土木構築物用ユニットの製造方法
【課題】 各自然石における表面側の端面の高さをできるだけ揃えることができる土木構築物用ユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】 複数の自然石6を作業面8a上に並べて区画空間10を形成すると共に、その区画空間10内に、各自然石6に取付けたアンカー11を配置させ、次に、区画空間10内にコンクリートを充填して、コンクリートベース7を形成すると共にそのコンクリートベース7と各アンカー11とを一体化する。この場合、作業面8aとして、略水平な面を有するものを用い、区画空間10内のコンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成された後、そのコンクリートベース7及び複数の自然石6を反転させて、それまで作業面8a側に臨んでいた側を表面側とする、
【解決手段】 複数の自然石6を作業面8a上に並べて区画空間10を形成すると共に、その区画空間10内に、各自然石6に取付けたアンカー11を配置させ、次に、区画空間10内にコンクリートを充填して、コンクリートベース7を形成すると共にそのコンクリートベース7と各アンカー11とを一体化する。この場合、作業面8aとして、略水平な面を有するものを用い、区画空間10内のコンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成された後、そのコンクリートベース7及び複数の自然石6を反転させて、それまで作業面8a側に臨んでいた側を表面側とする、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物用ユニットの製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
土木構築物用ユニットには、高い重量安定性の下での保護機能と周囲の自然環境に対する調和機能とを兼ね備えるだけでなく、部品点数の低減を図ることを目的として、特許文献1に示すように、略一定厚みとされたコンクリート基盤を備え、そのコンクリート基盤の全周囲に、該コンクリート基盤の厚み以上の径を有する塊状部材を、区画壁として並べ、その各塊状部材にアンカーを、その一端部をもって連結すると共に、該各アンカーの一端部よりも他端側をコンクリート基盤内に埋め込んだものが提案されている。そして、このような土木構築物用ユニットを製造するためには、アンカーが取付けられた複数の塊状部材と、コンクリートとを用意し、先ず、前記複数の塊状部材を並べて区画空間を区画すると共に、該区画空間内に該各塊状部材の各アンカーを配置させ、次に、前記区画空間内にコンクリートを充填することが行われている。
【特許文献1】特許第3737509号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記土木構築物用ユニットの製造方法においては、塊状部材として、一般に自然石が用いられ、その各径が区々になっている。このため、水平な作業面上に各塊状部材を載置した場合には、その各塊状部材の下面側端面(作業面側の面)がその水平な作業面によりそれぞれ揃う一方、その各塊状部材の上面側端面が揃わず、その各塊状部材の上面側端面が形成する表面は起伏の激しいものとなる。この結果、施工面に敷設される各土木構築物用ブロックの表面上を歩行しようとした場合、平坦なコンクリート基盤上は歩き易いものの、その各塊状部材の上面側端面(表面側端面)では、その区々な高さが快適な歩行を妨げることになる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、各塊状部材における表面側の端面の高さをできるだけ揃えることができる土木構築物用ユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
アンカーが取付けられた複数の塊状部材と、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成すると共に、該区画空間内に該各塊状部材の各アンカーを配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする構成としてある。この構成により、反転されるまで、略水平な作業面上に接して揃えられていた各塊状部材の下面側端面を、表面側の端面として利用できることになる。その一方、反転されるまで、区々に上方に突出していた各塊状部材の上面側端面が、施工面上に載置される下面側端面となるが、その各塊状部材の区々な突出部分を、当該土木構築物用ユニットを施工面に設置するに際し、該施工面内に進入させてストッパとして利用できることになる。
【0006】
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項2に係る発明)にあっては、
複数の塊状部材と、複数のアンカーと、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成し、次に、前記各塊状部材に前記アンカーの一端部をそれぞれ取付けると共に、該各アンカーの他端側を前記区画空間内に配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする構成としてある。この構成により、前記請求項1の場合と同様の作用を生じさせることができるだけでなく、アンカーが取付けられていない塊状部材を用いて、区画空間を形成することから、アンカーが取付けられた塊状部材を用いる場合のように、塊状部材の配置の向きがアンカーによって制限されることはなくなり、塊状部材の向きを適宜調整して、好ましい区画空間(所定の形状、隙間を少なくできるもの等)を形成できる。
【0007】
請求項1又は2の好ましい態様として、コンクリートの充填前に、塊状部材の周囲及び区画空間内に一定厚の砂層又はれき層を形成する構成を採ることができる(請求項3対応)。この構成により、製造時に、不規則形状の各塊状部材を作業面上に安定して載置できるばかりか、区画空間内に、砂層又はれき層に相当する分だけコンクリートが進入することを規制できる。このため、区画空間内へのコンクリートの充填を的確に行って当該土木構築物を確実に製造できると共に、コンクリート基盤の上面を各塊状部材の上端よりも引っ込ませて該各塊状部材をコンクリート基盤よりも強調し、当該土木構築物用ユニットを、周囲の自然環境により調和させることができる。
【0008】
請求項1又は2の好ましい態様として、前記コンクリート基盤が形成された後であって、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させる前に、該コンクリート基盤上に、該コンクリート基盤を支持するための支柱を上方に突出するように形成して、該支柱の突出端面の高さを、少なくとも、該複数の塊状部材のうち、最も突出している塊状部材の上面側端面の高さ以上にする構成を採ることができる(請求項4対応)。この構成により、反転されるまで区々に上方に突出していた各塊状部材の上面側端面が、設置時に、施工面を向くことになるが、支柱の平坦な突出端面が施工面に当接して、当該土木構築物用ユニットは、支柱を介して施工面に支持されることになる。このため、施工面が平坦で強固なコンクリート面等であっても、当該土木構築物用ユニットを安定して施工面に設置できる。
【0009】
請求項1の好ましい態様として、前記支柱として、複数の支柱を形成する構成を採ることができる(請求項5対応)。この構成により、施工面に対する当該土木構築物用ユニットの設置安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明(請求項1,2に係る発明)によれば、各塊状部材における表面側の端面の高さをできるだけ揃えることができると共に、施工面に対して強固且つ安定した状態で設置できる土木構築物用ユニットの製造方法を提供できる。
また、本発明(請求項2に係る発明)によれば、アンカーが取付けられていない塊状部材を用いて、区画空間を形成することから、塊状部材の向きを適宜調整して、好ましい区画空間(所定の形状、隙間を少なくできるもの等)を形成できることになり、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図9は第1実施形態を示す。この第1実施形態において、符号5は、海岸護岸、河川護岸等の施工に用いられる実施形態に係る土木構築物用ユニットで、このような土木構築物用ユニット5は、その多数が施工面(土砂等により構成)2に敷き詰められる。
【0012】
前記各土木構築物用ユニット5は、図1〜図3に示すように、基本的には、複数の自然石(塊状部材)6と、コンクリートベース(コンクリート基盤)7と、複数のアンカー11とを備えている。
【0013】
前記複数の自然石6は、外部に対する当該土木構築物用ユニット5自体の内部空間として、区画空間10を形成している。各自然石6としては、本実施形態においては、600mm前後の径の大きさのものが8個用いられ、それらを並べることにより、一辺が2m前後とされた平面視正方形状の区画空間10が形成されている。また、この各自然石6には、区画空間10に臨む側において、取付け孔12(図3参照)が形成されている。
【0014】
前記コンクリートベース7は、前記区画空間10内に収納されている。このコンクリートベース7は、コンクリート(未硬化状態)を区画空間10内に充填した後、硬化させることにより形成されており、コンクリートベース7の外周縁部は、各自然石6(割石)表面の凹部等に入り込んで接着、係合しているばかりでなく、隣り合う自然石6間の隙間9にも深く進入している。このコンクリートベース7には、図2に示すように、反転用アンカー41が埋設されている(図1,図3では図示略)。反転用アンカー41は、その両端部において、クレーンのフックを引っ掛けるための引っ掛け部41aを有しており、その引っ掛け部41aは、隣り合う自然石6間の隙間を通ってコンクリートベース7の側壁から外部に突出されている。尚、このコンクリートベース7の上面側に、吊上げ搬送用の引っ掛具が設けられているが、その図示は、省略されている。
【0015】
前記各アンカー11は、前記各自然石6を前記コンクリートベース7の側面側に連結している。アンカー11は、本実施形態においては、直線状の線材とされて、その一端部が、自然石6における取付け孔12内に接着剤と共に挿入することにより該自然石6に一体化(連結)されており、その一端部よりも他端側は、コンクリートベース7内に埋め込まれている。この場合、アンカー11は、その一端部が自然石6の背面略中央部に取付けられている一方、アンカー11の他端側は、区画空間10内において、自然石6から離れるに従ってやや上方に向って傾斜するように延ばされており、各アンカー11の他端部は、コンクリートベース7の下側中央部付近において、交差するように配置されている。
【0016】
本実施形態においては、前記コンクリートベース7の上面に、複数の自然石(天端石)13が植石されている。この植石用自然石13は、前記自然石6よりも小さいものが用いられ、その各植石用自然石13の下部は、前記各アンカー11の他端側上方において、コンクリートベース7内にアンカーを省いた状態で埋め込まれている。勿論この場合、植石用自然石13に直線状のアンカーを、その一端部をもって連結し、そのアンカーの一端部よりも他端側とその植石用自然石13の一部とをコンクリートベース7内に埋め込んでもよいし、植石用自然石13自体を省いてもよい。
【0017】
次に、上記第1実施形態に係る土木構築物用ユニット5の製造方法について、図4〜図9に基づいて説明する。
【0018】
先ず、図4に示すように、略水平とされた作業面8a上に、複数の自然石6を並べて区画空間10を形成すると共に、その区画空間10内において、複数の植生用自然石13を配置する。この場合、上記作業面8aは、本実施形態においては、砂層(第1砂層)8の上面をもって形成されており、その砂層の上面(作業面)8aは、圧縮されて比較的硬く形成されている。このため、複数の自然石6は、その作業面8aとの接触面(このとき下面となる面)が、その作業面8aにより略水平に揃えられる。
【0019】
次に、図5,図6に示すように、各自然石6に、区画空間10内に臨む側において、ドリル等により取付け孔12をそれぞれ形成し、その各取付け孔12内に、接着剤を注入すると共にアンカー11の一端部を挿入して、各自然石6にアンカー11の一端部を取付ける。このとき、各アンカーの他端側は、湾曲、折曲調整により、植石用自然石13上に支えられるようにしつつ、区画空間10内に向けて延ばされる。またこの工程においては、最終的に反転させるための反転用アンカー41を、区画空間10を横切るように配設する。このとき、反転用アンカー41における両端部の引っ掛け部41aは、隣り合う自然石6間の隙間を通って外部に突出するようにされる。
【0020】
この各自然石6に対するアンカー11の取付け、各アンカー11の配置に関しては、別の態様として、予め、自然石6にアンカー11を取付けたものを複数用意しておき、その自然石6を作業面8a上に並べることにより区画空間10を形成すると共に、その区画空間10内に各自然石6のアンカー11を配置するようにしてもよい。
【0021】
次に、図7,図8に示すように、各自然石6の周囲及び区画空間10内に一定厚の砂層17を形成する。不規則形状の各自然石6及び植石用自然石18を作業面8a上に安定して載置できるようにすると共に、区画空間10内において、砂層17に相当する分だけ後述のコンクリートが進入できないようにするためである。尚、砂層17に換えて、れき層を形成するようにしてもよい。
【0022】
次に、図9に示すように、間詰石14を、隣り合う自然石6間において配置して、略各自然石6の上面側端面高さまで自然石6間の隙間9を塞ぐ。後述のコンクリートの充填時に、コンクリートが隙間9から漏れ出さないようにするためである。この場合、間詰石14の他に、土嚢、スプレー状の発泡ウレタン樹脂、スポンジ等を用いれば、コンクリートの漏れ防止の観点から、より好ましいものとなる。
【0023】
次に、図9に示すように、前記複数の自然石6が区画する区画空間10内にコンクリートを充填する。そのコンクリートを硬化させて、重量物としてのコンクリートベース7を形成すると共に、各アンカー11を埋設して各自然石6をコンクリートベース7に連結するためである。勿論、各自然石6とコンクリートとを接着するためでもある。またこのとき、反転用アンカー41の大部分もコンクリートに埋設されて、反転用アンカー41とコンクリートベース7の一体化強度が高められることになり、後述の反転作業が的確に行われることになる。
【0024】
次に、前記コンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成されると共に、コンクリートベース7、各自然石6及び植石用自然石13が一体化すると、その一体化物を、反転する。反転されるまで、略水平な作業面8a上に接して揃えられていた各自然石6の下面側端面を、表面側の端面(上面側端面)として利用するためである。具体的には、反転用アンカー41における両端部の引っ掛け部41aにクレーンのフックが引っ掛けられて一体化物が吊り上げ、反転されることになるが、この反転に伴い、砂層17の砂、間詰石14が、上記一体化物(各自然石6及びコンクリートベース7)から落とされる。勿論、砂層17の砂を確実に脱落させるために、その際、その一体化物に対して散水を行ってもよい。この反転により、反転するまで各自然石6の下面側端面であった面が表面側の端面となる前述の土木構築物用ユニット5が得られることになる(図1,図2参照)。
