土木構築物用ユニット
【課題】 所望大きさの規格品を確実に製造することができる土木構築物用ユニットを提供する。
【解決手段】 複数の自然石2が、外部に対して区画空間6を区画するように並べられ、その区画空間6内に複数のアンカー3とコンクリートベース4とが配設されている。各アンカー3は、対向配置関係にある一対の自然石2を連結し、コンクリートベースは、区画空間6内において、複数のアンカーを埋め込んでいる。これにより、製造時のコンクリート注入時に、各自然石2を動かすために、それに連結された自然石2も同じ方向に一緒に動かす力が必要になるようにして、各自然石2が動く可能性を格段に低める。
【解決手段】 複数の自然石2が、外部に対して区画空間6を区画するように並べられ、その区画空間6内に複数のアンカー3とコンクリートベース4とが配設されている。各アンカー3は、対向配置関係にある一対の自然石2を連結し、コンクリートベースは、区画空間6内において、複数のアンカーを埋め込んでいる。これにより、製造時のコンクリート注入時に、各自然石2を動かすために、それに連結された自然石2も同じ方向に一緒に動かす力が必要になるようにして、各自然石2が動く可能性を格段に低める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物用ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
土木構築物としての護岸には、多数の土木構築物用ユニットを施工面に敷設したもの、複数の土木構築物用ユニットを階段状に積み上げたもの等がある。この土木構築物用ユニットには、例えば特許文献1に示すように、複数の塊状部材を、外部に対して区画空間を区画するように並べ、その区画空間内に、該区画空間全体に行き渡るようにしてコンクリート基盤を配置し、その各塊状部材にアンカーを、その一端部をもって連結すると共に、該各アンカーの一端部よりも他端側をコンクリート基盤内に埋め込んだものが提案されている。このものによれば、複数の塊状部材とコンクリート基盤とにより重量安定性を確保できると共に、そのコンクリート基盤を囲む複数の塊状部材の不規則な形状に基づき周囲の自然環境に調和させることができることになる。その一方、重量安定性を確保するための部品としてコンクリート基盤を用いることから、籠等の収容容器を省くことができることになり、部品点数の低減を図ることができる。
【特許文献1】特許第3737509号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記土木構築物用ユニットにおいては、各アンカーの一端部よりも他端側をコンクリート基盤内に埋め込む構成であり、製造段階において、各アンカーは、コンクリート基盤になる前の未硬化コンクリートには係合することはできず、区画空間を区画する塊状部材が比較的小さいときには、コンクリートの注入に伴い、その各塊状部材は、そのコンクリートの注入、充填圧力に基づき動かされるおそれがある。このため、所望大きさの規格品を確実に製造するためには、製造段階において、塊状部材の動きをストッパ等により規制して、並べられた複数の塊状部材の状態を維持する作業が必要となる場合がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、所望大きさの規格品を確実に製造することができる土木構築物用ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
複数の塊状部材が、外部に対して区画空間を区画するように並べられ、
前記区画空間内に複数の連結筋とコンクリート基盤とが配設され、
前記各連結筋は、その一端部が前記塊状部材に連結されていると共に、該連結筋の他端部が、該一端部が連結される塊状部材以外の他の塊状部材に連結され、
前記コンクリート基盤は、前記区画空間全体に行き渡るように設けられてその内部に前記複数の連結筋を埋め込んでいる、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットとした構成としてある。
上述の構成により、各塊状部材が、連結筋を介して、その塊状部材以外の他の塊状部材に連結されていることから、各塊状部材が動くためには、他の塊状部材を同じ方向に一緒に動かす力が必要となり、コンクリートの注入に際して、何等特別の作業をしなくても、各塊状部材が動く可能性を格段に低めることができる。
また、当該土木構築物用ユニットにおいては、各塊状部材に脱落させようとする力が作用しても、コンクリート基盤と連結筋との係合の他に、その塊状部材に連結筋を介して連結される他の塊状部材がコンクリート基盤の側壁に当接してストッパとなり、各塊状部材が脱落することが、より確実に防止される。
【0006】
請求項1の好ましい態様として、前記各連結筋が、対向配置関係にある塊状部材同士を連結している構成を採ることができる(請求項2対応)。この構成により、連結筋として汎用の直線材を利用できるばかりか、各連結筋がコンクリート基盤内部において交差した状態で配置され、コンクリート基盤の強度を高めることができる。
【0007】
請求項1の好ましい態様として、前記各連結筋が、隣り合う塊状部材同士を連結している構成を採ることができる(請求項3対応)。この構成により、複数の連結筋の具体的態様を提供できる。
【0008】
請求項1の好ましい態様として、前記コンクリート基盤の上面に上側塊状部材が配置され、前記コンクリート基盤の下面に下側塊状部材が当接した状態で配置され、前記上側塊状部材及び前記下側塊状部材がコンクリート基盤に連結筋を介してそれぞれ連結されている構成を採ることができる(請求項4対応)。この構成により、塊状部材をもって周囲を囲む形状に、塊状部材をさらに上下に配置する形状を、請求項1に係る土木構築物用ユニットを利用して簡単に製造できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、所望大きさの規格品を確実に製造できると共に塊状部材の脱落を確実に防止できる土木構築物用ユニットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3は第1実施形態を示す。この図1〜図3において、符号1は第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示すもので、この土木構築物用ユニット1は、施工面に多数敷設されて、護岸、護床、根固機能等を発揮するものである。
