説明

固体殺生物剤組成物及び密封形殺生物剤物品

要求に応じて二酸化塩素を生成する固体組成物、及び密封形殺生物剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年6月12日出願の米国仮特許出願第60/812632号、及び2005年12月16日出願の米国仮特許出願第60/750786号の優先権を主張するものであり、これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、固体殺生物剤組成物に関する。該組成物は、水又は湿気と接触すると速やかに二酸化塩素を放出する。本発明は、密封形殺生物剤物品にも関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
二酸化塩素は、消毒、殺菌及び臭気管理などのいくつかの用途に有用な水溶液をもたらす、高度に反応性の帯黄緑色ガスである。二酸化塩素は、強い抗菌剤、漂白剤であり、また殺菌剤として都市用水及び飲料水処理、冷却塔、並びに食品処理におけるその使用が、益々受け入れられている点が見出される。
【0004】
最近の規制認可では、家禽用冷水槽、牛及び豚の屠体洗浄液、並びに未加工農産物などの食品処理用途において病原体を減少させるため二酸化塩素の使用が承認される例が益々増える方向となっている。
二酸化塩素は、細菌細胞膜への選択性がより大きいために、従来の塩素系殺生物剤に優る多くの利点を有する。しかし、その優れた安全性及び環境プロファイルが広く様々な産業のためになるであろう二酸化塩素の実施範囲が、いくつかの欠点により制約を受けてきている。
【0005】
(固体組成物の従来技術)
従来技術では、錠剤、粉末及びブリケットなどの乾燥組成物から二酸化塩素を生成させる方法を記述している。参照により本明細書に組み込まれている公開された米国特許出願第2004/0135116号において、従来技術が広範に扱われている。
米国特許第6602442号は、次亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム及び硫酸水素ナトリウムを含む「乾燥組成物(dry composition)」を記述している。この混合物は、水に添加すると非常に溶解し易く、速やかに二酸化塩素を生じることが見出されたが、その水中溶解度を超えて塩素が生成されるため、実質的な量の塩素ガスが放出される点が望ましくない。この特許の2欄、55〜56行を参照されたい。その上、この乾燥混合物の安定性は、特に高湿度環境で限界がある。これらの制約のため、水に多くの量を添加できなくなっている。過剰の塩素生成が、混合物の「フラッシュ(flash)」を引き起こすであろうからである。
【0006】
公開米国特許出願第2004/0135116号、及び米国特許第6,699,404号は、固体の二酸化塩素放出性「マッシブボディ(massive body)」であって、粒子の大きさが実質的にそのマッシブボディの大きさ未満である顆粒状微粒子成分の混合物を含む前記マッシブボディを記述している。このマッシブボディは、微粒子成分の混合物から圧縮により形成され、本質的には大きな錠剤である。この錠剤を液体の水に添加すると、二酸化塩素及び遊離塩素を放出する。この特許は、亜塩素酸塩、酸供給源及び遊離ハロゲン供給源の組成物であって、好ましい組成物が亜塩素酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム及びジクロロイソシアヌル酸のナトリウム塩である前記組成物を特許請求している。
【0007】
公開米国特許第2005/0249658B2号は、温度安定度が向上した固体の二酸化塩素放出性組成物を記述している。この温度安定度向上は、2つの塩素放出剤:ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム及び次亜塩素酸塩を組み合わせて使用することにより提供される。この出願は、pKa 2.8〜6.0を有する酸性化剤の使用が温度安定度をさらに高めることをも教示している。
【0008】
ハロゲンで促進される酸化性組成物、及び溶媒活性化される反応装置が、公開出願米国特許第2005/0155936A1号及び米国特許第2006/0013751A1号に記載されている。二酸化塩素を含む固体酸化性組成物が記述されている。この出願は、金属亜塩素酸塩、酸化剤及び塩化物塩の使用による二酸化塩素の生成について記述している。
【0009】
米国特許第2006/0016765A1号は、二酸化塩素を生成させる組成物であって、活性酸素化合物と二酸化塩素発生性化合物とを含む前記組成物を記述している。段落23参照。好ましい活性酸素化合物は硫黄含有オキシ酸化合物である。段落26参照。二酸化塩素を生成させる適切な前駆体には、亜塩素酸塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類ハロゲン化物塩が含まれる。段落26参照。好ましい組成物は亜塩素酸ナトリウム、モノ過硫酸カリウム及び塩化マグネシウムである。この出願は、「二酸化塩素の発生を加速する触媒」として添加することができる金属ハロゲン化物の広範な一覧表を開示しており、それについて臭化亜鉛を掲げている。段落42参照。しかし、臭化亜鉛はpH 4.1で使用された。表1参照。その上、この公報はpH 3.7における臭化カルシウムが「比較実施例C」であり、すなわち効果がなく、またそれが橙色を呈し、このためそれが結果の妨げになり得ると教示し、したがって臭化カルシウムの使用から離れることを教示している。表1参照。その上、この公報はpH 5〜9における次亜臭素酸の生成、又はその多くの利点を教示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実質的な量の塩素ガス又は他の望ましくない化合物を生成せずに、要求に応じて水又は湿気の存在下で二酸化塩素を速やかに生成する、固体殺生物剤組成物への必要性が存在する。
【0011】
(本発明の目的)
酸化性化学種としてpKa値約8.6を有する弱次亜ハロゲン酸を使用した、亜塩素酸塩からの二酸化塩素の発生。
酸性度定数2.3×10-9を有する弱次亜ハロゲン酸を使用した、亜塩素酸塩からの二酸化塩素の発生。
本発明物を水又は湿気と接触させる場合に、イオン性化学種OCl-及び/又はOBr-を発生させる。
本発明物を水又は湿気と接触させる場合に、イオン性化学種HOCl及び/又はHOBrを発生させる。
【0012】
酸化性化学種として1.33電子ボルトの酸化能を有する弱次亜ハロゲン酸を使用した、亜塩素酸塩からの二酸化塩素の発生。
1.44電子ボルトの酸化能を有するモノ過硫酸塩酸化剤を使用した、亜塩素酸塩から二酸化塩素を生成させるための次亜ハロゲン酸の発生。
酸化剤、亜塩素酸塩及び臭化物塩を使用した、反応pH 5.0〜9.0における二酸化塩素の発生。
【0013】