【0025】
この土木構築物用ユニット5においては、上述のように、反転により、各自然石6の表面側の端面が揃うことになるが、その一方、反転されるまで、区々に上方に突出していた各自然石6の上面側端面が、施工面2上に載置される下面側端面となる。しかし、この各自然石6下面側の区々な突出部分は、当該土木構築物用ユニット5を施工面2に設置するに際し、該施工面2内に進入させて(埋め込んで)ストッパとして機能させ、設置安定性を高めるために利用される。
【0026】
図10以降の図は他の実施形態を示す。この他の実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略するが、各実施形態の基本的構成として、複数の自然石6により区画空間10が形成され、その区画空間10内にコンクリートベース7が配設され、そのコンクリートベース7側面と各自然石6とがアンカー11を介して連結されることとなっている。
【0027】
図10〜図12は第2実施形態を示すもので、この第2実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、区画空間10内のコンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成された後であって(ここまでは前記第1実施形態参照)、それを反転させる前に、そのコンクリートベース7上に型枠(図示略)を配置して、その型枠内にコンクリートを充填することにより、コンクリート製の支柱42を形成することになっている(図10,図11参照)。この支柱42は、このとき最も高い自然石6の上面側端面の高さと等しいか又はそれ以上に突出されており、その支柱42の突出端面42aは、安定して自立するに十分な面積を確保した平坦面を形成している。これにより、このものを、支柱42の形成後、反転させて使用すれば、図12に示すように、反転によって自然石6の下面側が区々な突出状態となっているけれども、支柱42の突出端面42aが施工面2に当接して、当該土木構築物用ユニット5は、施工面2に安定して設置される。これに対して、支柱42を設けない土木構築物用ユニット(第1実施形態に係る土木構築物用ユニット5)であって、その各自然石6の余分な突出部分を使用時に施工面2内に埋め込まない場合には、図13に示すように、各自然石6の上面側端面が、施工面2に対して傾斜して、施工面2に平行とはならず、他の土木構築物用ユニット5における自然石6の上面側端面に対して揃えることができなくなる。
【0028】
図14〜図16は第3実施形態を示すもので、この第3実施形態は、前記第2実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、図14,図15に示すように、支柱42として、複数の支柱42−1〜42−4(本実施形態においては4つ)が設けられており、その各支柱42−1〜42−4は、平面視略四角形状のコンクリートベース7の四隅部にそれぞれ設けられている。これにより、図16に示すように、複数の支柱42−1〜42−4の総面積が少なくても、その複数の支柱42−1〜42−4は、当該土木構築物用ユニット5を安定して施工面2に設置し、その土木構築物用ユニット5における自然石6の上面側端面(表面側端面)を施工面2に平行にして、その上面側端面の高さを他の土木構築物用ユニット5における上面側端面(表面側端面)の高さに揃えることができる。
この場合、上記支柱42に換えて、自然石、プラスチック材、鋼材等を用い、それらをコンクリートベース7に取付けることにより、高さ調整を行ってもよい。
【0029】
図17,図18は第4実施形態を示す。この第4実施形態においては、区画空間10を区画する自然石6のうち、対向するもの同士が1本のアンカー11を介して連結されており、部品点数の低減を図ることができることになっている。また、区画空間10を区画する自然石6は、1つ置きに、その隣り合う自然石6よりも内方側に配置されており、このような自然石6の配置により、平面視四角形状の土木構築物用ユニット5における4つの各周壁部には、凹所(へこみ部)43がそれぞれ形成され、その各凹所43は、設置時に隣り合う他の土木構築物用ユニットのものと協働して、植物生息空間等に有効に利用される。
【0030】
図19〜図22は第5実施形態を示す。この第5実施形態においては、4つの自然石6により区画空間が10が形成され、その隣り合う自然石6間に多少、広めの4つの隙間44が形成されている。その各隙間44にはコンクリートベース7の一部がそれぞれ及んでおり、その各コンクリートベース7の一部には、連結具45が隙間44を介して外部に突出するようにして取付けられている。本実施形態においては、連結具45として、略U字状の連結金具が用いられ、その両開放端側がコンクリートベース7内に埋め込まれることになっている。この土木構築物用ユニット5おいては、コンクリートベース7が、隣り合う自然石6間の各隙間44から外部に臨むように形成されているが、勿論そのようにするために、製造段階においてコンクリートを注入するに際して、隣り合う自然石6間の各隙間44は、間詰石14等により塞がれる。
【0031】
図21,図22は、前記第5実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示している。図21の場合には、土木構築物用ユニット5をもって、複数の縦列、横列が作られると共に、各土木構築物用ユニット5における1つの自然石6が、隣り合う他の土木構築物用ユニット5における1つの自然石6に当接するように配置され、4つの土木構築物用ユニット5を一単位として、その4つの土木構築物用ユニット5により区画空間46が形成されることになっている。各区画空間46内には、その区画空間46を区画する各土木構築物5の連結具45がそれぞれ突出しており、その4つの各連結具45は、連結具47により連結されている。この連結具47は、図21においては、円をもって簡略的に描かれているが、シャックル、ワイヤ等、適宜の連結具を用いることができる。図22の場合は、図21の状態において横列を構成する土木構築物を、縦方向において隣り合う横列(土木構築物用ユニット5)に対してずらした配置を示している。この場合には、各土木構築物用ユニット5の連結具45が、隣り合う土木構築物用ユニット5の連結具45に対して連結具47を介して連結されることになっている。
【0032】
図23〜図25は第6実施形態を示す。この第6実施形態は、前記第5実施形態の変形例であり、その第6実施形態に係る土木構築物用ユニット5においては、前記第5実施形態において設けられていた植石用自然石13、連結具45が省かれている。図25は、その第6実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示しており、各土木構築物用ユニット5における隣り合う2つの自然石6が、隣り合う他の土木構築物用ユニット5における2つの自然石6に当接するように配置されている。これにより、この第6実施形態においては、前記第5実施形態の場合よりも、小さいけれども多くの区画空間46が形成されることになっている。
【0033】
図26〜図28は第7実施形態を示す。この第7実施形態は、前記第6実施形態の変形を示す。この第7実施形態においては、隣り合う自然石6間の各隙間44に比較的大きめの間詰石14を配置して、その各隙間44を塞いだものとなっている。この場合、コンクリートベース7により間詰石14を区画空間10側から外方側に向けて、隙間44を形成する両自然石6に押し付けるような構成を採るときには、特に間詰石14にアンカーを設ける必要はないが、間詰石14にもアンカーを設けた方がよいことは言うまでもない。図28は、この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示しており、この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット5の場合においても、前記第6実施形態の場合と同様の設置を行うことができ、その設置により、隣り合う土木構築物用ユニット5間に区画空間46を形成できることになっている。
【0034】
図29は第8実施形態を示す。この第8実施形態においては、複数(本実施形態においては9つ)の自然石6により、隣り合う自然石6間に隙間44をあけつつ、環状(略円環状)の区画空間10が区画され、その区画空間10内にコンクリートベース7が配置され(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、そのコンクリートベース7の表面側(上面側)に植石用自然石13が植石されている。
【0035】
図30、図31は第9実施形態を示す。この第9実施形態においては、複数(本実施形態においては8つ)の自然石6により、隣り合う自然石6間に隙間44をあけつつ、矩形状の区画空間10が区画され、その区画空間10内にコンクリートベース7が配置され(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、そのコンクリートベース7には、上下に貫通する貫通孔48が形成されている。このとき、各自然石6のアンカー11は、貫通孔48内に入り込むことを回避すべく、その各アンカー11の基端部付近において折曲されている。また、コンクリートベース7に貫通孔48を形成するためには、紙製等の円筒を区画空間10内に配置した上で、コンクリートを注入し、そのコンクリートの硬化後、その紙製の円筒を積極的に除去或いはそのまま経時変化(消滅)に委ねられることになっている。
【0036】
図32、図33は第10実施形態を示す。この第10実施形態においては、基準の径からなる自然石6sと、その基準の径よりも小さい径の自然石6aと、その基準の径よりも大きい径の自然石6bとが用意され、自然石6aを配列して構成される自然石列6Aと、自然石6bを配列して構成される自然石列6Bとが、間隔をあけつつ平行に配置され、その両自然石列6A,6B間に、その自然石列6A(6B)の延び方向両端において、自然石6sが、該両自然石列6A,6B間を跨ぐようにそれぞれ配置されており、それらにより、矩形状の区画空間10が区画されている。この区画空間10内に、各自然石6a,6s,6bをアンカー(図示略)を介して連結するためのコンクリートベース7が配置されており、そのコンクリートベース7の上面側に植石用自然石13が、その上面側端面の高さを自然石6sの上面側端面の高さと略等しくなるように植石されている。これにより、施工面2が傾斜している場合において、このような土木構築物用ユニット5を、その自然石列6Bの方を自然石列6Aよりも下側に位置するように配置すれば、その自然石6a,6s,6bの上面側端面は、図33の一点鎖線をもって示すように、施工面2の傾斜よりも緩やかな面(本実施形態においては、略水平な面)を形成することになり、そのような土木構築物用ユニット5を連続的に配設することにより、階段状の面を形成できることになる。
【0037】
図34〜図36は第11実施形態を示す。この第11実施形態においては、3個の自然石6を配列して構成される2つの自然石列6Cが、間隔をあけつつ平行に配置され、その両自然石列6C間に、その自然石列6Cの延び方向両側において自然石6が跨ぐように配置され、その2つの自然石列6C、その両者6C間に配置される自然石6により区画空間10が形成されている。この区画空間10内には、各自然石6をアンカー(図示略)を介して連結するためのコンクリートベース7が配置され、そのコンクリートベース7の上面側には、植石用自然石13が取付けられている。この土木構築物用ユニット5においては、その自然石列6C間に配置される自然石6が、自然石列6Cの延び方向両端よりも多少、内方側にそれぞれ配置されており、その土木構築物用ユニット5には、その自然石列6Cの延び方向両側において、凹所(引っ込み空間)49が形成されている。
【0038】
図36は、上記第11実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示している。この設置例においては、各土木構築物用ユニット5における自然石列6Cが連続して列を形成するように配置されており、隣り合う土木構築物用ユニット5は、その両凹所49をもって区画空間46を形成することになっている。この各区画空間46は、種々の用途、例えば、小礫充填空間、動植物の生息・育成空間等として利用される。
【0039】
図37〜図39は第12実施形態を示す。この第12実施形態においては、2つの自然石6を並設した2つの自然石列6Dが、間隔をあけて平行に配置され、その両自然石列6D間に自然石6sが、自然石列6Dの延び方向中央において配置されている。自然石6sを基準として、一方側(図37中、左右の一方側)において、一方の自然石列を構成する2個の自然石6と自然石6sとが、1つの区画空間10を区画し、自然石6sを基準として他方側において、他方の自然石列6Dを構成する自然石6と自然石6sとが、別の区画空間10を区画することになっており、その各区画空間10内には、各自然石6をアンカー(図示略)を介して連結するためのコンクリートベース7がそれぞれ配置されている。これにより、自然石を主材料として、2つの自然石列6Dを自然石6sにより連結した構造体(土木構築物用ユニット5)が形成され、その両自然石列6D間には、自然石列6Dの延び方向両側において凹所49がそれぞれ形成されることになっている。尚、勿論、製造段階においては、区画空間10内にコンクリートを注入してコンクリートベース7を形成するに際しては、隣り合う自然石6間の隙間は、間詰石等により塞がれる。
【0040】
図40〜図42は第13実施形態を示す。この第13実施形態においては、自然石6−1〜6−3が一定間隔毎に配置され、その自然石6−1と6−2との間に、自然石6−4及び6−5が、また、自然石6−2と6−3との間に、自然石6−3及び6−4が、それぞれ横切るように配置されている。このうち、自然石6−1,6−2,6−4,6−5が、隙間44をあけつつ、1つの区画空間10を区画し、自然石6−2,6−3,6−6,6−7が、隙間44をあけつつ、別の区画空間10を区画しており、その各区画空間10内には、各自然石6−1〜6−7をアンカー11を介して連結するためのコンクリートベース7がそれぞれ配置されている。これにより、自然石を主材料として、長尺な構造体(土木構築物用ユニット)が得られることになる。
【0041】
図43〜図45は第14実施形態を示すもので、この第14実施形態においては、前記第13実施形態の変形例を示している。この第14実施形態においては、自然石6−1,6−2,6−4,6−5が区画する1つの区画空間10内に配置されるコンクリートベース7の上面側に、自然石6−8がアンカー11を介して連結され、自然石6−2,6−3,6−6,6−7が区画する別の区画空間10内に配置されるコンクリートベース7の上面側に、自然石6−9がアンカー11を介して連結されている。また、本実施形態においては、自然石6−6と6−7との間(及び6−4と6−5との間)が比較的短いことから、両自然石6−6,6−7(及び6−4,6−5)を1本のアンカー11を介して連結することになっている。これにより、前記第13実施形態よりも立体的な構造体が得られることになり、消波機能の面で効果を高めることができることになる。