【0011】
前記各土木構築物用ユニット1は、複数の自然石2(塊状部材)と、複数のアンカー3(連結筋)と、コンクリートベース4(コンクリート基盤)とを備えている。複数の自然石2は、隣り合う自然石2との間に若干の隙間5をあけつつ、外部に対して区画空間6を形成している。この複数の自然石2として、本実施形態においては4つ用いられ、その各自然石2には他の自然石2がそれぞれ対向配置されて、2組の対向配置関係が成立されている。この各組における各自然石2の対向面には、一対の取付け孔7がそれぞれ形成されており、その各組における一対の取付け孔7は区画空間6内に臨んでいる。自然石2としては、割石、玉石等の石が用いられ、その重さは、当該土木構築物用ユニット1が4トンタイプである場合において、250kg前後の重さとされている。
【0012】
前記複数のアンカー3は、図3に示すように、前記区画空間6内に配設されている。この各アンカー3としては、直線材が用いられており、その各アンカー3の一端部は、各組における一方の自然石2の各取付け孔7に接着剤と共に挿入されて、一方の自然石2に一体化されている。その一方、各アンカー3の他端部は、対向配置関係にある他方の自然石2の取付け孔7に接着剤と共に挿入されて一体化されている。これにより、各組のアンカー3は、図3に示すように、区画空間6の略中央部において交差することになっている。
【0013】
前記コンクリートベース4は、図1〜図3に示すように、前記区画空間6内に収納されている。このコンクリートベース4は、コンクリート(未硬化状態)を区画空間6内に充填した後、硬化させることにより形成されており、コンクリートベース4の外周縁部は、各自然石2表面の凹部等に入り込んで接着、係合しているばかりでなく、隣り合う自然石2間の隙間5にも進入している。このコンクリートベース4の内部には、前記複数のアンカー3が埋設されており、その各アンカー3とコンクリートベース4とは係合することになっている。
【0014】
このような土木構築物用ユニット1の製造においては、各組の自然石2が予めアンカー3の両端部に連結されたものが用いられる。この両端部に自然石2を連結するアンカー3が、作業面上に交差させた状態で配置され、作業面上にその4つの自然石2が区画空間6を区画するように配置される。このとき、隣り合う自然石2間に隙間5が形成されるが、その各隙間5には、間詰石、繊維状のシート、弾性体、生分解プラスチック等(図示略)が単独又は複合的に詰め材として詰められ、その各隙間5は塞がれる。
【0015】
この後、前記区画空間6内に、コンクリートベース4を形成するためのコンクリートが充填(注入)され、そのコンクリート内に前記複数のアンカー3が埋設される。このコンクリートの硬化により、前記第1実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0016】
したがって、本実施形態においては、製造時に、アンカー3の両端部に自然石2が連結されているものを用いることができることから、複数の自然石2が区画する区画空間6内にコンクリートが注入されても、その各自然石2が動くためには、アンカー3を介して連結されるもう一方の自然石2を一緒に動かす力が必要となり、コンクリートの注入に際して、何等特別の作業をしなくても、各自然石2が動く可能性を格段に低めることができる。特に本実施形態においては、アンカー3が直線材であることから、一方の自然石2にコンクリート注入に基づく力が作用したときには、これに伴い、他方の自然石2に、その一方の自然石2とは反対方向に力(反作用)が作用することになり、コンクリート注入に際して、各自然石2が動くことを、一層、確実に防止できる。これにより、所定大きさの規格品を確実に製造できる。しかもこの場合、アンカー3の両端部に連結すべき自然石2として、1個では自立できない偏平な自然石2を用いたとしても、それをアンカー3の両端部に連結することにより、それらを起立させることができることになり、いままで利用できなかった偏平な自然石2をも利用できることになる。これにより、使用できる自然石2の対象を拡げることができる。
【0017】
また、土木構築物用ユニット1においては、各自然石2に脱落させようとする力が作用しても、コンクリートベース4とアンカー3との係合の他に、その自然石2を連結するアンカー3に連結される他方の自然石2がコンクリートベース4の側壁に当接してストッパとなり、その自然石2が脱落することを確実に防止できる。
しかも、各アンカー3は、コンクリートベース4内部において交差した状態で配置されており、コンクリートベース4の強度を高めることもできる。
【0018】
図4は第2実施形態、図5は第3実施形態、図6,図7は第4実施形態、図8,図9は第5実施形態、図10は第6実施形態、図11〜図15は第7実施形態、図16,図17は第8実施形態、図18は第9実施形態、図19は第10実施形態、図20は第11実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0019】
図4に示す第2実施形態は第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、製造段階において、対向配置されるべき2個の自然石2を長ボルトに取付けられたものが2組用いられる。この各組のものは、2個の自然石2に貫通孔8がそれぞれ形成され、その2個の自然石2の貫通孔8に長ボルト9が挿通され、その挿通後、長ボルト9の先端部にナット10が螺合される。このような2組の自然石2を取付けた長ボルト9は、各長ボルト9毎に自然石2を離間した状態をもって交差させるように配置され、その2組の自然石2が区画する区画空間6内にコンクリートが充填される。このコンクリートの硬化を待って、4つの自然石2が区画する区画空間6内にコンクリートベース4が形成され、第2実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0020】
図5に示す第3実施形態は第1実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、区画空間6を区画する隣り合う自然石2同士が、アンカー3を介してそれぞれ連結されている。これにより、区画空間6を区画する全ての自然石2は、一体化することになっており、その区画空間6内にコンクリートベース4が設けられることになっている。
【0021】
