説明

固体高分子型燃料電池の活性化方法

【課題】活性化の実施直後からより高い電池性能を発揮可能な固体高分子型燃料電池FCの活性化方法を提供する。
【解決手段】プロトン伝導性高分子膜F1とこの高分子膜F1の両面にアノードAn及びカソードCaを備え、アノードAnにガスを供給するためのアノードガス供給口F4と、カソードCaにガスを供給するためのカソードガス供給口F6と、カソードCaに存在するガスを排出するためのカソードガス排出口F7とをさらに備えた固体高分子型燃料電池FCの活性化方法であって、アノードガス供給口F4からアノードAnに水素ガスを供給しつつ、カソードガス供給口F6からカソードCaに不活性ガスを供給しつつ、カソードガス排出口F7を閉じ、外部電源4で、アノードAnに対するカソードCaの電位を、0〜1Vで周期的に変動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体高分子型燃料電池の活性化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池は、組立直後に発電しても十分な性能が得られず、発電する過程において徐々に性能が向上してゆく。これは、電解質膜(プロトン伝導性高分子膜)が十分な水を含んでおらず、また、電極(アノード、カソード)の触媒の活性度が低いためであると考えられている。そこで、固体高分子型燃料電池を、組立直後から十分な性能が発揮できるように、活性化(エージング)処理が行われている。そして、その活性化処理として、アノードに水素ガス、カソードに窒素ガスを供給しつつ、アノードとカソードの間に一定の電圧幅で上下に繰り返し変動する電圧を印加する方法(CV(cyclo voltammetry)法)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−204799号公報(段落0022参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の活性化方法によれば、活性化方法の実施直後から、固体高分子型燃料電池は、高い性能を発揮することができるが、その電池の持つ最高の性能に達しているわけではなかった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、活性化の実施直後からより高い電池性能を発揮可能な固体高分子型燃料電池の活性化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、プロトン伝導性高分子膜と前記高分子膜の両面にアノード及びカソードを備え、前記アノードにガスを供給するためのアノードガス供給口と、前記カソードにガスを供給するためのカソードガス供給口と、前記カソードに存在するガスを排出するためのカソードガス排出口とをさらに備えた固体高分子型燃料電池の活性化方法であって、
前記アノードガス供給口から前記アノードに水素ガスを供給しつつ、
前記カソードガス供給口から前記カソードに不活性ガスを供給しつつ、
前記カソードガス排出口を閉じ、
外部電源で、前記アノードに対する前記カソードの電位を周期的に変動させることである。
【0007】
本発明の第1の特徴によれば、アノードに対するカソードの電位(カソード電位)を、上昇させ、降下させることを周期的に繰り返すCV法を実施することができる。そして、このCV法の実施中には、常時、アノードガス供給口からアノードに水素ガスが供給されている。CV法におけるカソード電位の降下時には、アノードガス供給口から供給されアノードに存在している水素ガスが、分解され、アノードでプロトンが生成する。このプロトンは、カソード電位の降下時に、アノードからカソードへ高分子膜中を伝導する。そして、このプロトンは、伝導先のカソードにおいて、水素ガスとなる。カソード電位の降下時に、カソードにおいて、水素ガスが発生する。
【0008】
カソードでは、CV法の実施中に、常時、カソードガス供給口から不活性ガスが供給されているが、カソードガス排出口は閉じられている。このため、カソードに不活性ガスが滞留している。前記のように、カソード電位の降下時には、カソードにおいて、水素ガスが発生するが、この水素ガスは、滞留している不活性ガスといっしょにカソードの周囲に滞留し保存される。
【0009】
そして、カソード電位が降下から上昇に転じる。カソード電位の上昇時には、カソードの周囲には水素ガスが滞留して存在しているので、この水素ガスがカソードで分解されてプロトンが生成される。そのプロトンは、カソード電位の上昇時に、カソードからアノードへ高分子膜中を伝導(ポンピング)する。このプロトンの高分子膜中の伝導は、特に、水素ポンプと言われる。そして、プロトンは、伝導先のアノードにおいて、水素ガスとなる。カソード電位の上昇時に、アノードにおいて、水素ガスが発生する。
【0010】
前記のように、プロトンが高分子膜中をカソードとアノードの間で双方向に伝導し行ったり来たりすることで、固体高分子型燃料電池を高度に活性化することができる。
【0011】
また、本発明の第2の特徴は、プロトン伝導性高分子膜と前記高分子膜の両面にアノード及びカソードを備え、前記アノードにガスを供給するためのアノードガス供給口と、前記カソードにガスを供給するためのカソードガス供給口と、前記カソードに存在するガスを排出するためのカソードガス排出口とをさらに備えた固体高分子型燃料電池の活性化方法であって、
