説明

圧力センサ用パッケージおよびその製造方法、ならびに圧力センサ

【課題】 外部の圧力を感度良く検出することができる圧力センサ用パッケージおよび圧力センサを提供することにある。また、圧力センサ用パッケージの製造方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明の圧力センサ用パッケージは、内部空間Sを有する絶縁構造体1と、内部空間Sの互いに対向する内壁面の上側及び下側のそれぞれに設けられた上側電極6及び下側電極5とを備え、内壁面の上側或いは下側の少なくとも一方が、外部からの圧力が印加された際に可撓する可撓領域を有する圧力センサ用パッケージであって、絶縁構造体1には、内部空間Sから絶縁構造体1の外表面まで延びる空隙部7が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を検出するための静電容量型の圧力センサ用パッケージ、およびその製造方法、ならびに圧力センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力を検出するための圧力検出装置として静電容量型の圧力検出装置が知られている。この静電容量型の圧力検出装置に用いられるパッケージは、下記特許文献1に記載されているように、半導体素子が搭載される搭載部を有する絶縁基体と、絶縁基体の表面に形成された静電容量形成用の第1の電極と、絶縁基体の表面に可撓な状態で接合されたダイアフラムと、このダイアフラムの表面に第1の電極に対向するように被着された静電容量形成用の第2の電極とを備えている。そして、第1の電極および第2の電極により静電容量を形成するために、これら電極間に所定の間隔を設ける必要があり、ダイアフラムと絶縁基体との間に枠状のスペーサを備えている。そして、これらの絶縁基体とスペーサとダイアフラムとにより密閉された空間が形成され、外部の圧力の変動に伴ってダイアフラムが可撓することで、第1の電極と第2の電極との間隔の変化させることができる。
【0003】
なお、下記特許文献1における圧力検出装置用パッケージにおいては、絶縁基体とスペーサとダイアフラムとが一体的に形成されている。
【0004】
このような圧力検出装置用パッケージは、絶縁基体用のセラミックグリーンシートと、スペーサ用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム用のセラミックグリーンシートとを積層して、内部に密閉空間を有する圧力検出装置用パッケージ用のセラミックグリーンシート積層体を形成し、これを焼成することにより焼結一体化して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−47327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したセラミックグリーンシート積層体を焼成すると、この焼成による焼結一体化と同時に内部に密閉空間が形成されてしまうことから、焼成後に内部空間の気圧を用途に応じて調整することや、必要に応じて望ましいガスを充填することが不可能であった。
【0007】
また、圧力センサ用パッケージを構成するセラミックグリーンシート積層体を焼成する際、空間を密閉した状態で焼結を行うため、空間内のガスが膨張したり、セラミックグリーンシートから脱したガスが空間内に充満したりして、焼成時にダイアフラムが変形してしまい、第1の電極と第2の電極との間隔が大きくなるということがあった。
特に、近年は、圧力検出装置用パッケージの小型化に伴い、第1電極および第2電極の面積が小さくなってきており、第1の電極と第2の電極との間隔が予定したものよりも広くなると、外部の圧力の変動による変化率が低減して外部の圧力を感度良く検出することができなくなる可能性を有していた。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑み案出されたもので、その目的は、外部の圧力を感度良く検出することができる圧力センサ用パッケージおよび圧力センサを提供することにある。
また、圧力センサ用パッケージの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧力センサ用パッケージは、内部空間を有する絶縁構造体と、該内部空間の互いに対向する内壁面の上側及び下側のそれぞれに設けられた上側電極及び下側電極とを備え、前記内壁面の上側或いは下側の少なくとも一方が、外部からの圧力が印加された際に可撓する可撓領域を有する圧力センサ用パッケージであって、平面視において絶縁構造体の前記内部空間の周囲の領域には、内部空間から絶縁構造体の外表面まで延びる空隙部が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、好ましくは、前記空隙部が封止材によって封止されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧力センサ用パッケージは、平面視において絶縁構造体の内部空間の周囲の領域に、内部空間から絶縁構造体の外表面まで延びる空隙部が形成されている。従って、空隙部が形成されておらず、予め内部空間が密閉された状態にある絶縁構造体からなる圧力センサ用パッケージとは異なり、必要に応じて絶縁構造体の内部空間内の状態を変更することができる。例えば、内部空間を真空状態にすることで、上部電極と下部電極間の誘電率を低くすることができる。また、圧力センサが極端な高圧環境下においての使用が予定される場合は、内部空間を大気圧よりも十分高くしておくこともでき、さらには必要に応じて、ヘリウムガス等のガスを充填しておくこともできる。また、可撓領域に空隙部を形成した場合と比較して、外部の圧力が印加された際の可撓領域の撓みにばらつきが生じることが抑制される。