図6,図7に示す第4実施形態は第1実施形態の変形例を示す。この第4実施形態においては、各自然石2の取付け孔7にナット(例えばメタルヒットアンカー)30が取付けられ、その各ナット30に連結リング部31を備えるボルト(いわゆるアイボルト)32がねじ込まれている。このような自然石2は、図6に示すように、区画空間6を形成するように所定位置に配置され、その各対向配置関係にある自然石2の連結リング部31同士は、図7に示すようにチェーン33をもってそれぞれ連結される。この際、各チェーン33は緊張状態とされ、隣り合う自然石2間の隙間には間詰石等が詰められる。その上で、区画空間6内にコンクリート(図示略)が充填され、コンクリートベース(図示略)が形成される。これにより、前記第1実施形態と同様の土木構築物用ユニット1が得られる。尚、チェーン33に換えて、ワイヤを用いてもよい。
【0022】
図8,図9に示す第5実施形態に係る土木構築物用ユニット1は、第1実施形態に係る土木構築物用ユニットの変形例を示すもので、この第5実施形態に係る土木構築物用ユニット1は、施工面に乱積みして護岸、護床機能等を発揮するものである。この土木構築物用ユニット1は、4個の自然石2aがコンクリートベース(図示略)の周囲を囲むように配置され、そのコンクリートベースの上側には上側自然石2b、そのコンクリートベースの下側には下側自然石2cが配置されたものとなっている。勿論、この第4実施形態に係る土木構築物用ユニット1における各自然石2は、アンカー3によりコンクリートベースに一体化されている。具体的には、前記第1実施形態に係る土木構築物用ユニットにおけるコンクリートベース4の上面に上側自然石2bが配置され、そのコンクリートベース4の下面に当接するようにして下側自然石2cが配置されたものとなっている。この場合、上側自然石2b、下側自然石2cには、アンカー3の一端部がそれぞれ取付けられており、その各アンカー3の一端部よりも他端側は、コンクリートベース4内に進入され、これらは、他の自然石2a同様、コンクリートベース4に一体化されている。
【0023】
このような土木構築物用ユニット1の製造に際しては、作業台11が用いられる。作業台11には、下側自然石2cを収納するための凹所12が形成されており、製造に際して、先ず、この凹所12内に下側自然石2cが収納される。このとき、下側自然石2cには、アンカー3の一端部が取付けられ、その他端部は、上方に向けて突出される。
【0024】
次に、両端部に自然石2(2a)を取付けたアンカー(前記第1実施形態で用いたもの)を2組用意し、その2組のアンカー3を交差させた状態にしつつ、その各組の自然石2(2a)を下側自然石(作業台の凹所)周辺部に配置し、その4つの自然石2(2a)により区画空間6を形成する。
【0025】
次に、上記4つの自然石2aが形成する区画空間6内にコンクリートが充填され、その充填後、そのコンクリートが未硬化であるうちに、上側自然石2bが4つの自然石2aの上に配置される。このとき、上側自然石2bには予めアンカー3の一端部が取付けられており、そのアンカー3の一端部よりも他端側が未硬化のコンクリート内に進入される。このとき勿論、上記4つの自然石2aの隣り合う隙間に間詰石等が詰められ、その各隙間は塞がれる。これにより、コンクリートの硬化後、第5実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0026】
図10に示す第6実施形態は、前記第5実施形態の変形例を示す。この第6実施形態においては、盛土により作業台11が形成(成形)されており、その盛土により形成された作業台11には、作業面13、下側自然石2cを収納する凹所12が形成されている。この盛土により形成された作業台11によっても、前記第5実施形態同様の土木構築物用ユニット1を製造することができるが、本実施形態においては、下側自然石2cの下側に盛土を敷くことにより下側自然石2cの安定性が高められている。
【0027】
図11〜図15に示す第7実施形態は、土木構築物用ユニットを階段状に積み上げる護岸、擁壁等の構築を、これまで以上に簡単化したものを示している。この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット1は、一定厚みのコンクリートベース14を有しており、そのコンクリートベース14の前面には複数の自然石2Aが、コンクリートベース14の上面よりも上方に突出するようにして設けられ、コンクリートベース14の前面以外の周面には、コンクリートベース14の厚みと同程度の大きさの自然石2Bが、コンクリートベース14の上面と略同じ高さを維持しつつ設けられている。勿論、この各自然石2A,2Bとコンクリートベース14とはアンカー(図示略)を介して連結されている。
【0028】
この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット1を用いることにより、図15に示すように、コンクリートベース14の平坦な上面を利用して、安定した状態で階段状に積み上げることができると共に、その各土木構築物用ユニット1の下側の土木構築物用ユニット1の自然石2をストッパとして利用でき、各土木構築物用ユニット1が前側に移動することを規制できる。尚、図15中、符号15は裏込め材料を示す。
【0029】
図16,図17に示す第8実施形態は、前記第7実施形態の変形例を示す。この第8実施形態においては、第7実施形態に係る土木構築物用ユニット1の前面以外の周壁から自然石2Bを除いた構成のものが示されている。この第8実施形態に係る土木構築物用ユニット1の製造においては、型16が用いられる。この型16は、一対の側壁部17と、その一対の側壁部の後部端部(フランジ)にボルト19により着脱可能に連結される背壁部18とを備えており、型16の前部は、開放されている。このような型16は、土木構築物用ユニット1の製造に際して、水平な作業面13上に載置された上で、その型16の前部にその開口を塞ぐように複数の自然石2Aが配置される。この各自然石2Aには予めアンカー3の一端部が連結されており、そのアンカー3の一端部よりも他端側は型16内に収まるように配置される。次に、コンクリートベース4を形成すべく、型16内にコンクリートが充填され、そのコンクリート内に各アンカー3が埋設される。この後、コンクリートが硬化すると、型16が外され、第8実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0030】
