説明

固体撮像素子パッケージ用窓ガラス

【課題】高い耐候性及び耐ソラリゼーション性を備えつつ、高い紫外線透過特性を有し、かつ環境に配慮された固体撮像素子パッケージ用窓ガラスを提供する。
【解決手段】質量%で、SnO 0〜0.1%、Nb 0〜0.2%、(ただし、SnO+Nb 0.001〜0.2%)、Fe 0.0001〜0.005%を含有し、実質的にAs、Sb、PbO、TiO、CeOを含有せず、アルカリ金属酸化物を含む硼珪酸系ガラスからなる固体撮像素子パッケージ用窓ガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子を収納するパッケージの前面に取り付けられ、固体撮像素子を保護すると共に透光窓として使用される固体撮像素子パッケージ用窓ガラスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子は、受光素子であるLSIチップをアルミナセラミックや樹脂からなるパッケージ内に納め、その受光面に色分解モザイクフィルターを重ねてワイヤボンディングし、パッケージ開口部にカバーガラスを接着剤により封着した構造となっている。ここで用いられるカバーガラスは、パッケージとの気密封着によりLSIチップを保護するだけではなく受光面へ効率的に光を導入するため、内部欠陥の少ない光学的に均質な材料特性、高い透過率特性が要求される。また、このような用途に使用されるガラスは、パッケージと封着された時に割れや歪みが発生してはならない。すなわち、ガラスとパッケージ材質との熱膨張係数を適合させる必要がある。
また、CCD等の固体撮像素子は、カバーガラスから放出されるα線により、ソフトエラーを生じるため、ガラスに含有されるα線を放出する放射線同位元素の量の低減が行われている。
【0003】
ところで、固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとしては、上記以外に、経時変質の少ない信頼性の高い材料であることが求められる。具体的には、長期間の使用に際して湿気によりガラス表面に曇りが発生したり、ソラリゼーション現象による透過率の低下が発生することのない高い耐候性および耐ソラリゼーション性が求められる。特許文献1には、ソラリゼーション防止剤として、PbOやTiOを適量添加することで長時間の露光に対して信頼性の高いガラスを得ることができるとされている。その他、Sbもソラリゼーション防止剤として知られている。TiOやSbを含有するガラスとしては、特許文献2や特許文献3に記載のガラスがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−233939号公報
【特許文献2】特開2005−8509号公報
【特許文献3】特開2005−162600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体撮像素子パッケージ用窓ガラスは、固体撮像素子が収納されたパッケージとの気密封着において、硬化時間の短縮を目的として紫外線硬化型の接着剤が使用されるようになってきている。
しかしながら、ガラスにPbOやTiO、Sbを含有すると、これら元素の光吸収特性により紫外線硬化型樹脂を硬化させる際に用いる紫外線がガラスに吸収されるため、固体撮像素子パッケージ用窓ガラスをパッケージに気密封着する際に紫外線硬化型樹脂接着剤の硬化に長時間を要し、固体撮像素子の組み立て工程の能力が低下する問題がある。
一方、ガラスの洗浄工程において、ガラス表面に紫外線照射を行い、紫外線の作用で発生したオゾンから分離した活性酸素の作用で有機汚染物質を揮発性の物質に分解変化させて除去する、いわゆる紫外線洗浄が行われることがある。紫外線洗浄は、短時間に強力なエネルギーの紫外線が照射されるため、ガラスの着色(ソラリゼーション)が促進されるおそれがある。
また、近年の地球環境に対する配慮から、ビデオカメラ等の家電製品を構成する部品に環境負荷物質をできる限り使用しないことが求められており、ガラス部品についても、PbOやAs、Sbを含まない環境に配慮したガラスが求められている。
本発明は、かかる状況に鑑み、高い耐候性および耐ソラリゼーション性を備えつつ、高い紫外線透過特性を有する固体撮像素子パッケージ用窓ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスは、質量%で、SnO 0〜0.1%、Nb 0〜0.2%、(ただし、SnO+Nb 0.001〜0.2%)、Fe 0.0001〜0.005%を含有し、実質的にAs、Sb、PbO、TiO、CeOを含有せず、アルカリ金属酸化物を含む硼珪酸系ガラスからなることを特徴とする。