前記アノードガス供給口から前記アノードに水素ガスを供給しつつ、前記カソードガス供給口から前記カソードに水素ガスと不活性ガスの混合ガスを供給しつつ、外部電源で、前記アノードに対する前記カソードの電位を、0〜0.1Vの範囲内の電位から上昇させる第1ステップと、
前記アノードガス供給口から前記アノードに水素ガスを供給しつつ、前記カソードガス供給口から前記カソードに不活性ガスを供給しつつ、前記外部電源で、前記電位を0〜0.1Vの範囲内の電位まで降下させる第2ステップと、を備え、
前記第1ステップと前記第2ステップを交互に複数回繰り返すことである。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば、アノードに対するカソードの電位(カソード電位)を、0〜0.1Vの範囲内の電位から上昇させる第1ステップと、0〜0.1Vの範囲内の電位まで降下させる第2ステップとを備え、その第1ステップと第2ステップを交互に複数回繰り返すことができるので、本発明の第1の特徴と同様に、CV法を実施することができる。
【0013】
カソード電位を0〜0.1Vの範囲内の電位から上昇させる第1ステップでは、カソードガス供給口からカソードに水素ガスと不活性ガスの混合ガスが供給されているので、その水素ガスがカソードで分解されてプロトンが生成される。そのプロトンは、カソード電位の上昇する第1ステップにおいて、カソードからアノードへ高分子膜中を伝導(ポンピング)し、水素ポンプが行われる。そして、プロトンは、伝導先のアノードにおいて、水素ガスとなる。カソード電位の上昇する第1ステップにおいて、アノードで水素ガスが発生する。アノードには、アノードガス供給口から水素ガスが供給されているので、発生した水素ガスは、供給されている水素ガスと一体になる。
【0014】
カソード電位を0〜0.1Vの範囲内の電位まで降下させる第2ステップでは、アノードガス供給口からアノードに水素ガスが供給されているので、その水素ガスがアノードで分解されてプロトンが生成される。このプロトンは、カソード電位の降下する第2ステップにおいて、アノードからカソードへ高分子膜中を伝導する。そして、このプロトンは、伝導先のカソードにおいて、水素ガスとなる。カソード電位の降下する第2ステップにおいて、カソードで水素ガスが発生する。カソードには、カソードガス供給口から不活性ガスが供給されているので、発生した水素ガスはパージされる。
【0015】
前記のように、本発明の第2の特徴でも、プロトンが高分子膜中をカソードとアノードの間で双方向に伝導しカソードとアノードの間で行ったり来たりすることで、固体高分子型燃料電池を高度に活性化することができる。
【0016】
また、本発明の第3の特徴は、プロトン伝導性高分子膜と前記高分子膜の両面にアノード及びカソードを備えた固体高分子型燃料電池の活性化方法であって、
外部電源で、前記アノードに対する前記カソードの電位を、上下動させつつ、
前記電位の降下時には、前記アノードに水素ガスを存在させて、プロトンを前記アノードから前記カソードへ前記高分子膜中を伝導させ、
前記電位の上昇時には、前記カソードに水素ガスを存在させて、プロトンを前記カソードから前記アノードへ前記高分子膜中を伝導させることである。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、アノードに対するカソードの電位(カソード電位)を、上下動させるCV法を実施することができる。CV法におけるカソード電位の降下時には、アノードに存在している水素ガスが分解され、アノードでプロトンが生成する。このプロトンは、カソード電位の降下時に、アノードからカソードへ高分子膜中を伝導して、カソードにおいて、水素ガスとなる。CV法におけるカソード電位の上昇時には、カソードに存在している水素ガスが分解され、カソードでプロトンが生成する。このプロトンは、カソード電位の上昇時に、カソードからアノードへ高分子膜中を伝導(ポンピング(水素ポンプ))して、アノードにおいて、水素ガスとなる。
【0018】
前記のように、本発明の第3の特徴でも、プロトンが高分子膜中をカソードとアノードの間で双方向に伝導しカソードとアノードの間で行ったり来たりすることで、固体高分子型燃料電池を高度に活性化することができる。
【0019】
本発明の第3の特徴では、前記電位(カソード電位)の降下時に、前記アノードから前記カソードへ前記高分子膜中を伝導した前記プロトンから、前記カソードにおいて水素ガスを生成して滞留させ、
前記電位(カソード電位)の上昇時には、前記電位(カソード電位)の降下時に前記カソードに滞留させた水素ガスを、前記カソードに存在させることが好ましい。
【0020】
これによっても、本発明の第1の特徴を実施することができる。
【0021】
また、本発明の第3の特徴では、前記電位(カソード電位)の降下時には、外部から前記アノードに水素ガスを供給し、
前記電位(カソード電位)の上昇時には、外部から前記カソードに水素ガスと不活性ガスの混合ガスを供給することが好ましい。
【0022】