図18に示す第9実施形態は、複数の壁体ユニット20を用いて土木構築物用ユニット1を形成したものを示している。各壁体ユニット20は、アンカー3を備えた4個の自然石2を一体化することにより形成されており、その各壁体ユニット20は、具体的には、各自然石2に貫通孔が形成され、その各貫通孔に長ボルト21を挿通させる等して、4個の自然石2が一体化される。このような複数の壁体ユニット20を用いて、区画空間6を形成すべく周壁22が形成され、その周壁22が形成する区画空間4内にコンクリートが充填され、そのコンクリート内に各壁体ユニット20の各アンカー3が埋め込まれる。この後、コンクリートが硬化することによりコンクリートベース4が形成される。これにより、土木構築物用ユニット1の製造に際して、複数の壁体ユニット20を型としても利用できることになり、特別に型を準備する必要がなくなる。
【0031】
図19に示す第10実施形態は、前記第9実施形態の変形例を示す。この第10実施形態においては、壁体ユニット20は、網状片(金網)23の一面に複数の自然石2が取付けられ、その各自然石2或いは網状片23から背面側に向けて複数のアンカー3が突出されている。この複数の壁体ユニット20を用いて箱状に周壁22が形成され(隣り合う網状片23同士を連結することにより形成)、その周壁22が形成する区画空間6内にコンクリートが充填される。このコンクリート内に各アンカー3が埋設され、そのコンクリートの硬化により、コンクリートベースと各壁体ユニット20とが一体化した土木構築物用ユニット1が形成される。
【0032】
図20に示す第11実施形態は、前記第10実施形態の変形例を示す。この第11実施形態においては、各壁体ユニット20として、コンクリート板24の一面側に複数の自然石2を設け、そのコンクリート板24の他面側から複数のアンカー3を突出させたものが用いられている。この場合、各アンカー3は、コンクリート板24自体に取付けられたものでも、或いは各自然石2に取付けられたものであってもよい。この複数の壁体ユニット20を用いて、前記第10実施形態同様、箱状の周壁22を形成(連結)し、その周壁22内にコンクリートを充填することにより、第11実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0033】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)区画空間6を区画する複数の自然石2の数を3以上の種々の数とすること。
(2)塊状部材として、自然石2の他に、擬石、ブロック等を用いること。
(3)各実施形態に係る土木構築物用ユニット1を、河川、湖等の護岸、根固め構造物、消波構造物等として適宜、用いること。
(4)自然石2に連結筋を連結するに際して、接着剤だけでなく、打ち込み式アンカーを用いて連結してもよいこと。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図4】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図5】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図6】第4実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を説明する説明図。
【図7】図6の続きの工程を示す説明図。
【図8】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図9】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図10】第6実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図11】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図12】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図13】図12の左側面図。
【図14】図12の正面図。
【図15】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを用いて構築された土木構築物を示す図。
【図16】第8実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図17】第8実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図18】第9実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を説明する説明図。
【図19】第10実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を説明する説明図。
【図20】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を説明する説明図。
【符号の説明】
【0035】
1 土木構築物用ユニット
2 自然石(塊状部材)
3 アンカー(連結筋)
4 コンクリートベース(コンクリート基盤)
6 区画空間
7 長ボルト(アンカー)
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木構築物用ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
土木構築物としての護岸には、多数の土木構築物用ユニットを施工面に敷設したもの、複数の土木構築物用ユニットを階段状に積み上げたもの等がある。この土木構築物用ユニットには、例えば特許文献1に示すように、複数の塊状部材を、外部に対して区画空間を区画するように並べ、その区画空間内に、該区画空間全体に行き渡るようにしてコンクリート基盤を配置し、その各塊状部材にアンカーを、その一端部をもって連結すると共に、該各アンカーの一端部よりも他端側をコンクリート基盤内に埋め込んだものが提案されている。このものによれば、複数の塊状部材とコンクリート基盤とにより重量安定性を確保できると共に、そのコンクリート基盤を囲む複数の塊状部材の不規則な形状に基づき周囲の自然環境に調和させることができることになる。その一方、重量安定性を確保するための部品としてコンクリート基盤を用いることから、籠等の収容容器を省くことができることになり、部品点数の低減を図ることができる。