【0012】
また、空隙部が封止材によって封止されていることから、必要に応じた状態で密閉された内部空間を有する圧力センサ用パッケージとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の圧力センサ用パッケージの実施の形態の一例を示す平面図である。
【図2】(a)は、図1のA−A’線における断面図であり、(b)は、(a)を元にした本発明の圧力センサの断面図である。
【図3】本発明の圧力センサ用パッケージの絶縁基体の実施の形態の一例を示す分解上面図である。
【図4】本発明の圧力センサ用パッケージのスペーサの実施の形態の一例を示す分解上面図である。
【図5】本発明の圧力センサ用パッケージのダイアフラムの実施の形態の一例を示す分解下面図である。
【図6】本発明の圧力センサ用パッケージの実施の形態の一例を示す平面図である。
【図7】(a)は、本発明の圧力センサ用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、(b)は、(a)を元にした本発明の圧力センサの断面図である。
【図8】(a)は、本発明の圧力センサ用パッケージの実施の形態の一例を示す断面図であり、(b)は、(a)を元にした本発明の圧力センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の圧力検出装置用パッケージについて説明する。図1は、本発明の圧力センサ用パッケージの実施の形態の一例を示す平面図である。図2(a)は、図1のA−A’線における断面図であり、図2(b)は、図2(a)を元にした圧力センサの断面図である。これらの図において、1は絶縁構造体、2は絶縁基体、3はスペーサ、4はダイアフラム、4aは可撓領域、5は下側電極、6は上側電極、7は空隙部、8は配線導体、9は封止
材、10は電子部品、11は導電性接合材、12は封止樹脂であり、Sは内部空間である。
【0015】
本発明の圧力センサ用パッケージは、内部空間Sを有する絶縁構造体1と、内部空間Sの互いに対向する内壁面の上側及び下側のそれぞれに設けられた上側電極6及び下側電極5とを備え、内壁面の上側或いは下側の少なくとも一方が、外部からの圧力が印加された際に可撓する可撓領域4aを有する圧力センサ用パッケージであって、絶縁構造体1には、内部空間Sから絶縁構造体1の外表面まで延びる空隙部7が形成されている。
【0016】
なお、本発明の絶縁構造体1は、例えば、絶縁基体2とスペーサ3とダイアフラム4とから構成され、これらにより絶縁構造体1に内部空間Sが形成される。
【0017】
絶縁基体2、スペーサ3、ダイアフラム4は、酸化アルミニウム質焼結体,窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,炭化珪素質焼結体,窒化珪素質焼結体,ガラス−セラミックス等の電気絶縁材料から成る積層体である。絶縁基体2、スペーサ3、ダイアフラム4は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、次のようにして製作される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に、適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法によりシート状に成形して複数枚のセラミックグリーンシートを得る。その後、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工,積層加工,切断加工を施すことにより絶縁基体2、スペーサ3、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートを得る。そして、これら絶縁基体2、スペーサ3、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートを約1600℃の温度で焼成することにより、絶縁基体2、スペーサ3、ダイアフラム4がそれぞれ製作される。
【0018】
絶縁基体2は、一方の面(図2では下面)に、電子部品10が収容される凹部1aが形成されており、電子部品10を収容する容器として機能する。そして、この凹部1aの底面の中央部に、電子部品10が搭載される搭載部1bが形成されている。この搭載部1bに電子部品10が搭載されるとともに、電子部品10が凹部1a内において例えばエポキシ樹脂等の樹脂製封止材12により覆われることにより、電子部品10が封止される。
【0019】
なお、この例では、電子部品10は、樹脂製封止材12によって覆われることにより封止されるが、絶縁基体2の一方の面に金属やセラミックスから成る蓋体を、凹部1aを塞ぐように接合させることにより封止してもよい。
【0020】
また、搭載部1bには電子部品10の各電極と電気的に接続される複数の配線導体8が導出されており、この配線導体8と電子部品10の各電極とが半田バンプ等の導電性材料から成る導電性接合材12を介して接合される。これにより電子部品10の各電極と各配線導体8とが電気的に接続されるとともに電子部品10が搭載部1bに固定される。なお、図2に示した例では、電子部品10の電極と配線導体8とが半田バンプを介して接続される構造としたが、電子部品10の電極と配線導体8とはボンディングワイヤ等の他の電気的接続手段により接続されてもよい。
【0021】
配線導体8は、電子部品10の各電極を外部電気回路および下部電極5,上部電極6に電気的に接続するための導電路として機能し、その一部は絶縁基体2の一方の面(図2では下面)の外周部に導出され、別の一部は下部電極5,上部電極6に電気的に接続されている。そして、電子部品10の各電極がこれら配線導体8に半田バンプ等の導電性接合材11を介して電気的に接続されるとともに電子部品10が樹脂製封止材12で封止された後、配線導体8の絶縁基体2の一方の面(図2では下面)の外周部に導出された部位が外部電気回路基板の配線導体(図示せず)に半田等の導電性接合材を介して接合されること
