作成する必要があるが、ここでは主要な2つのマスクと構造のみをについて説明する。
【0156】
即ち、エピタキシャル層の形成された基板11にフォトダイオード102のPW層102aを形成するためのマスク104(図12(a)を参照する。)によって、P型イオンを深く、例えば、6μm以上打ち込む。
【0157】
その結果、立体的に台形の外側を囲うようなPW層102a(図10(a)を参照する。)の構造が形成される。
【0158】
実際には、アニーリングの拡散によって境界のイオン濃度はそれなりの勾配をもち、図示するようなはっきりした境界ではないものであるが、そのにじみはなんら本発明に不利な点を与えない。
【0159】
そして、半導体プロセスのいくつかステップを経て、シリコン酸化膜、ポリシリコンゲートが形成された後に、フォトダイオード102のN−層102bを形成するためN型のイオン注入を行う。
【0160】
そのときに使うマスク106は、図12(b)に示したような形状を備えているである。ここで、図12(b)におけるマスク106の右端は、実際にはポリシリコンゲートのセルフアラインである。
【0161】
また、イオン注入は、例えば、2〜4.5μmの深さを狙うものであり、注入するN型イオン濃度はPW層102aのイオン濃度より1桁程度高いので、注入後のフォトダイオード102は図10(c)に示したような立体構造となる。
【0162】
即ち、台形を切り取ったようなPW層102aの上に、方形のN−層102bを重ねたような形状が構築される。
【0163】

2.第2の実施の形態および第3の実施の形態(課題2を解決するための実施の形態:分配ゲートへの電子転送が不確実になってしまうことを改善する手法)
この第2の実施の形態は、転送された電子を第3段目のゲートである一対の分配ゲートの境界付近に集中させることで、分配ゲートが効率よく電子を分配動作する条件を整えるようにしたものである。
【0164】
また、第3の実施の形態は、第3段目のゲートである一対の分配ゲートの一方から他方へ電子が移動できる可能性を確保し、閉じた分配ゲート側へ電子がトラップされてしまう可能性を排除するようにしたものである。
【0165】
即ち、分配ゲートへの電子転送が不確実になってしまうことの改善には、2つの手法が効果的である。
【0166】
この2つの手法のうちの一方が、第2の実施の形態として示す手法であり、転送された電子を分配ゲートの境界付近に集中させることで、分配ゲートが効率よく電子を分配動作する条件を整え、偏った分配が起きる可能性を排除するというものである。
【0167】
また、この2つの手法のうちの他方が、第3の実施の形態として示す手法であり、複数の分配ゲートの一方から他方へ電子が移動できる可能性を確保し、閉じたゲート側へ電子がトラップされてしまう可能性を排除するというものである。
【0168】

図13(a)には、第2の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図が示されている。
【0169】
即ち、第2の実施の形態による固体撮像素子の画素構造200は、移動ゲート31の直下における図13上の上下方向の両端部に、基板11を構成するP型不純物低濃度ドープ領域に比べてP型不純物濃度を1桁程度高くしたP型不純物中濃度ドープ領域よりなるPW層202a、202bを形成している点において、第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造100と異なる。これらPW層202a、202bは、平面視において方形状を備えている。
【0170】

