説明

固体粉末化合物からのフィルムコーティング組成物

本発明は、医薬錠剤、栄養補助剤、菓子形成物などをフィルムコーティングするのに使用されるフィルムコーティング組成物に関する。このフィルムコーティング組成物は、水溶性フィルム形成剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、改質デンプンなど、および1種または複数の疎水性化合物、例えば高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪族アルコール、植物もしくは動物起源いずれかの天然ワックスまたは合成ワックスなどを含む。場合によって、フィルムコーティング組成物には、可塑剤、顔料などの着色剤および/または流動助剤が含まれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2009年8月28日に出願した米国特許仮出願第61/237,720号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、医薬錠剤、栄養補助剤(nutritional supplement)、菓子形成物(confectionary forms)などをフィルムコーティングするのに使用されるフィルムコーティング組成物に関する。このフィルムコーティング組成物は、水溶性フィルム形成剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、改質デンプンなど;固体粉末形態の1種または複数の疎水性化合物、例えば植物もしくは動物起源いずれかの天然ワックスまたは合成ワックスなどを含む。場合によって、フィルムコーティング組成物には、可塑剤、顔料および/または流動助剤が含まれ得る。
【背景技術】
【0003】
医薬製剤の3つの特性は、物理的、例えばサイズ、硬さ、脆砕性、崩壊性および溶解性など;化学的、例えば薬剤含量および安定性、ならびに知覚性、例えば外観、臭気および風味である。全てのこれら3つの特性が、患者の受容性、嗜好および服薬率に関して等しく重要である。例えば、製剤における不快な臭いは、患者の受容性、嗜好性および服薬率を低下させる。フィルムコーティングは、よく知られている技術である。錠剤、顆粒、粒剤などの医薬固体剤形は、これらの固体剤形を、大気中の酸素の浸透による酸化、湿気、熱、光などから守るために、その上医薬製剤の臭いを消すためにフィルムコーティングされる。
【0004】
多くの栄養補助食品(nutraceutical)およびいくつかの医薬製剤は、不快な臭気および風味にかかわっており、また湿気または酸素に誘発される変化を受け易い。このような栄養補助食品の例は、吉草根抽出物、ニンニクおよび多くの総合ビタミン製剤などである。医薬品の臭いを消す従来の取組みは、糖衣技術である。糖衣には、受容できる品質の製品を得るため、すなわち臭気を遮断するために、穴なしコーティングパン、長い処理時間および経験深い職人を必要とする。このコーティング方法は、開始時の芯部重量の2倍近い重量のある錠剤をもたらす。糖衣技術に関連した問題のため、フィルムコーティングが重要性を得ている。臭気を遮断する種々の他の方法が存在する。一方法は、製剤に香料を加えて、風味を変化させることである。目標は、製剤をより受容し易くし、投薬療法における消費者の服薬率を向上させることである。
【0005】
環境の湿気から剤形を保護することは、湿気の存在によって薬剤が悪影響を受ける場合に重要である。崩壊を抑えるため用いられる一般的取組みは、湿気に敏感な錠剤、カプセルなどの剤形を、専用の包装を使用して包装することである。気候が非常に多湿である場所では、特殊な包装も完全な防湿をもたらさない。特殊な包装への必要性を軽減する他の方法は、その剤形を湿気取り込みを減らす材料でコーティングすることである。その上これらのコーティングは、崩壊時間に影響を及ぼすべきではない。湿気に敏感な薬剤の例は、ラニチジン、テマゼパム、大部分のビタミンおよび数多くの生薬である。湿気が誘発する変化の例は、加水分解による薬剤の劣化もしくは貯蔵における剤形の外観の変化から、剤形の崩壊時間および溶解時間の変化までの範囲にわたる可能性がある。こうして、湿気バリヤコーティングが、強化のため、または特殊な包装への必要性をなくすため適用される。湿気バリヤコーティングは、剤形を劣化から守る。
【0006】
湿気バリヤコーティングを達成するために、通常疎水性もしくは脂溶性物質を、水溶性もしくは水不溶性のフィルム形成ポリマーおよび顔料と組み合せる。疎水性もしくは脂溶性物質は、一般にこの目的のために使用されるポリマーが、セラック、セルロースアセテートフタレート(CAP)、エチルセルロース(EC)などであるポリマーとすることができる。しかし、これらのポリマーでコーティングする場合、通例有機溶媒の使用を必要とし、このような材料を安全に取り扱うためには、空調装置、防爆対策などのための出費の増加も必要となる。これらのポリマーを使用する他の不利点は、これらの材料を加工してコーティングとするのに有機溶媒に依存しているポリマーで作製した剤皮の水溶性が低下するので、摂取した場合に体内における剤形の崩壊が遅くなる点である。
【0007】
