説明

土壌処理装置、土壌処理システム、並びに、土壌処理方法

【課題】複合汚染土壌の無害化に要するエネルギー消費量や費用を最小限に抑制可能で、処理能力に優れた土壌処理装置、土壌処理システム、並びに、土壌処理方法の提供を目的とする。
【解決手段】土壌処理装置1は、第1処理部3と第2処理部4とを有する。第1処理部3は、水中に複合汚染土壌とキレート剤とを投入し、これらの中に気体導入手段23により空気を吹き込むことにより、複合汚染土壌に含まれている重金属等をキレート化できる。また、第2処理部4は、第1処理部3で処理された複合汚染土壌を含む混合物を流動させ、この中に薬剤や空気を吹き込むことにより、複合汚染土壌に含まれている有害物質を無害化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属等の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置、土壌処理システム、並びに、土壌処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場跡地等の再開発に伴い、工場における排水の漏洩等により有害物質が土壌中に排出された、いわゆる土壌汚染の存在が明らかになるケースが度々報告されており、問題視されている。
【0003】
そこで、かかる問題に対処すべく、従来より例えば下記特許文献1や特許文献2に開示されているような技術を用いて複合汚染土壌が処理されている。
【特許文献1】特開2006−35218号公報
【特許文献2】特開2006−43660号公報
【0004】
上記特許文献1に開示されている土壌処理装置は、加熱室に土壌を収容して加熱することにより、土壌に含まれている有機ハロゲン化合物を揮発させ、複合汚染土壌を処理するものである。また、特許文献2に開示されている土壌処理方法は、先ず複合汚染土壌を洗浄処理し、これにより得られた脱水ケーキに生石灰などのカルシウム化合物を添加して造粒し、次いでこれを高温の酸化性雰囲気下で加熱処理するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、従来技術の土壌処理装置や土壌処理方法では、複合汚染土壌中に含まれている汚染物質の処理に際して、土壌に含まれている汚染物質が分解する程度の高温に加熱処理する必要がある。そのため、上記した従来技術によれば、複合汚染土壌の処理に膨大な熱エネルギーを要するという問題点がある。
【0006】
また、上記したような処理装置では、一度に処理可能な複合汚染土壌の量も限定され、複合汚染土壌の処理に膨大な時間を要することとなる。従って、従来技術の土壌処理装置や土壌処理方法は、処理能力が不十分であり、その分だけ複合汚染土壌の処理に要する費用も高くなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、かかる知見に基づき、本発明は、複合汚染土壌の無害化に要するエネルギー消費量や費用を最小限に抑制可能で、処理能力に優れた土壌処理装置、土壌処理システム、並びに、土壌処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置であって、第1処理部と、第2処理部とを有し、前記第1処理部が、液体、複合汚染された土壌、並びに、所定の薬剤を投入可能な第1混合物貯留手段と、当該第1混合物貯留手段に投入されている液体、複合汚染された土壌、並びに、薬剤を含む混合物中に気体を吹き込む処理を実施可能な第1気体導入手段とを有し、前記第2処理部が、第2混合物貯留手段と、攪拌手段とを有し、第1処理部において気体を吹き込んで処理された混合物を主として液体からなる液相成分と主として固体からなる固相成分とに分離し、液相成分を第2混合物貯留手段に投入すると共に、当該液相成分中に所定の薬剤を投入して攪拌手段で攪拌可能なものであることを特徴とする土壌処理装置である。
【0009】
本発明の土壌処理装置は、第1処理部に設けられた第1混合物貯留手段において複合汚染土壌を薬剤と共に液中に投入し、これに気体を吹き込むことにより、薬剤と有害物質との反応を促進させることができる。また、本発明の土壌処理装置は、複合汚染土壌を第1処理部でバッチ処理することができるため、複合汚染土壌中に含まれている有害物質と薬剤との反応時間を十分確保することができる。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、複合汚染土壌中に薬剤と反応しにくい有害物質が含まれていたとしても、これと薬剤との反応が十分促進した状態で次の処理に移行させることができる。
【0010】
本発明の土壌処理装置では、第1処理部で処理することにより、複合汚染土壌中に含まれている有害物質が、第1処理部での処理で形成された土壌や液体からなる混合物中において液相側に存在する状態とすることができる。そのため、第1処理部で処理した混合物中に存在している有害物質を効率よく処理し、有害物質の処理に要する薬剤の使用量を最小限に抑制するためには、第1処理部での処理により発生した混合物から液相成分を分離し、これを処理することが望ましい。
【0011】
そこで、かかる知見に基づき、本発明の土壌処理装置では、第2処理部での処理に際して、第1処理部で処理した混合物を固液分離すると共に、液相成分を薬剤と共に第2混合物貯留手段に投入して処理できる構成とされている。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、第1処理部での処理後に残存している有害物質を効率よく無害化することができ、無害化に要する薬剤の使用量やコストも最小限に抑制することができる。
【0012】
ここで、上記した本発明の土壌処理装置を用いて複合汚染土壌を無害化すべく本発明者らが検討したところ、土壌汚染対策法において第二種特定有害物質(重金属等)として分類されている物質のうち、フッ素やホウ素を汚染物質(有害物質)として含む混合物を無害化する場合は、他の汚染物質だけである場合に比べて無害化処理が困難であることが判明した。ホウ素やフッ素を無害化する場合、これに要するコストが高くつく傾向にある。すなわち、単位量のフッ素やホウ素を無害化するのに必要な薬剤は、他の汚染物質を単位量だけ無害化するのに必要な薬剤よりも高価であったり、大量の薬剤を必要とする場合がある。一般的に、有害物質を無害化するために投入される薬剤の量は、その処理対象物の総量に対して決定されるため、ホウ素やフッ素が汚染物質として含まれている場合は、ホウ素やフッ素を含む処理対象物の総量をできる限り抑制することが望まれる。
【0013】
かかる観点から、本発明者らがさらに研究を重ねたところ、上記本発明の土壌処理装置により汚染土壌の処理をする場合は、フッ素やホウ素以外の汚染物質を第1処理部で無害化すると、フッ素やホウ素が主として上記混合物の液相中に存在することが判明した。そのため、上記した本発明の土壌処理装置により汚染土壌の処理をする場合は、フッ素やホウ素以外の汚染物質を第1処理部で十分処理した後、第1処理部で処理された混合物を構成する液相成分を第2処理部でフッ素やホウ素を無害化するのに適した薬剤で処理すれば、当該薬剤の使用量を最小限に抑制できるものと想定される。
【0014】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項2に記載の発明は、第1貯留手段で投入される薬剤が、フッ素及びホウ素以外の汚染物質を無害化するためのものであり、第2貯留手段で投入される薬剤が、フッ素及び/又はホウ素を無害化するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の土壌処理装置である。
【0015】
本発明によれば、フッ素やホウ素を無害化処理するための薬剤の使用量や、複合汚染土壌の無害化に要するコストを最小限に抑制することができる。
【0016】
ここで、第2貯留手段に移された混合物の液相成分中に汚染物質の微粒子が含まれている場合に、液相成分中に含まれている有害物質を第2貯留手段において無害化するために必要な薬剤の量を抑制するためには、当該薬剤の投入に先立ってこの液相成分中に含まれている有害物質の微粒子を凝集させて沈殿させ、これを排除しておくことが望ましい。
【0017】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項3に記載の発明は、第2貯留手段に、液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子を凝集させることが可能な凝集剤を投入可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌処理装置である。
【0018】
かかる構成によれば、第2貯留手段における有害物質の無害化に使用される薬剤の量を最小限に抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置であって、第1処理部と、第2処理部とを有し、前記第1処理部が、前記複合汚染された土壌を液体及び所定の薬剤の存在下でバッチ処理するものであり、液体、複合汚染された土壌、並びに、所定の薬剤を投入可能な第1混合物貯留手段と、当該第1混合物貯留手段に投入されている液体、複合汚染された土壌、並びに、薬剤を含む混合物中に気体を吹き込み可能な第1気体導入手段とを有するものであり、前記第2処理部が、第1処理部において処理された土壌を含む混合物を連続処理するものであり、第1混合物貯留手段から排出された混合物を流通可能な混合物流通手段と、混合物流通手段を流通する混合物中に気体を吹き込み可能な第2気体導入手段とを有するものであることを特徴とする土壌処理装置である。
【0020】
本発明の土壌処理装置は、第1処理部に設けられた第1混合物貯留手段に複合汚染土壌を薬剤と共に液中に投入すると共に、これに気体を吹き込むことにより、薬剤と有害物質との反応を促進することができる。また、本発明の土壌処理装置は、第1処理部で複合汚染土壌をバッチ処理することができるため、複合汚染土壌中に含まれている有害物質と薬剤との反応時間を十分確保することができる。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、複合汚染土壌中に薬剤と反応しにくい有害物質が含まれていたとしても、これと薬剤との反応が十分促進した状態で次の処理に移行させることができる。
【0021】
さらに、本発明の土壌処理装置では、第1処理部において液中に複合汚染土壌と薬剤とを投入するだけでなく、これに気体を吹き込んでバッチ処理することにより複合汚染土壌や薬剤を液体に十分馴染ませ、流動性に富んだ状態とすることができる。そのため、本発明の土壌処理装置は、第1処理部から排出された土壌等の混合物を第2処理部の混合物流通手段においてスムーズに流通させることができる。
【0022】
本発明の土壌処理装置では、第2処理部の混合物流通手段を流れる混合物の流動性が高いだけでなく、第2気体導入手段によって気体を吹き込むことにより混合物の流動性をさらに向上させることができる。また、本発明の土壌処理装置では、混合物流通手段を流れる混合物に第2気体導入手段により気体を吹き込むことにより、有害物質の無害化についても促進することができる。
【0023】
本発明の土壌処理装置は、複合汚染土壌に含まれている有害物質の無害化に際して、上記した従来技術のように大きなエネルギーを必要としない。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、複合汚染土壌の無害化に要するエネルギー消費量や、ランニングコストを最小限に抑制できる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は、重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置であって、第1処理部と、第2処理部とを有し、前記第1処理部が、液体、複合汚染された土壌、並びに、所定の薬剤を投入可能な第1混合物貯留手段と、当該第1混合物貯留手段に投入されている液体、複合汚染された土壌、並びに、薬剤を含む混合物中に気体を吹き込み可能な第1気体導入手段とを有し、前記第2処理部が、所定の処理液、並びに、第1処理部から排出された前記混合物を投入可能な第2混合物貯留手段と、当該第2混合物貯留手段に投入された混合物中に含まれる液相成分を第2混合物貯留手段の外部に排出可能な排出ポンプと、当該第2混合物貯留手段に投入された処理液及び混合物内に気体を吹き込み可能な第2気体導入手段と、第2混合物貯留手段内に存在する混合物を第2混合物貯留手段の外部に向けて流通させることが可能な混合物流通手段とを備えていることを特徴とする土壌処理装置である。
【0025】
上記請求項4に記載の土壌処理装置と同様に、本発明の土壌処理装置についても、第1混合物貯留手段に複合汚染された土壌を薬剤と共に液中に投入し、これに気体を吹き込むことにより薬剤と有害物質との反応を促進させることができる。また、本発明の土壌処理装置は、第1処理部で複合汚染土壌をバッチ処理できるため、薬剤と有害物質との反応時間も十分確保することができる。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、複合汚染土壌中に仮に薬剤と反応しにくい有害物質が含まれていたとしても、これと薬剤との反応が十分促進させることができる。
【0026】
さらに、本発明の土壌処理装置では、第1処理部において液中に複合汚染土壌と薬剤とを投入するだけでなく、これに気体を吹き込んでバッチ処理することにより複合汚染土壌や薬剤を液体に十分馴染ませ、流動性に富んだ状態とすることができる。また、複合汚染土壌や薬剤を液体に十分馴染ませることにより、複合汚染土壌に含まれている有害物質の無害化についてもさらに促進させることができる。
【0027】
ここで、本発明者らが鋭意研究したところ、上記したようにして第1処理部において有害物質によって複合汚染された土壌を処理した場合、条件によっては第1処理部で処理する前の状態よりも土壌に含まれる有害物質の濃度が高くなることがあることが判明した。そこで、本発明者らは、このような現象が生じる理由を第1処理部において処理することにより、処理前には土壌粒子の内部にまで浸透していた有害物質が土壌粒子の表層部分にあらわれたり、第1処理部での処理によって剥離されるなどして混合物中に浮遊している有害物質が無害化された土壌の表面に付着したことに原因があるのではないかと想定した。かかる知見に基づき、本発明者らが種々検討したところ、第1処理部において処理した土壌を含む混合物に含まれている土壌を主成分とする固相成分を水などの所定の処理液中に投入すると共に、当該処理液中に気体を吹き込んでバッチ処理することが土壌の無害化に有効であることを見いだした。
【0028】
上記した知見に基づき、本発明の土壌処理装置では、第2処理部に第2混合物貯留手段を設け、これに第1処理部での処理を経て排出された混合物や所定の処理液を投入すると共に、第2処理部内に気体を吹き込み可能な第2気体導入手段を設けた構成とした。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、第1処理部で処理した混合物中に含まれている有害物質を十分無害化することができる。
【0029】
本発明の土壌処理装置は、混合物流通手段を備えており、これによって第2混合物貯留手段内に存在する混合物を第2混合物貯留手段の外部に向けて流通させることができる。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、第2混合物貯留手段において無害化が図られた土壌等の固体成分を取り出すことができる。
【0030】
本発明の土壌処理装置は、複合汚染された土壌の無害化に際して、大きなエネルギーを必要としない。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、複合汚染土壌の無害化に要するエネルギー消費量や、ランニングコストを最小限に抑制できる。
【0031】
また、本発明の土壌処理装置は、第2混合物貯留手段内に投入された混合物中に含まれている液体を汲み出し可能な排出ポンプを備えている。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、混合物中に含まれている液体を排出できるばかりでなく、第1混合物貯留手段や第2混合物貯留手段での処理の結果、混合物を構成する液中に浮遊している有害物質等の不純物まで外部に排出し、これらの不純物と土壌を主成分とする混合物の固相成分とを分離することができる。
【0032】
請求項6に記載の発明は、混合物流通手段が、一端側に流入部を有し、他端側に流出部を有する筒体によって構成されており、混合物流通手段に対して高圧状態で流体を導入可能な高圧流体導入手段を有し、高圧流体導入手段によって混合物流通手段内に流体を導入することにより、混合物流通手段の内部を負圧とし、第2混合物貯留手段内に存在する混合物を前記流入部から吸引すると共に、当該混合物を混合物流通手段内において前記気体の流れ方向上流側から下流側に向けて流動させ、前記流出部から第2混合物貯留手段の外部に排出させることが可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の土壌処理装置である。
【0033】
かかる構成によれば、第2混合物貯留手段内に存在する混合物の固体成分を第2混合物貯留手段の外側に向けてスムーズに排出することができる。
【0034】
請求項7に記載の発明は、第2混合物貯留手段に投入された処理液及び混合物に対して所定の薬剤を投入可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌処理装置である。
【0035】
かかる構成によれば、第2混合物貯留手段に投入された混合物に含まれる有害物質をより一層確実に無害化することができる。
【0036】
請求項8に記載の発明は、混合物流通手段を通過する混合物中に所定の薬剤を投入可能な薬剤投入手段を有することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の土壌処理装置である。
【0037】
