固定部材の接続構造及び固定部材
【課題】軽量で、且つ、固定強度が高く、組み付け作業性のよい固定部材を提供する。
【解決手段】基板用コネクタ30と、固定部材挿通孔P2が貫通して設けられた回路基板Pと、回路基板Pに基板用コネクタ30を固定するための固定部材10と、を備えた固定部材の接続構造であって、固定部材10は軸部11を有し、この軸部11は、樹脂部15と、樹脂部15の表面に形成されためっき層16とを備えて構成されており、めっき層16と、回路基板Pに設けられた固定用ランドP4とが半田接続されることで固定部材10が回路基板Pに固定されている。
【解決手段】基板用コネクタ30と、固定部材挿通孔P2が貫通して設けられた回路基板Pと、回路基板Pに基板用コネクタ30を固定するための固定部材10と、を備えた固定部材の接続構造であって、固定部材10は軸部11を有し、この軸部11は、樹脂部15と、樹脂部15の表面に形成されためっき層16とを備えて構成されており、めっき層16と、回路基板Pに設けられた固定用ランドP4とが半田接続されることで固定部材10が回路基板Pに固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材の接続構造及び固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板に基板用コネクタを固定する固定部材の一例として、特許文献1に記載の固定ねじが知られている。この固定ねじは、基板用コネクタの固定片に設けられた挿通孔に挿通させて回路基板に締め付けることにより、基板用コネクタを回路基板に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−150016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この種の固定ねじは、基板用コネクタを回路基板に固定する際に、固定ねじをねじ締めする締め付け工程が必要となるため、基板用コネクタの組み付け作業性が低下するといった問題がある。また、固定ねじは金属製であるため、重量が嵩むといった問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、固定部材を軽量化すると共に、回路基板に対する基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する手段として本発明の固定部材の接続構造は、基板用コネクタと、挿通孔が貫通して設けられた回路基板と、前記回路基板に前記基板用コネクタを固定するための固定部材と、を備えた接続構造であって、前記固定部材は前記挿通孔に挿通された軸部を有し、この軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成されためっき層とを備えて構成されており、前記めっき層と、前記挿通孔の開口縁部に設けられた固定用ランドとが半田接続されることで前記軸部が前記回路基板に固定されているところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明は、基板用コネクタを回路基板に固定するための固定部材であって、前記固定部材は軸部と、この軸部の一端に設けられた頭部とを備えて構成されており、前記軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成され、前記回路基板に半田接続されるめっき層と、を備えている。
【0008】
このような固定部材の接続構造によると、固定部材の軸部の表面にめっき層が形成されていることから、基板用コネクタにおける端子金具の半田付けと同時に、軸部と固定用ランドとを半田接続することができる。すなわち、端子金具の半田付け工程と同時に、基板用コネクタを回路基板に固定することができる。これにより、固定ねじを回路基板に締め付けて基板用コネクタを回路基板に固定するといった固定ねじの締め付け工程を省くことができ、基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。
また、軸部が合成樹脂によって形成されていることから、金属製の固定ねじなどに比べて固定部材を軽量化することができる。
【0009】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定部材を回路基板に半田付けする際に、軸部の外面と挿通孔の内壁との間の第一クリアランスに半田が流れ込み、固定用ランドに加えて、挿通孔の内壁と軸部とを半田接続することができる。これにより、軸部と回路基板とを確実に固定し、回路基板に対する固定部材の固着力を向上させることができる。
【0010】
前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定部材を半田接続によって回路基板に固定する時に、軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間の第二クリアランスにも半田を流し込むことが可能であることから、第一クリアランスに溜まっていた空気を第二クリアランスに逃がすことができる。これにより、第一クリアランスに半田を流し込むことが容易となり、軸部と挿通孔の内壁とをより確実に半田接続することができる。
【0011】
前記軸部は、前記挿通孔を貫通可能な長さに形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、軸部の長さ寸法が、挿通孔の深さ寸法よりも短い場合に比べて、挿通孔の内壁及び固定用ランドに半田接続される軸部の接続面積を広くすることができる。また、軸部が挿通孔から突出した位置において、軸部と回路基板の固定用ランドとの間に半田フィレットを形成することができる。
【0012】
前記軸部は、前記基板用コネクタに固定可能とされている構成としてもよい。
このような構成によると、基板用コネクタの出荷前に固定部材を基板用コネクタに組み付けておくことができる。これにより、基板用コネクタの組み付け作業時に固定ねじを保持孔に挿通させるといった固定部材の挿通工程を省くことができ、基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。また、フロー式の半田付けによって、固定部材と回路基板とを半田接続する際に、固定部材が半田によって押し上げられ、保持孔から固定部材が浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0013】
前記軸部の外周面に周方向に等間隔で配設され、前記保持孔の内壁に圧入可能な突起を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、軸部に突起を設けることで、固定部材を基板用コネクタに対して固定することができる。また、突起を軸部の外周面に等間隔で配設したことにより、保持孔に対して軸部を同軸に配置することができる。
【0014】
前記軸部と一体に形成され、前記保持孔の内壁に圧入されることで、前記保持孔の内壁と全周に亘って密着する圧入部を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、圧入部が保持孔の内壁に対して全面に亘って圧入状態となることから、基板用コネクタに対する固定部材の固着力を向上させることができる。
また、基板用コネクタを構成するコネクタハウジングの合成樹脂とほぼ同じ線膨張係数の合成樹脂で軸部及び圧入部を形成することで、例えば回路基板が高温となった場合においても、線膨張係数の差に起因する熱応力が生じにくくなり、コネクタハウジングの保持孔と固定部材の軸部との接続部分が破損するなどして回路基板に対する基板用コネクタの固着力が低下するといったことを防止することができる。
【0015】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、基板用コネクタに嵌合された相手方コネクタが引っ張られるなどして、基板用コネクタが回路基板から剥がされる方向に引っ張られた際に、頭部が保持孔の開口縁部と当接することで、基板用コネクタが回路基板から外れてしまうことを防止することができる。これにより、回路基板に対する基板用コネクタの固着力を向上させることができる。また、固定部材を基板用コネクタに組み付ける際に、頭部が保持孔の開口縁部に当接する位置まで軸部を保持孔に挿入することで、固定部材を基板用コネクタに対して位置決めすることができる。
【0016】
前記軸部は、円柱形状に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定ねじを挿通させる為の円孔形状の貫通孔を有する従来型の基板用コネクタに本発明の固定部材を適用させることができる。
また、平板状の固定部材によると、基板用コネクタに対して固定部材の板厚方向に強い力がかかると、固定部材が変形してしまい、基板用コネクタの回路基板に対する固着力が低下するといった虞がある。この点、本発明によると、基板用コネクタに設けられた保持孔と、回路基板に設けられた挿通孔とに亘って軸部を配していることから、基板用コネクタに対して外部から応力がかかった場合でも、平板状の固定部材に比べて回路基板に対する固着力を低下させることなく基板用コネクタを固定することができる。
【0017】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されており、前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されており、前記固定部材には、前記回路基板を中心とした前記基板コネクタ側に位置する外部空間と前記第二クリアランスとを連通させる第三クリアランスが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、第一クリアランス内に半田が流入する際に、第一クリアランス及び第二クリアランス内の空気を外部空間に確実に排出して、軸部と挿通孔の内壁とを確実に半田接続することができる。
【0018】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成され、前記頭部には、前記第三クリアランスが前記軸部の軸線方向に延びるように形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定部材の頭部の周面が基板用コネクタの側壁や他の部材の壁面などと密着した場合においても、第三クリアランスが軸部の軸線方向に延びて形成されているので、第一クリアランス及び第二クリアランス内の空気を外部空間に排出することができる。
【0019】
前記軸部は、挿通孔の一部もしくは保持孔の一部に仮係止可能な複数の弾性片によって構成され、隣り合う両弾性片の間に前記軸部の軸線方向に延びるスリットが設けられており、前記複数の弾性片は、前記スリット側に弾性的に撓み変形しながら前記保持孔及び前記挿通孔に挿通される構成としてもよい。
このような構成によると、弾性片を撓み変形させて挿通孔及び保持孔に挿通させるので、軸部が正規の位置まで挿通された際に、弾性片を挿通孔の一部もしくは保持孔の一部に仮係止させることができる。これにより、固定部材と回路基板とをフロー式の半田付けにより接続する際に、基板用コネクタ及び固定部材が半田によって押し上げられ、回路基板から基板用コネクタが浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0020】
前記スリットは、前記軸部における挿入方向前側に開口して形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、フロー式の半田付けによって固定部材と回路基板とを半田付けする際に、軸部のスリット内にも、溶融した半田が流れ込むので、半田接続が行われる接続面積を増加させることができる。すなわち、軸部の外周面及びスリットの内壁と回路基板の挿通孔の内周壁とをより確実に固定することができる。これにより、回路基板に対する基板用コネクタの固着力を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、固定部材を軽量化すると共に、回路基板に対する基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る固定部材の側面図
【図2】同底面図
【図3】図2のIII−III線断面図
【図4】実施形態1に係る固定部材を基板用コネクタに組み付けた状態を示す正面図
【図5】同底面図
【図6】実施形態1に係る固定部材が組み付けられた基板用コネクタを回路基板に載置した状態を示す断面図
【図7】図6の要部拡大断面図
【図8】実施形態1に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態を示す側面図
【図9】図8の要部拡大断面図
【図10】実施形態2に係る固定部材の底面図
【図11】実施形態2に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態であって、図8に対応する要部拡大断面図
【図12】実施形態3に係る固定部材の側面図
【図13】同底面図
【図14】実施形態3に係る固定部材が組み付けられた基板用コネクタを回路基板に載置した状態を示す断面図
