説明

圧力の調節方法及び調節装置

【課題】液体の高さよりも下に開口が位置する開口付き液溜体の中に液体を維持するのに応用された減圧装置のための調節方法と装置に関するものであり、それにより、重力によって起こる液体の流出を妨げる。
【解決手段】液溜体1にある気体4の圧力の測定値が、圧力の設定値を上回る場合には、設定値より低い圧力の気体を溜める付属タンクと液体3を溜める液溜体1とを連通し、下回る場合には、設定値より高い圧力の気体を溜める付属タンクと液溜体1とを連通し、液溜体1にある気体の圧力が、急速調節の最大圧力閾値を上回る場合には、液溜体1を負圧の継続的供給源に、圧力が設定値に近い値を示すまで付属タンクを介することなく連通することで負圧をかける過程と、下回る場合には、液溜体1を正圧の継続的供給源に、圧力の設定値に近い値を示すまで付属タンクを介することなく連通することで正圧をかける過程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、液体の高さよりも下に開口が位置する開口付き液溜体の中に液体を維持するのに応用された減圧装置のための調節方法と装置に関するものであり、それにより、重力によって起こる液体の流出を妨げるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、特に、「インク噴射」型の印刷システムのヘッドに応用されるものである。
【0003】
このような印刷ヘッドは、開口を備えるインク・タンクで構成されており、該開口は、インクを充填する高さよりも下に位置しており、開口を通して、インクの微細な滴を、印刷の下地に向かって噴きつけるための、特に圧電式の手段を備えている。このような微細なインクの数多くの滴を適切な箇所に噴きつけることにより、所望の印刷を実現することになる。
【0004】
噴きつけの段階でなければ、インクは、重力で開口から流れそうになっても、インクを液溜体の中に維持しておかなければならない。
【0005】
効果的な解決法は、減圧装置を用いて、液溜体の中でインクの上にある気体の圧力を、気圧を下回るように維持することである。
【0006】
インク噴射式印刷ヘッドの内部にインクを正確に維持しておくには、非常に精密な減圧調節が必要で、それにより、減圧が余りにも弱い場合に、開口からインクが流れだしたり、あるいは、減圧が強すぎて、その同じ開口から空気が入ったりすることのないようにしなければならない。
【0007】
そのような減圧調節方法と装置は、先行技術で知られている。
【0008】
例えば、米国特許第5189438号明細書に記載されている装置では、真空ポンプを、インクの高さの上で、液溜体につなぎ、常時起動の状態にしておく。減圧の計量は、同様にインクの高さの上に位置する、キャリブレーション抜き孔により得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような、真空を排出する機械的なキャリブレーションの原理に基づく装置は、かなりの数の不都合を呈している。
【0010】
実際、そのようにして得られた減圧の値は、機械的要素によって決まるのであり、それゆえに、インクを最適に維持するのを確実に行うのに十分な精密さを呈していない。
【0011】
同様の理由で、このような調節装置の作動の安全性が十分とは言えないのは、気体導管と排気口とがどれほど清潔かにもよるし、外部の環境に左右されるところが余りに大きいからである。
【0012】
更に、既に知られている装置では、液溜体の中に維持すべき減圧の設定値の調節が不自由である。設定値を変化させることは、結局は、別の口径の孔によって排気口を物理的に変化させることになり、このことは、印刷ヘッドが作動している間に、機械を止めずにできることではない。
【0013】
本発明の目的は、先行技術のそのような不都合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題を解決するための第1の手段を、次に示す。
液体を溜める液溜体に、正圧または負圧をかける手段による圧力の調節方法であり、
該液溜体には、圧力調整用の気体も含み、
該方法が、
a)該液溜体の気体について、圧力の設定値を規定する過程と、
b)液溜体にある気体の圧力を測定する過程と、
c)液溜体にある気体の圧力の測定値と、圧力の設定値とを比較する過程と、
