固体撮像装置
【課題】本発明は、ROI駆動方式を用いた固体撮像素子において、消費電力を低減させ、撮像部の熱ノイズを低減させて高品質な画像を撮像できる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画素部20と信号読出部21とを備え、該信号読出部が前記画素部の各画素21の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子10と、前記画素部の関心領域R1のみの前記画素信号を前記信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段90と、を有する固体撮像装置において、
前記関心領域読出制御手段は、前記関心領域読出制御を行う際に、前記信号読出部のうち前記関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない非読出領域の電源を遮断する電源遮断制御を行うことを特徴とする。
【解決手段】画素部20と信号読出部21とを備え、該信号読出部が前記画素部の各画素21の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子10と、前記画素部の関心領域R1のみの前記画素信号を前記信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段90と、を有する固体撮像装置において、
前記関心領域読出制御手段は、前記関心領域読出制御を行う際に、前記信号読出部のうち前記関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない非読出領域の電源を遮断する電源遮断制御を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、信号読出部が画素部の各画素の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子と、画素部の関心領域のみの画素信号を信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段と、を有する固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、用途に応じて、撮像面の中から興味又は関心のある領域(関心領域、Region Of Interest、ROI)のみを読み出す関心領域読出駆動方式(以下、「ROI駆動方式」とも呼ぶ。)を採用した固体撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、特許文献1に記載された固体撮像装置の要部構成図である。図11において、フォトダイオード101(101−1−1,101−1−2,〜,101−3−3)の検出信号を増幅する増幅トランジスタ102(102−1−1,102−1−2,〜,102−3−3)、信号を読み出すラインを選択する垂直選択トランジスタ103(103−1−1,103−1−2,〜,103−3−3)、信号電荷をリセットするリセットトランジスタ104(104−1−1,104−1−2,〜,104−3−3)からなる画素がマトリクス状に配列されている。なお、紙面の都合で、画素は3×3=9個しか示していないが、更に多くの画素を備えている。
【0004】
水平方向に配線されている水平走査線(又は水平アドレス線)106(106−1,106−2,106−3)は垂直選択トランジスタ103のゲートに接続され、信号を読み出すラインを定めている。この水平走査線106は信号を読み出すラインを垂直方向に選択することから垂直選択線とも呼ばれる。同様に、水平方向に配線されているリセット線107(7−1,7−2,7−3)は、リセットトランジスタ104のゲートに接続されている。増幅トランジスタ102のソースは列方向に配置された垂直信号線122(122−1,122−2,108−3)に接続され、その一端には負荷トランジスタ109(109−1,109−2,109−3)が設けられている。
【0005】
選択端子125(125−1,125−2,125−3)、126(126−1,126−2,126−3)には、図示しない制御回路から発生される垂直選択パルスおよびリセット選択パルスが個別に入力される。この垂直選択パルスおよびリセット選択パルスの入力により、走査選択トランジスタ123(123−1,123−2,123−3)およびリセット選択トランジスタ124(124−1,124−2,124−3)は個別にオンとなり、これにより対応する水平走査線106−1,106−2,106−3およびリセット線107−1,107−2,107−3が個別に選択される。
【0006】
一方、各垂直信号線122−1,122−2,122−3と水平信号線131との間には、列毎にADC回路132(132−1,132−2,132−3)及び水平選択スイッチ190(119−1,119−2,119−3)が挿入接続されている。また、ADC回路132−1,132−2,132−3には、共通に電源供給ライン150が接続され、電源供給ライン150は、電源160に接続されている。ADC回路は、フォトダイオード101で発生し、増幅トランジスタ102で増幅されたアナログ電荷をカウントしてデジタルデータに変換するA/Dコンバータを構成する回路であり、固体撮像装置の読み出し回路を構成する。ADC回路132−1,132−2,132−3で読み出したデジタルデータは、水平選択スイッチ119−1,119−2,119−3のいずれかがオンとなり、列が選択されることにより、外部に出力される。ROI駆動方式の場合、水平選択スイッチ119−1,119−2,119−3が個別にオンとなって垂直信号線122−1,122−2,122−3に設けられたADC回路132−1,132−2,132−3が個別に選択されることにより、任意の関心領域の読み出し信号を出力することが可能となる。一方、ADC用電源160は、共通に各ADC回路132−1,132−2,132−3に接続されており、各ADC回路132−1,132−2,132−3は常に駆動状態となっている。
【0007】
このように、ROI駆動方式を用いた固体撮像装置においては、シフトレジスタを用いず、水平走査線106用の選択端子125と、リセット線107用の選択端子126と、読み出し用の水平選択スイッチ119を用いることにより、順次読み出しではなく、任意の画素の信号を読み出すことができる。つまり、読み出し領域について所定の制御を行うことにより、所定の関心領域についてのみ画素信号を読み出すことができ、不要な領域を読み出さないので、信号読み出しの高速化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−262187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、読み出し領域を関心領域に限定することはできるが、読出回路においては、読み出し対象となる関心領域を含まない場合であっても回路が動作し続け、電力を消費し続けるという問題があった。また、読出回路が動作し続けると、読出回路全体から熱が発生し、撮像領域に熱ノイズが混入するという問題があった。
【0010】
図12は、従来のROI駆動方式のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子の全体構成を示した図である。図12において、CMOS撮像素子110は、画素部120と信号読出部130とを有し、画素部120は、画素121と、垂直信号線122とを有する。また、信号読出部130は、水平信号線131を含む。なお、図12には図示していないが、信号読出部130は、信号読出回路としてADC回路132を備える。また、垂直選択手段140がCMOS撮像素子110内に設けられ、垂直選択手段140を制御するROI制御回路190と、信号読出部130に電源を供給する電源供給ライン150及びこれに接続された電源回路160が示されている。図12においては、図11で示した構成要素のうち、説明に必要な要素のみを抜き出して同一の参照符号を用いるとともに、全体の制御に必要な構成要素を追加して示している。
【0011】
図12において、信号読出部130には、これに電源を供給するための電源供給ライン150が設けられ、電源160に接続されているが、電源供給ライン150が水平方向に左端から右端まで延在しているので、読み出しを行わない領域があったとしても、信号読出部130内の信号読出回路(ADC回路132)には電源が供給され続け、信号読出部130全体で電力を消費してしまう。よって、上述のように、信号読出部130内に信号読み出しを行わない部分が存在したとしても、信号読出回路は全体が動作し続け、電力を消費し続けるとともに、これにより発生する熱により、画素部120に熱ノイズを発生させてしまうという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、ROI駆動方式を用いた固体撮像素子において、消費電力を低減させ、撮像部の熱ノイズを低減させて高品質な画像を撮像できる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る固体撮像装置は、画素部と信号読出部とを備え、該信号読出部が前記画素部の各画素の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子と、前記画素部の関心領域のみの前記画素信号を前記信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段と、を有する固体撮像装置において、
前記関心領域読出制御手段は、前記関心領域読出制御を行う際に、前記信号読出部のうち前記関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない非読出領域に接続された信号読出部の電源を遮断する電源遮断制御を行うことを特徴とする。
【0014】
また、前記信号読出部に電源を供給する分割された電源供給ラインを有し、
前記電源遮断制御は、前記非読出領域に接続された前記電源供給ラインに前記信号読出部の電源を接続しない制御であってもよい。
【0015】
また、前記信号読出部の電源は、電源回路を含み、
前記電源回路は、前記分割された電源供給ラインに個別又は共通に設けられてもよい。
【0016】
また、前記電源供給ラインは、前記関心領域読出制御が行われる前記関心領域の水平方向の長さに応じて、長さが異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ROI駆動時における消費電力を低減し、熱ノイズによる撮像特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図2A】関心領域が全画面である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図2B】関心領域が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図2C】関心領域が撮像画面の左半分である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図3】本発明の実施例2に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図4A】全画面を関心領域とした場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図4B】関心領域が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図4C】関心領域が撮像画面の1/16である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図5】本発明の実施例3に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図6】本発明の実施例4に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図7】実施例4に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図8】本発明の実施例5に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図9】本発明の実施例6に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図10】本発明の実施例7に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図11】従来の固体撮像装置の要部構成図である。
