説明

圧力容器の密閉扉

【課題】 耐久性に優れ、組立作業が容易であり、作業ミスや作業忘れ等の低減、更には、製造コストの低減が図れる圧力容器の密閉扉を得る。
【解決手段】 圧力容器1の密閉扉5において、各取付部材11を、各梁部材10を設ける位置で薄板部材9に接合し固着する板状の接合部11aと、接合部11aの一側から立ち上がり隣り合う梁部材10の側面間に配置して隣り合う梁部材10の側面を支持する板状の支持部11dと、支持部11dから折曲されて隣り合う梁部材10の一方の梁部材10の上面を押さえる板状の押さえ部11eで構成し、取付部材11により梁部材10を、その一方の側面を薄板部材9に固着した取付部材11の支持部11dの側面で支持するとともにその上面を取付部材11の押さえ部11eで押さえ、他方の側面を薄板部材9に固着した他の取付部材11の支持部11dの側面で支持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力容器の開口部を塞ぐための密閉扉に関するものである。この発明で圧力容器とは、内部が加圧される容器のみならず、内部が減圧される容器を含むものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、滅菌用オートクレーブ,食品加工用レトルト装置,真空冷却機等、各種の圧力容器の密閉扉は、強度、気密の維持の必要上、かなりの厚みを持った単体(一体)構造物で構成されている。
【0003】
そのような密閉扉の例には、圧力容器の前方あるいは側方に、開閉動作のための回転軸を備えたものや密閉扉を垂直あるいは水平方向へスライドさせて開閉するようにしたものがあり、更に、圧力容器への締付け・密閉操作に際しては、密閉扉に取り付けた放射状配置の締付桿を用いるもの、圧力容器の開口部周辺から延びるネジを利用して密閉扉を締付けるもの、圧力容器の開口部に設けられて、密閉扉の外周と噛合する締付リングを用いる(所謂クラッチドア形式)もの等がある。前述の圧力容器の密閉扉は、開放時に外部へ張り出すため、その構造上、開閉時の密閉扉の移動空間が大きく、また、密閉扉の開放位置も限定され、この種の圧力容器は、設置時に種々の制約を受ける。この種の制約を解消するものとして、移動空間及び収納場所が小さな密閉扉が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この提案されている密閉扉と、この密閉扉が用いられる圧力容器の構造を、滅菌用オートクレーブに適用した例にて、図2〜図5を参照して説明する。なお、図2は従来の密閉扉と圧力容器との関係を示す正面説明図、図3は図2の要部の縦断構造を示す縦断側面説明図、図4は図2の要部の横断構造を示す横断平面説明図、図5は従来の密閉扉の縦断斜視図である。
【0005】
圧力容器1としてのオートクレーブ本体には、その内部に滅菌室2を有しており、それを取り囲むように保温手段としての蒸気ジャケット3を備えている。圧力容器1の一面には、被滅菌物を出し入れするための開口部4が設けられている。この開口部4を覆うように密閉扉5が設けられている。開口部4の周囲の蒸気ジャケット3の端面にはパッキン部材6が設けられている。パッキン部材6は蒸気ジャケット3の端面に設けられたパッキン溝7の入口側で密閉状態を保って該パッキン溝7の深さ方向の前後に滑動可能に納められていて、密閉扉5が開口部4を塞いだとき、空気圧の供給手段(図示省略)から空気配管8を経てパッキン溝7の底部内へ送られる空気圧によりパッキン部材6の先端側が押し出されて密閉扉5の裏面に圧接することにより滅菌室2を密閉するようになっている。
【0006】
前記密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の表面に多数の梁部材10が該薄板部材9を横切る向きで並設されている。梁部材10は薄板部材9とのみ連結され、隣りあった梁部材10同士は連結されず相互に自由になっている。薄板部材9に対する各梁部材10の取り付けは、各梁部材10をそれぞれ取付部材11を介して薄板部材9に取り付けた構造になっている。
【0007】
前記取付部材11は、薄板部材9に接合し固着される接合部11aと、梁部材10を固定する固定部11bとを備え、接合部11aと固定部11bとは直交する向きで一体に形成され、L字形をなすアングル状になっており、接合部11aは溶接で薄板部材9に固着されている。そして、固定部11bには断面四角形の中空の棒状体で構成されている梁部材10がリベット12で固定されている。