かかる構成によれば、混合物流通手段を通過する混合物中に含まれている有害物質を無害化することができる。
【0038】
ここで、複合汚染土壌に有害物質として重金属等が含まれている場合は、これをキレート化することにより確実かつ安価に無害化することができる場合が多い。しかし、一般的に、重金属等をキレート化するには相当の時間を要する。一方、上記各請求項に記載の土壌処理装置では、第1処理部の第1混合物貯留手段に複合汚染された土壌、液体、並びに、薬剤を投入し、これらの混合物中に気体を吹き込むことにより複合汚染された土壌に含まれる有害物質と薬剤との反応性を向上させることができる。
【0039】
さらに詳細に説明すると、従来技術では、有害物質によって複合汚染された現場に直接キレート剤を捲いたり、油圧ショベルなどを用いて土壌中にキレート剤を混入させる方策がとられていたが、このような方法では土壌に含まれている有害物質とキレート剤とを確実に反応させることはほぼ不可能であった。しかし、上記各請求項に記載の土壌処理装置では、第1処理部の第1混合物貯留手段で有害物質を含む土壌を液体と十分馴染ませ、複合汚染土壌が粒子レベルまで細分化された状態で薬剤とを反応させることができる。
【0040】
そこで、かかる知見に基づき、上記請求項1〜8のいずれか1項に記載の土壌処理装置において、第1混合物貯留手段に投入される薬剤の一部又は全部が、複合汚染された土壌中に含まれている有害物質をキレート化可能なキレート剤であることが望ましい(請求項9)。
【0041】
かかる構成によれば、汚染物質中に有害物質として重金属等、キレート化によって無害化可能なものが含まれている場合であっても、有害物質を効率よく無害化することができ、複合汚染土壌の無害化に要する費用等についても最小限に抑制可能な土壌処理装置を提供できる。
【0042】
上記請求項4〜9のいずれか1項に記載の土壌処理装置は、混合物流通手段に、混合物が落下する落下領域が設けられたものであってもよい(請求項10)。
【0043】
かかる構成によれば、混合物が落下領域を落下することにより混合物流動手段を流動する混合物中に含まれている複合汚染された土壌の衝突を促進することができる。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、複合汚染された土壌に付与される衝撃により、土壌の表面に付着している有害物質が土壌表面から剥離されたり、土壌の表面に付着している有害物質が表面に露出する等して、混合物中に残存している有害物質と連続処理部に投入される薬剤との反応性が向上し、有害物質の無害化が促進される。
【0044】
また、上記請求項4〜10のいずれか1項に記載の土壌処理装置は、混合物流通手段に、混合物が落下する落下領域と、当該落下領域に対して混合物の流れ方向下流側に連通した上昇領域とが設けられており、第2気体導入手段により上昇領域の底部側から頂部側に向けて気体を噴出させ、落下領域から上昇領域内に流入した混合物を上昇領域の底部側から頂部側に向けて流動させることが可能な構成であってもよい(請求項11)。
【0045】
かかる構成とした場合についても、混合物が混合物流通手段の落下領域を落下することにより複合汚染された土壌に衝突に伴うエネルギーが作用し、複合汚染された土壌から有害物質が剥離されたり、有害物質が表面に露出する等して有害物質と薬剤との反応性が向上するといった効果が期待でき、有害物質の無害化に資することができる。さらに、本発明の土壌処理装置は、混合物流通手段が落下領域に対して混合物の流れ方向下流側に連通した上昇領域を有し、当該上昇領域において気体導入手段によって底部側から頂部側に向かう気流を噴出させることができる構成とされているため、この気流によって混合物中に含まれている有害物質と連続処理部に投入される薬剤とが十分混合され、反応性が向上することも期待できる。また、気体導入手段によって導入する気体を混合物中に含まれている有害物質の無害化に資するものとすれば、有害物質の無害化をより一層促進することができる。
【0046】
上記請求項10又は11に記載の土壌処理装置は、第1混合物貯留手段が、混合物を排出可能な排出口を有し、当該排出口が、混合物流通手段の落下領域と連通可能とされていることが望ましい(請求項12)。
【0047】
かかる構成によれば、排出口を開いて第1混合物貯留手段と混合物流通手段とを連通させることにより、第1混合物貯留手段内で一定の処理が施された混合物をスムーズに混合物流通手段に移すことができ、複合汚染土壌の無害化に要する期間短縮や、省力化に資することができる。
【0048】
また、上記請求項11又は12に記載の土壌処理装置は、第1混合物貯留手段が、混合物流通手段の上昇領域の頂部よりも上方に位置していることが望ましい(請求項13)。
【0049】
かかる構成によれば、第1混合物貯留手段から混合物流通手段に混合物をスムーズに移送できるばかりか、混合物貯留手段に貯留されている混合物が持つ位置エネルギーを利用して混合物を移動させることができ、複合汚染された土壌の無害化に際して必要なエネルギーをより一層抑制することができる。
【0050】
さらに、上記請求項11〜13のいずれか1項に記載の土壌処理装置は、混合物流通手段が、落下領域と、当該落下領域に対して混合物の流れ方向下流側に連通した上昇領域との組み合わせからなる処理ユニットを複数有し、混合物の流れ方向上流側に設けられた処理ユニットの上昇領域の頂部側と、混合物の流れ方向下流側に設けられた処理ユニットの落下領域とが連通し、一連の流路を形成した構成とすることも可能である(請求項14)。
【0051】
本発明の土壌処理装置は、混合物流通手段に落下領域と上昇領域との組み合わせからなる処理ユニットが混合物の流れ方向に複数連なった構成とされているため、混合物流通手段を流れる混合物が複数回にわたって落下領域と上昇領域とを通過することとなる。そのため、本発明の土壌処理装置によれば、混合物の落下に伴い複合汚染された土壌に衝撃が加わることによる有害物質の剥離効果や、有害物質が表面に露出することによる反応性向上効果、混合物中に気体が吹き込まれることによる反応性向上効果等、有害物質の無害化に資する様々な効果が重畳的に作用することとなる。従って、本発明によれば、有害物質をより一層確実に無害化可能な土壌処理装置を提供できる。
【0052】
請求項15に記載の発明は、車両を有し、当該車両の荷台に請求項1〜14のいずれか1項に記載の土壌処理装置の一部又は全部を搭載しており、車両により前記土壌処理装置を複合汚染された土壌の採取現場に移動させることが可能であることを特徴とする土壌処理システムである。
【0053】
かかる構成によれば、汚染土壌の採取現場において汚染土壌の無害化や、無害化された土壌の埋め戻しを実施することができる。
【0054】
請求項16に記載の発明は、重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理方法であって、液体に対して複合汚染された土壌と、所定の薬剤とを投入し、液体と複合汚染された土壌と薬剤とを含む混合物中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Aと、処理工程Xとを有し、当該処理工程Xにおいて、処理工程Aで処理された混合物を、主として土壌によって構成される固相と、主として液体によって構成される液相とに分離する固液分離作業と、当該固液分離作業によって分離された前記液相に所定の薬剤を投入し、前記液相成分に含まれている有害物質を無害化する無害化作業とが実施されることを特徴とする土壌処理方法である。
【0055】
本発明の土壌処理方法では、処理工程Aで複合汚染土壌を薬剤と共に液中に投入し、これに気体を吹き込んでバッチ処理することにより、薬剤と有害物質との反応を促進させることができる。また、本発明の土壌処理方法では、処理工程Aで複合汚染土壌を液中でバッチ処理することにより、複合汚染土壌中に含まれている有害物質を液相側に存在した状態とすることができる。また、処理工程Aは、複合汚染土壌等からなる混合物をバッチ処理するものであるため、処理時間を汚染物質を無害化するのに十分なだけ確保することができる。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、複合汚染土壌中に含まれている汚染物質の多くを薬剤と十分反応させ、無害化した状態で次工程に移行させることができる。
【0056】
一方、仮に、上記した複合汚染物質中に処理工程Aにおいて投入された薬剤によっては十分無害化できない汚染物質が含まれている場合であっても、処理工程Aでの処理により、汚染物質が液相成分中に存在した状態とすることができる。そのため、処理工程Aで処理した混合物中に存在している有害物質を効率よく処理し、有害物質の処理に要する薬剤の使用量を最小限に抑制するためには、第1処理部での処理により発生した混合物から液相成分を分離し、これを処理することが望ましい。
【0057】
そこで、かかる知見に基づき、本発明の土壌処理方法では、処理工程Xにおいて、処理工程Aで処理された混合物を固液分離する固液分離作業を行い、これで分離された液相中に所定の薬剤を投入して有害物質を処理することとしている。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、仮に処理工程Aでの処理後に有害物質が残存している場合であっても、これを効率よく無害化することができ、無害化に要する薬剤の使用量やコストも最小限に抑制することができる。
【0058】
ここで、上記した土壌処理方法において土壌を含む混合物を固液分離作業で分離し、液相成分を取り出す場合、液相成分には有害物質だけでなく、汚染物質の微粒子が含まれている可能性が高い。そのため、無害化作業において使用する薬剤の量を最小限に抑制するためには、無害化作業に先立って汚染物質の微粒子を除去しておくことが望ましい。
【0059】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項17に記載の発明は、固液分離作業の後、液相中に存在する汚染物質の微粒子を凝集させる凝集作業を実施し、当該凝集作業により凝集した凝集物を排出して残る液相成分に対して薬剤を投入し、液相成分に含まれている有害物質を無害化することを特徴とする請求項16に記載の土壌処理方法である。
【0060】
かかる方法によれば、無害化作業において使用する薬剤の量を最小限に抑制することができる。
【0061】
ここで、上記したように、単位量のフッ素やホウ素を無害化するのに必要な薬剤は、他の汚染物質を単位量だけ無害化するのに必要な薬剤よりも高価であったり、大量の薬剤を必要とする場合がある。また、本発明者らが検討を重ねたところ、上記本発明の土壌処理方法により汚染土壌の処理をする場合は、汚染物質としてフッ素やホウ素を含んでいる場合は、処理工程Aでの処理により、これらが主として土壌を含む混合物において液相中に存在することが判明した。そのため、上記した本発明の土壌処理方法により汚染土壌の処理をする場合は、先ず処理工程Aでフッ素やホウ素以外の汚染物質を処理した後、処理公知Aで処理された混合物の液相成分を分離し、これにフッ素やホウ素を無害化するのに適した薬剤を投入して処理すれば、フッ素やホウ素を効率よく無害化でき、当該薬剤の使用量も最小限に抑制できるものと想定される。
【0062】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項18に記載の発明は、処理工程Aにおいて、フッ素及びホウ素以外の有害物質を無害化可能な薬剤が投入され、処理工程Xにおいて、主としてフッ素及び/又はホウ素を無害化するための薬剤が投入されることを特徴とする請求項16又は17に記載の土壌処理方法である。
【0063】
本発明の土壌処理方法によれば、仮に複合汚染土壌がフッ素やホウ素を含むものであったとしても、これらの有害物質をスムーズに無害化することができ、無害化するために要する薬剤の使用量やコストを最小限に抑制することができる。
【0064】
請求項19に記載の発明は、処理工程Aおよび処理工程Xを含む工程を経て無害化されたものを細骨材及び/又は粗骨材として使用することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の土壌処理方法である。
【0065】
かかる方法によれば、複合汚染された土壌を細骨材や粗骨材として有効利用することができる。
【0066】
ここで、上記した土壌処理方法により複合汚染土壌を無害化する場合において、土壌に付着等している汚染物質を液中に溶出させることができれば、比較的容易にこれを無害化することができる。
【0067】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項20に記載の発明は、処理工程Aにおいて薬剤を投入することにより、混合物が酸性とされることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項記載の土壌処理方法である。
【0068】
かかる方法により土壌を処理すれば、処理工程Aにおいて土壌に付着等している汚染物質が液中に溶出するため、処理工程Xにより汚染物質を容易かつスムーズに無害化することができる。
【0069】
請求項21に記載の発明は、重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理方法であって、液体に対して複合汚染された土壌と、所定の薬剤とを投入し、液体と複合汚染された土壌と薬剤とを含む混合物中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Aと、処理工程Aでバッチ処理された混合物を所定の流路内に流動させ、当該流路内を流動する混合物に対して気体を吹き込むと共に、所定の薬剤を投入することにより混合物を連続処理する処理工程Bとを含むことを特徴とする土壌処理方法である。
【0070】
本発明の土壌処理方法は、処理工程Aにおいて液中に複合汚染された土壌と薬剤とを投入し、これらの混合物中に気体を吹き込んでバッチ処理することにより、複合汚染された土壌に含まれている有害物質と薬剤との反応を促進させることができる。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、仮に薬剤と反応しにくい有害物質が含まれている複合汚染土壌であっても、有害物質と薬剤との反応が十分促進した状態で処理工程Bに移行させることができる。また、本発明の土壌処理方法では、処理工程Aにおいて、複合汚染された土壌が投入されている液中に気体を吹き込むため、複合汚染された土壌や薬剤が液体と十分馴染み、流動性に富んだ状態とすると共に、混合物中に残存している有害物質と薬剤とが反応しやすい状態とすることができる。さらに、本発明の土壌処理方法では、処理工程Bにおいて混合物中に気体を吹き込む構成とされているため、有害物質と薬剤との反応がより一層促進される。従って、本発明の土壌処理方法によれば、有害物質を効率よく無害化することができ、複合汚染された土壌の無害化に要する費用についても最小限に抑制できる。
【0071】
本発明の土壌処理方法によれば、複合汚染された土壌に含まれている有害物質の無害化に際して、上記した従来技術のように大きなエネルギーを必要としない。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、複合汚染された土壌の無害化に要するエネルギー消費量や、ランニングコストを最小限に抑制できる。
【0072】
ここで、本発明者らが鋭意研究したところ、複合汚染された土壌を上記した処理工程Aや処理工程Bにおいて処理した場合に、条件によっては有害物質の濃度が高くなることが判明した。そこで、本発明者らが種々検討したところ、処理工程Aや処理工程Bにおいて処理した混合物を水などの所定の処理液中に投入し、これに気体を吹き込んでバッチ処理することが無害化に有効であることが判明した。
【0073】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項22に記載の発明は、処理工程A及び/又は処理工程Bにおいて処理された混合物を所定の処理液中に投入し、当該混合物及び処理液中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Cを含むことを特徴とする請求項21に記載の土壌処理方法である。
【0074】
かかる構成によれば、複合汚染された土壌を確実に無害化することができる。
【0075】
請求項23に記載の発明は、処理工程Bにおいて、混合物を所定の流路内で落下させることを特徴とする請求項21又は22に記載の土壌処理方法である。
【0076】
かかる方法によれば、連続処理に供されている混合物に落下に伴う衝撃を加え、これにより土壌に付着している有害物質が剥離したり、表面に露出するのを促進することができる。従って、上記した方法によれば、処理工程Bにおいて有害物質をより一層スムーズに無害化することができる。
【0077】
ここで、一般的に複合汚染された土壌には多種の有害物質が含まれている等の事情で、連続処理を一度行っただけでは有害物質を十分無害化できない場合も想定される。また、例えば、特定の薬剤αが複数の有害物質から選ばれる特定の有害物質aの無害化に有効に作用する場合であっても、この薬剤αが別の薬剤Bが存在する状況では有害物質aを十分無害化できないといったような事態も想定される。さらに、例えば複合汚染された土壌に含まれている特定の有害物質bが、ある特定の薬剤γだけでは十分に無害化できず、薬剤γとの反応の後、別の薬剤δと反応することによって無害化されるような事態も想定される。そのため、これらの事情を鑑みれば、上記請求項21〜23のいずれか1項に記載の土壌処理方法は、処理工程Bを複数回にわたって実施することがより一層好ましい(請求項24)。
【0078】
このように、複数回にわたって連続処理を実施することとすれば、汚染物質中に含まれている有害物質を確実に無害化することができる。
【0079】
上記したように、請求項21〜24に記載の土壌処理方法によって処理された土壌を含む混合物は、処理前の土壌に含まれていた有害物質が無害化されており、これを土壌を採取した現場に埋め戻す等して再利用しても環境上差し支えないものと想定される。そこで、かかる知見に基づき、上記請求項21〜24のいずれか1項に記載の土壌処理方法は、処理工程A及び処理工程Bを含む工程を経て無害化されたものを細骨材及び/又は粗骨材として使用するものであってもよい(請求項25)。