二酸化塩素を生成させる中間ステップとして深帯赤褐色を有する液体ハロゲンが生成される二酸化塩素の発生。この液体ハロゲンは水よりも重く、反応容器の底部に見出される。
液体ハロゲンが生成され且つ原子番号35を有する、二酸化塩素の発生。
特徴的な二酸化塩素臭の前に臭素様臭気が生じる二酸化塩素の発生。
pH 5.0未満を保持するために酸性化剤物質を必要とすることのない二酸化塩素の発生。
【0014】
塩素様臭気を有することのない固体殺生物剤組成物。
組成物中に遊離ハロゲン放出性化合物を含有しない固体殺生物剤組成物。遊離ハロゲン放出性化合物は、水に加えた場合測定可能な遊離ハロゲンを発生するであろうものと定義される。
無機化学物質のみからなる、又はその式中に炭素原子が存在しない固体殺生物剤組成物。
水又は海水と接触すると次亜臭素酸を生成する任意の化合物を使用した二酸化塩素の発生。
【0015】
湿気、酸素及び温度によって、分解されない固体殺生物剤物品を生産すること。
湿気及び温度によって、二酸化塩素及び活性酸素が時期尚早に放出されることのない固体殺生物剤物品を生産すること。
組成物の活性酸素含量を保持する構造。
湿気、水若しくは他の水性流体の偶発的なこぼれ又は漏洩によって、二酸化塩素の放出が時期尚早に起こることのない殺生物剤物品を生産すること。
組成物又は包装材料の黄変が時期尚早に起こることない固体殺生物剤物品を生産すること。
取扱いが安全であり、且つ皮膚に直接曝される必要のない固体殺生物剤物品を生産すること。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明の一実施態様は、水又は湿気に添加すると速やかに二酸化塩素を発生する固体殺生物剤組成物に関する。
本発明の他の実施態様は、高バリア材料からなる2層間に密封される殺生物剤組成物を含む密封形殺生物剤物品に関する。密封形殺生物剤物品の組成物を以下に詳述する。
本発明は、固体成分から二酸化塩素を発生させる新規な化学的経路に関する。それは、臭化物塩又は臭素放出剤と、その対応する次亜ハロゲン酸生成物すなわち次亜臭素酸とを用いる酸化経路を利用するものである。形成された次亜臭素酸は、次いで組成物の亜塩素酸塩から二酸化塩素を発生させる酸化ポテンシャルを提供する。
【0017】
従来技術における二酸化塩素発生では、一般に、亜塩素酸塩を二酸化塩素に変換する酸化化学種として、中間反応物化学種である次亜塩素酸を利用している。次亜塩素酸は、モノ過硫酸カリウムなどの活性酸素化合物と反応させたいくつかの固体成分、通例塩素化イソシアヌレート、塩素化ヒダントイン、アルカリ若しくはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩又は金属塩化物塩から生成させることができる。
【0018】
本発明において、酸化化学種として次亜臭素酸を代わりに利用する場合、次亜塩素酸を使用する場合と比較して、二酸化塩素への亜塩素酸塩の変換は中性pH(好ましくは約6.5〜約7.5)で速やかに生じる。亜塩素酸塩イオンの存在において次亜臭素酸が生成される場合、急速且つ高収量の二酸化塩素が放出される。
【0019】
この独特の反応は、水よりも重い褐色液体として明らかに目に見えるものであり、本組成物を水に添加すると直ぐに生じる。この褐色液体は反応容器の底部に集まり、固体組成物を覆って薄層を形成する。この褐色液体はハロゲン、すなわち臭素であると考えられる。反応が継続するにつれ、二酸化塩素の特性的な黄色が速やかに目に見えるようになり、且つ褐色が完全に消えるまで増加する。5分未満で、二酸化塩素溶液は輝黄色となり、その最大濃度に達する。
【0020】
この驚くほど増大する二酸化塩素放出効果は、2種の弱酸の異なったpKa値のため生じると考えられる。次亜塩素酸のpKa 7.5と比較して、次亜臭素酸は、pKa 8.6を有する。pH 7.5では、HOBrが94%存在するのに比べて、活性酸化剤HOClは50%未満が存在する。従来技術で利用されている亜塩素酸経路反応では、二酸化塩素への亜塩素酸塩イオンの速やかな変換を確実にするため、追加的な酸性化剤物質を使用する必要がある。この次亜塩素酸放出性製剤は、溶液中に遊離塩素をも発生し、この塩素は二酸化塩素に変換されない。反応が完全に塩素を含まないことを要する用途において、この点が不都合である。
【0021】
2つの次亜ハロゲン酸の酸化効果は、臭化物塩及び塩化物塩を使用して二酸化塩素の発生を比較することによって、容易に実証することができる。亜塩素酸ナトリウムの存在において臭化ナトリウムが次亜臭素酸に酸化される場合、同一条件下で塩化ナトリウムを酸化する場合と比較して、反応は極めて急速に起こり、2〜3倍多い収量の二酸化塩素を発生する。その驚くべき結果は、収量の増加と、最大の二酸化塩素放出に到達するのに要する反応時間の短縮である。
【0022】
二酸化塩素のより多い収量は、反応中間体、すなわち臭素及び次亜臭素酸が水よりも重く、固体組成物の反応場所に近い反応容器の底部に集まるため生じるとも考えられる。フラスコの底部の固体反応物を覆う臭素の薄層が観察された。これらの現象が、亜塩素酸塩イオンの二酸化塩素に変換される速度及び割合に寄与したと考えられる。したがって、従来技術の組成物で使用されている塩素の拡散速度と比較して、臭素のより遅い拡散速度が、観察されたより高い二酸化塩素収量に寄与したと考えられる。
【0023】
この点を例証するため、米国特許第6699404号の従来技術を考える。高い変換速度は錠剤を使用した結果であり、それは細孔構造を発現し、且つ亜塩素酸塩アニオンの実質的な飽和酸性溶液を生成しているからであると記述されている。一旦反応物が溶液中に溶解すると、亜塩素酸塩アニオンの二酸化塩素へのさらなる変換は非常に少なくなるとも記述されている。
【0024】
したがって、どんな学説にも捉われずに、中間体臭素の遅い拡散速度、並びに次亜臭素酸(HOBr)が中性pHで効果的に働くので酸性溶液への必要性がないことが、より多い収量、及び二酸化塩素変換速度の増進の一因であると、本発明においては考えられる。
【0025】
本発明はまた、固体殺生物剤組成物の包装にも関係する。上記において参照した多くの従来技術の固体組成物において安定度問題が存在することが見出された。米国特許第6699404号で言及された「マッシブボディ」は、湿気のある状態(湿気>40%)で広範な黄変効果を受けることが見出された。米国特許出願第2006/0016765A1号の組成物は、湿気のある状態でより一層反応性があることが見出され、実質的に二酸化塩素を放出することが観察された。米国特許第6602442号中で記述される混合物も、二酸化塩素ガスの早過ぎる放出を示した。本発明は安定度問題に取り組んでおり、二酸化塩素前駆体材料の固体混合物及び固体混合物圧縮物の可使貯蔵寿命を延長する方法を記述している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
(A.本発明の組成物)
