説明

固体物の選別方法及びその選別装置

【課題】廃棄物をリサイクルするために選別する際、プラスチック同士等、従来特に選別が困難であった比重が同じものを分別し、再利用することができるよう選別の精度をあげる。
【解決手段】被選別物の比重が同じであっても、被選別物の硬度(圧縮強度あるいは弾性率)の違いを利用して、被選別物の中から選別したい天然ゴム18aに選別用錐3を押圧し、選別用錐3の尖端2を天然ゴム18aに圧入し、固着させることにより、固着されないポリエチレン18bとに選別することにより、異なる固体物が混在する被選別物の中から必要なものを精度よく選別する。あるいは選別棒の先端を被選別物に押し当て、選別棒先端の変位量の違いにより識別し、吸引または吹き飛ばすことにより選別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プラスチック等の有機物を選別し、回収する固体物の選別方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を再生、再利用するためには、被選別物をその材料の種類毎に細かく選別する必要がある。
【0003】
通常、廃棄物のリサイクル処理において、材料の分離、選別は以下の方法で行われる。
(1)比重、浮力(比重液、遠心、風選、選択的浮遊)による選別方法
(2)ろ過、ふるいによる選別方法
(3)電磁気的性質(磁力、渦電流、静電気分離)を利用した電磁気的選別方法
(4)分析機器(分光法、蛍光X線、マーク・ラベル認識)による選別方法
例えば、冷蔵庫やテレビ等の廃棄物の選別において、金属やガラス、発泡成形体を除去した後のプラスチックの種類別の選別は、低温破砕後のふるい選別機、静電気分離機、比重選別機を用いて行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、プラスチックを反発板上に落下させ、材料による反発係数の違い(硬度の違い)を利用して、反発した後の飛翔方向により選別を行う揺動反発式選別機による方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3234939号公報(3−5頁、図1)
【特許文献2】特開平10−225930号公報(2頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のふるいや静電気分離、比重による選別方法では、被選別物であるプラスチック等の有機物と金属、有機物の比重の異なる物質や電磁気的性質の異なる材料は選別が可能であるが、これらの性質が似通った材料、例えばゴムとプラスチックについては、比重が同じであって十分に選別できず、また、揺動反発による選別方法では、大きさや重量の影響を受け、単純に硬度の違いだけでは選別できず、再利用されず埋め立てもしくは焼却処分されており、プラスチックの再生、再利用が進んでいないという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、例えば、被選別物であるゴムとプラスチック、プラスチック同士のように比重が同じであるため、従来の選別方法では選別が困難であった被選別物を、さらに細かく材料の種類毎に容易に効率よく選別することができる固体物の選別方法と装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係わる固体物の選別方法においては、比重が同じで選別が困難であった固体物の被選別物を選別するため、被選別物の材料による硬度の違いを利用し、被選別物に一定の圧力で選別用錐を押圧し、選別用錐が圧入され、固着されるものを被選別物の中から選別するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、固体物である被選別物の硬度の違いを利用して選別することにより、従来法では選別が困難であった電磁気的性質や比重が同じである材料を選別することができる、といった顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1における固体物の選別方法を示す選別機の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態1における固体物の選別機の動作を説明する前半の工程図である。
【図3】実施の形態1における固体物の選別機の動作を説明する後半の工程図である。
【図4】実施の形態2における固体物の選別機の構成及び動作を説明する工程図である。
【図5】実施の形態3における固体物の選別機の構成及び動作を説明する工程図である。
【図6】実施の形態4における固体物の選別機のベルトコンベア部の断面図である。
【図7】実施の形態4における固体物の選別機のパレットの平面図である。
【図8】実施の形態5における固体物の選別機のベルトコンベア部の断面図である。
【図9】実施の形態6における固体物の選別装置を示す概略構成図である。
【図10】実施の形態6における固体物の選別装置の選別工程を示すフロー図である。
【図11】実施の形態1から7で使用される選別用錐の尖端形状を示す断面図である。
【図12】実施の形態8における固体物の選別方法を示す選別機の構成を示す断面図である。
【図13】実施の形態8における固体物の選別機の動作を説明する工程図である。
【図14】実施の形態8における固体物の選別機の動作を説明する工程図である。
【図15】実施の形態9における固体物の選別方法を示す選別機の構成を示す断面図である。
【図16】実施の形態10における固体物の選別装置を示す概略構成図である。
【図17】実施の形態11おける固体物の選別装置を示す概略構成図である。
【図18】実施の形態10、11における固体物の選別装置の選別工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明における固体物の選別方法は、被選別物であるゴムとプラスチック、プラスチック同士で比重が同じであっても硬度が異なるという性質に着目している。ここでいう硬度とは、圧縮強度あるいは弾性率を示す。
次に、実施の形態により固体物の選別方法と選別装置について説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における固体物の選別方法を示す選別機の構成を示す断面図である。図2は実施の形態1における固体物の選別機の動作を説明する前半の工程図で、図3は実施の形態1における固体物の選別機の動作を説明する後半の工程図である。
【0013】