【0080】
このように、複合汚染された土壌を処理したものを細骨材や粗骨材として再利用すれば、従来であれば産業廃棄物として処分されていたような複合汚染土壌についても資源として有効利用できる。
【0081】
請求項26に記載の発明は、処理工程Aにおいて薬剤を投入することにより、混合物が酸性とされることを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項記載の土壌処理方法である。
【0082】
本発明の土壌処理方法によれば、処理工程Aにおいて土壌に付着等している汚染物質を液中に溶出させると共に、この汚染物質を処理工程Bでの処理により容易かつ確実に無害化できる。
【0083】
請求項27に記載の発明は、重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理方法であって、液体に対して複合汚染された土壌と、所定の薬剤とを投入し、液体と複合汚染された土壌と薬剤とを含む混合物中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Aと、処理工程Cとを有し、当該処理工程Cにおいて、処理工程Aで処理された混合物を主として土壌によって構成される固相と、主として液体によって構成される液相とに分離する固液分離作業と、処理工程Aで処理された混合物から前記液相に相当するものの一部又は全部を排除する液相排除作業と、処理工程Aで処理された混合物に含まれる固相に相当するものを処理液中に浸漬すると共に、当該処理液中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理するバッチ処理作業とが実施されることを特徴とする土壌処理方法である。
【0084】
本発明の土壌処理方法では、処理工程Aにおいて複合汚染土壌を薬剤と共に液中に投入すると共に、これに気体を吹き込んでバッチ処理する。そのため、仮に処理対象となる複合汚染土壌に薬剤と反応しにくい状態で有害物質が含まれている場合であっても、処理工程Aにおいて当該有害物質と薬剤との反応がスムーズに進行する。
【0085】
ここで、上記したように、本発明者らの鋭意研究の結果、複合汚染された土壌を上記した処理工程Aにおいて処理した場合に、条件によっては有害物質の濃度が高く場合があることが判明した。一方、本発明者らは、上記処理工程Aで処理された混合物を構成する液相成分を排除すると共に、土壌等によって構成される固相成分を水等の処理液中に投入し、これに空気等の気体を吹き込むことにより、前記混合物中に含まれている有害物質を十分無害化できることを見いだした。
【0086】
そこで、かかる知見に基づき、本発明の土壌処理方法では、土壌処理の一工程として処理工程Cを設け、当該処理工程Cにおいて処理工程Aを経て形成された土壌を含む混合物を固液分離する作業(固液分離作業)を実施すると共に、液相部分を排除(液相排除作業)し、さらに固相に相当するものを所定の処理液中に浸漬させ、気体を吹き込んでバッチ処理を行う作業(バッチ処理作業)を実施することとしている。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、複合汚染された土壌を確実に無害化することができる。
【0087】
本発明の土壌処理方法は、複合汚染された土壌の無害化に際して処理工程Aや処理工程Cで気体を吹き込むためにエネルギーが消費されるが、ここで消費されるエネルギーは上記した従来技術を利用して複合汚染土壌を無害化する場合に消費されるエネルギーに比べて格段に小さい。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、複合汚染された土壌の無害化に要するエネルギー消費量や、ランニングコストを最小限に抑制できる。
【0088】
上記請求項27に記載の土壌処理方法は、バッチ処理作業において、混合物及び処理液中に所定の薬剤が投入するものであってもよい(請求項28)。
【0089】
かかる構成によれば、処理工程Cにおいて混合物中に含まれている有害物質を確実に無害化することができる。
【0090】
ここで、上記したように、重金属等の有害物質を確実かつ安価に無害化するための方策として、重金属等の有害物質をキレート化する方法があるが、一般的に重金属等をキレートするには相当の時間を要するものと想定される。そこで、かかる知見に基づき本発明者は、処理工程Aで有害物質を含む土壌を液体と十分馴染ませることにより、複合汚染土壌が粒子レベルまで細分化された状態で薬剤とを反応させることができるものと考え試験を行った。その結果、上記した各請求項に記載の土壌処理方法の処理工程Aにおいて重金属等の有害物質をキレート化するためのキレート剤を投入すれば、土壌に含まれている有害物質を効率よく無害化できることが判明した。
【0091】
そこでかかる知見に基づいて提供される請求項29に記載の発明は、処理工程Aにおいて投入される薬剤の一部又は全部が、複合汚染された土壌中に含まれている有害物質をキレート化可能なキレート剤であることを特徴とする請求項16〜28のいずれか1項に記載の土壌処理方法である。
【0092】
かかる方法によれば、有害物質をスムーズにキレート化し、無害化することができる。
【0093】
ここで、一般的な観点からすると、上記各請求項に記載の土壌処理方法において、処理工程Aにおいて投入される薬剤の投入量は、処理対象物たる土壌に含まれている有害物質の総量に見合った量であることが望ましいものと考えられる。そこで、本発明者らは、所定の現場から採取された土壌についてサンプリングし、これに含まれている有害物質の量をもって処理対象となる土壌全体に含まれている有害物質の総量を推定すると共に、この量の有害物質を処理するのに適量の薬剤を投入することを検討し、実験を行った。
【0094】
しかし、薬剤の投入量を上記したようにして調整しても、必ずしも複合汚染土壌に含まれる有害物質を無害化できるとは限らなかった。本発明者らがこの理由を検討したところ、仮に同一の現場から採取された土壌を処理する場合であっても、そのサンプリングの仕方や、サンプリングする土壌を採取した場所、サンプリングした土壌に対する有害物質の付着形態等の様々な要因によりサンプリングした土壌に含まれている有害物質の量にバラツキが発生し、土壌全体に含まれている有害物質の総量についての概算値が大きく変動してしまうことに原因があるのではないかと考えた。
【0095】
すなわち、液中に有害物質が溶存している場合は当該溶液の一部をサンプリングすることにより溶液に含まれている有害物質の量をほぼ正確に把握することができる。しかし、土壌中に含まれている有害物質については、仮に同一量の有害物質が土壌に含まれていたとしても、土壌に対する有害物質の付着状態等によって有害物質の量を的確に把握できない場合がある。
【0096】
さらに具体的には、有害物質が土壌表面に付着していたり、土壌に付着せず単体で存在するような場合は有害物質の量を比較的正確に把握できるが、有害物質が土壌に浸透しているような場合は有害物質の量を正確に把握できない可能性が高い。また、仮に土壌を同一の現場から採取する場合であっても、現場内の場所によって土壌中に含まれている有害物質の量が異なったり、土壌に対する有害物質の付着状態が異なる等、様々なバラツキ要因がある。そのため、上記各請求項に記載の土壌処理方法において、土壌を確実に無害化するためには、処理工程Aにおいて投入される薬剤の投入量は、土壌を無害化処理するにあたってサンプリング等により導出された量の有害物質を処理するのに要する量よりも多く設定されることが望ましい。
【0097】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項30に記載の発明は、処理工程Aにおいて投入される薬剤が、処理工程Aにおいて処理される土壌中に含まれる一又は複数の有害物質を無害化に資するものであり、前記薬剤の投入量が、処理工程Aにおいて投入される土壌中に含まれていると想定される量の有害物質を無害化するのに要する前記薬剤の量よりも多いことを特徴とする請求項16〜29のいずれか1項に記載の土壌処理方法である。
【0098】
かかる方法によれば、サンプリング精度等のバラツキ要因があっても、土壌中に含まれている有害物質を確実に無害化することができる。
【0099】
請求項31に記載の発明は、処理工程Aから次の工程に移行する際に、処理工程Aにおいて処理された混合物を落下させることを特徴とする請求項16〜30のいずれか1項に記載の土壌処理方法である。
【0100】
かかる方法によれば、処理工程Aで処理された複合汚染土壌を含む混合物が持つ位置エネルギーを連続処理において混合物を流動させるのに必要なエネルギーとして有効利用でき、複合汚染された土壌の無害化に際して必要なエネルギーをより一層抑制することができる。
【0101】
上記請求項16〜31のいずれか1項に記載の土壌処理方法は、処理工程A及び/又は処理工程Aに続いて実施される所定の工程において、複合汚染された土壌を含む混合物に細骨材及び/又は粗骨材が投入されるものであってもよい(請求項32)。
【0102】
このように、細骨材や粗骨材を複合汚染された土壌と共に液中に投入してバッチ処理する事とすれば、細骨材や粗骨材と複合汚染された土壌とが擦れあうなどして土壌に付着している有害物質の剥離効果が期待できる。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、複合汚染された土壌を容易かつ的確に無害化することができる。
【0103】
上記したように、請求項28〜32に記載の土壌処理方法においてバッチ処理と連続処理とを行えば、複合汚染された土壌に含まれていた有害物質が無害化されており、これを土壌を採取した現場に埋め戻す等して再利用しても環境上差し支えなく、資源の有効利用に資するものと想定される。そこで、かかる知見に基づき、上記請求項28〜32のいずれか1項に記載の土壌処理方法は、処理工程A及び処理工程Cを含む工程を経て無害化されたものを細骨材及び/又は粗骨材として使用することを特徴とするものであってもよい(請求項33)。
【0104】
このように、複合汚染された土壌をバッチ処理や連続処理で処理したものを細骨材や粗骨材として再利用すれば、従来であれば産業廃棄物として処理されていたような複合汚染土壌についても資源として有効利用できる。
【0105】
請求項34に記載の発明は、処理工程Aにおいて薬剤を投入することにより、混合物が酸性とされることを特徴とする請求項28〜33のいずれか1項記載の土壌処理方法である。
【0106】
本発明の土壌処理方法により汚染土壌を処理すれば、処理工程Aにおいて汚染土壌中に含まれている汚染物質を液中に溶存した状態にすることができる。そのため、本発明の土壌処理方法によれば、処理工程Cにおける汚染物質の無害化を容易かつ確実に実施することができる。
【0107】
請求項35に記載の発明は、荷台に請求項1〜14のいずれか1項に記載の土壌処理装置の一部又は全部を搭載した車両を前記土壌処理装置を複合汚染された土壌の採取現場に移動させ、当該採取現場において採取した土壌を請求項16〜34のいずれか1項に記載の処理方法で処理して土壌を無害化し、当該無害化された土壌を前記採取現場に埋め戻すことを特徴とする土壌処理方法である。
【0108】
かかる土壌処理方法によれば、汚染土壌の採取現場において汚染土壌を無害化し、無害化された土壌をもとの採取現場に埋め戻すことができる。
【発明の効果】
【0109】
本発明によれば、複合汚染土壌の無害化に要するエネルギー消費量や費用を最小限に抑制可能であり、短時間に大量の複合汚染土壌を無害化可能な、処理能力に優れた土壌処理装置、土壌処理システム、並びに、土壌処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0110】
(第1実施形態)
続いて、本発明の一実施形態にかかる土壌処理装置、並びに、土壌処理方法について図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の土壌処理装置である。土壌処理装置1は、土壌受入部2、第1処理部3、第2処理部4及び分離部5に大別され、それぞれが連続した構成とされている。
【0111】
土壌受入部2は、複合汚染された土壌(複合汚染土壌)を受け入れるホッパー10やスクリーン11、振動フィーダ(図示せず)等を備えた構成とされている。土壌受入部2は、土壌汚染された現場からトラック等で搬送されてきた複合汚染土壌をホッパー10に投入可能な構成とされている。また、土壌受入部2は、スクリーン11によって複合汚染土壌の大塊や、複合汚染土壌に含まれている木屑、金属片等のゴミ類を除去することができ、大塊やゴミ類を除去した複合汚染土壌を振動フィーダを用いて第1処理部3側に供給可能な構成とされている。
【0112】
スクリーン11には、目開きが10cm〜20cm程度のものが好適に使用でき、10cm〜15cm程度のものがなお一層好適に使用できる。本実施形態では、スクリーン11として目開きが10cm〜15cm程度のものが採用されている。そのため、スクリーン11を通過した複合汚染土壌は、従来技術においてコンクリート組成物中に粗骨材や細骨材として利用されるものに相当する大きさのものを中心として構成されている。なお、ここで粗骨材とは、5mmふるいに重量で85%以上留まる骨材を指し、細骨材とは、10mmふるいを全部通過し、5mmふるいを重量で85%以上通過する骨材を指す。
【0113】
第1処理部3は、バッチ処理槽20(第1混合物貯留手段)と、処理液供給手段21と、薬剤供給手段22と、気体導入手段23とを備えた構成とされている。バッチ処理槽20は、土壌受入部2から供給されてきた複合汚染土壌や液体(本実施形態では水)、薬剤を貯留可能な槽状のものである。バッチ処理槽20は、底部に排出口25を有し、弁26を開くことにより、内部に貯留されている複合汚染土壌等を排出口25から排出することができる構成とされている。
【0114】
処理液供給手段21は、配管24とポンプ27と給水栓28とを有し、ポンプ27を作動させることにより後述する水槽40や図示しない給水源から汲み上げた水(液体)を配管24及び給水栓28を介して第1処理部3に導入することができる構成とされている。また、薬剤供給手段22は、図示しない薬剤供給源から供給される薬剤をバッチ処理槽20内に投入可能な構成とされている。
【0115】
気体導入手段23は、気体を噴出可能なノズルによって構成されており、図示しない気体供給手段に接続されている。気体導入手段23は、バッチ処理槽20の底部側の位置に設けられており、バッチ処理槽20内に気体を噴出可能な構成とされている。本実施形態では、気体導入手段23として、気体を7気圧〜12気圧程度の圧力で噴出可能なものが採用されている。気体導入手段23により吹き込む気体は、適宜選択することができるが、本実施形態では気体導入手段23から空気を噴出可能な構成とされている。
【0116】
第2処理部4は、図1に示すように略「V」字形に折れ曲がった管路によって構成される2つの処理ユニット30,30(以下、必要に応じてそれぞれを上流側ユニット30a、下流側処理ユニット30bと称す)が直列に接続され、上下方向に屈曲した混合物流通管路29(混合物流通手段)を形成している。
【0117】
処理ユニット30は、上下方向に傾斜した落下部31(落下領域)と、上下方向に略垂直に立設された上昇部32(上昇領域)とを有する。落下部31には、内径が20cm〜60cm程度の配管が好適に使用でき、内径が25cm〜40cm程度の配管がなお一層好適に使用できる。また、落下部31には、内幅30cm〜100cm程度の樋を勾配40度以上となるように設置したもの採用することも可能である。本実施形態では、落下部31として内径が30cm〜35cm程度の配管が採用されている。
【0118】
上昇部32には、内径が15cm〜30cm程度の配管が好適に使用でき、内径が20cm〜25cm程度の配管がなお一層好適に使用できる。本実施形態では、上昇部32として内径が20cm〜25cm程度の配管が採用されている。
【0119】
本実施形態では、土壌を含む混合物同士を上昇部32を通過する間に十分擦れあうようにすべく、上昇部32は、図1に示すように略垂直に設置されている。さらに詳細に説明すると、一般的に、上昇部32を流れる土壌を含む混合物中に粒径の異なるものが混在するものと想定される。そのため、仮に図4(a)に示すように上昇部32が傾斜した状態で設置されている場合は、粒径の大きな土壌等は下方に、粒径の小さな土壌等は上方に偏在する可能性が高い。そのため、図4(a)のように上昇部32を傾斜させた場合は、混合物中に含まれている土壌等が上昇部32内において十分混ざり合わず、擦れ合わないこととなってしまう。
【0120】
そこで、本実施形態の土壌処理装置1では、図1や図4(b)に示すように上昇部32を略垂直に立設した構成としている。これにより、図4(b)に示すように、上昇部32を流れる土壌を含む混合物が粒径の大小によらず互いに略均一に混ざり合った状態となり、十分擦れ合う。また、図4(b)のような構成とすると、上昇部32内を落下しようとする土壌粒子と、気体導入手段35から噴出する圧縮空気によって吹き上げられた土壌粒子とが衝突しあったり、擦れあうなどする。これらの作用により、上昇部32を通過する混合物中に含まれている土壌から重金属等の有害物質がはがれ落ちる。
【0121】
落下部31は、図1に示すように上方から下方に向けて傾斜した流路を形成しており、その下端側の部分が上昇部32の底部32a側の位置に連続している。上流側処理ユニット30aの落下部31は、バッチ処理槽20の排出口25に上記した弁26を介して接続している。そのため、落下部31は、弁26を開くことによりバッチ処理槽20と連通し、バッチ処理槽20内に存在する複合汚染された土壌や水、薬剤等からなる混合物を落下部31に払い出すことができる。
【0122】