【図15】図14の固定部材を回路基板に半田接続した状態に相当する断面図
【図16】図14のXVI−XVI線側面図
【図17】実施形態4に係る固定部材の側面図
【図18】同底面図
【図19】実施形態4に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態を示す側面図
【図20】実施形態5に係る固定部材の側面図
【図21】同底面図
【図22】実施形態5に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態を示す側面図
【図23】実施形態5に係る固定部材を壁面に囲まれた位置に固定した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1乃至図9を参照して説明する。
実施形態1は、図8に示すように、基板用コネクタ30を回路基板Pに固定した固定部材10の接続構造を例示している。尚、以下の説明において、上下方向とは図8における上下方向を基準とし、左右方向とは図4における左右方向を基準とする。
【0024】
回路基板Pは、絶縁性の合成樹脂からなる基板P1の表面及び裏面に図示しない導電路を形成したものであって、基板用コネクタ30を載置する部分には、図6に示すように、円孔形状の固定部材挿通孔(本発明の「挿通孔」に相当する)P2と端子挿通孔P3とが設けられている。この固定部材挿通孔P2の上下に位置する開口縁部には、図7に示すように、半田付け可能で、且つ、導電路に接続されない固定用ランドP4が設けられ、端子挿通孔P3の上下に位置する開口縁部には、図示しない半田付け可能なランドが設けられている。なお、固定部材挿通孔P2の内周壁の内周壁には、回路基板Pの上下に設けられた一対の固定用ランドP4を接続するスルーホールめっき処理が施され、端子挿通孔P3の内周壁の内周壁には、回路基板Pの上下に設けられた図示しないランドを導通可能に接続するためのスルーホールめっき処理が施されている。
【0025】
基板用コネクタ30は、端子金具32が装着されたコネクタハウジング31と、コネクタハウジング31の左右方向外側面に突設された一対の固定片33とを備えて構成されている。
コネクタハウジング31は合成樹脂製であって、図4に示すように、左右方向に横長な箱型状をなしている。なお、ここで使用できる合成樹脂は、SPS(シンジオタクチックポリスチレン系樹脂)やLCP(液晶ポリマー)等の高耐熱樹脂とされ、本実施形態においては、SPSが用いられている。
【0026】
コネクタハウジング31は一方に開口しており、内部に図示しない相手方コネクタハウジングを収容可能としている。コネクタハウジング31の背面壁31Aには、図6に示すように、L字状に形成された端子金具32が圧入されている。また、端子金具32は、上下二段で横並びに複数配置されている。
【0027】
端子金具32は、導電性に優れた金属板をプレスによって打ち抜き形成して、曲げ加工を施すことによって成形されている。また、コネクタハウジング31の背面壁31Aから導出された側の先端部は、基板接続部32Aとされている。この基板接続部32Aは、図8に示すように、回路基板Pに設けられた端子挿通孔P3に挿通され、回路基板Pの下面からフロー式の半田付けによって半田接続されるようになっている。
【0028】
一対の固定片33は、図4及び図5に示すように、略方形の板状をなし、固定片33が回路基板Pに対して水平となるように配設されている。また、固定片33はコネクタハウジング31と一体に形成され、固定片33の下面33Aはコネクタハウジング31の下面31Bと面一となるように設定されている。これにより、コネクタハウジング31を回路基板Pに配置したときには、コネクタハウジング31の下面31Bと、固定片33の下面33Aとが回路基板Pの上面と面接触するようになっている。また、固定片33の略中央部には、上下方向に貫通する円孔形状をなす保持孔34が設けられている。この保持孔34には、固定部材10における軸部11が挿通可能とされている。
【0029】
一方、この固定部材10は、図1及び図2に示すように、略円柱形状をなす軸部11と、軸部11の一端に設けられた頭部12を備えて構成されている。
この固定部材10は、図4に示すように、固定部材10の軸部11を基板用コネクタ30の保持孔34に挿通させることで、固定片33に組み付けられる。
【0030】
軸部11は、その長さ寸法が基板用コネクタ30における保持孔34の上下方向の深さ寸法(固定片33の厚さ寸法)と回路基板Pにおける固定部材挿通孔P2の上下方向の深さ寸法(回路基板Pの厚さ寸法)とを合わせた長さ寸法よりも長く設定されている。これにより、軸部11を保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに連続して挿通させた時には、図8及び図9に示すように、軸部11の先端部が固定部材挿通孔P2から突出した状態となる。これにより、軸部11の長さ寸法が、固定部材挿通孔P2の長さ寸法よりも短い場合に比べて、固定部材挿通孔P2の内周壁及び固定用ランドP4に半田接続される軸部11の接続面積を広くすることができる。
【0031】
また、軸部11は、その外径寸法が保持孔34の内径寸法及び固定部材挿通孔P2の内径寸法よりもやや小さめに設定されている。これにより、軸部11は、保持孔34の内壁と、固定部材挿通孔P2の内壁との間に僅かなクリアランスを有する状態で、保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに挿通できるようになっている。また、軸部11における先端側の角部は、全周に亘って滑らかなR面形状に形成されており、軸部11が保持孔34及び固定部材挿通孔P2に対して挿入し易くなっている。
【0032】
軸部11における頭部12側の基端部には、周方向に等間隔で四つの突起13が設けられている。この突起13は、図2に示すように、軸部11の外周面から半円形状に突出した形態とされ、頭部12と軸部11との境界部分から軸部11の先端に向かって直線状に延びる細長い形状に形成されている。
【0033】
突起13の長さ寸法は、保持孔34の上下方向の深さ寸法よりも短く設定されている。また、突起13の突出端から軸部11の軸心までの長さ寸法は、コネクタハウジング31における固定片33の保持孔34の半径よりも僅かに長く設定されている。これにより、軸部11が保持孔34に対して挿入されて、固定部材10が固定片33に対して正規の位置に組み付られた時には、図7に示すように、突起13が保持孔34の内壁に圧入された状態となって、固定部材10が保持孔34内から抜け落ちないように保持することができる。なお、突起13は軸部11の外周面から半円形状に突出していることから、三角状に突出する三角突起に比べて、突出端が保持孔34の内周壁によって押し潰されにくく、固定片33に固定部材10を保持する上で好適である。
【0034】
また、突起13は、軸部11の外周面に等間隔に配設されているので、軸部11を保持孔34に対して同軸に配置することができる。
また、突起13における頭部12に接する基端側とは反対に位置する先端側の面は、先端側から基端側に向かって突起13が突出する方向に傾斜した傾斜面13Aとされ、突起13を保持孔34に対して正規の収容位置に案内する役割を果たしている。
【0035】
一方、固定部材10における頭部12は、図1及び図2に示すように、箱型状であって、四隅が丸みを帯びた底面視正方形状をなしている。また、頭部12の下面における一辺の長さ寸法は、軸部11の外径寸法の約二倍に設定されている。また、頭部12における軸部11と隣り合う面は、軸部11の軸線方向と直交した形態とされ、保持孔34の上方外周縁部である固定片33の上面33Bに面接触可能な接触面14とされている。これにより、固定部材10を固定片33に組み付ける時には、図4に示すように、接触面14が固定片33の上面33Bに接触する位置まで固定部材10を保持孔34に挿入することで、固定部材10を固定片33に対して位置決めすることができるようになっている。
【0036】
さて、固定部材10における軸部11は、合成樹脂製の樹脂部15と、この樹脂部15の表面に形成されためっき層16とを備えて構成されている。
樹脂部15は、図1及び図2に示すように、頭部12とは反対側に位置する先端側の角部が丸みを帯びた略円柱形状をなしている。樹脂部15に使用することが可能な合成樹脂は、めっき可能で、且つ、高耐熱性を有する樹脂とされ、例えば、SPS(シンジオタクチックポリスチレン系樹脂)などを用いることができる。なお、本実施形態の樹脂部15においては、コネクタハウジング31と同一の線膨張係数であるSPSが用いられている。
【0037】
一方、めっき層16は、図1乃至図3に示すように、突起13の傾斜面13Aの位置から軸部11の先端までの樹脂部15の表面全体に形成されている。また、めっき層16は、樹脂部15に対してほぼ均一の厚さに形成されている。これにより、軸部11における突起13の傾斜面13Aの位置から先端までの位置は、図1に示すように、軸部11の基端部に比べてめっき層16の厚み分だけ拡幅された形態となっている。また、めっき層16を形成するためのめっき金属は、例えば錫めっきやニッケルめっきなどを用いることができる。本実施形態のめっき層16は、例えば、樹脂部15に対して錫めっきを行うことで形成されている。
【0038】
本実施形態は以上のような構成であって、続いて固定部材10を基板用コネクタ30に組み付ける手順を説明し、続けて、基板用コネクタ30を回路基板Pへ固定する方法とその作用効果を説明する。
まず、基板用コネクタ30の固定片33の上方から固定部材10の軸部11を保持孔34に挿入し、固定部材10における頭部12の接触面14が固定片33の上面33Bに面接触するまで挿入する。このとき、図7に示すように、軸部11の四つの突起13が保持孔34の内周壁に圧入され、固定部材10が固定片33に保持された状態となる。また、軸部11は保持孔34と同軸となるように配置され、軸部11の外周面と保持孔34の内周面との間には、僅かな第二クリアランスC2が全周に亘ってほぼ均一に形成される。
【0039】
次に、図6に示すように、回路基板Pにおける端子挿通孔P3に端子金具32の基板接続部32Aを貫通した状態に挿入させると共に、回路基板Pにおける固定部材挿通孔P2に固定部材10の軸部11を貫通した状態に挿入させて、基板用コネクタ30を回路基板Pに載置する。詳細には、固定片33の下面33Aがコネクタハウジング31の下面31Bと共に、回路基板Pの上面と面接触するように基板用コネクタ30を回路基板Pに載置する。このとき、軸部11の外周面と固定部材挿通孔P2の内周面との間には、僅かな第一クリアランスがC1全周に亘って形成される。
【0040】
基板用コネクタ30を回路基板Pに載置した後、回路基板Pを貫通した端子金具32の基板接続部32Aと、基板用コネクタ30に組み付けられた固定部材10の軸部11とを、フロー式の半田付け工程によって同時に回路基板Pに半田接続する(図8参照)。このとき、固定部材10の軸部11における回路基板Pと接続される部分には、めっき層16が形成されていることから、図9に示すように、めっき層16と回路基板Pの固定用ランドP4とを半田接続することで、軸部11と回路基板Pとを固定するができる。
【0041】
詳細には、フロー式の半田付け工程の際に、まず、軸部11のめっき層16と固定部材挿通孔P2の内周壁との間の第一クリアランスC1に溶融した半田40が流れ込み、続けて、軸部11のめっき層16と保持孔34の内周壁との間の第二クリアランスC2に半田40が流れ込む。そして、図9に示すように、軸部11の外周面と、固定部材挿通孔P2の内周壁との間は半田40によって満たされ、それぞれを半田40によって接続することができる。このとき、軸部11と固定部材挿通孔P2の内周壁との間の第一クリアランスC1の奥には、軸部11と保持孔34の内周壁との間に第二クリアランスC2が形成されているので、軸部11と固定部材挿通孔P2の内周壁との間に溜まっていた空気を第二クリアランスC2に逃がすことができる。これにより、第一クリアランスC1に半田を流し込むことが容易となり、軸部11と固定部材挿通孔P2の内周壁とをより確実に半田接続することができる。尚、回路基板Pの上面における固定部材挿通孔P2の開口縁部にも固定用ランドP4が設けられているので、第二クリアランスC2に対しても溶融した半田40が流れ込み易くなっている。したがって、本実施形態においては、図9に示すように、第二クリアランスC2も半田40によって満たされている。
【0042】