【特許文献1】特許第3737509号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記土木構築物用ユニットにおいては、各アンカーの一端部よりも他端側をコンクリート基盤内に埋め込む構成であり、製造段階において、各アンカーは、コンクリート基盤になる前の未硬化コンクリートには係合することはできず、区画空間を区画する塊状部材が比較的小さいときには、コンクリートの注入に伴い、その各塊状部材は、そのコンクリートの注入、充填圧力に基づき動かされるおそれがある。このため、所望大きさの規格品を確実に製造するためには、製造段階において、塊状部材の動きをストッパ等により規制して、並べられた複数の塊状部材の状態を維持する作業が必要となる場合がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、所望大きさの規格品を確実に製造することができる土木構築物用ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を達成するために本発明(請求項1に係る発明)にあっては、
複数の塊状部材が、外部に対して区画空間を区画するように並べられ、
前記区画空間内に複数の連結筋とコンクリート基盤とが配設され、
前記各連結筋は、その一端部が前記塊状部材に連結されていると共に、該連結筋の他端部が、該一端部が連結される塊状部材以外の他の塊状部材に連結され、
前記コンクリート基盤は、前記区画空間全体に行き渡るように設けられてその内部に前記複数の連結筋を埋め込んでいる、
ことを特徴とする土木構築物用ユニットとした構成としてある。
上述の構成により、各塊状部材が、連結筋を介して、その塊状部材以外の他の塊状部材に連結されていることから、各塊状部材が動くためには、他の塊状部材を同じ方向に一緒に動かす力が必要となり、コンクリートの注入に際して、何等特別の作業をしなくても、各塊状部材が動く可能性を格段に低めることができる。
また、当該土木構築物用ユニットにおいては、各塊状部材に脱落させようとする力が作用しても、コンクリート基盤と連結筋との係合の他に、その塊状部材に連結筋を介して連結される他の塊状部材がコンクリート基盤の側壁に当接してストッパとなり、各塊状部材が脱落することが、より確実に防止される。
【0006】
請求項1の好ましい態様として、前記各連結筋が、対向配置関係にある塊状部材同士を連結している構成を採ることができる(請求項2対応)。この構成により、連結筋として汎用の直線材を利用できるばかりか、各連結筋がコンクリート基盤内部において交差した状態で配置され、コンクリート基盤の強度を高めることができる。
【0007】
請求項1の好ましい態様として、前記各連結筋が、隣り合う塊状部材同士を連結している構成を採ることができる(請求項3対応)。この構成により、複数の連結筋の具体的態様を提供できる。
【0008】
請求項1の好ましい態様として、前記コンクリート基盤の上面に上側塊状部材が配置され、前記コンクリート基盤の下面に下側塊状部材が当接した状態で配置され、前記上側塊状部材及び前記下側塊状部材がコンクリート基盤に連結筋を介してそれぞれ連結されている構成を採ることができる(請求項4対応)。この構成により、塊状部材をもって周囲を囲む形状に、塊状部材をさらに上下に配置する形状を、請求項1に係る土木構築物用ユニットを利用して簡単に製造できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明(請求項1に係る発明)によれば、所望大きさの規格品を確実に製造できると共に塊状部材の脱落を確実に防止できる土木構築物用ユニットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1〜図3は第1実施形態を示す。この図1〜図3において、符号1は第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示すもので、この土木構築物用ユニット1は、施工面に多数敷設されて、護岸、護床、根固機能等を発揮するものである。
【0011】
前記各土木構築物用ユニット1は、複数の自然石2(塊状部材)と、複数のアンカー3(連結筋)と、コンクリートベース4(コンクリート基盤)とを備えている。複数の自然石2は、隣り合う自然石2との間に若干の隙間5をあけつつ、外部に対して区画空間6を形成している。この複数の自然石2として、本実施形態においては4つ用いられ、その各自然石2には他の自然石2がそれぞれ対向配置されて、2組の対向配置関係が成立されている。この各組における各自然石2の対向面には、一対の取付け孔7がそれぞれ形成されており、その各組における一対の取付け孔7は区画空間6内に臨んでいる。自然石2としては、割石、玉石等の石が用いられ、その重さは、当該土木構築物用ユニット1が4トンタイプである場合において、250kg前後の重さとされている。
【0012】
前記複数のアンカー3は、図3に示すように、前記区画空間6内に配設されている。この各アンカー3としては、直線材が用いられており、その各アンカー3の一端部は、各組における一方の自然石2の各取付け孔7に接着剤と共に挿入されて、一方の自然石2に一体化されている。その一方、各アンカー3の他端部は、対向配置関係にある他方の自然石2の取付け孔7に接着剤と共に挿入されて一体化されている。これにより、各組のアンカー3は、図3に示すように、区画空間6の略中央部において交差することになっている。
【0013】
前記コンクリートベース4は、図1〜図3に示すように、前記区画空間6内に収納されている。このコンクリートベース4は、コンクリート(未硬化状態)を区画空間6内に充填した後、硬化させることにより形成されており、コンクリートベース4の外周縁部は、各自然石2表面の凹部等に入り込んで接着、係合しているばかりでなく、隣り合う自然石2間の隙間5にも進入している。このコンクリートベース4の内部には、前記複数のアンカー3が埋設されており、その各アンカー3とコンクリートベース4とは係合することになっている。
【0014】