上流側処理ユニット30a及び下流側処理ユニット30bの上昇部32,32には、底部32a,32a側に気体導入手段35,35が設けられている。気体導入手段35,35は、それぞれ上昇部32,32の底部32a,32a側から頂部32b,32b側に向けて気体を噴出可能なものが採用されている。本実施形態で採用されている気体導入手段35は、気体を7気圧〜12気圧程度の圧力で噴出可能なものが採用されている。気体導入手段35,35により吹き込む気体は、適宜選択することができるが、本実施形態では気体導入手段35,35の双方共、空気を噴出可能な構成とされている。
【0123】
また、上昇部32,32の底部32a,32a側には、それぞれ薬剤供給手段36,36が設けられている。薬剤供給手段36,36は、共にバッチ処理槽20から払い出され、第2処理部4を流れる土壌や水、薬剤を含む混合物中に薬剤を投入することができる。薬剤供給手段36,36は、それぞれ同一の薬剤を投入可能なものであってもよいが、本実施形態では上流側処理ユニット30a側に設けられた薬剤供給手段36(以下、必要に応じて薬剤供給手段36aと称す)と、下流側処理ユニット30b側に設けられた薬剤供給手段36(以下、必要に応じて薬剤供給手段36bと称す)とで異なる薬剤を投入可能な構成とされている。
【0124】
下流側処理ユニット30bの上昇部32の頂部32b側には、土壌排出管37が接続されている。土壌排出管37は、上記した落下部31を構成する配管と同様に上方から下方に向けて傾斜するように配されており、その末端部分が開放されている。
【0125】
分離部5は、分離槽40と水槽41とを有する。分離槽40は、上記した土壌排出管37から土壌や有害物質が無害化されたもの、水等の混合物を払い出し可能なものである。分離槽40にはスクリーン43が設けられており、これにより前記した混合物と水分とを分離することができる。水槽41は、分離槽40において分離された水分を溜めるものである。水槽41には、上記した処理液供給手段21の給水栓28に繋がる配管が配されている。そのため、土壌処理装置1は、水槽41内に溜まった水をポンプ27を作動させて汲み上げ、これを給水栓28に供給する水として再利用することができる構成とされている。
【0126】
続いて、本実施形態の土壌処理装置1を用いた土壌処理方法について図2に示すフローチャートを参照しながら詳細に説明する。本実施形態の土壌処理方法は、図2に示すように前処理工程(処理工程A)と連続処理工程(処理工程B)と回収工程と再利用工程とに大別され、これらの工程を順に経て複合汚染土壌に含まれている有害物質が無害化され、土壌を含む混合物が再利用される。
【0127】
さらに詳細に説明すると、本実施形態の土壌処理方法は、先ず前処理工程で複合汚染土壌を薬剤と共に水中に投入して所定時間Tにわたってバッチ処理される。すなわち、土壌処理装置1により複合汚染土壌を無害化する場合は、図2のステップ1−1に示すように、先ず複合汚染土壌が存在する現場からトラック等の運送手段を用いて複合汚染土壌がバッチ処理槽20に投入される。この際、スクリーン11によるふるい分けなどにより、複合汚染土壌から極端に大きな粒径に固まったものや、木屑や金属片等のゴミ類等が除去される。また、ステップ1−1では、ポンプ27が作動し、図示しない給水源や水槽41から水が汲み上げられ、給水栓28を介してバッチ処理槽20内に投入されると共に、薬剤供給手段22から薬剤が投入される。
【0128】
また、ステップ1−1では、バッチ処理槽20に投入される複合汚染土壌の投入量に対して大量の水が投入される。さらに具体的には、ステップ1−1においてバッチ処理槽20に投入される複合汚染土壌及び水の量は、重量比で1:0.5〜1:2程度の割合となるように調整されることが望ましく、1:1〜1:1.5程度の割合となるように調整されることがより一層好ましい。本実施形態でバッチ処理槽20に投入される複合汚染土壌及び水の量は、1:1〜1:1.5程度とされている。本実施形態では、5m3程度の汚染土壌に対して、10m3〜20m3程度の水が投入される。
【0129】
ステップ1−1において投入される薬剤は、複合汚染土壌中に含まれている有害物質をキレート化可能なキレート剤や、アルカリ溶剤、高分子凝集剤、酸化剤等のいずれか、あるいはこれらを含むものである。すなわち、ステップ1−1で投入される薬剤は、複合汚染土壌に含まれている有害物質の種類に応じて適宜変更することができる。
【0130】
さらに具体的には、処理対象の複合汚染土壌に含まれている有害物質の種類を予め特定しておき、この結果、バッチ処理槽20に投入される複合汚染土壌にカドミニウムが含まれている場合は、pH=10.5〜11に調整した状態で炭酸ナトリウムを投入したり、pH=9に調整した状態で硫化ナトリウムを投入する等され、水酸化カドミニウムとされる。また、複合汚染土壌に鉛が含まれている場合は、pH=11以上に調整した状態で硫酸アルミニウム(硫酸バンド)が投入され、塩基性炭酸鉛とされる。複合汚染土壌に六価クロムが存在する場合は、これを還元した上で土壌を含む混合物を中和還元法により処理する。すなわち、六価クロムが存在する場合は、これを還元した後、前記混合物を塩基性とし、水酸化物の沈殿として回収される。この際、還元剤として、亜硫酸塩や鉄粉(鉄屑)、硫酸第一鉄、亜硫酸ガス、亜硫酸ソーダ等が採用される。
【0131】
複合汚染土壌に砒素が含まれている場合は、鉄粉やアルミニウム粉が添加される。複合汚染土壌に水銀が含まれている場合は、混合物に硫化ナトリウムおよび高分子凝集剤が添加される。また、複合汚染土壌に銅や亜鉛が含まれている場合は、炭酸ナトリウムや硫化ナトリウムが添加される。複合汚染土壌にシアンが含まれている場合は、混合物のphが10に調整された上で塩素および次亜塩素酸ナトリウムが添加される。
【0132】
上記したようにしてバッチ処理槽20内に複合汚染土壌や薬剤、水等が投入されると、これらの混合物中に所定時間Tにわたって気体導入手段23によって空気が吹き込まれる(図2のステップ1−2及びステップ1−3参照)。ここで、時間Tの長さについては、複合汚染土壌中に含まれている有害物質の種類や量等に基づき、バッチ処理槽20に投入される薬剤と、この薬剤との反応により無害化可能な有害物質との反応時間等を考慮し、適宜設定される。
【0133】
ステップ1−2においてバッチ処理槽20に空気が吹き込まれると、バッチ処理槽20内に存在する複合汚染土壌や薬剤、水等からなる混合物が十分攪拌されると共に、吹き込まれた空気や混合物中に含まれている水、薬剤等が土壌や有害物質と十分に接触し、いわゆるエアレーションがなされる。すなわち、バッチ処理槽20内に空気を吹き込むと、バッチ処理槽20内の混合物が水中に略均一に複合汚染土壌や薬剤が分散した状態となり泥状で流動性の高い状態となると共に、バッチ処理槽20内に投入された薬剤と、これに反応する有害物質との反応が促進されるなどして、スムーズに無害化される。
【0134】
さらに詳細には、バッチ処理槽20に薬剤としてキレート剤を投入した場合は、例えば土壌汚染対策法で定められているカドミウム、六価クロム、ヒ素等の第二種特定有害物質(重金属等)がキレート化され、無害化される。また、ステップ1−1で空気をバッチ処理槽20内に吹き込むと、例えば土壌汚染対策法で定められているトリクロロエチレン等の第一種特定有害物質(揮発性有機化学物質)についても一部又は全部が除去される。
【0135】
上記したようにしてステップ1−2においてバッチ処理槽20への空気の吹き込みを開始してから時間Tが経過すると、ステップ1−4でバッチ処理槽20への空気の吹き込みが停止し、一連の前処理工程が完了する。
【0136】
上記したようにしてバッチ処理が完了すると、処理工程が図2のステップ1−5及びステップ1−6に相当する連続処理工程に移行する。すなわち、バッチ処理が完了すると、ステップ1−5に示すようにバッチ処理槽20の底部側に設けられた弁26が開かれ、バッチ処理槽20内で泥状となっている混合物が第2処理部4側に排出される。これにより、バッチ処理槽20から排出された混合物が重力の影響により上流側処理ユニット30aの落下部31を落下する。この際、混合物に対して落下による衝撃が伝わるなどして土壌表面に付着している有害物質が剥離したり、有害物質が土壌の表面において露出する等して、混合物中に含まれている有害物質の一部又は全部が薬剤供給手段36から投入される薬剤と反応しやすい状態になる。
【0137】
ここで、上記したように、バッチ処理槽20は、第2処理部4を構成する各処理ユニット30,30の上昇部32の頂部32bよりも高い位置にある。また、バッチ処理槽20内に存在する混合物は複合汚染土壌の量に対して大量の水を投入して攪拌したものであるため流動性が高い。そのため、弁26を開くと、バッチ処理槽20内の混合物は相当の勢いで落下部31を流れることとなる。
【0138】
弁26が開かれ、第2処理部4側に混合物が流入すると、図2のステップ1−6に示すように気体導入手段35,35を介して処理ユニット30,30の上昇部32内に底部32a側から頂部32b側に向けて空気が吹き込まれると共に、薬剤供給手段36a,36bを介して第2処理部4を流れる混合物中に薬剤が投入される。ここで、土壌処理装置1では、薬剤供給手段36aと、薬剤供給手段36bとで異なる薬剤を投入可能な構成とされている。本実施形態では、ステップ1−1で混合物中に投入されているアルカリ溶剤、高分子凝集剤、酸化剤等を中和可能な薬剤を薬剤供給手段36aを介して投入し、混合物中に含まれている有機化合物等を凝集させることが可能な高分子凝集剤を薬剤供給手段36bを介して投入する。
【0139】
第2処理部4の上流側処理ユニット30aにおいて、気体導入手段35を介して空気が導入されると、上流側処理ユニット30aを流れる混合物が攪拌されると共に、上記したようなエアレーションがなされる。これにより、薬剤供給手段36aを介して投入された薬剤により混合物がスムーズに中和される。また、混合物は、気体導入手段35により吹き込まれる空気の勢いを受けてさらに加速し、上流側処理ユニット30aに上昇部32の底部32a側から押し上げられ、頂部32b側に至る。
【0140】
上流側処理ユニット30aの上昇部32において頂部32b側に到達した混合物は、下流側処理ユニット30bの落下部31を経て、上昇部32の底部32a側に落下する。この際、混合物には、上流側処理ユニット30aの落下部31を落下する場合と同様に落下に伴う衝撃が加わる。そのため、混合物中に含まれている複合汚染土壌の表面に残存している有害物質がさらに剥離されたり、有害物質が土壌の表面に露出するなどして、薬剤とさらに反応しやすい状態になる。
【0141】
このようにして混合物が下流側処理ユニット30bの上昇部32の底部32a近傍に到達すると、この混合物中に気体導入手段35により空気が吹き込まれると共に、薬剤供給手段36bにより薬剤(本実施形態では高分子凝集剤)が投入される。これにより、上流側処理ユニット30aを通過してもなお混合物中に残存している有害物質が薬剤と反応するなどしてほぼ完全に無害化される。このようにして無害化された土壌を含む混合物が上昇部32の頂部32b側に到達すると、図2のステップ1−7に示すように土壌排出管37を介して分離部5の分離槽40に排出され、分離槽40に設けられたスクリーン43により水切りされる。また、水切りによって発生した水は、水槽41に回収される。分離槽40において水切りされた土壌を主成分とする混合物は、図2のステップ1−8に示すように再利用工程において分離槽40から取り出され、複合汚染土壌を採取した現場に埋め戻されたり、コンクリート組成物用の粗骨材や細骨材として再利用される。
【0142】
本実施形態の土壌処理装置1は、第1処理部3のバッチ処理槽20に複合汚染土壌と薬剤とを液中に投入すると共に、これに気体を吹き込むことにより、揮発性有機化合物等の有害物質を無害化したり、薬剤と有害物質との反応を促進することができる。また、本実施形態の土壌処理装置1は、第1処理部3で複合汚染土壌をバッチ処理することができるため、時間Tを調整することにより複合汚染土壌中に含まれている有害物質と薬剤との反応時間を十分確保することができる。そのため、本実施形態の土壌処理装置1によれば、複合汚染土壌中に、例えば土壌汚染対策法で第二種特定有害物質として分類されているカドミウムや六価クロム、鉛等の重金属のキレート化のように反応に時間を要する処理を行わねばならない場合であっても、これに要する期間を最小限に抑制できる。
【0143】
上記実施形態では、前処理工程において有害物質との反応に時間を要するキレート剤を投入する構成であるため、有害物質を十分キレート化することができ、容易かつ安価に重金属等の有害物質を無害化することができる。なお、上記実施形態では、複合汚染土壌中にキレート化により無害化可能な有害物質が含まれている場合を例にあげ、前処理工程においてキレート剤を投入する構成を例示したが、これは本発明の一例を示したものに過ぎず、複合汚染土壌中にキレート化により無害化処理可能な有害物質を含んでいない場合は、キレート剤に代わって別の薬剤を前処理工程において投入する構成としてもよい。このようにキレート剤以外の薬剤を投入する場合は、キレート化と同様に、複合汚染土壌を無害化する際の一連の処理工程において律速となる反応を起こす薬剤を前処理工程において投入する構成とすることが望ましい。また同様に、前処理工程においてキレート剤を投入する場合についても、キレート化以外に有害物質の無害化において相当の時間を要する反応を伴うと想定される場合は、この反応を起こすために使用される薬剤を前処理工程で投入する構成としてもよい。
【0144】
上記実施形態では、前処理工程(ステップ1−1)においてキレート剤を投入してキレート化可能な有害物質をキレート化すると共に、連続処理工程(ステップ1−6)においてさらに別の薬剤を投入して有害物質を無害化するものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、前処理工程において例えば塩化第2鉄等をバッチ処理槽20に投入し、複合汚染土壌を含む混合物をpH5.0〜6.0程度の酸性に調整した上、連続処理工程(ステップ1−6)においてこの混合物を混合物流通管路29に供給し、薬剤供給手段36によって供給された薬剤によって有害物質を無害化することとしてもよい。このようにして処理すれば、前処理工程において、土壌に付着したり結合して溶出しにくい状態になっている重金属等の汚染物質が水中に溶出した状態となり、後に実施される連続処理工程で容易かつ確実に無害化することができる。
【0145】
上記実施形態の土壌処理装置1や土壌処理工程では、バッチ処理を一段階だけ実施する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばバッチ処理槽20を複数、直列に配置し、混合物の流れ方向上流側のバッチ処理槽20で所定の薬剤を投入して処理した混合物を下流側のバッチ処理槽20に投入し、先とは別の薬剤を用いて処理する構成としてもよい。かかる構成とした場合は、バッチ処理槽20を複数設けたり、バッチ処理を複数段階に分けて実施する分だけ、土壌処理装置1の製造コストやランニングコストが高くなったり、複合汚染土壌の処理時間が長くなる可能性があるが、複合汚染されている土壌や、無害化に際して律速となる反応を複数種実施せねばならないような場合であっても確実に無害化できる。
【0146】
本実施形態の土壌処理装置1では、第1処理部3において複合汚染土壌を含む混合物を流動性に富んだ状態とすることができる。そのため、土壌処理装置1により複合汚染土壌を処理する場合は、混合物が第2処理部4をスムーズに流れる。また、土壌処理装置1において、第2処理部4を流通する混合物の流動性が高く、気体導入手段35,35により気体を吹き込むことにより混合物を十分攪拌できるため、薬剤供給手段36a,36bにより投入された薬剤が混合物中に含まれる有害物質とスムーズに反応する。そのため、本実施形態の土壌処理装置1や土壌処理方法により複合汚染土壌を処理すれば、有害物質をスムーズに無害化でき、無害化に要する期間や費用を最小限に抑制することができる。
【0147】
上記したように、本実施形態の土壌処理装置1は、複合汚染土壌に含まれている有害物質の無害化に際して、水を汲み上げるためのポンプ27や、気体導入手段23,35、薬剤供給手段36等を作動させるだけで一連の土壌処理を行うことができ、従来技術のように大きなエネルギーを必要としない。そのため、上記した土壌処理装置1や土壌処理方法によれば、エネルギー消費量や、ランニングコストを最小限に抑制できる。
【0148】
上記したように、土壌処理装置1を用いた土壌処理方法では、複合汚染土壌を含む混合物が各処理ユニット30に設けられた落下部31を落下するため、落下による衝撃により複合汚染土壌に付着している有害物質が剥離したり、有害物質が複合汚染土壌の表面に露出するなどして薬剤と反応しやすい状態になり、薬剤供給手段36から投入される薬剤と有害物質との反応性が高くなる可能性が高い。さらに、上記実施形態では、前記した混合物が各処理ユニット30に設けられた上昇部32を通過する際に気体導入手段35により吹き込まれた空気により攪拌されるため、混合物中の有害物質と薬剤供給手段36から投入された薬剤とがスムーズに反応し、無害化される。また、上昇部32において気体導入手段35によって空気を吹き込むと、混合物がエアレーションされるため、混合物中に例えば土壌汚染対策法で第一種特定有害物質(揮発性有機化学物質)に分類されているようなものが含まれている場合は、これを無害化することができる。従って、本実施形態の土壌処理装置1や土壌処理方法によれば、複合汚染土壌の無害化を容易かつスムーズに実施することができる。
【0149】
また、上記した土壌処理装置1は、バッチ処理槽20の排出口25が、弁26を開くことにより第2処理部4の落下部31と連通し、バッチ処理槽20内の混合物を排出可能な構成とされている。さらに、土壌処理装置1では、バッチ処理槽20が各処理ユニット30の上昇部32の頂部32bよりも上方に位置している。そのため、バッチ処理槽20から第2処理部4に混合物をスムーズに移送できると共に、バッチ処理槽20に貯留されている混合物が持つ位置エネルギーを利用して混合物を移動させることができ、複合汚染土壌の無害化に際して必要なエネルギーを最小限に抑制できる。
【0150】