これによっても、本発明の第2の特徴を実施することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、実施直後からより高い性能を発揮可能な固体高分子型燃料電池の活性化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係り、固体高分子型燃料電池に接続した活性化装置の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る固体高分子型燃料電池の活性化方法のフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る固体高分子型燃料電池の活性化方法のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の活性化方法でのCV法の実施中における、(a)は、アノードに対するカソードの電位(電位差)の時間変化を示すグラフであり、(b)は、電流(安定化電源の正極から流れ出る方向を正方向としている)の時間変化を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態の活性化方法でのCV法の実施中におけるアノードに対するカソードの電位(電位差)の上昇時と降下時の活性化装置の状態を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る固体高分子型燃料電池の活性化方法のフローチャートである。
【図7】第3の実施形態の活性化方法でのCV法の実施中における、(a)は、アノードに対するカソードの電位(電位差)の時間変化を示すグラフであり、(b)は、電流(安定化電源の正極から流れ出る方向を正方向としている)の時間変化を示すグラフである。
【図8】第3の実施形態の活性化方法でのCV法の実施中におけるアノードに対するカソードの電位(電位差)の上昇時と降下時の活性化装置の状態を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の変形例1に係る固体高分子型燃料電池の活性化方法のフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態の変形例2に係る固体高分子型燃料電池の活性化方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係り、固体高分子型燃料電池FCに接続した活性化装置1の構成図を示す。
【0027】
固体高分子型燃料電池FCは、プロトン伝導性高分子膜F1と、そのプロトン伝導性高分子膜F1の両面の内の一方の側に設けられたアノードAnと、他方の側に設けられたカソードCaを有している。このように、アノードAnとカソードCaの間にプロトン伝導性高分子膜F1を挟んだ構造体は、電極膜構造体(MEA)と呼ばれている。アノードAnは、アノード室F2の室内の雰囲気に露出している。アノード室F2には、アノードAnにガスを供給するためのアノードガス供給口F4と、アノードAnに存在するガスを排出するためのアノードガス排出口F5とが設けられている。カソードCaは、カソード室F3の室内の雰囲気に露出している。カソード室F3には、カソードCaにガスを供給するためのカソードガス供給口F6と、カソードCaに存在するガスを排出するためのカソードガス排出口F7とが設けられている。
【0028】
活性化装置1は、アノード側ガス供給装置2と、加熱・加湿器2aと、カソード側ガス供給装置3と、加熱・加湿器3aと、バルブV1、V2、V3、V4と、安定化電源(外部電源)4とを有している。アノード側ガス供給装置2は、アノードガス供給口F4を介して、アノードAn(アノード室F2)に、水素ガスや、窒素ガス等の不活性ガスを供給する。加熱・加湿器2aは、アノード側ガス供給装置2とアノードガス供給口F4(アノード室F2)の間に接続しており、アノード側ガス供給装置2から供給される水素ガスや窒素ガスを、加熱したり、加湿したりして、アノードAn(アノード室F2)に送っている。
【0029】
バルブV1は、アノード側ガス供給装置2とアノードガス供給口F4(アノード室F2)の間に接続し、バルブV2は、アノードガス排出口F5に接続している。バルブV1とV2を開けると、アノード室F2内を、水素ガス又は不活性ガスが流れ、アノード室F2内の空気(酸素)をパージすることができる。そして、アノード室F2内の雰囲気を水素ガス又は不活性ガスにすることができる。この状態から、バルブV2を閉じると、アノード室F2の室内の気圧を昇圧することができ、大気圧より高くできる。この状態で、バルブV1を閉じると、アノード室F2内に水素ガス又は不活性ガスを封止することができる。
【0030】
カソード側ガス供給装置3は、カソードガス供給口F6を介して、カソードCa(カソード室F3)に、窒素ガス等の不活性ガスや、その不活性ガスと水素ガスの混合ガスを供給することができる。加熱・加湿器3aは、カソード側ガス供給装置3とカソードガス供給口F6(カソード室F3)の間に接続しており、カソード側ガス供給装置3から供給される不活性ガスや混合ガスを、加熱したり、加湿したりして、カソードCa(カソード室F3)に送っている。
【0031】
バルブV3は、カソード側ガス供給装置3とカソードガス供給口F6(カソード室F3)の間に接続し、バルブV4は、カソードガス排出口F7に接続している。バルブV3とV4を開けると、カソード室F3内を、不活性ガスや混合ガスが流れ、カソード室F3内の空気(酸素)をパージすることができる。そして、カソード室F3内の雰囲気を不活性ガスや混合ガスにすることができる。この状態から、バルブV4を閉じると、カソード室F3の室内の気圧を昇圧することができ、大気圧より高くできる。この状態で、バルブV3を閉じると、カソード室F3内に不活性ガスや混合ガスを封止することができる。
【0032】