ここで、ゲート直下のP型不純物濃度が高いとゲート閾値は高く、P型不純物濃度が低いとゲート閾値は低いことが知られている。
【0171】
一般的に、P型不純物濃度の低い基板のエピタキシャル層に直接配置したNチャンネルゲートの閾値は、ほとんどゼロあるいは若干のデプレッションとなり、P型不純物濃度がエピタキシャル層に比べ高いPウェル上のNチャンネルゲートの閾値は、エンハンスメントとなりゲートが開くには正の電圧を必要とする。
【0172】
図13(a)に示すように、ゲート直下でP型不純物濃度が変化する場合において、ゲート中央付近のP型不純物濃度の薄い領域には、電子の通るチャンネルが形成され易く、一方、図13(a)における上下方向の両端のP型不純物濃度の高いPW層202a、202bには、電子の通るチャンネルが形成され難い。
【0173】
従って、読み出しゲート14と移動ゲート31に電圧を印加すると、各ゲート直下にできるチャンネルに電子は広がるが、PW層202a、202bはゲート閾値が高いので、電子は中央部分に集中する。即ち、電子は、図13(a)において符号γで示す網かけ領域に集中することになる。
【0174】
次に、読み出しゲート14の電圧を戻すと、読み出しゲート14直下のチャンネルが消失するので、電子は押し出されて移動ゲート31の中央の直下に移動する。即ち、電子は、図13(b)において符号δで示す網かけ領域に集中することになる。
【0175】
ここで、課題2は、電子が移動ゲート31の端付近から反対側へ移動するときに問題となる現象なので、移動ゲート31の直下における図13上の上下方向の両端部にPW層202a、202bを形成し、電子を移動ゲート31の中央付近、即ち、第3段目のゲートである第1分配ゲート15と第2分配ゲート16との境界ε付近に集中させることにより解決することができる。
【0176】

即ち、画素構造200によれば、転送された電子を第3段目のゲートである一対の分配ゲートたる第1分配ゲート15と第2分配ゲート16との境界ε付近に集中させることができ、これにより一対の分配ゲートである第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とが効率よく電子を分配動作する条件を整えることができる。
【0177】
つまり、画素構造200によれば、第3段目のゲートである一対の分配ゲートたる第1分配ゲート15と第2分配ゲート16とにおいて偏った分配が起きる可能性を排除することができ、第2段目のゲートである移動ゲート31から第3段目のゲートである一対の分配ゲートへの電子転送を確実に行うことができるようになる。
【0178】

次に、図14(a)には、第3の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図が示されている。
【0179】
即ち、第3の実施の形態による固体撮像素子の画素構造300は、第3段目のゲートである一対の分配ゲートたる第1分配ゲート15と第2分配ゲート16との境界εの周辺に狭いチャンネル領域302を形成している(なお、説明は省略したが、第1の実施の形態ならびに第2の実施の形態においても、図示の便宜上チャンネル領域302を形成した状態を図示している。)。
【0180】
なお、平面視におけるレイアウトのサイズとして、

寸法r:寸法fの半分程度、例えば、寸法fの30〜70%
寸法fが0.5〜1.5μmであるならば、0.15〜1.05μm

であることが好ましい。
【0181】

従って、画素構造300においては、第3段目のゲートである一対の分配ゲートたる第1分配ゲート15と第2分配ゲート16との境界εの周辺に狭いチャンネル領域302を設けることにより、移動ゲート31の直下から、電圧を印加した側の分配ゲートに連続で直線的な電子の移動経路ができるようになる。
【0182】
即ち、第2分配ゲート16に電圧を印加した場合には、電子は図14(a)において符号ξで示す網かけ領域に存在するようになり、電子のスムーズな移動経路ができることになる。
【0183】
そして、次の瞬間に移動ゲート31の印加電圧をゼロにすると、電子は移動ゲート31直下のチャンネルから追い出され、第2分配ゲート16の直下へ移動するが、第2電荷蓄積部18のポテンシャルが低い場合は、第2分配ゲート16の直下に留まることなく、第2電荷蓄積部18へ移動して蓄積される。即ち、電子は、図14(b)において符号ηで示す網かけ領域に蓄積されることになる。
【0184】
なお、第1分配ゲート15ならびに第2分配ゲート16の直下の基板11のP型不純物濃度は、第1電荷蓄積部17ならびに第2電荷蓄積部18との分離のため、若干高く設定することが好ましい。
【0185】

即ち、画素構造300においては、第3段目のゲートである一対の分配ゲートたる第1分配ゲート15と第2分配ゲート16との境界εの周辺に狭いチャンネル領域302を形成したため、当該一対の分配ゲートの一方から他方へ電子が移動できる可能性が確保されることになり、電圧が印加されずに閉じた分配ゲート側へ電子がトラップされてしまう可能性を排除することができる。
【0186】
従って、画素構造300によれば、第2段目のゲートである移動ゲート31から第3段目のゲートである一対の分配ゲートたる第1分配ゲート15または第2分配ゲート16への電子転送を確実に行うことができるようになる。
【0187】