【0042】
図46、図47は第15実施形態を示す。この第15実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、第1構造体部6E−1と第2構造体部6E−2とが自然石6sを介して連結される立体的構造体が示されている。第1構造体部6E−1と第2構造体部6E−2とは、同一構造をなしており、その構造は、図47に示すように、コンクリートベース7の周囲に3個の自然石6が隙間44をあけつつ配置され、その各自然石6は、アンカー11を介してコンクリートベース7の側面に連結されている。このような第1構造体部6E−1のコンクリートベース7と第2構造体部6E−2のコンクリートベース7との間には自然石6sが介在され、その自然石6sは、第1構造体部6E−1のコンクリートベース7及び第2構造体部6E−2のコンクリートベース7とアンカー11を介してそれぞれ連結されている。
【0043】
この第15実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、次のようにして製造される。
先ず、前記各実施形態同様、3個の自然石6を隙間44をあけつつ並べて区画空間10を形成し、その各自然石6にアンカー11の一端部を取付けると共に、その他端部を区画空間10内に配設されるようにする。次に、隣り合う自然石6間を間詰石14等により塞ぎ、コンクリートを充填する。一方、自然石6sとして、2本のアンカー11を取付けたものを予め用意しておく。この自然石6sは、各アンカー11の一端側が、自然石6sにおいて対向するようにして取付けられており、その各他端側は、互いに離れる方向に延ばされている。この自然石6sを前記未硬化状態のコンクリート(第1構造体部6E−1)上に載せ、その自然石6sにおける一方のアンカー11の他端側をコンクリート内に差し込み、そのコンクリートの硬化を待って、第1構造体部6E−1と自然石6sとを一体化する。次に、第2構造体部6E−2を、前記第1構造体部6E−1と同様の方法により製造し、その第2構造体部6E−2の未硬化状態のコンクリート上に、前記自然石6sと第1構造体部6E−1との一体化物を、自然石6sにおける他方のアンカー11を下側に向けつつ、第2構造体部6E−2における未硬化状態のコンクリート上に載せ、その他方のアンカー11をそのコンクリート内に差し込む。そして、そのコンクリートの硬化を待ち、自然石6sと第2構造体部6E−2とを一体化する。これにより、製造が完了し、当該実施形態に係る土木構築物用ユニット5を得ることになる。勿論この製造方法においては、自然石6として、予め、アンカー11を取付けたものを用いてもよい。
【0044】
図48、図49は第16実施形態を示すもので、この第16実施形態は、前記第15実施形態の変形例を示す。この第16実施形態においては、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1(第2構造体部6E−2)に換えて、コンクリートベース7の周囲が4個の自然石6で囲まれた第1構造体部6F−1(第2構造体部6F−1)が用いられており、その他の構成、製造方法に関しては、第15実施形態と同じとされている。
【0045】
図50〜図53は第17実施形態を示す。この第17実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、第1構造体部6G−1と第2構造体部6G−2とを備えた立体的構造物が示されている。第1構造体部6G−1は、並設される一対の自然石6g1,6g1と、自然石6sと、それらを周囲において連結するコンクリートベース7とからなっており、第2構造体部6G−2は、前記自然石6sと、該自然石6sを間に挟んで前記一対の自然石6g1,6g1とは反対側において該一対の自然石6g1,6g1に対して直交するように並設される一対の自然石6g2,6g2と、それらを周囲において連結するコンクリートベース7とを備えている。これにより、当該実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、自然石6sを基準として、2組の一対の自然石6g1,6g1(6g2,6g2)がねじれた状態の立体的構造体とされている。
【0046】
この第17実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、次のようにして製造される。
先ず、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1と同様の製造方法(図47参照)により第1構造体部6G−1を製造する。次に、その第1構造体部6G−1における一対の自然石6g1,6g1を起立させた状態にしつつ、自然石6sと、他の一対の自然石6g2,6g2とを水平に並べて区画空間を形成し、その各自然石6s、6g2,6g2にアンカーの一端部をそれぞれ取付けると共にその各アンカー11の他端側を区画空間内に配設した上で、その区画空間内にコンクリートを注入する。このコンクリートの硬化により、第2構造体部6G−2が形成され、この結果、全体として、土木構築物用ユニット5が製造されたことになる。この第2構造体部6G−2を製造するに際しては、第1構造体部6G−1における自然石6sと、一対の自然石6g2,6g2とで、水平な配置状態をもって区画空間を区画する関係上、第1構造体部6G−1における一対の自然石6g1,6g1の一方が作業面下に埋められた状態とされる。また、第1,第2構造体部6G−1、6G−2を製造するためにコンクリートを注入するに際しては、勿論、隣り合う自然石6s、6間に間詰石等により隙間が塞がれる。
【0047】
図54〜図56は第18実施形態を示す。この第18実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、構造体部6H上に自然石6tを一体化したものが示されている。構造体部6Hは、細長形状の3個の自然石6がコンクリートベースの周面に隙間44をあけつつ放射状に連結された構造となっており(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、その構造体部6Hにおけるコンクリートベース7上面に細長形状の自然石6tがコンクリートベース7上から突出するように連結されている。
【0048】
このような第18実施形態に係る土木構築物用ユニット5の製造に際しては、先ず、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1と同様の製造方法(図47参照)により構造体部6Hを製造すべく、細長形状の3個の自然石6を用いて隙間44をあけつつ区画空間10を形成する。このとき、各自然石6は、区画空間10の中央部を中心として、放射状に延びるように配置する。次に、各自然石6にアンカー11の一端部を、その他端部が区画空間10内に収まるように配置しつつ取付け、その上で、隣り合う自然石6間の隙間44を間詰石等により塞ぐ。そして、区画空間10内にコンクリートを注入し、そのコンクリート(コンクリートベースと同じ符号7を用いる)が未硬化の状態にある間に、図56に示すように、そのコンクリート上に、アンカー11が取付けられた細長形状の自然石6tを置き、そのアンカー11をそのコンクリート内に差し込む。この後、コンクリートが硬化し、その硬化により形成されるコンクリートベース7と自然石6tとが一体化することにより、当該土木構築物用ユニット5が得られることになる。
【0049】
図57,図58は第19実施形態を示す。この第19実施形態は、前記第18実施形態の変形例を示すもので、この第19実施形態においては、自然石6,6tとして、細長形状ではなく、通常の玉石状のものが用いられている。その他の構成については、第18実施形態と同じとされている。
【0050】
図59,図60は第20実施形態を示す。この第20実施形態は、前記第19実施形態の変形例を示すもので、この第20実施形態においては、第19実施形態に係る構造体部6Hに換えて、コンクリートベース7の周囲に4個の自然石6を設けた構造体部6Iが用いられている。その他の構成については、第19実施形態と同じとされている。
【0051】
図61は第21実施形態を示すもので、この第21実施形態は、前記第19実施形態の変形例を示す。この第21実施形態においては、構造体部6H上に設けられる自然石6tが、他の自然石6、コンクリートベース7に対して比較的小さなものとなっており、その小さな自然石6tが、コンクリートベース7上面の内方側部分に取付けられている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。その他の構成については、第19実施形態と同じとされている。
【0052】
図62は第22実施形態を示すもので、この第22実施形態は、前記第20実施形態の変形例を示す。この第22実施形態においては、構造体部6I上に設けられる自然石6tが、他の自然石6、コンクリートベース7に対して比較的小さなものとなっており、その小さな自然石6tが、構造体部6Iにおけるコンクリートベース7上面の内方側部分に取付けられている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。その他の構成については、第20実施形態と同じとされている。
【0053】
図63は第23実施形態を示すもので、この第23実施形態は、前記第21,第22実施形態の変形例を示す。この第23実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、前記第21,第22実施形態に係るものよりも大きくされており、このため、その構造体部6Jにおいては、コンクリートベース7が平面的に大きくされ、それに伴い、その周囲に配置される自然石6の数も増やされると共に、コンクリートベース7上面側に取付けられる自然石6tが大きくされている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。
【0054】
図64〜図67は第24実施形態を示す。この第24実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、第1構造体部6K−1上に第2構造体部6K−2が積み重ねられていると共に、その第2構造体部6K−2上に自然石6tが設けられた構造とされたものが示されている。第1構造体部6K−1は、比較的大きなコンクリートベース7の周面に8個の自然石6が該コンクリートベース7を囲むように設けられており(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、そのコンクリートベース7の上面側にアンカー11が植設されている。第2構造体部6K−2は、第1構造体部6K−1よりも一回り小さい大きさをもって該第1構造体部6K−1と同様な構造とされており、そのため、第1構造体部6K−1におけるコンクリートベース7よりも小さいコンクリートベース7の周面に4個の自然石6が取付けられたものとされている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。この第2構造体部6K−2は、第1構造体部6K−1のコンクリートベース7上に配置されて、その第2構造体部6K−2のコンクリートベース7内に第1構造体部6K−1のアンカー11の突出部が入り込んでおり、これにより、第1,第2構造体部6K−1、6K−2は、一体化されている。自然石6tは、第2構造体部6K−2におけるコンクリートベース7上に配置され、そのコンクリートベースと自然石6tとはアンカー11により一体化されている。
【0055】
このような第24実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、次のようにして製造される。先ず、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1と同様の製造方法(図47参照)により第1構造体部6K−1を製造する。この場合、図65に示すように、区画空間10を区画する自然石6は、8個用いられ、その区画空間10に注入されたコンクリートに、その未硬化の状態において、アンカー11(鉄筋等)が差し込まれる。次に、図66に示すように、第1構造体部6K−1上に、その第1構造体部6K−1における自然石6よりも多少、内側において、4個の自然石6を配置し、その4個の自然石6により、第1構造体部6K−1上に新たな区画空間10を形成する。この新たな区画空間10内には、前記アンカー11が入り込んでいる。次に、図66,図67に示すように、その新たな区画空間10内にコンクリートを注入すると共に(第2構造体部6K−2の製造)、4個の自然石6上に、アンカー11が取付けられた自然石6tを置いて、そのコンクリートを自然石6tにより覆う。このとき、この自然石6tのアンカー11は、そのコンクリート内に差し込まれ、そのアンカー11とコンクリートとの一体化により、当該土木構築物用ユニット5が得られる。
【0056】
図68〜図72は第25実施形態を示す。この第25実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、複数の構造体部6Lを用いて組み立てた立体的構造物が示されている。この25実施形態に係る土木構築物用ユニット5を製造するには、先ず、図69に示すように、複数の構造体部6Lを用意する。各構造体部6Lは、前記第15,第16実施形態に係る第1構造体部6E−1、6F−1と同様の製造方法(図47、図49参照)により製造されるが、4個の自然石6が区画する区画空間10内に注入されるコンクリートが硬化する前に、一対のアンカー11をコンクリート上に植設し、そのコンクリートが硬化して形成されるコンクリートベース7と一対のアンカー11とを一体化する。次に、複数の構造体部6Lのうち、一つの構造体部6L−1を、一対のアンカー11が起立するように作業面上に置き、その構造体部6L−1を、図70に示すように、砂層50を形成して埋める。この場合、砂層50は、その構造体部6L−1を、その自然石6の上部まで埋め込むと共に、その上面は、構造体部6L−1を中心として、水平な新たな作業面50aを形成する。次に、図71に示すように、別の4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5を新たな作業面50a上に置き、構造体部6L−1の上部周囲において、その4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5により新たな区画空間10を形成する。この場合、各構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5の一対のアンカー11は、新たな区画空間10内に向けられ、必要に応じて、隣り合う構造体部6L間の隙間が間詰石等により塞がれる。次に、図71,図72に示すように、4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5が区画する新たな区画空間10内にコンクリートを注入し、そのコンクリートの未硬化状態において、4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5上に別の構造体部6L−6を置き、その新たな区画空間10を塞ぐと共に、構造体部6L−5の一対のアンカー11をコンクリート内に差し込む。この後、コンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成され、全ての構造体部6L−1、6L−2、6L−3、6L−4、6L−5、6L−6が一体化すれば、砂層50を除去することにより、当該土木構築物用ユニット5が得られる。