図1において、選別機1においては、尖端2を有するステンレス製の選別用錐3が、ロッド4に取り付けられてマトリクス状に配置されており、このロッド4の一部はシリンダ5内に摺動可能に取り付けられ、このシリンダ5は支持体6に固定されている。脱離板7には、ボールねじ8が取り付けられており、支持体6に固定されたモータ9によりこのボールねじ8が矢印10のように回転されると、脱離板7が支持体6に取り付けられたガイド11に沿って、支持体6に対して矢印12の方向に可動できるようになっている。また、支持体6に取り付けられた可動アーム13(可動アームの駆動装置は省略する)は、支持体6を矢印14に示す方向に可動できるようになっていて、その位置を制御することができる。選別用錐3が、脱離板7に所定の間隔で設けられた貫通孔15に正確に貫通できるよう、支持体6に取り付けられたガイドピン16が脱離板7に形成されたガイド孔17に貫入することで水平方向の位置決めがなされる。
【0014】
選別機1以外に、天然ゴム18a、ポリエチレン18bの混在した固体物である被選別物を整載して、選別機1に搬送するベルトコンベア19の搬送ベルト20と、選別機1により選別された被選別物である天然ゴム18aを投入する回収容器21が、可動アーム13により選別機1が回転移動する位置(紙面に垂直方向)に、また、選別されない被選別物であるポリエチレン18bを投入する回収容器22が搬送ベルト20の進行端の先にそれぞれ配設されている。ここで、ステンレス製の選別用錐3は天然ゴム18aやポリエチレン18bより大きい圧縮強度を有するものを使用している。
【0015】
次に、本実施の形態1による選別機1とベルトコンベア19の動作について、図2、図3を参照して説明する。図2、図3において、同一の符号は、同一又は相当の構成を示している。また、これらを制御する制御部とシリンダ5については省略している。
【0016】
(a)第一工程(整載)
破砕され、約1cm大きさに揃えられた被選別物の内、予め金属やセラミック等は通常の比重や電磁気的選別方法により選別され、取り除かれる(図示せず)。
【0017】
図2(a)に示すように比重等が同じで選別されなかった、例えば、天然ゴム18aとポリエチレン18bが混在している被選別物は、ベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載される。天然ゴム18aとポリエチレン18bは比重がいずれも約0.9で、帯電性すなわち電磁気的特性もほぼ同じである。
【0018】
(b)第二工程(搬送)
次に、図2(b)に示すように、ベルトコンベア19の搬送ベルト20を移動させることにより、搬送ベルト20上に整載された天然ゴム18a、ポリエチレン18bは、選別機1の脱離板7の下方に搬送され、停止される。この工程では、脱離板7は、選別用錐3の尖端2が突き出る位置に保持されている。
【0019】
(c)第三工程(押圧、固着)
天然ゴム18a、ポリエチレン18bの搬送が完了すると、図2(c)に示すように第三工程では、可動アーム13を操作して、支持体6が矢印で示す方向23に降下され、支持体6に取り付けられたステンレス製の選別用錐3の尖端2が、搬送ベルト20上に置かれた天然ゴム18a、ポリエチレン18bに接触する(シリンダ5は省略)。ここで、図1に示すシリンダ5により5MPaの圧力で、ロッド4に取り付けられた選別用錐3の尖端2が、天然ゴム18a、ポリエチレン18bに押圧される。選別用錐3の圧入し易さを示す硬度、すなわち圧縮強度は、天然ゴム18aでは凡そ1MPaであり、ポリエチレン18bでは30MPaである。選別用錐3の尖端2を天然ゴム18aの圧縮強度よりも大きい5MPaの圧力に設定しているため、圧縮強度の小さい天然ゴム18aは選別用錐3の尖端2が圧入され、固着されるが、圧縮強度の大きいポリエチレン18bは、選別用錐3の尖端2は圧入されない。
【0020】
(d)第四工程(天然ゴム選別、保持)
次に、この第四工程では、図3(d)に示すように可動アーム13を操作して、支持体6が矢印の方向24に上昇されるが、この際、選別用錐3の尖端2が圧入、固着された天然ゴム18aも選別用錐3と一緒に持ち上げられる。選別用錐3の尖端2に固着されなかったポリエチレン18bは、搬送ベルト20上に残される。
【0021】
(e)第五工程(天然ゴム脱離、回収)
図3(e)に示す第五工程では、可動アーム13を操作して、選別機1を紙面と垂直方向にある回収容器21の上に移動させる。ここで、モータ9を作動させ、ボールねじ8を回転させて、ガイド11に沿って、脱離板7を矢印の方向25に降下させることにより、脱離板7は、選別錐3の尖端2よりも下降されることにより、選別錐3の尖端2に固着されていた天然ゴム18aは脱離板7に接触し、選別用錐3の尖端2から脱離される。脱離された天然ゴム18aは落下し、回収容器21にて回収される。
【0022】
(f)第六工程(ポリエチレン回収)
この後、図3(f)に示すように、ベルトコンベア19を作動させる。これにより、選別用錐3の尖端2に固着されず、搬送ベルト20上に残されたポリエチレン18bは、搬送ベルト20とともに移動して、落下し、回収容器22に回収される。
【0023】
最後に、可動アーム13を操作し、選別機1は、第五工程の場合と逆方向に移動され、再び、搬送ベルト20の上の位置に戻される。同時に、モータ9により、ボールねじ8を第五工程の場合と逆回転させ、脱離板7を選別用錐3の尖端2が突き出る位置に戻す。これにより、新たな被選別物である天然ゴム18a、ポリエチレン18bが搬送ベルト20に整載される最初の状態に戻る。この一連の動作を繰り返すことにより、被選別物の天然ゴム18a、ポリエチレン18bの中から選別したい天然ゴム18aを選別する。ここでは、周囲温度27℃付近の室温下で実施される。
【0024】
ここで、シリンダ5には、空圧あるいは油圧シリンダが使用され、選別用錐3の尖端2が被選別物に一定の圧力で押圧される。脱離板7の貫通孔15の径は、選別用錐3が貫通でき、被選別物よりも小さく設定されている。天然ゴムやプラスチック類の圧縮強度は、概ね1MPaから100MPaの範囲にあるので、従って、被選別物に合わせて、この1MPaから100MPaの範囲で選別用錐3を被選別物に押圧する力を調節することにより、被選別物中から圧縮強度の異なる選別したい固体物を選別することが可能である。
【0025】
これにより、従来困難であった比重が同じ固体物が混在する被選別物であっても固体物の圧縮強度差を利用することにより、さらに細分化した選別が可能となる。また、この選別方法では、水や薬品等を使用しないため、環境負荷が小さいという優れた効果もある。
【0026】
実施の形態2.