3.第4の実施の形態(課題3を解決するための実施の形態:製造精度(誤差)による偏りの改善の手法)
一般に、各種素子の製造精度を担うのはマスク精度、露光位置精度など複雑であるが、対称配置した素子ではバラツキが緩和されることが知られている。
【0188】
この第4の実施の形態は、課題3を解決するために、図15に示すように複数の画素構造を対称に配置して並列接続するようにしたものである。
【0189】
より詳細には、図15に示す第4の実施の形態による固体撮像素子の画素構造400は、上記した画素構造300を基本構成単位とし、基本構成単位を4個用いて構成されたものであり、具体的には、4個の基本構成単位たる4個の画素構造300を対称配置するとともに、それら4個の基本構成単位たる4個の画素構造300を並列に接続したものである。
【0190】
即ち、図15において、図中において同一の数字で示した部位は、金属線(図示せず。)を用いて互いに接続するものとし、都合2対、合計4個の画素構造300が並列に接続されている。
【0191】
このレイアウトでは、平面視において上下左右のどちらも対称となっており、製造精度由来の偏った電子分配が中和されることになる。
【0192】

4.実験結果
図16には、本願発明者による実験結果を示すグラフが表されており、本願発明者は、画素構造30と画素構造400とを用いて比較実験を行った。
【0193】
実験においては、高周波でパルス発光するLEDを光源として用い、当該光源からの光を画素構造30と画素構造400とに照射するようにした。
【0194】
なお、実験にあたっては、0.18μmのCIS向けCMOS(P1−M6)プロセスを使用して、イメージセンサを試作して性能評価した。両者とも1つのフォトダイオードの大きさは、4.5μm角とした。
【0195】

ここで、図16に示すグラフの縦軸は分離度を表し、2つの電荷蓄積部(第1電荷蓄積部17および第2電荷蓄積部18)に電圧印加のタイミングによって分配され蓄積された電子数に比例した電圧出力の差である。なお、100%とは、発光と同期して電圧を印加した分配ゲート(第1分配ゲート15または第2分配ゲート16)の側の電荷蓄積部(第1電荷蓄積部17または第2電荷蓄積部18)に全ての電子が回収され、反対位相で電圧を印加した分配ゲート側の電荷蓄積部には全く電子が蓄積されないことを意味する。
【0196】
一方、図16に示すグラフの横軸は、画素構造30と画素構造400とに照射された光パルスの周波数であり、10KHz〜5MHzの間で測定した。
【0197】
また、図16に示すグラフにおいて、「□」は画素構造30の測定結果を示し、「○」は画素構造400測定結果を示す。
【0198】
図16に示すグラフを参照すると、光パルスの周波数が10KHz〜100KHzでは両者の差は顕著ではないが、それより高周波になると、画素構造30では電子の残留などの影響で分離性能が劣化する。
【0199】
なお、画素構造30においては、約1000個の測定した画素のうち100個以上の画素に30%以上の大きな電子分配の偏りが見られたが、画素構造400では、20%以上の分配偏りがある画素は皆無であり、平均偏差は5%以内に収まっていた。
【0200】