米国特許第6495163号および第5885617号は、それぞれ、湿気バリヤフィルムコーティング組成物であって、ポリビニルアルコール(PVA)、ダイズレシチン、流動助剤、着色剤および懸濁剤を含む組成物を開示している。これらのコーティングは、中間粘度等級のPVAを使用しており、これらは冷水中に容易に溶解し、かつ依然として湿気バリヤ性状を維持する。しかし、PVAは極めて粘着性であり、PVA系コーティングの塗布には、フィルムコーティング工程の間、より遅い吹付け速度、より高い霧化圧力およびより高いベッド温度を要することがよく知られている。それにより、固体剤形のためのコーティング時間が2倍になり、したがってコーティングした固体剤形を製造するのに使用される方法全体のコストが増大するので、これは薬剤製造業者には不利である。その上、PVAを利用するコーティングは、活性成分によって生じる不快な臭気を遮断しない。
【0008】
米国特許第4341653号は、保護コーティング組成物であって、水溶性フィルム主剤と界面活性剤との水溶液中に高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸およびワックスを含むコーティング組成物を開示している。しかし、このコーティングは、追加的な均斉化する段階を有するエマルションとして作製された。また、この特許で教示されるコーティングは、湿気バリヤを提供するほかに、溶解時間を遅らせて活性剤の風味を遮断するようにも設計されている。
【0009】
特開2006-188490は、改良された付着性、優れたコーティング性状を有するフィルムコーティング組成物を教示し、この組成物は、臭いを遮断し、酸素バリヤをもたらす。このコーティングは、ポリビニルアルコールおよびタルクを含み、湿気へのバリヤは提供しない。
【0010】
米国特許第5077053号は、無糖食用組成物向け湿気バリヤとしてゼイン(Zein)の使用を教示している。この組成物では、2層コーティングを要する。第1の層は、ゼインの層であり、第2の層は無糖層である。
【0011】
米国特許第6667059(B2)号は、特に、吉草根錠剤として使用する、多層臭気バリヤコーティングを教示している。この組成物では、最初の2層がヒドロキシアルキルセルロースで構成され、続いて第3層がメタクリレートで構成される。製造するのに時間がかかるほかに、このコーティングは、メタクリレートが食用として受容可能ではないので、栄養補助食品用途向けには受容可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6495163号
【特許文献2】米国特許第5885617号
【特許文献3】米国特許第4341653号
【特許文献4】特開2006-188490
【特許文献5】米国特許第5077053号
【特許文献6】米国特許第6667059(B2)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のコーティングの取組みに関連した不利点は、コーティングを適用するのに困難があるか、もしくは時間がかかるかのいずれかであり、このため方法があまり費用効果的ではなくなり、または、摂取した際にコーティングした固体剤形の崩壊時間が長くなることである。
【0014】
要約すると、種々の栄養補助食品および医薬の固体製剤のために湿気、臭気ならびに風味バリヤを提供する多機能性バリヤコーティングへの必要性が存在する。粉末から製造するのが容易であり、また固体剤形に塗布するのが容易である多機能性バリヤコーティングへの必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、固体剤形を被覆するのに役立つ、吹付け可能な分散物を生成させるのに有用な粉末形態の配合物(formulation)に関する。この粉末形態の配合物は、水溶性フィルム形成剤、固体粉末疎水性化合物および場合によって可塑剤を含む。吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物は、ホモジナイザーなどの高せん断力ミキサーを必要とせずに、容易に水中に分散されて、種々の基体上に剤皮を生成させることができる。
【0016】
本発明は、コーティングと、結果として得られるフィルムコーティングされた栄養補助食品もしくは医薬とを有する固体剤形の製造方法であって、上述の吹付け可能な分散物コーティングが、固体剤形中の栄養補助食品もしくは医薬の活性成分上への吹付け可能な分散物として吹き付けられて、固体剤形中の栄養補助食品もしくは医薬の活性成分上にフィルムコーティングをもたらす方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1種または複数の固体粉末疎水性化合物、例えば微粉化(micronized)ワックスなどを、水溶性フィルム形成剤および水と一緒に使用すると、得られたフィルムコーティングのバリヤ性状の著しい向上をもたらすことが見出されている。このフィルムコーティングには、顔料および可塑剤も含まれることが好ましい。
【0018】
水溶性フィルム形成剤は、任意の水溶性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリビドン、アルギン酸、デンプンおよびデンプン誘導体、改質デンプン、グアールおよびグアール誘導体などとすることができる。吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末の形態で配合物中に存在する水溶性フィルム形成剤の量は、粉末の形態における全配合物の約5〜85重量%、より好ましくは約10〜75重量%、より一層好ましくは約30〜70重量%の範囲にある。
【0019】