d)液溜体にある気体の圧力の測定値が、圧力の設定値を上回る場合には、設定値より低い圧力の気体を溜める付属タンクと液溜体と連通することで、気体の容積を調整して液溜体に負圧をかける過程と、
e)液溜体にある気体の圧力の測定値が、圧力の設定値を下回る場合には、設定値より高い圧力の気体を溜める付属タンクと液溜体と連通することで、気体の容積を調整して液溜体に正圧をかける過程とを含む。
【0015】
ここで高い圧力の気体というのは、圧力が、圧力の設定値を上回る気体を言う。同様に、低い圧力の気体というのは、圧力が、圧力の設定値を下回る気体を言う。
【0016】
上記の方法は、圧力の設定値が気圧を下回る場合には、負圧調節に応用され、圧力の設定値が外気の圧力を上回る場合には、正圧の調節に応用される。
【0017】
部分的な真空が得られるようにするために、その方法を応用する場合には、負圧が強すぎるなら、圧力の設定値を上回る正圧の気体を、液溜体の中に注入し、もしくは、負圧が弱すぎるなら、圧力の設定値を上回る正圧の気体を、液溜体の中から排除して、調節を行うことになる。
【0018】
調節は、液溜体の中に気体を注入したり、そこから気体を排除したりすることで行うが、調節用の気体の容積によって変化の様子が左右される。
それゆえ、気体の容積を調節することで、マイクロコンピューターであろうと、オートマトンであろうと、あるいはワイヤードロジックゲート付きの装置であろうと、本発明による方法の実施の際には左右されずに、10Pa(0.1ミリバール)を下回る変化を得るのは容易である。
【0019】
方法の効率は、どのようなレベルの圧力の調節を行うかには左右されない。維持するのが最も困難な、気圧のすぐ近くで、ずっとそれを下回っている、小さな値の減圧のためにこそ、いっそう、その方法の真価が発揮される。
【0020】
調節を一巡させるために、測定する過程(b)と、比較する過程(c)と、そして負圧をかける過程(d)または正圧をかける過程(e)とを、一定の間隔で連続的に繰り返し行うことができる。
【0021】
その方法の途中で、圧力の設定値を新しく規定しなおし、そのような設定値を改めて規定する場合には、新しく規定しなおした圧力の設定値を計算に入れて、測定する過程(b)と、比較する過程(c)と、そして負圧をかける過程(d)または正圧をかける過程(e)とを、連続的に実行することもできる。
【0022】
本発明による方法では、その場合、制御ループができ、それにより確実に、圧力の設定値を変えるたびに、液溜体の内部圧力が、その結果、調節されることになっている。
【0023】
もう一つ別の実施態様によると、本発明による方法は、
圧力を測定する過程(b)の前に、
a1)圧力の設定値を基準として、急速調節の最小圧力閾値と急速調節の最大圧力閾値とで範囲を規定する過程を含み、
比較する過程(c)の前に、
b1)液溜体にある気体の圧力の測定値と、急速調節の最小圧力閾値及び最大圧力閾値とを比較する過程と、
b2)液溜体にある気体の圧力が、急速調節の最大圧力閾値を上回る場合には、液溜体を負圧器の継続的供給源に、圧力が設定値に近い値を示すまで付属タンクを介することなく連通することで負圧をかける過程と、
b3)液溜体にある気体の圧力が、急速調節の最小圧力閾値を下回る場合には、液溜体を正圧器の継続的供給源に、圧力の設定値に近い値を示すまで付属タンクを介することなく連通することで正圧をかける過程とを含む。
【0024】
この実施態様によると、調節は、連続的な二段階で行われる。
・調節を急速かつ大まかに行う第1段階では、正圧気体または負圧気体の供給源を、液溜体の上に直に分岐させることにより、液溜体の内部圧力を、圧力の設定値の近くにまで到達させることを非常に急速に行うことが可能であり、
・調節を非常にきめ細かく行う第2段階では、調節用の気体の容積を調節することにより、液溜体の内部圧力を、圧力の設定値に最も近いところにまで、近づけることができる。
【0025】
特殊な実施態様においては、圧力の設定値は、設定値の最小圧力閾値と設定値の最大圧力閾値とを含む。
【0026】
本発明はまた、前記の調節方法を実施する、次の調節装置も対象とする。
液体の液溜体に更に気体も含む印刷ヘッド用の、正圧または負圧を加える装置のための調節装置であり、
液溜体に連通する付属タンクと、
付属タンクに正圧または負圧の気体を充填する充填手段と、
・付属タンクと、液体の液溜体とを連通する連通手段と、
・液体の液溜体の中にある気体の圧力を測定する測定手段と、