【0057】
図73〜図78は第26実施形態を示すもので、この第26実施形態は、前記第25実施形態の変形例を示す。この第26実施形態に係る土木構築物用ユニット5においては、前記第25実施形態に係る構造体部6Lに換えて、図75に示す構造体部6Mが用いられている。構造体部6Mは、図74に示すように、第25実施形態に係る構造体部6Lの各自然石6上に自然石6をさらに積み上げて、新たな区画空間10を形成し、その区画空間10内にコンクリートを注入し、そのコンクリート(コンクリートベース7)と各自然石6とをアンカー(図示略)を用いて連結したものとなっている。この構造体部6Mを用いて、第25実施形態と同様の製造方法により、図76〜図78に示すように、当該土木構築物用ユニット5が製造される。
【0058】
図79、図80は第27実施形態を示す。この第27実施形態は、土木構築物用ユニット5として、充填材(石等)52が充填された籠体51(いわゆるふとん籠)上に構造体54(前記第1実施形態に係る土木構築物用ユニット5に相当するもの)を一体的に設けたものを示している。この土木構築物用ユニット5を製造するには、先ず、充填材(石等)52が充填された籠体51を用意し、その籠体51の上面部に、その網目を利用して、U字状等のアンカー53を上方に突出するように取付ける。次に、構造体部54を製造すべく、その籠体51の上面に自然石6を並べて区画空間10を形成し、その区画空間10内に前記アンカー53が位置するようにする。次に、これまでの製造方法同様、各自然石6にアンカー(図示略)を取付け、その後、区画空間10内にコンクリート7(図80の一点鎖線参照)を注入する。このコンクリート7の硬化により、コンクリートベース7が形成され、そのコンクリートベース7は、各自然石6のアンカー、籠体51の上面部から区画空間10内に進入するアンカー53と一体化して、充填材52が充填された籠体51と、コンクリートベースの周囲に複数の自然石6が設けられた構造体54とは一体化することになる。この場合、コンクリート7の一部が籠体51上面部の網目を通って該籠体51内に進入し、そのコンクリート7が籠体51内の充填材52と係合することから、そのコンクリート7により、充填材52が充填された籠体51と構造体54との一体化は高められる。
【0059】
図81は第28実施形態、図82は第29実施形態、図83は第30実施形態を示す。この各実施形態は、アンカー11の変形例を示す。この各アンカー11は、自然石6が区画する区画空間10内に注入されるコンクリート7(コンクリートベース7)との係合を高める観点から、形状等に工夫を施したものである。この各アンカー11については、前記各実施形態同様、自然石6を並べて区画空間10を形成した後に取付けてもよいし、予め、自然石6に取付けておき(図81〜図83の状態)、それを用いて区画空間10を区画するようにしてもよい。
【0060】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)作業面8aとして、作業台の上面等を利用すること。
(2)自然石6等に対してアンカー11を連結するために、取付け孔12内にアンカー式の取付け具(図示略)が取付け(例えばメタルヒットアンカー)、その取付け具により雌ねじ部を確保し、アンカーの一端部に、その雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を形成すること。
(3)塊状部材として、擬石を用いること。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図3】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットの内部構造を説明する縦断面図。
【図4】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を説明する説明図。
【図5】図4の次の製造工程を説明する説明図。
【図6】図5の平面図。
【図7】図5の次の製造工程を説明する説明図。
【図8】図7の平面図。
【図9】図7,図8の次の製造工程を説明する説明図。
【図10】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を平面的に説明する説明図。
【図11】図10に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図12】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図13】支柱を有しない土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図14】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を平面的に説明する説明図。
【図15】図14に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図16】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図17】第4実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す縦断面図。
【図18】図17に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図19】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図20】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図21】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図22】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットの別の設置例を示す平面図。
【図23】第6実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図24】図23に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図25】第6実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図26】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図27】図26に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図28】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図29】第8実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図30】第9実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図31】図30に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図32】第10実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図33】第10実施形態に係る土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図34】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図35】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図36】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図37】第12実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図38】図37に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図39】図37に係る土木構築物用ユニットの右側面図。
【図40】第13実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図41】図40に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図42】図40のX42−X42線断面図。
【図43】第14実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図44】図43に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図45】図43のX45−X45線断面図。
【図46】第15実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図47】第15実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる第1構造体部(又は第2構造体部)を示す平面図。
【図48】第16実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図49】第16実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる第1構造体部(又は第2構造体部)を示す平面図。
【図50】第17実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図51】図50に係る土木構築物用ユニットの平面図。
【図52】図50に係る土木構築物用ユニットの左側面図。
【図53】図50に係る土木構築物用ユニットの右側面図。
【図54】第18実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図55】図54に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図56】第18実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図57】第19実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図58】図57に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図59】第20実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図60】図59に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図61】第21実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図62】第22実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図63】第23実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図64】第24実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図65】第24実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を示す図。
【図66】図65に続く製造工程を示す図。
【図67】図65に続く製造工程を示す図。
【図68】第25実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図69】第25実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を示す図。
【図70】図69に続く製造工程を示す図。
【図71】図70に続く製造工程を示す図。
【図72】図71に続く製造工程を示す図。
【図73】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図74】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる構造体部の製造を説明する説明図。
【図75】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる構造体部を示す斜視図。
【図76】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を示す図。
【図77】図76に続く製造工程を示す図。
【図78】図77に続く製造工程を示す図。
【図79】第27実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図80】第27実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する縦断面図。
【図81】第28実施形態に係るアンカーを説明する説明図。
【図82】第29実施形態に係るアンカーを説明する説明図。
【図83】第30実施形態に係るアンカーを説明する説明図。
【符号の説明】
【0062】
5 土木構築物用ユニット
6 自然石(塊状部材)
1 コンクリートベース(コンクリート基盤)
8a 作業面
9 隙間
10 区画空間
11 アンカー
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物用ユニットの製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
土木構築物用ユニットには、高い重量安定性の下での保護機能と周囲の自然環境に対する調和機能とを兼ね備えるだけでなく、部品点数の低減を図ることを目的として、特許文献1に示すように、略一定厚みとされたコンクリート基盤を備え、そのコンクリート基盤の全周囲に、該コンクリート基盤の厚み以上の径を有する塊状部材を、区画壁として並べ、その各塊状部材にアンカーを、その一端部をもって連結すると共に、該各アンカーの一端部よりも他端側をコンクリート基盤内に埋め込んだものが提案されている。そして、このような土木構築物用ユニットを製造するためには、アンカーが取付けられた複数の塊状部材と、コンクリートとを用意し、先ず、前記複数の塊状部材を並べて区画空間を区画すると共に、該区画空間内に該各塊状部材の各アンカーを配置させ、次に、前記区画空間内にコンクリートを充填することが行われている。