【図12】従来のROI駆動方式のCMOS撮像素子の全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図1において、実施例1に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン50、51と、電源回路60、61と、スイッチ(又はスイッチ回路)80と、ROI制御回路90とを有する。また、固体撮像素子10は、画素部20と、信号読出部30と、垂直選択手段40とを有する。更に、画素部20は、画素21と、垂直信号線22とを有し、信号読出部30は、信号読出線31を有する。図1において、実施例1に係る固体撮像装置の構成要素は、理解の容易のため、本発明の説明に必要な構成要素のみが示されている。実施例1に係る固体撮像装置は、ROI駆動方式で駆動する撮像装置であるので、必要に応じて、図11において説明した他の構成要素を備えてよい。例えば、信号読出部30は、信号読出回路として、各垂直信号線22毎に図11で説明したADC回路132を備えてよい。ADC回路132が、電源供給ライン50、51に接続される点も図11と同様である。この点は、実施例2以降においても同様とする。
【0021】
固体撮像素子10は、撮像を行う素子であり、主要な構成要素としては、画素部20と、信号読出部30と、垂直選択手段40とを備える。本実施例に係る固体撮像装置においては、XYアドレス方式により、画素部10で生成された画素信号を読み出す型式の固体撮像素子10が用いられる。固体撮像素子10は、XYアドレス方式の固体撮像素子であれば、種々の固体撮像素子10が用いられてよく、例えば、CMOSを用いたCMOS撮像素子であってもよいし、必ずしもCMOSに構成されていないMOSトランジスタを用いたMOS撮像素子であってもよい。
【0022】
画素部20は、撮像を行うために複数の画素21が二次元状に配置された領域であり、受光した光を電気信号に変換する領域である。画素部20は、マトリクス状に配置された複数の画素21と、垂直信号線22とを有する。
【0023】
各画素21は、図11において説明したように、受光した光を電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換素子、電気信号の増幅を行う増幅トランジスタ、垂直選択を行うための垂直選択トランジスタ、リセットを行うためのリセットトランジスタ等を必要に応じて備えてよい。
【0024】
また、画素部20は、画素信号の読み出しを行うための垂直信号線22の他、垂直選択を行うための水平走査線(又は水平アドレス線)、リセットを行うためのリセット線等を必要に応じて備えてよい。
【0025】
画素部20は、要求される解像度に応じて、所定の画素数の画素21を備えてよいが、例えば、有効画素数が水平7680画素、垂直4320画素と、ハイビジョンの16倍の画素数を備えていてもよい。これは、ITU−R BT.1769等で規格化されているUDTV規格、いわゆるスーパーハイビジョン(SHV)規格の画素数である。ハイビジョンは、水平1920画素、垂直1080画素であるが、スーパーハイビジョンでは、水平、垂直ともその4倍ずつの有効画素を有し、全体で16倍の画素数を有するので、撮像により非常に高精細な画像を取得することができる。
【0026】
垂直選択手段40は、水平方向に平行に複数延在し、垂直方向に行をなして配列された水平走査線を選択するための手段であり、ROI制御回路90から供給される電圧パルス又は指令により動作してよい。具体的には、例えば垂直選択手段40は、図11で説明した走査選択トランジスタ123のようなスイッチング素子を備え、ROI制御回路90からの電圧パルスの印加により垂直選択を行うように構成されてもよい。
【0027】
信号読出部30は、垂直信号線22から入力される電気信号を読み出す領域である。信号読出部30は、信号読み出しに必要な信号読出回路(図示せず)を備え、画素信号を読み出す。信号読出回路は、画素21の水平方向の配列に対応して複数設けられ、読み出し対象となる画素に対応する信号読出回路が、画素信号を読み出す。信号読出回路は、読み出しに必要なトランジスタ、ADコンバータ等を備えてよく、例えば、図11で示したADC回路132と同様の回路として構成されてもよい。また、信号読出部30は、読み出しの際には、2重サンプリング動作、AD変換動作、水平走査動作等が必要に応じて行ってよく、最終的に、信号読出線31から読み出し信号を出力する。
【0028】
信号読出線31は、スイッチングにより垂直信号線22及び信号読出回路に接続され、読み出しの対象となった画素信号が出力される配線である。信号読出回路にて読み出された画素信号が、信号読出線31から出力される。
【0029】
なお、固体撮像素子10における信号読み出しの動作は、まず、画素部20の各画素21において画素信号が生成された状態で、垂直選択手段40により、読み出す水平走査線(図1では図示せず、図11参照)が選択される。そして、選択された水平走査線1ラインの総ての画素信号が同時に垂直信号線22に出力される。信号読出部30においては、垂直信号線22から信号読出回路に入力された画素信号に対し、上述のように、適宜2重サンプリング動作、AD変換動作、水平走査動作等が行われ、読み出し信号として信号読出線31から出力する。例えば、このようにして、画素信号の読み出し動作は行われる。
【0030】
電源供給ライン50、51は、信号読出部30の信号読出回路に電源(又は電力)を供給するための電源供給配線である。よって、電源供給ライン50、51は、信号読出部30の内部に、信号読出部30を横断するように水平方向に延在して設けられる。その意味では、電源供給ライン50、51は、固体撮像素子10の一部を構成するが、本実施例及び以後の実施例では、説明の便宜上、電源供給ライン50、51は、固体撮像素子10と分けて、信号読出部30に電源を供給する独立した要素として捉えて説明する。実施例1に係る固体撮像装置においては、電源供給ライン50、51は、固体撮像素子10及び信号読出部30の中央で繋がっておらず、左右2つに分割されている。そして、電源供給ライン50、51は、2つで信号読出部30の水平方向全体をカバーする構成となっている。
【0031】
また、左側の電源供給ライン50は左側の電源回路60に接続され、右側の電源供給ライン51は右側の電源回路61に接続され、左右各々の電源回路60、61から、信号読出部30の左側と右側に個別に電源を供給できる構成となっている。
【0032】
更に、左側の電源供給ライン50と、対応する左側の電源回路60とは直接接続されているが、右側の電源供給ライン51と、対応する右側の電源回路61との間には、スイッチ80が設けられている。これにより、右側の電源供給ライン51に電源を供給するか否かは、スイッチ80のオン・オフにより切り替えることができる。
【0033】
かかる構成により、例えば、関心領域が画素部10の中央よりも左側にのみ存在し、信号読出部30が、中央より左側の画素21の信号のみを読み出せば十分な場合には、信号読出部30の左側にある信号読出回路のみを駆動すべく、信号読出部30の左側にある電源供給ライン50からのみ電源を供給し、右側の電源供給ライン51からは、電源を供給しないようにすることが可能となる。
【0034】
なお、電源供給ライン50、51は、基本的には信号読出部30の中央で分割され、左右の電源供給ライン50、51の長さが同じように分割されるが、用途に応じて、左右の長さが異なるように分割されてもよい。例えば、撮像対象が特定のものに限定されており、左右の長さが異なる分割の方が好ましければ、そのように構成してもよい。
【0035】
電源回路60、61は、所定の電力を生成して電源供給ライン50、51に供給するための回路である。電源回路60、61は、左右2つに分割した電源供給ライン50、51に対応して個別に設けられており、分割した電源供給ライン50、51の各々に電源を供給し易いように構成されている。電源回路60、61は、電源回路60、61に接続された図示しない電源とともに、信号読出部30の電源を構成する。つまり、信号読出部30の電源は、電源回路60、61を含む。なお、以後の実施例においても、信号読出部の電源は電源回路を含み、電源回路に接続されたということは、信号読取部の電源に接続されたことを意味するものとする。
【0036】
スイッチ80は、電源供給ライン51と電源回路61との間に挿入して設けられ、電源供給ライン51と電源回路61との接続と遮断を切り替える手段である。スイッチ80は、オン・オフの切り替えが可能であれば、種々のスイッチ手段を用いることができる。なお、スイッチ80は、ROI制御回路90と接続され、スイッチ80のオン・オフ、つまり接続と遮断は、ROI制御回路90の指令により切り替えられてよい。
【0037】
ROI制御回路90は、関心領域の画素信号のみの読み出しを行う関心領域読出駆動を行う際、読み出し対象となる関心領域の選択及び読み出し駆動の制御と、信号読出部30への電源供給の制御を行うための手段である。つまり、ROI制御回路90は、関心領域読出駆動を行う際、関心領域の画素信号を信号読出部30に行わせる関心領域読出制御と、関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない読出回路への電源供給を遮断する電源遮断制御の双方の制御を行う関連領域読出制御手段として機能する。関心領域読出駆動(以下、「ROI駆動」又は「ROI動作」とも呼ぶ。)においては、関心領域の読み出し動作と、電源を遮断してよい非読出領域はリンクしているため、ROI制御回路90が、関心領域読出制御(以下、「ROI駆動制御」とも呼ぶ。)と電源遮断制御の双方の制御を行う。
【0038】
よって、ROI制御回路90は、垂直選択手段40に接続されるとともに、スイッチ80にも接続され、関心領域読出制御と電源遮断制御の両方が行える構成となっている。
【0039】
なお、ROI制御回路90は、このような制御演算を行えれば、種々の手段により実現されてよく、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてもよい。
【0040】
このように、実施例1に係る固体撮像装置は、ROI駆動の際、信号読出部30の読み出し動作が不要な非読出領域に電源を供給しない制御を行うことにより、消費電力を低減させ、更にこの消費電力の低減により、信号読出部30から発生する熱による画素部10の熱ノイズを低減させることが可能な構成となっている。
【0041】
なお、固体撮像素子10には、電源回路60、61とは異なる電源回路から電源が供給されている。固体撮像素子10については、ROI駆動制御を行うか否かに関係無く、全撮像領域に電源が供給され、全撮像領域で撮像が行われる。この点については、以後の実施例においても同様である。
【0042】
次に、図2A乃至図2Cを用いて、実施例1に係る固体撮像装置の具体的な動作例について説明する。なお、固体撮像素子10の画素部20の画素数は、本実施例及びそれ以降の実施例において、水平7680画素、垂直4320画素の上述のスーパーハイビジョン(SHV)規格である場合を例に挙げて説明する。また、図1と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
また、本実施例に係る固体撮像装置においては、ROI駆動は、垂直方向にのみ関心領域を設定、つまり水平走査線のライン単位で関心領域を設定する場合を例に挙げて説明する。図11においては、水平方向、垂直方向の双方について任意の順序で読み出しを行う構成のROI駆動について説明したが、本実施例においては、垂直方向については垂直選択手段40を用いてROI駆動を行うライン設定を行い、水平方向についてはスイッチ80を用いた電源遮断制御で非読出領域の設定を行う例について説明する。
【0044】