5.変形例
なお、上記した各実施の形態は、以下の(1)〜(3)に説明するように変形してもよい。
【0201】
(1)上記した各実施の形態において、フォトダイオード102のPW層102aの形状は、平面視において下底が読み出しゲート14側に位置する台形状の空間を備えたものとしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0202】
例えば、図17(a)に示す画素構造500のように、フォトダイオード502として境界線を方形状、即ち、階段状に形成したPW層502aを用いてもよい。
【0203】
つまり、上記した各実施の形態においては、PW層102aは平面視において斜め線を用いた台形状となっているが、PW層102aはフォトダイオード102の読み出しゲート14から離れた端部に電子が存在しにくくすれば良いものであるので、その形状が台形状でなくてもよい。
【0204】
従って、PW層502のように境界線を方形状としても、フォトダイオード102の読み出しゲート14から離れた端部の基板11の領域を狭くでき、これによりフォトダイオード102の読み出しゲート14から離れた端部に電子が存在しにくくすることができる。
【0205】
また、上記した各実施の形態において、移動ゲート31の直下におけるPW層202a、202bは平面視において方形状を備えるものとしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0206】
例えば、図17(b)に示す画素構造600のように、移動ゲート31の直下に台形状のPW層604a、604bを設けるようにしてもよい。
【0207】
また、画素構造600は、フォトダイオード602として、境界線を台形状に形成したPW層602aと、読み出しゲート14に向けて絞られる形状を備えたN−層502bとを備えて形成されている。
【0208】
(2)上記した第2の実施の形態においては、上記した第1の実施の形態に係る課題1を解決するための構成を備えた場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、上記した第1の実施の形態に係る課題1を解決するための構成を備えずに、上記した第2の実施の形態に係る課題2を解決するための構成のみを備えるようにしてもよい。
【0209】
同様に、上記した第3の実施の形態においては、上記した第1の実施の形態に係る課題1を解決するための構成や上記した第2の実施の形態に係る課題2を解決するための構成を備えた場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、上記した第1の実施の形態に係る課題1を解決するための構成や上記した第2の実施の形態に係る課題2を解決するための構成を備えずに、上記した第3の実施の形態に係る課題2を解決するための構成のみを備えるようにしてもよいし、上記した第3の実施の形態に係る課題2を解決するための構成とともに、上記した第1の実施の形態に係る課題1を解決するための構成と上記した第2の実施の形態に係る課題2を解決するための構成とのいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0210】
さらに、上記した第4の実施の形態に関しても、上記と同様なことが言え、課題1や課題2を解決するための構成を備えずに、上記した第4の実施の形態に係る課題3を解決するための構成のみを備えるようにしてもよいし、あるいは、課題1や課題2を解決するための構成のうちの任意の構成とともに、上記した第4の実施の形態に係る課題3を解決するための構成を備えるようにしてもよい。
【0211】
即ち、上記した第4の実施の形態においては、画素構造30を基本構成単位とし、基本構成単位たる画素構造30を複数個用いて、複数個の基本構成単位たる複数個の画素構造30を対称配置するとともに、それら複数個の基本構成単位たる複数個の画素構造30を並列に接続してもよい。
【0212】
ところで、上記した第4の実施の形態において、ゲート閾値の偏りが中和されることと、電子が正しく分配されることとは必ずしも一致しない。
【0213】
例えば、第3段目のゲートである分配ゲートのゲート閾値が極端に偏り、電子の分配に偏りある場合には、対称配置の画素構造では反対の偏りが起き、ゲート閾値の偏りが中和されることになる。
【0214】
この中和によって偏りが平均化され、見かけ上の偏りは改善できるが、分離度は劣化してしまう。
【0215】
即ち、上記した課題3を解決するために、上記した第4の実施の形態では4個の画素構造300を対称配置するものであるが、この対称配置で改善されるのは主に電荷蓄積部(第1電荷蓄積部17および第2電荷蓄積部18)の容量を等しくすること、金属配線も対称性よく引き、全体として各ゲート線(特に、分配ゲートである。)に等しいタイミングで、等しい電圧を印加することである。
【0216】
一方、課題3をより効果的に解消するためには、課題1および課題2を解決するための構成を備えるようにして分配性能を向上させ、同時に特願2007−181696において開示したように、分配ゲートの閾値バラツキより大きなポテンシャル勾配をつけて第2段目の移動ゲート31から第3段目の分配ゲートへの転送を確実に行うことが好ましい。
【0217】
つまり、それぞれの課題1、課題2ならびに課題3を解決するためのそれぞれの手法は単独で適用することである程度の効果が期待できるが、互いに干渉することのない範囲で組み合わせて全てを適用することが好ましい。
【0218】
(3)上記においては、本発明の理解を容易にするために、具体的な寸法値などを示したが、これらの数値は一例に過ぎないものであり、設計条件などに応じて適宜に変更してもよいことは勿論である。
【0219】
(4)上記した実施の形態ならびに上記した(1)〜(3)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本発明は、光飛行時間計測による3次元画像取得に用いる固体撮像素子や、変調光源照明による選択的画像撮影に用いる固体撮像素子や、多チャンネル光通信の復調に用いる固体撮像素子や、高速撮影、特に、時間精度がマイクロ秒以下を要求される高速撮影に用いる固体撮像素子などに利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0221】
【図1】図1(a)は、特願2007−181696により提案した発明の第2の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図であり、また、図1(b)は、図1(a)のB−B線による原理的な断面構造を模式的に表した断面構造説明図である。