により、内部に収容される電子部品10が外部電気回路に電気的に接続されることとなる。
【0022】
このような配線導体8は、タングステン,モリブデン,銅,銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストをスクリーン印刷法により絶縁基体2用のセラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これを絶縁基体2用のセラミックグリーンシートとともに焼成することによって絶縁基体2の内部および表面に所定のパターンに形成される。なお、配線導体8の露出表面には、配線導体8が酸化腐食することを防止するとともに、配線導体8と半田等の導電性接合材12との接合を良好なものとするために、厚みが1〜10μm程度のニッケルメッキ層と厚みが0.1〜3μm程度の金メッキ層とが順次被着されていることが好ましい。
【0023】
また、絶縁基体2の上面中央部には、静電容量形成用の下部電極5が被着されている。この下部電極5は、後述する上部電極6とともに感圧素子用の静電容量を形成するためのものであり、例えば略円形のパターンに形成されている。そして、この下部電極5には複数の配線導体8のうちの一つである配線導体8aが接続されており、この配線導体8aに電子部品10の電極が半田バンプ等の導電性接合部材12を介して接続されることにより電子部品10の電極と下部電極5とが電気的に接続される。
【0024】
このような下部電極5は、タングステン,モリブデン,銅,銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して得たメタライズペーストをスクリーン印刷法により絶縁基体2用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これを絶縁基体2用のセラミックグリーンシートとともに焼成することによって絶縁基体2の上面中央部に所定のパターンに形成される。
【0025】
スペーサ3は、下部電極5を取り囲むようにして絶縁基体2の上面に積層されている。スペーサ3は、絶縁基体2と同様のセラミックス材料からなり、絶縁基体2とダイアフラム4との間に所定の間隔の密閉空間を設けるものとして機能し、外形が絶縁基体2と同様の略四角形状であり、その中央部には絶縁基体2とダイアフラム4との間に密閉空間を形成するための円形の貫通穴が形成されている。なお、スペーサ3は、その厚みが0.01mm未満では、ダイアフラム4が圧力を受けて撓んだ際に、下部電極5と上部電極6とが接触してショートしてしまう危険性が大きくなり、他方、5mmを越えると、下部電極5と上部電極6との間隔が広いものとなりすぎて内蔵する感圧素子の感度が低いものとなってしまう。従って、スペーサ3の厚みは0.01〜5mmの範囲であることが好ましい。このようなスペーサ3は、内部空間S用の貫通孔を有するスペーサ3用のセラミックグリーンシートを絶縁基体2用のセラミックグリーンシート上に積層するとともに、これらを焼成することによって絶縁基体2の上面に下部電極5を取り囲むようにして焼結一体化される。
【0026】
スペーサ3の上面には、略平板状のダイアフラム4が絶縁基体2との間に内部空間Sを形成するようにして可撓な状態で焼結一体化されている。ダイアフラム4は、絶縁基体2と同様のセラミックス材料からなる厚みが0.01〜5mmの略四角状の平板であり、外部の圧力に応じて絶縁基体2側に撓むいわゆる圧力センサ用のダイアフラムとして機能する。なお、スペーサ3との積層領域4bよりも内側の領域が可撓領域4a(図1に示す長破線より内側に示される領域)となり、この可撓領域4aが外部の圧力に応じて撓むこととなる。なお、ダイアフラム4は、その厚みが0.01mm未満では、その機械的強度が小さいものとなってしまうため、これに大きな外部圧力が印加された場合に破壊されてしまう危険性が大きなものとなり、他方、5mmを超えると、小さな圧力では撓みにくくなり、圧力センサ用のダイアフラムとしては不適となってしまう。したがって、ダイアフラ
ム4の厚みは0.01〜5mmの範囲が好ましい。なお、ダイアフラム4は、ダイアフラム4用の平板状のセラミックグリーンシートを上述のスペーサ3用のセラミックグリーンシート上に積層し、これらを焼成することによって、スペーサ3上に絶縁基体2との間に内部空間Sを形成するようにして可撓な状態で焼結一体化される。これにより、絶縁基体2とスペーサ3とダイアフラム4とからなる内部空間Sを有する絶縁構造体1が焼結一体化して形成される。
【0027】
また、ダイアフラム4の下面には静電容量形成用の略円形の上部電極6が下部電極5と対向するようにして被着されている。この上部電極6は、前述の下部電極5とともに感圧素子用の静電容量を形成するための電極として機能する。そして、上部電極6には配線導体8の他の一つ8bが接続されており、それにより配線導体8bに電子部品10の電極を半田バンプ等の導電性接合部材11を介して接続すると電子部品10の電極と上部電極6とが電気的に接続されるようになっている。
【0028】