図4は、この発明の実施の形態2における固体物の選別機の構成及び動作を説明する工程図であり、図4(a)は、選択したい被選別物を選別用錐の固着させた状態図、図4(b)は、選別された被選別物を選別用錐から脱離する状態図、図4(c)は、選別されなかった被選別物を回収する状態図を示す。図4において、実施の形態1と同一符号は、同一又は相当部分を示し、説明を省略している。
【0027】
図4(a)で示すように、実施の形態2では、実施の形態1で被選別物を整載する搬送ベルト20の替わりに、パレット26を使用するものであり、パレット26、架台27、伸縮脚28を除く、選別機1の構成は実施の形態1と同一である。図4(a)に示すこの工程では、予め、被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bはパレット26上に整載され、このパレット26は架台27に載置される。この架台27には、伸縮脚28が取り付けられている。実施の形態1の図2(c)と同様に可動アーム13により支持体6を操作し、選別用錐3の尖端2をパレット26上に載置された天然ゴム18aとポリエチレン18bに押圧し、選択したい天然ゴム18aを選別用錐3の尖端2に固着させ、その後、支持体6を上昇させパレット26から天然ゴム18aを取り除く。
【0028】
次に、図4(b)に示す工程で、選別機1は、可動アーム13により、回収容器21上に移動され、モータ9を作動させることにより、ボールねじ8が回転され、ガイド11に沿って、脱離板7は矢印の方向29に下降される。ここで、脱離板7は、選別錐3の尖端2よりも降下されることにより、選別錐3の尖端2に固着されていた天然ゴム18aは脱離板7に接触し、選別用錐3の尖端2から脱離される。脱離された天然ゴム18aは落下し、回収容器21にて回収される。さらに、図4(c)に示す工程で、矢印で示すように架台27の脚28の一方を上方30aに伸ばし、他の一方を下方30bに縮めてパレット26を傾斜させることにより、パレット26上に残されたポリエチレン18bはパレット26上を滑落し、回収容器22に回収される。
【0029】
実施の形態2では、被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bをパレット26上に載置して、選別機1で選別することにより、選別装置が簡単になり、配置の自由度が増し、選別装置全体の設置面積が少なくて済むという効果がある。
【0030】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3における固体物の選別機の構成及び動作を説明する工程図である。
【0031】
図5においては、選別用錐3はロッド4とシリンダ5(図示せず、図1と同様)を介して回転ドラム31にドラムの円周方向と長手方向にマトリクス状にドラムの中心に対して放射状に取り付けられており、また、脱離ベルト32は、この回転ドラム31に一部が巻装されるように取り付けられており、駆動モータ33により回転ドラム31に同期して回転する。さらに、脱離ベルト32にはベルトの長手方向および直角方向に一定の間隔で矩形状の開口部34がマトリクス状に設けられており、この開口部34を通して、選別用錐3が挿脱されるよう構成されている。回収容器22は、搬送ベルト20の進行方向の先に、さらに、回収容器21は、選別用錐3が脱離ベルト32の開口部34に収納される位置にそれぞれ配置されている。
【0032】
次に動作について説明する。まず、図5(a)に示す工程では、ベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載され、回転ドラム31に同期して移動する被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bに選別用錐3の尖端2を5MPaの圧力で押圧し、選別したい被選別物の天然ゴム18aを固着、保持する。次に、図5(b)に示す工程では、回転とともに回転ドラム31から脱離ベルト32が離れることにより、選別用錐3は、開口部34内に引き込まれ、選別用錐3の尖端2に固着された天然ゴム18aは、脱離ベルト32に接触して脱離され、落下して回収容器18に回収される。図5(c)に示す工程では、選別用錐3に固着されず搬送ベルト20上に取り残されたポリエチレン18bは、やがて搬送ベルト20から落下して回収容器22に回収される。図5(b)では、既に回収されたポリエチレン18bも記載されている。これにより、天然ゴム18aとポリエチレン18bを選別することができる。
【0033】
実施の形態3による固体物の選別方法では、連続的に、選別作業が続けられるため、作業効率よく、短い時間で処理することが可能になるという効果がある。
【0034】
実施の形態4.