また、軸部11は、固定部材挿通孔P2を貫通していることから、軸部11の長さ寸法が、固定部材挿通孔P2の深さ寸法よりも短い場合に比べて、固定部材挿通孔P2の内壁及び固定用ランドP4に半田接続される軸部11の接続面積を広くすることができる。更に、軸部11における先端部の外周面と、回路基板の下面における固定用ランドP4(固定部材挿通孔P2の外周縁部)との間に半田フィレット41を形成することができるので、軸部11と固定用ランドP4との半田付けの状態を容易に確認することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態においては、合成樹脂製の固定部材10によって、回路基板Pに基板用コネクタ30を固定することができる。その結果、金属製の固定部材などに比べて固定部材10を軽量化することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、端子金具32を回路基板Pに半田接続するために実施しているフロー式の半田付け工程によって、基板用コネクタ30を回路基板Pに固定することができることから、固定ねじを回路基板に締め付けるといった固定ねじの締め付け工程を省くことができ、基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。更に、予め、基板用コネクタ30の固定片33に固定部材10を組み付けておくことで、基板用コネクタ30を回路基板Pに配置した後に、基板用コネクタ30の保持孔34に固定ねじなどを挿通させるといった固定部材の挿通工程を省くことができ、組み付け作業性をより向上させることができる。
【0045】
また、軸部11の突起13が基板用コネクタ30の保持孔34の内周壁に圧入されているので、フロー式の半田付け工程によって、固定部材10が半田によって押し上げられてしまうことを防ぐことができる。
【0046】
また、固定部材10は、コネクタハウジング31と同一の線膨張係数である合成樹脂(SPS)によって形成されていることから、例えば、金属製の固定部材と合成樹脂製のコネクタハウジング31との間で起こるような線膨張係数の差は生じない。これにより、例えば回路基板Pが高温となった場合においても、線膨張係数の差に起因する熱応力が生じにくくなり、コネクタハウジング31が破損して基板用コネクタ30の固着力が低下するといったことを防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態の固定部材10は、保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに、円柱形状の軸部11を挿通させていることから、基板用コネクタ30に対して外部から応力がかかる場合においても、板状に形成された固定部材のように固定部材自体が変形することがなく、回路基板Pに対する基板用コネクタ30の固着力が低下することを防止することができる。更に、固定部材の形状が円柱形状であることから、固定ねじを挿通させて固定する従来型の基板用コネクタに適用させることができる。
【0048】
また、本実施形態によると、固定部材10には頭部12が設けられていることから、基板用コネクタ30に嵌合された図示しない相手方コネクタが引っ張られることで、基板用コネクタ30が回路基板Pから剥がされる方向に引っ張られた際に、頭部12と固定片33の上面33Bとが当接することで、基板用コネクタ30が回路基板Pから外れてしまうことを防止することができる。これにより、回路基板Pに対する基板用コネクタ30の固着力を向上させることができる。
【0049】
<実施形態2>
本発明の実施形態2について図10及び図11を参照して説明する。
本実施形態の固定部材50は、実施形態1の軸部11における基端部(突起13が形成された周辺部)の構造を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0050】
本実施形態の固定部材50における軸部51の基端部には、実施形態1の軸部11における突起13の突出寸法と同じ厚さ寸法の圧入部52が軸部11の樹脂部15と一体に形成されている。この圧入部52は、図10に示すように、樹脂部15の外周面に全周に亘って形成され、基板用コネクタ30の固定片33における保持孔34の内周壁に全周に亘って圧入される構成となっている。
【0051】
また、圧入部52における軸部51の軸線方向と同一方向の長さ寸法は、保持孔34の深さ寸法(固定片33の厚さ寸法)とほぼ同じ長さ寸法に設定されている。これにより、軸部51が保持孔34に挿入されて、固定部材50が固定片33に保持された状態においては、図11に示すように、軸部11の圧入部52が、保持孔34の内周壁に全周に亘って圧入状態となることから、基板用コネクタ30に対する固定部材50の固着力を向上させることができる。
【0052】
また、圧入部52における軸部51の軸線方向と同一方向の長さ寸法が、保持孔34の深さ寸法とほぼ同じ長さ寸法になったことに伴い、めっき層53における軸部51の軸線方向と同一方向の長さ寸法が短くなっている。すなわち、めっき層53の表面積が実施形態1のめっき層16に比べて狭くなっていることから、固定部材50に使用するめっき金属の使用量を少なくすることができる。
【0053】
<実施形態3>
ところで、実施形態1及び実施形態2における軸部11,51の外周面と固定部材挿通孔P2の内周壁との間に形成された第一クリアランスC1に確実に溶融した半田40を流し込むには、第一クリアランスC1内の空気を第一クリアランスC1から完全に排出することが望ましい。そのため、固定部材50と回路基板Pとを半田接続する際には、第一クリアランスC1の上方に第二クリアランスC2を設けることで第一クリアランスC1の空気を第二クリアランスC2へ逃がすようにしている。
【0054】
しかしながら、実施形態2における第二クリアランスC2の上方は、圧入部52によって、軸部51の外周面と保持孔34の内周面とが全周に亘って密着している。また、実施形態1における軸部11と、実施形態2における軸部51の上方には、基板用コネクタ30における保持孔34の上端開口を塞ぐように頭部12が設けられている。そのため、第一クリアランスC1内の空気は、フロー半田付け工程で第一クリアランスC1内に流れ込んだ半田40によって第二クリアランスC2内へ押し出され、第二クリアランスC2内の空気と共に第二クリアランスC2内に圧縮された状態となる。また、第一クリアランスC1に対して第二クリアランスC2が小さい場合、第一クリアランスC1の空気が第二クリアランスC2内へ完全に押し出されない虞があり、溶融した半田40を第一クリアランスC1内へ均一に流し込めない虞がある。
【0055】
実施形態3は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、第一クリアランスC1内に半田を流し込む際に、第一クリアランスC1内から第二クリアランスC2内へ押し出された空気を外部空間(大気中)へ排出させることを目的とする。
【0056】
本発明の実施形態3について図12乃至図16の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固定部材60は、実施形態1の軸部11の構造を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0057】
本実施形態の固定部材60における軸部61は、図12及び図13に示すように、弾性的に撓み変形可能な一対の弾性片62,62によって構成されている。この両弾性片62,62は全体として略円柱状をなし、上下方向に延びるスリット63によって半分に分割された形状をなしている。このスリット63は軸部61の全長に亘って設けられている。また、両弾性片62,62は、スリット63側に向かって(スリット63のスリット幅を縮めるようにして)弾性的に撓み変形可能に形成されている。両弾性片62,62は、断面略半円形の柱状に設けられており、弾性片62における頭部12とは反対側に位置する先端は、弾性片62における他の部分に比べて一回り小さく設けられている。また、弾性片62の先端からやや基端側に位置する部分は、周方向に張り出した張り出し部64とされている。
【0058】
張り出し部64は、弾性片62の先端から後方に向かって周方向に張り出した先端側傾斜面65と、先端側傾斜面65の後端から径方向に窄んだ基端側傾斜面66とから構成されている。また、弾性片62における張り出し部64の最も張り出した部分から基端までの長さ寸法は、図14に示すように、基板用コネクタ30における保持孔34の上下方向の深さ寸法(固定片33の厚さ寸法)と回路基板Pにおける固定部材挿通孔P2の上下方向の深さ寸法(回路基板Pの厚さ寸法)とを合わせた長さ寸法よりも僅かに長く設定されている。これにより、保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに両弾性片62,62をその先端側から連続して挿通させた時には、図14乃至図16に示すように、両張り出し部64,64における最も張り出した部分が固定部材挿通孔P2から突出した状態となるように設定されている。すなわち、両弾性片62,62の間に設けられたスリット63は、保持孔34及び固定部材挿通孔P2へ挿通させた状態において、図14に示すように、下方に開口した状態となっている。
【0059】
また、両張り出し部64,64は、先端側傾斜面65と、保持孔34における上端開口縁部及び固定部材挿通孔P2の上端開口縁部と、を摺接させて両弾性片62,62をスリット63側に向かって弾性的に撓み変形させることで、保持孔34及び固定部材挿通孔P2内に挿入できるように設定されている。更に、張り出し部64は、保持孔34及び固定部材挿通孔P2内に連続して挿通され、正規の位置まで挿入されると、両弾性片62,62が弾性復帰して、基端側傾斜面66と固定部材挿通孔P2の下端開口縁部とが当接することで、基板用コネクタ30及び固定部材60を回路基板Pに対して仮係止させることができるようになっている。
【0060】
また、弾性片62は、弾性片62における張り出し部64よりも基端側の外周形状が保持孔34の内周形状及び固定部材挿通孔P2の内周形状よりも一回り小さく形成されており、弾性片62が固定部材挿通孔P2及び保持孔34に挿通された際には、固定部材挿通孔P2の内壁及び保持孔34の内壁との間に第一クリアランスC1及び第二クリアランスC2が形成されるように設定されている。
【0061】
また、各弾性片62の基端部における外周面の中央部には、それぞれ突起67が設けられている。突起67は、弾性片62が保持孔34に挿入された時には、図14に示すように、保持孔34の内壁に圧入された状態となって、固定部材10が保持孔34内から抜け落ちないように保持することができるようになっている。
【0062】
また、弾性片62は、合成樹脂製の弾性樹脂片70と、弾性樹脂片70の表面に形成されためっき層71とから構成されている。このめっき層71は弾性樹脂片70における先端部分から突起68の位置までの表面全体に形成されている。したがって、図14および図16に示すように、弾性片62におけるスリット63の内壁にもめっき層71が形成されている。
【0063】
さて、頭部12の接触面14は、図13に示すように、互いに対向する一組の両側縁部14A,14Aの下面によって構成されており、両側縁部14A,14Aの間に、凹溝69が設けられている。すなわち、頭部12における接触面14は、互いに対向する一組の両側縁部14A,14Aの下面のみとなり、凹溝69は頭部12の外側面に開口して連なるように形成されている。また、軸部61に設けられたスリット63における軸部61と頭部12との境界部分である上方部も、頭部12側に凹んだ円弧状をなして、軸部61の外周側面に開口して連なるように形成されている。そのため、スリット63の奥部と、凹溝69の上方内壁とは面一に連なった形状となっている。これにより、接触面14が固定片33の上面33Bに接触する位置まで両弾性片62,62を保持孔34に挿入した際には、凹溝69の内壁及びスリット63の上方部と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成されるようになっている。また、凹溝69が頭部12の外側面に開口して連なるように形成されていることから、第三クリアランスC3は基板用コネクタ30の上方に位置する外部空間(大気圧の空間、すなわち大気)と第二クリアランスC2とを連通させるように形成されている。
【0064】
本実施形態は以上のような構成であって、本実施形態の固定部材60における軸部61(両弾性片62,62)を基板用コネクタ30の保持孔34及び回路基板Pの固定部材挿通孔P2に挿通させると、図14及び図16に示すように、凹溝69の内壁及びスリット63の上方部と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成される。また、第三クリアランスC3は、図16に示すように、第二クリアランスC2と回路基板Pの上方における外部空間とに連通している。固定部材60における軸部61を保持孔34及び固定部材挿通孔P2に挿通させた状態において、フロー式の半田付けを行うと、表面張力が作用することにより第一クリアランスC1内に溶融した半田40が流れ込み、続けて、第二クリアランスC2内に半田40が流れ込む。このとき、第一クリアランスC1内の空気は、第一クリアランスC1内に流れ込んだ半田40によって第二クリアランスC2内に押し出され、第二クリアランスC2内の空気と共に、第三クリアランスC3を通じて速やかに外部空間に排出される。これにより、第一及び第二クリアランスC1,C2内の空気が、第一及び第二クリアランスC1,C2内にて圧縮などされて半田40の進入を邪魔することがないので、溶融した半田40を第一及び第二クリアランスC1,C2内へ非常に容易に流し込むことができる。
【0065】