また、前記硼珪酸系ガラスは、質量%で、SiO 58〜75%、Al 0.5〜15%、B 6〜20%、LiO 0〜7%、NaO 0〜15%、KO 0〜15%(ただし、LiO+NaO+KO 2〜20%)、ZrO 0.01%未満を含有することを特徴とする。
また、前記硼珪酸系ガラスは、実質的に、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOを含有せず、ガラスからのα線放出量が0.002c/cm・h未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスは、SnO、Nbを合量で0.001〜0.2%含有し、実質的にAs、Sb、PbOを含有しないため、環境に配慮しつつ、耐候性に優れたガラスが得られる。また、Fe 0.0001〜0.005%を含有し、実質的にTiO、CeOを含有しないため、これら元素の相互作用による着色を未然に防止でき、よって透過率の高いガラスが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0009】
SnOは、ソラリゼーションを防止する成分であるが、添加することでガラスが紫外線吸収性能を有する。固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとパッケージとの封着が紫外線硬化型樹脂接着剤で行われる場合、ガラスが紫外線吸収性能を有すると、紫外線照射した際に紫外線硬化型樹脂接着剤に到達する紫外線光量がガラスに吸収されることで少なくなり、硬化に長い時間を要することになる。このため、SnO換算で0.1%を超える場合、ガラスの紫外線吸収性能が高く、紫外線硬化型樹脂接着剤の硬化時間が長くなり作業性が著しく悪化するため好ましくない。SnOの含有量は、好ましくは0.002〜0.04%、より好ましくは0.002〜0.015%である。なお、本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスにおいて、Sn成分をSnOの含有量で規定しているが、これはガラス組成として含有するSn(錫)の含有量が、酸化物である酸化第二錫で換算した場合の質量比で表して、所定範囲内にあることを意味している。また、ガラス組成の他の成分についても、同様に記載の酸化物に換算した場合で表している。
【0010】
Nbは、SnOと同様にソラリゼーションを防止する成分であるが、質量%で、0.2%を超えるとガラスが着色し、可視光域の透過率が低下するため好ましくない。
【0011】
ソラリゼーション防止成分であるSnOとNbとの合量は、0.001%未満では十分なソラリゼーション防止効果が得られず好ましくない。SnOとNbの合量は、好ましくは0.002〜0.04%、より好ましくは0.002〜0.015%である。
【0012】
Feは、ソラリゼーションを防止する成分であるが、紫外線を強力に吸収する成分でもあり、質量%で0.005%を超えるとガラスの紫外線吸収量が多くなるため好ましくない。また、0.0001%未満では、ソラリゼーション防止効果が得られず好ましくない。また、Feは、工業設備上完全に排除することが難しい成分であるため、0.0001%未満にすると各種原料純度を非常に高くする必要があり、原料コストが高くなるため好ましくない。好ましい範囲は、0.0003%〜0.002%である。
【0013】
As、Sb、PbOは、従来のガラスにおいては、清澄効果やソラリゼーション防止効果を目的として添加されてきたが、環境負荷物質であるため、本発明のガラスにおいては、実質的に含まないようにすべきである。なお、本発明において、実質的に含有しないとは、意図して添加しないという意味であり、原料等から不可避的に混入し、所期の特性に影響を与えない程度の含有を排除するものではないが、可能な限り排除することが好ましい。
【0014】