図6は、実施の形態4における固体物の選別機のベルトコンベア部の断面図を示す。図7は本実施の形態における固体物の選別機のパレットの平面図である。
【0035】
本実施の形態においては、実施の形態1と同様な構成の固体物の選別機において、選別機のベルトコンベア19の搬送ベルト20に被選別物が入る一定の大きさの枠を持つ仕切り35を設けたものである。このような構成によって、被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bとが搬送ベルト20の仕切り35枠内に整載されることにより、搬送時に被選別物の天然ゴム18aとポリエチレン18bとが動かず、また選別用錐3で加圧する際、天然ゴム18aとポリエチレン18bとが動かず固着が確実に行われる。
【0036】
図7は本実施の形態における別の構成を示したもので、実施の形態2と同様な構成の固体物の選別機において、パレット26に仕切り35を設けたものである。このような構成によって、図6の搬送ベルトに仕切り35を設けた場合と同様に、パレット26の移動時に天然ゴム18aとポリエチレン18bとが動かず、また選別用錐3で押圧する際も、天然ゴム18aとポリエチレン18bとが動かず固着が確実に行われるという効果がある。
【0037】
実施の形態5.
図8は、実施の形態5における固体物の選別機のベルトコンベア部の断面図である。図1、5及び図6と同一の構成には、同一の符号を付している。本実施の形態においては、実施の形態1、3または4と同様な構成の固体物の選別機において、被選別物の投入口であるホッパ36から搬送器であるベルトコンベア19の搬送ベルト20上に被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bを整載するために被選別物に振動を与える整列板37を設けたものである。このような構成によって、被選別物の天然ゴム18aやポリエチレン18b同士が重なり合わず、天然ゴム18aとポリエチレン18bに対して選別用錐3の押圧が確実に行えるという効果がある。
【0038】
実施の形態6.
図9は、実施の形態6における固体物の選別装置を示す概略構成図である。図10はこの選別装置における選別工程を示すフロー図である。図9、図10を参照して選別装置の構成と動作を説明する。なお、実施の形態1及び5と同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0039】
図9に示すように、選別機1と搬送手段であるベルトコンベア19、回収容器21、22とベルトコンベア19に被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bを投入するためのホッパ36、このホッパ36から投下された天然ゴム18aとポリエチレン18bをベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載させるための整列板37、搬送された天然ゴム18aとポリエチレン18bから天然ゴム18aを選別する選別機1と選別された天然ゴム18aと選別されなかったポリエチレン18bをそれぞれ回収する回収容器21、22と制御回路38及び信号線39で構成されている。
【0040】
なお、制御回路38は、ホッパ36に天然ゴム18aとポリエチレン18bをベルトコンベア19に載せる信号を、整列板37に振動を与える信号を、ベルトコンベア19の稼動および停止の信号を、モータ9を作動させて脱離板7を上下させる駆動信号を、可動アーム13により選別機1を上下させ、回収容器21上に移動させる駆動信号を、それぞれ信号線39を通じて送る。選別機1とベルトコンベア19の詳細は実施の形態1で述べたので、ここでは、説明を省略する。
【0041】
本実施の形態6における固体物の選別装置は、図10に示す、次の工程で動作する。
【0042】
ステップ1で、被選別物を破砕し、大きさを揃える。
【0043】
ステップ2で、予め金属やセラミック等は通常の比重や電磁気的選別方法により選別され、取り除かれる。
【0044】
ステップ3で、比重等が同じで選別できなかった被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bがホッパ36に投入される。
【0045】
ステップ4で、天然ゴム18aやポリエチレン18bは、ホッパ36から搬送手段であるベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載される。この際、整列板37で被選別物が重なり合わないように整えられて、搬送ベルト20上に載置される。次に、天然ゴム18aとポリエチレン18bは搬送ベルト20にて選別機1の下に搬送され、停止される。
【0046】
ステップ5で、可動アーム13を操作して、支持体6を降下させることにより、押圧手段である選別用錐3が押し下げられ、シリンダ5(図示せず)により選別用錐3の尖端2が5MPaの圧力で天然ゴム18aとポリエチレン18bに押圧され、選別したい天然ゴム18aは選別用錐3の尖端2が圧入され、固着される。一方、ポリエチレン18bは圧縮強度が大きいため圧入されない。
【0047】
ステップ6で、選別用錐3の尖端2に固着された天然ゴム18aは、可動アーム13により支持体6を上昇させることにより選別用錐3とともに一緒に上昇する。この状態で、可動アーム13により、選別機1を回収容器21の上に移動させ、ここで、モータ9を作動させ、ボールねじ8を回転させて、ガイド11に沿って脱離板7を降下させることにより、被選別物の脱離手段である脱離板7は、選別錐3の尖端2よりも降下されることにより、選別錐3の尖端2に固着されていた天然ゴム18aは脱離板7に接触し、選別用錐3の尖端2から脱離される。脱離された天然ゴム18aは落下し、回収容器21にて回収される。
【0048】
ステップ7で、選別用錐3の尖端2が圧入されず、搬送ベルト20に残されたポリエチレン18bは、搬送ベルト20上を移動し、回収容器22に落下、回収される。なお、選別機1、支持体6、脱離板7、可動アーム13、搬送ベルト20、ホッパ36及び整列板37は信号線39を介して制御回路38により制御されている。
【0049】
本実施の形態6の固体物の選別装置は、以上のステップに従って被選別物を選別する。このように、選別用錐3を用いて、被選別物の中から、選別したい被選別物を固着し、取り除くことにより、比重が同じであっても、その固体物が持つ圧縮強度の違いから被選別物を効率よく、選別することができる。
【0050】
実施の形態7.