図2Aは、関心領域R1が全画面である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。図2Aにおいて、関心領域R1が撮像画面全体であり、画素部20の総ての画素21が読み出し対象となる場合の動作例が示されている。また、右上の長方形に記載された数字は、関心領域R1の画素数を示しており、水平7680×垂直4320の画素数であることが示されている。
【0045】
図2Aのように、全画面が読み出し対象となる場合、関心領域R1として全ラインが選択されていると考えてもよいし、いわゆるROI駆動が行われていない通常動作の場合と考えてもよい。この場合には、水平7680×垂直4320画素の総てについて信号電荷の読み出しを行うので、ROI制御回路90は、スイッチ80をオンにし、左右2つの電源供給ライン50、51の両方に電源を供給する制御を行う。この場合、信号読み出しの方法は、一般的な順次走査としてもよいし、垂直方向のラインについては、用途に応じた所定の順序で読み出しを行うようにしてもよい。
【0046】
図2Bは、関心領域R2が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。この場合、関心領域R2は、水平3840×垂直2160の画素数の領域となる。水平方向も全画素数の1/2、垂直方向も全ライン数の1/2であるので、関心領域R2の画素数は全体の画素数の1/4となる。具体的な読み出し動作の一例は、以下のようになる。
【0047】
まず、垂直選択手段40は、1ライン目から2160ライン目まで順次水平走査線を選択した後、再び1ライン目から次の撮像画面を読み出す。この状態であれば、信号読出部30の信号読出ライン31からは、水平7680画素×垂直2160ラインの画像(図示せず)が出力される。一般に、ROI駆動又はROI動作を行った場合でも、撮像素子からの画像出力は、水平と垂直の画素数の比率を例えば16:9等に固定することにより、モニタ表示や映像処理が容易となる。よって、ここでは、希望する映像出力の画素数を垂直の2160ラインに合わせ、水平の画素数を3840とする。この場合には、固体撮像素子10の右半分に相当する画素信号は不要となる。
【0048】
そこで、この場合には、ROI制御回路90は、関心領域R2を読み出し対象領域として信号読出部30の左半分の読出回路を動作させるとともに、スイッチ80をオフにし、信号読出部30の右半分の読出回路には電源が供給されないようにする。これにより、必要とする画素数の撮像画像を得たまま、信号読出部30の右半分の電源回路61を遮断することができる。その結果、信号読出部30の右半分の読出回路は動作せず、電力を消費しないので、消費電力の低減を図ることができる、また、信号読出部30の発熱を抑制できるので、画素部20に熱ノイズが発生し難くなり、高品質の画像を得ることができる。
【0049】
図2Cは、関心領域R3が撮像素子の左半分である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。図2Cにおいては、ROI制御回路90によるROI駆動制御については、総ての水平走査線のライン4320本に設定される。よって、ROI駆動制御の動作としては、総てのラインを選択する。一方で、ROI制御回路90は、スイッチ80をオフにする電源遮断制御を行う。これにより、信号読出部30の右半分には電源供給が行われず、画素部20の右半分の画素信号は出力されない。よって、結果的に画素信号の読み出しが行われた関心領域R3は、画面の左半分の領域となり、読み出し出力が得られる有効な画面の画素数は、水平3840×垂直4320となる。この場合にも、信号読出部30の右半分に供給される電源回路61は遮断されているので、固体撮像素子10全体の消費電力を低減させることができる。そして、信号読出部30の発熱による画素部20の熱ノイズを減少させ、高品質な画像を取得することができる。
【0050】
このように、実施例1に係る固体撮像装置によれば、関心領域に応じて、読み出し対象とならない画素を読み出す信号読出部の電源を遮断することにより、消費電力の節減を実現できるとともに、熱ノイズを低減させ、高品質の画像を取得することができる。また、関心領域の設定に際し、水平方向については、複雑な制御を行う必要が無く、電源の遮断のみで関心領域の水平方向の制限(又は非読出領域の設定)を行うことができる。
【実施例2】
【0051】
図3は、本発明の実施例2に係る固体撮像装置の一例を示した図である。実施例2に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン52〜55と、電源回路62〜65と、スイッチ81〜83と、ROI制御回路91を備えるが、固体撮像素子10は、実施例1に係る固体撮像素子10と同様である。よって、固体撮像素子10、画素部20、画素21,垂直信号線22、信号読出部30、信号読出線31及び垂直選択手段40については、実施例1に係る固体撮像装置と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
一方、実施例2に係る固体撮像装置においては、電源供給ライン52〜55が4分割され、それに対応して電源回路62〜65も4つ設けられている点が、実施例1に係る固体撮像装置と異なっている。また、電源供給ライン52〜55及び電源回路62〜65が各々4つに増加したことに伴い、スイッチ81〜83も3つに増加した点でも、実施例1に係る固体撮像装置と異なっている。なお、電源供給ライン52は電源回路62に直接接続され、電源供給ライン53、54、55は、各々スイッチ81、82、83を介して、電源回路63、64、65に接続された構成となっている。ROI制御回路91は、スイッチ81〜83が2つ増加したことに伴い、制御対象及び接続線が2つずつ増加しているが、実行する制御内容は、実施例1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0053】
このように、電源供給ライン52〜55、電源回路62〜65及びスイッチ81〜83を3つ以上とし、細かい領域毎に設置するようにしてもよい。図3においては、画素部20及び対応する信号読出部30への電源供給ライン53〜55が4分割され、各電源供給ライン53〜55が、水平画素数の1/4の領域毎に設けられた構成となっている。かかる構成により、読み出し対象となる関心領域をより細かく設定することができ、多様な用途に応じて必要な関心領域のみを読み出し、読み出しが不要な領域の読み出し動作については電力消費を無くすことができる。
【0054】
次に、図4A乃至図4Cを用いて、実施例2に係る固体撮像装置の動作例について説明する。
【0055】
図4Aは、全画面を関心領域R1とした場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。これは、実施例1の図2Aと同様の関心領域R1の設定を行った場合である。この場合、読み出し対象となる画素数は、水平7680×垂直4320である。ROI制御回路91は、総ての4320本のラインをROI駆動の対象としてROI駆動制御を行うとともに、3個のスイッチ81〜83を総てオンとする制御を行う。これにより、通常動作と同じく、全画面の画素信号が読み出され、出力される。
【0056】
図4Bは、関心領域R2が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。これは、実施例1の図2Bと同様の関心領域R2の設定を行った場合である。この場合、ROI制御回路91は、全体ライン数の半分の2160本のライン数読み出しを選択するとともに、スイッチ81のみをオンにする制御を行う。これにより、画素部20の左側半分に対応する信号読出部30の左側半分には電源供給ライン52、53から電源が供給されるが、右側半分の電源供給ライン54、55には電源が供給されない。これにより、水平方向については左側半分にある画素21の画素信号のみ信号読み出しを行うことになる。そして、最終的な関心領域R2は、画素部20の左上側1/4となり、この領域のみ画素信号を読み出して出力する。信号読出部30の右半分には電源が供給されていないので、消費電力の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【0057】
図4Cは、関心領域R4が撮像画面の1/16である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。この場合、ROI制御回路91は、関心領域R4のライン数を、全体のライン数4320本の1/4である1080本に設定するとともに、スイッチ81〜83を総てオフにする電源遮断制御を行う。これにより、電源回路62と直接接続されている電源供給ライン52にのみ電源が供給され、信号読出部30の左側1/4の範囲のみ信号読出回路に読み出し動作を行わせることができる。これにより、水平方向で読み出す画素数は全体の1/4である1920画素となるので、結局、水平1920×垂直1080の画素数の関心領域R4の画素信号を読み出すことになる。これは、ハイビジョンと同じ画素数であるので、ハイビジョンと同じ撮像画像を得ることができる。関心領域R4をこのようなハイビジョン画面と同じ画素数の設定とすることにより、例えば、受信側がハイビジョンしか対応できない場合には、スーパーハイビジョン対応の固体撮像素子を用いて、ハイビジョンの画像を送信することも可能となる。この場合には、本実施例に係る固体撮像装置の全画面の1/16の関心領域R4の画像を、ハイビジョン対応の受信機でフル画面表示を行うようにすればよい。このように、本実施例に係る固体撮像装置によれば、異なるフォーマットの画像の撮像に対応することでき、より一層用途を拡大させることも可能となる。
【0058】
また、関心領域の設定は、水平方向は1920の4以下の倍数、垂直方向は任意の数の組み合わせで自由に設定できるので、用途に応じて広い自由度で設定することができる。例えば、必要に応じて、水平1920×垂直2160、又は水平1920×垂直4320等の画素数に設定することも可能である。
【0059】
このように、実施例2に係る固体撮像装置によれば、電源供給ライン52〜55をより細かく分割することにより、関心領域の設定の自由度を高めつつ、消費電力の低減と熱ノイズの発生の低減を図ることができる。
【0060】
なお、図3、図4A乃至図4Cにおいては、電源供給ライン52〜55を4つに分割する例について説明したが、用途に応じて、更に細かく分割したり、逆に3つに分割したりすることも可能である。
【実施例3】
【0061】
図5は、本発明の実施例3に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図5において、実施例3に係る固体撮像装置は、実施例2に係る固体撮像装置と同様に、固体撮像素子10と、電源供給ライン52〜55と、ROI制御回路91とを備える。これらの構成要素については、含有される構成要素も含めて、実施例2に係る固体撮像装置と全く同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0062】
実施例3に係る固体撮像装置は、電源回路66が複数ではなく、1つだけ設けられている点で、実施例2に係る固体撮像装置と異なっている。つまり、実施例2に係る固体撮像装置では、4つの電源供給ライン52〜55に個別に対応して4つの電源回路62〜65が設けられていたが、実施例3に係る固体撮像装置においては、4つの電源供給ライン52〜55に共通の1つの電源回路66のみが備えられている点で、実施例2に係る固体撮像装置と異なっている。電源供給ライン52はスイッチを介さず電源回路66に直接接続され、電源供給ライン53〜55は、各々スイッチ81〜83を介して電源回路66に接続されている点は、実施例2と同様である。
【0063】
このように、電源回路66を1つにまとめ、その出力線を電源供給ライン52〜55に並列に接続し、切断動作が必要な電源供給ライン53〜55との間の出力線にスイッチ81〜83を各々設けるように構成してもよい。電気的には、実施例2に係る固体撮像装置と変わる所は無いので、用途に応じて、電源回路66を1つにまとめる実施例3のような構成としてもよい。
【0064】
なお、ROI制御回路91による動作は、実施例2に係る固体撮像装置と全く同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
実施例3に係る固体撮像装置によれば、電源回路をコンパクトに構成しつつ、電力消費の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【実施例4】