なお、上記実施形態では、バッチ処理槽20を上昇部32の頂部32bよりも上方に配置した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、バッチ処理槽20が頂部32bよりも下方に配置された構成であってもよい。かかる構成とした場合は、バッチ処理槽20内に存在する混合物を第2処理部4側に移動させるのに何らかの搬送手段を設けねばならなかったり、混合物の移動にエネルギーを消費することとなるが、その分バッチ処理槽20のレイアウト上の制約が少なく、設置が容易となる。
【0151】
上記実施形態では、落下部31と、これに対して混合物の流れ方向下流側に連通した上昇部32との組み合わせからなる処理ユニット30を複数有し、混合物の流れ方向上流側の処理ユニット30の上昇部32の頂部側と、混合物の流れ方向下流側の処理ユニット30の落下部31とが連通した構成とすることも可能である。
【0152】
本実施形態の土壌処理装置1は、混合物流通手段に落下部31と上昇部32との組み合わせからなる処理ユニット30が混合物の流れ方向に2つ、直列に連なった構成とされているため、混合物が複数回にわたって落下部31と上昇部32とを通過することとなる。そのため、土壌処理装置1によって複合汚染土壌を処理すれば、混合物の落下に伴う有害物質の剥離効果や、有害物質が土壌の表面に露出することによる反応性向上効果、混合物中に気体が吹き込まれることによる反応性向上効果等、有害物質の無害化に有効な様々な効果が重畳的に作用し、有害物質を確実に無害化することができる。
【0153】
上記実施形態の土壌処理装置1において、第2処理部4は、処理ユニット30を混合物の流れ方向に2つ直列に接続し、混合物を落下、上昇させる一連の連続処理を2回実施する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の処理ユニット30を直列に接続し、多数回にわたって連続処理を実施する構成としたり、単一の処理ユニット30のみで構成されるものであってもよい。
【0154】
また、上記した土壌処理装置1は、第1処理部3と第2処理部4からなる主として複合汚染土壌の無害化に資する部分(以下、必要に応じて土壌処理手段45と称す)が単一の構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図3(a)に示す土壌処理装置50のように、土壌処理手段45を複数、並列に配し、土壌受入部2から各土壌処理手段45に複合汚染土壌を払い出して処理可能な構成としてもよい。
【0155】
また、上記したように、第2処理部4における連続処理が第1処理部3におけるバッチ処理よりも迅速に行える。そのため、第2処理部4に対して第1処理部3を多数設け、各第1処理部3においてバッチ処理を並行して実施し、バッチ処理が完了した混合物から順に第2処理部4に供給して連続処理する構成としてもよい。さらに具体的には、本発明の土壌処理装置は、図3(b)に示す土壌処理装置100のように土壌処理部45に対して複数(図3(b)では2つ)の第1処理部3を設け、各第1処理部3において処理された混合物を第2処理部4に随時供給する構成としてもよい。かかる構成とした場合は、第1処理部3におけるバッチ処理に時間がかかる場合であってもバッチ処理を施した混合物を次々と第2処理部4に供給することができ、より一層処理能力を向上させることができる。
【0156】
上記実施形態では、第1処理部3と第2処理部4とが連続した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1処理部3と第2処理部4とを独立的に設け、第1処理部3で処理した混合物を何らかの搬送手段等を用いて第2処理部4に供給する構成としてもよい。
【0157】
上記実施形態で例示した土壌処理方法は、前処理工程において水中に薬剤と複合汚染土壌とを投入して処理するものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、バッチ処理槽20にさらに別のものを投入して処理する構成としてもよい。さらに具体的には、例えば、有害物質の付着や混入のない細骨材や粗骨材を複合汚染土壌と共にバッチ処理槽20に投入して処理する構成としてもよい。このようにすれば、細骨材や粗骨材が複合汚染された土壌と擦れあうなどして土壌に付着している有害物質が剥離したり露出するなどして、有害物質が薬剤と反応しやすい状態になり、複合汚染土壌をより一層容易かつ確実に無害化することができる。
【0158】
上記実施形態では、気体導入手段23,35を介して空気を吹き込む構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気以外の気体を吹き込むこととしてもよい。すなわち、気体導入手段23,35を介して、例えば複合汚染土壌中に含まれている有害物質を無害化可能な気体や、混合物の酸性度を調整可能な気体等、適宜の気体を吹き込む構成としてもよい。このように、気体導入手段23,35を介して導入する気体として有害物質の無害化に資する気体を選択できれば、より一層有害物質の無害化を容易かつスムーズに実施することができる。
【0159】
上記実施形態で示した土壌処理装置1で複合汚染土壌を処理すれば、当該複合汚染土壌中に含まれている有害物質(汚染物質)を無害化することが可能である。しかし、汚染土壌中に無害化しにくい有害物質や、他の有害物質を無害化するための薬剤とは異なる特殊な薬剤が必要な有害物質(以下、これらを総称して難処理有害物質と称する)が含まれている場合がある。この場合は、前記した難処理有害物質を除く、比較的無害化しやすい有害物質を土壌処理装置1の第1処理部3や第2処理部4で処理し、その後、難処理有害物質を別の手法で処理することも可能である。
【0160】
さらに具体的に説明すると、上記した難処理有害物質としては、例えば土壌汚染対策法で第二種特定有害物質に区分されているホウ素やフッ素等がある。複合汚染土壌に難処理有害物質としてホウ素やフッ素等が含まれており、さらに比較的無害化しやすい有害物質(以下、易処理有害物質)が他に含まれている場合は、土壌処理装置1の第1処理部3や第2処理部4で易処理有害物質を処理した後、分離部5に払い出されたものにホウ素やフッ素等の難処理有害物質の無害化処理用の薬剤を投入することとしてもよい。かかる方法によれば、ホウ素やフッ素等の難処理有害物質が含まれている場合であってもこれを確実に無害化することができる。
【0161】
また、分離部5に払い出されたものに含まれている難処理有害物質がホウ素やフッ素等である場合は、これを水洗処理することにより難処理有害物質が水相側に存在した状態とすることができる。このような場合は、土壌処理装置1の第1処理部3や第2処理部4で易処理有害物質を処理した後、分離部5に設けられた分離槽40に払い出されたものを水槽等で水洗処理した後これを静置する等して固液分離し、この水相成分中を取り出し、難処理有害物質を無害化可能な薬剤で無害化処理すればよい。かかる方法によれば、複合汚染土壌中に難処理有害物質が含まれている場合であってもこれを確実に無害化することができる。また、前記したように水洗処理後に固液分離し、水相成分中に薬剤を投入することとすれば、分離槽40に払い出されたものにそのまま薬剤を投入して無害化処理する場合にくらべて無害化処理の対象物の量を抑制し、難処理有害物質の処理に要する薬剤の使用量を最小限に抑制できる。
【0162】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態にかかる土壌処理装置150について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態の土壌処理装置150は、上記実施形態に示した土壌処理装置1等と構成が共通する部分を有するため、当該部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0163】
図5に示すように、土壌処理装置150は、上記した土壌処理装置1等と同様に、土壌受入部2、第1処理部3、第2処理部160および分離部5に大別されるが、第2処理部160の構成が上記実施形態で説明した第2処理部4と大きく異なる。
【0164】
さらに具体的には、本実施形態の土壌処理装置150を構成する第2処理部160は、処理槽161とジェットポンプ162(混合物流通手段)とにより主要部が構成される処理ユニットUが2つ、第1処理部3側から送られてくる複合汚染土壌を含む混合物の流れ方向に直列に配された構成とされている。処理槽161は、上記した第1処理部3のバッチ処理槽20と同等以上の容積を有する槽状のものであり、複合汚染土壌を含む混合物と、処理液(本実施形態では水)を投入可能することができる。
【0165】
本実施形態において2つ設けられた処理槽161のうち、混合物の流れ方向上流側(第1処理部3側)に配されたもの(以下、必要に応じて処理槽161aと称す)は、第1処理部3の底部に設けられた排出口25およびこれに接続された配管163を介してバッチ処理槽20から払い出された混合物を投入可能な構成とされている。また、処理槽161aに対して混合物の流れ方向下流側に隣接した位置に設けられた処理槽161(以下、必要に応じて処理槽161bと称す)は、後に詳述するジェットポンプ162を用いて処理槽161aから取り出された混合物を投入可能な構成とされている。
【0166】
処理槽161は、底部側に気体導入手段165が設けられている。気体導入手段165は、上記した気体導入手段23等と同様に、空気等の気体を加圧状態で噴出可能なノズルによって構成されている。そのため、気体導入手段165により処理槽161の内部に投入されている混合物や処理液中に気体を噴出させることができる。本実施形態では、気体導入手段165により、処理槽161の内部に空気を7気圧〜12気圧の範囲で調整して噴出できる構成とされている。
【0167】
処理槽161の底部には、排出口166が設けられている。排出口166には、排出管167が接続されており、排出管167の中途に設けられた弁168を開くことにより処理槽161に残存しているものを分離部5の分離槽40に向けて排出できるようになっている。処理槽161の底部は、略中央に向けて下り勾配がついた形状とされている。
【0168】
処理ユニットUは、第1処理部3の給水栓28につながる配管24の中途において分岐された分岐配管170に接続された給水栓171を有する。処理ユニットUは、分離部5に設けられた水槽41や外部の給水源から水を汲み上げた水を配管24や給水栓171を介して処理槽161に供給することができる。
【0169】
また、処理ユニットUは、図示しない薬剤供給源から供給される薬剤を薬剤供給手段172を介して処理槽161に投入可能な構成とされている。さらに、処理ユニットUは、液体を吸い出すことが可能な排出ポンプ173を有する。排出ポンプ173は、フロートが取り付けられており、処理ユニットU内に土壌や水等を含む混合物が投入された状態において吸い込み口をこれらの混合物側に向けた状態で浮く構成とされている。また、排出ポンプ173は、分離部5の水槽41に繋がる配管175に接続されている。そのため、処理槽161に混合物を投入した状態において排出ポンプ173を作動させると、混合物の上澄み部分に存在する液相部分を処理槽161から吸い上げ、水槽41に排出することができる。
【0170】
ジェットポンプ162は、図5や図6に示すように屈曲した管路によって主要部が構成される本体部180と、高圧水導入手段181と、気体導入管182と、薬剤投入手段183とを有する。ジェットポンプ162は、本体部180の一端側が処理槽161の底部側に向けて開口し、他端側が処理槽161の外側に向けて突出するように配されており、本体部180の一端側から処理槽161内に存在するものを吸引し、他端側に向けて圧送ができる構成とされている。
【0171】
さらに具体的には、本体部180は、図6に示すように上下方向に略垂直に立ち上がった流動部185と、流動部185の下端側の位置に連続した流入部186と、流動部185の上端側の位置に連続した流出部187とに大別される。本体部180は、流動部185と流入部186とを繋ぐ部分が屈曲した形状とされており、流入部186の端部が処理槽161の底部側に向く姿勢とされている。本体部180は、上端部が処理槽161の上端よりも上方に突出するように設置されている。
【0172】
流入部186の端部は、本体部180内に処理槽161内に存在している土壌等を吸い込むための吸い込み口として機能する部分である。本体部180は、流入部186の端部が処理槽161の底面の略中央に相当する位置に存在し、底面から少し上方に離れた状態となるように設置されている。
【0173】
流出部186は、本体部180の上端側に繋がる部位である。本体部186と流出部186との境界部分は、本体部180と流入部186との境界部分と同様に屈曲した形状とされている。流出部186の末端部分は、流入部186から流入した土壌等を排出するための排出口として機能する部分であり、図5に示すように処理槽161の外側に向いている。
【0174】
高圧水導入手段181は、流動部185の軸方向、すなわち流動部185の底部側から頂部側に向けて給水源から供給された水を高圧で噴出可能なものである。また、高圧水導入管181の中途には、気体導入管182が接続されている。
【0175】
ジェットポンプ162は、高圧水導入手段181を介して本体部180の底部側から頂部側に向かう方向に高圧(5〜250Kg/cm2程度)で水を導入することにより本体部180の流入部186から処理槽161内に存在する土壌等を吸い込み、流動部185の底部側から頂部側に向けて圧送することができる。さらに詳細に説明すると、ジェットポンプ162は、高圧水導入手段181を用いて水を高圧状態で流動部185に導入すると、この高圧状態の水の境界面あるいはこの近傍に負圧の部分が発生する。そのため、高圧水導入手段181から流動部185内に高圧状態で水を噴出すると、気体導入管182から空気が吸入され、流動部185内を流れる水が空気と混じった混気状態となる。
【0176】
また、混気状態で高圧の水が流動部185内に噴出することにより、上記した流入部186の内部が略真空状態となり、流入部186の末端部分から処理槽161内に存在する土壌等が吸い込まれる。流入部186から吸い込まれた土壌等は、流動部185内を流動し、高圧水導入手段181から導入された水等と共に流動部185の頂部側に向けて流れ、流出部187を介して処理槽161の外側に排出される。このように、ジェットポンプ162は、高圧水導入手段181を介して高圧状態で水を供給することにより、処理槽161内に存在する土壌等を吸い上げ、外部に取り出すことができる。
【0177】
本実施形態では、図5に示すように各処理ユニットU毎にジェットポンプ162が設けられているが、これらのうち土壌等からなる混合物の流れ方向上流側に存在する処理ユニットU(以下、必要に応じて上流側処理ユニットUと称す)に設けられたジェットポンプ162は、本体部180の流出部187を構成する配管が混合物の流れ方向下流側に存在する処理ユニットU(以下、必要に応じて下流側処理ユニットUと称す)に上流側処理ユニットUの処理槽161から吸い上げた土壌等を投入可能な構成とされている。また、下流側処理ユニットUに設けられたジェットポンプ162は、流出部187を構成する配管が分離部5の分離槽40まで延伸されており、下流側処理ユニットUの処理槽161から吸い上げた土壌等を分離槽40に払い出し可能な構成とされている。
【0178】
図5に示すように、上記した上流側処理ユニットU側に設けられたジェットポンプ162の流出部187の中途には、分離槽40に向けて延伸したショートカット配管190が接続されている。また、上流側処理ユニットUの流出部187を構成する配管とショートカット配管190とが接続されている位置にはダンパ191が設けられており、これを作動させることにより流出部187を流れる土壌等を下流側処理ユニットUの処理槽161あるいは分離槽40のいずれに供給するかを選択することができる。すなわち、土壌処理装置150は、ダンパ191の調整により、第1処理部3において処理された土壌を含む混合物を単一の処理ユニットU(上流側処理ユニットU)だけで処理するか、複数の処理ユニットU(上流側処理ユニットUおよび下流側処理ユニットU)で処理するかを選択することができる。
【0179】
続いて、本実施形態の土壌処理装置150による複合汚染土壌の処理方法について図7および図8に示す制御フローを参照しながら詳細に説明する。土壌処理装置150による複合汚染土壌の無害化処理は、図7に示すように、上記実施形態において説明した複合汚染土壌の処理方法と大部分が同様の工程を経て実施される。すなわち、土壌処理装置150による複合汚染土壌の無害化処理は、前処理工程(処理工程A)、中間処理工程(処理工程C)、回収工程、並びに、再利用工程に大別される各工程を経て実施されるものであり、連続処理工程に代わって中間処理工程が設けられている点で上記実施形態において説明した処理方法と異なる。
【0180】
土壌処理装置150による複合汚染された土壌を無害化する場合は、図7に示すように、先ず前処理工程としてステップ2−1において前記土壌について前処理がなされる。ステップ2−1においてなされる前処理は、上記実施形態で説明した図2に示す制御フローのステップ1−1〜ステップ1−3と同様の手順で実施される。すなわち、ステップ2−1では、土壌の採取現場から搬送され、土壌受入部2のホッパー10に投入された汚染土壌が大量の水が溜められた第1処理部3のバッチ処理槽20に投入されると共に、有害物質をキレート化可能なキレート剤や、アルカリ溶剤等の薬剤が投入される。また、複合汚染土壌や水、薬剤等からなる混合物中に気体導入手段23を介して空気が吹き込まれ、所定時間Tに渡ってエアレーションが実施される。
【0181】
ここで、ステップ2−1で投入される薬剤の量(以下、必要に応じて薬剤投入量Xと称す)は、複合汚染土壌中に含まれる一又は複数の有害物質を無害化に資するものであるが、その投入量は、処理対象たる複合汚染土壌のサンプリング等により当該土壌中に含まれていると想定される量の有害物質を無害化するのに要する薬剤の量(以下、必要に応じて理論投入量Yと称す)よりも多い。さらに具体的には、ステップ2−1における薬剤投入量Xは、理論投入量Yの5倍〜10倍程度の範囲内で調整されている。