【特許文献1】特許第3737509号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記土木構築物用ユニットの製造方法においては、塊状部材として、一般に自然石が用いられ、その各径が区々になっている。このため、水平な作業面上に各塊状部材を載置した場合には、その各塊状部材の下面側端面(作業面側の面)がその水平な作業面によりそれぞれ揃う一方、その各塊状部材の上面側端面が揃わず、その各塊状部材の上面側端面が形成する表面は起伏の激しいものとなる。この結果、施工面に敷設される各土木構築物用ブロックの表面上を歩行しようとした場合、平坦なコンクリート基盤上は歩き易いものの、その各塊状部材の上面側端面(表面側端面)では、その区々な高さが快適な歩行を妨げることになる。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、各塊状部材における表面側の端面の高さをできるだけ揃えることができる土木構築物用ユニットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
アンカーが取付けられた複数の塊状部材と、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成すると共に、該区画空間内に該各塊状部材の各アンカーを配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする構成としてある。この構成により、反転されるまで、略水平な作業面上に接して揃えられていた各塊状部材の下面側端面を、表面側の端面として利用できることになる。その一方、反転されるまで、区々に上方に突出していた各塊状部材の上面側端面が、施工面上に載置される下面側端面となるが、その各塊状部材の区々な突出部分を、当該土木構築物用ユニットを施工面に設置するに際し、該施工面内に進入させてストッパとして利用できることになる。
【0006】
前記技術的課題を達成するために本発明(請求項2に係る発明)にあっては、
複数の塊状部材と、複数のアンカーと、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成し、次に、前記各塊状部材に前記アンカーの一端部をそれぞれ取付けると共に、該各アンカーの他端側を前記区画空間内に配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする構成としてある。この構成により、前記請求項1の場合と同様の作用を生じさせることができるだけでなく、アンカーが取付けられていない塊状部材を用いて、区画空間を形成することから、アンカーが取付けられた塊状部材を用いる場合のように、塊状部材の配置の向きがアンカーによって制限されることはなくなり、塊状部材の向きを適宜調整して、好ましい区画空間(所定の形状、隙間を少なくできるもの等)を形成できる。
【0007】
請求項1又は2の好ましい態様として、コンクリートの充填前に、塊状部材の周囲及び区画空間内に一定厚の砂層又はれき層を形成する構成を採ることができる(請求項3対応)。この構成により、製造時に、不規則形状の各塊状部材を作業面上に安定して載置できるばかりか、区画空間内に、砂層又はれき層に相当する分だけコンクリートが進入することを規制できる。このため、区画空間内へのコンクリートの充填を的確に行って当該土木構築物を確実に製造できると共に、コンクリート基盤の上面を各塊状部材の上端よりも引っ込ませて該各塊状部材をコンクリート基盤よりも強調し、当該土木構築物用ユニットを、周囲の自然環境により調和させることができる。
【0008】
請求項1又は2の好ましい態様として、前記コンクリート基盤が形成された後であって、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させる前に、該コンクリート基盤上に、該コンクリート基盤を支持するための支柱を上方に突出するように形成して、該支柱の突出端面の高さを、少なくとも、該複数の塊状部材のうち、最も突出している塊状部材の上面側端面の高さ以上にする構成を採ることができる(請求項4対応)。この構成により、反転されるまで区々に上方に突出していた各塊状部材の上面側端面が、設置時に、施工面を向くことになるが、支柱の平坦な突出端面が施工面に当接して、当該土木構築物用ユニットは、支柱を介して施工面に支持されることになる。このため、施工面が平坦で強固なコンクリート面等であっても、当該土木構築物用ユニットを安定して施工面に設置できる。
【0009】
請求項1の好ましい態様として、前記支柱として、複数の支柱を形成する構成を採ることができる(請求項5対応)。この構成により、施工面に対する当該土木構築物用ユニットの設置安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明(請求項1,2に係る発明)によれば、各塊状部材における表面側の端面の高さをできるだけ揃えることができると共に、施工面に対して強固且つ安定した状態で設置できる土木構築物用ユニットの製造方法を提供できる。
また、本発明(請求項2に係る発明)によれば、アンカーが取付けられていない塊状部材を用いて、区画空間を形成することから、塊状部材の向きを適宜調整して、好ましい区画空間(所定の形状、隙間を少なくできるもの等)を形成できることになり、作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図9は第1実施形態を示す。この第1実施形態において、符号5は、海岸護岸、河川護岸等の施工に用いられる実施形態に係る土木構築物用ユニットで、このような土木構築物用ユニット5は、その多数が施工面(土砂等により構成)2に敷き詰められる。
【0012】
前記各土木構築物用ユニット5は、図1〜図3に示すように、基本的には、複数の自然石(塊状部材)6と、コンクリートベース(コンクリート基盤)7と、複数のアンカー11とを備えている。
【0013】
前記複数の自然石6は、外部に対する当該土木構築物用ユニット5自体の内部空間として、区画空間10を形成している。各自然石6としては、本実施形態においては、600mm前後の径の大きさのものが8個用いられ、それらを並べることにより、一辺が2m前後とされた平面視正方形状の区画空間10が形成されている。また、この各自然石6には、区画空間10に臨む側において、取付け孔12(図3参照)が形成されている。
【0014】
前記コンクリートベース7は、前記区画空間10内に収納されている。このコンクリートベース7は、コンクリート(未硬化状態)を区画空間10内に充填した後、硬化させることにより形成されており、コンクリートベース7の外周縁部は、各自然石6(割石)表面の凹部等に入り込んで接着、係合しているばかりでなく、隣り合う自然石6間の隙間9にも深く進入している。このコンクリートベース7には、図2に示すように、反転用アンカー41が埋設されている(図1,図3では図示略)。反転用アンカー41は、その両端部において、クレーンのフックを引っ掛けるための引っ掛け部41aを有しており、その引っ掛け部41aは、隣り合う自然石6間の隙間を通ってコンクリートベース7の側壁から外部に突出されている。尚、このコンクリートベース7の上面側に、吊上げ搬送用の引っ掛具が設けられているが、その図示は、省略されている。
【0015】
前記各アンカー11は、前記各自然石6を前記コンクリートベース7の側面側に連結している。アンカー11は、本実施形態においては、直線状の線材とされて、その一端部が、自然石6における取付け孔12内に接着剤と共に挿入することにより該自然石6に一体化(連結)されており、その一端部よりも他端側は、コンクリートベース7内に埋め込まれている。この場合、アンカー11は、その一端部が自然石6の背面略中央部に取付けられている一方、アンカー11の他端側は、区画空間10内において、自然石6から離れるに従ってやや上方に向って傾斜するように延ばされており、各アンカー11の他端部は、コンクリートベース7の下側中央部付近において、交差するように配置されている。
【0016】
本実施形態においては、前記コンクリートベース7の上面に、複数の自然石(天端石)13が植石されている。この植石用自然石13は、前記自然石6よりも小さいものが用いられ、その各植石用自然石13の下部は、前記各アンカー11の他端側上方において、コンクリートベース7内にアンカーを省いた状態で埋め込まれている。勿論この場合、植石用自然石13に直線状のアンカーを、その一端部をもって連結し、そのアンカーの一端部よりも他端側とその植石用自然石13の一部とをコンクリートベース7内に埋め込んでもよいし、植石用自然石13自体を省いてもよい。
【0017】
次に、上記第1実施形態に係る土木構築物用ユニット5の製造方法について、図4〜図9に基づいて説明する。
【0018】
先ず、図4に示すように、略水平とされた作業面8a上に、複数の自然石6を並べて区画空間10を形成すると共に、その区画空間10内において、複数の植生用自然石13を配置する。この場合、上記作業面8aは、本実施形態においては、砂層(第1砂層)8の上面をもって形成されており、その砂層の上面(作業面)8aは、圧縮されて比較的硬く形成されている。このため、複数の自然石6は、その作業面8aとの接触面(このとき下面となる面)が、その作業面8aにより略水平に揃えられる。
【0019】
次に、図5,図6に示すように、各自然石6に、区画空間10内に臨む側において、ドリル等により取付け孔12をそれぞれ形成し、その各取付け孔12内に、接着剤を注入すると共にアンカー11の一端部を挿入して、各自然石6にアンカー11の一端部を取付ける。このとき、各アンカーの他端側は、湾曲、折曲調整により、植石用自然石13上に支えられるようにしつつ、区画空間10内に向けて延ばされる。またこの工程においては、最終的に反転させるための反転用アンカー41を、区画空間10を横切るように配設する。このとき、反転用アンカー41における両端部の引っ掛け部41aは、隣り合う自然石6間の隙間を通って外部に突出するようにされる。
【0020】
この各自然石6に対するアンカー11の取付け、各アンカー11の配置に関しては、別の態様として、予め、自然石6にアンカー11を取付けたものを複数用意しておき、その自然石6を作業面8a上に並べることにより区画空間10を形成すると共に、その区画空間10内に各自然石6のアンカー11を配置するようにしてもよい。
【0021】
次に、図7,図8に示すように、各自然石6の周囲及び区画空間10内に一定厚の砂層17を形成する。不規則形状の各自然石6及び植石用自然石18を作業面8a上に安定して載置できるようにすると共に、区画空間10内において、砂層17に相当する分だけ後述のコンクリートが進入できないようにするためである。尚、砂層17に換えて、れき層を形成するようにしてもよい。
【0022】
次に、図9に示すように、間詰石14を、隣り合う自然石6間において配置して、略各自然石6の上面側端面高さまで自然石6間の隙間9を塞ぐ。後述のコンクリートの充填時に、コンクリートが隙間9から漏れ出さないようにするためである。この場合、間詰石14の他に、土嚢、スプレー状の発泡ウレタン樹脂、スポンジ等を用いれば、コンクリートの漏れ防止の観点から、より好ましいものとなる。
【0023】
次に、図9に示すように、前記複数の自然石6が区画する区画空間10内にコンクリートを充填する。そのコンクリートを硬化させて、重量物としてのコンクリートベース7を形成すると共に、各アンカー11を埋設して各自然石6をコンクリートベース7に連結するためである。勿論、各自然石6とコンクリートとを接着するためでもある。またこのとき、反転用アンカー41の大部分もコンクリートに埋設されて、反転用アンカー41とコンクリートベース7の一体化強度が高められることになり、後述の反転作業が的確に行われることになる。
【0024】
次に、前記コンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成されると共に、コンクリートベース7、各自然石6及び植石用自然石13が一体化すると、その一体化物を、反転する。反転されるまで、略水平な作業面8a上に接して揃えられていた各自然石6の下面側端面を、表面側の端面(上面側端面)として利用するためである。具体的には、反転用アンカー41における両端部の引っ掛け部41aにクレーンのフックが引っ掛けられて一体化物が吊り上げ、反転されることになるが、この反転に伴い、砂層17の砂、間詰石14が、上記一体化物(各自然石6及びコンクリートベース7)から落とされる。勿論、砂層17の砂を確実に脱落させるために、その際、その一体化物に対して散水を行ってもよい。この反転により、反転するまで各自然石6の下面側端面であった面が表面側の端面となる前述の土木構築物用ユニット5が得られることになる(図1,図2参照)。
【0025】
この土木構築物用ユニット5においては、上述のように、反転により、各自然石6の表面側の端面が揃うことになるが、その一方、反転されるまで、区々に上方に突出していた各自然石6の上面側端面が、施工面2上に載置される下面側端面となる。しかし、この各自然石6下面側の区々な突出部分は、当該土木構築物用ユニット5を施工面2に設置するに際し、該施工面2内に進入させて(埋め込んで)ストッパとして機能させ、設置安定性を高めるために利用される。
【0026】
図10以降の図は他の実施形態を示す。この他の実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略するが、各実施形態の基本的構成として、複数の自然石6により区画空間10が形成され、その区画空間10内にコンクリートベース7が配設され、そのコンクリートベース7側面と各自然石6とがアンカー11を介して連結されることとなっている。
【0027】
図10〜図12は第2実施形態を示すもので、この第2実施形態は、前記第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、区画空間10内のコンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成された後であって(ここまでは前記第1実施形態参照)、それを反転させる前に、そのコンクリートベース7上に型枠(図示略)を配置して、その型枠内にコンクリートを充填することにより、コンクリート製の支柱42を形成することになっている(図10,図11参照)。この支柱42は、このとき最も高い自然石6の上面側端面の高さと等しいか又はそれ以上に突出されており、その支柱42の突出端面42aは、安定して自立するに十分な面積を確保した平坦面を形成している。これにより、このものを、支柱42の形成後、反転させて使用すれば、図12に示すように、反転によって自然石6の下面側が区々な突出状態となっているけれども、支柱42の突出端面42aが施工面2に当接して、当該土木構築物用ユニット5は、施工面2に安定して設置される。これに対して、支柱42を設けない土木構築物用ユニット(第1実施形態に係る土木構築物用ユニット5)であって、その各自然石6の余分な突出部分を使用時に施工面2内に埋め込まない場合には、図13に示すように、各自然石6の上面側端面が、施工面2に対して傾斜して、施工面2に平行とはならず、他の土木構築物用ユニット5における自然石6の上面側端面に対して揃えることができなくなる。