・測定手段と連携して、充填手段と連通手段とを起動するコントロール手段を含み、
更に、付属タンクに正圧または負圧の気体を充填する充填手段の継続的供給源を、液体の液溜体に、付属タンクを介することなく連通する連通手段を含むことで、液溜体に付属タンクを介することなく正圧または負圧の気体を充填する充填手段を含むことを特徴とする、調節装置。
【0027】
付属タンクの気体を、液溜体に用いることで装置は信頼できるものになり、操縦システムにも無頓着なものにできるが、それは、例えば電磁弁のような起動器を用いたりして、連通や制御の早さを求めるようなことをしないからである。
【0028】
この調節装置は更に、液溜体の中の気体の圧力の設定値を選択する手段を含むことができ、前記手段により、調節装置が作動している間に、圧力の設定値を変更することも可能になる。
【0029】
二つの段階を連続させて調節を行えるようにするためには、装置は更に、正圧または負圧の気体を充填する充填手段の継続的供給源を、液体の液溜体に、付属タンクを介することなく連通する連通手段を含むことができる。
【0030】
ある実施態様によると、連通手段は、付属タンクを、充填手段か、あるいは液溜体と関連づける第1電磁弁を含む。
【0031】
もう一つの他の実施態様によると、充填手段を、付属タンクか、あるいは付属タンクを介することなく液溜体に連通するための、第2電磁弁を含む。
【0032】
本発明はまた、例えば、印刷用の液体の液溜体の中に更に気体を入れている、インク噴射型の、印刷ヘッド用の正圧または負圧をかける装置をも対象にしており、その装置は、正圧器と、負圧器並びに上記に説明したような調節装置とを含む。
【0033】
ある実施態様によると、充填手段は、入口で正圧器と負圧器を受け入れ、出口で正圧器か負圧器によるいずれか一方の気体を送りだす、第3電磁弁を含む。
【0034】
本発明はまた、プラスチックの下地の上に印刷する印刷機をも対象としており、該印刷機は、開口部を有し印刷用の液体並びに気体を含む液溜体を備えている印刷ヘッドを含み、更に上記の調節装置を含む。
【0035】
本発明は最後に、ICカード、CDまたはCD−ROMといった携帯可能情報媒体を製造する情報媒体製造設備を対象にしており、該情報媒体製造設備は、以上に説明したような印刷機で構成される、印刷部門を少なくとも一つ含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】インク噴射型の印刷ヘッドのインクの液溜体の、縦断面図。
【図2】本発明による調節装置の機能図。
【図3】携帯可能情報媒体を製造する際の情報媒体製造設備の概略図。
【図4】本発明の動作の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の他の特徴と利点は、例として挙げた添付図面を参照しつつ以下の説明を読むことで更に明らかになる。
・図1は、インク噴射型の印刷ヘッドのインクの液溜体の、縦断面図。
・図2は、本発明による調節装置の機能図。
・図3は、携帯可能情報媒体を製造する際の情報媒体製造設備の概略図。
・図4は、本発明の動作の一例を示す図。
【0038】
液体3の液溜体1(図1)は、ここでは、インク噴射型の印刷ヘッドに使っている。その容積は、およそ10の5乗立方ミリメートル(100立方センチメートル)で、その中にインクである液体3と気体4が入っており、開口部2を備え、そこからインクの滴が排出されて下地の上に印刷されるようになっている。
【0039】
他の応用については、粘着性や電導性のある液体のような、インクとは違う他の液体を液溜体(1)に満たしてもよい。
【0040】
気体4の容積は、例えば、10の4乗立方ミリメートル(10立方センチメートル)と9.10の4乗立方ミリメートル(90立方センチメートル)の間に含まれる。ここでは、その気体というのは空気であるが、他の応用には、他の気体を用いてもよい。
【0041】
印刷を行っていない時、休止状態で開口部2からインクである液体3が流れださないように、気体4を外気を下まわる圧力に維持するのに使う減圧のための調節装置は、気体4と接触した状態で孔5の上に分岐させている。それはつまり、所望の作業圧力の制御装置なのである。
【0042】
図2では、そのような調節装置を構成しているのは、正圧器6、負圧器7、並びにそれらの供給器と液溜体1とのインターフェイスをなす装置、液溜体1の孔5の上にまで分岐してくる、調節装置の出口の導管8である。