【0066】
図6は、本発明の実施例4に係る固体撮像装置の一例を示した図である。実施例4に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源回路62〜65とを有する点で、実施例2に係る固体撮像装置と共通する。固体撮像素子10及びそれに含まれる構成要素と、電源回路62〜65は、実施例2に係る固体撮像素子10と全く同様であるので、各構成要素には実施例2の構成要素と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
図6において、実施例4に係る固体撮像装置は、電源供給ライン52〜55が4つに分割されて設けられている点も、実施例2に係る固体撮像装置と同様であるが、最も左側の電源供給ライン52と電源回路62との間にスイッチ84が設けられた点で、実施例2に係る固体撮像装置と異なっている。つまり、実施例4に係る固体撮像装置においては、総ての電源供給ライン52〜55と電源回路62〜65との間にスイッチ84〜87が設けられている。それに対応し、ROI制御回路92の制御対象も1つ増加したことになるが、制御の基本的な内容は実施例2と同様である。
【0068】
実施例4に係る固体撮像装置においては、最も左側の領域も含めて、画素部20の読み出しを行うか否かを制御することが可能となる。一般的に、撮像装置は撮像対象に対して相対移動可能であるので、関心領域の大きさを定め、最も左側の領域で撮像を行うようにすれば、実施例1〜3の構成で何ら問題は無い。しかしながら、固体撮像装置が固定されていたり、撮像領域の総てについて読み出しの有無の制御を行いたい場合には、総ての電源供給ライン52〜55にスイッチ84〜87を設けるようにしてもよい。
【0069】
図7は、実施例4に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。図7において、関心領域R5は、画素部20の中央領域に設定されている。ROI制御回路92は、全ライン数の1/2の2160本のライン数にROI駆動を設定する。位置的には、関心領域R5に対応させ、中央のラインについて、ROI駆動が設定される。また、ROI制御回路92は、外側の2つのスイッチ84、87をオフとし、中央の2つのスイッチ85、86をオンとする電源遮断制御を行う。これにより、中央の全画面の1/4の画素数の関心領域R5について、画素信号の読み出しを行うことができる。関心領域R5の画素数は、水平3840×垂直2160となる。このように、総ての電源供給ライン52〜55と電源回路62〜65との間にスイッチ84〜87を設け、中央領域や、右側の領域のみを撮像するようにしてもよい。かかる動作が可能となることにより、撮像対象の変化に応じて、光学中心をずらすことなく、ROI駆動制御で撮像ラインを選択し、信号読出部30の未使用部分の電源切断により省電力化及び熱ノイズの影響を低減させることができる。
【実施例5】
【0070】
図8は、本発明の実施例5に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図8において、実施例5に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン52〜55と、スイッチ84〜87と、ROI制御回路92とを有する点で、実施例4に係る固体撮像装置と共通する。なお、これらの構成要素は、内部要素も含めて実施例4に係る固体撮像装置と同様であるので、実施例4と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
実施例5に係る固体撮像装置は、電源回路66が共通して1つだけ設けられている点で、実施例4に係る固体撮像装置と異なっている。かかる構成は、実施例3に係る固体撮像装置と同様である。このように、電源回路66は、分割された複数の電源供給ライン52〜55に対応して個別に設けられる必要は無く、電源供給ライン52〜55に共通に1つだけ設けるようにしてもよい。
【0072】
なお、電源供給ライン52〜55と、電源回路66と、スイッチ84〜87と、ROI制御回路92との関係は、スイッチ84〜87が1つ増加し、ROI制御回路92の制御対象が1つ増加している点を除けば、実施例3の図5に係る固体撮像装置と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0073】
実施例5に係る固体撮像装置によれば、総ての電源供給ライン52〜55に、オン・オフの制御が可能なスイッチ84〜87を設けて、総ての分割領域について読み出しの有無の制御を可能としつつ、電源回路66は共通として、全体としてコンパクトな構成とすることができる。そして、消費電力の低減と、熱ノイズの低減を実現することができる。
【実施例6】
【0074】
図9は、本発明の実施例6に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図9において、実施例6に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン56〜58と、電源回路67〜69と、スイッチ88、89と、ROI制御回路93とを有する。固体撮像素子10は、今までの実施例1〜5と同様の構成を有するので、各構成要素に今までと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0075】
実施例6に係る固体撮像装置は、3つの電力供給ライン56、57、58を備えるが、電力供給ライン56、57が信号読出部30の水平方向の全体の1/4ずつの長さを有しているのに対し、電力供給ライン58は信号読出部30の水平方向の全体の1/2の長さとなっており、各電源供給ライン56、57の2倍の長さとなっている点で異なっている。このように、電源供給ライン56〜58の長さは、総てが同一で等しく分割されている必要は無く、長さが異なっていてもよい。図9において、電源供給ライン56は画素部20の左端1/4の領域、電源供給ライン57は画素部20の中央から左側寄りの1/4の領域、電源供給ライン58は画素部の右側半分の領域をカバーする構成となっている。より詳細には、電源供給ライン56が設置された最も左側の領域は、水平画素数1920に相当する領域であり、電源供給ライン56は、電源回路67に直接接続されている。また、電源供給ライン57が設置された左から2番目の領域は、水平画素数1920に相当する領域であり、スイッチ88を介して電源回路68に接続されている。電源供給ライン58が設置された右半分の領域は、水平画素数3840に相当する領域であり、電源供給ライン58は、スイッチ89を介して電源回路69に接続されている。
【0076】
また、ROI制御回路93は、ROI駆動のライン数を設定するとともに、スイッチ88、89のオン・オフを制御する。
【0077】
かかる構成において、例えば、実施例2の図4Bに示したような、左上側1/4の関心領域R2の画素21の画素信号を読み出す場合、ROI制御回路93は、スイッチ88をオンにするとともに、スイッチ89をオフとする制御を行う。また、実施例2の図4Cに示したような、左上側1/16の関心領域R4の画素21の画素信号を読み出す場合、ROI制御回路93は、スイッチ88、89の総てをオフにする制御を行う。
【0078】
かかる構成により、左側については、細かく分割された電源供給ライン56、57の接続、切断の制御により、きめ細かい制御が可能であり、右側については、スイッチ89をオフとするだけで、右側全体を容易にオフにすることができる。例えば、画素部20の左側では、関心領域を細かく設定する必要があり、右側では関心領域を細かく設定する必要が無い用途に固体撮像装置が用いられる場合には、このような構成を好適に利用することができる。
【0079】
実施例6に係る固体撮像装置によれば、領域により異なる長さの電源供給ライン56〜58を設けることにより、各領域に適した電源のオン・オフ制御を行うことができ、電力消費の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【実施例7】
【0080】
図10は、本発明の実施例7に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図10において、実施例7に係る固体撮像装置は、実施例6に係る固体撮像装置と同様に、固体撮像素子10と、電源供給ライン56〜58と、スイッチ88、89と、ROI制御回路93とを有する。これらの構成要素は、実施例6に係る固体撮像装置と同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0081】
実施例7に係る固体撮像装置は、電源回路70が総ての電源供給ライン56〜58に共通に1つだけ設けられている点で、実施例6に係る固体撮像装置と異なっている。このように、電源供給ライン56〜58の長さが異なる固体撮像装置においても、電源回路70を電源供給ライン56〜58に共通に1つだけ設けるようにしてもよい。
【0082】
実施例7に係る固体撮像装置は、電源回路70が1つとなった点以外は、実施例6に係る固体撮像装置と、構成及び動作について共通であるので、その説明を省略する。
【0083】
実施例7に係る固体撮像装置によれば、電源供給ライン56〜58の長さを異ならせつつ、電源回路70を1つとしてコンパクトな構成にすることができ、電力消費の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【0084】
なお、実施例1〜7において、ROI回路90〜93及びスイッチ80〜89は、固体撮像素子10の外部に設けられた場合を説明したが、固体撮像素子10の内部に設けるようにしてもよい。
【0085】
また、実施例1〜7において、関心領域を含まない非読出領域の信号読出部30の電源を遮断することにより、消費電力の低減を図っているが、更に、関心領域を読み出す速度を低下させて、消費電力を更に低減させる制御を行うようにしてもよい。ROI駆動方式においては、関心領域を設定することにより、読み出し対象の領域が狭くなるので、読み出し速度の高速化が一般的に可能となる。しかしながら、ROI駆動方式において、読み出し速度を、全画面を読み出す場合と同じ速度に設定しておけば、読み出しの高速化を行わない代わりに、消費電力を更に低下させることができる。例えば、用途に応じては、このような制御を組み合わせるようにしてもよい。
【0086】
また、例えば、実施例1〜7は、矛盾の無い範囲で、互いに組み合わせることが可能である。例えば、実施例4を実施例1、実施例2、実施例7に組み合わせ、総ての電源供給ラインにスイッチを設けた例に変形することも可能である。また、実施例3を実施例1に組み合わせ、電源回路を1つに構成することも可能である。このように、各実施例同士は、矛盾の無い範囲で組み合わせることができる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、XYアドレス方式により画素信号を読み出す固体撮像装置に利用することができ、例えば、CMOS及びMOSを含むMOS型撮像装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 固体撮像素子
20 画素部
21 画素
22 垂直信号線
30 信号読出部
31 信号読出線
40 垂直選択手段
50〜58 電源供給ライン
60〜70 電源回路
80〜89 スイッチ
90 ROI制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、信号読出部が画素部の各画素の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子と、画素部の関心領域のみの画素信号を信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段と、を有する固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、用途に応じて、撮像面の中から興味又は関心のある領域(関心領域、Region Of Interest、ROI)のみを読み出す関心領域読出駆動方式(以下、「ROI駆動方式」とも呼ぶ。)を採用した固体撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、特許文献1に記載された固体撮像装置の要部構成図である。図11において、フォトダイオード101(101−1−1,101−1−2,〜,101−3−3)の検出信号を増幅する増幅トランジスタ102(102−1−1,102−1−2,〜,102−3−3)、信号を読み出すラインを選択する垂直選択トランジスタ103(103−1−1,103−1−2,〜,103−3−3)、信号電荷をリセットするリセットトランジスタ104(104−1−1,104−1−2,〜,104−3−3)からなる画素がマトリクス状に配列されている。なお、紙面の都合で、画素は3×3=9個しか示していないが、更に多くの画素を備えている。