安定化電源(外部電源)4は、その+(プラス;正)極がカソードCaに接続され、その−(マイナス;負)極がアノードAnに接続されている。これにより、安定化電源(外部電源)4は、アノードAnに対するカソードCaの電位(カソード電位)を、設定することができる。そして、CV法を実施するために、安定化電源(外部電源)4は、カソード電位を、0〜1Vで周期的に上下動させる。
【0033】
図2に、本発明の第1の実施形態に係る固体高分子型燃料電池FCの活性化方法(その1)のフローチャートを示す。
【0034】
まず、ステップS10で、安定化電源4により、CV法を実施する。安定化電源4は、固体高分子型燃料電池FCのカソードCaとアノードAnの間に、周期的に変動する電圧を印加する。この変動する電圧(カソード電位)の上限(最高電位)は0.9〜1.1Vの範囲内の電位であり、下限(最低電位)は0〜0.1Vの範囲内の電位である。
【0035】
そして、このステップS10のCV法の実施中におけるステップS10aで、安定化電源4により、カソード電位を降下させる。そのステップS10aのカソード電位が降下する時に、ステップS11として、アノード室F2内(アノードAn)に水素ガスを存在させ、アノードAnにて、水素ガスを分解し、プロトン(H)を生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、アノードAnからカソードCaへプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導して、カソードCaにおいて、水素ガスとなる(2H+2e→H)。
【0036】
また、ステップS10のCV法の実施中におけるステップS10bでは、安定化電源4により、カソード電位を上昇させる。そのステップS10bのカソード電位が上昇する時に、ステップS12として、カソード室F3内(カソードCa)に水素ガスを存在させる。なお、カソード室F3内(カソードCa)に存在させる水素ガスを、固体高分子型燃料電池FCの内部から供給する方法は、第2の実施形態で詳細に説明する。カソード室F3内(カソードCa)に存在させる水素ガスを、固体高分子型燃料電池FCの外部から供給する方法は、第3の実施形態で詳細に説明する。
【0037】
ステップS10b内において、ステップS12の次に、ステップS13として、水素ポンプを実施する。カソード室F3内(カソードCa)の水素ガスが、カソードCaにて分解され、プロトンが生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、カソードCaからアノードAnへポンピングしてプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導する。アノードAnにおいて、伝導したプロトンから水素ガスが生じる(2H+2e→H)。
【0038】
この活性化方法(その1)によれば、プロトンが、プロトン伝導性高分子膜F1中を、カソード電位の上昇時にはカソードCaからアノードAnへの方向に伝導し、カソード電位の降下時にはアノードAnからカソードCaへの方向に伝導することで、固体高分子型燃料電池FCを高度に活性化することができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図3に、本発明の第2の実施形態に係る固体高分子型燃料電池FCの活性化方法(その2)のフローチャートを示す。なお、第2の実施形態でも、第1の実施形態で説明した活性化装置1を用いることができる。
【0040】
まず、ステップS1で、アノードAnとカソードCaの間にプロトン伝導性高分子膜F1を挟んだ電極膜構造体(MEA)に水分を補給する。具体的には、バルブV1、V2、V3、V4を開にして、アノード側ガス供給装置2とカソード側ガス供給装置3から、それぞれ、窒素ガス(不活性ガス)を、MEA面積の1cmに対して4ml/min、30分間流す。この窒素ガスは、加熱・加湿器2a、3aによって、温度が70℃になるように加熱され、相対湿度が100%によるように加湿されている。アノード室F2内雰囲気とカソード室F3内雰囲気は、窒素ガスに置換され、空気(酸素ガス)がパージされる。
【0041】
次に、ステップS2で、アノードAn(アノード室F2)に水素ガスを流す。そして、アノード室F2内雰囲気を水素ガスに置換し、窒素ガスと空気(酸素ガス)がパージされる。具体的には、バルブV1、V2を開にして、アノード側ガス供給装置2から、水素ガスを、MEA面積の1cmに対して8ml/min流す。なお、ステップS2のアノードAn(アノード室F2)に水素ガスを流す行為は、ステップS2以降のステップS3〜S5でも継続して実施されている。あるいは、バルブV2を閉じてアノード室F2の室内の気圧を昇圧してから、バルブV1を閉じてアノード室F2内に水素ガスを封止しておいてもよい。
【0042】
ステップS3で、カソードCa(カソード室F3)に窒素ガス等の不活性ガスを流す。そして、カソード室F3内雰囲気を不活性ガスに置換し、空気(酸素ガス)がパージされる。具体的には、バルブV3、V4を開にして、カソード側ガス供給装置3から、不活性ガスを、MEA面積の1cmに対して8ml/min流す。
【0043】
ステップS4で、カソード室F3に不活性ガスを、滞留させる。具体的には、カソードガス排出口F7を閉じるために、バルブV4を閉じる。バルブV4を閉じると、カソード室F3の室内の気圧が昇圧し、例えば10kPa程度に達する。さらに、この状態で、バルブV3を閉じ、カソード室F3内に不活性ガスを封止してもよい。
【0044】