【0008】
このように構成された密閉扉5は、薄板部材9を、梁部材10の取り付け側が凸となるように湾曲させると、隣接する梁部材10の間の先端間(即ち、薄板部材9と接していない側の梁部材10間の間隔)が広がることにより、密閉扉5全体がスムーズに湾曲するようになる。
【0009】
前記圧力容器1においては、開口部4周辺における密閉扉5の移動方向の両側には、密閉扉5をスライド収納する際の案内と、パッキン部材6の圧接時の密閉扉5の支持を行うためのガイド部材13が配設されている。このガイド部材13は、曲がり部13aを介在した状態で閉塞位置Aと開放位置(収納位置)Bとの間に延設されている。
【0010】
このような構成により、密閉扉5を開閉する際には、該密閉扉5を圧力容器1の上方の収納位置Bから、スライドさせてその前面の開口部4に対向する位置(閉塞位置A)へ移動させ、薄板部材9が開口部4の周囲のパッキン部材6全体を覆った状態で、空気配管8によりパッキン溝7内に圧縮空気を作用させ、パッキン部材6を押し出して薄板部材9の裏面にパッキン部材6を密着させることにより圧力容器1を密閉することができ、また、空気配管8による空気圧の供給を止め、パッキン溝7内にパッキン部材6を後退させることにより、パッキン部材6の密着状態を解いて、密閉扉5を上方へスライド移動させれば、開口部4を開放することができる。
【特許文献1】特開平9−303558号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような構造の密閉扉5は、移動空間及び収納場所が小さな密閉扉として優れた効果を有するものの、梁部材10は取付部材11の固定部11bにリベット12で固定されているので、前記密閉扉5の開閉時に、密閉扉5がガイド部材13の曲がり部13aを、薄板部材9が梁部材10の取り付け側が凸となるように湾曲して通過する際、梁部材10が周辺部材との間で摩擦抵抗を受けると、その抵抗による負荷がそのまま取付部材11へかかることになり、この結果、取付部材11の接合部11aと薄板部材9の溶接部に大きな曲げ応力が発生して歪みが生じ、同部の耐久性を損ねる場合があるといった問題があった。
【0012】
また、取付部材11の固定部11bにリベット12で固定されている梁部材10は、その下面(薄板部材9と対向する面)と一方の側面の2面が取付部材11の接合部11aと固定部11bに沿って固定されるが、かかる固定作業で梁部材10の下面を接合部11aに隙間の無いように固定することは困難であり、梁部材10の下面と接合部11aとの間に隙間の発生が多くみられる。この結果、圧力容器1の加圧に伴い、取付部材11の接合部11aと固定部11bとの間のコーナ部11cに、図6に示すように曲げ応力が発生して、取付部材11の接合部11aと薄板部材9の接合部位に歪みが生じ、同部の耐久性を損ねる場合があるといった問題があった。
【0013】
更には、梁部材10を薄板部材9の表面に設ける手段として、前記のように、薄板部材9に接合部11aが固着された取付部材11の固定部11bに梁部材10をリベット12で取り付けるようにしているため、その作業は、取付部材11の固定部11bと梁部材10に、それぞれ所定の箇所にリベット12を通す穴を形成し、この穴にリベット12を差し込みかしめて固定するといった非常に煩雑で面倒なものとなっており、また、作業箇所が多いため、作業ミスや作業忘れ等にも十分な注意をしなければならないといった問題があった。
【0014】
本発明の目的は、耐久性に優れ、組立作業が容易であり、作業ミスや作業忘れ等の低減、更には、製造コストの低減が図れる圧力容器の密閉扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の構成を説明すると、次のとおりである。