このとき、下部電極5と上部電極6とは、絶縁基体2とダイアフラム4との間に形成された内部空間Sを挟んで対向しており、これらの間には、下部電極5や上部電極6の面積および下部電極5と上部電極6との間隔に応じて所定の静電容量が形成される。そして、ダイアフラム4の上面に外部の圧力が印加されると、その圧力に応じてダイアフラム4の可撓領域4aが絶縁基体2側に撓んで下部電極5と上部電極6との間隔が変わり、それにより下部電極5と上部電極6との間の静電容量が変化するので、外部の圧力の変化を静電容量の変化として感知する感圧素子として機能する。そして、この静電容量の変化を凹部1a内に収容した電子部品10に配線導体8a・8bを介して伝達し、これを電子部品10で演算処理することによって外部の圧力の大きさを知ることができる。なお、本発明の圧力センサは、80Kpa(低圧用圧力センサ)〜2000Kpa(高圧用圧力センサ)の圧力のもとで使用することが可能である。
【0029】
なお、上部電極6は、タングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、タングステン等の金属粉末に適当な有機バインダ・溶剤・可塑剤・分散剤を添加混合して得たメタライズペーストを従来周知のスクリーン印刷法を採用してダイアフラム4用のセラミックグリーンシートに印刷塗布し、これをダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとともに焼成することによってダイアフラム4の下面に内部空間Sを挟んで下部電極5と対向する所定のパターンに形成される。
【0030】
そして、本発明においては、絶縁構造体1には、内部空間Sから絶縁構造体1の外表面まで延びる空隙部7が形成されている。この圧力センサ用パッケージは、図2(b)に示すように、空隙部7を封止材9により封止(図2においては、空隙部7を開口部にて封止)することにより、内部空間Sを密閉することができる。例えば、内部空間Sを真空状態にすることで、上部電極6と下部電極5間の誘電率を低くすることもできる。また極端な高圧環境下においての使用が予定される場合は、内部空間Sを大気圧よりも十分高くしておくこともでき、さらには必要に応じてヘリウムガス等のガスを充填しておくこともできる。これにより、空隙部7が形成されておらず、予め内部空間Sが密閉された状態にある絶縁構造体1とは異なり、必要に応じて絶縁構造体1の内部空間S内の状態を変更することができる。
【0031】
また、上述のように、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとを積層して絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体を形成した際、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体には、焼成前に予め内部空間Sからセラミックグリーンシート積層体の外表面まで形成された空隙部7を設けておくと良い。これにより、内部空間Sと絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体の外表面とが空隙部7により繋がる
こととなり、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体を焼成する際、内部空間S内のガスを外部に放出することができるとともに、外部の気圧と内部空間内の気圧とを近いものとすることができるので、焼成時に内部空間Sのガスが膨張し、絶縁構造体1の可撓領域4aが変形して上側電極6と下側電極5との間隔が予定したものよりも広くなってしまうことを抑制することができる。これにより、外部の圧力を感度良く検出することができる。
【0032】
また、封止材9としては、ガラス、樹脂、ろう材等を用いることができる。なお、封止材9としてAg−Cuろう等のろう材を用いる場合には、空隙部7の周囲の絶縁構造体1の表面に接合用の金属層(図示せず)を設けておき、この金属層を介してろう材を接合することにより空隙部7を封止することができる。例えば、開口部7の開口に沿って絶縁構造体1の表面に金属層を形成しておき、この金属層上にて一定量以上のろう材を溶融させて空隙部7を開口にて封止するようにすれば良い。このような金属層は、上述の配線導体8と同様にタングステン,モリブデン,銅,銀等の金属粉末メタライズ分散剤等を添加混合して得たメタライズペーストをスクリーン印刷法等により絶縁構造体1を構成する各セラミックグリーンシートに所定のパターンに印刷塗布し、これを絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体とともに焼成することによって空隙部7の周囲の絶縁構造体1の表面に所定のパターンに形成される。なお、接合用の金属層がタングステンやモリブデンからなる場合、配線導体8の露出表面には、Ag−Cuろう等のろう材との接合を良好にするために、厚みが1〜10μm程度のニッケルメッキ層が被着されていることが好ましい。また、封止材9としてAg−Cuろう等のろう材を用いる場合、封止材9が酸化腐食することを抑制するために、配線導体8と同様に封止材9の露出する表面に厚みが1〜10μm程度のニッケルメッキ層と厚みが0.1〜3μm程度の金メッキ層とが順次被着されていることが好ましい。
【0033】
また、空隙部7は、外部からの圧力が印加された際にダイアフラム4が可撓する可撓領域4a以外の領域、例えば、ダイアフラム4とスペーサ3とが積層されている積層領域4bに設けられていることが好ましい。これにより、ダイアフラム4の可撓領域4aに空隙部7を形成した場合と比較して、外部の圧力が印加された際のダイアフラム4の撓みにばらつきが生じることが抑制される。従って、上側電極6と下側電極5とによって検出される静電容量のばらつきを抑制することができ、外部の圧力を感度良く検出することができる。
【0034】