固体粉末疎水性化合物は、高級脂肪酸の金属塩とすることができる。これらの金属塩には、微粉末の形態におけるナトリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛およびアルミニウムの誘導体が含まれるであろう。好ましい高級脂肪酸の金属塩は、ステアリン酸マグネシウムである。固体粉末疎水性化合物は、高級脂肪族アルコール、例えばラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリルアルコールなどとすることができ、また約50〜70℃の範囲にある融点、および約10μm〜400μmの範囲にある粒度dv90を有する。
【0020】
固体粉末疎水性化合物は、好ましくは、植物源、例えばカンデリラ(candedilla)、カルナウバ、ホホバなどから由来するワックスか、もしくは動物源、例えばミツバチ、クジラなどに由来するワックスかいずれかのワックス、または微結晶パラフィンなどの非天然ワックスの微粉化粉末とすることができ、約55〜90℃の範囲にある融点、および約10μm〜400μmの範囲にある粒度dv90を有する。より好ましいワックスは、低温摩砕の使用により微粉化粉末の形態で製造されているみつろう(蜜蝋)(beeswax)である。
【0021】
吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末の形態で、配合物中に存在する固体粉末疎水性化合物の量は、粉末の形態における全配合物の約5〜50重量%、より好ましくは約10〜40重量%、より一層好ましくは約15〜30重量%の範囲にある。
【0022】
本フィルムコーティングは、トリアセチン、グリセリン、鉱油、アセチル化モノグリセリド、中間鎖トリグリセリド、ポリソルベートなどの可塑剤を含有することもできる。中間鎖トリグリセリドは、グリセロールの高分子鎖(炭素6〜12個)脂肪酸エステルである。
【0023】
本フィルムコーティングは、場合によって顔料などの着色剤も含有できる。着色剤は、任意の食品認可された色素、顔料、乳白剤または染料としてよい。着色剤は、アルミニウムレーキ、酸化鉄、二酸化チタンまたは天然色素とすることができる。
【0024】
医薬錠剤など向けの湿気、酸素、臭気および風味などについてのバリヤフィルムコーティングを形成する乾燥粉末組成物であって、1種もしくは複数の水溶性フィルム形成剤である主剤、1種もしくは複数の次の固体粉末疎水性化合物:例えば微粉化ワックス、高級脂肪酸の金属塩および高級脂肪族アルコールなどを含み、また場合によって1種もしくは複数の次の成分:例えば可塑剤、顔料および流動助剤などと組み合せた粉末組成物が作製される。この粉末は、天然もしくは合成甘味料および香料などの他の成分を含むこともできる。
【0025】
この用途の目的のため、用語「微粉化」は、約10μm〜400μmの範囲にある粒度dv90を有する固体形態にある材料を意味するものとする。
【0026】
本発明の乾燥粉末組成物の製造方法は、1種もしくは複数の水溶性フィルム形成剤、1種もしくは複数の次の固体粉末疎水性化合物:例えば高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪族アルコール、微粉化ワックスなど、また場合によって可塑剤、着色剤および流動助剤を、均質な粉末組成物がもたらされるまで混合する段階を含む。この乾燥粉末組成物の一利点は、容易に水に分散可能であり、水に添加し撹拌した後約45分以内に、すぐ使用できる点である。
【0027】
本発明はまた、バリヤフィルムコーティングを形成するための液体コーティング分散物であって、1種もしくは複数の水溶性ポリマー、1種もしくは複数の次の固体粉末疎水性化合物:例えば高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪族アルコール、微粉化ワックスなどを含む、また場合によって可塑剤および/もしくは着色剤を含む分散物にも関する。
【0028】
本発明の液体コーティング分散物の製造方法は、本乾燥粉末組成物、または乾燥粉末組成物の個々の成分を別々に、周囲温度で、または幾分高い温度でのいずれかで分散させる段階、例えば固体粉末疎水性化合物の融点未満で分散させる段階と、均質な分散物がもたらされるまで撹拌する段階とを含む。
【0029】
本バリヤフィルムコーティングを含む、また本バリヤフィルムコーティングを含まない製品の湿気透過性を、25℃で相対湿度(RH)75%に24時間曝露した後、重量により測定した。
【0030】
コーティングしない硫酸銅錠剤の24時間湿気吸収量は7%であり、またコーティングした錠剤の湿気吸収量は、コーティング配合物によって1%〜3.5%の範囲であった。
【0031】
この分散物の粘度を、特に指示されない限り、#2スピンドルを使用し、30rpmでBrookfield LTV粘度計を使用して測定した。本発明の分散物の粘度は、それらの組成に基づいて100cps〜400cpsの範囲にある。
【0032】
本発明を例示するため、実施例を提示しており、特に指示されない限り重量部および重量百分率である。
【0033】
(実施例)
みつろうの低温摩砕方法
500ポンドの白色みつろうNF(国民医薬品集、USP/NF等級のみつろうを使用した)を、低温摩砕系で粉砕した。5種の実験を、速度(rpm)、温度および摩砕機ギャップ(回転子アセンブリと内部ウェアリング(wear ring)の間の空間)などの、みつろうの粒度に影響を及ぼす可能性のある種々の製造パラメータを変化させて行った。摩砕機には篩がなく、篩分けせずに粒度を達成した。実験の詳細は下記の通りである。
【0034】
【表1】