TiO、CeOは、ガラス中にFeが存在すると相互作用によりガラスの着色を強めるため、高い透過率特性が求められる固体撮像素子パッケージ用窓ガラスにおいては、実質的に含有しないよう管理する必要がある。固体撮像素子がカメラ内に実装された状態では、外光によるガラスのソラリゼーションの進展は極僅かであるが、前述のように紫外線硬化型樹脂接着剤の使用やガラスを紫外線洗浄する場合、短時間に強力な紫外線が照射され、ガラスの着色が促進される結果となるので、本発明においては、それらの原因物質の共存を避けることでこの問題を解消した。また、TiO、CeOは、強力な紫外線吸収剤であり、ガラスに添加することでガラスが紫外線吸収性能を有することになる。前述のとおり、ガラスの紫外線吸収性能が高いと紫外線硬化型樹脂接着剤の硬化時間が長くなるため、この点からも含有しないことが好ましい。
【0015】
また、本発明の一実施形態は、前記硼珪酸系ガラスが、質量%で、SiO 58〜75%、Al 0.5〜15%、B 6〜20%、LiO 0〜7%、NaO 0〜15%、KO 0〜15%(ただし、LiO+NaO+KO 2〜20%)、ZrO 0.01%未満を含有することを特徴するが、ここで、各成分の含有量を上記のように限定した理由を以下に説明する。
【0016】
SiOは、ガラス骨格を構成する主成分でありガラスの耐久性を向上させる成分であるが、58%未満では化学的耐久性が得られず、75%を超えると溶融性が著しく悪化する。好ましくは、63〜71%である。
【0017】
Alは、ガラスの耐候性を向上させる成分であるが、0.5%未満では化学的耐久性が十分でなく、15%を超えるガラス内に脈理が発生し易くなる傾向がある。好ましくは、1〜15%である。
【0018】
は、溶融性向上および粘度調整の目的で用いられる成分であるが、20%を超えると耐候性が低下する傾向があり、6%未満では溶融性が悪化する傾向がある。好ましくは、10〜19%である。
【0019】
LiO、NaOおよびKOは、融剤として作用し、かつ耐失透性を良くする成分である。しかし、合量が2%未満ではその効果がなく、20%を超えると耐候性が悪くなり、かつ熱膨張係数が大きくなる。各成分の含有量は、質量%で、LiOを0〜7%、NaOを0〜15%、KOを0〜15%とすることが好ましい。それぞれの含有量が各上限値を超える場合には、熱膨張係数が大きくなりすぎたり、耐候性が悪くなる。
【0020】
ZrOは、不純物として放射性同位元素であるUやThを含む物質であり、ガラスからα線放出量を極力少なくするため、0.01%未満好ましくは0.005%未満、より好ましくは0.002%未満に抑えることが望ましい。
【0021】
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO)は、溶融性、耐候性、耐失透性の改善や熱膨張係数の調整に効果のある成分であるが、ガラスに1%でも添加すると、ガラスのα線放出量が大きくばらつくことが確認された。これは、アルカリ土類金属酸化物の原料において、α線放出量に関係するU、Thの含有量はppbオーダーで管理できるものの、同じくα線放出量に関係するRaについては含有量の管理が困難であり、Raによる影響があると推測される。具体的には、アルカリ土類金属酸化物の原料に不純物として混入するRaの含有量はppbより更に下の桁であり、その含有量のRaを精度良く分析することは困難である。そのため、不純物として混入するRa含有量を管理することは実質的に困難であり、それがアルカリ土類金属酸化物をガラス原料に用いた場合のα線放出量のばらつきに影響するものと考えられる。
そのため、本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスにおいては、アルカリ土類金属酸化物を含有する場合は、アルカリ土類金属酸化物の合量で1%未満にすることが好ましく、アルカリ土類金属酸化物を実質的に含有しないことがより好ましい。
【0022】
ZnOは、失透防止や化学的耐久性向上に有効な成分であるが、アルカリ土類金属酸化物と同様にRa含有量を管理することが困難であり、含有することでガラスのα線放出量がばらつく可能性があることから、ZnOを含有する場合は、5%以下にすることが好ましく、ZnOを実質的に含有しないことがより好ましい。
【0023】
前述のように、アルカリ土類金属酸化物とZnOを実質的に含有しないとすることで、ガラスへのRaの混入を抑えることができ、ガラスからのα線放出量を0.0015c/cm・h以下とすることができる。これにより、本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスはガラスからのα線放出量が少なく、このガラスを用いることにより固体撮像素子にエラーが発生する可能性を低くすることができる。
【0024】