また、図3〜図5は、空隙部7が可撓領域4a以外の領域に設けられた場合の圧力センサ用パッケージの一例であり、絶縁構造体1の分解図を示している。ここでは、空隙部7は、スペーサ3およびダイアフラム4の積層領域4bに設けられており、図3は絶縁基体2の上面図、図4はスペーサ3の上面図、図5はダイアフラム4の下面図(絶縁基体2側からの下面図)をそれぞれ示している。なお、これらの図において、破線よりも外側における領域が、絶縁基体2と、スペーサ3と、ダイアフラム4とにおけるそれぞれの積層領域を示している。
【0035】
また、空隙部7は、ダイアフラム4に形成する場合、例えば、図6に示すように、積層領域4bの幅広の領域に形成することがより好ましい。なお、ダイアフラム4が四角形状であり、可撓領域4aが円形状であれば、空隙部7は、積層領域4bの幅広の領域となる対角線上の位置に設けることが好ましい。これにより、空隙部7の周囲において、絶縁構造体1の機械的強度が低下することを抑制できる。
【0036】
また、図7に示すように、ダイアフラム4の上面に枠体13を形成しても構わない。このような枠体13は、絶縁構造体1と同様のセラミック材料からなる。
枠体13は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、次のようにして製
作される。まず、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に、適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法によりシート状に成形して複数枚のセラミックグリーンシートを得る。その後、このセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工,積層加工,切断加工を施すことにより枠体13用のセラミックグリーンシートを得る。
そして、このセラミックグリーンシートを約1600℃の温度で焼成することにより、枠体13が製作される。
【0037】
なお、枠体13用のセラミックグリーンシートを可撓領域4aを取り囲むようにしてダイアフラム4用のセラミックグリーンシート上に積層し、これらを同時に焼成することにより、枠体13は、ダイアフラム4と焼結一体化、すなわち絶縁構造体1と焼結一体化される。なお、枠体13の内径の形状は、平面視で、円形状であることが好ましい。なお、ダイアフラム4の上面に枠体13を設ける場合は、図7に示すように、空隙部7は、枠体13に開口しておいても構わない。
【0038】
なお、この枠体13用のセラミックグリーンシートをダイアフラム4用のセラミックグリーンシート上に積層して焼成することにより、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートはスペーサ3用のセラミックグリーンシートと枠体13用のセラミックグリーンシートとにより上下方向から積層されるので、焼成時のダイアフラム4の反りを抑制することができる。
【0039】
また、空隙部7は、その経路に段差7aを設けておいても構わない。図7においては、枠体13に形成された空隙部7の開口径を、ダイアフラム4に形成された空隙部7の開口径よりも大きくすることで、段差7aを設けている例を示している。これにより、封止材9により空隙部7を封止する際に、封止材9をこの段差部7a内に配置できるので、封止材9が絶縁構造体1の主面から突出することを抑制しやすくなり、圧力センサ用パッケージの厚みや外形形状を安定したものとしやすくなる。また、空隙部7がダイアフラム4の主面側に開口されており、かつ空隙部7が可撓領域4a以外に設けられている場合、封止材9がダイアフラム4の可撓領域4aにまで流出してしまい、ダイアフラム4の撓みに歪みが発生してしまうことを抑制することができる。
【0040】
また、空隙部7には封止材9が封入されるとともに、空隙部7は、曲部を備えていることが好ましい。なお、ここでいう曲部とは、内部空間Sから絶縁構造体1の外表面まで延びる空隙部7が、その経路の途中で屈曲している部位をいう。これにより、空隙部7に封止材9を封入する際、封止材9を曲部に止めることが可能となるので、封止材9が内部空
間Sまで侵入して上側電極6や下側電極5を被覆してしまうことを抑制することができる。従って、上側電極6と下側電極5とによって検出される静電容量のばらつきを抑制することができ、外部の圧力を精度良く検出することができるようになる。
【0041】
また、図8に示すように、空隙部7がダイアフラム4の主面側に開口されており、かつ空隙部7が可撓領域4a以外に設けられている場合、空隙部7の奥側にあたる絶縁基体2の上面等に凹み部7bを設けておいても構わない。これにより、封止する際に、封止材9の一部がちぎれたりして空隙部7を封止する封止材9の一部が流入してしまっても、封止材9を凹み部7bに収容させることで、内部空間Sにまで侵入することを抑制することができる。なお、封止材9としてAg−Cuろう等のろう材を用いる場合には、凹み部7bの底面に接合用の金属層を形成しておくと、侵入した封止材9の一部を凹み部7bに形成された金属層により確実に被着させることができ、内部空間Sにまで侵入することを抑制することができる。
【0042】
また、ダイアフラム4は、Si、Ca、Mg、Tiから選ばれる1種或いは複数種の金属の酸化物(金属酸化物)を含むセラミックスからなり、絶縁基体2およびスペーサ3を構成するセラミックスに含まれる金属酸化物の重量比(0を含む)よりも、ダイアフラム4を構成するセラミックスに含まれる金属酸化物の重量比のほうが高いことが好ましい。
【0043】
このことから、ダイアフラム4のヤング率を、絶縁基体2およびスペーサ3のヤング率よりも低くできる。そして、外部の圧力が印加された際、ヤング率の低いダイアフラム4の可撓領域4aは変形しやすい一方で、ヤング率の高い絶縁基体2およびスペーサ3は変形しにくくなる。従って、感度のよい可撓領域を持ちつつ、堅牢さを備えた絶縁構造体が得られる。これにより、外部の圧力をより感度良く検出することができる。