【0004】
水平方向に配線されている水平走査線(又は水平アドレス線)106(106−1,106−2,106−3)は垂直選択トランジスタ103のゲートに接続され、信号を読み出すラインを定めている。この水平走査線106は信号を読み出すラインを垂直方向に選択することから垂直選択線とも呼ばれる。同様に、水平方向に配線されているリセット線107(7−1,7−2,7−3)は、リセットトランジスタ104のゲートに接続されている。増幅トランジスタ102のソースは列方向に配置された垂直信号線122(122−1,122−2,108−3)に接続され、その一端には負荷トランジスタ109(109−1,109−2,109−3)が設けられている。
【0005】
選択端子125(125−1,125−2,125−3)、126(126−1,126−2,126−3)には、図示しない制御回路から発生される垂直選択パルスおよびリセット選択パルスが個別に入力される。この垂直選択パルスおよびリセット選択パルスの入力により、走査選択トランジスタ123(123−1,123−2,123−3)およびリセット選択トランジスタ124(124−1,124−2,124−3)は個別にオンとなり、これにより対応する水平走査線106−1,106−2,106−3およびリセット線107−1,107−2,107−3が個別に選択される。
【0006】
一方、各垂直信号線122−1,122−2,122−3と水平信号線131との間には、列毎にADC回路132(132−1,132−2,132−3)及び水平選択スイッチ190(119−1,119−2,119−3)が挿入接続されている。また、ADC回路132−1,132−2,132−3には、共通に電源供給ライン150が接続され、電源供給ライン150は、電源160に接続されている。ADC回路は、フォトダイオード101で発生し、増幅トランジスタ102で増幅されたアナログ電荷をカウントしてデジタルデータに変換するA/Dコンバータを構成する回路であり、固体撮像装置の読み出し回路を構成する。ADC回路132−1,132−2,132−3で読み出したデジタルデータは、水平選択スイッチ119−1,119−2,119−3のいずれかがオンとなり、列が選択されることにより、外部に出力される。ROI駆動方式の場合、水平選択スイッチ119−1,119−2,119−3が個別にオンとなって垂直信号線122−1,122−2,122−3に設けられたADC回路132−1,132−2,132−3が個別に選択されることにより、任意の関心領域の読み出し信号を出力することが可能となる。一方、ADC用電源160は、共通に各ADC回路132−1,132−2,132−3に接続されており、各ADC回路132−1,132−2,132−3は常に駆動状態となっている。
【0007】
このように、ROI駆動方式を用いた固体撮像装置においては、シフトレジスタを用いず、水平走査線106用の選択端子125と、リセット線107用の選択端子126と、読み出し用の水平選択スイッチ119を用いることにより、順次読み出しではなく、任意の画素の信号を読み出すことができる。つまり、読み出し領域について所定の制御を行うことにより、所定の関心領域についてのみ画素信号を読み出すことができ、不要な領域を読み出さないので、信号読み出しの高速化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−262187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、読み出し領域を関心領域に限定することはできるが、読出回路においては、読み出し対象となる関心領域を含まない場合であっても回路が動作し続け、電力を消費し続けるという問題があった。また、読出回路が動作し続けると、読出回路全体から熱が発生し、撮像領域に熱ノイズが混入するという問題があった。
【0010】
図12は、従来のROI駆動方式のCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子の全体構成を示した図である。図12において、CMOS撮像素子110は、画素部120と信号読出部130とを有し、画素部120は、画素121と、垂直信号線122とを有する。また、信号読出部130は、水平信号線131を含む。なお、図12には図示していないが、信号読出部130は、信号読出回路としてADC回路132を備える。また、垂直選択手段140がCMOS撮像素子110内に設けられ、垂直選択手段140を制御するROI制御回路190と、信号読出部130に電源を供給する電源供給ライン150及びこれに接続された電源回路160が示されている。図12においては、図11で示した構成要素のうち、説明に必要な要素のみを抜き出して同一の参照符号を用いるとともに、全体の制御に必要な構成要素を追加して示している。
【0011】
図12において、信号読出部130には、これに電源を供給するための電源供給ライン150が設けられ、電源160に接続されているが、電源供給ライン150が水平方向に左端から右端まで延在しているので、読み出しを行わない領域があったとしても、信号読出部130内の信号読出回路(ADC回路132)には電源が供給され続け、信号読出部130全体で電力を消費してしまう。よって、上述のように、信号読出部130内に信号読み出しを行わない部分が存在したとしても、信号読出回路は全体が動作し続け、電力を消費し続けるとともに、これにより発生する熱により、画素部120に熱ノイズを発生させてしまうという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、ROI駆動方式を用いた固体撮像素子において、消費電力を低減させ、撮像部の熱ノイズを低減させて高品質な画像を撮像できる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る固体撮像装置は、画素部と信号読出部とを備え、該信号読出部が前記画素部の各画素の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子と、前記画素部の関心領域のみの前記画素信号を前記信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段と、を有する固体撮像装置において、
前記関心領域読出制御手段は、前記関心領域読出制御を行う際に、前記信号読出部のうち前記関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない非読出領域に接続された信号読出部の電源を遮断する電源遮断制御を行うことを特徴とする。
【0014】
また、前記信号読出部に電源を供給する分割された電源供給ラインを有し、
前記電源遮断制御は、前記非読出領域に接続された前記電源供給ラインに前記信号読出部の電源を接続しない制御であってもよい。
【0015】
また、前記信号読出部の電源は、電源回路を含み、
前記電源回路は、前記分割された電源供給ラインに個別又は共通に設けられてもよい。
【0016】
また、前記電源供給ラインは、前記関心領域読出制御が行われる前記関心領域の水平方向の長さに応じて、長さが異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ROI駆動時における消費電力を低減し、熱ノイズによる撮像特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図2A】関心領域が全画面である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図2B】関心領域が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図2C】関心領域が撮像画面の左半分である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図3】本発明の実施例2に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図4A】全画面を関心領域とした場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図4B】関心領域が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図4C】関心領域が撮像画面の1/16である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図5】本発明の実施例3に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図6】本発明の実施例4に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図7】実施例4に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。
【図8】本発明の実施例5に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図9】本発明の実施例6に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図10】本発明の実施例7に係る固体撮像装置の一例を示した図である。
【図11】従来の固体撮像装置の要部構成図である。
【図12】従来のROI駆動方式のCMOS撮像素子の全体構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図1において、実施例1に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン50、51と、電源回路60、61と、スイッチ(又はスイッチ回路)80と、ROI制御回路90とを有する。また、固体撮像素子10は、画素部20と、信号読出部30と、垂直選択手段40とを有する。更に、画素部20は、画素21と、垂直信号線22とを有し、信号読出部30は、信号読出線31を有する。図1において、実施例1に係る固体撮像装置の構成要素は、理解の容易のため、本発明の説明に必要な構成要素のみが示されている。実施例1に係る固体撮像装置は、ROI駆動方式で駆動する撮像装置であるので、必要に応じて、図11において説明した他の構成要素を備えてよい。例えば、信号読出部30は、信号読出回路として、各垂直信号線22毎に図11で説明したADC回路132を備えてよい。ADC回路132が、電源供給ライン50、51に接続される点も図11と同様である。この点は、実施例2以降においても同様とする。
【0021】
固体撮像素子10は、撮像を行う素子であり、主要な構成要素としては、画素部20と、信号読出部30と、垂直選択手段40とを備える。本実施例に係る固体撮像装置においては、XYアドレス方式により、画素部10で生成された画素信号を読み出す型式の固体撮像素子10が用いられる。固体撮像素子10は、XYアドレス方式の固体撮像素子であれば、種々の固体撮像素子10が用いられてよく、例えば、CMOSを用いたCMOS撮像素子であってもよいし、必ずしもCMOSに構成されていないMOSトランジスタを用いたMOS撮像素子であってもよい。
【0022】
画素部20は、撮像を行うために複数の画素21が二次元状に配置された領域であり、受光した光を電気信号に変換する領域である。画素部20は、マトリクス状に配置された複数の画素21と、垂直信号線22とを有する。
【0023】