本組成物は次亜臭素酸の固体供給源と、亜塩素酸塩の固体供給源とを含む。本組成物の活性成分は、水100ml当り組成物の活性成分1gの濃度で25℃において測定して、本組成物を水中に溶解することから形成される溶液のpHが約5〜約9、好ましくは約5.5〜約8.5、またより好ましくは約6〜約8、また最も好ましくは約6.5〜約7.5であるような量で選択され、存在する。この活性成分は、次亜臭素酸の固体供給源及び亜塩素酸塩の固体供給源である。
【0027】
亜塩素酸塩の固体供給源は、アルカリ又はアルカリ土類金属亜塩素酸塩を含む。次亜臭素酸の固体供給源は、酸化剤、及び固体の臭化物放出性化合物を含む。
アルカリ又はアルカリ土類金属亜塩素酸塩は、市販されている亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸亜鉛又は亜塩素酸マグネシウムなどの、所望される任意のものとすることができる。
【0028】
本組成物は、典型的には約10〜約90%の次亜臭素酸の固体供給源と、約10〜約90%の亜塩素酸塩の固体供給源とを含む。全ての百分率は、特に指定がない限り組成物の全重量に対する重量百分率である。
好ましい組成物は、約10〜約90%の亜塩素酸ナトリウムと、約5〜約90%の臭化ナトリウムと、約5〜約60%のモノ過硫酸カリウムとを含む。より好ましくは、この組成物は約20〜約60%の亜塩素酸ナトリウムと、約10〜約40%の臭化ナトリウムと、約10〜約50%のモノ過硫酸カリウムとを含む。全ての百分率は、特に指定がない限り組成物の全重量に対する重量百分率である。
【0029】
酸化剤は、典型的には特性として酸性である。したがって酸化剤の量は、酸化剤、亜塩素酸塩及び臭化物放出性化合物の合計重量に基づく組成物の約5〜約50%、より好ましくは約10〜約40%、また最も好ましくは約10〜約30%であることが好ましい。酸化剤及び臭化物放出性化合物の両方である化合物の場合、この量は亜塩素酸塩及びこの化合物の合計重量に基づくものである。
【0030】
酸化剤の適切な例には、アルカリ及びアルカリ土類金属過硫酸塩、モノ過硫酸塩、及び過硫酸アンモニウム;過酸化リチウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛又は過酸化マグネシウムなどのアルカリ及びアルカリ土類過酸化物、過酸化尿素、過炭酸塩、過ケイ酸塩、過リン酸塩及びそれらの金属塩、並びに過酸化水素が含まれる。好ましい酸化剤は、モノ過硫酸カリウムである。
【0031】
過酸化水素以外の過酸化物の他の例には、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、過形成された過カルボン酸、有機及び無機過酸化物、並びに/又はヒドロペルオキシドが含まれる。適切な有機過酸化物/ヒドロペルオキシドには、過酸化ジベンゾイル、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジラウロイル、過酸化ジクミルなどの過酸化ジアシル及びジアルキル、並びにこれらの混合物が含まれる。
本組成物において使用する適切なペルオキシ酸には、ジペルオキシドデカン二酸(DPDDA)、過フタル酸マグネシウム、過ラウリン酸、過安息香酸、ジペルオキシアゼライン酸、及びこれらの混合物が含まれる。
【0032】
臭化物塩の適切な例には、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム、臭化亜鉛、臭化カルシウム及び臭化アルミニウムなどの、アルカリ及びアルカリ土類金属臭化物が含まれる。
臭化物塩の他の例には、死海塩及び鹹水(brine)などの一般に自然界に見出される臭素に富む塩の混合物が含まれる。これらは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどの他の一般的塩と組み合わせて、臭化物塩を含有する。臭化物供給源として、任意の塩の組合せを使用することができる。
【0033】
他の例示的組合せには、塩化物又はヨウ化物塩と組み合わせた臭化物塩が含まれる。例えば、臭化物塩+塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム又は塩化アルミニウム。或いは例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム又はアルミニウムのヨウ化物塩も使用することができる。本発明において全てのものを個別に又は組み合わせて使用することができる。
【0034】
次亜ハロゲン酸を生成させるのに要するハロゲン化物塩の供給源は、処理しようとする水中に存在する可能性もある。例えば、ハロゲン化物塩の単独供給源として、約3.5%の塩からなる海水を使用することができる。その場合、二酸化塩素放出性組成物は2つの部分:亜塩素酸塩供給源及び酸化剤、に減らすことができる。この思いがけない結果は、海水に亜塩素酸ナトリウム及びモノ過硫酸カリウムを添加した場合に見出された(実験実施例6を参照されたい)。
【0035】
やはり適切なものは、例えば臭化アンモニウム、臭化アルキルアンモニウム、臭化ジアルキルアンモニウム、臭化トリアルキルアンモニウムなどであるが、それらに限定されない、臭化物イオンが適切な有機性カチオンの塩である臭化物放出性化合物であって、前記アルキル基が、炭素原子1〜約24個の間の直鎖若しくは分岐脂肪族、芳香族又はアリール炭化水素基から独立に選択される前記化合物でもある。
【0036】
また臭化物放出性化合物として適切なものは、臭化物イオン交換物質でもある。それは、水溶液中により一般的な塩化物イオンが存在すると、臭化物イオンと交換することができる物質であり、この物質は典型的には、高含量の臭素イオンを予め装填した、水に不溶なポリマー性及び鉱物性マトリックスである。
【0037】
理想的には、モノ過硫酸カリウムによる酸化の間に、この塩は次亜臭素酸を生成するはずである。いくつかの塩又は塩の混合物は、次亜臭素酸、次亜塩素酸及び/又は次亜ヨウ素酸を組み合わせたものを生成させるであろう。次亜塩素酸は、強力な酸化剤でもあり、さらなる臭化物塩を次亜臭素酸に変換するであろう。
【0038】
他の形態の臭素放出性化合物も使用できる。以下の化合物は、液体水に添加すると、遊離臭素と、対応する次亜臭素酸をもたらす。それらは酸化剤として役立って、臭化物塩を遊離臭素に変換することもできる。やはり遊離臭素をもたらすのに適するものは、元素形態における液体臭素である。液体臭素は、室温及び標準圧力において暗色の液体である。
【0039】
(次亜ハロゲン酸塩発生性化合物)
次亜ハロゲン酸塩発生性化合物は、亜塩素酸ナトリウムを二酸化塩素に酸化する酸化ポテンシャルを提供することができる。次亜ハロゲン酸塩発生性化合物は、水溶液中で臭化物イオンから遊離臭素を生成させることもできる。利用可能な遊離ハロゲン濃度を提供するのに適した化合物は、次亜塩素酸塩発生性化合物又は次亜臭素酸塩発生性化合物である。これらの化合物は、少なくとも一部若しくは完全に水溶性であり、且つ水に溶解すると活性ハロゲンイオン(すなわちHOCl、HOBr、OCl-、OBr-)を生成するものでなければならない。したがって、この次亜ハロゲン酸塩発生性化合物は、酸化剤及び臭化物放出剤の両方とみなすことができる。