【0028】
図14〜図16は第3実施形態を示すもので、この第3実施形態は、前記第2実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、図14,図15に示すように、支柱42として、複数の支柱42−1〜42−4(本実施形態においては4つ)が設けられており、その各支柱42−1〜42−4は、平面視略四角形状のコンクリートベース7の四隅部にそれぞれ設けられている。これにより、図16に示すように、複数の支柱42−1〜42−4の総面積が少なくても、その複数の支柱42−1〜42−4は、当該土木構築物用ユニット5を安定して施工面2に設置し、その土木構築物用ユニット5における自然石6の上面側端面(表面側端面)を施工面2に平行にして、その上面側端面の高さを他の土木構築物用ユニット5における上面側端面(表面側端面)の高さに揃えることができる。
この場合、上記支柱42に換えて、自然石、プラスチック材、鋼材等を用い、それらをコンクリートベース7に取付けることにより、高さ調整を行ってもよい。
【0029】
図17,図18は第4実施形態を示す。この第4実施形態においては、区画空間10を区画する自然石6のうち、対向するもの同士が1本のアンカー11を介して連結されており、部品点数の低減を図ることができることになっている。また、区画空間10を区画する自然石6は、1つ置きに、その隣り合う自然石6よりも内方側に配置されており、このような自然石6の配置により、平面視四角形状の土木構築物用ユニット5における4つの各周壁部には、凹所(へこみ部)43がそれぞれ形成され、その各凹所43は、設置時に隣り合う他の土木構築物用ユニットのものと協働して、植物生息空間等に有効に利用される。
【0030】
図19〜図22は第5実施形態を示す。この第5実施形態においては、4つの自然石6により区画空間が10が形成され、その隣り合う自然石6間に多少、広めの4つの隙間44が形成されている。その各隙間44にはコンクリートベース7の一部がそれぞれ及んでおり、その各コンクリートベース7の一部には、連結具45が隙間44を介して外部に突出するようにして取付けられている。本実施形態においては、連結具45として、略U字状の連結金具が用いられ、その両開放端側がコンクリートベース7内に埋め込まれることになっている。この土木構築物用ユニット5おいては、コンクリートベース7が、隣り合う自然石6間の各隙間44から外部に臨むように形成されているが、勿論そのようにするために、製造段階においてコンクリートを注入するに際して、隣り合う自然石6間の各隙間44は、間詰石14等により塞がれる。
【0031】
図21,図22は、前記第5実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示している。図21の場合には、土木構築物用ユニット5をもって、複数の縦列、横列が作られると共に、各土木構築物用ユニット5における1つの自然石6が、隣り合う他の土木構築物用ユニット5における1つの自然石6に当接するように配置され、4つの土木構築物用ユニット5を一単位として、その4つの土木構築物用ユニット5により区画空間46が形成されることになっている。各区画空間46内には、その区画空間46を区画する各土木構築物5の連結具45がそれぞれ突出しており、その4つの各連結具45は、連結具47により連結されている。この連結具47は、図21においては、円をもって簡略的に描かれているが、シャックル、ワイヤ等、適宜の連結具を用いることができる。図22の場合は、図21の状態において横列を構成する土木構築物を、縦方向において隣り合う横列(土木構築物用ユニット5)に対してずらした配置を示している。この場合には、各土木構築物用ユニット5の連結具45が、隣り合う土木構築物用ユニット5の連結具45に対して連結具47を介して連結されることになっている。
【0032】
図23〜図25は第6実施形態を示す。この第6実施形態は、前記第5実施形態の変形例であり、その第6実施形態に係る土木構築物用ユニット5においては、前記第5実施形態において設けられていた植石用自然石13、連結具45が省かれている。図25は、その第6実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示しており、各土木構築物用ユニット5における隣り合う2つの自然石6が、隣り合う他の土木構築物用ユニット5における2つの自然石6に当接するように配置されている。これにより、この第6実施形態においては、前記第5実施形態の場合よりも、小さいけれども多くの区画空間46が形成されることになっている。
【0033】
図26〜図28は第7実施形態を示す。この第7実施形態は、前記第6実施形態の変形を示す。この第7実施形態においては、隣り合う自然石6間の各隙間44に比較的大きめの間詰石14を配置して、その各隙間44を塞いだものとなっている。この場合、コンクリートベース7により間詰石14を区画空間10側から外方側に向けて、隙間44を形成する両自然石6に押し付けるような構成を採るときには、特に間詰石14にアンカーを設ける必要はないが、間詰石14にもアンカーを設けた方がよいことは言うまでもない。図28は、この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示しており、この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット5の場合においても、前記第6実施形態の場合と同様の設置を行うことができ、その設置により、隣り合う土木構築物用ユニット5間に区画空間46を形成できることになっている。
【0034】
図29は第8実施形態を示す。この第8実施形態においては、複数(本実施形態においては9つ)の自然石6により、隣り合う自然石6間に隙間44をあけつつ、環状(略円環状)の区画空間10が区画され、その区画空間10内にコンクリートベース7が配置され(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、そのコンクリートベース7の表面側(上面側)に植石用自然石13が植石されている。
【0035】
図30、図31は第9実施形態を示す。この第9実施形態においては、複数(本実施形態においては8つ)の自然石6により、隣り合う自然石6間に隙間44をあけつつ、矩形状の区画空間10が区画され、その区画空間10内にコンクリートベース7が配置され(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、そのコンクリートベース7には、上下に貫通する貫通孔48が形成されている。このとき、各自然石6のアンカー11は、貫通孔48内に入り込むことを回避すべく、その各アンカー11の基端部付近において折曲されている。また、コンクリートベース7に貫通孔48を形成するためには、紙製等の円筒を区画空間10内に配置した上で、コンクリートを注入し、そのコンクリートの硬化後、その紙製の円筒を積極的に除去或いはそのまま経時変化(消滅)に委ねられることになっている。
【0036】
図32、図33は第10実施形態を示す。この第10実施形態においては、基準の径からなる自然石6sと、その基準の径よりも小さい径の自然石6aと、その基準の径よりも大きい径の自然石6bとが用意され、自然石6aを配列して構成される自然石列6Aと、自然石6bを配列して構成される自然石列6Bとが、間隔をあけつつ平行に配置され、その両自然石列6A,6B間に、その自然石列6A(6B)の延び方向両端において、自然石6sが、該両自然石列6A,6B間を跨ぐようにそれぞれ配置されており、それらにより、矩形状の区画空間10が区画されている。この区画空間10内に、各自然石6a,6s,6bをアンカー(図示略)を介して連結するためのコンクリートベース7が配置されており、そのコンクリートベース7の上面側に植石用自然石13が、その上面側端面の高さを自然石6sの上面側端面の高さと略等しくなるように植石されている。これにより、施工面2が傾斜している場合において、このような土木構築物用ユニット5を、その自然石列6Bの方を自然石列6Aよりも下側に位置するように配置すれば、その自然石6a,6s,6bの上面側端面は、図33の一点鎖線をもって示すように、施工面2の傾斜よりも緩やかな面(本実施形態においては、略水平な面)を形成することになり、そのような土木構築物用ユニット5を連続的に配設することにより、階段状の面を形成できることになる。
【0037】
図34〜図36は第11実施形態を示す。この第11実施形態においては、3個の自然石6を配列して構成される2つの自然石列6Cが、間隔をあけつつ平行に配置され、その両自然石列6C間に、その自然石列6Cの延び方向両側において自然石6が跨ぐように配置され、その2つの自然石列6C、その両者6C間に配置される自然石6により区画空間10が形成されている。この区画空間10内には、各自然石6をアンカー(図示略)を介して連結するためのコンクリートベース7が配置され、そのコンクリートベース7の上面側には、植石用自然石13が取付けられている。この土木構築物用ユニット5においては、その自然石列6C間に配置される自然石6が、自然石列6Cの延び方向両端よりも多少、内方側にそれぞれ配置されており、その土木構築物用ユニット5には、その自然石列6Cの延び方向両側において、凹所(引っ込み空間)49が形成されている。
【0038】
図36は、上記第11実施形態に係る土木構築物用ユニット5の設置例を示している。この設置例においては、各土木構築物用ユニット5における自然石列6Cが連続して列を形成するように配置されており、隣り合う土木構築物用ユニット5は、その両凹所49をもって区画空間46を形成することになっている。この各区画空間46は、種々の用途、例えば、小礫充填空間、動植物の生息・育成空間等として利用される。
【0039】
図37〜図39は第12実施形態を示す。この第12実施形態においては、2つの自然石6を並設した2つの自然石列6Dが、間隔をあけて平行に配置され、その両自然石列6D間に自然石6sが、自然石列6Dの延び方向中央において配置されている。自然石6sを基準として、一方側(図37中、左右の一方側)において、一方の自然石列を構成する2個の自然石6と自然石6sとが、1つの区画空間10を区画し、自然石6sを基準として他方側において、他方の自然石列6Dを構成する自然石6と自然石6sとが、別の区画空間10を区画することになっており、その各区画空間10内には、各自然石6をアンカー(図示略)を介して連結するためのコンクリートベース7がそれぞれ配置されている。これにより、自然石を主材料として、2つの自然石列6Dを自然石6sにより連結した構造体(土木構築物用ユニット5)が形成され、その両自然石列6D間には、自然石列6Dの延び方向両側において凹所49がそれぞれ形成されることになっている。尚、勿論、製造段階においては、区画空間10内にコンクリートを注入してコンクリートベース7を形成するに際しては、隣り合う自然石6間の隙間は、間詰石等により塞がれる。
【0040】
図40〜図42は第13実施形態を示す。この第13実施形態においては、自然石6−1〜6−3が一定間隔毎に配置され、その自然石6−1と6−2との間に、自然石6−4及び6−5が、また、自然石6−2と6−3との間に、自然石6−3及び6−4が、それぞれ横切るように配置されている。このうち、自然石6−1,6−2,6−4,6−5が、隙間44をあけつつ、1つの区画空間10を区画し、自然石6−2,6−3,6−6,6−7が、隙間44をあけつつ、別の区画空間10を区画しており、その各区画空間10内には、各自然石6−1〜6−7をアンカー11を介して連結するためのコンクリートベース7がそれぞれ配置されている。これにより、自然石を主材料として、長尺な構造体(土木構築物用ユニット)が得られることになる。
【0041】
図43〜図45は第14実施形態を示すもので、この第14実施形態においては、前記第13実施形態の変形例を示している。この第14実施形態においては、自然石6−1,6−2,6−4,6−5が区画する1つの区画空間10内に配置されるコンクリートベース7の上面側に、自然石6−8がアンカー11を介して連結され、自然石6−2,6−3,6−6,6−7が区画する別の区画空間10内に配置されるコンクリートベース7の上面側に、自然石6−9がアンカー11を介して連結されている。また、本実施形態においては、自然石6−6と6−7との間(及び6−4と6−5との間)が比較的短いことから、両自然石6−6,6−7(及び6−4,6−5)を1本のアンカー11を介して連結することになっている。これにより、前記第13実施形態よりも立体的な構造体が得られることになり、消波機能の面で効果を高めることができることになる。
【0042】
図46、図47は第15実施形態を示す。この第15実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、第1構造体部6E−1と第2構造体部6E−2とが自然石6sを介して連結される立体的構造体が示されている。第1構造体部6E−1と第2構造体部6E−2とは、同一構造をなしており、その構造は、図47に示すように、コンクリートベース7の周囲に3個の自然石6が隙間44をあけつつ配置され、その各自然石6は、アンカー11を介してコンクリートベース7の側面に連結されている。このような第1構造体部6E−1のコンクリートベース7と第2構造体部6E−2のコンクリートベース7との間には自然石6sが介在され、その自然石6sは、第1構造体部6E−1のコンクリートベース7及び第2構造体部6E−2のコンクリートベース7とアンカー11を介してそれぞれ連結されている。
【0043】
この第15実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、次のようにして製造される。
先ず、前記各実施形態同様、3個の自然石6を隙間44をあけつつ並べて区画空間10を形成し、その各自然石6にアンカー11の一端部を取付けると共に、その他端部を区画空間10内に配設されるようにする。次に、隣り合う自然石6間を間詰石14等により塞ぎ、コンクリートを充填する。一方、自然石6sとして、2本のアンカー11を取付けたものを予め用意しておく。この自然石6sは、各アンカー11の一端側が、自然石6sにおいて対向するようにして取付けられており、その各他端側は、互いに離れる方向に延ばされている。この自然石6sを前記未硬化状態のコンクリート(第1構造体部6E−1)上に載せ、その自然石6sにおける一方のアンカー11の他端側をコンクリート内に差し込み、そのコンクリートの硬化を待って、第1構造体部6E−1と自然石6sとを一体化する。次に、第2構造体部6E−2を、前記第1構造体部6E−1と同様の方法により製造し、その第2構造体部6E−2の未硬化状態のコンクリート上に、前記自然石6sと第1構造体部6E−1との一体化物を、自然石6sにおける他方のアンカー11を下側に向けつつ、第2構造体部6E−2における未硬化状態のコンクリート上に載せ、その他方のアンカー11をそのコンクリート内に差し込む。そして、そのコンクリートの硬化を待ち、自然石6sと第2構造体部6E−2とを一体化する。これにより、製造が完了し、当該実施形態に係る土木構築物用ユニット5を得ることになる。勿論この製造方法においては、自然石6として、予め、アンカー11を取付けたものを用いてもよい。