各画素21は、図11において説明したように、受光した光を電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換素子、電気信号の増幅を行う増幅トランジスタ、垂直選択を行うための垂直選択トランジスタ、リセットを行うためのリセットトランジスタ等を必要に応じて備えてよい。
【0024】
また、画素部20は、画素信号の読み出しを行うための垂直信号線22の他、垂直選択を行うための水平走査線(又は水平アドレス線)、リセットを行うためのリセット線等を必要に応じて備えてよい。
【0025】
画素部20は、要求される解像度に応じて、所定の画素数の画素21を備えてよいが、例えば、有効画素数が水平7680画素、垂直4320画素と、ハイビジョンの16倍の画素数を備えていてもよい。これは、ITU−R BT.1769等で規格化されているUDTV規格、いわゆるスーパーハイビジョン(SHV)規格の画素数である。ハイビジョンは、水平1920画素、垂直1080画素であるが、スーパーハイビジョンでは、水平、垂直ともその4倍ずつの有効画素を有し、全体で16倍の画素数を有するので、撮像により非常に高精細な画像を取得することができる。
【0026】
垂直選択手段40は、水平方向に平行に複数延在し、垂直方向に行をなして配列された水平走査線を選択するための手段であり、ROI制御回路90から供給される電圧パルス又は指令により動作してよい。具体的には、例えば垂直選択手段40は、図11で説明した走査選択トランジスタ123のようなスイッチング素子を備え、ROI制御回路90からの電圧パルスの印加により垂直選択を行うように構成されてもよい。
【0027】
信号読出部30は、垂直信号線22から入力される電気信号を読み出す領域である。信号読出部30は、信号読み出しに必要な信号読出回路(図示せず)を備え、画素信号を読み出す。信号読出回路は、画素21の水平方向の配列に対応して複数設けられ、読み出し対象となる画素に対応する信号読出回路が、画素信号を読み出す。信号読出回路は、読み出しに必要なトランジスタ、ADコンバータ等を備えてよく、例えば、図11で示したADC回路132と同様の回路として構成されてもよい。また、信号読出部30は、読み出しの際には、2重サンプリング動作、AD変換動作、水平走査動作等が必要に応じて行ってよく、最終的に、信号読出線31から読み出し信号を出力する。
【0028】
信号読出線31は、スイッチングにより垂直信号線22及び信号読出回路に接続され、読み出しの対象となった画素信号が出力される配線である。信号読出回路にて読み出された画素信号が、信号読出線31から出力される。
【0029】
なお、固体撮像素子10における信号読み出しの動作は、まず、画素部20の各画素21において画素信号が生成された状態で、垂直選択手段40により、読み出す水平走査線(図1では図示せず、図11参照)が選択される。そして、選択された水平走査線1ラインの総ての画素信号が同時に垂直信号線22に出力される。信号読出部30においては、垂直信号線22から信号読出回路に入力された画素信号に対し、上述のように、適宜2重サンプリング動作、AD変換動作、水平走査動作等が行われ、読み出し信号として信号読出線31から出力する。例えば、このようにして、画素信号の読み出し動作は行われる。
【0030】
電源供給ライン50、51は、信号読出部30の信号読出回路に電源(又は電力)を供給するための電源供給配線である。よって、電源供給ライン50、51は、信号読出部30の内部に、信号読出部30を横断するように水平方向に延在して設けられる。その意味では、電源供給ライン50、51は、固体撮像素子10の一部を構成するが、本実施例及び以後の実施例では、説明の便宜上、電源供給ライン50、51は、固体撮像素子10と分けて、信号読出部30に電源を供給する独立した要素として捉えて説明する。実施例1に係る固体撮像装置においては、電源供給ライン50、51は、固体撮像素子10及び信号読出部30の中央で繋がっておらず、左右2つに分割されている。そして、電源供給ライン50、51は、2つで信号読出部30の水平方向全体をカバーする構成となっている。
【0031】
また、左側の電源供給ライン50は左側の電源回路60に接続され、右側の電源供給ライン51は右側の電源回路61に接続され、左右各々の電源回路60、61から、信号読出部30の左側と右側に個別に電源を供給できる構成となっている。
【0032】
更に、左側の電源供給ライン50と、対応する左側の電源回路60とは直接接続されているが、右側の電源供給ライン51と、対応する右側の電源回路61との間には、スイッチ80が設けられている。これにより、右側の電源供給ライン51に電源を供給するか否かは、スイッチ80のオン・オフにより切り替えることができる。
【0033】
かかる構成により、例えば、関心領域が画素部10の中央よりも左側にのみ存在し、信号読出部30が、中央より左側の画素21の信号のみを読み出せば十分な場合には、信号読出部30の左側にある信号読出回路のみを駆動すべく、信号読出部30の左側にある電源供給ライン50からのみ電源を供給し、右側の電源供給ライン51からは、電源を供給しないようにすることが可能となる。
【0034】
なお、電源供給ライン50、51は、基本的には信号読出部30の中央で分割され、左右の電源供給ライン50、51の長さが同じように分割されるが、用途に応じて、左右の長さが異なるように分割されてもよい。例えば、撮像対象が特定のものに限定されており、左右の長さが異なる分割の方が好ましければ、そのように構成してもよい。
【0035】
電源回路60、61は、所定の電力を生成して電源供給ライン50、51に供給するための回路である。電源回路60、61は、左右2つに分割した電源供給ライン50、51に対応して個別に設けられており、分割した電源供給ライン50、51の各々に電源を供給し易いように構成されている。電源回路60、61は、電源回路60、61に接続された図示しない電源とともに、信号読出部30の電源を構成する。つまり、信号読出部30の電源は、電源回路60、61を含む。なお、以後の実施例においても、信号読出部の電源は電源回路を含み、電源回路に接続されたということは、信号読取部の電源に接続されたことを意味するものとする。
【0036】
スイッチ80は、電源供給ライン51と電源回路61との間に挿入して設けられ、電源供給ライン51と電源回路61との接続と遮断を切り替える手段である。スイッチ80は、オン・オフの切り替えが可能であれば、種々のスイッチ手段を用いることができる。なお、スイッチ80は、ROI制御回路90と接続され、スイッチ80のオン・オフ、つまり接続と遮断は、ROI制御回路90の指令により切り替えられてよい。
【0037】
ROI制御回路90は、関心領域の画素信号のみの読み出しを行う関心領域読出駆動を行う際、読み出し対象となる関心領域の選択及び読み出し駆動の制御と、信号読出部30への電源供給の制御を行うための手段である。つまり、ROI制御回路90は、関心領域読出駆動を行う際、関心領域の画素信号を信号読出部30に行わせる関心領域読出制御と、関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない読出回路への電源供給を遮断する電源遮断制御の双方の制御を行う関連領域読出制御手段として機能する。関心領域読出駆動(以下、「ROI駆動」又は「ROI動作」とも呼ぶ。)においては、関心領域の読み出し動作と、電源を遮断してよい非読出領域はリンクしているため、ROI制御回路90が、関心領域読出制御(以下、「ROI駆動制御」とも呼ぶ。)と電源遮断制御の双方の制御を行う。
【0038】
よって、ROI制御回路90は、垂直選択手段40に接続されるとともに、スイッチ80にも接続され、関心領域読出制御と電源遮断制御の両方が行える構成となっている。
【0039】
なお、ROI制御回路90は、このような制御演算を行えれば、種々の手段により実現されてよく、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてもよい。
【0040】
このように、実施例1に係る固体撮像装置は、ROI駆動の際、信号読出部30の読み出し動作が不要な非読出領域に電源を供給しない制御を行うことにより、消費電力を低減させ、更にこの消費電力の低減により、信号読出部30から発生する熱による画素部10の熱ノイズを低減させることが可能な構成となっている。
【0041】
なお、固体撮像素子10には、電源回路60、61とは異なる電源回路から電源が供給されている。固体撮像素子10については、ROI駆動制御を行うか否かに関係無く、全撮像領域に電源が供給され、全撮像領域で撮像が行われる。この点については、以後の実施例においても同様である。
【0042】
次に、図2A乃至図2Cを用いて、実施例1に係る固体撮像装置の具体的な動作例について説明する。なお、固体撮像素子10の画素部20の画素数は、本実施例及びそれ以降の実施例において、水平7680画素、垂直4320画素の上述のスーパーハイビジョン(SHV)規格である場合を例に挙げて説明する。また、図1と同様の構成要素には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
また、本実施例に係る固体撮像装置においては、ROI駆動は、垂直方向にのみ関心領域を設定、つまり水平走査線のライン単位で関心領域を設定する場合を例に挙げて説明する。図11においては、水平方向、垂直方向の双方について任意の順序で読み出しを行う構成のROI駆動について説明したが、本実施例においては、垂直方向については垂直選択手段40を用いてROI駆動を行うライン設定を行い、水平方向についてはスイッチ80を用いた電源遮断制御で非読出領域の設定を行う例について説明する。
【0044】
図2Aは、関心領域R1が全画面である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。図2Aにおいて、関心領域R1が撮像画面全体であり、画素部20の総ての画素21が読み出し対象となる場合の動作例が示されている。また、右上の長方形に記載された数字は、関心領域R1の画素数を示しており、水平7680×垂直4320の画素数であることが示されている。
【0045】
図2Aのように、全画面が読み出し対象となる場合、関心領域R1として全ラインが選択されていると考えてもよいし、いわゆるROI駆動が行われていない通常動作の場合と考えてもよい。この場合には、水平7680×垂直4320画素の総てについて信号電荷の読み出しを行うので、ROI制御回路90は、スイッチ80をオンにし、左右2つの電源供給ライン50、51の両方に電源を供給する制御を行う。この場合、信号読み出しの方法は、一般的な順次走査としてもよいし、垂直方向のラインについては、用途に応じた所定の順序で読み出しを行うようにしてもよい。
【0046】
図2Bは、関心領域R2が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。この場合、関心領域R2は、水平3840×垂直2160の画素数の領域となる。水平方向も全画素数の1/2、垂直方向も全ライン数の1/2であるので、関心領域R2の画素数は全体の画素数の1/4となる。具体的な読み出し動作の一例は、以下のようになる。
【0047】
まず、垂直選択手段40は、1ライン目から2160ライン目まで順次水平走査線を選択した後、再び1ライン目から次の撮像画面を読み出す。この状態であれば、信号読出部30の信号読出ライン31からは、水平7680画素×垂直2160ラインの画像(図示せず)が出力される。一般に、ROI駆動又はROI動作を行った場合でも、撮像素子からの画像出力は、水平と垂直の画素数の比率を例えば16:9等に固定することにより、モニタ表示や映像処理が容易となる。よって、ここでは、希望する映像出力の画素数を垂直の2160ラインに合わせ、水平の画素数を3840とする。この場合には、固体撮像素子10の右半分に相当する画素信号は不要となる。
【0048】
そこで、この場合には、ROI制御回路90は、関心領域R2を読み出し対象領域として信号読出部30の左半分の読出回路を動作させるとともに、スイッチ80をオフにし、信号読出部30の右半分の読出回路には電源が供給されないようにする。これにより、必要とする画素数の撮像画像を得たまま、信号読出部30の右半分の電源回路61を遮断することができる。その結果、信号読出部30の右半分の読出回路は動作せず、電力を消費しないので、消費電力の低減を図ることができる、また、信号読出部30の発熱を抑制できるので、画素部20に熱ノイズが発生し難くなり、高品質の画像を得ることができる。