【0040】
任意の下記の代表的な供給源又はそれらの混合物には、次亜臭素酸リチウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜臭素酸マグネシウム及び次亜臭素酸亜鉛などの、アルカリ及びアルカリ土類金属次亜臭素酸塩が含まれる。
また適切な次亜塩素酸塩発生剤は、塩素化リン酸三ナトリウム、塩素化ポリリン酸三ナトリウム及び塩素化リン酸三ナトリウムドデカ水和物、並びにこれらの混合物でもある。
任意の下記の代表的な供給源又はそれらの混合物も適しており、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム及び次亜塩素酸亜鉛などのアルカリ及びアルカリ土類金属次亜塩素酸塩が含まれる。
【0041】
(ハロシアヌレート)
リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム又は亜鉛塩を含むがこれらに限定されない、任意の下記の代表的なハロシアヌレートの供給源又はそれらの混合物が、本発明において使用できる。水に添加し又は水と接触した場合、遊離臭素及びその対応する次亜臭素酸を生成させるため、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸、モノブロモイソシアヌル酸、モノブロモジクロルイソシアヌル酸、ジブロモ-モノクロロイソシアヌル酸及びモノブロモ-モノクロロ-イソシアヌル酸が使用できる。
【0042】
また適切な次亜臭素酸塩発生性化合物には、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-,ナトリウム塩(ジブロモイソシアヌル酸ナトリウムCAS#15114-34-8);及び1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-,カリウム塩(ジブロモイソシアヌル酸カリウムCAS#15114-46-2)も含まれる。
【0043】
また適切な次亜臭素酸塩発生性化合物には、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1-ブロモ-3-クロロ-,ナトリウム塩(ブロモクロロイソシアヌル酸ナトリウムCAS#20367-88-8);及び1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1-ブロモ-3-クロロ-,カリウム塩(ブロモクロロイソシアヌル酸カリウムCAS#29545-74-2)も含まれる。
【0044】
また、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-5-クロロ-(ブロモクロルイソシアヌル酸CAS#666714-66-5);及び1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-(ジブロモソシアヌル酸CAS#15114-43-9);並びにモノブロモ-モノクロロ-イソシアヌル酸ナトリウム(ブロモクロロイソシアヌル酸一ナトリウム塩水和物CAS#164918-61-0)も適している。
【0045】
さらなる適切な次亜臭素酸塩発生性有機化合物には、N-ブロモフタルアミド、N,N-ジブロモジメチルヒダントイン、N,N-ジブロモジエチルヒダントイン、N,N-ジブロモジメチルグリコールウラシル、ジブロモトリエチレンジアミン二塩化水素、及びこれらの混合物が含まれる。
適切な次亜塩素酸塩発生性化合物には、トリクロロシアヌル酸、ジクロロシアヌル酸、モノ-クロロシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(二水和物及び無水物)及びジクロロイソシアヌル酸カリウムが含まれる。
【0046】
また適切な次亜塩素酸塩発生性化合物には、N,N-ジクロロ-s-トリジントリオン、N-クロロフタルアミド、N-ジクロロ-p-トルエンスルホンアミド、2,5-N,N-ジクロロアゾジカルボンアミジン塩酸塩、NNNN-テトラクロログリコールウラシル、N,N-ジクロロイル-N,N,N-トリクロロメラミン、N-クロロスクシンイミド、メチレン-ビス(1-クロロ-5,5-ジメチルエチルヒダントイン)、1,3-ジクロロ-5-メチル-5-イソブチルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5-n-アミルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,4-ジクロロ-5,5-ジエチルヒダントイン、1-1モノクロル-5,5-ジメチルヒダントイン、ナトリウム-パラ-トルエンスルホクロラミン、ジクロロスクシンアミド、1,3,4,6-テトラクロログリコウラシル;クロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸のカリウム及びナトリウム塩;N-臭素化及びN-塩素化スクシンイミド、マロンイミド、フタルイミド及びナフタルイミドのカリウム及びナトリウム塩、並びにこれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0047】
1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、1-ブロモ-3-クロロ-5-メチル-5-エチル-ヒダントイン(BCEMH)、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-エチル-ヒダントイン(DBEMH)などのハロヒダントインが適している。
他の適切なN-ハロアミンは、トリクロロメラミン、トリブロモメラミン、ジブロモ-及びジクロロ-ジメチルヒダントイン、クロロブロモ-ジメチルヒダントイン、N-クロロスルファミド(ハロアミド)、クロラミン(ハロアミン)、並びにこれらの混合物である。
【0048】
また適切なものは部分塩素化及び臭素化された化合物でもあり、N-ブロモ-N-クロロジメチルヒダントイン、N-ブロモ-N-クロロジエチルヒダントイン、N-ブロモ-N-クロロジフェニルヒダントイン、N-ブロモ-N,N-ジクロロ-ジメチルグリコウラシル、N-ブロモ-N-クロロシアヌル酸ナトリウム、ブロモクロロトリエチレンジアミン二塩化水素、及びこれらの混合物が含まれる。
【0049】
本組成物は、所望される場合、他の成分を含有することができる。例えば、本組成物を成形して錠剤とする場合、結合剤、離型剤、圧縮助剤、錠剤用滑剤、膨潤剤、担体材料、充填剤及び界面活性剤などの一般的成分を、本組成物に場合によって添加することができる。
【0050】
(B.構造)