請求項1に記載の発明は、可撓性を有する薄板部材の片面に多数の断面四角形の梁部材が該薄板部材を横切る向きで隣接して並設され、これら梁部材は個々に取付部材で前記薄板部材に取り付けられている圧力容器の密閉扉において、前記各取付部材は、前記各梁部材を設ける位置で前記薄板部材に接合し固着されている板状の接合部と、該接合部の一側から立ち上がり隣り合う梁部材の側面間に配置されて隣り合う梁部材の側面を支持する板状の支持部と、該支持部から折曲されて前記隣り合う梁部材の一方の梁部材の上面を押さえる板状の押さえ部で構成されており、前記取付部材により梁部材は、その一方の側面が前記薄板部材に固着した取付部材の支持部の側面で支持されるとともにその上面が前記取付部材の押さえ部で押さえられ、他方の側面が薄板部材に固着した他の取付部材の支持部の側面で支持されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の、前記各取付部材は、接合部と支持部と押さえ部でクランク形を為していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の圧力容器の密閉扉によれば、梁部材を薄板部材に取り付ける取付部材が、各梁部材を設ける位置で前記薄板部材に接合し固着されている板状の接合部と、該接合部の一側から立ち上がり隣り合う梁部材の側面間に配置されて隣り合う梁部材の側面を支持する板状の支持部と、該支持部から折曲されて前記隣り合う梁部材の一方の梁部材の上面を押さえる板状の押さえ部で構成されており、前記取付部材により梁部材は、その一方の側面が前記薄板部材に固着した取付部材の支持部の側面で支持されるとともにその上面が前記取付部材の押さえ部で押さえられ、他方の側面が薄板部材に固着した他の取付部材の支持部の側面で支持されているので、前記梁部材と、該梁部材を薄板部材に取り付ける取付部材との間にリベット等の固定手段を必要とせず、梁部材を取付部材により、薄板部材と取付部材との間でフリーの状態で薄板部材に取り付けることができる。
【0018】
従って、前記密閉扉の開閉時に、密閉扉がガイド部材の曲がり部を、薄板部材が梁部材の取り付け側が凸となるように湾曲して通過する際、梁部材が周辺部材との間で摩擦抵抗を受けても、その抵抗による負荷が薄板部材と取付部材との間における梁部材の僅かな動きにより吸収され、取付部材への負荷が軽減されるので、取付部材の接合部と薄板部材の接合部位に大きな曲げ応力が発生せず、歪みの発生を効果的に低減することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0019】
また、梁部材は薄板部材と取付部材との間でフリーの状態で薄板部材に取り付けられており、梁部材の下面と取付部材の接合部とが密着し隙間の生じ難い構造とし易いので、圧力容器の加圧に伴い薄板部材の裏面に加圧を受けた場合、梁部材の下面に接合部が密着している取付部材に曲げ応力は発生せず、また、梁部材の底面と取付部材の接合部との間に隙間があったとしても、取付部材全体が梁部材の下面へ向かって移動し取付部材の接合部が梁部材の下面に密着するので、取付部材に曲げ応力は発生せず、取付部材の接合部と薄板部材の接合部位の歪みの発生を効果的に低減することができるので、耐久性の向上を図ることができる。
【0020】
更には、梁部材と、該梁部材を薄板部材に取り付ける取付部材との間にリベット等の固定手段を必要としないので、作業工数が少なく、組立作業が容易であり、作業ミスや作業忘れ等の低減、更には、製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
請求項2に記載の圧力容器の密閉扉によれば、請求項1に記載の圧力容器の密閉扉の、前記各取付部材は、接合部と支持部と押さえ部でクランク形を為しているので、密閉扉の組立作業では、薄板部材に、先ず、取付部材の接合部を、薄板部材に固着し、この取付部材に梁部材を、取付部材の接合部と支持部に梁部材の一側面と底面の2面を沿わせるように配置し、次の取付部材を、この取付部材の支持部を前記梁部材の他側面に沿わせると共に押さえ部で前記梁部材の上面を押さえるようにして接合部を薄板部材に固着し、この取付部材に次の梁部材を、取付部材の接合部と支持部に梁部材の一側面と底面の2面を沿わせるように配置し、これを順次繰り返すことにより、取付部材により梁部材を薄板部材に取り付けることができるので、作業工数が少なく、組立作業が一層容易となり、作業ミスや作業忘れ等の一層の低減、更には、製造コストの一層の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る圧力容器の密閉扉を実施するための最良の形態の一例を図1に示す縦断斜視図を参照して説明する。なお、前述した図2〜図5と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0023】