【0049】
図2Cは、関心領域R3が撮像素子の左半分である場合の実施例1に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。図2Cにおいては、ROI制御回路90によるROI駆動制御については、総ての水平走査線のライン4320本に設定される。よって、ROI駆動制御の動作としては、総てのラインを選択する。一方で、ROI制御回路90は、スイッチ80をオフにする電源遮断制御を行う。これにより、信号読出部30の右半分には電源供給が行われず、画素部20の右半分の画素信号は出力されない。よって、結果的に画素信号の読み出しが行われた関心領域R3は、画面の左半分の領域となり、読み出し出力が得られる有効な画面の画素数は、水平3840×垂直4320となる。この場合にも、信号読出部30の右半分に供給される電源回路61は遮断されているので、固体撮像素子10全体の消費電力を低減させることができる。そして、信号読出部30の発熱による画素部20の熱ノイズを減少させ、高品質な画像を取得することができる。
【0050】
このように、実施例1に係る固体撮像装置によれば、関心領域に応じて、読み出し対象とならない画素を読み出す信号読出部の電源を遮断することにより、消費電力の節減を実現できるとともに、熱ノイズを低減させ、高品質の画像を取得することができる。また、関心領域の設定に際し、水平方向については、複雑な制御を行う必要が無く、電源の遮断のみで関心領域の水平方向の制限(又は非読出領域の設定)を行うことができる。
【実施例2】
【0051】
図3は、本発明の実施例2に係る固体撮像装置の一例を示した図である。実施例2に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン52〜55と、電源回路62〜65と、スイッチ81〜83と、ROI制御回路91を備えるが、固体撮像素子10は、実施例1に係る固体撮像素子10と同様である。よって、固体撮像素子10、画素部20、画素21,垂直信号線22、信号読出部30、信号読出線31及び垂直選択手段40については、実施例1に係る固体撮像装置と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
一方、実施例2に係る固体撮像装置においては、電源供給ライン52〜55が4分割され、それに対応して電源回路62〜65も4つ設けられている点が、実施例1に係る固体撮像装置と異なっている。また、電源供給ライン52〜55及び電源回路62〜65が各々4つに増加したことに伴い、スイッチ81〜83も3つに増加した点でも、実施例1に係る固体撮像装置と異なっている。なお、電源供給ライン52は電源回路62に直接接続され、電源供給ライン53、54、55は、各々スイッチ81、82、83を介して、電源回路63、64、65に接続された構成となっている。ROI制御回路91は、スイッチ81〜83が2つ増加したことに伴い、制御対象及び接続線が2つずつ増加しているが、実行する制御内容は、実施例1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0053】
このように、電源供給ライン52〜55、電源回路62〜65及びスイッチ81〜83を3つ以上とし、細かい領域毎に設置するようにしてもよい。図3においては、画素部20及び対応する信号読出部30への電源供給ライン53〜55が4分割され、各電源供給ライン53〜55が、水平画素数の1/4の領域毎に設けられた構成となっている。かかる構成により、読み出し対象となる関心領域をより細かく設定することができ、多様な用途に応じて必要な関心領域のみを読み出し、読み出しが不要な領域の読み出し動作については電力消費を無くすことができる。
【0054】
次に、図4A乃至図4Cを用いて、実施例2に係る固体撮像装置の動作例について説明する。
【0055】
図4Aは、全画面を関心領域R1とした場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。これは、実施例1の図2Aと同様の関心領域R1の設定を行った場合である。この場合、読み出し対象となる画素数は、水平7680×垂直4320である。ROI制御回路91は、総ての4320本のラインをROI駆動の対象としてROI駆動制御を行うとともに、3個のスイッチ81〜83を総てオンとする制御を行う。これにより、通常動作と同じく、全画面の画素信号が読み出され、出力される。
【0056】
図4Bは、関心領域R2が撮像画面の左上側1/4の領域である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。これは、実施例1の図2Bと同様の関心領域R2の設定を行った場合である。この場合、ROI制御回路91は、全体ライン数の半分の2160本のライン数読み出しを選択するとともに、スイッチ81のみをオンにする制御を行う。これにより、画素部20の左側半分に対応する信号読出部30の左側半分には電源供給ライン52、53から電源が供給されるが、右側半分の電源供給ライン54、55には電源が供給されない。これにより、水平方向については左側半分にある画素21の画素信号のみ信号読み出しを行うことになる。そして、最終的な関心領域R2は、画素部20の左上側1/4となり、この領域のみ画素信号を読み出して出力する。信号読出部30の右半分には電源が供給されていないので、消費電力の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【0057】
図4Cは、関心領域R4が撮像画面の1/16である場合の実施例2に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。この場合、ROI制御回路91は、関心領域R4のライン数を、全体のライン数4320本の1/4である1080本に設定するとともに、スイッチ81〜83を総てオフにする電源遮断制御を行う。これにより、電源回路62と直接接続されている電源供給ライン52にのみ電源が供給され、信号読出部30の左側1/4の範囲のみ信号読出回路に読み出し動作を行わせることができる。これにより、水平方向で読み出す画素数は全体の1/4である1920画素となるので、結局、水平1920×垂直1080の画素数の関心領域R4の画素信号を読み出すことになる。これは、ハイビジョンと同じ画素数であるので、ハイビジョンと同じ撮像画像を得ることができる。関心領域R4をこのようなハイビジョン画面と同じ画素数の設定とすることにより、例えば、受信側がハイビジョンしか対応できない場合には、スーパーハイビジョン対応の固体撮像素子を用いて、ハイビジョンの画像を送信することも可能となる。この場合には、本実施例に係る固体撮像装置の全画面の1/16の関心領域R4の画像を、ハイビジョン対応の受信機でフル画面表示を行うようにすればよい。このように、本実施例に係る固体撮像装置によれば、異なるフォーマットの画像の撮像に対応することでき、より一層用途を拡大させることも可能となる。
【0058】
また、関心領域の設定は、水平方向は1920の4以下の倍数、垂直方向は任意の数の組み合わせで自由に設定できるので、用途に応じて広い自由度で設定することができる。例えば、必要に応じて、水平1920×垂直2160、又は水平1920×垂直4320等の画素数に設定することも可能である。
【0059】
このように、実施例2に係る固体撮像装置によれば、電源供給ライン52〜55をより細かく分割することにより、関心領域の設定の自由度を高めつつ、消費電力の低減と熱ノイズの発生の低減を図ることができる。
【0060】
なお、図3、図4A乃至図4Cにおいては、電源供給ライン52〜55を4つに分割する例について説明したが、用途に応じて、更に細かく分割したり、逆に3つに分割したりすることも可能である。
【実施例3】
【0061】
図5は、本発明の実施例3に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図5において、実施例3に係る固体撮像装置は、実施例2に係る固体撮像装置と同様に、固体撮像素子10と、電源供給ライン52〜55と、ROI制御回路91とを備える。これらの構成要素については、含有される構成要素も含めて、実施例2に係る固体撮像装置と全く同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0062】
実施例3に係る固体撮像装置は、電源回路66が複数ではなく、1つだけ設けられている点で、実施例2に係る固体撮像装置と異なっている。つまり、実施例2に係る固体撮像装置では、4つの電源供給ライン52〜55に個別に対応して4つの電源回路62〜65が設けられていたが、実施例3に係る固体撮像装置においては、4つの電源供給ライン52〜55に共通の1つの電源回路66のみが備えられている点で、実施例2に係る固体撮像装置と異なっている。電源供給ライン52はスイッチを介さず電源回路66に直接接続され、電源供給ライン53〜55は、各々スイッチ81〜83を介して電源回路66に接続されている点は、実施例2と同様である。
【0063】
このように、電源回路66を1つにまとめ、その出力線を電源供給ライン52〜55に並列に接続し、切断動作が必要な電源供給ライン53〜55との間の出力線にスイッチ81〜83を各々設けるように構成してもよい。電気的には、実施例2に係る固体撮像装置と変わる所は無いので、用途に応じて、電源回路66を1つにまとめる実施例3のような構成としてもよい。
【0064】
なお、ROI制御回路91による動作は、実施例2に係る固体撮像装置と全く同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
実施例3に係る固体撮像装置によれば、電源回路をコンパクトに構成しつつ、電力消費の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【実施例4】
【0066】
図6は、本発明の実施例4に係る固体撮像装置の一例を示した図である。実施例4に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源回路62〜65とを有する点で、実施例2に係る固体撮像装置と共通する。固体撮像素子10及びそれに含まれる構成要素と、電源回路62〜65は、実施例2に係る固体撮像素子10と全く同様であるので、各構成要素には実施例2の構成要素と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
図6において、実施例4に係る固体撮像装置は、電源供給ライン52〜55が4つに分割されて設けられている点も、実施例2に係る固体撮像装置と同様であるが、最も左側の電源供給ライン52と電源回路62との間にスイッチ84が設けられた点で、実施例2に係る固体撮像装置と異なっている。つまり、実施例4に係る固体撮像装置においては、総ての電源供給ライン52〜55と電源回路62〜65との間にスイッチ84〜87が設けられている。それに対応し、ROI制御回路92の制御対象も1つ増加したことになるが、制御の基本的な内容は実施例2と同様である。
【0068】
実施例4に係る固体撮像装置においては、最も左側の領域も含めて、画素部20の読み出しを行うか否かを制御することが可能となる。一般的に、撮像装置は撮像対象に対して相対移動可能であるので、関心領域の大きさを定め、最も左側の領域で撮像を行うようにすれば、実施例1〜3の構成で何ら問題は無い。しかしながら、固体撮像装置が固定されていたり、撮像領域の総てについて読み出しの有無の制御を行いたい場合には、総ての電源供給ライン52〜55にスイッチ84〜87を設けるようにしてもよい。
【0069】
図7は、実施例4に係る固体撮像装置の動作例を示した図である。図7において、関心領域R5は、画素部20の中央領域に設定されている。ROI制御回路92は、全ライン数の1/2の2160本のライン数にROI駆動を設定する。位置的には、関心領域R5に対応させ、中央のラインについて、ROI駆動が設定される。また、ROI制御回路92は、外側の2つのスイッチ84、87をオフとし、中央の2つのスイッチ85、86をオンとする電源遮断制御を行う。これにより、中央の全画面の1/4の画素数の関心領域R5について、画素信号の読み出しを行うことができる。関心領域R5の画素数は、水平3840×垂直2160となる。このように、総ての電源供給ライン52〜55と電源回路62〜65との間にスイッチ84〜87を設け、中央領域や、右側の領域のみを撮像するようにしてもよい。かかる動作が可能となることにより、撮像対象の変化に応じて、光学中心をずらすことなく、ROI駆動制御で撮像ラインを選択し、信号読出部30の未使用部分の電源切断により省電力化及び熱ノイズの影響を低減させることができる。