本組成物は、混合、ブレンド、造粒、ペレット化、錠剤成形又は押出しなどの当業者に知られている任意の方法により生産することができる。好ましい方法は錠剤成形であり、当業者によく知られた方法によって行われる。錠剤は、高バリア包装内に密封した本特許請求組成物を有する密封形殺生物剤物品を含む本発明の第2の実施態様を実証する例の、手頃な形態を提供する。
【0051】
錠剤を参照して、それに制約されることなく、本発明をさらに記述するであろう。錠剤の形態における本組成物の安定度は、2つの因子:1)二酸化塩素の早過ぎる放出を防止するため湿気を錠剤に近づけないこと、2)酸化剤(oxidant)(すなわちモノ過硫酸カリウム)からの活性酸素の放出を防止すること、の関数である。
【0052】
安定度の問題は、亜塩素酸塩+酸化剤+ハロゲン化物塩(任意の2又は3成分とすることができる)の混合物及び圧縮混合物で生じることが見出されている。これらの問題には、二酸化塩素ガスの早過ぎる放出、包装材料の黄変、粉末又は錠剤の黄変、封入容器内の二酸化塩素ガスの蓄積、並びに周囲の物体が所望されずに漂白されることが含まれる。この安定度問題は、十分な貯蔵寿命(すなわち、>1年)を有する製品を生産する試みにおいて、許容できない問題であることが判明した。
【0053】
生産した錠剤を包むのに使用した種々の低バリア包装材料では、不十分であることが見出されている。特に、PE、PET及びPVETOH(ポリビニルエタノール)などの低バリアポリマーフィルムは、種々の度合まで有効ではないことが見出された。フィルムの厚さ及び多孔度が、錠剤の分解を防止するのに失敗する重要な因子と考えられた。
【0054】
高バリア包装材料を使用した場合、錠剤の安定度の著しい向上が見出された。アルミニウムが、湿気及びガスを通さないので究極的な高バリア包装材料であり、したがって、アルミニウム層を含む材料が好ましい。しかし、他の高バリア包装材料を使用することができる。アルカン社(Alcan Corporation)のアルミニウムポリマーフィルムは、好ましい材料の例である。
【0055】
高バリアポリマーフィルムは、通常、圧縮して複合体とするいくつかの材料の層から構成され、通常ではアルミニウム層を含む。下記のいくつかのものは、フィルムとして重層される材料の例である:プリント地、紙、ラッカー、アルミニウム、PVC、PE、PET、シーラント(Sealant)(PE及びサーリン(Surlyn)の同時押出物)、CERAMIS(アルミニウムを含まない積層物)、接着剤、ヒートシールコーティング。
【0056】
2枚のアルミニウムフレキシブル積層体フィルムで、本組成物の錠剤の周囲をヒートシールして、本密封形殺生物剤物品を形成することが好ましい。このタイプの包装をAl-Alパッキングと呼ぶ。それは、二酸化塩素生成向けの従来技術の錠剤と比較して思いがけない成果である。従来の封入方法では適切な安定度がもたらされなかったからである。これらのフィルムは種々のタイプ及び機能のものであり、「フレキシブルラミネート(Flexible Laminate)」又は「ブリスター蓋体(Blister Lidding)」として知られている。
【0057】
錠剤を囲むのに使用する好ましい密封形封入具は、図3に示すようにストリップパッキングとして知られ、12で合わせてヒートシールされるフィルム10及び11の2枚のシートを備えている。フィルム10及び11の2枚のシート間の内部空間には、本発明の錠剤組成物2aが入っている。この密封形封入具により、組成物の周囲に湿気及び酸素が入るのを防ぐ環境が提供される。
【0058】
図1及び2に示すように、錠剤組成物2aは、ブリスターパックとして知られる大型封入具に封入することもできる。これらはしばしばチャイルドレジスタント包装に使用される。20グラムを超えるものなどの大型錠剤サイズで、より便利に包装しブリスターとしている。図1及び2におけるブリスターパックは、接着剤8を使用してフィルム1のシートに結合された箔層3を備えている。箔層3とフィルム1のシートとの間の空間2に、錠剤組成物2aが入っている。箔層3の一部を、5及び領域6に示すように接合されないままとして、ブリスターパックを開くフラップ(折り返し)を提供することができる。ブリスターパックには、7に示すパーホレーション(切り取り線)を入れて、個々のブリスターに分割できるようにすることができる。
【0059】
製造及び包装操作における環境条件が、密封された組成物の安定度に影響を及ぼす可能性があることも見出された。周囲温度及び湿気が最も重要な因子である。相対湿度を約15%RH未満に保持することが好ましく、また温度を約26.7℃(約80°F)未満に保持することが好ましい。相対湿度を約10%未満、また温度を約21.1℃(70°F)未満とするのが最も好ましい。
【0060】
例えば包装操作は、自動二重アルミニウム包装機で行うことができる。2巻きのアルミニウム製フレキシブルラミネートフィルムのロールを機械に供給し、約65.6〜約93.3℃(150〜200°F)で錠剤の周囲を温度シールすることができる。錠剤を封入した二重シールアルミニウムラミネートフィルム片を切断して4"×3"片とすることができる。次いでこの片をラベル付き紙箱に収納することができる。
【実施例】
【0061】
(実験の部)
全ての濃度の読取りは、ハッチ(Hach)DR 2500分光計で行った。
(実施例1)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
モノ過硫酸カリウム(KMPS) 1.5グラム、
臭化ナトリウム 0.9グラム
を水300mlに添加する。その結果は、pH 6.5において5分後に二酸化塩素1400mg/リットル(1400ppm)であった。
【0062】
(実施例2)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
KMPS 1.2グラム、
臭化ナトリウム 0.9グラム
を水300mlに添加する。その結果は、pH 7.0において5分後に1050ppmであった。
【0063】
(比較実施例A)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
KMPS 1.2グラム、
塩化ナトリウム 0.7グラム
を水300mlに添加する。その結果は、pH 7.0において5分後に420ppmであった。塩化ナトリウムを使用してより高い収量を得るためには、pHを4以下に低下させて、臭化ナトリウムと比較し同等の収量を達成しなければならなかったであろう。
【0064】
(実施例3)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
ブロモクロロイソシアヌル酸ナトリウム 0.5グラム
を水300mlに添加する。その結果は、pH 7.0において15分後に350ppmであった。
【0065】
(実施例4)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