実施の形態7は、実施の形態1から6において、被選別物あるいは選別用錐の温度、あるいは両者の温度を制御して選別を行うものである。被選別物に応じて被選別物および選別用錐の加熱温度を調整することにより、被選別物をさらに細分化して選別することが可能になる。
【0051】
これは、一般に、固体を軟化点以上の温度にすると圧縮強度が小さくなり硬度が小さくなる。この軟化点はプラスチックやゴムの種類によって異なるため、常温では硬度すなわち圧縮強度が同程度のプラスチックであっても、軟化点の違いにより選別用錐3による圧入、固着の可否により選別が可能となる。
【0052】
例えば、ポリプロピレンとポリエチレンは両者とも比重が約0.9で、室温では圧縮強度も30MPaと差がないが、軟化点はポリエチレンが130℃、ポリプロピレンが170℃と異なるため、軟化点の違いを利用して選別することが可能である。
【0053】
尖端2がステンレス製の選別用錐3を使用して、約1cm大きさに破砕されたポリエチレンとポリプロピレンの混在物である被選別物に、選別用錐3を15MPaの力で押圧する。ここで、ポリエチレンとポリプロピレンの混在物を含め、選別機1と搬送ベルト20全体を130℃に加温しておく。
【0054】
その結果、ポリエチレンは軟化点に達しているため圧縮強度が低下し、硬度が小さくなり、選別用錐3の尖端2が圧入され、固着保持されるが、一方、ポリプロピレンは、軟化点に達していないため圧縮強度は変化せず硬度が大きいため、選別用錐3の尖端2が圧入されず、固着されない。130℃の温度で選別用錐3にポリエチレンを固着させ、保持し、選別用錐3から取り外す際も130℃となるように温度を設定しておく。
【0055】
このように、ポリエチレンとポリプロピレンといったプラスチック同士は、室温では圧縮強度に差がなく、すなわち硬度に差が無くて、選別が困難であったが、被選別物を加温することにより、選別が可能になる。従って、選別したい材料によって加温する温度を調整することにより、より細分化して選別することが可能となる効果がある。
【0056】
図11に上記の実施の形態1から7で使用できる選別用錐3の尖端2の形状を示す。上記実施の形態1から7では、選別用錐3の尖端形状は先端が尖った図11の先端(a)を使用する場合について述べたが、先端(b)、(c)、(d)、(e)の形状であってもよく、同様の効果が期待できる。選別用錐3の大きさは、被選別物の大きさに合わせて調整する。
【0057】
上記実施の形態1から6では、被選別物として、比重が約0.9と同じで、圧縮強度が異なる天然ゴムとポリエチレンとを選別する例について説明したが、さらに例を挙げると、比重が約1と同じ、シリコーンゴム(圧縮強度:5MPa)とポリスチレン(同:50MPa)とを、選別用錐3の押圧10MPaにより、また、比重が約1.2と同じ、ニトリルゴム(圧縮強度:5MPa)とポリカーボネート(同:70MPa)とを、選別用錐3の押圧10MPaで、それぞれ選別することが可能である。選別用錐3の押圧力は、固着される被選別物の圧縮強度のばらつきと固着されない被選別物の圧縮強度から決定すればよく、各実施の形態で示した押圧力に必ずしもとらわれる必要はない。実施の形態1でも述べたが、天然ゴムやプラスチック類の圧縮強度は、概ね1MPaから100MPaの範囲にあるので、他の実施の形態においても、被選別物に合わせて、この1MPaから100MPaの範囲で選別用錐3を被選別物に押圧する力を調節することにより、被選別物中から圧縮強度の異なる選別したい固体物を選別することが可能である。
【0058】
また、上記実施の形態1から7では、選別用錐3の材質として、ステンレス製を使用する場合について述べたが、上述したように被選別物の硬度(圧縮強度)に合わせて選択すればよく、強度的には、100MPaの圧力にも耐えられる硬度を有する鉄やステンレスあるいは金属炭化物粉末と金属粉末を焼結したWC−Co系を始めとする超硬合金も推奨される。ステンレスは錆び難いという利点がある。ステンレスの中でもSUS430のような400系ステンレスと鉄は、破損して被選別物の中に混入しても磁気選別が可能で除去し易いという利点もある。これに対して、銅やアルミニウムは数10MPaの圧縮強度しかないので、使用できる被選別物の材料の選別に制約があるが、実施の形態7のように選別用錐3を加温して使用する場合は、強度が低くてもよく、むしろ熱伝導率の大きいことが求められるので、銅やアルミニウムが適している。
【0059】
さらに、上記実施の形態1から7では、選別用錐3がシリンダ5により支持体6に取り付けられた場合について述べたが、バネ等の弾性体により押圧する場合であってもよく、油圧シリンダや空圧シリンダと同様の効果が期待できる。
【0060】
なお、上記実施の形態1から7では、選別したい被選別物を選別用錐3により、固着させて選別する場合について説明したが、逆に選別したい被選別物を固着させずに残しても、同様の効果があることは言うまでもない。また、上記実施の形態1から7では、二種類の固体物を選別する場合について述べたが、二種類以上の固体物が混在している被選別物の中から有用とされる固体物あるいは不要な固体物のみを取り出すという、いずれの使用方法の場合についても効果がある。また、二種類以上の固体物が混在している場合に、加温する温度の違う選別機1を複数台並べて、それぞれ固着する被選別物を違えて、被選別物の中からそれぞれ選別したい固体物を細分化して選別することもできる。なお、上記実施の形態1から7では、同じ比重を持つ被選別物を選別する場合について説明したが、必ずしも比重が同じである必要はなく、圧縮強度の異なる被選別物の選別に利用できることは言うまでもない。
【0061】
実施の形態8.