【実施例5】
【0070】
図8は、本発明の実施例5に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図8において、実施例5に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン52〜55と、スイッチ84〜87と、ROI制御回路92とを有する点で、実施例4に係る固体撮像装置と共通する。なお、これらの構成要素は、内部要素も含めて実施例4に係る固体撮像装置と同様であるので、実施例4と同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
実施例5に係る固体撮像装置は、電源回路66が共通して1つだけ設けられている点で、実施例4に係る固体撮像装置と異なっている。かかる構成は、実施例3に係る固体撮像装置と同様である。このように、電源回路66は、分割された複数の電源供給ライン52〜55に対応して個別に設けられる必要は無く、電源供給ライン52〜55に共通に1つだけ設けるようにしてもよい。
【0072】
なお、電源供給ライン52〜55と、電源回路66と、スイッチ84〜87と、ROI制御回路92との関係は、スイッチ84〜87が1つ増加し、ROI制御回路92の制御対象が1つ増加している点を除けば、実施例3の図5に係る固体撮像装置と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0073】
実施例5に係る固体撮像装置によれば、総ての電源供給ライン52〜55に、オン・オフの制御が可能なスイッチ84〜87を設けて、総ての分割領域について読み出しの有無の制御を可能としつつ、電源回路66は共通として、全体としてコンパクトな構成とすることができる。そして、消費電力の低減と、熱ノイズの低減を実現することができる。
【実施例6】
【0074】
図9は、本発明の実施例6に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図9において、実施例6に係る固体撮像装置は、固体撮像素子10と、電源供給ライン56〜58と、電源回路67〜69と、スイッチ88、89と、ROI制御回路93とを有する。固体撮像素子10は、今までの実施例1〜5と同様の構成を有するので、各構成要素に今までと同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0075】
実施例6に係る固体撮像装置は、3つの電力供給ライン56、57、58を備えるが、電力供給ライン56、57が信号読出部30の水平方向の全体の1/4ずつの長さを有しているのに対し、電力供給ライン58は信号読出部30の水平方向の全体の1/2の長さとなっており、各電源供給ライン56、57の2倍の長さとなっている点で異なっている。このように、電源供給ライン56〜58の長さは、総てが同一で等しく分割されている必要は無く、長さが異なっていてもよい。図9において、電源供給ライン56は画素部20の左端1/4の領域、電源供給ライン57は画素部20の中央から左側寄りの1/4の領域、電源供給ライン58は画素部の右側半分の領域をカバーする構成となっている。より詳細には、電源供給ライン56が設置された最も左側の領域は、水平画素数1920に相当する領域であり、電源供給ライン56は、電源回路67に直接接続されている。また、電源供給ライン57が設置された左から2番目の領域は、水平画素数1920に相当する領域であり、スイッチ88を介して電源回路68に接続されている。電源供給ライン58が設置された右半分の領域は、水平画素数3840に相当する領域であり、電源供給ライン58は、スイッチ89を介して電源回路69に接続されている。
【0076】
また、ROI制御回路93は、ROI駆動のライン数を設定するとともに、スイッチ88、89のオン・オフを制御する。
【0077】
かかる構成において、例えば、実施例2の図4Bに示したような、左上側1/4の関心領域R2の画素21の画素信号を読み出す場合、ROI制御回路93は、スイッチ88をオンにするとともに、スイッチ89をオフとする制御を行う。また、実施例2の図4Cに示したような、左上側1/16の関心領域R4の画素21の画素信号を読み出す場合、ROI制御回路93は、スイッチ88、89の総てをオフにする制御を行う。
【0078】
かかる構成により、左側については、細かく分割された電源供給ライン56、57の接続、切断の制御により、きめ細かい制御が可能であり、右側については、スイッチ89をオフとするだけで、右側全体を容易にオフにすることができる。例えば、画素部20の左側では、関心領域を細かく設定する必要があり、右側では関心領域を細かく設定する必要が無い用途に固体撮像装置が用いられる場合には、このような構成を好適に利用することができる。
【0079】
実施例6に係る固体撮像装置によれば、領域により異なる長さの電源供給ライン56〜58を設けることにより、各領域に適した電源のオン・オフ制御を行うことができ、電力消費の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【実施例7】
【0080】
図10は、本発明の実施例7に係る固体撮像装置の一例を示した図である。図10において、実施例7に係る固体撮像装置は、実施例6に係る固体撮像装置と同様に、固体撮像素子10と、電源供給ライン56〜58と、スイッチ88、89と、ROI制御回路93とを有する。これらの構成要素は、実施例6に係る固体撮像装置と同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0081】
実施例7に係る固体撮像装置は、電源回路70が総ての電源供給ライン56〜58に共通に1つだけ設けられている点で、実施例6に係る固体撮像装置と異なっている。このように、電源供給ライン56〜58の長さが異なる固体撮像装置においても、電源回路70を電源供給ライン56〜58に共通に1つだけ設けるようにしてもよい。
【0082】
実施例7に係る固体撮像装置は、電源回路70が1つとなった点以外は、実施例6に係る固体撮像装置と、構成及び動作について共通であるので、その説明を省略する。
【0083】
実施例7に係る固体撮像装置によれば、電源供給ライン56〜58の長さを異ならせつつ、電源回路70を1つとしてコンパクトな構成にすることができ、電力消費の低減と熱ノイズの低減を図ることができる。
【0084】
なお、実施例1〜7において、ROI回路90〜93及びスイッチ80〜89は、固体撮像素子10の外部に設けられた場合を説明したが、固体撮像素子10の内部に設けるようにしてもよい。
【0085】
また、実施例1〜7において、関心領域を含まない非読出領域の信号読出部30の電源を遮断することにより、消費電力の低減を図っているが、更に、関心領域を読み出す速度を低下させて、消費電力を更に低減させる制御を行うようにしてもよい。ROI駆動方式においては、関心領域を設定することにより、読み出し対象の領域が狭くなるので、読み出し速度の高速化が一般的に可能となる。しかしながら、ROI駆動方式において、読み出し速度を、全画面を読み出す場合と同じ速度に設定しておけば、読み出しの高速化を行わない代わりに、消費電力を更に低下させることができる。例えば、用途に応じては、このような制御を組み合わせるようにしてもよい。
【0086】
また、例えば、実施例1〜7は、矛盾の無い範囲で、互いに組み合わせることが可能である。例えば、実施例4を実施例1、実施例2、実施例7に組み合わせ、総ての電源供給ラインにスイッチを設けた例に変形することも可能である。また、実施例3を実施例1に組み合わせ、電源回路を1つに構成することも可能である。このように、各実施例同士は、矛盾の無い範囲で組み合わせることができる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、XYアドレス方式により画素信号を読み出す固体撮像装置に利用することができ、例えば、CMOS及びMOSを含むMOS型撮像装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 固体撮像素子
20 画素部
21 画素
22 垂直信号線
30 信号読出部
31 信号読出線
40 垂直選択手段
50〜58 電源供給ライン
60〜70 電源回路
80〜89 スイッチ
90 ROI制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素部と信号読出部とを備え、該信号読出部が前記画素部の各画素の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子と、前記画素部の関心領域のみの前記画素信号を前記信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段と、を有する固体撮像装置において、
前記関心領域読出制御手段は、前記関心領域読出制御を行う際に、前記信号読出部のうち前記関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない非読出領域に接続された信号読出部の電源を遮断する電源遮断制御を行うことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記信号読出部に電源を供給する分割された電源供給ラインを有し、
前記電源遮断制御は、前記非読出領域に接続された前記電源供給ラインに前記信号読出部の電源を接続しない制御であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記信号読出部の電源は、電源回路を含み、
前記電源回路は、前記分割された電源供給ラインに個別又は共通に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記電源供給ラインは、前記関心領域読出制御が行われる前記関心領域の水平方向の長さに応じて、長さが異なることを特徴とする請求項2又は3に記載の固体撮像装置。
【請求項1】
画素部と信号読出部とを備え、該信号読出部が前記画素部の各画素の画素信号をXYアドレス方式で読み出す固体撮像素子と、前記画素部の関心領域のみの前記画素信号を前記信号読出部に読み出させる関心領域読出制御を行う関心領域読出制御手段と、を有する固体撮像装置において、
前記関心領域読出制御手段は、前記関心領域読出制御を行う際に、前記信号読出部のうち前記関心領域を読み出し対象に含まず、読み出し動作を行わない非読出領域に接続された信号読出部の電源を遮断する電源遮断制御を行うことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記信号読出部に電源を供給する分割された電源供給ラインを有し、
前記電源遮断制御は、前記非読出領域に接続された前記電源供給ラインに前記信号読出部の電源を接続しない制御であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記信号読出部の電源は、電源回路を含み、
前記電源回路は、前記分割された電源供給ラインに個別又は共通に設けられたことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記電源供給ラインは、前記関心領域読出制御が行われる前記関心領域の水平方向の長さに応じて、長さが異なることを特徴とする請求項2又は3に記載の固体撮像装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−46232(P2013−46232A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182736(P2011−182736)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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