本例の圧力容器の密閉扉5は、可撓性を有する薄板部材9の片面に多数の断面四角形の梁部材10が該薄板部材9を横切る向きで隣接して並設されている。前記梁部材10にあっては、本例では、断面四角形の中空の棒状体で構成されている。これら梁部材10は以下に述べる取付部材11により個々に前記薄板部材9に取り付けられている。
【0024】
前記取付部材11は、断面四角形の梁部材10を設ける位置で薄板部材9に接合し固着される板状の接合部11aと、該接合部11aの一側から立ち上がり隣り合う梁部材10(イ),10(ロ)の側面間に配置されて隣り合う梁部材10(イ),10(ロ)の側面を支持する板状の支持部11dと、該支持部11dから折曲されて前記隣り合う梁部材10(イ),10(ロ)の一方の梁部材10(ロ)の上面を押さえる板状の押さえ部11eで構成されている。
【0025】
本例では、取付部材11は、接合部11aと支持部11dと押さえ部11eで、断面クランク形を為している。前記接合部11aにあっては、その幅は、少なくとも薄板部材9に接合し固着されるに必要な幅であればよい。接合部11aの幅が広すぎると、薄板部材9が湾曲したとき、接合部11aと薄板部材9の接合部位にかかる曲げ応力が大きくなり、これによる歪みにより耐久性を損ねる場合がある。この接合部11aは薄板部材9にスポット溶接により固着される。また、前記支持部11dにあっては、前記接合部11aの一側から直角に折曲され立ち上げられて形成されている。この支持部11dの高さは、前記接合部11aの上に載置した梁部材10の上面までの高さとなっている。また、前記押さえ部11eにあっては、前記支持部11dの先端から前記接合部11aとは反対方向に直角に折曲されて形成されている。
【0026】
そして、このように構成された取付部材11により梁部材10は、その一方の側面が前記薄板部材9に固着した取付部材11の支持部11dの側面で支持されるとともその上面が前記取付部材11の押さえ部11eで押さえられ、他方の側面が薄板部材9に固着した他の取付部材11の支持部11dの側面で支持されて、前記薄板部材9に取り付けられている。
密閉扉5のその他の構成及び圧力容器1の構成は、前述した図2〜図5と同様になっている。
【0027】
このように構成される密閉扉5は、次のようにして組み立てられる。
薄板部材9の片面に、先ず、該薄板部材9を横切る向きで取付部材11を配置し、この取付部材11の接合部11aを薄板部材9に溶接,ロウ付け,接着等のように薄板部材9に穴を開けずに行うことができる固着手段により固着する。本例ではスポット溶接により固着している。次に、薄板部材9に固着した前記取付部材11に梁部材10を、取付部材11の接合部11aと支持部11dに梁部材10の一側面と底面の2面を沿わせるように配置し、次の取付部材11を、この取付部材11の支持部11dを前記梁部材10の他側面に沿わせると共に押さえ部11eで前記梁部材10の上面を押さえるようにして接合部11aを薄板部材9に固着し、この取付部材11に次の梁部材10を、取付部材11の接合部11aと支持部11dに梁部材10の一側面と底面の2面を沿わせるように配置し、かかる作業を順次繰り返して行う。このようにして、取付部材11により梁部材10を薄板部材9に取り付けることができる。
【0028】
前記のように構成された取付部材11によれば、梁部材10を、梁部材10の下面と取付部材11の接合部11aとを密着させ、隙間ない状態で薄板部材9に取り付けることが容易となる。また、取付部材11により梁部材10を薄板部材9に取り付けたとき、梁部材10の下面で前記取付部材11の接合部11aと接触していない面と前記薄板部材9との間に隙間が生じ、圧力容器1の加圧に伴い薄板部材9の裏面に加圧を受けた場合、前記薄板部材9に隙間を埋める方向に曲げ応力は発生し、歪みが生じる場合があるので、前記隙間に前記取付部材11の接合部11aと同じ厚さのスペーサ14を介在させることが好ましい。
【0029】
このスペーサ14は薄板部材9に固定されていても、或いは、梁部材10に固定されていても、いずれでもよい。しかし、スペーサ14が薄板部材9に固定されている場合は、薄板部材9が梁部材10の取り付け側が凸となるように湾曲したとき、スペーサ14を固定した薄板部材9の部分に曲げ応力が発生し、歪みが生じる場合があるので、スペーサ14は梁部材10に固定されていることがこのましい。本例では、スペーサ14は梁部材10に固定されている。