【0044】
尚、ここで金属酸化物の重量比とは、以下の手順及び下記の式1に従い算出されるものをいう。すなわち、Oとそれぞれの金属(Si,Ca,Mg,Ti)が、次に掲げる状態(SiO、CaO、MgO、TiO)でそれぞれ結合しているもの、すなわち化学量論的に結合しているものとして換算した金属酸化物の重量%(複数種の場合は合量の重量%)を算出する。
【0045】
次に、主結晶相を構成するセラミックス(例えばAl,AlN,Si等の少なくとも1種或いは複数種)の重量%(複数種の場合は合量の重量%)を算出する。
【0046】
そして、次の式:金属酸化物の重量比=金属酸化物の重量%×100/セラミックスの重量%・・・式1に従って算出した値を金属酸化物の重量比という。
【0047】
このような絶縁構造体1は、絶縁構造体1が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、ダイアフラム4は、酸化アルミニウム質焼結体からなり、金属酸化物の重量比を2〜35になすとよい。
【0048】
一方、絶縁基体2およびスペーサ3は、酸化アルミニウム質焼結体からなり、金属酸化物の重量比を1〜15になすとよい。尚、ダイアフラム4の金属酸化物の重量比は、絶縁基体2およびスペーサ3の金属酸化物の重量比よりも大きくなすことが重要である。これにより、ダイアフラム4の可撓領域4aに十分な柔軟性を持たせることができる圧力センサが得られる。具体的には、ダイアフラム4に含まれる金属酸化物の重量比と、絶縁基体2およびスペーサ3に含まれる金属酸化物の重量比との差は、1〜20であることが好ましい。
【0049】
1以上であると、上述のヤング率の差が十分なものとなり、可撓性と堅牢さを備えた圧力センサ用パッケージが得られる。また、20以下であると、ダイアフラム4とスペーサ3との間の界面に応力ひずみが生じることが抑制でき、内部空間Sの気密性を長期にわたって良好に保てることとなる。
【0050】
なお、上述の場合において、ヤング率をJISR1602(ファインセラミックスの弾性率試験方法)に基いて測定したところ、ダイアフラム4の酸化アルミニウム質焼結体のヤング率は、200GPa〜400GPaであった。
【0051】
また、ダイアフラム4の上面にセラミックスからなる枠体13を設ける場合、ダイアフラム4のヤング率が、枠体13のヤング率よりも低いことが望ましい。枠体13がセラミックスからなる場合は、枠体13の金属酸化物の重量比よりも、ダイアフラム4の金属酸化物の重量比を高くするとよい。
【0052】
次に、本発明の圧力センサ用パッケージの製造方法について説明する。
【0053】
本発明の圧力センサ用パッケージの製造方法は、本発明の圧力センサ用パッケージの内部空間Sを有する絶縁構造体1と、内部空間Sの互いに対向する内壁面の上側及び下側のそれぞれに設けられた上側電極6及び下側電極5とを備え、内壁面の上側或いは下側の少なくとも一方が、外部からの圧力が印加された際に可撓する可撓領域4aを有するとともに、内部空間Sから絶縁構造体1の外表面まで伸びる空隙部7が形成された圧力センサ用パッケージを得るための製造方法であって、絶縁構造体1は、内部空間S及び空隙部7が設けられたセラミックグリーンシート積層体を焼成することにより得られる。
【0054】
上述の製造方法においては、最初に、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとを準備する。次に、これらのセラミックグリーンシートに金型やパンチングによる打ち抜き方法またはレーザ加工等の孔加工方法により、配線導体8用の貫通孔および内部空間S用の貫通孔を形成するとともに、下部電極5、上部電極6、配線導体8用等のメタライズペーストを印刷塗布する。そして、これらのセラミックグリーンシートの所望の領域に、上述と同様の孔加工方法により空隙部7用の貫通孔を形成する。例えば、図2に示すような圧力センサ用パッケージを形成する場合は、スペーサ3用のセラミックグリーンシートとダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとのそれぞれに空隙部7用の貫通孔を形成しておけば良い。そして、内部空間S用の貫通孔と空隙部7用の貫通孔とが連通するようにこれらのセラミックグリーンシートを配置して積層することにより、空隙部7を有する絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体を形成することができる。なお、空隙部7用の貫通孔は、配線導体8用の貫通孔あるいは内部空間S用の貫通孔を形成する際に同時に形成しても構わない。
【0055】
また、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとを積層し、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体を形成した後に、レーザ加工等の加工方法により空隙部7を形成しても構わない。なお、空隙部7を形成する際に、セラミックグリーンシートの加工屑が内部空間Sに内在してしまう可能性を低減したり、空隙部7を必要に応じた形状に形成しやすい(段差7a、凹み部7b、曲部等を所定の形状に形成しやすい)という点を考慮すると、上述の空隙部7用の貫通孔を各セラミックグリーンシートの所望の領域に予め形成した後、これらのセラミックグリーンシートを積層して空隙部7を形成するという方法が好ましい。
【0056】