また、各弾性片62の張り出し部64は、図14に示すように、回路基板Pの固定部材挿通孔P2における下端開口縁と上下方向に係止しているので、基板用コネクタ30及び固定部材60を回路基板Pに対して仮係止することができ、フロー式の半田付け工程において、基板用コネクタ30が回路基板Pから上方に浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0066】
また、軸部61のスリット63内にも、図15に示すように、溶融した半田40が流れ込むので、回路基板Pの固定部材挿通孔P2の内周壁と、軸部61の外周面及びスリット63の内壁とが半田40によってより強固に固定されるので、半田接続が行われる接続面積が増加し、回路基板Pに対する基板用コネクタ30の固着力を更に向上させることができる。
【0067】
<実施形態4>
本発明の実施形態4について図17乃至図19の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固定部材55は、実施形態1の頭部12における接触面14の形状を一部変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0068】
本実施形態の固定部材10の頭部12における接触面14には、図18に示すように、軸部11の外周形状に沿うように、円環形状の円形凹溝56が形成されている。この円形凹溝56は、軸部11の突起13における径方向への突出寸法よりも、一回り大きく設けられている。また、円形凹溝56は、図19に示すように、接触面14を上方に向かって円弧状に切り欠いた形態に形成されている。
【0069】
また、円形凹溝56と頭部12における四方に位置するの外側面との間には、図18及び図19に示すように、同外側面と直交しかつ円形凹溝56までの距離が最短となるように直線的に延びる四つの繋ぎ凹溝57が形成されている。この繋ぎ凹溝57は、円形凹溝56に対して周方向に等間隔で設けられている。また、繋ぎ凹溝57は、円形凹溝56と頭部12の外部空間とに開口して連なる形状をなしている。また、繋ぎ凹溝57は、円形凹溝56と同様、接触面14を上方に向かって円弧状に切り欠いた形態に形成されている。これにより、接触面14が固定片33の上面33Bに接触する位置まで軸部61を保持孔34に挿入した際には、円形凹溝56の内周壁及び繋ぎ凹溝57の内周壁と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成されるようになっている。また、この第三クリアランスC3は、回路基板Pの上方に位置する外部空間と第二クリアランスC2とを連通させるように形成されている。
【0070】
本実施形態は以上のような構成であって、本実施形態の固定部材55における軸部11を基板用コネクタ30の保持孔34及び回路基板Pの固定部材挿通孔P2に挿通させると、円形凹溝56の内周壁及び繋ぎ凹溝57の内周壁と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成される。これにより、固定部材50と回路基板Pとをフロー式の半田付けによって半田接続する際には、第一クリアランスC1及び第二クリアランスC2内の空気を、第三クリアランスC3を通じて外部空間に排出することができる。その結果、溶融した半田40を第一及び第二クリアランスC1,C2内へ流し込み易くすることができる。
【0071】
<実施形態5>
本発明の実施形態5について図20乃至図23の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固定部材58は、実施形態4の頭部12における繋ぎ凹溝57の形状を変更したものであって、実施形態4と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態4と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0072】
本実施形態の固定部材58の頭部12における各繋ぎ凹溝59は、図20及び図21に示すように、実施形態4における繋ぎ凹部57を頭部12の上面まで貫通させるように上下方向に切り欠いて構成されている。すなわち、繋ぎ凹溝59は、頭部12の上下面及び外側面に開口して設けられている。また、繋ぎ凹溝59において円形凹溝56から上方に延びる内壁は頭部12の軸心側に向かって円弧状となるように形成されている。
【0073】
ところで、固定部材58を基板用コネクタ30の壁面Wや他の部材などによって囲まれた位置に組み付ける場合、頭部12が、例えば壁面Wなどに密着することで頭部12の外側面に開口した側面開口が塞がれる虞がある。しかしながら、本実施形態によると、繋ぎ凹部59が頭部12の上面に開口しているので、図22及び図23に示すように、上面開口は他の部材によって塞がれることはなく、第三クリアランスC3は、繋ぎ凹溝59の内壁と壁面Wとの間に形成される。これにより、固定部材58を他の部材などに囲まれた位置に組み付け、頭部12の外側面が他の部材と密着する場合においても、第一及び第二クリアランスC1,C2内の空気を第三クリアランスC3を介して外部空間に排出することができる。
【0074】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、固定部材のめっき層を軸部の一部に形成した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、めっき層を固定部材全体に形成してもよい。
(2)上記実施形態では、固定部材の軸部における突起13の長さ寸法を保持孔34の深さ寸法よりも短く設定し、圧入部52の長さ寸法を保持孔34の長さ寸法とほぼ同一に設定したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。突起13や圧入部52の長さ寸法は、固定部材が保持孔34から抜け落ちないような長さ寸法に設定されていればよく、例えば突起13の長さ寸法を保持孔34の長さ寸法と同一の長さに設定したり、圧入部52の長さ寸法を保持孔34の長さ寸法よりも短く設定したりしてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、軸部を円柱形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、軸部を例えば、角柱形状に形成し、その角部を押し潰すように保持孔34の内周壁に圧入する構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、頭部12を略方形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、頭部12を例えば、円形状や三角形状に形成してもよい。
(5)上記実施形態では、軸部の一端に頭部12を形成することで固定片33の保持孔34から軸部が抜け出ることを防止する構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部における保持孔34に挿通される部分を保持孔34に対して楔状に形成することで、保持孔34から軸部が抜け出ることを防止する構成としてもよい。
【0076】
(6)上記実施形態では、軸部とコネクタハウジング31とを同一の合成樹脂によって構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部とコネクタハウジング31とをそれぞれ異なる合成樹脂によって構成してもよい。
(7)上記実施形態1では、軸部11の基端部に四つの突起13を等間隔に設けた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、突起13を等間隔に二つや三つなど、等間隔に二つ以上設けた構成とすればよい。
(8)上記実施形態1では、突起13を軸部11の外周面から半円形状に突出した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、三角形状に突出した構成としてもよい。
【0077】
(9)上記実施形態3では、軸部61を一対の弾性片62,62によって構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部61を3つや4つの弾性片によって構成してもよい。
(10)上記実施形態4及び5では、円形凹溝56に四つの繋ぎ凹溝を設けた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、繋ぎ凹溝を例えば、1つや5つに構成してもよい。
(11)上記実施形態5では、頭部12の一部を切り欠くことで、第三クリアランスC3が形成される構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部及び頭部の内部に通路を設けることで、第三クリアランスを形成するように構成してもよい。また、軸部及び頭部における基板用コネクタ30と接触する外面にリブや突部などを設けることで第三クリアランスを形成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,50:固定部材
11,51,61:軸部
12:頭部
13,67:突起
15,53,71:めっき層
30:基板用コネクタ
34:保持孔
52:圧入部
63:スリット
C1:第一クリアランス
C2:第二クリアランス
C3:第三クリアランス
P :回路基板
P2:固定部材挿通孔(挿通孔)
P4:固定用ランド
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材の接続構造及び固定部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板に基板用コネクタを固定する固定部材の一例として、特許文献1に記載の固定ねじが知られている。この固定ねじは、基板用コネクタの固定片に設けられた挿通孔に挿通させて回路基板に締め付けることにより、基板用コネクタを回路基板に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−150016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この種の固定ねじは、基板用コネクタを回路基板に固定する際に、固定ねじをねじ締めする締め付け工程が必要となるため、基板用コネクタの組み付け作業性が低下するといった問題がある。また、固定ねじは金属製であるため、重量が嵩むといった問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、固定部材を軽量化すると共に、回路基板に対する基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する手段として本発明の固定部材の接続構造は、基板用コネクタと、挿通孔が貫通して設けられた回路基板と、前記回路基板に前記基板用コネクタを固定するための固定部材と、を備えた接続構造であって、前記固定部材は前記挿通孔に挿通された軸部を有し、この軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成されためっき層とを備えて構成されており、前記めっき層と、前記挿通孔の開口縁部に設けられた固定用ランドとが半田接続されることで前記軸部が前記回路基板に固定されているところに特徴を有する。
【0007】
また、本発明は、基板用コネクタを回路基板に固定するための固定部材であって、前記固定部材は軸部と、この軸部の一端に設けられた頭部とを備えて構成されており、前記軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成され、前記回路基板に半田接続されるめっき層と、を備えている。
【0008】
このような固定部材の接続構造によると、固定部材の軸部の表面にめっき層が形成されていることから、基板用コネクタにおける端子金具の半田付けと同時に、軸部と固定用ランドとを半田接続することができる。すなわち、端子金具の半田付け工程と同時に、基板用コネクタを回路基板に固定することができる。これにより、固定ねじを回路基板に締め付けて基板用コネクタを回路基板に固定するといった固定ねじの締め付け工程を省くことができ、基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。
また、軸部が合成樹脂によって形成されていることから、金属製の固定ねじなどに比べて固定部材を軽量化することができる。
【0009】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定部材を回路基板に半田付けする際に、軸部の外面と挿通孔の内壁との間の第一クリアランスに半田が流れ込み、固定用ランドに加えて、挿通孔の内壁と軸部とを半田接続することができる。これにより、軸部と回路基板とを確実に固定し、回路基板に対する固定部材の固着力を向上させることができる。
【0010】
前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定部材を半田接続によって回路基板に固定する時に、軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間の第二クリアランスにも半田を流し込むことが可能であることから、第一クリアランスに溜まっていた空気を第二クリアランスに逃がすことができる。これにより、第一クリアランスに半田を流し込むことが容易となり、軸部と挿通孔の内壁とをより確実に半田接続することができる。