その他、固体撮像素子パッケージ用窓ガラスは、泡、異物といった欠点品質について可能な限り少なく・小さく(例えば5μm以下)することが要求される。本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスは、従来のガラスで清澄剤として用いられていたAs、Sbを実質的に含有しないことから、清澄を目的として、硫酸塩や硝酸塩、塩化物、フッ化物を単独もしくは組み合わせて適宜添加することが望ましい。
これら成分は、いずれも分解揮発成分であり排ガスとして揮発するため、ガラス製造上の排ガス処理装置の腐食や処理にかかるコストを考慮した場合、上限を0.5%以下にすることが好ましい。また、泡を効果的に切るために、0.005%以上とすることが好ましい。
【0025】
次に本発明の固体撮像素子パッケージ用窓ガラスの製造方法について説明する。
【0026】
まず、所望の組成の各成分を構成するガラス原料を準備する。本発明で利用するガラス原料は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、フッ化物、塩化物等、いずれの形態の化合物も用いることができる。いずれのガラス原料においても放射性同位元素の含有量が少ない高純度なガラス原料(例えば、Uの含有量が10ppb以下であり、かつThの含有量が15ppb以下)を利用することが好ましい。さらに好ましくは、何れの原料においても、α線放出量が0.1c/cm・h以下である。このようなガラス原料を調合してガラス原料調合物とすると、最終的にUの含有量が10ppb以下であり、Thの含有量が20ppb以下で、さらにα線放出量が0.01c/cm・h以下のガラスを得ることができる。
【0027】
次いで、この原料を所望の組成を有するガラスとなるようにガラス原料の調合を行い、原料を溶融槽に投入する。
溶融槽は、白金、白金合金、耐火物、から選択される容器で行う。本発明において白金、白金合金とは白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)およびそれらの合金からなる群より選択された金属を用いた合金製容器のことであり、高温溶融に耐用できるものである。
また、ガラスのα線放出量を極力少なくするため、α線放出源である放射線同位元素を不純物として多く含有するZrOの混入を防止する観点から、溶融槽にZrO系の耐火物を使用することは避け、アルミナ耐火物(Al 95%以上)や石英系耐火物を用いた溶融設備にすることが好ましく、これによりガラス中に混入する放射性同位元素を抑制し、α線放出量の少ないガラスを得ることができる。
【0028】
溶解槽で溶解されたガラスを下流側に配した脱泡槽や攪拌槽で泡と脈理の除去を行うことにより、ガラス欠点の少ない均質化された高品質のガラスを得ることができる。上述したガラスはノズル等を介して流出させ金型に鋳込成型を行ったり、ロールアウトし板状に引き出して所定の形状に成形する。徐冷したガラスにスライス、研磨加工等を施し、所定の形状のガラスが得られる。
【0029】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0030】
各実施例(表1のNo.1〜No.17)および各比較例(表1のNo.18〜No.21)に用いた試料は、次のようにして作成した。
まず、表1に記載のガラス組成となるようガラス原料を調合し、このガラス原料調合物を白金坩堝を用いてモリブデンシリサイドを発熱体とした電気炉で1550℃の温度下で5時間溶融を行ったのち清澄、攪拌を行った。このガラスを鋳鉄の金型に鋳込み成形し、徐冷を行い、800gのガラス試料(ガラスブロック)を得た。また、このガラスブロックにスライス、研磨加工等を行い、所定形状(25mm×25mm×1mm)のガラスを得た。
【0031】
得られたガラスブロックおよびガラスについて、耐候性(耐ソラリゼーション性)、α線放出量、泡の評価を行った。これらの結果を、表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