【0035】
こうして得られた粒度分布は、下記の通りである。
粒度分布試験
粒度分布方法
【0036】
Helos-Sympatec装置を使用し、レーザー光回折により体積基準粒度分布を測定した。データは、体積基準累積分布として提示される。
【0037】
【表2】

【0038】
(実施例1)
【0039】
【表3】

【0040】
上掲の成分は、高せん断力ミキサーで均質な乾燥粉末混合物がもたらされるまで混合した。この均質な乾燥粉末混合物を、十分に撹拌した水の渦流中に添加し、粉末混合物の水中分散物が生成されるまで45分間混合した。
【0041】
次いで、この分散物を、15"(381mm)穴あきコーティングパンを使用して、錠剤上に吹付けた。錠剤上の所望の重量増加が達成されるまで、吹付けを継続した。
【0042】
全ての実施例について、吸湿性吸上げ剤としてクロスカルメロース5%と、吸湿性水和物形成モデル活性剤および比色湿分指示剤として硫酸銅10%と、十分な量の微結晶セルロースとを含み、同様な条件下でManesty(登録商標)Betaプレスで圧縮した吸湿性試料錠剤(400mg)に、コーティングを塗布した。
【0043】
コーティング条件は、下記の通りである:
【0044】
【表4】

【0045】
乾燥コーティングブレンドは、全ての粉末を高せん断力ミキサー内で3分間混合し、続いてポリソルベートを添加し、さらに3分間混合して、乾燥コーティングブレンドを形成する段階によって得られた。ある量の、上記において作製した乾燥コーティングブレンドを取り、十分に撹拌した水の渦流に添加して、固形分配合レベル14〜20%を有する分散物を作るために45分間混合した。吸湿性試料錠剤に、上記に示した条件を使用して、15"O'Haraコーティングパン内でコーティングを行った。
【0046】
コーティングした、またコーティングしない製品の湿気透過性は、25℃における相対湿度(RH)75%への曝露に続いて、重量により測定した。
【0047】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0048】
(比較例1)
粉末混合物の水中分散物を作る代わりに、この比較例は、固体粉末疎水性化合物であるみつろうを融解し、次いでエネルギー集中的な均斉化段階を使用して、固体粉末疎水性化合物の分散物よりも、むしろエマルションをもたらすものである。
【0049】
10部の、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(Hercules Incorporatedから入手可能なBenecel(登録商標)HPMC)の7.2%(重量/重量)水溶液を水浴上で70℃まで加温した。3重量部の白色みつろうNFを、水浴上で加熱する段階により融解し、融解した白色みつろうを、その温度を70℃に保持し、Silverson L4RTホモジナイザーを使用して激しく撹拌しながら、HPMC溶液に注入した。融解したみつろうを含有するHPMCエマルションを室温まで冷却し、クリーム状外観を有することを観察した。こうして得られたHPMC/融解みつろうエマルションの13重量部を、87重量部のHPMC溶液と混合して、コーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を作製する時間は、3時間を超えていた。
【0050】
HPMCの合計溶液:4000g、
7.2%(重量/重量)溶液を作るため、288gのHPMC E6(Hercules Incorporatedから入手可能なBenecel(登録商標)HPMC)を、十分に撹拌した水3712gの渦流に添加した;
みつろうの使用量:120g;
最終組成物:HPMC 7%(重量/重量);
みつろう:3%(重量/重量)および
水:90%(重量/重量)。
得られた溶液は、粘度130cpsを有していた。
吸湿性試料錠剤を4%重量増加までコーティングするのに、上記において調製したコーティング溶液1200gを使用した。
【0051】
(実施例2)
水溶性フィルム形成剤としてヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組合せを使用した点を除いて、実施例1において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0052】
【表5】