【0182】
上記したようにしてステップ2−1で複合汚染された土壌について前処理が施されると、制御フローがステップ2−2に移行すると共に、処理工程が前処理工程から中間処理工程に移行する。制御フローがステップ2−2に移行すると、ステップ2−1で前処理が施された土壌を含む混合物が第2処理部160の処理槽161内で固液分離されると共に、主として土壌によって構成される固相成分が薬剤の存在下、水中でエアレーションされる。
【0183】
さらに詳細に説明すると、制御フローがステップ2−2に移行すると、図8に示す制御フロー(処理ルーチン)に従ってステップ2−1で前処理が施された土壌を含む混合物が無害化処理される。すなわち、図8のステップ3−1に示すように、複合汚染土壌を含む混合物について前処理が完了すると、第1処理部3のバッチ処理槽20の底部に設けられた弁26が開かれ、前記混合物がバッチ処理槽20から払い出される。バッチ処理槽20から払い出された混合物は、配管163を通過し、第2処理部160を構成する上流側処理ユニットUの処理槽161に投入される。
【0184】
処理槽161に混合物が投入されると、制御フローがステップ3−2に移行し固液分離作業が実施される。さらに具体的には、ステップ3−1で混合物の投入が完了してから所定時間t1が経過するまで、混合物が静置される。これにより、混合物が処理槽161内で主として土壌によって構成される固相と、主として第1処理部3で投入された水等によって構成される液相とに分離した状態になる。その後、制御フローがステップ3−3に移行する。
【0185】
制御フローがステップ3−3に移行すると、液相排除作業が実施される。さらに具体的には、ステップ3−3に移行すると、第2処理部160に設けられた排出ポンプ173が作動状態とされる。これにより、処理槽161内に存在する液相の大部分が排出される。
【0186】
上記したようにして混合物の液相の大部分が排出された状態になると、ステップ3−4以降の制御フローでバッチ処理作業が開始される。さらに具体的には、制御フローがステップ3−4に移行すると、給水栓171を介して外部の給水源や水槽41から供給された清浄な水(液体)が処理槽161内に投入される。またこれと並行して、処理槽161内に、有害物質を無害化するための薬剤が投入される。
【0187】
上記したようにして水や薬剤が処理槽161内に投入されると、制御フローがステップ3−5に移行し、エアレーションが開始される。すなわち、制御フローがステップ3−5に移行すると、処理槽161の底部側に設けられた気体導入手段165を介して空気が高圧状態で吹き込まれる。これにより、処理槽161内に残存していた混合物の固相成分に含まれる土壌が水洗されると共に、固相成分に含まれている有害物質と反応し、無害化が促進される。ステップ3−5でエアレーションが開始された後、所定の時間t2が経過する(ステップ3−6)と、制御フローがステップ3−7に移行しエアレーションが終了する。これにより、図8に示す一連の動作が完了し、制御フローが図7のステップ2−3に戻る。
【0188】
制御フローがステップ2−3に戻ると、上流側処理ユニットUの処理槽161内において固相を形成している土壌等についてさらに無害化処理を行うべきか否かが確認される。さらに具体的には、制御フローがステップ2−3に移行した時点で処理槽161に存在する固相を構成する土壌が依然として有害物質によって実際に汚染されていたり、有害物質による汚染が懸念される場合のように土壌の無害化が不十分と想定される場合は、固相を構成している土壌を上流側処理ユニットUの処理槽161から下流側処理ユニットUの処理槽161に移し替え、再度、図8に示す制御フローに従って処理することが望ましい。そのため、この場合は制御フローがステップ2−4に進み、上流側処理ユニットUのジェットポンプ162の流出部187と、ショートカット配管190とが非連通状態となるようにダンパ191が開度調整される。
【0189】
上記したようにしてショートカット配管190がダンパ191によって閉止された状態となると、上流側処理ユニットUのジェットポンプ162が作動状態とされると共に、本体部180の流動部185に設けられた薬剤投入手段183から土壌の無害化に有効な薬剤が導入される。すなわち、ダンパ191の調整完了後、上流側ジェットポンプ162の高圧水導入手段181により流動部185に水が高圧状態で導入される。これに伴い、気体導入管182から空気が吸入され、高圧水導入手段181によって導入された水が空気と混じった混気状態となって流動部185内を流れると共に、流入部186の末端部分から上流側処理ユニットUの処理槽161内に存在する混合物が吸い込まれる。また、ステップ2−4では、高圧水導入手段181から導入された水等と共に流動部185内を流れる土壌を含む混合物に対して薬剤が導入される。
【0190】
流入部186から吸い込まれた土壌等の固相成分は、高圧水導入手段181から導入された水等と共に流動部185内を底部側から頂部側に向けて流動する。この際、前記固相成分を構成する土壌には、混気状態にある水等が衝突したり、土壌同士が擦れあうなどすることにより衝撃が加わるため、土壌に付着している汚染物質の剥離効果や、固相成分中に含まれている有害物質と薬剤投入手段183から導入された薬剤との反応促進効果が期待できる。
【0191】
上記したようにして上流側処理ユニットUの処理槽161内からジェットポンプ162に吸い込まれた固相成分は、流動部185および流出部187を通過し、下流側処理ユニットUの処理槽161に投入(移送)される。上流側処理ユニットU側から下流側処理ユニットU側に土壌を含む固相成分の移送が完了すると、制御フローがステップ2−5に移行する。ステップ2−5では、下流側処理ユニットUの処理槽161において、上記したステップ2−3と同様に、図8に示す制御フローに従って土壌を含む固相成分について無害化処理がなされる。ステップ2−5において無害化処理が完了すると、制御フローがステップ2−6に移行し、下流側処理ユニットUの処理槽161で無害化処理された土壌がジェットポンプ162によって分離部5の分離槽40に払い出される。
【0192】
一方、上記したステップ2−3において、上流側処理ユニットUの処理槽161に存在する土壌について、無害化が十分なされていると判断された場合は、制御フローがステップ2−9に移行する。ステップ2−9では、ショートカット配管190が開状態、すなわちショートカット配管190とジェットポンプ162の流出部187を構成する配管とが連通した状態となるようにダンパ191の開度調整がなされる。
【0193】
ステップ2−9においてショートカット配管190が開状態となると、ジェットポンプ162が作動状態とされ、上流側処理ユニットUの処理槽161内にある土壌(固相成分)が吸い出され、ショートカット配管190を通って分離部5の分離槽40に払い出される。ここで、上記したように、ステップ2−9において吸い出される土壌は十分無害化されている。そのため、ステップ2−9では、特に必要な場合を除いて上記したステップ2−4の場合のように薬剤投入手段183から薬剤が投入されることはない。
【0194】
上記したようにして、ステップ2−6やステップ2−9において上流側処理ユニットUや下流側処理ユニットUの処理槽161から分離槽40に土壌が払い出されると、制御フローがステップ2−7に移行すると共に、処理工程が中間処理工程から回収工程に移行する。ステップ2−7では、上記した第1実施形態のステップ1−7(図2参照)で実施したのと同様に、分離槽40に払い出された土壌が水切りされる。ステップ1−7で発生した水分は、水槽41に回収されると共に、必要に応じて薬剤等により無害化される。水槽41に回収された水は、バッチ処理槽20や処理槽161において再利用される。
【0195】
ステップ2−7において分離槽40に回収された土壌を主成分とする混合物は、第1実施形態のステップ1−8で実施したのと同様に、再利用工程において分離槽40から取り出され、複合汚染土壌を採取した現場に埋め戻されたり、コンクリート組成物用の粗骨材や細骨材として再利用される(ステップ2−8)。
【0196】
上記第1実施形態の土壌処理装置1と同様に、本実施形態の土壌処理装置150についても、バッチ処理槽20に複合汚染された土壌を薬剤と共に液中に投入し、これに空気を吹き込むことにより薬剤と有害物質との反応を促進させることができる。また、本実施形態の土壌処理装置150は、第1処理部3で複合汚染土壌をバッチ処理できるため、薬剤と有害物質との反応時間も十分確保することができる。そのため、本実施形態の土壌処理装置150によれば、複合汚染土壌中に仮に薬剤と反応しにくい有害物質が含まれていたとしても、これと薬剤との反応が十分促進させることができる。
【0197】
さらに、本実施形態の土壌処理装置150では、第1処理部3において液中に複合汚染土壌と薬剤とを投入するだけでなく、これに気体を吹き込んでバッチ処理することにより複合汚染土壌や薬剤を液体に十分馴染ませ、流動性に富んだ状態とすることができる。また、複合汚染土壌や薬剤を液体に十分馴染ませることにより、複合汚染土壌に含まれている有害物質の無害化についてもさらに促進させることができる。
【0198】
また、本実施形態の土壌処理装置150で汚染土壌の処理を行う場合は、第1処理部3で処理された混合物を第2処理部160を構成する上流側ユニットUの処理槽161に移した際や、上流側ユニットU側の処理槽161から下流側ユニットUの処理槽161に移した際に混合物を静置して固液分離する作業(固液分離作業)を実施すると共に、液相部分を排出ポンプ173で排出(液相排除作業)し、液相中に浮遊している有害物質等の不純物が除去される。そして、前記不純物が除去された状態で処理槽161に清浄な水が投入されると共に気体導入手段165によって空気が吹き込まれ、土壌を主成分とする混合物の固相成分が水洗およびエアレーション(バッチ処理作業)されるため、土壌はほぼ完全に浄化された状態になる。そのため、本実施形態の土壌処理装置150によれば、複合汚染土壌をほぼ完全に無害化することができる。
【0199】
本実施形態の土壌処理装置150は、処理槽161内に存在する混合物を処理槽161の外部に向けてスムーズに排出するための手段としてジェットポンプ162を採用しているため、土壌を含む混合物をスムーズに排出することができるばかりか、混合物の搬送中にこれに含まれている土壌同士を衝突させる等して有害物質を土壌表面から剥離させることができる。また、本実施形態の土壌処理装置150では、ジェットポンプ162の本体部180内に薬剤投入手段183によって薬剤を投入できる。そのため、土壌処理装置150によれば、ジェットポンプ162による混合物の搬送中に、混合物中に含まれている有害物質を無害化することも可能である。
【0200】
上記実施形態では、混合物の移載手段としてジェットポンプ162を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の移送手段をジェットポンプ162の代わりに採用してもよい。
【0201】
また、本実施形態の土壌処理装置150によって複合汚染土壌を処理する場合は、処理槽161内投入された混合物を静置した後、その上澄み部分に相当する液体を液体を排出ポンプ173で汲み上げて排出することができる。そのため、土壌処理装置150によれば、固液分離作業で分離された液相部分を構成する液体やこれに浮遊している有害物質等を容易かつスムーズに排出することができる。
【0202】
また、本実施形態では、第1処理部3において複合汚染土壌を処理する際にバッチ処理槽20に投入される薬剤の量(薬剤投入量X)が、複合汚染土壌に含まれている有害物質を無害化するのに要する薬剤の投入量(理論投入量Y)の5倍〜10倍程度もの量とされている。そのため、薬剤投入量Xの設定にあたり、複合汚染土壌のサンプリング精度等のバラツキ要因があっても、有害物質を確実に無害化するのに適した量の薬剤を投入することができる。
【0203】
本実施形態では、第2処理部160において、上流側処理ユニットUの処理槽161と下流側処理ユニットUの処理槽161との間で混合物を移送可能なジェットポンプ162を設けると共に、このジェットポンプ162の流出部187を構成する配管の中途にショートカット配管190を接続し、ダンパ191によって上流側処理ユニットUの処理槽161から排出されたものの行き先を変更できる構成とした。そのため、本実施形態の土壌処理装置150によれば、上流側処理ユニットUにおける処理で十分土壌が無害化されている場合は、土壌をショートカット配管190を介してそのまま分離槽40に払い出すことができ、上流側処理ユニットUにおける処理では土壌が十分無害化されていない場合は、この土壌を下流側処理ユニットUでさらに処理することができる。そのため、本実施形態の土壌処理装置150によれば、第2処理部160における土壌の処理を必要最小限にとどめることができ、土壌の処理能力の向上に資することができる。
【0204】
上記実施形態に示した土壌処理装置1および土壌処理装置150は、第2処理部4,160のいずれかを備えたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2処理部4,160の双方を備えた構成としてもよい。さらに具体的には、例えば上記第1実施形態の土壌処理装置1において、第2処理部4の下流側処理ユニット30bの下流側に、土壌処理装置150が備える第2処理部160に相当するものを備えた構成としてもよい。すなわち、第2処理部4に相当するものと第2処理部160に相当するものとが、混合物(土壌)の流れ方向に直列的に並んだ構成とされてもよい。また、このような構成とする場合は、第2処理部4,160の順が入れ替わってもよい。かかる構成によれば、複合汚染土壌をより一層確実に無害化可能な土壌処理装置を提供することができる。
【0205】
本実施形態で示した複合汚染土壌の処理方法は、本発明の一例を示すものに過ぎず、処理手順を適宜入れ替える等してもよい。さらに具体的には、本実施形態では、第2処理部160に投入された土壌を含む混合物の処理手順として、図8に示すように処理槽161に投入された混合物を先ず固液分離して液相成分を排除し、その後、土壌を主成分とする固相成分を水中でエアレーションするものであったが、本発明はこれに限定されない。具体的には、処理槽161内に混合物が投入された後、エアレーションを実施した後、これを固液分離して液相成分を排除すると共に、固相成分を水中に浸漬したり水中でエアレーションして洗浄する手順としてもよい。
【0206】
上記実施形態で示した土壌処理装置150で複合汚染土壌を処理する場合についても、上記第1実施形態で説明したのと同様に、ホウ素やフッ素に代表される無害化処理が困難な有害物質(難処理有害物質)が含まれている場合がある。この場合は、難処理有害物質を除く、比較的無害化しやすい有害物質を土壌処理装置150の第1処理部3や第2処理部160で処理し、その後、分離部5の分離槽40に払い出されたものに含まれている難処理有害物質を別の手法で処理することも可能である。
【0207】
すなわち、難処理有害物質を含んでいる場合は、本実施形態で示したようにして複合汚染土壌を処理し、これに含まれている比較的無害化処理が容易な易処理有害物質を処理した後、分離槽40に払い出されたものに難処理有害物質の無害化処理用の薬剤を投入することとしてもよい。かかる方法によれば、複合汚染土壌中に難処理有害物質が含まれている場合であってもこれを確実に無害化することができる。
【0208】
また、分離部5に払い出されたものに含まれている難処理有害物質がホウ素やフッ素等である場合は、これを水洗処理することにより難処理有害物質が水相側に存在した状態となる。従って、難処理有害物質がホウ素やフッ素である場合は、この性質に着目して難処理有害物質を処理することも可能である。
【0209】
すなわち、複合汚染土壌中に含まれている有害物質がホウ素やフッ素である場合は、先ず土壌処理装置1の第1処理部3や第2処理部4で易処理有害物質を処理した後、分離部5に設けられた分離槽40に払い出されたものを水槽等で水洗処理する。そして、この後水洗処理したものを静置する等して固液分離して水相成分を取り出し、これに含まれている難処理有害物質を無害化可能な薬剤で無害化処理する。かかる方法によれば、複合汚染土壌中に難処理有害物質が含まれている場合であってもこれを確実に無害化することができる。また、分離部5に払い出されたものを水洗処理すると共にこれを固液分離し、水相成分中に薬剤を投入することとすれば、無害化処理の対象物の量を抑制し、難処理有害物質の処理に要する薬剤の使用量を最小限に抑制することができる。
【0210】
また、本実施形態の土壌処理装置150により複合汚染土壌を無害化処理する場合についても、上記した土壌処理装置1と同様に、前処理工程(ステップ2−1)において複合汚染土壌を含む混合物をpH5.0〜6.0程度の酸性に調整することとしてもよい。かかる方法によれば、前処理工程により、土壌に付着したり結合して溶出しにくい状態になっている重金属等の汚染物質が水中に溶出した状態とすることができ、後に無害化処理工程で実施される無害化処理(ステップ2−2,2−5)によって有害物質を容易かつ確実に無害化することができる。
【0211】
さらに具体的に説明すると、ステップ2−1で例えば塩化第2鉄等の薬剤をバッチ処理槽20に投入することにより、混合物を酸性にして前処理を行うことができる。この場合は、ステップ2−2やステップ2−5の無害化処理において薬剤供給手段172,183から混合物中にキレート剤等を供給することにより、混合物を構成する液中に溶存している有害物質を無害化(不溶化)できる。
【0212】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態にかかる土壌処理装置200について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態の土壌処理装置200は、上記実施形態に示した土壌処理装置1,150等と構成が共通する部分を有するため、当該部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0213】