次に、ステップS5で、第1の実施形態のステップS10と同様に、安定化電源4により、CV法を実施する。図4(a)に示すように、安定化電源4は、アノードAnに対するカソードCaの電位(カソード電位)を0〜1Vで周期的に40回程度上下動させる。カソード電位の波形は、正方向に0.5Vシフトしているsin波形になっている。これにより、カソード電位の最小値(極小値)は0Vになり、最大値(極大値)は1Vになっている。また、このsin波形の周期は6分間(360sec)になっている。このsin波形では、カソード電位が0Vから1Vへ上昇する期間が上昇時となり、1Vから0Vへ降下する期間が降下時となっている。
【0045】
そして、ステップS5のCV法の実施中におけるステップS5aでは、第1の実施形態のステップS10aと同様に、安定化電源4により、カソード電位を降下させる。そのステップS5aのカソード電位が降下する時(降下時)に、ステップS2の実施によって、アノード室F2内(アノードAn)に存在している水素ガスを、アノードAnにて分解し、プロトン(H)を生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、アノードAnからカソードCaへプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導して、カソードCaにおいて、水素ガスを生じる(2H+2e→H)。この水素ガスは、ステップS4で滞留させられている不活性ガスとともに、カソード室F3内に溜められる。
【0046】
図4(b)に、安定化電源4から流れ出る電流の時間変化を示す。安定化電源4の正極から流れ出る電流の方向を正方向とし、反対方向を負方向としている。図4(a)に示すカソード電位の降下時に対応して、図4(b)に示すように、安定化電源4は負方向に(負の)電流を流している。
【0047】
図5に、カソード電位の上昇時(図5の左側)と降下時(図5の右側)の活性化装置1の状態を示す。カソード電位の降下時には、安定化電源4は、安定化電源4の正極に電流が流れ込む負方向に電流を流している。この負方向に電流が流れる(負の電流が流れる)ときに、プロトンは、アノードAnからカソードCaへの方向にプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導(プロトン伝導)していると考えられる。なお、図5では、カソードガス排出口F7が閉じられているが、これは、バルブV4(図1参照)を閉じることで実現することができる。
【0048】
図4(b)の電流波形には、カソード電位の降下時において、−0.009A/cmに達する負方向のピーク波形が現れている。この負方向のピーク波形は、プロトン伝導が行われていることを表している。この負方向のピーク波形の発生している時刻を、図4(a)のグラフの横軸の時刻と対応付けると、負方向のピーク波形は、カソード電位が、0.5V以下の範囲で生じていることがわかる。すなわち、カソード電位が、0.5V以下の範囲に降下してくると、プロトン伝導が実施されると考えられる。
【0049】
次に、ステップS5のCV法の実施中におけるステップS5bでは、第1の実施形態のステップS10bと同様に、安定化電源4により、カソード電位を上昇させる。そのステップS5bのカソード電位が上昇する時(上昇時)に、ステップS5aの実施によって、カソード室F3内(カソードCa)に溜められ存在している水素ガスを、カソードCaにて分解し、プロトンを生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、カソードCaからアノードAnへポンピングしてプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導する。アノードAnにおいて、伝導したプロトンから水素ガスが生じる(2H+2e→H)。ステップS5bでは、水素ポンプが実施される。
【0050】
図4(a)に示すカソード電位の上昇時に対応して、図4(b)に示すように、安定化電源4は正方向に(正の)電流を流している。図5に示すように、カソード電位の上昇時には、安定化電源4は、安定化電源4の正極から電流が流れ出る正方向に電流を流している。この正方向に電流が流れる(正の電流が流れる)ときに、プロトンは、カソードCaからアノードAnへの方向にプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導していると考えられる。
【0051】
図4(b)の電流波形には、カソード電位の上昇時において、0.03A/cmに達する正方向のピーク波形が現れている。この正方向のピーク波形は、水素ポンプが行われていることを表している。この正方向のピーク波形の発生している時刻を、図4(a)のグラフの横軸の時刻と対応付けると、正方向のピーク波形は、カソード電位が、0.2V以下の範囲で生じていることがわかる。すなわち、カソード電位が、0Vから0.2Vまでの範囲での上昇過程で、水素ポンプが実施され、0.2Vを超えた範囲での上昇過程では、水素ポンプは実施されていないと考えられる。
【0052】
なお、カソード電位が、0Vから0.2Vまでの範囲での上昇過程であっても、図4(a)に示すカソード電位の上昇時の1回目には、図4(b)の0〜3分の時刻における電流波形に示すように、水素ポンプに由来する正方向のピーク波形は現れていない。これは、カソード電位の上昇時の1回目の前には、カソード電位の降下時が存在しておらず、カソードCaに、まだ、水素ガスが溜まっていないので、水素ポンプが実施できなかったからと考えられる。
【0053】