【0053】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0054】
(実施例3)
固体粉末疎水性化合物としてステアリン酸マグネシウムを使用した点を除いて、実施例1において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0055】
【表6】

【0056】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0057】
(実施例4)
固体粉末疎水性化合物としてステアリルアルコールとみつろうの組合せを使用した点を除いて、実施例2において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0058】
【表7】

【0059】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0060】
(実施例5)
固体粉末疎水性化合物としてみつろうを使用した点を除いて、実施例2において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0061】
【表8】

【0062】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0063】
(実施例6)
実施例5において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0064】
【表9】

【0065】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0066】
(実施例7)
水溶性フィルム形成剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース2種の組合せを使用した点、固体粉末疎水性化合物としてみつろうを使用した点、および可塑剤としてトリアセチンを使用した点を除いて、実施例1において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0067】
【表10】

【0068】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0069】
(実施例8)
固体粉末疎水性化合物としてより多量のみつろうを使用した点を除いて、実施例7において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0070】
【表11】

【0071】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0072】
(実施例9)
組成物にタルクを添加しなかった点を除いて、実施例7において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0073】
【表12】

【0074】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0075】
(実施例10)
可塑剤としてグリセリンおよび中間鎖トリグリセリドを添加した点を除いて、実施例9において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0076】
【表13】

【0077】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0078】
(実施例11)
組成物にFD&Cイエロー#6およびD&Cイエロー色素を添加した点を除いて、実施例9において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0079】
【表14】

【0080】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0081】
(実施例12)
組成物に二酸化チタンを添加しなかった点を除いて、実施例9において使用したのと同一の手順を使用して、コーティングした錠剤を製造した。
【0082】
【表15】

【0083】
こうして得られたコーティングした錠剤は、良好な外観および平滑な表面を有していた。
【0084】
本発明は特定の実施形態に関して記述されているが、本発明はそれに限定されるべきではないこと、また本発明の精神および範囲から逸脱せずに多くの変更および修正が可能であることを理解されたい。
【0085】
HPC ヒドロキシプロピルセルロース
HPMC ヒドロキシプロピルメチルセルロース
PVA ポリビニルアルコール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物であって、
i. 水溶性フィルム形成剤、および
ii. 固体粉末疎水性化合物
を含む配合物。
【請求項2】
前記水溶性フィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリビドン、アルギン酸、デンプンおよびデンプン誘導体、改質デンプン、グアールおよびグアール誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項3】
前記水溶性フィルム形成剤が、
ヒドロキシプロピルセルロース
を含む、請求項2に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項4】
前記水溶性フィルム形成剤が、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
を含む、請求項2に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項5】
固体粉末疎水性化合物が、高級脂肪酸の金属塩を含み、前記高級脂肪酸の金属塩がステアリン酸マグネシウムを含む、請求項1に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項6】
固体粉末疎水性化合物が、ラウリル、ミリスチル、セチルおよびステアリルアルコールからなる群から選択される高級脂肪族アルコールを含み、前記固体粉末疎水性化合物が、約50〜70℃の範囲にある融点、および約10μm〜400μmの範囲にある粒度dv90を有する、請求項1に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項7】
固体粉末疎水性化合物が、ワックスの微粉化粉末を含み、前記ワックスが植物源、動物源のいずれかまたは非天然ワックスに由来し、前記固体粉末疎水性化合物が、約55〜90℃の範囲にある融点、および約10μm〜400μmの範囲にある粒度dv90を有する、請求項1に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項8】
固体粉末疎水性化合物が、ワックスの微粉化粉末を含み、前記ワックスが、ミツバチおよびクジラからなる群から選択される動物源に由来する、請求項7に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項9】
ワックスの微粉化粉末を含み、前記ワックスが、みつろうである、請求項8に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項10】
可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項11】
前記可塑剤が、トリアセチン、グリセリン、鉱油、アセチル化モノグリセリド、中間鎖トリグリセリドおよびポリソルベートからなる群から選択される、請求項10に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項12】
着色剤をさらに含み、前記着色剤が、任意の食品認可された色素、顔料、乳白剤または染料とすることができるものである、請求項1に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。
【請求項13】
前記着色剤が、アルミニウムレーキ、酸化鉄および二酸化チタンからなる群から選択される顔料を含む、請求項11に記載の吹付け可能な分散物コーティングを製造するのに有用な粉末形態の配合物。

【公表番号】特表2013−503180(P2013−503180A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526986(P2012−526986)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/046811
【国際公開番号】WO2011/025881
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】