ブロモクロロイソシアヌル酸ナトリウム 0.5グラム、
臭化ナトリウム 0.5グラム
を水300mlに添加する。その結果は、pH 7.0において15分後に400ppmであった。
【0066】
(実施例5)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
モノ過硫酸カリウム 1.2グラム
を新鮮な海水300mlに添加する。その結果は、pH 6.0において20分後に600ppmであった。
【0067】
(実施例6)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
臭化アンモニウム 0.5グラム、
モノ過硫酸カリウム 1.2グラム
を水300mlに添加する。その結果は、pH 6.5において5分後に900ppmであった。
【0068】
(実施例7)
亜塩素酸ナトリウム 1.0グラム、
モノ過硫酸カリウム 2.0グラム、
臭化ナトリウム 0.9グラム
を水300mlに添加する。直ちに暗赤色を生じ、それが2時間にわたって残存した。特性的な臭素の臭気が検出された。溶液には、目に見える若しくは測定可能な二酸化塩素は全く生じなかった。大量のモノ過硫酸カリウムのためpHが低過ぎ、このため臭素を生成する反応を誘発したものと考えられる。
【0069】
(比較実施例B)
比較実施例Bは、公開米国特許出願第2006/0016765号の実施例4から取っている。その実施例4において、水100ml当り0.07g未満で測定してpH 4.1の組成物中に臭化亜鉛が使用された。組成物中に存在するOXONE(モノ過硫酸カリウム)の量が72.6%という高百分率であったためpHが低かった。2.6gの錠剤を水3.785リットルに溶解した。これは水100ml当り約0.07gと解釈される。錠剤が不活性成分を含有していたので、活性成分は実際には、水100ml当り約0.07g未満の量で存在していた。活性成分の濃度を100ml当り1gまで増加させると、pHは4.1よりもさらに低かったであろう。
これに反して、本発明による実施例では、水100ml中に1gの活性成分を溶解した場合、6〜7の範囲内にあるpHを提供した。
【0070】
(実施例8)
以下の配合を有する錠剤を上述のように調製した:
亜塩素酸ナトリウム31%、
臭化ナトリウム28%、
モノ過硫酸カリウム16%、
硫酸ナトリウム8%、
硫酸マグネシウム10%、
ステアリン酸マグネシウム7%。
【0071】
3種の微生物:サッカロミセス属(Saccharomyces)、ザイゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)、ブレッタノミセス属(Brettanomyces)について殺生物剤有効性を測定する実験を行った。その結果は、3種の微生物について強い殺生物剤作用を立証している。
脱イオン水1リットル中に錠剤1個を溶解することにより溶液を調製し、微生物有効性を試験した。
【0072】
CA(カリフォルニア)州Modestoのジーサンエンタープライズ(G3 Enterprises)社により殺生物剤試験を行った。その結果を表1〜3に示している。
【表1】

【表2】

【表3】

【0073】
(本発明の利点)
二酸化塩素の発生は、中性pHで速やかに起こる。
本発明では、次亜塩素酸塩及び塩素化イソシアヌレートなどの危険な塩素発生性化合物の使用を避けており、したがって溶液中で遊離塩素が発生しない。
本発明では、組成物に酸性化剤物質を添加することを避け、それによって安定度を増し、腐食性を減じている。
二酸化塩素の発生は、残渣がなく高い収量で速やかに起こる。
【0074】
本組成物は、従来記述されている組成物よりも大きな安全性プロファイルを有する。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムはNFPA格付け(3-1-2)を有し、DOTにより酸化剤として分類されている。モノ過硫酸カリウムはNFPA格付け(3-0-1)を有し、DOTにより腐食性固体として分類されている。
【0075】
本組成物は、従来記述されている組成物が有するような塩素様臭気を有しない。
3種以上の前駆体化合物が存在することを要する大部分の製剤と異なって、前駆体2種のみを使用して高収量における二酸化塩素放出を達成することができる。
【0076】
特許請求している本発明を詳細に、その特定の実施態様を参照して記述しているが、その精神及び範囲から逸脱せずに、特許請求している本発明に対し種々の変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明によるブリスターパックの上面図である。
【図2】本発明によるブリスターパックの側面図である。
【図3】本発明によるストリップパックの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求に応じて二酸化塩素を生成する固体組成物であって、
次亜臭素酸の固体供給源と;
亜塩素酸塩の固体供給源とを含み、前記次亜臭素酸の固体供給源及び亜塩素酸塩の固体供給源が、水100ml当り前記組成物の活性成分1gの濃度で25℃において測定して、前記組成物を水中に溶解することから形成される溶液のpHが5〜9であるような量で存在し、前記活性成分が、前記次亜臭素酸の固体供給源及び前記亜塩素酸塩の固体供給源の合計重量である、前記組成物。
【請求項2】
前記亜塩素酸塩の固体供給源がアルカリ又はアルカリ土類金属亜塩素酸塩を含み、前記次亜臭素酸の固体供給源が酸化剤及び臭化物塩を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項3】
前記酸化剤が、アルカリ及びアルカリ土類過硫酸塩、モノ過硫酸塩、アルカリ及びアルカリ土類過酸化物、過酸化尿素、過炭酸塩、過ケイ酸塩、過リン酸塩及び過酸化水素からなる群から選択される少なくとも1種の酸化剤である、請求項2記載の固体組成物。
【請求項4】
前記臭化物塩が、アルカリ及びアルカリ土類金属臭化物からなる群から選択される少なくとも1種の臭化物塩を含む、請求項2記載の固体組成物。
【請求項5】
前記臭化物塩が、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、臭化アンモニウム及び臭化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2記載の固体組成物。
【請求項6】
前記亜塩素酸塩の固体供給源がアルカリ又はアルカリ土類金属亜塩素酸塩を含み、前記次亜臭素酸の固体供給源が酸化剤及び固体の臭化物放出性化合物を含む、請求項1記載の要求に応じて二酸化塩素を生成する固体組成物。
【請求項7】
前記固体の臭化物放出性化合物が、臭素化ヒダントイン、ブロモクロロヒダントイン-BCDMH、ジブロモジメチルヒダントイン、臭素化イソシアヌレート及びブロモクロロイソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項6記載の固体組成物。