この活性化方法(その2)によれば、プロトンが、プロトン伝導性高分子膜F1中を、カソード電位の上昇時にはカソードCaからアノードAnへの方向に伝導し、カソード電位の降下時にはアノードAnからカソードCaへの方向に伝導することで、固体高分子型燃料電池FCを高度に活性化することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図6に、本発明の第3の実施形態に係る固体高分子型燃料電池FCの活性化方法(その3)のフローチャートを示す。なお、第3の実施形態でも、第1の実施形態で説明した活性化装置1を用いることができる。
【0055】
まず、ステップS1で、第2の実施形態のステップS1と同様に、電極膜構造体(MEA)に水分を補給する。
【0056】
次に、ステップS2で、第2の実施形態のステップS2と同様に、アノードAn(アノード室F2)に水素ガスを流す。
【0057】
ステップS3aで、カソードCa(カソード室F3)に、水素ガスと窒素ガス等の不活性ガスとの混合ガスを流す。そして、カソード室F3内雰囲気を混合ガスに置換し、ステップS1で用いた不活性ガスと、空気(酸素ガス)がパージされる。具体的には、バルブV3、V4を開にして、カソード側ガス供給装置3から、混合ガスを、MEA面積の1cmに対して8ml/min流す。混合ガスにおける水素ガスの濃度は10〜30%が望ましい。濃度が10%未満では、水素ポンプによる活性化の効果が小さくなってしまう。濃度が30%を超えると、水素ガスが多すぎるため、水素ポンプのみが実施され、カソード電位が、0.1V以上に上がらなくなってしまう。
【0058】
次に、ステップS5で、第1の実施形態のステップS10と第2の実施形態のステップS5と同様に、安定化電源4により、CV法を実施する。図7(a)に示すように、安定化電源4は、アノードAnに対するカソードCaの電位(カソード電位)を0〜1Vで周期的に40回程度上下動させる。カソード電位の波形は、正方向に0.5Vシフトしているsin波形になっている。これにより、カソード電位の最小値(極小値)は0Vになり、最大値(極大値)は1Vになっている。また、このsin波形の周期は6分間(360sec)になっている。このsin波形では、カソード電位が0Vから1Vへ上昇する期間が上昇時となり、1Vから0Vへ降下する期間が降下時となっている。
【0059】
そして、ステップS5のCV法の実施中におけるステップS5aでは、第1の実施形態のステップS10aと第2の実施形態のステップS5aと同様に、安定化電源4により、カソード電位を降下させる。図6のステップS5aのカソード電位が降下する時(降下時)に、まず、ステップS51で、カソードCa(カソード室F3内)に不活性ガスを流す。カソード室F3内雰囲気は不活性ガスに置換される。具体的には、バルブV3、V4を開にして、カソード側ガス供給装置3から、不活性ガスを、MEA面積の1cmに対して8ml/min流す。
【0060】
次に、ステップS52で、カソード室F3に不活性ガスを、滞留させる。具体的には、カソードガス排出口F7を閉じるために、バルブV4を閉じる。バルブV4を閉じると、カソード室F3の室内の気圧が昇圧し、例えば10kPa程度に達する。さらに、この状態で、バルブV3を閉じ、カソード室F3内に不活性ガスを封止してもよい。
【0061】
ステップS53で、ステップS2の実施によって、アノード室F2内(アノードAn)に存在している水素ガスを、アノードAnにて分解し、プロトン(H)を生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、アノードAnからカソードCaへプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導して、カソードCaにおいて、水素ガスを生じる(2H+2e→H)。この水素ガスは、ステップS4で滞留させられている不活性ガスとともに、カソード室F3内に溜められる。
【0062】
図7(b)に、安定化電源4から流れ出る電流の時間変化を示す。安定化電源4の正極から流れ出る電流の方向を正方向とし、反対方向を負方向とている。図7(a)に示すカソード電位の降下時に対応して、図7(b)に示すように、安定化電源4は負方向に(負の)電流を流している。
【0063】
図8に、カソード電位の上昇時(図8の左側)と降下時(図8の右側)の活性化装置1の状態を示す。カソード電位の降下時には、安定化電源4は、安定化電源4の正極に電流が流れ込む負方向に電流を流している。この負方向に電流が流れる(負の電流が流れる)ときに、プロトンは、アノードAnからカソードCaへの方向にプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導(プロトン伝導)している。なお、図8の右側の活性化装置1では、カソードガス排出口F7が閉じられているが、これは、バルブV4(図1参照)を閉じることで実現することができる。
【0064】
図7(b)の電流波形には、カソード電位の降下時において、−0.019A/cmに達する負方向のピーク波形が現れている。この負方向のピーク波形は、プロトン伝導が行われていることを表している。この負方向のピーク波形の発生している時刻を、図4(a)のグラフの横軸の時刻と対応付けると、負方向のピーク波形は、カソード電位が、0.5V以下の範囲で生じていることがわかる。すなわち、カソード電位が、0.5V以下の範囲に降下してくると、プロトン伝導が実施されると考えられる。また、負方向のピーク波形の波高は、0.019A/cmとなり、第2の実施形態の負方向のピーク波形の波高0.009A/cmと比べて、2倍以上に高くなっている。このことは、活性化が第2の実施形態よりも促進されていることを示していると考えられる。