【0030】
このように構成されている密閉扉5によれば、各梁部材10は取付部材11により、薄板部材9と取付部材11との間でフリーの状態で薄板部材9に取り付けられているので、密閉扉5の開閉時に、密閉扉5がガイド部材13の曲がり部13aを、薄板部材9が梁部材10の取り付け側が凸となるように湾曲して通過する際、梁部材10が周辺部材との間で摩擦抵抗を受けても、その抵抗による負荷が薄板部材9と取付部材11との間における梁部材10の僅かな動きにより吸収され、取付部材11への負荷が軽減され、取付部材11の接合部11aと薄板部材9の接合部位に大きな曲げ応力が発生せず、歪みの発生を効果的に低減することができる。
【0031】
また、前記のように、梁部材10は薄板部材9と取付部材11との間でフリーの状態で薄板部材9に取り付けられており、梁部材10の下面と取付部材11の接合部11aとが密着し隙間の生じ難い構造とし易いので、圧力容器1の加圧に伴い薄板部材9の裏面に加圧を受けた場合、梁部材10の下面に接合部11aが密着している取付部材11に曲げ応力は発生せず、また、梁部材10の底面と取付部材11の接合部11aとの間に隙間があったとしても、取付部材11全体が梁部材10の下面へ向かって移動し取付部材11の接合部11aが梁部材10の下面と密着するので、取付部材11に曲げ応力は発生せず、取付部材11の接合部11aと薄板部材9の接合部位の歪みの発生を効果的に低減することができるものとなる。
【0032】
また、本例では、梁部材10の下面で前記取付部材11の接合部11aと接触していない面と前記薄板部材9との間の隙間に、取付部材11の接合部11aと同じ厚さのスペーサ14を介在させているので、圧力容器1の加圧に伴い薄板部材9の裏面に加圧を受けた場合、前記薄板部材9における前記スペーサ14を介在させた部位への曲げ応力は発生せず、歪みの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る圧力容器の密閉扉の一例を示す縦断斜視図である。
【図2】従来の密閉扉と圧力容器との関係を示す正面説明図である。
【図3】図2の要部の縦断構造を示す縦断側面説明図である。
【図4】図2の要部の横断構造を示す横断平面説明図である。
【図5】従来の密閉扉の縦断斜視図である。
【図6】圧力容器の加圧に伴い、従来の密閉扉の取付部材に曲げ応力が発生して、取付部材の接合部と薄板部材の接合部位に歪みが生じた状態を示す要部縦断説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 圧力容器
2 滅菌室
3 蒸気ジャケット
4 開口部
5 密閉扉
6 パッキン部材
7 パッキン溝
8 空気配管
9 薄板部材
10 梁部材
11 取付部材
11a 接合部
11b 固定部
11c コーナ部
11d 支持部
11e 押さえ部
12 リベット
13 ガイド部材
13a 曲がり部
14 スペーサ
A 閉塞位置
B 開放位置(収納位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する薄板部材の片面に多数の断面四角形の梁部材が該薄板部材を横切る向きで隣接して並設され、これら梁部材は個々に取付部材で前記薄板部材に取り付けられている圧力容器の密閉扉において、
前記各取付部材は、前記各梁部材を設ける位置で前記薄板部材に接合し固着されている板状の接合部と、該接合部の一側から立ち上がり隣り合う梁部材の側面間に配置されて隣り合う梁部材の側面を支持する板状の支持部と、該支持部から折曲されて前記隣り合う梁部材の一方の梁部材の上面を押さえる板状の押さえ部で構成されており、前記取付部材により梁部材は、その一方の側面が前記薄板部材に固着した取付部材の支持部の側面で支持されるとともにその上面が前記取付部材の押さえ部で押さえられ、他方の側面が薄板部材に固着した他の取付部材の支持部の側面で支持されていることを特徴とする圧力容器の密閉扉。
【請求項2】
前記各取付部材は、接合部と支持部と押さえ部でクランク形を為していることを特徴とする請求項1に記載の圧力容器の密閉扉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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