【請求項8】
前記酸化剤が、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、過形成された過カルボン酸、有機及び無機過酸化物、ヒドロペルオキシド、有機過酸化物、ヒドロペルオキシド、ジアシル及びジアルキルペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジラウロイル、過酸化ジクミル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項2記載の固体組成物。
【請求項9】
ジペルオキシドデカン二酸(DPDDA)、過フタル酸マグネシウム、過ラウリン酸、過安息香酸、ジペルオキシアゼライン酸及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のペルオキシ酸をさらに含む、請求項2記載の固体組成物。
【請求項10】
前記臭化物塩が、臭素に富む海塩又は鹹水を含む、請求項2記載の固体組成物。
【請求項11】
前記臭化物放出性化合物が、臭化アンモニウム、臭化アルキルアンモニウム、臭化ジアルキルアンモニウム、臭化トリアルキルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、前記アルキル基が、炭素原子1個〜約24個の間の直鎖若しくは分岐脂肪族、芳香族又はアリール炭化水素基から独立に選択される、請求項6記載の固体組成物。
【請求項12】
前記臭化物放出性化合物が、臭化物イオン交換物質を含む、請求項6記載の固体組成物。
【請求項13】
次亜塩素酸の供給源をさらに含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項14】
次亜ヨウ素酸の供給源をさらに含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項15】
前記次亜臭素酸の供給源が次亜臭素酸塩化合物を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項16】
前記次亜臭素酸塩化合物が、次亜臭素酸リチウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜臭素酸マグネシウム、次亜臭素酸亜鉛、及びこれらの混合物などの、アルカリ及びアルカリ土類金属次亜臭素酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項15記載の固体組成物。
【請求項17】
塩素化リン酸三ナトリウム、塩素化ポリリン酸三ナトリウム及び塩素化リン酸三ナトリウムドデカ水和物、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の次亜塩素酸塩発生剤をさらに含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項18】
次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸亜鉛及びこれらの混合物などの、アルカリ及びアルカリ土類金属次亜塩素酸塩からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項19】
前記次亜臭素酸の供給源がブロモシアヌレート又はブロモシアヌレートの塩を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項20】
前記ブロモシアヌレート又はブロモシアヌレートの塩が、トリブロモイソシアヌル酸、ジブロモイソシアヌル酸、モノブロモイソシアヌル酸、モノブロモ-ジクロルイソシアヌル酸、ジブロモ-モノクロロイソシアヌル酸及びモノブロモ-モノクロロ-イソシアヌル酸からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項19記載の固体組成物。
【請求項21】
前記次亜臭素酸の供給源が、1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-,ナトリウム塩(ジブロモイソシアヌル酸ナトリウムCAS#15114-34-8);1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-,カリウム塩(ジブロモイソシアヌル酸カリウムCAS#15114-46-2); 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1-ブロモ-3-クロロ-,ナトリウム塩(ブロモクロロイソシアヌル酸ナトリウムCAS#20367-88-8); 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1-ブロモ-3-クロロ-,カリウム塩(ブロモクロロイソシアヌル酸カリウムCAS#29545-74-2); 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-5-クロロ-(ブロモクロルイソシアヌル酸CAS#666714-66-5); 1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン,1,3-ジブロモ-(ジブロモシアヌル酸CAS#15114-43-9);及びモノブロモ-モノクロロ-イソシアヌル酸ナトリウム(ブロモクロロイソシアヌル酸一ナトリウム塩水和物CAS#164918-61-0)を含む次亜臭素酸塩発生性化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項22】
前記次亜臭素酸の供給源が、N-ブロモフタルアミド、N,N-ジブロモジメチルヒダントイン、N,N-ジブロモジエチルヒダントイン、N,N-ジブロモジメチルグリコールウラシル、ジブロモトリエチレン-ジアミン二塩化水素及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の次亜臭素酸塩発生性有機化合物を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項23】