【0011】
前記軸部は、前記挿通孔を貫通可能な長さに形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、軸部の長さ寸法が、挿通孔の深さ寸法よりも短い場合に比べて、挿通孔の内壁及び固定用ランドに半田接続される軸部の接続面積を広くすることができる。また、軸部が挿通孔から突出した位置において、軸部と回路基板の固定用ランドとの間に半田フィレットを形成することができる。
【0012】
前記軸部は、前記基板用コネクタに固定可能とされている構成としてもよい。
このような構成によると、基板用コネクタの出荷前に固定部材を基板用コネクタに組み付けておくことができる。これにより、基板用コネクタの組み付け作業時に固定ねじを保持孔に挿通させるといった固定部材の挿通工程を省くことができ、基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。また、フロー式の半田付けによって、固定部材と回路基板とを半田接続する際に、固定部材が半田によって押し上げられ、保持孔から固定部材が浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0013】
前記軸部の外周面に周方向に等間隔で配設され、前記保持孔の内壁に圧入可能な突起を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、軸部に突起を設けることで、固定部材を基板用コネクタに対して固定することができる。また、突起を軸部の外周面に等間隔で配設したことにより、保持孔に対して軸部を同軸に配置することができる。
【0014】
前記軸部と一体に形成され、前記保持孔の内壁に圧入されることで、前記保持孔の内壁と全周に亘って密着する圧入部を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、圧入部が保持孔の内壁に対して全面に亘って圧入状態となることから、基板用コネクタに対する固定部材の固着力を向上させることができる。
また、基板用コネクタを構成するコネクタハウジングの合成樹脂とほぼ同じ線膨張係数の合成樹脂で軸部及び圧入部を形成することで、例えば回路基板が高温となった場合においても、線膨張係数の差に起因する熱応力が生じにくくなり、コネクタハウジングの保持孔と固定部材の軸部との接続部分が破損するなどして回路基板に対する基板用コネクタの固着力が低下するといったことを防止することができる。
【0015】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、基板用コネクタに嵌合された相手方コネクタが引っ張られるなどして、基板用コネクタが回路基板から剥がされる方向に引っ張られた際に、頭部が保持孔の開口縁部と当接することで、基板用コネクタが回路基板から外れてしまうことを防止することができる。これにより、回路基板に対する基板用コネクタの固着力を向上させることができる。また、固定部材を基板用コネクタに組み付ける際に、頭部が保持孔の開口縁部に当接する位置まで軸部を保持孔に挿入することで、固定部材を基板用コネクタに対して位置決めすることができる。
【0016】
前記軸部は、円柱形状に形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定ねじを挿通させる為の円孔形状の貫通孔を有する従来型の基板用コネクタに本発明の固定部材を適用させることができる。
また、平板状の固定部材によると、基板用コネクタに対して固定部材の板厚方向に強い力がかかると、固定部材が変形してしまい、基板用コネクタの回路基板に対する固着力が低下するといった虞がある。この点、本発明によると、基板用コネクタに設けられた保持孔と、回路基板に設けられた挿通孔とに亘って軸部を配していることから、基板用コネクタに対して外部から応力がかかった場合でも、平板状の固定部材に比べて回路基板に対する固着力を低下させることなく基板用コネクタを固定することができる。
【0017】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されており、前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されており、前記固定部材には、前記回路基板を中心とした前記基板コネクタ側に位置する外部空間と前記第二クリアランスとを連通させる第三クリアランスが形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、第一クリアランス内に半田が流入する際に、第一クリアランス及び第二クリアランス内の空気を外部空間に確実に排出して、軸部と挿通孔の内壁とを確実に半田接続することができる。
【0018】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成され、前記頭部には、前記第三クリアランスが前記軸部の軸線方向に延びるように形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、固定部材の頭部の周面が基板用コネクタの側壁や他の部材の壁面などと密着した場合においても、第三クリアランスが軸部の軸線方向に延びて形成されているので、第一クリアランス及び第二クリアランス内の空気を外部空間に排出することができる。
【0019】
前記軸部は、挿通孔の一部もしくは保持孔の一部に仮係止可能な複数の弾性片によって構成され、隣り合う両弾性片の間に前記軸部の軸線方向に延びるスリットが設けられており、前記複数の弾性片は、前記スリット側に弾性的に撓み変形しながら前記保持孔及び前記挿通孔に挿通される構成としてもよい。
このような構成によると、弾性片を撓み変形させて挿通孔及び保持孔に挿通させるので、軸部が正規の位置まで挿通された際に、弾性片を挿通孔の一部もしくは保持孔の一部に仮係止させることができる。これにより、固定部材と回路基板とをフロー式の半田付けにより接続する際に、基板用コネクタ及び固定部材が半田によって押し上げられ、回路基板から基板用コネクタが浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0020】
前記スリットは、前記軸部における挿入方向前側に開口して形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、フロー式の半田付けによって固定部材と回路基板とを半田付けする際に、軸部のスリット内にも、溶融した半田が流れ込むので、半田接続が行われる接続面積を増加させることができる。すなわち、軸部の外周面及びスリットの内壁と回路基板の挿通孔の内周壁とをより確実に固定することができる。これにより、回路基板に対する基板用コネクタの固着力を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、固定部材を軽量化すると共に、回路基板に対する基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る固定部材の側面図
【図2】同底面図
【図3】図2のIII−III線断面図
【図4】実施形態1に係る固定部材を基板用コネクタに組み付けた状態を示す正面図
【図5】同底面図
【図6】実施形態1に係る固定部材が組み付けられた基板用コネクタを回路基板に載置した状態を示す断面図
【図7】図6の要部拡大断面図
【図8】実施形態1に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態を示す側面図
【図9】図8の要部拡大断面図
【図10】実施形態2に係る固定部材の底面図
【図11】実施形態2に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態であって、図8に対応する要部拡大断面図
【図12】実施形態3に係る固定部材の側面図
【図13】同底面図
【図14】実施形態3に係る固定部材が組み付けられた基板用コネクタを回路基板に載置した状態を示す断面図
【図15】図14の固定部材を回路基板に半田接続した状態に相当する断面図
【図16】図14のXVI−XVI線側面図
【図17】実施形態4に係る固定部材の側面図
【図18】同底面図
【図19】実施形態4に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態を示す側面図
【図20】実施形態5に係る固定部材の側面図
【図21】同底面図
【図22】実施形態5に係る固定部材を回路基板に半田接続した状態を示す側面図
【図23】実施形態5に係る固定部材を壁面に囲まれた位置に固定した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本発明の実施形態1について図1乃至図9を参照して説明する。
実施形態1は、図8に示すように、基板用コネクタ30を回路基板Pに固定した固定部材10の接続構造を例示している。尚、以下の説明において、上下方向とは図8における上下方向を基準とし、左右方向とは図4における左右方向を基準とする。
【0024】
回路基板Pは、絶縁性の合成樹脂からなる基板P1の表面及び裏面に図示しない導電路を形成したものであって、基板用コネクタ30を載置する部分には、図6に示すように、円孔形状の固定部材挿通孔(本発明の「挿通孔」に相当する)P2と端子挿通孔P3とが設けられている。この固定部材挿通孔P2の上下に位置する開口縁部には、図7に示すように、半田付け可能で、且つ、導電路に接続されない固定用ランドP4が設けられ、端子挿通孔P3の上下に位置する開口縁部には、図示しない半田付け可能なランドが設けられている。なお、固定部材挿通孔P2の内周壁の内周壁には、回路基板Pの上下に設けられた一対の固定用ランドP4を接続するスルーホールめっき処理が施され、端子挿通孔P3の内周壁の内周壁には、回路基板Pの上下に設けられた図示しないランドを導通可能に接続するためのスルーホールめっき処理が施されている。
【0025】
基板用コネクタ30は、端子金具32が装着されたコネクタハウジング31と、コネクタハウジング31の左右方向外側面に突設された一対の固定片33とを備えて構成されている。
コネクタハウジング31は合成樹脂製であって、図4に示すように、左右方向に横長な箱型状をなしている。なお、ここで使用できる合成樹脂は、SPS(シンジオタクチックポリスチレン系樹脂)やLCP(液晶ポリマー)等の高耐熱樹脂とされ、本実施形態においては、SPSが用いられている。
【0026】
コネクタハウジング31は一方に開口しており、内部に図示しない相手方コネクタハウジングを収容可能としている。コネクタハウジング31の背面壁31Aには、図6に示すように、L字状に形成された端子金具32が圧入されている。また、端子金具32は、上下二段で横並びに複数配置されている。
【0027】
端子金具32は、導電性に優れた金属板をプレスによって打ち抜き形成して、曲げ加工を施すことによって成形されている。また、コネクタハウジング31の背面壁31Aから導出された側の先端部は、基板接続部32Aとされている。この基板接続部32Aは、図8に示すように、回路基板Pに設けられた端子挿通孔P3に挿通され、回路基板Pの下面からフロー式の半田付けによって半田接続されるようになっている。
【0028】
一対の固定片33は、図4及び図5に示すように、略方形の板状をなし、固定片33が回路基板Pに対して水平となるように配設されている。また、固定片33はコネクタハウジング31と一体に形成され、固定片33の下面33Aはコネクタハウジング31の下面31Bと面一となるように設定されている。これにより、コネクタハウジング31を回路基板Pに配置したときには、コネクタハウジング31の下面31Bと、固定片33の下面33Aとが回路基板Pの上面と面接触するようになっている。また、固定片33の略中央部には、上下方向に貫通する円孔形状をなす保持孔34が設けられている。この保持孔34には、固定部材10における軸部11が挿通可能とされている。
【0029】
一方、この固定部材10は、図1及び図2に示すように、略円柱形状をなす軸部11と、軸部11の一端に設けられた頭部12を備えて構成されている。
この固定部材10は、図4に示すように、固定部材10の軸部11を基板用コネクタ30の保持孔34に挿通させることで、固定片33に組み付けられる。
【0030】
軸部11は、その長さ寸法が基板用コネクタ30における保持孔34の上下方向の深さ寸法(固定片33の厚さ寸法)と回路基板Pにおける固定部材挿通孔P2の上下方向の深さ寸法(回路基板Pの厚さ寸法)とを合わせた長さ寸法よりも長く設定されている。これにより、軸部11を保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに連続して挿通させた時には、図8及び図9に示すように、軸部11の先端部が固定部材挿通孔P2から突出した状態となる。これにより、軸部11の長さ寸法が、固定部材挿通孔P2の長さ寸法よりも短い場合に比べて、固定部材挿通孔P2の内周壁及び固定用ランドP4に半田接続される軸部11の接続面積を広くすることができる。