【0043】
調節装置を形成するものとしては、第1電磁弁9、第2電磁弁10、第3電磁弁11を含むが、この場合、三つとも同じで、管が三本で二通りの態勢を取れる単一安定型のものであり、その他に、付属タンク12、産業的なプログラムが可能なオートマトンであるコントロール手段14、データ収集インターフェイス15、並びに減圧を測定できるバキュームスイッチである測定手段13である。
【0044】
例において、液溜体1の中に維持すべき圧力は負圧である。しかし、本発明は、例えば液溜体1の中に入っている液体を抜くなど、正圧の調節にも応用されるものである。
【0045】
付属タンク12は、5立方ミリメートルの気密性の容器で、そこから導管が一本出ている。
【0046】
オートマトンであるコントロール手段14は、入口で、バキュームスイッチである測定手段13から出た圧力の測定値を受信し、出口で、第1電磁弁9、第2電磁弁10、第3電磁弁11のそれぞれをコントロールする。
【0047】
データ収集インターフェイス15も、オートマトンであるコントロール手段14の入口で分岐しており、該オートマトンであるコントロール手段14の内部メモリーに、装置が作動するのに必要な圧力の閾値を入力できるようになっている。
【0048】
そのような値は、装置が作動している間はいつでも変更することが可能であり、オートマトンであるコントロール手段14は、そのように変更された新しい値を、装置を止めることなく、計算に入れる。
【0049】
第1電磁弁9は、休止状態で、付属タンク12を第2電磁弁10の入口につなぎ、そして、起動した状態では、付属タンク12を液溜体1に接続された導管8につなぐ。
【0050】
第2電磁弁10は、休止状態で、第3電磁弁11の入口を、第1電磁弁9から出ている導管につなぎ、そして、起動した状態では、その同じ第3電磁弁11の入口を、液溜体1に接続された導管8につなぐ。
【0051】
第3電磁弁11は、休止状態で、第2電磁弁10から出ている導管を、負圧器7につなぎ、そして、起動した状態では、第2電磁弁10から出ている導管を、正圧器6につなぐ。
【0052】
そういうわけで、第1電磁弁9、第2電磁弁10、第3電磁弁11が休止状態にある場合には、以下のような構成になる。
・負圧器7を、第2電磁弁10と第3電磁弁11とを介して、付属タンク12に接続する。
・液溜体1に接続した導管8を、バキュームスイッチである測定手段13に接続する。
【0053】
オートマトンであるコントロール手段14は、一つのメモリーの中で4つの圧力閾値を自由に使うことができ、該圧力閾値は、データ収集インターフェイス15で伝達された、以下のものである。
・急速調節の最小閾値
・設定値の最小閾値
・設定値の最大閾値
・急速調節の最大閾値
【0054】
一時的保留の最小及び最大の圧力閾値は、液溜体1の内部に維持したい圧力の値にごく間近な、その周辺の値を取るのであり、そのようにして、圧力調節の下限と上限を規定しており、その間で、圧力調節は、付属タンク12と液溜体1の間でさまざまな気体の容積を調節することによって行うこととなる。
【0055】
一方、急速調節の最小及び最大圧力閾値は、一時的保留の閾値の範囲を限定するものであり、そのようにして、設定値を基準として下限と上限を規定し、その限度を越えれば、液溜体1から直に分岐した管を、正圧器6または真空供給器である負圧器7のいずれか一つに向かって開放することになる。
【0056】
オートマトンであるコントロール手段14は、そのような4つの閾値の管理を、バキュームスイッチである測定手段13によって、液溜体1の中の圧力値を定期的に読み取ることにより、そして、第1電磁弁9、第2電磁弁10、第3電磁弁11を、以下のような原理に従って起動することにより、行う。
・第1電磁弁9は、第2電磁弁10を休止状態にしたままで、付属タンク12を正圧気体または負圧気体で満たすか、あるいは付属タンク12を、液溜体1と連通させる。
・第2電磁弁10は、正圧器6または負圧器7を、付属タンク12につないで充填するか、あるいは付属タンク12を介さないで液溜体1につないで、急速調節を行う。
・第3電磁弁11は、正圧器6または負圧器7を選択する。
【0057】
本発明にかなう形では、上記に説明した構造の装置は、以下に示すように作動する。
【0058】