なお、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体を形成するに際して、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートと同時に積層しても良いし、個々に積層しても構わない。なお、ダイアフラム4の上面に枠体13を設ける場合、枠体13用のセラミックグリーンシートを上述と同様の孔加工方法を用いて枠状に形成した後、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシート上に積層し、その後、同時に焼成することにより形成される。
【0057】
また、好ましくは、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体の内部空間Sには、焼成終了時までには焼失する焼失部材が充填されていることが好ましい。例えば、このような焼失部材としては、焼成時に熱分解する樹脂シートや樹脂ペーストを用いることができる。例えば、スペーサ3用のセラミックグリーンシートに内部空間S用の貫通孔を形成した後、この貫通孔内に樹脂シートを埋め込んでおくことにより、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとを積層した際に、セラミックグリーンシート積層体の内部空間Sに樹脂シートが充填されることとなる。また、絶縁基体2用のセラミックグリ
ーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートとを積層し、これによって形成された凹部内に樹脂ペーストをスクリーン印刷法等により充填した後、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートを積層することにより、セラミックグリーンシート積層体の内部空間S内に樹脂ペーストが充填されることとなる。これにより、内部空間Sに焼失部材が充填されており、セラミックグリーンシート積層体は、この焼失部材により保持されるので、取扱い等によりセラミックグリーンシート積層体が変形し、内部空間Sの形状が所定の形状から大きく異なってしまうことを抑制することができる。例えば、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートと、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートとを圧力を印加して積層する際に、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートは内部空間Sに充填された焼失部材により保持されるので、積層時の圧力によりダイアフラム4のセラミックグリーンシートの可撓領域4aが変形することを抑制することができる。また、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体を形成した後、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートの可撓領域4aは、内部空間Sに充填された焼失部材により保持されるので、自重により伸張して変形することを抑制することができる。これらの焼失部材は、焼成する際には、熱分解したガスを空隙部7から良好に排出することができるので、熱分解した際に発生するガスによりダイアフラム4が変形することを抑制することができる。従って、絶縁構造体1の内部空間Sの形状を良好なものとし、上側電極6と下側電極5との間隔をより精度良く形成することができ、外部の圧力を感度良く検出することができる圧力センサ用パッケージとすることができる。
【0058】
なお、焼失部材は、絶縁構造体1用のセラミックグリーンシート積層体の内部空間S以外の領域、すなわち空隙部7にも充填しておいても構わない。この場合においても、上記内部空間Sの場合と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートは、Si、Ca、Mg、Tiから選ばれる1種或いは複数種の金属の酸化物(金属酸化物)を含んでなり、スペーサ3用のセラミックグリーンシートに含まれる金属酸化物の重量比(0を含む)よりも、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートに含まれる前記金属酸化物の重量比のほうを高くなしていることが好ましい。そして、セラミックグリーンシート積層体を焼成する際には、金属酸化物成分をより多く含んでいるダイアフラム用のセラミックグリーンシートは、スペーサ用のセラミックグリーンシートよりも先に収縮を開始する。従って、ダイアフラム用のセラミックグリーンシートをスペーサ用のセラミックグリーンシートが引っ張った状態で焼成できることとなる。これにより、スペーサ用のセラミックグリーンシートが、ダイアフラム用のセラミックグリーンシートよりも先に収縮した場合のように、スペーサ用のセラミックグリーンシートが、ダイアフラム用のセラミックグリーンシートを押圧した状態で焼成された結果、ダイアフラムが湾曲した形状で焼きあがることを抑制できる。或いは、湾曲の度合いを低減することができる。従って、絶縁構造体1の内部空間Sの形状を良好なものとし、上側電極6と下側電極5との間隔をより精度良く形成することができ、外部の圧力を感度良く検出することができる圧力センサ用パッケージとすることができる。
【0060】
例えば、絶縁構造体1が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、スペーサ3用のセラミックグリーンシートおよびダイアフラム4用のセラミックグリーンシートは、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等のセラミック原料粉末に、適当な有機バインダ,溶剤,可塑剤,分散剤を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法によりシート状に成形することにより形成される。この際、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートに添加されるSi、Ca、Mg、Tiから選ばれる1種或いは複数種の金属の酸化物(金属酸化物)の重量比(定義,算出方法は上述による)が、スペーサ3用のセラミックグリーンシートの金属酸化物の重量比よりも高