図12は、この発明の実施の形態8における固体物の選別方法を示す選別機の構成を示す断面図である。図13および図14は、本実施の形態における固体物の選別機の動作を説明する工程図である。
【0062】
図12において、選別機100においては、選別棒50に重り51と変位計52とがアーム53で選別機に取り付けられている。重り51は選別棒50を被選別物に一定の荷重で押し付けるためのもので、変位計52は被選別物に荷重が与えられたときの変形による先端50の変位を計測するためのものである。
【0063】
選別機100の下部には、天然ゴム18a、ポリエチレン18bの混在した固体物である被選別物を整載して、選別機100に搬送するベルトコンベア19の搬送ベルト20が配置されている。また、選別機100により選別された被選別物である天然ゴム18aを吸引する吸引機54が、搬送ベルト進行方向側に選別棒50と並んで上部、あるいは搬送ベルト進行方向側に対して横側で被選別物の高さに取り付けられている。さらに、選別されない被選別物であるポリエチレン18bを投入する回収容器22が搬送ベルト20の進行端の先に配設されている。ここでステンレス製の選別棒50の材料は、天然ゴム18aやポリエチレン18bよりも大きい硬度を有するものを使用している。
【0064】
次に、本実施の形態による選別機100とコンベア19の動作について、図13および図14を参照して説明する。図13および図14においてこれらを制御する制御部については省略している。
【0065】
破砕され、約1cmの厚さに揃えられた被選別物のうち、あらかじめ金属やセラミック等は通常の比重や電磁気的選別方法により選別され、取り除かれる(図示せず)。
【0066】
図13(a)に示すように、比重や電磁気的選別方法で選別されなかった例えば、天然ゴム18aとポリエチレン18bとが混在している被選別物は、ベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載され、ベルトコンベア19の搬送ベルト20を移動させることにより、天然ゴム18aあるいはポリエチレン18bは、選別機100の選別棒50の下方に搬送され、停止される。
【0067】
選別棒先端50aは、選別棒50に取り付けられた重り51と選別棒先端50aの底面積で調整された圧力2MPaで被選別物に押圧される。このとき被選別物への選別棒先端50aによる変形しやすさを示す硬度すなわち弾性率は、27℃では天然ゴムでおよそ10MPaであり、ポリエチレン18bではおよそ250MPaである。
【0068】
一般に
圧力÷弾性率=ひずみ
であることから
約1cm厚さの天然ゴムとポリエチレンを2MPaの力で上から押したとき
天然ゴムのひずみは、2MPa÷10MPa=0.2
となり、約1cmの厚さの場合、1cm×0.2=0.2cm すなわち2mm変形し、この場合上から押しているので2mm厚さがが薄くなる。
ポリエチレンのひずみは、2MPa÷250MPa=0.008
となり、約1cmの厚さの場合、1cm×0.008=0.008cm となり、ほとんど変形しない。
【0069】
このように、弾性率の大きいポリエチレン18bではポリエチレン18bが変形せず選別棒先端50aが押しこまれないため、選別棒先端50aの変位量は小さい(図13(b))が、後述するように、弾性率の小さい天然ゴム18aでは天然ゴムが変形し、選別棒先端50aが押し込まれるため、選別棒先端50aの変位量は大きい(図14(d))。このように構成することにより、選別棒先端50aの変位量の違いから、例えば閾値を0.1cmとしたとき、変位計52で計測することにより、天然ゴムかポリエチレンかを判別することができる。
【0070】
選別棒先端50aの変位量が閾値よりも小さいポリエチレン18bの場合は、計測後選別棒50は上昇し、搬送ベルト20で選別物18bは前方に搬送される(図14(c))。
【0071】
次に選別棒先端50aが天然ゴム18aに押し付けられた場合は、天然ゴム18aの変形量が大きいため、選別棒先端50aの変位量も大きく、変位計52での計測値は閾値よりも大きくなる(図14(d))。選別棒先端50aの変位量を計測した後、選別棒50は上昇し、選別物18aから離れ、搬送ベルト20で選別棒50よりも前方の吸引機52の下まで搬送される。閾値よりも変位量が大きかった場合は、吸引機52で天然ゴム18aは吸引され選別される(図14(e))。吸引されなかったポリエチレン18bは搬送ベルト20とともに移動して、端まで搬送され、回収箱22中に落下して回収される(図14(f))。
【0072】
上述のように、選別棒先端50aは一定の圧力で選別物に押し付けられ、その変位量を変位計52で計測して、選別物を識別する。識別後が選別棒先端50aは上昇し、搬送ベルトで再び選別棒先端50aに搬送された選別物に押し付けされ、変位量を計測する。選別棒先端50aが押し付けられた後の被選別物が、搬送ベルト20で選別物が搬送され、吸引あるいは端まで搬送されるかによって、選別される。この動作を繰り返し、選別、回収を行う。ここでは周囲温度27℃付近の室温下で実施される。
【0073】
これにより、従来困難であった比重が同じ固体物が混在する被選別物であっても固体物の変形量の差を利用することにより、さらに細分化した選別が可能となる。また、実施の形態1に示す選別用錐の尖端に固着されにくいものでも、吸引により回収できる効果がある。
【0074】
実施の形態9.