【0065】
次に、ステップS5のCV法の実施中におけるステップS5bでは、第1の実施形態のステップS10bと第2の実施形態のステップS5bと同様に、安定化電源4により、カソード電位を上昇させる。そのステップS5bのカソード電位が上昇する時(上昇時)に、まず、ステップS54で、カソードCa(カソード室F3内)に前記混合ガスを流す。カソード室F3内雰囲気は、ステップS53の実施によって溜められている水素ガスと不活性ガスに替えて、前記水素ガス濃度が10〜30%の混合ガスに置換される。具体的には、バルブV3、V4を開にして、カソード側ガス供給装置3から、混合ガスを、MEA面積の1cmに対して8ml/min流す。
【0066】
次に、ステップS55で、水素ポンプを実施する。ステップS53の実施によって、カソード室F3内(カソードCa)に溜められ存在している水素ガスに対して、まず、水素ポンプを実施し、引き続き、ステップS54の実施によって、カソード室F3内(カソードCa)を流れる混合ガス内の水素ガスに対して、水素ポンプを実施する。これらの水素ガスは、カソードCaにて分解し、プロトンを生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、カソードCaからアノードAnへポンピングしてプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導し、アノードAnにおいて、伝導したプロトンから水素ガスが生じる(2H+2e→H)。
【0067】
図7(a)に示すカソード電位の上昇時に対応して、図7(b)に示すように、安定化電源4は正方向に(正の)電流を流している。図8に示すように、カソード電位の上昇時には、安定化電源4は、安定化電源4の正極から電流が流れ出る正方向に電流を流している。この正方向に電流が流れる(正の電流が流れる)ときに、プロトンは、カソードCaからアノードAnへの方向にプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導していると考えられる。
【0068】
図7(b)の電流波形には、カソード電位の上昇時において、0.03A/cmに達する正方向の第1ピーク波形と、0.08A/cmに達する正方向の第2ピーク波形とが現れている。この正方向の第1と第2ピーク波形は、水素ポンプが行われていることを表している。正方向の第1ピーク波形は、波高が0.03A/cmであり、第2の実施形態の図4(b)に示す正方向のピーク波形の波高に一致することから、ステップS53の実施によって、カソード室F3内(カソードCa)に溜められ存在している水素ガスに対して実施された水素ポンプに対応していると考えられる。一方、正方向の第2ピーク波形は、ステップS54の実施によって、カソード室F3内(カソードCa)を流れる混合ガス内の水素ガスに対して実施された水素ポンプに対応していると考えられる。
【0069】
この活性化方法(その3)によれば、プロトンが、プロトン伝導性高分子膜F1中を、カソード電位の上昇時にはカソードCaからアノードAnへの方向に伝導し、カソード電位の降下時にはアノードAnからカソードCaへの方向に伝導することで、固体高分子型燃料電池FCを高度に活性化することができる。
【0070】
(第3の実施形態の変形例1)
図9に、本発明の第3の実施形態の変形例1に係る固体高分子型燃料電池FCの活性化方法(その4)のフローチャートを示す。なお、第3の実施形態の変形例1でも、第1の実施形態で説明した活性化装置1を用いることができる。
【0071】
まず、ステップS1で、第2と3の実施形態のステップS1と同様に、電極膜構造体(MEA)に水分を補給する。
【0072】
次に、ステップS2で、第2と3の実施形態のステップS2と同様に、アノードAn(アノード室F2)に水素ガスを流す。
【0073】
ステップS3aで、第3の実施形態のステップS3aと同様に、カソードCa(カソード室F3)に、水素ガスと窒素ガス等の不活性ガスとの混合ガスを流す。
【0074】
次に、ステップS5で、第1の実施形態のステップS10と第2と3の実施形態のステップS5と同様に、安定化電源4により、CV法を実施する。
【0075】
そして、ステップS5のCV法の実施中におけるステップS5aでは、第1の実施形態のステップS10aと第2と3の実施形態のステップS5aと同様に、安定化電源4により、カソード電位を降下させる。図9のステップS5aのカソード電位が降下する時(降下時)に、ステップS2の実施によって、アノード室F2内(アノードAn)に存在している水素ガスを、アノードAnにて分解し、プロトン(H)を生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、アノードAnからカソードCaへプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導して、カソードCaにおいて、水素ガスを生じる(2H+2e→H)。
【0076】