このような土木構築物用ユニット1の製造においては、各組の自然石2が予めアンカー3の両端部に連結されたものが用いられる。この両端部に自然石2を連結するアンカー3が、作業面上に交差させた状態で配置され、作業面上にその4つの自然石2が区画空間6を区画するように配置される。このとき、隣り合う自然石2間に隙間5が形成されるが、その各隙間5には、間詰石、繊維状のシート、弾性体、生分解プラスチック等(図示略)が単独又は複合的に詰め材として詰められ、その各隙間5は塞がれる。
【0015】
この後、前記区画空間6内に、コンクリートベース4を形成するためのコンクリートが充填(注入)され、そのコンクリート内に前記複数のアンカー3が埋設される。このコンクリートの硬化により、前記第1実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0016】
したがって、本実施形態においては、製造時に、アンカー3の両端部に自然石2が連結されているものを用いることができることから、複数の自然石2が区画する区画空間6内にコンクリートが注入されても、その各自然石2が動くためには、アンカー3を介して連結されるもう一方の自然石2を一緒に動かす力が必要となり、コンクリートの注入に際して、何等特別の作業をしなくても、各自然石2が動く可能性を格段に低めることができる。特に本実施形態においては、アンカー3が直線材であることから、一方の自然石2にコンクリート注入に基づく力が作用したときには、これに伴い、他方の自然石2に、その一方の自然石2とは反対方向に力(反作用)が作用することになり、コンクリート注入に際して、各自然石2が動くことを、一層、確実に防止できる。これにより、所定大きさの規格品を確実に製造できる。しかもこの場合、アンカー3の両端部に連結すべき自然石2として、1個では自立できない偏平な自然石2を用いたとしても、それをアンカー3の両端部に連結することにより、それらを起立させることができることになり、いままで利用できなかった偏平な自然石2をも利用できることになる。これにより、使用できる自然石2の対象を拡げることができる。
【0017】
また、土木構築物用ユニット1においては、各自然石2に脱落させようとする力が作用しても、コンクリートベース4とアンカー3との係合の他に、その自然石2を連結するアンカー3に連結される他方の自然石2がコンクリートベース4の側壁に当接してストッパとなり、その自然石2が脱落することを確実に防止できる。
しかも、各アンカー3は、コンクリートベース4内部において交差した状態で配置されており、コンクリートベース4の強度を高めることもできる。
【0018】
図4は第2実施形態、図5は第3実施形態、図6,図7は第4実施形態、図8,図9は第5実施形態、図10は第6実施形態、図11〜図15は第7実施形態、図16,図17は第8実施形態、図18は第9実施形態、図19は第10実施形態、図20は第11実施形態を示す。この各実施形態において、前記第1実施形態と同一構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0019】
図4に示す第2実施形態は第1実施形態の変形例を示す。この第2実施形態においては、製造段階において、対向配置されるべき2個の自然石2を長ボルトに取付けられたものが2組用いられる。この各組のものは、2個の自然石2に貫通孔8がそれぞれ形成され、その2個の自然石2の貫通孔8に長ボルト9が挿通され、その挿通後、長ボルト9の先端部にナット10が螺合される。このような2組の自然石2を取付けた長ボルト9は、各長ボルト9毎に自然石2を離間した状態をもって交差させるように配置され、その2組の自然石2が区画する区画空間6内にコンクリートが充填される。このコンクリートの硬化を待って、4つの自然石2が区画する区画空間6内にコンクリートベース4が形成され、第2実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0020】
図5に示す第3実施形態は第1実施形態の変形例を示す。この第3実施形態においては、区画空間6を区画する隣り合う自然石2同士が、アンカー3を介してそれぞれ連結されている。これにより、区画空間6を区画する全ての自然石2は、一体化することになっており、その区画空間6内にコンクリートベース4が設けられることになっている。
【0021】
図6,図7に示す第4実施形態は第1実施形態の変形例を示す。この第4実施形態においては、各自然石2の取付け孔7にナット(例えばメタルヒットアンカー)30が取付けられ、その各ナット30に連結リング部31を備えるボルト(いわゆるアイボルト)32がねじ込まれている。このような自然石2は、図6に示すように、区画空間6を形成するように所定位置に配置され、その各対向配置関係にある自然石2の連結リング部31同士は、図7に示すようにチェーン33をもってそれぞれ連結される。この際、各チェーン33は緊張状態とされ、隣り合う自然石2間の隙間には間詰石等が詰められる。その上で、区画空間6内にコンクリート(図示略)が充填され、コンクリートベース(図示略)が形成される。これにより、前記第1実施形態と同様の土木構築物用ユニット1が得られる。尚、チェーン33に換えて、ワイヤを用いてもよい。
【0022】
図8,図9に示す第5実施形態に係る土木構築物用ユニット1は、第1実施形態に係る土木構築物用ユニットの変形例を示すもので、この第5実施形態に係る土木構築物用ユニット1は、施工面に乱積みして護岸、護床機能等を発揮するものである。この土木構築物用ユニット1は、4個の自然石2aがコンクリートベース(図示略)の周囲を囲むように配置され、そのコンクリートベースの上側には上側自然石2b、そのコンクリートベースの下側には下側自然石2cが配置されたものとなっている。勿論、この第4実施形態に係る土木構築物用ユニット1における各自然石2は、アンカー3によりコンクリートベースに一体化されている。具体的には、前記第1実施形態に係る土木構築物用ユニットにおけるコンクリートベース4の上面に上側自然石2bが配置され、そのコンクリートベース4の下面に当接するようにして下側自然石2cが配置されたものとなっている。この場合、上側自然石2b、下側自然石2cには、アンカー3の一端部がそれぞれ取付けられており、その各アンカー3の一端部よりも他端側は、コンクリートベース4内に進入され、これらは、他の自然石2a同様、コンクリートベース4に一体化されている。
【0023】
このような土木構築物用ユニット1の製造に際しては、作業台11が用いられる。作業台11には、下側自然石2cを収納するための凹所12が形成されており、製造に際して、先ず、この凹所12内に下側自然石2cが収納される。このとき、下側自然石2cには、アンカー3の一端部が取付けられ、その他端部は、上方に向けて突出される。