【図2】図2(a)(b)(c)(d)は、読み出しゲートと移動ゲートと第1分配ゲートと第2分配ゲートとに電圧を印加したときの半導体中のポテンシャルを図1(b)に示す断面説明図における各要素に対応させて模式的に表した説明図である。
【図3】図3は、図1に示す画素構造におけるポリシリコン領域(図3において実線で示す領域である。)と活性領域(図3において破線で示す領域である。)とを区分して模式的に表す原理的な平面構造説明図であり、図1(a)に対応する平面構造説明図である。
【図4】図4は、図1に示す画素構造におけるN型またはP型の領域を模式的により詳細に表す原理的な断面構造説明図であり、図1(b)に対応する断面構造説明図である。
【図5】図5は、各ゲートに印加する電圧を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、電子の移動を表す模式的である。
【図7】図7(a)(b)は、フォトダイオードの残留電子が発生するメカニズムの説明図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した図3に対応する平面構造説明図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な断面構造を模式的に表した図4に対応する断面構造説明図である。
【図10】図10(a)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造におけるフォトダイオードを構成するP型不純物中濃度ドープ領域よりなるPW層の原理的な立体構造を模式的に表した立体構造説明図であり、また、図10(b)は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造におけるフォトダイオードを構成するN型不純物低濃度ドープ領域よりなるN−層の原理的な立体構造を模式的に表した立体構造説明図であり、また、図10(c)は、P−領域よりなる基板上に図10(a)に示すPW層を積層するとともに該PW層上に図10(b)に示すN−層を積層して構成される第1の実施の形態による固体撮像素子の画素構造におけるフォトダイオードの原理的な立体構造を模式的に表した立体構造説明図である。
【図11】図11(a)(b)は、電子の移動の状態を表す模式的である。
【図12】図12(a)は、エピタキシャル層の形成された基板にフォトダイオードのPW層を形成するためのマスクであり、また、図12(b)は、フォトダイオードのN−層を形成するためマスクである。
【図13】図13(a)(b)は、本発明の第2の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図である。
【図14】図14(a)(b)は、本発明の第3の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図である。
【図15】図15は、本発明の第4の実施の形態による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図である。
【図16】図16は、本願発明者による実験結果を示すグラフである。
【図17】図17(a)(b)は、本発明の各実施の形態の変形例による固体撮像素子の画素構造の原理的な平面構造を模式的に表した平面構造説明図である。
【符号の説明】
【0222】
30、100、200、300、400、500、600 固体撮像素子の画素構造
11 基板(SUB)
12 分離溝(STI)
13、102、502、602 フォトダイオード(PD)
14 転送ゲート(読み出しゲート)(TG)
15 第1分配ゲート(DG1)
16 第2分配ゲート(DG2)
17 第1電荷蓄積部(FD1)
18 第2電荷蓄積部(FD2)
19 シリコン酸化膜(SOX)
31 副転送ゲート(移動ゲート)(SG)
102a、502a、602a、202a、202b、604a、604b PW層
102b、602b N−層
104、106 マスク
302 チャンネル領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、
光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、
前記フォトダイオードと前記電荷蓄積部との間に配置され、前記フォトダイオードで発生された電子の前記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造と
を有し、
前記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、
前記3段のゲートは、
前記フォトダイオードに隣接して配置され、前記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、
前記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の前記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、
前記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、前記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を前記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートと
を有し、
前記フォトダイオードのポテンシャルに前記第1段のゲート方向へ電子を移動させる勾配を形成した
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像素子の画素構造において、
前記フォトダイオードは、前記第1段のゲートからの距離に比例して電子が存在しうるポテンシャル井戸を狭めるように形成された
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項3】
請求項2に記載の固体撮像素子の画素構造において、
前記フォトダイオードは、前記第1段のゲート側とは反対側の端部および周辺部の直下の基板不純物ドープ濃度を高め、前記フォトダイオードのポテンシャル井戸を前記フォトダイオードの中央部および前記第1段のゲートの近傍に偏在させる
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項4】