次に、ステップS5のCV法の実施中におけるステップS5bでは、第1の実施形態のステップS10bと第2と3の実施形態のステップS5bと同様に、安定化電源4により、カソード電位を上昇させる。そのステップS5bのカソード電位が上昇する時(上昇時)に、水素ポンプを実施する。ステップS3aの実施によって、カソード室F3内(カソードCa)を流れ存在している混合ガス内の水素ガスは、カソードCaにて分解し、プロトンを生成する(H→2H+2e)。このプロトンは、カソードCaからアノードAnへポンピングしてプロトン伝導性高分子膜F1中を伝導し、アノードAnにおいて、伝導したプロトンから水素ガスが生じる(2H+2e→H)。
【0077】
この活性化方法(その4)によれば、プロトンが、プロトン伝導性高分子膜F1中を、カソード電位の上昇時にはカソードCaからアノードAnへの方向に伝導し、カソード電位の降下時にはアノードAnからカソードCaへの方向に伝導することで、固体高分子型燃料電池FCを高度に活性化することができる。
【0078】
(第3の実施形態の変形例2)
図10に、本発明の第3の実施形態の変形例2に係る固体高分子型燃料電池FCの活性化方法(その5)のフローチャートを示す。なお、第3の実施形態の変形例2でも、第1の実施形態で説明した活性化装置1を用いることができる。第3の実施形態の変形例2が、第3の実施形態の変形例1と異なっている点は、ステップS2が、ステップS2aに替わっている点である。ステップS2aでは、ステップS3aでカソードCaに流している混合ガスと同じ成分の混合ガスを、アノードAnに流している。これによれば、アノード側ガス供給装置2とカソード側ガス供給装置3の2つの装置を設ける必要が無くなり、兼用化でき、どちらか一方を省くことができる。加熱・加湿器2aと3aも、兼用化でき、どちらか一方を省くことができる。
【符号の説明】
【0079】
1 活性化装置
2 アノード側ガス供給装置
2a 加熱・加湿器
3 カソード側ガス供給装置
3a 加熱・加湿器
4 安定化電源(外部電源)
An アノード
Ca カソード
FC 固体高分子型燃料電池
F1 プロトン伝導性高分子膜
F2 アノード室
F3 カソード室
F4 アノードガス供給口
F5 アノードガス排出口
F6 カソードガス供給口
F7 カソードガス排出口
V1、V2、V3、V4 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロトン伝導性高分子膜と前記高分子膜の両面にアノード及びカソードを備え、前記アノードにガスを供給するためのアノードガス供給口と、前記カソードにガスを供給するためのカソードガス供給口と、前記カソードに存在するガスを排出するためのカソードガス排出口とをさらに備えた固体高分子型燃料電池の活性化方法であって、
前記アノードガス供給口から前記アノードに水素ガスを供給しつつ、
前記カソードガス供給口から前記カソードに不活性ガスを供給しつつ、
前記カソードガス排出口を閉じ、
外部電源で、前記アノードに対する前記カソードの電位を周期的に変動させることを特徴とする固体高分子型燃料電池の活性化方法。
【請求項2】
プロトン伝導性高分子膜と前記高分子膜の両面にアノード及びカソードを備え、前記アノードにガスを供給するためのアノードガス供給口と、前記カソードにガスを供給するためのカソードガス供給口と、前記カソードに存在するガスを排出するためのカソードガス排出口とをさらに備えた固体高分子型燃料電池の活性化方法であって、
前記アノードガス供給口から前記アノードに水素ガスを供給しつつ、前記カソードガス供給口から前記カソードに水素ガスと不活性ガスの混合ガスを供給しつつ、外部電源で、前記アノードに対する前記カソードの電位を、0〜0.1Vの範囲内の電位から上昇させる第1ステップと、
前記アノードガス供給口から前記アノードに水素ガスを供給しつつ、前記カソードガス供給口から前記カソードに不活性ガスを供給しつつ、前記外部電源で、前記電位を0〜0.1Vの範囲内の電位まで降下させる第2ステップと、を備え、
前記第1ステップと前記第2ステップを交互に複数回繰り返すことを特徴とする固体高分子型燃料電池の活性化方法。
【請求項3】
プロトン伝導性高分子膜と前記高分子膜の両面にアノード及びカソードを備えた固体高分子型燃料電池の活性化方法であって、
外部電源で、前記アノードに対する前記カソードの電位を、上下動させつつ、
前記電位の降下時には、前記アノードに水素ガスを存在させて、プロトンを前記アノードから前記カソードへ前記高分子膜中を伝導させ、
前記電位の上昇時には、前記カソードに水素ガスを存在させて、プロトンを前記カソードから前記アノードへ前記高分子膜中を伝導させることを特徴とする固体高分子型燃料電池の活性化方法。
【請求項4】
前記電位の降下時に、前記アノードから前記カソードへ前記高分子膜中を伝導した前記プロトンから、前記カソードにおいて水素ガスを生成して滞留させ、
前記電位の上昇時には、前記電位の降下時に前記カソードに滞留させた水素ガスを、前記カソードに存在させることを特徴とする請求項3に記載の固体高分子型燃料電池の活性化方法。
【請求項5】
前記電位の降下時には、外部から前記アノードに水素ガスを供給し、
前記電位の上昇時には、外部から前記カソードに水素ガスと不活性ガスの混合ガスを供給することを特徴とする請求項3に記載の固体高分子型燃料電池の活性化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−54942(P2013−54942A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192785(P2011−192785)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】