【0044】
図48、図49は第16実施形態を示すもので、この第16実施形態は、前記第15実施形態の変形例を示す。この第16実施形態においては、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1(第2構造体部6E−2)に換えて、コンクリートベース7の周囲が4個の自然石6で囲まれた第1構造体部6F−1(第2構造体部6F−1)が用いられており、その他の構成、製造方法に関しては、第15実施形態と同じとされている。
【0045】
図50〜図53は第17実施形態を示す。この第17実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、第1構造体部6G−1と第2構造体部6G−2とを備えた立体的構造物が示されている。第1構造体部6G−1は、並設される一対の自然石6g1,6g1と、自然石6sと、それらを周囲において連結するコンクリートベース7とからなっており、第2構造体部6G−2は、前記自然石6sと、該自然石6sを間に挟んで前記一対の自然石6g1,6g1とは反対側において該一対の自然石6g1,6g1に対して直交するように並設される一対の自然石6g2,6g2と、それらを周囲において連結するコンクリートベース7とを備えている。これにより、当該実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、自然石6sを基準として、2組の一対の自然石6g1,6g1(6g2,6g2)がねじれた状態の立体的構造体とされている。
【0046】
この第17実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、次のようにして製造される。
先ず、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1と同様の製造方法(図47参照)により第1構造体部6G−1を製造する。次に、その第1構造体部6G−1における一対の自然石6g1,6g1を起立させた状態にしつつ、自然石6sと、他の一対の自然石6g2,6g2とを水平に並べて区画空間を形成し、その各自然石6s、6g2,6g2にアンカーの一端部をそれぞれ取付けると共にその各アンカー11の他端側を区画空間内に配設した上で、その区画空間内にコンクリートを注入する。このコンクリートの硬化により、第2構造体部6G−2が形成され、この結果、全体として、土木構築物用ユニット5が製造されたことになる。この第2構造体部6G−2を製造するに際しては、第1構造体部6G−1における自然石6sと、一対の自然石6g2,6g2とで、水平な配置状態をもって区画空間を区画する関係上、第1構造体部6G−1における一対の自然石6g1,6g1の一方が作業面下に埋められた状態とされる。また、第1,第2構造体部6G−1、6G−2を製造するためにコンクリートを注入するに際しては、勿論、隣り合う自然石6s、6間に間詰石等により隙間が塞がれる。
【0047】
図54〜図56は第18実施形態を示す。この第18実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、構造体部6H上に自然石6tを一体化したものが示されている。構造体部6Hは、細長形状の3個の自然石6がコンクリートベースの周面に隙間44をあけつつ放射状に連結された構造となっており(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、その構造体部6Hにおけるコンクリートベース7上面に細長形状の自然石6tがコンクリートベース7上から突出するように連結されている。
【0048】
このような第18実施形態に係る土木構築物用ユニット5の製造に際しては、先ず、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1と同様の製造方法(図47参照)により構造体部6Hを製造すべく、細長形状の3個の自然石6を用いて隙間44をあけつつ区画空間10を形成する。このとき、各自然石6は、区画空間10の中央部を中心として、放射状に延びるように配置する。次に、各自然石6にアンカー11の一端部を、その他端部が区画空間10内に収まるように配置しつつ取付け、その上で、隣り合う自然石6間の隙間44を間詰石等により塞ぐ。そして、区画空間10内にコンクリートを注入し、そのコンクリート(コンクリートベースと同じ符号7を用いる)が未硬化の状態にある間に、図56に示すように、そのコンクリート上に、アンカー11が取付けられた細長形状の自然石6tを置き、そのアンカー11をそのコンクリート内に差し込む。この後、コンクリートが硬化し、その硬化により形成されるコンクリートベース7と自然石6tとが一体化することにより、当該土木構築物用ユニット5が得られることになる。
【0049】
図57,図58は第19実施形態を示す。この第19実施形態は、前記第18実施形態の変形例を示すもので、この第19実施形態においては、自然石6,6tとして、細長形状ではなく、通常の玉石状のものが用いられている。その他の構成については、第18実施形態と同じとされている。
【0050】
図59,図60は第20実施形態を示す。この第20実施形態は、前記第19実施形態の変形例を示すもので、この第20実施形態においては、第19実施形態に係る構造体部6Hに換えて、コンクリートベース7の周囲に4個の自然石6を設けた構造体部6Iが用いられている。その他の構成については、第19実施形態と同じとされている。
【0051】
図61は第21実施形態を示すもので、この第21実施形態は、前記第19実施形態の変形例を示す。この第21実施形態においては、構造体部6H上に設けられる自然石6tが、他の自然石6、コンクリートベース7に対して比較的小さなものとなっており、その小さな自然石6tが、コンクリートベース7上面の内方側部分に取付けられている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。その他の構成については、第19実施形態と同じとされている。
【0052】
図62は第22実施形態を示すもので、この第22実施形態は、前記第20実施形態の変形例を示す。この第22実施形態においては、構造体部6I上に設けられる自然石6tが、他の自然石6、コンクリートベース7に対して比較的小さなものとなっており、その小さな自然石6tが、構造体部6Iにおけるコンクリートベース7上面の内方側部分に取付けられている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。その他の構成については、第20実施形態と同じとされている。
【0053】
図63は第23実施形態を示すもので、この第23実施形態は、前記第21,第22実施形態の変形例を示す。この第23実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、前記第21,第22実施形態に係るものよりも大きくされており、このため、その構造体部6Jにおいては、コンクリートベース7が平面的に大きくされ、それに伴い、その周囲に配置される自然石6の数も増やされると共に、コンクリートベース7上面側に取付けられる自然石6tが大きくされている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。
【0054】
図64〜図67は第24実施形態を示す。この第24実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、第1構造体部6K−1上に第2構造体部6K−2が積み重ねられていると共に、その第2構造体部6K−2上に自然石6tが設けられた構造とされたものが示されている。第1構造体部6K−1は、比較的大きなコンクリートベース7の周面に8個の自然石6が該コンクリートベース7を囲むように設けられており(各自然石6とコンクリートベース7とはアンカー11により連結)、そのコンクリートベース7の上面側にアンカー11が植設されている。第2構造体部6K−2は、第1構造体部6K−1よりも一回り小さい大きさをもって該第1構造体部6K−1と同様な構造とされており、そのため、第1構造体部6K−1におけるコンクリートベース7よりも小さいコンクリートベース7の周面に4個の自然石6が取付けられたものとされている(各自然石6、6tとコンクリートベース7とはアンカー11により連結)。この第2構造体部6K−2は、第1構造体部6K−1のコンクリートベース7上に配置されて、その第2構造体部6K−2のコンクリートベース7内に第1構造体部6K−1のアンカー11の突出部が入り込んでおり、これにより、第1,第2構造体部6K−1、6K−2は、一体化されている。自然石6tは、第2構造体部6K−2におけるコンクリートベース7上に配置され、そのコンクリートベースと自然石6tとはアンカー11により一体化されている。
【0055】
このような第24実施形態に係る土木構築物用ユニット5は、次のようにして製造される。先ず、前記第15実施形態に係る第1構造体部6E−1と同様の製造方法(図47参照)により第1構造体部6K−1を製造する。この場合、図65に示すように、区画空間10を区画する自然石6は、8個用いられ、その区画空間10に注入されたコンクリートに、その未硬化の状態において、アンカー11(鉄筋等)が差し込まれる。次に、図66に示すように、第1構造体部6K−1上に、その第1構造体部6K−1における自然石6よりも多少、内側において、4個の自然石6を配置し、その4個の自然石6により、第1構造体部6K−1上に新たな区画空間10を形成する。この新たな区画空間10内には、前記アンカー11が入り込んでいる。次に、図66,図67に示すように、その新たな区画空間10内にコンクリートを注入すると共に(第2構造体部6K−2の製造)、4個の自然石6上に、アンカー11が取付けられた自然石6tを置いて、そのコンクリートを自然石6tにより覆う。このとき、この自然石6tのアンカー11は、そのコンクリート内に差し込まれ、そのアンカー11とコンクリートとの一体化により、当該土木構築物用ユニット5が得られる。
【0056】
図68〜図72は第25実施形態を示す。この第25実施形態においては、土木構築物用ユニット5として、複数の構造体部6Lを用いて組み立てた立体的構造物が示されている。この25実施形態に係る土木構築物用ユニット5を製造するには、先ず、図69に示すように、複数の構造体部6Lを用意する。各構造体部6Lは、前記第15,第16実施形態に係る第1構造体部6E−1、6F−1と同様の製造方法(図47、図49参照)により製造されるが、4個の自然石6が区画する区画空間10内に注入されるコンクリートが硬化する前に、一対のアンカー11をコンクリート上に植設し、そのコンクリートが硬化して形成されるコンクリートベース7と一対のアンカー11とを一体化する。次に、複数の構造体部6Lのうち、一つの構造体部6L−1を、一対のアンカー11が起立するように作業面上に置き、その構造体部6L−1を、図70に示すように、砂層50を形成して埋める。この場合、砂層50は、その構造体部6L−1を、その自然石6の上部まで埋め込むと共に、その上面は、構造体部6L−1を中心として、水平な新たな作業面50aを形成する。次に、図71に示すように、別の4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5を新たな作業面50a上に置き、構造体部6L−1の上部周囲において、その4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5により新たな区画空間10を形成する。この場合、各構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5の一対のアンカー11は、新たな区画空間10内に向けられ、必要に応じて、隣り合う構造体部6L間の隙間が間詰石等により塞がれる。次に、図71,図72に示すように、4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5が区画する新たな区画空間10内にコンクリートを注入し、そのコンクリートの未硬化状態において、4つの構造体部6L−2、6L−3、6L−4、6L−5上に別の構造体部6L−6を置き、その新たな区画空間10を塞ぐと共に、構造体部6L−5の一対のアンカー11をコンクリート内に差し込む。この後、コンクリートが硬化してコンクリートベース7が形成され、全ての構造体部6L−1、6L−2、6L−3、6L−4、6L−5、6L−6が一体化すれば、砂層50を除去することにより、当該土木構築物用ユニット5が得られる。
【0057】
図73〜図78は第26実施形態を示すもので、この第26実施形態は、前記第25実施形態の変形例を示す。この第26実施形態に係る土木構築物用ユニット5においては、前記第25実施形態に係る構造体部6Lに換えて、図75に示す構造体部6Mが用いられている。構造体部6Mは、図74に示すように、第25実施形態に係る構造体部6Lの各自然石6上に自然石6をさらに積み上げて、新たな区画空間10を形成し、その区画空間10内にコンクリートを注入し、そのコンクリート(コンクリートベース7)と各自然石6とをアンカー(図示略)を用いて連結したものとなっている。この構造体部6Mを用いて、第25実施形態と同様の製造方法により、図76〜図78に示すように、当該土木構築物用ユニット5が製造される。
【0058】
図79、図80は第27実施形態を示す。この第27実施形態は、土木構築物用ユニット5として、充填材(石等)52が充填された籠体51(いわゆるふとん籠)上に構造体54(前記第1実施形態に係る土木構築物用ユニット5に相当するもの)を一体的に設けたものを示している。この土木構築物用ユニット5を製造するには、先ず、充填材(石等)52が充填された籠体51を用意し、その籠体51の上面部に、その網目を利用して、U字状等のアンカー53を上方に突出するように取付ける。次に、構造体部54を製造すべく、その籠体51の上面に自然石6を並べて区画空間10を形成し、その区画空間10内に前記アンカー53が位置するようにする。次に、これまでの製造方法同様、各自然石6にアンカー(図示略)を取付け、その後、区画空間10内にコンクリート7(図80の一点鎖線参照)を注入する。このコンクリート7の硬化により、コンクリートベース7が形成され、そのコンクリートベース7は、各自然石6のアンカー、籠体51の上面部から区画空間10内に進入するアンカー53と一体化して、充填材52が充填された籠体51と、コンクリートベースの周囲に複数の自然石6が設けられた構造体54とは一体化することになる。この場合、コンクリート7の一部が籠体51上面部の網目を通って該籠体51内に進入し、そのコンクリート7が籠体51内の充填材52と係合することから、そのコンクリート7により、充填材52が充填された籠体51と構造体54との一体化は高められる。
【0059】
図81は第28実施形態、図82は第29実施形態、図83は第30実施形態を示す。この各実施形態は、アンカー11の変形例を示す。この各アンカー11は、自然石6が区画する区画空間10内に注入されるコンクリート7(コンクリートベース7)との係合を高める観点から、形状等に工夫を施したものである。この各アンカー11については、前記各実施形態同様、自然石6を並べて区画空間10を形成した後に取付けてもよいし、予め、自然石6に取付けておき(図81〜図83の状態)、それを用いて区画空間10を区画するようにしてもよい。