図15は、この発明の実施の形態9における固体物の選別方法を示す選別機の構成を示す断面図である。
【0075】
実施の形態8では、変位量が閾値よりも大きかった天然ゴム18aの回収方法は吸引機54による吸引であったが、本実施の形態においては、送風機60による吹き飛ばしにより回収するものである。送風機60は、選別棒より搬送ベルト20の進行方向側の前方横側に取り付けられていて、ベルト幅より落下する位置に回収箱21(天然ゴム18aを回収)が設置されている。また、選別されない被選別物であるポリエチレン18bを投入する回収容器22が搬送ベルト20の進行端の先にそれぞれ配設されている。このようにして、天然ゴム18aは吹き飛ばされて搬送ベルト20上から除去される。なお、回収箱20は箱でなくともよく、搬送ベルトに設けられた穴や溝でもよい。本実施の形態のように、吹き飛ばす方式は装置構成が簡単になる効果がある。
【0076】
選別棒先端50aの変位量は被選別物の硬度で決まる。実施の形態8、あるいは実施の形態9に用いられる選別棒先端50aが先の図11で示した先のとがった先端形状の場合、先端50aの変位量は主に圧縮強度で決まると考えられる。一方、先端50aの形状が平面である場合は主に弾性率で決まると考えられる。弾性率で選別する場合は、選別棒先端50aの形状は平面で、選別物の大きさより大きい平面であることが好ましい。このような形状にすることで、選別物の形状に差があっても、安定して選別棒50が押し付けられる効果がある。
【0077】
なお、本実施の形態あるいは実施の形態8では、選別棒50が1つである場合を図示しているが、実施の形態1で示したように、複数の選別棒50を並べてもよいし、本実施の形態と実施の形態8で示した選別機を並列に並べてもよい。
【0078】
実施の形態10.
図16は、実施の形態10における固体物の選別装置を示す概略構成図である。図16に示すように、選別機100と搬送手段であるベルトコンベア19、回収容器22とベルトコンベア19に被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bを投入するためのホッパ36、このホッパ36から投下された天然ゴム18aとポリエチレン18bをベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載させるための整列板37、搬送された天然ゴム18aとポリエチレン18bから天然ゴム18aを選別する選別機100と選別された天然ゴム18aを回収する吸引機54、選別されなかったポリエチレン18bを回収する回収箱22と制御回路38及び信号線39で構成されている。
【0079】
なお、制御回路38は、ホッパ36に天然ゴム18aとポリエチレン18bをベルトコンベア19に載せる信号を、整列板37に振動を与える信号を、ベルトコンベア19の稼動および停止の信号を、可動アーム53により選別機100を上下させ、選別棒50を選別物に押し付け、変位計52で変位を計測されることと、閾値以上の変位量のとき、吸引機54を動作させる駆動信号を、それぞれ信号線39を通じて送る。選別機100とベルトコンベア19の詳細は実施の形態8で述べたので、ここでは、説明を省略する。
【0080】
このように、選別棒50を用いて被選別物の中から選別したい被選別物を判別し、取り除くことにより、比重が同じであっても、その被選別物が持つ弾性率の違いから被選別物を効率よく、選別することができる。また、被選別物を吸引することにより被選別物はいずれも確実に回収することができる。
【0081】
なお、本実施の形態において、実施の形態4と同様に、選別機のベルトコンベア19の搬送ベルト20に被選別物が入る一定の大きさの枠を持つ仕切り35を設けてもよい。このような構成によって、被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bとが搬送ベルト20の仕切り35枠内に整載されることにより、搬送時に被選別物の天然ゴム18aとポリエチレン18bとが動かず、また選別棒50で押圧する際、天然ゴム18aとポリエチレン18bとが動かず押圧が確実に行われる。
【0082】
実施の形態11.
図17は、実施の形態11における固体物の選別装置を示す概略構成図である。選別機100では図16の吸引機54の代わりに送風機60が設置され、この送風機60は信号線39で制御盤38からに信号により動作される。
【0083】
本実施の形態および実施の形態10に示した固体物選別装置100は、図18に示す、次の工程で動作する。
【0084】
ステップ1で、被選別物を破砕し、大きさを揃える。
【0085】
ステップ2で、予め金属やセラミック等は通常の比重や電磁気的選別方法により選別され、取り除かれる。
【0086】
ステップ3で、比重等が同じで選別できなかった被選別物である天然ゴム18aとポリエチレン18bがホッパ36に投入される。
【0087】
ステップ4で、天然ゴム18aやポリエチレン18bは、ホッパ36から搬送手段であるベルトコンベア19の搬送ベルト20上に整載される。この際、整列板37で被選別物が重なり合わないように整えられて、搬送ベルト20上に載置される。次に、天然ゴム18aとポリエチレン18bは搬送ベルト20にて選別機100の下に搬送され、停止される。
【0088】
ステップ5で、可動アーム53を操作して、選別棒50を降下させることにより押し下げられ、2MPaの圧力で天然ゴム18aとポリエチレン18bに押圧され、選別したい天然ゴム18aでは選別棒先端50aの変位が閾値よりも大きくなる。一方、ポリエチレン18bは弾性率が大きいため選別棒先端50aの変位が閾値よりも小さくなる。
【0089】
ステップ6で、識別された天然ゴム18aは、送風機60で吹き飛ばされることにより、天然ゴム18aは回収される。
【0090】
ステップ7で、搬送ベルト20に残されたポリエチレン18bは、搬送ベルト20上を移動し、回収容器22に落下、回収される。なお、選別機100、選別棒50、変位計52、可動アーム53、搬送ベルト20、送風機60、ホッパ36及び整列板37は信号線39を介して制御回路38により制御されている。
【0091】
本実施の形態によれば、選別した天然ゴム18aを送風機60で搬送ベルト20より移動されるので、装置の構造が簡単になる。なお、図18に示した選別の工程のステップは、実施の形態10において、送風機60の替わりに吸引機54を用いた場合でも同様である。
【0092】
本実施の形態および実施の形態10に示した固体物選別装置は、以上のステップに従って被選別物を選別する。このように、選別棒50を用いて、被選別物の中から、選別したい被選別物を判別し、取り除くことにより、比重が同じであっても、その固体物が持つ弾性率の違いから被選別物を効率よく、選別することができる。
【0093】
実施の形態12.
