説明

土壌水分監視装置

【課題】 電極間の抵抗値を測定することによって、土壌中の水分を監視する従来の装置では、一定日数以上経過すると警報が鳴らなくなる。即ち、土壌は相当乾燥しているにもかかわらず、抵抗値が大きくならないのである。そして、それから相当期間(数週間)放置すると、また警報がなる。しかし、これではその間に植物は枯れてしまう。
【解決手段】 土壌水分センサーによって土壌水分が一定以下になったことを検知し、それによって所定動作を行なうものであって、該土壌水分センサーが2つの電極間の抵抗値を測定するタイプのものにおいて、該水分センサーの土壌抵抗値測定センサー部分を定期的に振動させるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌水分監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土壌水分監視装置とは、土壌の水分状態を測定し、その状態によって何らかのアクションを起こす装置である。
近時、ビルの屋上やベランダの緑化が叫ばれてきている。これは、屋上等を緑化することによって、屋上の断熱性向上による冷房費等の削減と、植物を植えることによる二酸化炭素の吸収、更には土壌が保持する水分の蒸発潜熱等による温度変化の軽減等である。
政府もこれを促進するため、種々の便宜を図っている。例えば、建蔽率の見なおし、補助金の供与、減税等である。
【0003】
このようなビルの屋上の緑化で問題になるのは潅水の問題である。定期的に水を撒くという作業が必要であるが、雨や湿度の問題から定期的に潅水すればいいというものではない。
【0004】
しかしながら、人件費の問題からそのようなことに人一人を従事させるわけにはいかない。そこで自動化することが考えられる。例えば、土壌の水分の量を測定して、一定以下になれば潅水するのが常識的である。
土壌の水分量を測定する方法は、土壌の電気抵抗値を測定するのが簡単である。これは、2本の電極を土壌中に一定距離をおいて埋めるのである。その電極間の抵抗値は簡単に測定できる。土壌が十分に水分を有している時には、ほとんど抵抗がない。
【0005】
徐々に土壌が乾燥していくと当然であるが抵抗値が大きくなる。そして、一定値以上になれば警報を出すか、自動撒水すればよい。
【0006】
発明者もこの実験を繰り返し行なった。しかし、うまく機能しないのである。数週間は正常に作動し、乾燥すれば警報が出ているが、一定日数以上経過すると警報が鳴らなくなるのである。そこで種々測定すると、土壌は相当乾燥しているにもかかわらず、抵抗値が大きくならないのである。
【0007】
そして、それから相当期間(数週間)放置すると、また警報がなる。しかし、これではその間に植物は枯れてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、このような誤動作のない土壌水分監視装置で、従来の装置も簡単に改良できるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明土壌水分監視装置を完成したものであり、その特徴とするところは、土壌水分センサーによって土壌水分が一定以下になったことを検知し、それによって所定動作を行なうものであって、該土壌水分センサーが2つの電極間の抵抗値を測定するタイプのものにおいて、該水分センサーの土壌抵抗値測定センサー部分を定期的に振動させる点にある。
【0010】
土壌水分センサーは、2本の電極間の抵抗値を測定するタイプのものであればどのようなものでもよい。即ち、抵抗値が一定以上になれば、土壌が乾燥した、水分が不足と考える方式である。
【0011】
この所定値は、栽培する植物や土壌によって栽培者が適当に決めるものであり、その状態の時の使用する測定装置の値で決定すればよい。例えば、Aという植物で、Bという土壌ならば、Cの水分量(例えば、pF値1.8)になれば潅水すると決める。そして、使用する測定装置がそのCの状態のときのDという値を示すならば、そのDが所定値となる。
【0012】
この所定値になった時の動作(所定動作)は特に限定するものではない。例えば、警報を発するか、自動で潅水するか、種々の機能のタイマーをスタートさせる等である。警報は音や光等で乾燥を知らせるものでどのようなものでもよい。潅水は上水道を使用するなら単にバルブを開けるだけであり、地下水等であればポンプのスタート等も含まれる。
【0013】
上記までは従来の装置である。これでは一定期間経過すると抵抗値が所定以上にならなくなり、前記したように植物が枯れるのである。この理由は定かではないが、発明者の実験では、2本の電極間に擬似の電気経路が形成されているのではないかと考えられる。即ち、水や導線ほどの電気伝導性はないにしても、乾燥によって何かが凝縮したりしてある程度電気を通すような経路ができているとしか考えられないのである。
【0014】
そして種々実験の結果、この擬似経路を切れば、再び抵抗値が正しい値を示すことが分かった。そして、電極を振動させることに思い至ったのである。
振動はどのような方法で与えてもよく、単なるモーターや、モーターと偏心カムのようなものでもよい。
【0015】
この振動させる部分は、電極だけでも、センサー全体でもよい。要するに、前期した擬似経路を切ればよいのであり、その付近のわずかな振動で十分である。よって、振動装置の大きさも小さいものでよい。
【0016】
振動装置は常時稼動するのでははく定期的でよい。例えば、1週間ごと、2週間ごと等である。これもその土壌や、季節、場所によって異なるため、試行錯誤で決めるのがよい。これは、長時間タイマーでセットしておくのがよい。よって、一定期間ごとに自動的に振動しているようにする。
【発明の効果】
【0017】
本発明土壌水分監視装置には次のような効果がある。
(1) 定期的に振動させるだけで、警報の異常がなくなった。
(2) 装置は非常に簡単で振動装置等を付けるだけである。
(3) わずかな振動だけであり他に影響はほとんどない。
(4) 安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面に示す実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明土壌水分監視装置の使用例を示す概略断面図である。制御部1と電極2が連結されている。電極2の上部には、振動装置3が設けられている。またバルブ4が制御部1と連絡されている。この例の制御部1には、コンピューターが内蔵され種々の制御を行なっている。
【0020】
動きを説明する。まず、常時又は定期的に電極間の抵抗値を測定する。この抵抗値が一定以下ならば水分が足りているため何もしない。そして、抵抗値が一定以上になった時、バルブ4を開にして潅水する。潅水時間等もコンピューターに記憶されている。
【0021】
そして、この動作とは、別個独立してコンピューターから一定期間ごとに、振動装置3に対して信号を出し作動する。この例では、1週間に1回である。これによって、擬似短絡経路が形成されず(されたとしても定期的に破壊され)適切な抵抗値を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明土壌水分監視装置の使用例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 制御部
2 電極
3 振動装置
4 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌水分センサーによって土壌水分が一定以下になったことを検知し、それによって所定動作を行なうものであって、該土壌水分センサーが2つの電極間の抵抗値を測定するタイプのものにおいて、該水分センサーの土壌抵抗値測定センサー部分を定期的に振動させることを特徴とする土壌水分監視装置。
【請求項2】
該所定動作は、警報の発令である請求項1記載の土壌水分監視装置。
【請求項3】
該所定動作は、潅水である請求項1記載の土壌水分監視装置。
【請求項4】
該所定動作は、タイマーのスタートである請求項1記載の土壌水分監視装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−34169(P2006−34169A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218849(P2004−218849)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(594005968)
【Fターム(参考)】