耐候性(耐ソラリゼーション性)は、厚さが1mmとなるよう両面光学研磨加工した所定形状(25mm×25mm×1mm)のガラスについて、V−570型紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製)にて透過率を測定した。次に日本光学硝子工業会測定規格JOGIS−04に基づきガラスに紫外線を照射した後、再度ガラスの透過率を測定し、紫外線照射前後の波長400nmにおける透過率変化を比較した。なお、透過率変化(%)=[(紫外線照射前の透過率−紫外線照射後の透過率)/紫外線照射前の透過率]×100が、1%以上の場合を、”変化あり”、1%未満の場合を”変化なし”とした。実施例の各ガラスは、紫外線照射前後の透過率変化が少なく、比較例の各ガラスと比べて、高い耐候性を有していた。なお、比較例(No.21)のガラスは、実施例のガラスと同様に紫外線照射前後の透過率変化が少なかったが、これはSbを含有しているためと考えられる。
【0034】
α線放出量は、ガラスフロー比例計数管を用いて測定した。結果として、実施例のガラスは、いずれもα線放出量が0.01c/cm・h以下であった。また、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO、BaO)およびZnOを実質的に含有しない実施例(No.11、No.15、No.17)の各ガラスは、いずれもα線放出量が0.0015c/cm・h以下であり、α線放出量が非常に低く、固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとして好適な特性を備えている。
【0035】
泡は、ガラスブロックから約300g程度の体積を切り出し両面研磨したものを20倍の実体顕微鏡で測定観察を行い、測定した泡数を1kgあたりに換算した値である。実施例の各ガラスは、従来清澄剤として用いられてきたAsやSbを含有していないものの、Sbを含有している比較例(No.21)と泡数は同等であり、固体撮像素子パッケージ用窓ガラスとして好適な泡品質を備えている。
【0036】
次に、紫外波長領域におけるガラスの透過率を確認するため、実施例No.1および実施例No.4、実施例No.10、比較例No.20の各ガラスについて、肉厚1mmにおける分光透過率を測定した。その結果を表2に示す。これらより、実施例の各ガラスは、254nmにおける透過率が70%以上を示すことから紫外波長領域における透過率が高く、パッケージに対しガラスを紫外線硬化型樹脂接着剤にて固定する場合であっても、照射する紫外線がガラスで吸収されることなく、短い紫外線照射時間でガラスを固定することができる。これに対し、SnOを0.2%含有する比較例20のガラスは、254nmにおける透過率が25%以下であった。これは、SnOの紫外線吸収効果によるものと考えられ、このガラスをパッケージに対し紫外線硬化型樹脂接着剤にて固定する場合には、長い紫外線照射時間を要するものであった。
【0037】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば、高い耐候性および耐ソラリゼーション性を備えつつ、高い紫外線透過特性を有し、かつ環境に配慮された固体撮像素子パッケージ用窓ガラスを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、SnO 0〜0.1%、Nb 0〜0.2%、(ただし、SnO+Nb 0.001〜0.2%)、Fe 0.0001〜0.005%を含有し、実質的にAs、Sb、PbO、TiO、CeOを含有せず、アルカリ金属酸化物を含む硼珪酸系ガラスからなることを特徴とする固体撮像素子パッケージ用窓ガラス。
【請求項2】
前記硼珪酸系ガラスは、質量%で、SiO 58〜75%、Al 0.5〜15%、B 6〜20%、LiO 0〜7%、NaO 0〜15%、KO 0〜15%(ただし、LiO+NaO+KO 2〜20%)、ZrO 0.01%未満を含有することを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子パッケージ用窓ガラス。
【請求項3】
前記硼珪酸系ガラスは、実質的に、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOを含有せず、ガラスからのα線放出量が0.002c/cm・h未満であることを特徴とする請求項1または2記載の固体撮像素子パッケージ用窓ガラス。

【公開番号】特開2010−184816(P2010−184816A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10805(P2009−10805)
【出願日】平成21年1月21日(2009.1.21)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】