光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、
光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、
前記フォトダイオードと前記電荷蓄積部との間に配置され、前記フォトダイオードで発生された電子の前記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造と
を有し、
前記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、
前記3段のゲートは、
前記フォトダイオードに隣接して配置され、前記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、
前記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の前記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、
前記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、前記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を前記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートと
を有し、
前記第2段のゲートは、前記複数の第3段のゲートの境界付近に電子が集中するように移動する
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項5】
請求項4に記載の固体撮像素子の画素構造において、
前記第2段のゲートの端部における直下の基板不純物ドープ濃度を高め、前記第2段のゲートの中央部における直下に電子が集中するようにして、前記複数の第3段のゲートの境界付近に電子が集中するように移動する
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項6】
光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、
光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、
前記フォトダイオードと前記電荷蓄積部との間に配置され、前記フォトダイオードで発生された電子の前記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造と
を有し、
前記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、
前記3段のゲートは、
前記フォトダイオードに隣接して配置され、前記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、
前記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の前記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、
前記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、前記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を前記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートと
を有し、
前記複数の第3段のゲートにおける各ゲート間の境界付近に電子が移動できるチャンネルを形成した
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項7】
請求項6に記載の固体撮像素子の画素構造において、
前記複数の第3段のゲートにおける各ゲート間の境界直下に基板不純物ドープ濃度の低い領域を設けることにより前記チャンネルを形成した
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。
【請求項8】
光電変換により発生した電子を分配して電荷蓄積を行う固体撮像素子の画素構造において、
光電変換により電子を発生するフォトダイオードと、
前記フォトダイオードで発生された電子を蓄積する複数の電荷蓄積部と、
前記フォトダイオードと前記電荷蓄積部との間に配置され、前記フォトダイオードで発生された電子の前記複数の電荷蓄積部への転送を制御するゲート構造と
を有し、
前記ゲート構造は、3段のゲートよりなり、
前記3段のゲートは、
前記フォトダイオードに隣接して配置され、前記フォトダイオードで発生した電子の読み出しを制御する第1段のゲートと、
前記第1段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記第1段のゲートの読み出し制御により読み出された電子の前記複数の電荷蓄積部への移動を制御する第2段のゲートと、
前記第2段のゲートの後段に所定の間隙を開けて隣接するとともに、前記複数の電荷蓄積部のそれぞれに対応してそれぞれ配置され、前記第2段のゲートの移動制御により移動された電子を前記複数の電荷蓄積部へそれぞれ分配する制御を行う複数の第3段のゲートと
を有する固体撮像素子の画素構造を基本構成単位とし、
前記基本構成単位を複数個用い、前記複数個の基本構成単位を対称配置するとともに、前記複数個の基本構成単位を並列に接続した
ことを特徴とする固体撮像素子の画素構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図16】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−277738(P2009−277738A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125309(P2008−125309)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構半導体アプリケーションチップ開発プロジェクト委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(306033715)ブレインビジョン株式会社 (6)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】