実施の形態12は、実施の形態8から11において、被選別物あるいは選別棒の温度、あるいは両者の温度を制御して選別を行うものである。被選別物に応じて被選別物および選別棒の加熱温度を調整することにより、被選別物をさらに細分化して選別することが可能になる。
【0094】
これは、一般に、弾性率の温度変化はプラスチックやゴムの種類によって異なるため、常温では硬度すなわち弾性率が同程度のプラスチックであっても、弾性率の温度変化の違いを利用して、選別の対象となるプラスチックやゴムなど被選別物の弾性率の差が大きくなるように被選別物あるいは選別棒の温度を制御して、選別棒による変位量の差を拡大することにより、常温では硬度すなわち弾性率が同程度の被選別物の判別および選別が可能となる。
【0095】
先に述べたようにポリプロピレンとポリエチレンは両者とも比重が約0.9である。室温27℃における弾性率は、ポリプロピレンでは500MPa、ポリエチレンでは250MPaと2倍程度の差しかない。ところが100℃における弾性率は、ポリプロピレンでは150MPa、ポリエチレンでは15MPaと10倍の差があり、100℃の高温で選別することで、変形量の差が顕著になり、精度の良い選別が可能となる。
【0096】
選別機100と搬送ベルト20全体を100℃にしておくことで、選別棒先端50aを押し当てたときの変形量は、ポリプロピレンとポリエチレンで異なるため、選別棒先端50aの変位量に差ができ、判別および選別することができる。
【0097】
選別棒先端50aの押圧力は、被選別物の弾性率とばらつきから決定すればよく、各実施の形態で示した押圧力に必ずしもとらわれる必要はない。天然ゴムやプラスチック類の弾性率は、概ね1MPaから1000MPaの範囲にあるため、1MPaから100MPaの圧力で押圧したときのひずみは少なくとも0.1となるので、約1cmの被選別物であれば1mm変形し、計測に充分な選別棒先端50aの変位量が得られる。他の実施の形態においても、被選別物に合わせて、この1MPaから100MPaの範囲で選別棒先端50aを被選別物に押圧する力を調節することにより、被選別物中から弾性率の異なる選別したい固体物を選別することが可能である。
【0098】
また、上記実施の形態8から12では、選別棒50の材質として、ステンレス製を使用する場合について述べたが、上述したように被選別物の硬度に合わせて選択すればよい。
【0099】
なお、上記実施の形態8から12では、選別したい被選別物を吸引あるいは吹き飛ばして選別する場合について説明したが、逆に選別したい被選別物を吸引あるいは吹き飛ばさず残しても、同様の効果があることは言うまでもない。また、上記実施の形態8から12では、二種類の被選別物を選別する場合について述べたが、二種類以上の被選別物が混在している被選別物の中から有用とされる固体物あるいは不要な被選別物のみを取り出すという、いずれの使用方法の場合についても効果がある。また、二種類以上の被選別物が混在している場合に、加温する温度の違う選別機100を複数台並べて、それぞれ固着する被選別物を違えて、被選別物の中からそれぞれ選別したい被選別物を細分化して選別することもできる。なお、上記実施の形態8から12では、同じ比重を持つ被選別物を選別する場合について説明したが、必ずしも比重が同じである必要はなく、弾性率の異なる被選別物の選別に利用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0100】
1 選別機
2 尖端
3 選別用錐
6 支持体
7 脱離板
18a 天然ゴム
18b ポリエチレン
19 ベルトコンベア
20 搬送ベルト
21、22 回収容器
26 パレット
31 回転ドラム
32 脱離ベルト
35 仕切り
50 選別棒
50a 選別棒先端
51 重り
52 変位計
53 アーム
54 吸引機
60 送風機
100 選別機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固体物が混在する被選別物に、選別棒の先端を所定の圧力で押圧し、前記先端の変位量に基づいて前記被選別物を選別することを特徴とする固体物の選別方法。
【請求項2】
被選別物あるいは選別棒の尖端の一方、又はその両方の温度を、前記被選別物が軟化する温度以上に加熱することを特徴とする請求項1に記載の固体物の選別方法。
【請求項3】
選別棒を被選別物に押圧したときの前記選別棒の先端の変位量に基づいて前記被選別物を選別する装置であって、
前記被選別物を搬送する搬送手段と、
選別棒と、
前記選別棒の先端を前記被選別物に押圧する押圧手段と、
前記押圧手段により前記先端の変位量を計測する変位計と、
前記被選別物を搬送する手段から移動させる移動手段と、
を備えたことを特徴とする固体物の選別装置。
【請求項4】
先端の変位量の閾値によって選別した被選別物を、移動手段によって前記被選別物を搬送する手段より移動させることを特徴とする請求項3に記載の固体物の選別装置。
【請求項5】
被選別物あるいは選別棒の先端の一方、又はその両方の温度を、前記被選別物が軟化する温度以上に加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の固体物の選別装置。
【請求項6】
搬送手段に設けられた仕切り内に、被選別物を整載させることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の固体物の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−147938(P2011−147938A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97382(P2011−97382)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2005−339994(P2005−339994)の分割
【原出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】