トリクロロシアヌル酸、ジクロロシアヌル酸、モノ-クロロシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(二水和物及び無水物)、ジクロロイソシアヌル酸カリウム、N,N-ジクロロ-s-トリジントリオン、N-クロロフタルアミド、N-ジクロロ-p-トルエンスルホンアミド、2,5-N,N-ジクロロアゾジカルボンアミジン塩酸塩、NNNN-テトラクロログリコールウラシル、N,N-ジクロロイル-N,N,N-トリクロロメラミン、N-クロロスクシンイミド、メチレン-ビス(1-クロロ-5,5-ジメチエチルヒダントイン)、1,3-ジクロロ-5-メチル-5-イソブチルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5-n-アミルヒダントイン、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、1,4-ジクロロ-5,5-ジエチルヒダントイン、1-1モノクロル-5,5-ジメチルヒダントイン、ナトリウム-パラ-トルエンスルホクロラミン、ジクロロスクシンアミド、1,3,4,6-テトラクロログリコウラシル;クロロイソシアヌル酸、ジクロロシアヌル酸及びトリクロロシアヌル酸のカリウム及びナトリウム塩;N-臭素化及びN-塩素化スクシンイミド、マロンイミド、フタルイミド及びナフタルイミドのカリウム及びナトリウム塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の次亜塩素酸塩発生性化合物をさらに含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項24】
少なくとも1種のハロヒダントインを含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項25】
1-ブロモ-3-クロロ-5,5-ジメチルヒダントイン(BCDMH)、1-ブロモ-3-クロロ-5-メチル-5-エチル-ヒダントイン(BCEMH)、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)、1,3-ジブロモ-5-メチル-5-エチル-ヒダントイン(DBEMH)及びこれらの混合物などからなる群から選択される少なくとも1種のハロヒダントインを含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項26】
トリクロロメラミン、トリブロモメラミン、ジブロモ-及びジクロロ-ジメチルヒダントイン、クロロブロモ-ジメチルヒダントイン、N-クロロスルファミド(ハロアミド)、クロラミン(ハロアミン)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のN-ハロアミンを含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項27】
N-ブロモ-N-クロロジメチルヒダントイン、N-ブロモ-N-クロロジエチルヒダントイン、N-ブロモ-N-クロロジフェニルヒダントイン、N-ブロモ-N,N-ジクロロ-ジメチルグリコウラシル、N-ブロモ-N-クロロシアヌル酸ナトリウム、ブロモクロロトリエチレンジアミン二塩化水素及びこれらの混合物を含むものからなる群から選択される少なくとも1種の部分塩素化及び臭素化された化合物を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項28】
塩化物又はヨウ化物塩と合わせた臭化物塩を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項29】
前記塩化物又はヨウ化物塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化アンモニウム、塩化アルミニウム及びこれらの混合物を含む、請求項28記載の固体組成物。
【請求項30】
約10〜約90重量%の亜塩素酸ナトリウムと;
約10〜約90重量%の臭化ナトリウムと;
約5〜約90重量%のモノ過硫酸カリウムとを含み、前記重量百分率が前記組成物の全重量に対するものである、請求項2記載の固体組成物。
【請求項31】
約20〜約60重量%の亜塩素酸ナトリウムと;
約10〜約60重量%のモノ過硫酸カリウムと;
約10〜約40重量%の、臭化ナトリウム又は臭化アンモニウムの少なくとも1種とを含む、請求項2記載の固体組成物。
【請求項32】
前記臭化物塩が、臭化カルシウム及び臭化亜鉛以外のものである、請求項2記載の固体組成物。
【請求項33】
前記次亜臭素酸の固体供給源及び亜塩素酸塩の固体供給源が、25℃において水100ml当り前記組成物の活性成分1gの濃度で測定して、前記組成物を水中に溶解することから形成される溶液のpHが6〜8であるような量で存在する、請求項1記載の固体組成物。
【請求項34】
前記次亜臭素酸の固体供給源及び亜塩素酸塩の固体供給源が、25℃において水100ml当り前記組成物の活性成分1gの濃度で測定して、前記組成物を水中に溶解することから形成される溶液のpHが6.5〜7.5であるような量で存在する、請求項1記載の固体組成物。
【請求項35】
前記亜塩素酸塩の固体供給源が亜塩素酸ナトリウムを含み、前記次亜臭素酸の固体供給源がブロモシアヌレートを含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項36】
前記ブロモシアヌレートがブロモクロロシアヌレートである、請求項35記載の固体組成物。
【請求項37】
前記組成物が、約10〜約90%の次亜臭素酸の固体供給源と、約10〜約90%の亜塩素酸塩の固体供給源とを含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項38】
高バリア包装中に密封される、請求項2記載の組成物を有する錠剤を含む、密封形殺生物剤物品。
【請求項39】
前記錠剤がブリスターパック中に密封されている、請求項38記載の密封形殺生物剤物品。
【請求項40】
前記錠剤がストリップパック中に密封されている、請求項38記載の密封形殺生物剤物品。
【請求項41】
二酸化塩素の生成方法であって、
生成される次亜臭素酸が亜塩素酸ナトリウムと反応して二酸化塩素を生成するように、請求項2記載の組成物を水に添加することを含む、前記方法。
【請求項42】
水中において次亜臭素酸を生成するステップをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
次亜塩素酸を使用して、臭化物塩を次亜臭素酸に変換するステップをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
亜塩素酸ナトリウム及びモノ過硫酸カリウムを海水に添加するステップをさらに含む、請求項41記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−523708(P2009−523708A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545810(P2008−545810)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/047729
【国際公開番号】WO2007/078838
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508178249)
【Fターム(参考)】