【0024】
次に、両端部に自然石2(2a)を取付けたアンカー(前記第1実施形態で用いたもの)を2組用意し、その2組のアンカー3を交差させた状態にしつつ、その各組の自然石2(2a)を下側自然石(作業台の凹所)周辺部に配置し、その4つの自然石2(2a)により区画空間6を形成する。
【0025】
次に、上記4つの自然石2aが形成する区画空間6内にコンクリートが充填され、その充填後、そのコンクリートが未硬化であるうちに、上側自然石2bが4つの自然石2aの上に配置される。このとき、上側自然石2bには予めアンカー3の一端部が取付けられており、そのアンカー3の一端部よりも他端側が未硬化のコンクリート内に進入される。このとき勿論、上記4つの自然石2aの隣り合う隙間に間詰石等が詰められ、その各隙間は塞がれる。これにより、コンクリートの硬化後、第5実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0026】
図10に示す第6実施形態は、前記第5実施形態の変形例を示す。この第6実施形態においては、盛土により作業台11が形成(成形)されており、その盛土により形成された作業台11には、作業面13、下側自然石2cを収納する凹所12が形成されている。この盛土により形成された作業台11によっても、前記第5実施形態同様の土木構築物用ユニット1を製造することができるが、本実施形態においては、下側自然石2cの下側に盛土を敷くことにより下側自然石2cの安定性が高められている。
【0027】
図11〜図15に示す第7実施形態は、土木構築物用ユニットを階段状に積み上げる護岸、擁壁等の構築を、これまで以上に簡単化したものを示している。この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット1は、一定厚みのコンクリートベース14を有しており、そのコンクリートベース14の前面には複数の自然石2Aが、コンクリートベース14の上面よりも上方に突出するようにして設けられ、コンクリートベース14の前面以外の周面には、コンクリートベース14の厚みと同程度の大きさの自然石2Bが、コンクリートベース14の上面と略同じ高さを維持しつつ設けられている。勿論、この各自然石2A,2Bとコンクリートベース14とはアンカー(図示略)を介して連結されている。
【0028】
この第7実施形態に係る土木構築物用ユニット1を用いることにより、図15に示すように、コンクリートベース14の平坦な上面を利用して、安定した状態で階段状に積み上げることができると共に、その各土木構築物用ユニット1の下側の土木構築物用ユニット1の自然石2をストッパとして利用でき、各土木構築物用ユニット1が前側に移動することを規制できる。尚、図15中、符号15は裏込め材料を示す。
【0029】
図16,図17に示す第8実施形態は、前記第7実施形態の変形例を示す。この第8実施形態においては、第7実施形態に係る土木構築物用ユニット1の前面以外の周壁から自然石2Bを除いた構成のものが示されている。この第8実施形態に係る土木構築物用ユニット1の製造においては、型16が用いられる。この型16は、一対の側壁部17と、その一対の側壁部の後部端部(フランジ)にボルト19により着脱可能に連結される背壁部18とを備えており、型16の前部は、開放されている。このような型16は、土木構築物用ユニット1の製造に際して、水平な作業面13上に載置された上で、その型16の前部にその開口を塞ぐように複数の自然石2Aが配置される。この各自然石2Aには予めアンカー3の一端部が連結されており、そのアンカー3の一端部よりも他端側は型16内に収まるように配置される。次に、コンクリートベース4を形成すべく、型16内にコンクリートが充填され、そのコンクリート内に各アンカー3が埋設される。この後、コンクリートが硬化すると、型16が外され、第8実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0030】
図18に示す第9実施形態は、複数の壁体ユニット20を用いて土木構築物用ユニット1を形成したものを示している。各壁体ユニット20は、アンカー3を備えた4個の自然石2を一体化することにより形成されており、その各壁体ユニット20は、具体的には、各自然石2に貫通孔が形成され、その各貫通孔に長ボルト21を挿通させる等して、4個の自然石2が一体化される。このような複数の壁体ユニット20を用いて、区画空間6を形成すべく周壁22が形成され、その周壁22が形成する区画空間4内にコンクリートが充填され、そのコンクリート内に各壁体ユニット20の各アンカー3が埋め込まれる。この後、コンクリートが硬化することによりコンクリートベース4が形成される。これにより、土木構築物用ユニット1の製造に際して、複数の壁体ユニット20を型としても利用できることになり、特別に型を準備する必要がなくなる。
【0031】
図19に示す第10実施形態は、前記第9実施形態の変形例を示す。この第10実施形態においては、壁体ユニット20は、網状片(金網)23の一面に複数の自然石2が取付けられ、その各自然石2或いは網状片23から背面側に向けて複数のアンカー3が突出されている。この複数の壁体ユニット20を用いて箱状に周壁22が形成され(隣り合う網状片23同士を連結することにより形成)、その周壁22が形成する区画空間6内にコンクリートが充填される。このコンクリート内に各アンカー3が埋設され、そのコンクリートの硬化により、コンクリートベースと各壁体ユニット20とが一体化した土木構築物用ユニット1が形成される。
【0032】
図20に示す第11実施形態は、前記第10実施形態の変形例を示す。この第11実施形態においては、各壁体ユニット20として、コンクリート板24の一面側に複数の自然石2を設け、そのコンクリート板24の他面側から複数のアンカー3を突出させたものが用いられている。この場合、各アンカー3は、コンクリート板24自体に取付けられたものでも、或いは各自然石2に取付けられたものであってもよい。この複数の壁体ユニット20を用いて、前記第10実施形態同様、箱状の周壁22を形成(連結)し、その周壁22内にコンクリートを充填することにより、第11実施形態に係る土木構築物用ユニット1が得られる。
【0033】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次のような態様を包含する。