図9に示すように、土壌処理装置200は、上記した土壌処理装置1,150等と同様に、土壌受入部2や第1処理部3、並びに、第2処理部201を有する。また、第2処理部201に対して下流側に、水槽41を有する。土壌処理装置200は、第2処理部201の構成に特徴を有する。
【0214】
第2処理部201は、図9に示すように固液分離槽202と、攪拌槽203(第2混合物貯留手段)とを有する。固液分離槽202は、第1処理部3のバッチ処理槽20でバッチ処理された土壌や液体を含む混合物を投入可能であり、前記混合物を静置して主として土壌からなる固相成分と、液相成分とに分離するための槽である。固液分離槽202には、シリンダ205が取り付けられており、これを作動させることにより固液分離槽202を傾斜させることができる。そのため、土壌処理装置200は、シリンダ205を作動させて固液分離槽202を傾斜させることにより、固液分離槽202内に存在する液相成分を排出させることができる。固液分離槽202は、底部に排出口202aを有し、バルブ202bを開くことにより、土壌等からなる固相成分を外部に排出できる構成となっている。
【0215】
攪拌槽203は、図9に示すように、固液分離槽202に対して下流側に配されており、固液分離槽202から払い出した液相成分を投入可能な構成とされている。また、攪拌槽203は、底部に排出口203aを有し、バルブ203bを開くことにより内部に存在している土壌等からなる固相成分を排出可能な構成とされている。攪拌槽203には、図示しないモータ等により回転可能な攪拌翼206や、薬剤を投入可能な薬剤投入手段207、凝固剤を投入可能な凝固剤投入手段208、ポンプ209等が設けられている。
【0216】
攪拌翼206は、攪拌槽203の底部側に配されており、攪拌槽203に投入された液相成分を攪拌可能な構成とされている。また、薬剤投入手段207は、攪拌槽203に投入された液相成分中に含まれている有害物質を無害化するのに適した薬剤を投入可能なものである。さらに、凝固剤投入手段208は、凝固剤を投入するためのものである。ポンプ209は、フロート等を備えており、攪拌槽203に投入された液体に浮かぶ構成とされている。ポンプ209は、攪拌槽203中に存在している液体を汲み上げ、水槽41に排出できる構成とされている。
【0217】
また、本実施形態の土壌処理装置200では、第1処理部3のバッチ処理槽20にポンプ210が設けられている。ポンプ210には、上記したポンプ209と同様にフロート等が取り付けられており、バッチ処理槽20内において浮遊できる構成とされている。ポンプ210は、バッチ処理槽20内に存在する液相成分を汲み上げ、攪拌槽203に投入することができる構成とされている。
【0218】
続いて、本実施形態の土壌処理装置200による複合汚染土壌の処理方法について説明する。土壌処理装置200による複合汚染土壌の処理は、第1処理部3において実施される第1処理工程(処理工程A)と、前処理工程で処理されたものを処理する第2処理工程(処理工程X)とに大別される。
【0219】
第1処理工程は、上記した土壌処理装置1,150で実施される前処理工程と同様にして実施される。すなわち、土壌の採取現場から土壌受入部2のホッパー10に投入された複合汚染土壌が水を張った第1処理部3のバッチ処理槽20に投入される。これと共に、複合汚染土壌中に含まれている有害物質をキレート化可能なキレート剤や、アルカリ溶液等の薬剤が投入される。ここで使用される薬剤としては、例えばエポフロックL−1(ミヨシ油脂株式会社製)や、ポアエース1000(ミヨシ油脂株式会社製)等が好適である。前記したような薬剤が投入されると、気体導入手段23により、バッチ処理槽20内に投入されている複合汚染土壌や水、薬剤等からなる混合物中に空気が所定時間Tにわたって吹き込まれ、いわゆるエアレーションが実施される。
【0220】
上記したようにしてエアレーションが実施されると、土壌中に含まれていた有害物質が水中に存在した状態となる。また、水相に存在する有害物質の大部分は、バッチ処理槽20に投入され、無害化される。バッチ処理槽20におけるエアレーションの開始後、所定のタイミングでエアレーションが終了される。この状態において、バッチ処理槽20内に投入された時点で土壌中に含まれていた汚染物質のほとんどが無害化された状態となる。さらに具体的には、本実施形態では、混合物中に含まれていた複数種の有害物質のうち、ホウ素やフッ素を除く大部分の有害物質が無害化された状態となる。換言すれば、第1処理工程において、バッチ処理槽20におけるエアレーションの所要時間Tや、薬剤の投入量は、ホウ素やフッ素を除く有害物質を無害化するのに必要な時間や投入量に調整される。
【0221】
バッチ処理槽20におけるエアレーション中の所定のタイミング、あるいは、エアレーションが完了した後のタイミングで、バッチ処理槽20に設けられたポンプ210が作動し、バッチ処理槽20内に存在する混合物の液相部分が攪拌槽203に向けて排出される。
【0222】
バッチ処理槽20から攪拌槽203に向けてポンプ210で混合物の液相成分を汲み出す動作を開始するタイミングについては適宜調整することができるが、バッチ処理槽20における一連の無害化処理、すなわち薬剤の投入下におけるエアレーションがある程度進行し、バッチ処理槽20で処理すべき有害物質が十分無害化された時点であることが望ましい。ポンプ210の作動開始のタイミングをこのように調整することにより、攪拌槽203に投入される液中に存在する有害物質の種類を最小限に抑制でき、攪拌槽203における有害物質の無害化処理を簡素化することができる。
【0223】
上記したポンプ210によるバッチ処理槽20中に含まれている液相成分の汲み出しは、必ずしも実施する必要はない。しかし、後にバッチ処理槽20の底部の排出口25から固液分離槽202に向けて混合物を排出するまでにポンプ210による液相成分の汲み出しをある程度実施しておけば、後に第2処理部201において実施される第2処理工程にスムーズに移行させることができる。
【0224】
上記したようにしてバッチ処理槽20におけるエアレーションが完了すると、弁26が開放され、バッチ処理槽20の排出口25から土壌等を含む混合物が第2処理部201の固液分離槽202に向けて排出される。また、ポンプ210が作動状態とされ、バッチ処理槽20内にある混合物の液相が吸い上げられ、攪拌槽203に投入される。
【0225】
第2処理部201の固液分離槽202に混合物が投入されると、当該混合物が土壌を主成分とする固相成分と、液相成分とに分離(固液分離)される。そして、ある程度固液分離が進んだ時点でシリンダ205が作動して固液分離槽202が攪拌槽203側に傾けられ、固液分離槽202内に存在する液相成分が攪拌槽203に投入される。固液分離が完了し、液相成分の大部分が攪拌槽203側に移されると、バルブ202bが開かれ、固液分離槽202の底部に設けられた排出口202aから土壌を主成分とする固相成分が排出される。
【0226】
ここで、上記したように、第1処理部3のバッチ処理槽20においてエアレーションすることによって得られた土壌を主成分とする固相成分は、有害物質をほとんど含有していない。そのため、排出口202aから排出された固相成分は、そのまま土壌の採取現場に埋め戻したり、骨材等として再利用することができる。
【0227】
一方、固液分離槽202から攪拌槽203に移された液相成分や、バッチ処理槽20からポンプ210を用いて攪拌槽203に汲み出された液相成分には、バッチ処理槽20において薬剤の存在下でエアレーションすることでは無害化できなかった有害物質が含まれている可能性がある。さらに具体的には、汚染土壌中にフッ素やホウ素といった有害物質が含まれている場合は、他の有害物質と同一の薬剤で無害化できないことが多い。そのため、汚染土壌中にフッ素やホウ素が含まれていた場合は、これらが攪拌槽203中に投入された液相中に存在している可能性が高い。
【0228】
また、バッチ処理槽20において無害化処理をしてもなお、土壌を含む混合物中にフッ素やホウ素などの有害物質が残存している場合、この混合物の全てを次の工程で処理しようとすると、処理対象物の全量が多く、その分処理に要する薬剤の量や時間が増加したり、無害化処理用の薬剤と混合物中に残存している有害物質との反応効率が低下するおそれがある。
【0229】
そこで、本実施形態の土壌処理方法では、バッチ処理槽20において薬剤の存在下でエアレーション(第1処理工程)を施すことによって有害物質が液相中に存在した状態になることに着目し、第2処理工程において混合物を固液分離する固液分離作業を行い、その後、液相成分を無害化処理することとしている。
【0230】
さらに詳細に説明すると、第1処理工程において水中に土壌と薬剤とを投入して処理が完了すると、バッチ処理槽20の弁26が開かれ、土壌を含む混合物が排出口25から固液分離槽202に排出される。その後、混合物は、固液分離槽202内においてしばらく静置される。これにより、固液分離槽202内において、混合物が土壌を主成分とする固相成分と、液相成分とに分離した状態となる。この際、混合物中に含まれているホウ素やフッ素は、液相側に存在することとなる。
【0231】
上記したようにして混合物が固相と液相とにほぼ分離した状態になると、シリンダ205が作動し、固液分離槽202が傾けられる。これにより、固液分離槽202内で分離した液相成分が固液分離槽202から排出され、攪拌槽203に移される。一方、固液分離槽202で分離された固相成分については、土壌や有害物質を無害化したものが主成分であり、有害物質をほとんど含まず、このまま土壌の採取現場への埋め戻し等に使用可能なものである。そのため、固相成分については、固液分離槽202のバルブ202bを開くことにより排出口202aから排出され、再利用される。
【0232】
一方、固液分離槽202から取り出された液相成分や、バッチ処理槽20からポンプ210によって汲み出された液相成分は、攪拌槽203において無害化処理される。すなわち、攪拌槽203に液相成分が投入されると、攪拌翼206が回転状態とされると共に、凝固剤投入手段208から凝固剤が投入される。これにより、攪拌槽203内において液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子が凝固し、攪拌槽203の底部側に沈殿する。
【0233】
上記したようにして液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子が凝固して沈殿すると、バルブ203bが開栓され、沈殿物たる汚染物質が排出口203aから排出される。沈殿物の排出が完了すると、バルブ203bが閉栓され、薬剤投入手段207から薬剤が投入される。ここで投入される薬剤は、バッチ処理槽20で実施された第1処理工程において無害化できなかった有害物質を無害化するためのものである。本実施形態では、薬剤投入手段207により、ホウ素やフッ素を無害化可能な薬剤が攪拌槽203内に投入される。ここで投入される薬剤としては、例えばフヨウF(株式会社ソフィア製)やアズレー(株式会社ソフィア製)が好適である。これらの薬剤を投入すると、攪拌槽203内にある液相成分中に存在しているホウ素やフッ素等の有害物質が無害化される。
【0234】
上記したようにして攪拌槽203内に存在する有害物質が無害化されると、ポンプ209によって水等が水槽41に向けて排出される。水相41に排出された水(液相成分)は、ポンプ27によってバッチ処理槽20に汲み上げられ、次の複合汚染土壌の無害化処理に使用される。
【0235】
上記したように、本実施形態の土壌処理装置200およびこれを用いた土壌処理方法では、第1処理工程において複合汚染土壌を水中において薬剤の投入下でエアレーションすることにより複数種含まれている有害物質の大部分の種類のものが無害化されると共に、フッ素やホウ素等の一部の有害物質が水中に存在することに着目し、第2処理工程において、第1処理工程で処理された混合物を構成する液相成分を無害化処理することとした。そのため、本実施形態のようにすれば、第2処理工程における処理対象物の量を最小限に抑制することができ、第2処理工程で使用する薬剤の量も最小限に抑制することができる。
【0236】
また、本実施形態では、攪拌槽203においてフッ素やホウ素を無害化処理するための薬剤を投入するのに先だって、凝固剤投入手段208によって凝固剤を投入し、液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子を凝縮させ、これを排出することとした。そのため、本実施形態にかかる方法を採用すれば、攪拌槽203において薬剤で無害化処理する処理対象物を最小限に抑制し、第2処理工程で使用する薬剤の量や、有害物質の無害化に要するコストを最小限に抑制することができる。
【0237】
なお、上記実施形態では、第2処理工程において攪拌槽203に凝固剤を投入して液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子凝集させて排除した後にホウ素やフッ素等を薬剤で無害化処理する方法を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、攪拌槽203における処理において凝固剤を投入せず、そのままホウ素やフッ素等を無害化するための薬剤を投入する構成としてもよい。また、攪拌槽203に混合物の液相成分を移す前の段階、さらに具体的には固液分離槽202における処理段階で凝固剤を投入して処理する構成としてもよい。
【0238】
本実施形態では、土壌の複合汚染の原因となる有害物質のうち、ホウ素やフッ素が他の有害物質よりも無害化しにくく、これらの物質を無害化できる薬剤が比較的高価であることを考慮し、第1処理工程において主としてホウ素やフッ素以外の有害物質を無害化し、第2処理工程においてホウ素やフッ素を無害化する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、複合汚染土壌の処理コスト等の観点からすれば好ましくはないが、第1処理工程においてホウ素やフッ素を無害化可能な薬剤を投入して処理し、その後、第2処理工程において別の有害物質を処理する構成としてもよい。
【0239】
本実施形態の土壌処理装置200により複合汚染土壌を無害化処理する場合についても、上記した土壌処理装置1,150と同様に、第1処理工程において水中に複合汚染土壌を投入して形成された混合物に対して薬剤を投入し、pH5.0〜6.0程度の酸性に調整することも可能である。かかる処理を行うことにより、土壌に付着等している重金属等の汚染物質が水中に溶出した状態になる。そのため、後に実施される第2処理工程において薬剤を投入することにより、有害物質を容易かつ確実に無害化(不溶化)することができる。
【0240】
本実施形態で示した土壌処理装置200は、バッチ処理槽20にポンプ210があり、これによりバッチ処理槽20からも水相成分を取り出し可能な構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポンプ210を備えていない構成であってもよい。
【0241】
また、本実施形態の土壌処理装置200によって複合汚染土壌を処理する場合、通常は、固液分離槽202や攪拌槽203において排出口202a,203aから排出される固相成分中にはほとんど有害物質が含まれておらず、そのまま埋め戻す等しても環境に何ら悪影響を与えないレベルである。しかし、複合汚染土壌は、様々な採取現場から採取されてくるため、予期せぬ汚染物質が含まれていたり、上記した処理に伴って土壌中に染み込んでいた予期せぬ有害物質が出てくる可能性も完全に否定できない。そのため、土壌処理装置200により複合汚染土壌の無害化処理を行う場合は、かかる事態を想定し、固液分離槽202や攪拌槽203から排出された排出物について、再度水洗する等の処理を施すこととしてもよい。土壌処理装置200をかかる構成としたり、かかる方策を施して複合汚染土壌を無害化処理することとすれば、複合汚染土壌をより一層確実に無害化処理することができる。
【0242】
上記各実施形態で示した土壌の処理方法は、いずれも別の処理方法と組み合わせて実施されてもよい。すなわち、複合汚染土壌に含まれている有害物質の一部として、上記した土壌の処理方法で処理できない有害物質が存在している場合は、これを処理すべく上記実施形態で示した処理方法とは別に、該当する有害物質を無害化するための処理を実施することとしてもよい。
【0243】
さらに具体的には、例えば土壌汚染対策法において第二種特定有害物質(重金属等)として分類されている汚染物質(有害物質)を上記各実施形態で示した土壌処理装置1,150,200等や土壌処理方法で処理すると共に、四塩化炭素やベンゼン等のような第一種特定有害物質(揮発性有機化合物等)として分類されているものや、PCB(Poly Chlorinated Biphenyl:ポリ 塩化ビフェニル)や有機リン化合物等のような第三種特定有害物質(農薬等)として分類されている有害物質を他の別の処理方法で処理することとしてもよい。
【0244】
また、上記各実施形態で示した土壌処理装置1,150,200等は、1台のトラック等の車両の荷台に搭載した構成としたり、複数台の車両の荷台に分けて搭載した構成としてもよい。かかる構成によれば、土壌処理装置1,150,200等を、土壌が複合汚染された現場やこの近隣に移動させ、当該現場において土壌の採取や無害化処理、埋め戻し等を実施することができる。
【0245】
土壌処理装置1,150,200等は、一部の構成のみを車両の荷台に搭載した構成としてもよい。すなわち、車両の荷台に土壌処理装置1,150,200等の一部又は全部を搭載して、オンサイトプラント型の土壌処理システムを構成してもよい。かかる構成とした場合は、前記車両を複合汚染土壌の採取現場やこの近隣に移動させると共に、車両に搭載した構成以外のものを車両の近傍に設置することにより、現場において土壌の採取や無害化処理、埋め戻し等を実施することができる。
【0246】
また、上記各実施形態において示した土壌処理装置1,150,200等は、バッチ処理槽20や、混合物流通管路30、処理槽161に対して空気等の気体を吹き込んでエアレーション(バブリング)を行いつつ、有害物質を無害化するための薬剤を投入できる構成とされているが、複合汚染土壌の処理を行う場合は、空気等の気体の吹き込みや薬剤の投入のタイミングを適宜調整することができる。