くなるように添加しておけばよい。なお、絶縁構造体1が酸化アルミニウム質焼結体からなる場合、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートに含まれるSiOは、重量比で2〜35になればよい。また、スペーサ3用のセラミックグリーンシートに含まれるSiOは、重量比で1〜15になればよい。
【0061】
また、ダイアフラム4の上面に枠体13を設ける場合、ダイアフラム4用のセラミックグリーンシートに含まれる金属酸化物の重量比が、枠体13用のセラミックグリーンシートに含まれる金属酸化物の重量比よりも高いことが好ましい。この場合、枠体13用のセラミックグリーンシートには、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと同様のセラミックグリーンシートが用いられる。なお、絶縁基体2用のセラミックグリーンシートには、スペーサ3用のセラミックグリーンシートと同様のセラミックグリーンシートが用いられる。
【0062】
本発明の圧力センサは、本発明の圧力センサ用パッケージあるいは本発明の製造方法により得られた圧力センサ用パッケージと、圧力センサ用パッケージの空隙部7に封入された封止材Sと、圧力センサ用パッケージに搭載された電子部品10とを備えている。これにより、外部の圧力を感度良く検出することができる圧力センサとすることができる。
【0063】
なお、電子部品10には、上部電極6と下部電極5とにより形成された静電容量が配線導体8a,8bを介して伝達される。そして、これを電子部品10により演算処理することにより、外部の圧力の大きさを知ることができる。
【0064】
電子部品10の搭載は、電子部品10がフリップチップ型である場合には、はんだバンプや金バンプ、または導電性樹脂(異方性導電樹脂等)を介して、電子部品10の電極と配線導体8とを電気的に接続することにより行なわれ、また、電子部品10がワイヤボンディング型である場合には、ガラス、樹脂、ろう材等の接合材により固定した後、ボンディングワイヤを介して電子部品10の電極と配線導体8とを電気的に接続することにより行なわれる。また、圧力センサ用パッケージには、上述の演算処理用の電子部品10以外にも、必要に応じて加速度センサ等の電子部品10を搭載しても構わない。
【0065】
そして、電子部品10は、封止はエポキシ樹脂等の封止樹脂により電子部品を覆うことにより行なったり、電子部品を覆うようにして載置した樹脂や金属、セラミックス等からなる蓋体をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤により圧力センサ用パッケージに取着することにより封止される。
【0066】
なお、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、上述において、絶縁基体2は、下側に電子部品10を収容するための凹部1aを備えているが、絶縁基体2は平板状であっても構わない。また、本発明における圧力センサ用パッケージは、空隙部7を封止することにより、内部空間Sを気密にしているが、この空隙部7を覆うようにして載置した樹脂や金属、セラミックス等からなる蓋体をガラス、樹脂、ろう材等の接着剤により取着して封止することにより内部空間Sを気密にしても構わない。また、絶縁基体2、スペーサ3、ダイアフラム4、枠体13は、それぞれ複数枚のセラミックグリーンシートからなるものであってもよく、これらのセラミックグリーンシートは、必要に応じて積層加工等の加工が施されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1・・・絶縁構造体
2・・・絶縁基体
3・・・スペーサ
4・・・ダイアフラム
4a・・・可撓領域
5・・・下側電極
6・・・上側電極
7・・・空隙部
8・・・配線導体
9・・・封止材
10・・・電子部品
11・・・導電性接合材
12・・・封止樹脂
S・・・内部空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する絶縁構造体と、
該内部空間の互いに対向する内壁面の上側及び下側のそれぞれに設けられた上側電極及び下側電極とを備え、前記内壁面の上側或いは下側の少なくとも一方が、外部からの圧力が印加された際に可撓する可撓領域を有する圧力センサ用パッケージであって、
平面視において前記絶縁構造体の前記内部空間の周囲の領域には、前記内部空間から前記絶縁構造体の外表面まで延びる空隙部が形成されていることを特徴とする圧力センサ用パッケージ。
【請求項2】
前記空隙部が封止材によって封止されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ用パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−154953(P2012−154953A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117673(P2012−117673)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2007−307098(P2007−307098)の分割
【原出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】