【0031】
また、軸部11は、その外径寸法が保持孔34の内径寸法及び固定部材挿通孔P2の内径寸法よりもやや小さめに設定されている。これにより、軸部11は、保持孔34の内壁と、固定部材挿通孔P2の内壁との間に僅かなクリアランスを有する状態で、保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに挿通できるようになっている。また、軸部11における先端側の角部は、全周に亘って滑らかなR面形状に形成されており、軸部11が保持孔34及び固定部材挿通孔P2に対して挿入し易くなっている。
【0032】
軸部11における頭部12側の基端部には、周方向に等間隔で四つの突起13が設けられている。この突起13は、図2に示すように、軸部11の外周面から半円形状に突出した形態とされ、頭部12と軸部11との境界部分から軸部11の先端に向かって直線状に延びる細長い形状に形成されている。
【0033】
突起13の長さ寸法は、保持孔34の上下方向の深さ寸法よりも短く設定されている。また、突起13の突出端から軸部11の軸心までの長さ寸法は、コネクタハウジング31における固定片33の保持孔34の半径よりも僅かに長く設定されている。これにより、軸部11が保持孔34に対して挿入されて、固定部材10が固定片33に対して正規の位置に組み付られた時には、図7に示すように、突起13が保持孔34の内壁に圧入された状態となって、固定部材10が保持孔34内から抜け落ちないように保持することができる。なお、突起13は軸部11の外周面から半円形状に突出していることから、三角状に突出する三角突起に比べて、突出端が保持孔34の内周壁によって押し潰されにくく、固定片33に固定部材10を保持する上で好適である。
【0034】
また、突起13は、軸部11の外周面に等間隔に配設されているので、軸部11を保持孔34に対して同軸に配置することができる。
また、突起13における頭部12に接する基端側とは反対に位置する先端側の面は、先端側から基端側に向かって突起13が突出する方向に傾斜した傾斜面13Aとされ、突起13を保持孔34に対して正規の収容位置に案内する役割を果たしている。
【0035】
一方、固定部材10における頭部12は、図1及び図2に示すように、箱型状であって、四隅が丸みを帯びた底面視正方形状をなしている。また、頭部12の下面における一辺の長さ寸法は、軸部11の外径寸法の約二倍に設定されている。また、頭部12における軸部11と隣り合う面は、軸部11の軸線方向と直交した形態とされ、保持孔34の上方外周縁部である固定片33の上面33Bに面接触可能な接触面14とされている。これにより、固定部材10を固定片33に組み付ける時には、図4に示すように、接触面14が固定片33の上面33Bに接触する位置まで固定部材10を保持孔34に挿入することで、固定部材10を固定片33に対して位置決めすることができるようになっている。
【0036】
さて、固定部材10における軸部11は、合成樹脂製の樹脂部15と、この樹脂部15の表面に形成されためっき層16とを備えて構成されている。
樹脂部15は、図1及び図2に示すように、頭部12とは反対側に位置する先端側の角部が丸みを帯びた略円柱形状をなしている。樹脂部15に使用することが可能な合成樹脂は、めっき可能で、且つ、高耐熱性を有する樹脂とされ、例えば、SPS(シンジオタクチックポリスチレン系樹脂)などを用いることができる。なお、本実施形態の樹脂部15においては、コネクタハウジング31と同一の線膨張係数であるSPSが用いられている。
【0037】
一方、めっき層16は、図1乃至図3に示すように、突起13の傾斜面13Aの位置から軸部11の先端までの樹脂部15の表面全体に形成されている。また、めっき層16は、樹脂部15に対してほぼ均一の厚さに形成されている。これにより、軸部11における突起13の傾斜面13Aの位置から先端までの位置は、図1に示すように、軸部11の基端部に比べてめっき層16の厚み分だけ拡幅された形態となっている。また、めっき層16を形成するためのめっき金属は、例えば錫めっきやニッケルめっきなどを用いることができる。本実施形態のめっき層16は、例えば、樹脂部15に対して錫めっきを行うことで形成されている。
【0038】
本実施形態は以上のような構成であって、続いて固定部材10を基板用コネクタ30に組み付ける手順を説明し、続けて、基板用コネクタ30を回路基板Pへ固定する方法とその作用効果を説明する。
まず、基板用コネクタ30の固定片33の上方から固定部材10の軸部11を保持孔34に挿入し、固定部材10における頭部12の接触面14が固定片33の上面33Bに面接触するまで挿入する。このとき、図7に示すように、軸部11の四つの突起13が保持孔34の内周壁に圧入され、固定部材10が固定片33に保持された状態となる。また、軸部11は保持孔34と同軸となるように配置され、軸部11の外周面と保持孔34の内周面との間には、僅かな第二クリアランスC2が全周に亘ってほぼ均一に形成される。
【0039】
次に、図6に示すように、回路基板Pにおける端子挿通孔P3に端子金具32の基板接続部32Aを貫通した状態に挿入させると共に、回路基板Pにおける固定部材挿通孔P2に固定部材10の軸部11を貫通した状態に挿入させて、基板用コネクタ30を回路基板Pに載置する。詳細には、固定片33の下面33Aがコネクタハウジング31の下面31Bと共に、回路基板Pの上面と面接触するように基板用コネクタ30を回路基板Pに載置する。このとき、軸部11の外周面と固定部材挿通孔P2の内周面との間には、僅かな第一クリアランスがC1全周に亘って形成される。
【0040】
基板用コネクタ30を回路基板Pに載置した後、回路基板Pを貫通した端子金具32の基板接続部32Aと、基板用コネクタ30に組み付けられた固定部材10の軸部11とを、フロー式の半田付け工程によって同時に回路基板Pに半田接続する(図8参照)。このとき、固定部材10の軸部11における回路基板Pと接続される部分には、めっき層16が形成されていることから、図9に示すように、めっき層16と回路基板Pの固定用ランドP4とを半田接続することで、軸部11と回路基板Pとを固定するができる。
【0041】
詳細には、フロー式の半田付け工程の際に、まず、軸部11のめっき層16と固定部材挿通孔P2の内周壁との間の第一クリアランスC1に溶融した半田40が流れ込み、続けて、軸部11のめっき層16と保持孔34の内周壁との間の第二クリアランスC2に半田40が流れ込む。そして、図9に示すように、軸部11の外周面と、固定部材挿通孔P2の内周壁との間は半田40によって満たされ、それぞれを半田40によって接続することができる。このとき、軸部11と固定部材挿通孔P2の内周壁との間の第一クリアランスC1の奥には、軸部11と保持孔34の内周壁との間に第二クリアランスC2が形成されているので、軸部11と固定部材挿通孔P2の内周壁との間に溜まっていた空気を第二クリアランスC2に逃がすことができる。これにより、第一クリアランスC1に半田を流し込むことが容易となり、軸部11と固定部材挿通孔P2の内周壁とをより確実に半田接続することができる。尚、回路基板Pの上面における固定部材挿通孔P2の開口縁部にも固定用ランドP4が設けられているので、第二クリアランスC2に対しても溶融した半田40が流れ込み易くなっている。したがって、本実施形態においては、図9に示すように、第二クリアランスC2も半田40によって満たされている。
【0042】
また、軸部11は、固定部材挿通孔P2を貫通していることから、軸部11の長さ寸法が、固定部材挿通孔P2の深さ寸法よりも短い場合に比べて、固定部材挿通孔P2の内壁及び固定用ランドP4に半田接続される軸部11の接続面積を広くすることができる。更に、軸部11における先端部の外周面と、回路基板の下面における固定用ランドP4(固定部材挿通孔P2の外周縁部)との間に半田フィレット41を形成することができるので、軸部11と固定用ランドP4との半田付けの状態を容易に確認することができる。
【0043】
以上のように、本実施形態においては、合成樹脂製の固定部材10によって、回路基板Pに基板用コネクタ30を固定することができる。その結果、金属製の固定部材などに比べて固定部材10を軽量化することができる。
【0044】
また、本実施形態においては、端子金具32を回路基板Pに半田接続するために実施しているフロー式の半田付け工程によって、基板用コネクタ30を回路基板Pに固定することができることから、固定ねじを回路基板に締め付けるといった固定ねじの締め付け工程を省くことができ、基板用コネクタの組み付け作業性を向上させることができる。更に、予め、基板用コネクタ30の固定片33に固定部材10を組み付けておくことで、基板用コネクタ30を回路基板Pに配置した後に、基板用コネクタ30の保持孔34に固定ねじなどを挿通させるといった固定部材の挿通工程を省くことができ、組み付け作業性をより向上させることができる。
【0045】
また、軸部11の突起13が基板用コネクタ30の保持孔34の内周壁に圧入されているので、フロー式の半田付け工程によって、固定部材10が半田によって押し上げられてしまうことを防ぐことができる。
【0046】
また、固定部材10は、コネクタハウジング31と同一の線膨張係数である合成樹脂(SPS)によって形成されていることから、例えば、金属製の固定部材と合成樹脂製のコネクタハウジング31との間で起こるような線膨張係数の差は生じない。これにより、例えば回路基板Pが高温となった場合においても、線膨張係数の差に起因する熱応力が生じにくくなり、コネクタハウジング31が破損して基板用コネクタ30の固着力が低下するといったことを防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態の固定部材10は、保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに、円柱形状の軸部11を挿通させていることから、基板用コネクタ30に対して外部から応力がかかる場合においても、板状に形成された固定部材のように固定部材自体が変形することがなく、回路基板Pに対する基板用コネクタ30の固着力が低下することを防止することができる。更に、固定部材の形状が円柱形状であることから、固定ねじを挿通させて固定する従来型の基板用コネクタに適用させることができる。
【0048】
また、本実施形態によると、固定部材10には頭部12が設けられていることから、基板用コネクタ30に嵌合された図示しない相手方コネクタが引っ張られることで、基板用コネクタ30が回路基板Pから剥がされる方向に引っ張られた際に、頭部12と固定片33の上面33Bとが当接することで、基板用コネクタ30が回路基板Pから外れてしまうことを防止することができる。これにより、回路基板Pに対する基板用コネクタ30の固着力を向上させることができる。
【0049】
<実施形態2>
本発明の実施形態2について図10及び図11を参照して説明する。
本実施形態の固定部材50は、実施形態1の軸部11における基端部(突起13が形成された周辺部)の構造を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0050】
本実施形態の固定部材50における軸部51の基端部には、実施形態1の軸部11における突起13の突出寸法と同じ厚さ寸法の圧入部52が軸部11の樹脂部15と一体に形成されている。この圧入部52は、図10に示すように、樹脂部15の外周面に全周に亘って形成され、基板用コネクタ30の固定片33における保持孔34の内周壁に全周に亘って圧入される構成となっている。
【0051】
また、圧入部52における軸部51の軸線方向と同一方向の長さ寸法は、保持孔34の深さ寸法(固定片33の厚さ寸法)とほぼ同じ長さ寸法に設定されている。これにより、軸部51が保持孔34に挿入されて、固定部材50が固定片33に保持された状態においては、図11に示すように、軸部11の圧入部52が、保持孔34の内周壁に全周に亘って圧入状態となることから、基板用コネクタ30に対する固定部材50の固着力を向上させることができる。
【0052】
また、圧入部52における軸部51の軸線方向と同一方向の長さ寸法が、保持孔34の深さ寸法とほぼ同じ長さ寸法になったことに伴い、めっき層53における軸部51の軸線方向と同一方向の長さ寸法が短くなっている。すなわち、めっき層53の表面積が実施形態1のめっき層16に比べて狭くなっていることから、固定部材50に使用するめっき金属の使用量を少なくすることができる。
【0053】
<実施形態3>
ところで、実施形態1及び実施形態2における軸部11,51の外周面と固定部材挿通孔P2の内周壁との間に形成された第一クリアランスC1に確実に溶融した半田40を流し込むには、第一クリアランスC1内の空気を第一クリアランスC1から完全に排出することが望ましい。そのため、固定部材50と回路基板Pとを半田接続する際には、第一クリアランスC1の上方に第二クリアランスC2を設けることで第一クリアランスC1の空気を第二クリアランスC2へ逃がすようにしている。
【0054】