使用者は、まず、オートマトンであるコントロール手段14のメモリーに4つの閾値を入力し、そして該オートマトンを操作する。
【0059】
そこでオートマトンであるコントロール手段14は、液溜体1の中にある気体の圧力を検査し、第1電磁弁9、第2電磁弁10、第3電磁弁11に働きかけて、制御ループを生成し、二つの設定値の閾値の間でその圧力を維持する。
【0060】
急速調節の第1段階が行われるとしたら、それは、液溜体1の中の圧力値が、急速調節の二つの閾値の間によって形成される範囲の外に位置している場合である。
【0061】
液溜体1の中の圧力値が、急速調節最小圧力閾値を下回る場合には、液溜体1を付属タンク12を介さないで正圧器6につないで、その内部の圧力が急速に急速調節最大閾値に達するようにする。
【0062】
そのようにするために、第1電磁弁9を休止状態のままにしておいて、第2電磁弁10を起動し、そして第3電磁弁11を起動する。
【0063】
同様に、液溜体1の中の圧力値が急速調節最大圧力閾値を上回る場合には、液溜体1を付属タンク12を介さないで負圧器7につないで、その中の圧力が急速に急速調節最小閾値に達するようにする。
【0064】
そのようにするために、第1電磁弁9を休止状態のままにしておいて、第2電磁弁10を起動し、そして第3電磁弁11を休止状態のままにしておく。
【0065】
そのような第1段階についで、液溜体1の中の圧力値は、急速調節の二つの閾値の間に位置するのだが、設定値の二つの閾値によって形成される範囲からは外れている。
【0066】
そこで、付属タンク12を調節用の気体の容積として扱うことによって、最良の調節の第2段階が行われる。
【0067】
液溜体1の中の圧力値が、設定値の最小圧力閾値を下回る場合には、付属タンク12に正圧気体を充填し、その正圧気体を直ちに液溜体1の中に移送するという作業を必要な回数繰り返して、それにより、液溜体1の中の圧力値が、設定値の最小圧力閾値を上回るようにする。
【0068】
そのようにするために、第2電磁弁10を休止状態のままにしておいて、第3電磁弁11を起動する。すると、一時的保留の最小閾値に達するまで、第1電磁弁9はパチパチ音をたてはじめる。これは、起動と停止とを続けざまに行われるためである。このパチパチという音は、一時的保留の最小閾値を越えるとすぐに止み、液溜体1の中の圧力がその同じ閾値より下に行くとすぐに、再開する。
【0069】
同様に、液溜体1の中の圧力値が、設定値の最大圧力閾値を上回る場合には、第1電磁弁9のパチパチ音は、液溜体1の中の圧力を、再び設定値の最大圧力閾値を下回るところに戻して、そこに維持することができるようにするが、その際には、今度は第3電磁弁11を休止状態のままにしておいて、それにより付属タンク12に負圧気体を充填する。
【0070】
この場合には、装置を液溜体1の中の減圧の調節に応用し、それにより、該液溜体1の中に維持するようにする。
【0071】
他のもう一つの例においては、正圧の圧力を同様のやり方で調節して、液溜体1の中に入っている液体を抜くことができるようにする。その際には、例えば、一時的保留の最小圧力閾値を25000Pa(0.25バール)、一時的保留の最大圧力閾値を35000Pa(0.35バール)となるように選択する。
【0072】
図3では、調節装置をICカード、CD、CD−ROMのような携帯可能情報媒体を製造するのに応用することを示している。
【0073】
情報媒体製造設備17が含んでいるコンベヤー19は、生産ラインに沿って、携帯可能情報媒体18を一つの製造部門から次の部門へと移動させていく。
【0074】
この情報媒体製造設備17は、製造した媒体を組み立てた後で、電子的にもグラフィック的な面でも製品の個性化を行うための印刷部門を含んでいる。印刷部門は、インク噴射型の印刷機16で、この場合には、携帯可能情報媒体18のグラフィック的な個性化を確実に行うためのものであり、この印刷機16は少なくとも一つの印刷ヘッド20を備えており、本発明により調節した減圧で、該印刷ヘッド20の中にインクを維持する。
【符号の説明】
【0075】
1 液溜体
2 開口部
3 液体
4 気体
5 孔
6 正圧器
7 負圧器
8 導管
9 第1電磁弁
10 第2電磁弁
11 第3電磁弁
12 付属タンク
13 測定手段
14 コントロール手段