【0060】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)作業面8aとして、作業台の上面等を利用すること。
(2)自然石6等に対してアンカー11を連結するために、取付け孔12内にアンカー式の取付け具(図示略)が取付け(例えばメタルヒットアンカー)、その取付け具により雌ねじ部を確保し、アンカーの一端部に、その雌ねじ部に螺合する雄ねじ部を形成すること。
(3)塊状部材として、擬石を用いること。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図2】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図3】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットの内部構造を説明する縦断面図。
【図4】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を説明する説明図。
【図5】図4の次の製造工程を説明する説明図。
【図6】図5の平面図。
【図7】図5の次の製造工程を説明する説明図。
【図8】図7の平面図。
【図9】図7,図8の次の製造工程を説明する説明図。
【図10】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を平面的に説明する説明図。
【図11】図10に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図12】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図13】支柱を有しない土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図14】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を平面的に説明する説明図。
【図15】図14に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図16】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図17】第4実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す縦断面図。
【図18】図17に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図19】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図20】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図21】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図22】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットの別の設置例を示す平面図。
【図23】第6実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図24】図23に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図25】第6実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図26】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図27】図26に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図28】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図29】第8実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図30】第9実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図31】図30に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図32】第10実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図33】第10実施形態に係る土木構築物用ユニットの使用状態を説明する説明図。
【図34】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図35】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図36】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットの設置例を示す平面図。
【図37】第12実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図38】図37に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図39】図37に係る土木構築物用ユニットの右側面図。
【図40】第13実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図41】図40に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図42】図40のX42−X42線断面図。
【図43】第14実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図44】図43に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図45】図43のX45−X45線断面図。
【図46】第15実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図47】第15実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる第1構造体部(又は第2構造体部)を示す平面図。
【図48】第16実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図49】第16実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる第1構造体部(又は第2構造体部)を示す平面図。
【図50】第17実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図51】図50に係る土木構築物用ユニットの平面図。
【図52】図50に係る土木構築物用ユニットの左側面図。
【図53】図50に係る土木構築物用ユニットの右側面図。
【図54】第18実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図55】図54に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図56】第18実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図57】第19実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図58】図57に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図59】第20実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図60】図59に係る土木構築物用ユニットの正面図。
【図61】第21実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図62】第22実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図63】第23実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図64】第24実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図65】第24実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を示す図。
【図66】図65に続く製造工程を示す図。
【図67】図65に続く製造工程を示す図。
【図68】第25実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図69】第25実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を示す図。
【図70】図69に続く製造工程を示す図。
【図71】図70に続く製造工程を示す図。
【図72】図71に続く製造工程を示す図。
【図73】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図74】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる構造体部の製造を説明する説明図。
【図75】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットに用いられる構造体部を示す斜視図。
【図76】第26実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を示す図。
【図77】図76に続く製造工程を示す図。
【図78】図77に続く製造工程を示す図。
【図79】第27実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す正面図。
【図80】第27実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する縦断面図。
【図81】第28実施形態に係るアンカーを説明する説明図。
【図82】第29実施形態に係るアンカーを説明する説明図。
【図83】第30実施形態に係るアンカーを説明する説明図。
【符号の説明】
【0062】
5 土木構築物用ユニット
6 自然石(塊状部材)
1 コンクリートベース(コンクリート基盤)
8a 作業面
9 隙間
10 区画空間
11 アンカー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカーが取付けられた複数の塊状部材と、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成すると共に、該区画空間内に該各塊状部材の各アンカーを配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項2】
複数の塊状部材と、複数のアンカーと、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成し、次に、前記各塊状部材に前記アンカーの一端部をそれぞれ取付けると共に、該各アンカーの他端側を前記区画空間内に配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記コンクリートの充填前に、前記各塊状部材の周囲及び前記区画空間内に一定厚の砂層又はれき層を形成する、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記コンクリート基盤が形成された後であって、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させる前に、該コンクリート基盤上に、該コンクリート基盤を支持するための支柱を上方に突出するように形成して、該支柱の突出端面の高さを、少なくとも、該複数の塊状部材のうち、最も突出している塊状部材の上面側端面の高さ以上にする、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記支柱として、複数の支柱を形成する、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項1】
アンカーが取付けられた複数の塊状部材と、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成すると共に、該区画空間内に該各塊状部材の各アンカーを配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項2】
複数の塊状部材と、複数のアンカーと、コンクリートとを用意し、前記複数の塊状部材を作業面上に並べて区画空間を形成し、次に、前記各塊状部材に前記アンカーの一端部をそれぞれ取付けると共に、該各アンカーの他端側を前記区画空間内に配置させ、次に、前記区画空間内に前記コンクリートを充填して、コンクリート基盤を形成すると共に該コンクリート基盤と前記各アンカーとを一体化する土木構築物用ユニットの製造方法において、
前記作業面として、略水平な面を有するものを用い、
前記区画空間内の前記コンクリートが硬化して前記コンクリート基盤が形成された後、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させて、それまで作業面側に臨んでいた側を表面側とする、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記コンクリートの充填前に、前記各塊状部材の周囲及び前記区画空間内に一定厚の砂層又はれき層を形成する、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記コンクリート基盤が形成された後であって、該コンクリート基盤及び前記複数の塊状部材を反転させる前に、該コンクリート基盤上に、該コンクリート基盤を支持するための支柱を上方に突出するように形成して、該支柱の突出端面の高さを、少なくとも、該複数の塊状部材のうち、最も突出している塊状部材の上面側端面の高さ以上にする、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記支柱として、複数の支柱を形成する、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図78】
【図79】
【図80】
【図81】
【図82】
【図83】
【公開番号】特開2008−13958(P2008−13958A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184205(P2006−184205)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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