しかしながら、実施形態2における第二クリアランスC2の上方は、圧入部52によって、軸部51の外周面と保持孔34の内周面とが全周に亘って密着している。また、実施形態1における軸部11と、実施形態2における軸部51の上方には、基板用コネクタ30における保持孔34の上端開口を塞ぐように頭部12が設けられている。そのため、第一クリアランスC1内の空気は、フロー半田付け工程で第一クリアランスC1内に流れ込んだ半田40によって第二クリアランスC2内へ押し出され、第二クリアランスC2内の空気と共に第二クリアランスC2内に圧縮された状態となる。また、第一クリアランスC1に対して第二クリアランスC2が小さい場合、第一クリアランスC1の空気が第二クリアランスC2内へ完全に押し出されない虞があり、溶融した半田40を第一クリアランスC1内へ均一に流し込めない虞がある。
【0055】
実施形態3は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、第一クリアランスC1内に半田を流し込む際に、第一クリアランスC1内から第二クリアランスC2内へ押し出された空気を外部空間(大気中)へ排出させることを目的とする。
【0056】
本発明の実施形態3について図12乃至図16の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固定部材60は、実施形態1の軸部11の構造を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0057】
本実施形態の固定部材60における軸部61は、図12及び図13に示すように、弾性的に撓み変形可能な一対の弾性片62,62によって構成されている。この両弾性片62,62は全体として略円柱状をなし、上下方向に延びるスリット63によって半分に分割された形状をなしている。このスリット63は軸部61の全長に亘って設けられている。また、両弾性片62,62は、スリット63側に向かって(スリット63のスリット幅を縮めるようにして)弾性的に撓み変形可能に形成されている。両弾性片62,62は、断面略半円形の柱状に設けられており、弾性片62における頭部12とは反対側に位置する先端は、弾性片62における他の部分に比べて一回り小さく設けられている。また、弾性片62の先端からやや基端側に位置する部分は、周方向に張り出した張り出し部64とされている。
【0058】
張り出し部64は、弾性片62の先端から後方に向かって周方向に張り出した先端側傾斜面65と、先端側傾斜面65の後端から径方向に窄んだ基端側傾斜面66とから構成されている。また、弾性片62における張り出し部64の最も張り出した部分から基端までの長さ寸法は、図14に示すように、基板用コネクタ30における保持孔34の上下方向の深さ寸法(固定片33の厚さ寸法)と回路基板Pにおける固定部材挿通孔P2の上下方向の深さ寸法(回路基板Pの厚さ寸法)とを合わせた長さ寸法よりも僅かに長く設定されている。これにより、保持孔34と、固定部材挿通孔P2とに両弾性片62,62をその先端側から連続して挿通させた時には、図14乃至図16に示すように、両張り出し部64,64における最も張り出した部分が固定部材挿通孔P2から突出した状態となるように設定されている。すなわち、両弾性片62,62の間に設けられたスリット63は、保持孔34及び固定部材挿通孔P2へ挿通させた状態において、図14に示すように、下方に開口した状態となっている。
【0059】
また、両張り出し部64,64は、先端側傾斜面65と、保持孔34における上端開口縁部及び固定部材挿通孔P2の上端開口縁部と、を摺接させて両弾性片62,62をスリット63側に向かって弾性的に撓み変形させることで、保持孔34及び固定部材挿通孔P2内に挿入できるように設定されている。更に、張り出し部64は、保持孔34及び固定部材挿通孔P2内に連続して挿通され、正規の位置まで挿入されると、両弾性片62,62が弾性復帰して、基端側傾斜面66と固定部材挿通孔P2の下端開口縁部とが当接することで、基板用コネクタ30及び固定部材60を回路基板Pに対して仮係止させることができるようになっている。
【0060】
また、弾性片62は、弾性片62における張り出し部64よりも基端側の外周形状が保持孔34の内周形状及び固定部材挿通孔P2の内周形状よりも一回り小さく形成されており、弾性片62が固定部材挿通孔P2及び保持孔34に挿通された際には、固定部材挿通孔P2の内壁及び保持孔34の内壁との間に第一クリアランスC1及び第二クリアランスC2が形成されるように設定されている。
【0061】
また、各弾性片62の基端部における外周面の中央部には、それぞれ突起67が設けられている。突起67は、弾性片62が保持孔34に挿入された時には、図14に示すように、保持孔34の内壁に圧入された状態となって、固定部材10が保持孔34内から抜け落ちないように保持することができるようになっている。
【0062】
また、弾性片62は、合成樹脂製の弾性樹脂片70と、弾性樹脂片70の表面に形成されためっき層71とから構成されている。このめっき層71は弾性樹脂片70における先端部分から突起68の位置までの表面全体に形成されている。したがって、図14および図16に示すように、弾性片62におけるスリット63の内壁にもめっき層71が形成されている。
【0063】
さて、頭部12の接触面14は、図13に示すように、互いに対向する一組の両側縁部14A,14Aの下面によって構成されており、両側縁部14A,14Aの間に、凹溝69が設けられている。すなわち、頭部12における接触面14は、互いに対向する一組の両側縁部14A,14Aの下面のみとなり、凹溝69は頭部12の外側面に開口して連なるように形成されている。また、軸部61に設けられたスリット63における軸部61と頭部12との境界部分である上方部も、頭部12側に凹んだ円弧状をなして、軸部61の外周側面に開口して連なるように形成されている。そのため、スリット63の奥部と、凹溝69の上方内壁とは面一に連なった形状となっている。これにより、接触面14が固定片33の上面33Bに接触する位置まで両弾性片62,62を保持孔34に挿入した際には、凹溝69の内壁及びスリット63の上方部と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成されるようになっている。また、凹溝69が頭部12の外側面に開口して連なるように形成されていることから、第三クリアランスC3は基板用コネクタ30の上方に位置する外部空間(大気圧の空間、すなわち大気)と第二クリアランスC2とを連通させるように形成されている。
【0064】
本実施形態は以上のような構成であって、本実施形態の固定部材60における軸部61(両弾性片62,62)を基板用コネクタ30の保持孔34及び回路基板Pの固定部材挿通孔P2に挿通させると、図14及び図16に示すように、凹溝69の内壁及びスリット63の上方部と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成される。また、第三クリアランスC3は、図16に示すように、第二クリアランスC2と回路基板Pの上方における外部空間とに連通している。固定部材60における軸部61を保持孔34及び固定部材挿通孔P2に挿通させた状態において、フロー式の半田付けを行うと、表面張力が作用することにより第一クリアランスC1内に溶融した半田40が流れ込み、続けて、第二クリアランスC2内に半田40が流れ込む。このとき、第一クリアランスC1内の空気は、第一クリアランスC1内に流れ込んだ半田40によって第二クリアランスC2内に押し出され、第二クリアランスC2内の空気と共に、第三クリアランスC3を通じて速やかに外部空間に排出される。これにより、第一及び第二クリアランスC1,C2内の空気が、第一及び第二クリアランスC1,C2内にて圧縮などされて半田40の進入を邪魔することがないので、溶融した半田40を第一及び第二クリアランスC1,C2内へ非常に容易に流し込むことができる。
【0065】
また、各弾性片62の張り出し部64は、図14に示すように、回路基板Pの固定部材挿通孔P2における下端開口縁と上下方向に係止しているので、基板用コネクタ30及び固定部材60を回路基板Pに対して仮係止することができ、フロー式の半田付け工程において、基板用コネクタ30が回路基板Pから上方に浮き上がってしまうことを防止することができる。
【0066】
また、軸部61のスリット63内にも、図15に示すように、溶融した半田40が流れ込むので、回路基板Pの固定部材挿通孔P2の内周壁と、軸部61の外周面及びスリット63の内壁とが半田40によってより強固に固定されるので、半田接続が行われる接続面積が増加し、回路基板Pに対する基板用コネクタ30の固着力を更に向上させることができる。
【0067】
<実施形態4>
本発明の実施形態4について図17乃至図19の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固定部材55は、実施形態1の頭部12における接触面14の形状を一部変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0068】
本実施形態の固定部材10の頭部12における接触面14には、図18に示すように、軸部11の外周形状に沿うように、円環形状の円形凹溝56が形成されている。この円形凹溝56は、軸部11の突起13における径方向への突出寸法よりも、一回り大きく設けられている。また、円形凹溝56は、図19に示すように、接触面14を上方に向かって円弧状に切り欠いた形態に形成されている。
【0069】
また、円形凹溝56と頭部12における四方に位置するの外側面との間には、図18及び図19に示すように、同外側面と直交しかつ円形凹溝56までの距離が最短となるように直線的に延びる四つの繋ぎ凹溝57が形成されている。この繋ぎ凹溝57は、円形凹溝56に対して周方向に等間隔で設けられている。また、繋ぎ凹溝57は、円形凹溝56と頭部12の外部空間とに開口して連なる形状をなしている。また、繋ぎ凹溝57は、円形凹溝56と同様、接触面14を上方に向かって円弧状に切り欠いた形態に形成されている。これにより、接触面14が固定片33の上面33Bに接触する位置まで軸部61を保持孔34に挿入した際には、円形凹溝56の内周壁及び繋ぎ凹溝57の内周壁と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成されるようになっている。また、この第三クリアランスC3は、回路基板Pの上方に位置する外部空間と第二クリアランスC2とを連通させるように形成されている。
【0070】
本実施形態は以上のような構成であって、本実施形態の固定部材55における軸部11を基板用コネクタ30の保持孔34及び回路基板Pの固定部材挿通孔P2に挿通させると、円形凹溝56の内周壁及び繋ぎ凹溝57の内周壁と固定片33の上面33Bとの間には、第三クリアランスC3が形成される。これにより、固定部材50と回路基板Pとをフロー式の半田付けによって半田接続する際には、第一クリアランスC1及び第二クリアランスC2内の空気を、第三クリアランスC3を通じて外部空間に排出することができる。その結果、溶融した半田40を第一及び第二クリアランスC1,C2内へ流し込み易くすることができる。
【0071】
<実施形態5>
本発明の実施形態5について図20乃至図23の図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固定部材58は、実施形態4の頭部12における繋ぎ凹溝57の形状を変更したものであって、実施形態4と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態4と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
【0072】
本実施形態の固定部材58の頭部12における各繋ぎ凹溝59は、図20及び図21に示すように、実施形態4における繋ぎ凹部57を頭部12の上面まで貫通させるように上下方向に切り欠いて構成されている。すなわち、繋ぎ凹溝59は、頭部12の上下面及び外側面に開口して設けられている。また、繋ぎ凹溝59において円形凹溝56から上方に延びる内壁は頭部12の軸心側に向かって円弧状となるように形成されている。
【0073】
ところで、固定部材58を基板用コネクタ30の壁面Wや他の部材などによって囲まれた位置に組み付ける場合、頭部12が、例えば壁面Wなどに密着することで頭部12の外側面に開口した側面開口が塞がれる虞がある。しかしながら、本実施形態によると、繋ぎ凹部59が頭部12の上面に開口しているので、図22及び図23に示すように、上面開口は他の部材によって塞がれることはなく、第三クリアランスC3は、繋ぎ凹溝59の内壁と壁面Wとの間に形成される。これにより、固定部材58を他の部材などに囲まれた位置に組み付け、頭部12の外側面が他の部材と密着する場合においても、第一及び第二クリアランスC1,C2内の空気を第三クリアランスC3を介して外部空間に排出することができる。
【0074】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、固定部材のめっき層を軸部の一部に形成した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、めっき層を固定部材全体に形成してもよい。