15 データ収集インターフェイス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】米国特許第5189438号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(3)を溜める液溜体(1)に、正圧または負圧をかける手段による圧力の調節方法であり、
該液溜体(1)には、圧力調整用の気体(4)も含み、
該方法が、
a)該液溜体の気体(4)について、圧力の設定値を規定する過程と、
b)液溜体(1)にある気体(4)の圧力を測定する過程と、
c)液溜体(1)にある気体(4)の圧力の測定値と、圧力の設定値とを比較する過程と、
d)液溜体(1)にある気体(4)の圧力の測定値が、圧力の設定値を上回る場合には、設定値より低い圧力の気体を溜める付属タンク(12)と液体(3)を溜める液溜体(1)と連通することで、気体(4)の容積を調整して液溜体(1)に負圧をかける過程と、
e)液溜体(1)にある気体(4)の圧力の測定値が、圧力の設定値を下回る場合には、設定値より高い圧力の気体を溜める付属タンク(12)と液溜体(1)と連通することで、気体(4)の容積を調整して液溜体(1)に正圧をかける過程とを含み、
さらに、
圧力を測定する過程(b)の前に、
a1)圧力の設定値を基準として、急速調節の最小圧力閾値と急速調節の最大圧力閾値とで範囲を規定する過程を含み、
比較する過程(c)の前に、
b1)液溜体(1)にある気体(4)の圧力の測定値と、急速調節の最小圧力閾値及び最大圧力閾値とを比較する過程と、
b2)液溜体(1)にある気体の圧力が、急速調節の最大圧力閾値を上回る場合には、液溜体(1)を負圧の継続的供給源に、圧力が設定値に近い値を示すまで付属タンク(12)を介することなく連通することで負圧をかける過程と、
b3)液溜体(1)にある気体の圧力が、急速調節の最小圧力閾値を下回る場合には、液溜体(1)を正圧の継続的供給源に、圧力の設定値に近い値を示すまで付属タンク(12)を介することなく連通することで正圧をかける過程とを含み、
測定する過程(b)と、比較する過程(c)と、そして負圧をかける過程(d)または正圧をかける過程(e)とを、一定の間隔で連続的に繰り返し行うことを特徴とする、圧力調節。
【請求項2】
液体(3)の液溜体(1)に更に気体(4)も含む印刷ヘッド用の、正圧または負圧を加える装置のための調節装置であり、その装置は請求項1に記載の圧力調節方法を実施するためのものであり、
液溜体(1)に連通する付属タンク(12)と、
付属タンク(12)に正圧または負圧の気体を充填する充填手段と、
・付属タンク(12)と、液体(3)の液溜体(1)とを連通する連通手段と、
・液体(3)の液溜体(1)の中にある気体(4)の圧力を測定する測定手段(13)と、
・測定手段(13)と連携して、充填手段と連通手段とを起動するコントロール手段(14)を含み、
更に、付属タンク(12)に正圧または負圧の気体を充填する充填手段の継続的供給源を、液体(3)の液溜体(1)に、付属タンク(12)を介することなく連通する連通手段を含むことで、液溜体(1)に付属タンク(12)を介することなく正圧または負圧の気体を充填する充填手段を含み、
更に、液体(3)の液溜体(1)の中の圧力の設定値を選択する選択手段を含み、前記選択手段により、調節装置が作動している間に、圧力の設定値を変更することも可能になることを特徴とする、調節装置。
【請求項3】
プラスチックの下地の上に印刷する印刷機(16)であり、該印刷機は、開口部(2)を有し印刷用の液体(3)並びに気体(4)を含む液溜体(1)を備えている印刷ヘッドを含み、更に請求項2に記載の調節装置を含むことを特徴とする、印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−196369(P2009−196369A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111906(P2009−111906)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【分割の表示】特願2003−515926(P2003−515926)の分割
【原出願日】平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願人】(500342363)
【氏名又は名称原語表記】GEMPLUS
【Fターム(参考)】