【0247】
さらに具体的に説明すると、例えばバッチ処理槽20で複合汚染土壌を処理する場合は、薬剤や水(液体)、複合汚染土壌を全て投入した後にバッチ処理槽20に空気を吹き込んで処理することとしたり、バッチ処理槽20に複合汚染土壌と水とを投入した時点でエアレーションを実施した後、薬剤を投入して再度エアレーションを実施する構成としてもよい。また、投入される薬剤が複数種である場合は、薬剤を一度にまとめて投入することとしても、種類毎あるいは所定の組み合わせ毎に分けて投入してもよい。この際も、エアレーションを薬剤を投入する毎に間欠的に実施してもよく、薬剤の投入に関係なく連続的にエアレーションを実施する構成としてもよい。また同様に、土壌処理装置200において、攪拌槽203における攪拌翼206の作動のタイミングと薬剤の投入のタイミングについて適宜調整することが可能である。
【0248】
上記各実施形態で示した土壌処理装置1,150,200等や土壌処理方法は、いずれもバッチ処理槽20を有し、当該バッチ処理槽20に貯留された水中に複合汚染土壌や薬剤を投入してエアレーションすると共に、バッチ処理槽20での処理により形成された土壌を含む混合物に、バッチ処理槽20の下流側において別途薬剤を投入して処理するものである。上記第3実施形態では、バッチ処理槽20での処理に際して使用される薬剤が、これよりも下流側の攪拌槽30での処理に際して使用される薬剤と異なる例を特に例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記第1〜3実施形態のいずれの場合であっても、バッチ処理槽20での処理に使用される薬剤は、これよりも下流側での処理において使用される薬剤と同一であっても異なっていてもよく、処理対象物たる土壌やこれを含む混合物中に含まれている有害物質の種類等に応じて適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる土壌処理装置の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる土壌処理方法の実施手順を示すフローチャートである。
【図3】(a),(b)はそれぞれ図1に示す土壌処理装置の変形例を示す概念図である。
【図4】(a)は混合物流通管路の上昇部を傾斜させた際の土壌の流れを模式的に示した説明図であり、(b)は混合物流通管路の上昇部を鉛直状態とした際の土壌の流れを模式的に示した説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる土壌処理装置の構成を示す概念図である。
【図6】図5に示す土壌処理装置で採用されている処理ユニットの構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる土壌処理方法の実施手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる土壌処理方法における第2処理部での処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図5に示す土壌処理装置で採用されている処理ユニットの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0250】
1,50,100,150,200 土壌処理装置
3 第1処理部
4,160,201 第2処理部
20 バッチ処理槽(第1混合物貯留手段)
21 処理液供給手段
22,36,172 薬剤供給手段
23,35,165 気体導入手段
25 排出口
26 弁
29 混合物流通管路(混合物流通手段)
30 処理ユニット
31 落下部(落下領域)
32 上昇部(上昇領域)
32a 底部
32b 頂部
45 土壌処理手段
161 処理槽(第2混合物貯留手段)
162 ジェットポンプ(混合物流通手段)
173 排出ポンプ
181 高圧水導入手段
186 流入部
187 流出部
190 ショートカット配管
191 ダンパ
202 固液分離槽
203 攪拌槽(第2混合物貯留手段)
206 攪拌翼
207 薬剤投入手段
208 凝固剤投入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置であって、
第1処理部と、第2処理部とを有し、
前記第1処理部が、液体、複合汚染された土壌、並びに、所定の薬剤を投入可能な第1混合物貯留手段と、当該第1混合物貯留手段に投入されている液体、複合汚染された土壌、並びに、薬剤を含む混合物中に気体を吹き込む処理を実施可能な第1気体導入手段とを有し、
前記第2処理部が、第2混合物貯留手段と、攪拌手段とを有し、
第1処理部において気体を吹き込んで処理された混合物を主として液体からなる液相成分と主として固体からなる固相成分とに分離し、液相成分を第2混合物貯留手段に投入すると共に、当該液相成分中に所定の薬剤を投入して攪拌手段で攪拌可能なものであることを特徴とする土壌処理装置。
【請求項2】
第1貯留手段で投入される薬剤が、フッ素及びホウ素以外の汚染物質を無害化するためのものであり、
第2貯留手段で投入される薬剤が、フッ素及び/又はホウ素を無害化するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の土壌処理装置。
【請求項3】
第2貯留手段に、液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子を凝集させることが可能な凝集剤を投入可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌処理装置。
【請求項4】
重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置であって、
第1処理部と、第2処理部とを有し、
前記第1処理部が、前記複合汚染された土壌を液体及び所定の薬剤の存在下でバッチ処理するものであり、液体、複合汚染された土壌、並びに、所定の薬剤を投入可能な第1混合物貯留手段と、当該第1混合物貯留手段に投入されている液体、複合汚染された土壌、並びに、薬剤を含む混合物中に気体を吹き込み可能な第1気体導入手段とを有するものであり、
前記第2処理部が、第1処理部において処理された土壌を含む混合物を連続処理するものであり、第1混合物貯留手段から排出された混合物を流通可能な混合物流通手段と、混合物流通手段を流通する混合物中に気体を吹き込み可能な第2気体導入手段とを有するものであることを特徴とする土壌処理装置。
【請求項5】
重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理装置であって、
第1処理部と、第2処理部とを有し、
前記第1処理部が、液体、複合汚染された土壌、並びに、所定の薬剤を投入可能な第1混合物貯留手段と、当該第1混合物貯留手段に投入されている液体、複合汚染された土壌、並びに、薬剤を含む混合物中に気体を吹き込み可能な第1気体導入手段とを有し、
前記第2処理部が、所定の処理液、並びに、第1処理部から排出された前記混合物を投入可能な第2混合物貯留手段と、当該第2混合物貯留手段に投入された混合物中に含まれる液相成分を第2混合物貯留手段の外部に排出可能な排出ポンプと、当該第2混合物貯留手段に投入された処理液及び混合物内に気体を吹き込み可能な第2気体導入手段と、第2混合物貯留手段内に存在する混合物を第2混合物貯留手段の外部に向けて流通させることが可能な混合物流通手段とを備えていることを特徴とする土壌処理装置。
【請求項6】
混合物流通手段が、一端側に流入部を有し、他端側に流出部を有する筒体によって構成されており、
混合物流通手段に対して高圧状態で流体を導入可能な高圧流体導入手段を有し、
高圧流体導入手段によって混合物流通手段内に流体を導入することにより、混合物流通手段の内部を負圧とし、第2混合物貯留手段内に存在する混合物を前記流入部から吸引すると共に、当該混合物を混合物流通手段内において前記気体の流れ方向上流側から下流側に向けて流動させ、前記流出部から第2混合物貯留手段の外部に排出させることが可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の土壌処理装置。
【請求項7】
第2混合物貯留手段に投入された処理液及び混合物に対して所定の薬剤を投入可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項8】
混合物流通手段を通過する混合物中に所定の薬剤を投入可能な薬剤投入手段を有することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項9】
第1混合物貯留手段に投入される薬剤の一部又は全部が、複合汚染された土壌中に含まれている有害物質をキレート化可能なキレート剤であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項10】
混合物流通手段に、混合物が落下する落下領域が設けられていることを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項11】
混合物流通手段に、混合物が落下する落下領域と、当該落下領域に対して混合物の流れ方向下流側に連通した上昇領域とが設けられており、
第2気体導入手段により上昇領域の底部側から頂部側に向けて気体を噴出させ、落下領域から上昇領域内に流入した混合物を上昇領域の底部側から頂部側に向けて流動させることが可能であることを特徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項12】
第1混合物貯留手段が、混合物を排出可能な排出口を有し、
当該排出口が、混合物流通手段の落下領域と連通可能とされていることを特徴とする請求項10又は11に記載の土壌処理装置。
【請求項13】
第1混合物貯留手段が、混合物流通手段の上昇領域の頂部よりも上方に位置していることを特徴とする請求項11又は12に記載の土壌処理装置。
【請求項14】
混合物流通手段が、落下領域と、当該落下領域に対して混合物の流れ方向下流側に連通した上昇領域との組み合わせからなる処理ユニットを複数有し、
混合物の流れ方向上流側に設けられた処理ユニットの上昇領域の頂部側と、混合物の流れ方向下流側に設けられた処理ユニットの落下領域とが連通し、一連の流路を形成していることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の土壌処理装置。
【請求項15】
車両を有し、当該車両の荷台に請求項1〜14のいずれか1項に記載の土壌処理装置の一部又は全部を搭載しており、車両により前記土壌処理装置を複合汚染された土壌の採取現場に移動させることが可能であることを特徴とする土壌処理システム。
【請求項16】
重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理方法であって、
液体に対して複合汚染された土壌と、所定の薬剤とを投入し、液体と複合汚染された土壌と薬剤とを含む混合物中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Aと、処理工程Xとを有し、
当該処理工程Xにおいて、処理工程Aで処理された混合物を、主として土壌によって構成される固相と、主として液体によって構成される液相とに分離する固液分離作業と、
当該固液分離作業によって分離された前記液相に所定の薬剤を投入し、前記液相成分に含まれている有害物質を無害化する無害化作業とが実施されることを特徴とする土壌処理方法。
【請求項17】
固液分離作業の後、液相成分中に浮遊している有害物質の微粒子を凝集させる凝集作業を実施し、当該凝集作業により凝集した凝集物を排出して残る液相成分に対して薬剤を投入し、液相成分に含まれている有害物質を無害化することを特徴とする請求項16に記載の土壌処理方法。
【請求項18】
処理工程Aにおいて、フッ素及びホウ素以外の有害物質を無害化可能な薬剤が投入され、
処理工程Xにおいて、主としてフッ素及び/又はホウ素を無害化するための薬剤が投入されることを特徴とする請求項16又は17に記載の土壌処理方法。
【請求項19】
処理工程Aおよび処理工程Xを含む工程を経て無害化されたものを細骨材及び/又は粗骨材として使用することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項20】
処理工程Aにおいて薬剤を投入することにより、混合物が酸性とされることを特徴とする請求項16〜19のいずれか1項記載の土壌処理方法。
【請求項21】
重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理方法であって、
液体に対して複合汚染された土壌と、所定の薬剤とを投入し、液体と複合汚染された土壌と薬剤とを含む混合物中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Aと、
処理工程Aでバッチ処理された混合物を所定の流路内に流動させ、当該流路内を流動する混合物に対して気体を吹き込むと共に、所定の薬剤を投入することにより混合物を連続処理する処理工程Bとを含むことを特徴とする土壌処理方法。
【請求項22】
処理工程A及び/又は処理工程Bにおいて処理された混合物を所定の処理液中に投入し、当該混合物及び処理液中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Cを含むことを特徴とする請求項21に記載の土壌処理方法。
【請求項23】
処理工程Bにおいて、混合物を所定の流路内で落下させることを特徴とする請求項21又は22に記載の土壌処理方法。
【請求項24】
処理工程Bが複数回にわたって実施されることを特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項25】
処理工程A及び処理工程Bを含む工程を経て無害化されたものを細骨材及び/又は粗骨材として使用することを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項26】
処理工程Aにおいて薬剤を投入することにより、混合物が酸性とされることを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項記載の土壌処理方法。
【請求項27】
重金属を含む複数種の有害物質により複合汚染された土壌を無害化する土壌処理方法であって、
液体に対して複合汚染された土壌と、所定の薬剤とを投入し、液体と複合汚染された土壌と薬剤とを含む混合物中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理する処理工程Aと、処理工程Cとを有し、
当該処理工程Cにおいて、処理工程Aで処理された混合物を主として土壌によって構成される固相と、主として液体によって構成される液相とに分離する固液分離作業と、
処理工程Aで処理された混合物から前記液相に相当するものの一部又は全部を排除する液相排除作業と、
処理工程Aで処理された混合物に含まれる固相に相当するものを処理液中に浸漬すると共に、当該処理液中に気体を吹き込んで混合物をバッチ処理するバッチ処理作業とが実施されることを特徴とする土壌処理方法。
【請求項28】
バッチ処理作業において、混合物及び処理液中に所定の薬剤が投入されることを特徴とする請求項27に記載の土壌処理方法。
【請求項29】
処理工程Aにおいて投入される薬剤の一部又は全部が、複合汚染された土壌中に含まれている有害物質をキレート化可能なキレート剤であることを特徴とする請求項16〜28のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項30】
処理工程Aにおいて投入される薬剤が、処理工程Aにおいて処理される土壌中に含まれる一又は複数の有害物質を無害化に資するものであり、
前記薬剤の投入量が、処理工程Aにおいて投入される土壌中に含まれていると想定される量の有害物質を無害化するのに要する前記薬剤の量よりも多いことを特徴とする請求項16〜29のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項31】
処理工程Aから次の工程に移行する際に、処理工程Aにおいて処理された混合物を落下させることを特徴とする請求項16〜30のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項32】
処理工程A及び/又は処理工程Aに続いて実施される所定の工程において、複合汚染された土壌を含む混合物に細骨材及び/又は粗骨材が投入されることを特徴とする請求項16〜31のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項33】
処理工程A及び処理工程Cを含む工程を経て無害化されたものを細骨材及び/又は粗骨材として使用することを特徴とする請求項28〜32のいずれか1項に記載の土壌処理方法。
【請求項34】
処理工程Aにおいて薬剤を投入することにより、混合物が酸性とされることを特徴とする請求項28〜33のいずれか1項記載の土壌処理方法。
【請求項35】
荷台に請求項1〜14のいずれか1項に記載の土壌処理装置の一部又は全部を搭載した車両を前記土壌処理装置を複合汚染された土壌の採取現場に移動させ、当該採取現場において採取した土壌を請求項16〜34のいずれか1項に記載の処理方法で処理して土壌を無害化し、当該無害化された土壌を前記採取現場に埋め戻すことを特徴とする土壌処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−119682(P2008−119682A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264600(P2007−264600)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(505073406)EACLE有限会社 (10)
【Fターム(参考)】