(2)上記実施形態では、固定部材の軸部における突起13の長さ寸法を保持孔34の深さ寸法よりも短く設定し、圧入部52の長さ寸法を保持孔34の長さ寸法とほぼ同一に設定したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。突起13や圧入部52の長さ寸法は、固定部材が保持孔34から抜け落ちないような長さ寸法に設定されていればよく、例えば突起13の長さ寸法を保持孔34の長さ寸法と同一の長さに設定したり、圧入部52の長さ寸法を保持孔34の長さ寸法よりも短く設定したりしてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態では、軸部を円柱形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、軸部を例えば、角柱形状に形成し、その角部を押し潰すように保持孔34の内周壁に圧入する構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、頭部12を略方形状に構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、頭部12を例えば、円形状や三角形状に形成してもよい。
(5)上記実施形態では、軸部の一端に頭部12を形成することで固定片33の保持孔34から軸部が抜け出ることを防止する構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部における保持孔34に挿通される部分を保持孔34に対して楔状に形成することで、保持孔34から軸部が抜け出ることを防止する構成としてもよい。
【0076】
(6)上記実施形態では、軸部とコネクタハウジング31とを同一の合成樹脂によって構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部とコネクタハウジング31とをそれぞれ異なる合成樹脂によって構成してもよい。
(7)上記実施形態1では、軸部11の基端部に四つの突起13を等間隔に設けた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、突起13を等間隔に二つや三つなど、等間隔に二つ以上設けた構成とすればよい。
(8)上記実施形態1では、突起13を軸部11の外周面から半円形状に突出した構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、三角形状に突出した構成としてもよい。
【0077】
(9)上記実施形態3では、軸部61を一対の弾性片62,62によって構成したが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部61を3つや4つの弾性片によって構成してもよい。
(10)上記実施形態4及び5では、円形凹溝56に四つの繋ぎ凹溝を設けた構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、繋ぎ凹溝を例えば、1つや5つに構成してもよい。
(11)上記実施形態5では、頭部12の一部を切り欠くことで、第三クリアランスC3が形成される構成としたが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、軸部及び頭部の内部に通路を設けることで、第三クリアランスを形成するように構成してもよい。また、軸部及び頭部における基板用コネクタ30と接触する外面にリブや突部などを設けることで第三クリアランスを形成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10,50:固定部材
11,51,61:軸部
12:頭部
13,67:突起
15,53,71:めっき層
30:基板用コネクタ
34:保持孔
52:圧入部
63:スリット
C1:第一クリアランス
C2:第二クリアランス
C3:第三クリアランス
P :回路基板
P2:固定部材挿通孔(挿通孔)
P4:固定用ランド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板用コネクタと、挿通孔が貫通して設けられた回路基板と、前記回路基板に前記基板用コネクタを固定するための固定部材と、を備えた接続構造であって、
前記固定部材は前記挿通孔に挿入された軸部を有し、この軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成されためっき層とを備えて構成されており、
前記めっき層と、前記挿通孔の開口縁部に設けられた固定用ランドとが半田接続されることで前記軸部が前記回路基板に固定されていることを特徴とする固定部材の接続構造。
【請求項2】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、
前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1記載の固定部材の接続構造。
【請求項3】
前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、
前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項2記載の固定部材の接続構造。
【請求項4】
前記軸部は、前記挿通孔を貫通可能な長さに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項5】
前記軸部は、前記基板用コネクタに固定可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項6】
前記軸部の外周面に周方向に等間隔で配設され、前記保持孔の内壁に圧入可能な突起を備えていることを特徴とする請求項5に記載の固定部材の接続構造。
【請求項7】
前記軸部と一体に形成され、前記保持孔の内壁に圧入されることで、前記保持孔の内壁と全周に亘って密着する圧入部を備えていることを特徴とする請求項5記載の固定部材の接続構造。
【請求項8】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項9】
前記軸部は、円柱形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項10】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、
前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されており、
前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、
前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されており、
前記固定部材には、前記回路基板を中心とした前記基板用コネクタ側に位置する外部空間と前記第二クリアランスとを連通させる第三クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1記載の固定部材の接続構造。
【請求項11】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成され、
前記頭部には、前記第三クリアランスが前記軸部の軸線方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項10記載の固定部材の接続構造。
【請求項12】
前記軸部は、挿通孔の一部もしくは保持孔の一部に仮係止可能な複数の弾性片によって構成され、隣り合う両弾性片の間に前記軸部の軸線方向に延びるスリットが設けられており、
前記複数の弾性片は、前記スリット側に弾性的に撓み変形しながら前記保持孔及び前記挿通孔に挿通されることを特徴とする請求項10又は請求項11記載の固定部材の接続構造。
【請求項13】
前記スリットは、前記軸部における挿入方向前側の端部に開口して形成されていることを特徴とする請求項12記載の固定部材の接続構造。
【請求項14】
基板用コネクタを回路基板に固定するための固定部材であって、
前記固定部材は軸部と、この軸部の一端に設けられた頭部とを備えて構成されており、
前記軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成され、前記回路基板に半田接続されるめっき層と、を備えていることを特徴とする固定部材。
【請求項1】
基板用コネクタと、挿通孔が貫通して設けられた回路基板と、前記回路基板に前記基板用コネクタを固定するための固定部材と、を備えた接続構造であって、
前記固定部材は前記挿通孔に挿入された軸部を有し、この軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成されためっき層とを備えて構成されており、
前記めっき層と、前記挿通孔の開口縁部に設けられた固定用ランドとが半田接続されることで前記軸部が前記回路基板に固定されていることを特徴とする固定部材の接続構造。
【請求項2】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、
前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1記載の固定部材の接続構造。
【請求項3】
前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、
前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項2記載の固定部材の接続構造。
【請求項4】
前記軸部は、前記挿通孔を貫通可能な長さに形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項5】
前記軸部は、前記基板用コネクタに固定可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項6】
前記軸部の外周面に周方向に等間隔で配設され、前記保持孔の内壁に圧入可能な突起を備えていることを特徴とする請求項5に記載の固定部材の接続構造。
【請求項7】
前記軸部と一体に形成され、前記保持孔の内壁に圧入されることで、前記保持孔の内壁と全周に亘って密着する圧入部を備えていることを特徴とする請求項5記載の固定部材の接続構造。
【請求項8】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項9】
前記軸部は、円柱形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の固定部材の接続構造。
【請求項10】
前記挿通孔の内壁には、前記回路基板の表面及び裏面に設けられた一対の固定用ランドを接続するスルーホールめっき処理が施されており、
前記軸部の外周面と前記挿通孔の内壁との間に第一クリアランスが形成されており、
前記基板用コネクタは、前記軸部が挿入された保持孔を有し、
前記軸部の外周面と前記保持孔の内壁との間に第二クリアランスが形成されており、
前記固定部材には、前記回路基板を中心とした前記基板用コネクタ側に位置する外部空間と前記第二クリアランスとを連通させる第三クリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1記載の固定部材の接続構造。
【請求項11】
前記軸部には、前記保持孔の開口縁部に当接可能な頭部が形成され、
前記頭部には、前記第三クリアランスが前記軸部の軸線方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項10記載の固定部材の接続構造。
【請求項12】
前記軸部は、挿通孔の一部もしくは保持孔の一部に仮係止可能な複数の弾性片によって構成され、隣り合う両弾性片の間に前記軸部の軸線方向に延びるスリットが設けられており、
前記複数の弾性片は、前記スリット側に弾性的に撓み変形しながら前記保持孔及び前記挿通孔に挿通されることを特徴とする請求項10又は請求項11記載の固定部材の接続構造。
【請求項13】
前記スリットは、前記軸部における挿入方向前側の端部に開口して形成されていることを特徴とする請求項12記載の固定部材の接続構造。
【請求項14】
基板用コネクタを回路基板に固定するための固定部材であって、
前記固定部材は軸部と、この軸部の一端に設けられた頭部とを備えて構成されており、
前記軸部は、合成樹脂からなる棒状の樹脂部と、前記樹脂部の表面に形成され、前記回路基板に半田接続されるめっき層と、を備えていることを特徴とする固定部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−84499(P2012−84499A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267395(P2010−267395)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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