(1)区画空間6を区画する複数の自然石2の数を3以上の種々の数とすること。
(2)塊状部材として、自然石2の他に、擬石、ブロック等を用いること。
(3)各実施形態に係る土木構築物用ユニット1を、河川、湖等の護岸、根固め構造物、消波構造物等として適宜、用いること。
(4)自然石2に連結筋を連結するに際して、接着剤だけでなく、打ち込み式アンカーを用いて連結してもよいこと。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】第1実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図4】第2実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図5】第3実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す横断面図。
【図6】第4実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造工程を説明する説明図。
【図7】図6の続きの工程を示す説明図。
【図8】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図9】第5実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図10】第6実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図11】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図12】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す平面図。
【図13】図12の左側面図。
【図14】図12の正面図。
【図15】第7実施形態に係る土木構築物用ユニットを用いて構築された土木構築物を示す図。
【図16】第8実施形態に係る土木構築物用ユニットを示す斜視図。
【図17】第8実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造方法を説明する説明図。
【図18】第9実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を説明する説明図。
【図19】第10実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を説明する説明図。
【図20】第11実施形態に係る土木構築物用ユニットの製造を説明する説明図。
【符号の説明】
【0035】
1 土木構築物用ユニット
2 自然石(塊状部材)
3 アンカー(連結筋)
4 コンクリートベース(コンクリート基盤)
6 区画空間
7 長ボルト(アンカー)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の塊状部材が、外部に対して区画空間を区画するように並べられ、
前記区画空間内に複数の連結筋とコンクリート基盤とが配設され、
前記各連結筋は、その一端部が前記塊状部材に連結されていると共に、該連結筋の他端部が、該一端部が連結される塊状部材以外の他の塊状部材に連結され、
前記コンクリート基盤は、前記区画空間全体に行き渡るように設けられてその内部に前記複数の連結筋を埋め込んでいる、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記各連結筋が、対向配置関係にある塊状部材同士を連結している、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項3】
請求項1において、
前記各連結筋が、隣り合う塊状部材同士を連結している、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項4】
請求項1において、
前記コンクリート基盤の上面に上側塊状部材が配置され、
前記コンクリート基盤の下面に下側塊状部材が当接した状態で配置され、
前記上側塊状部材及び前記下側塊状部材がコンクリート基盤に連結筋を介してそれぞれ連結されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項1】
複数の塊状部材が、外部に対して区画空間を区画するように並べられ、
前記区画空間内に複数の連結筋とコンクリート基盤とが配設され、
前記各連結筋は、その一端部が前記塊状部材に連結されていると共に、該連結筋の他端部が、該一端部が連結される塊状部材以外の他の塊状部材に連結され、
前記コンクリート基盤は、前記区画空間全体に行き渡るように設けられてその内部に前記複数の連結筋を埋め込んでいる、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記各連結筋が、対向配置関係にある塊状部材同士を連結している、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項3】
請求項1において、
前記各連結筋が、隣り合う塊状部材同士を連結している、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【請求項4】
請求項1において、
前記コンクリート基盤の上面に上側塊状部材が配置され、
前記コンクリート基盤の下面に下側塊状部材が当接した状態で配置され、
前記上側塊状部材及び前記下側塊状部材がコンクリート基盤に連結筋を介してそれぞれ連結されている、
ことを特徴とする土木構築物用ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−280691(P2008−280691A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124187(P2007−124187)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(397045769)環境工学株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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