説明

圧力計および圧力計組立体

【課題】圧力変動現象に基づいて圧力計の内部機構が破損するのを防止する。
【解決手段】圧力計(10)が、圧力を測定して表示針により表示する圧力測定表示部(11)と、該圧力測定表示部から延びていて圧力検出通路(22)が形成された取付部(21)と、圧力検出通路に配置されていてオリフィス(62)が形成されたオリフィス部材(60)とを有している。なお、オリフィス部材を備える代わりに、圧力検出通路の一部にオリフィスが形成されていてもよい。また、圧力計組立体(1)が、圧力検出通路が形成された取付部を含む圧力計(10)と、圧力計の取付部と管路とを接続する継手(30、40)とを有し、継手の内部通路の一部にオリフィス(49)が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れる流体の圧力を測定するために管路の途中に設けられた圧力計(プレッシャゲージ)、ならびにこのような圧力計および圧力計に接続された継手からなる圧力計組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
図7(a)は特許文献1に開示されるような従来技術の圧力計を示す図である。図7(a)に示すように、管路101内を流れる流体の圧力を測定する場合には、この管路101の途中に圧力計102を設けている。この圧力計102は、管路101が接続される継手104の取付孔105にねじ込むことにより取付けられており、この継手104に形成されて管路101と連通された流路106内を流れる流体の圧力を検出し、表示針107を有する表示部108にて流体の圧力を表示するようになっている。
【0003】
図7(b)は図7(a)に示される圧力計の部分拡大図である。図7(b)に示されるように、圧力計102は継手104の取付穴105にねじ込まれるおねじが形成された取付部111と、この取付部111に固定された測定部112とを有している。取付部111には、圧力検出通路111aが形成されており、この圧力検出通路111aからの流体の圧力がフラム113に作用するようになっている。このフラム113は、有底円筒状に形成されており、その周面は、蛇腹状に形成された伸縮可能な蛇腹部114とされている。そして、このフラム113に、その上方側から、測定部112の作動棒115が挿入されている。つまり、この種の圧力計102では、測定部112の作動棒115に流体が直接ふれないように、伸縮可能なフラム113が設けられ、このフラム113を介して、流体の圧力が作動棒115に伝達されるようになっている。
【0004】
さらに、特許文献1に開示される圧力計102においては、作動棒115の端部周りを被覆する保護キャップ119が設けられている。保護キャップ119は耐食性材料から形成されており、薬液が流れている管路101の圧力を測定する際に、圧力計102の内部機構が薬液により腐食するのを防止している。
【0005】
そして、管路101内を流れる流体の圧力が、取付部111の圧力検出通路111aからフラム113へ伝達され、これにより、このフラム113が流体の圧力によって上方へ収縮され、このフラム113に挿入された作動棒115が持ち上げられ、その作動棒115の移動にともなって、測定部112の表示部108の表示針107が回動されて、圧力が示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−310823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば管路を開閉する弁(図示しない)が圧力計直下流の管路に設けられている場合には、管路101内の流体が弁によって急激に閉鎖されると圧力は弁の直前で急激に上昇し、弁を急激に開放すると圧力が急激に低下する、所謂水撃作用(ウォーターハンマ)が生ずる。このような水撃作用が生じた場合においても、圧力計は水撃作用の大きさに応じてリニアに応答するので、圧力計の内部機構部、例えばフラム、作動棒等が応答時の勢いにより破損する場合がある。
【0008】
また、特許文献1に開示される圧力計は、前述したように耐薬品性に優れた材料を用いて薬液の影響を回避するようにしているが、水撃作用の影響までを防止することはできず、圧力計の破損が同様に懸念される。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、水撃作用などのような管路内の圧力変動現象に基づく内部機構の破損を抑制することのできる圧力計およびこのような圧力計を備えた圧力計組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、圧力を測定して表示針により表示する圧力測定表示部と、該圧力測定表示部から延びていて圧力検出通路が形成された取付部と、前記圧力検出通路に配置されていてオリフィスが形成されたオリフィス部材とを具備する圧力計が提供される。
すなわち1番目の発明においては、圧力計に接続された管路の圧力がオリフィスを通じて圧力測定表示部まで伝達される。このため、水撃作用などのような管路内の圧力変動現象に基づく衝撃が弱められ、圧力計の内部機構等が破損するのを抑制できる。さらに、1番目の発明においては、比較的高い精度が要求されるオリフィス部材を別途に作成した後で圧力計に組付けることができる。また、既存の圧力計にオリフィス部材を後付けすることにより、既存の圧力計を圧力変動現象から容易に保護することが可能となる。
【0011】
2番目の発明によれば、圧力を測定して表示針により表示する圧力測定表示部と、該圧力測定表示部から延びていて圧力検出通路が形成された取付部とを具備し、前記圧力検出通路の一部にオリフィスが形成されている圧力計が提供される。
すなわち2番目の発明においては、圧力計に接続された管路の圧力がオリフィスを通じて圧力測定表示部まで伝達される。このため、水撃作用などのような管路内の圧力変動現象に基づく衝撃が弱められ、圧力計の内部機構等が破損するのを抑制できる。さらに、2番目の発明においてはオリフィスを容易に形成することが可能となる。
【0012】
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記圧力検出通路に対して平行な前記オリフィスの長さはオリフィスの内径の約10倍から30倍である。
すなわち3番目の発明においては、このような寸法のオリフィスを用いた場合には圧力変動に基づく衝撃を弱めつつ、圧力計の応答性を維持することができる。
【0013】
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記オリフィスが前記圧力検出通路において前記圧力測定表示部に隣接して配置されている。
すなわち4番目の発明においては、圧力測定される液体が圧力測定表示部とオリフィスとの間に溜まるのを回避することができる。
【0014】
5番目の発明によれば、圧力検出通路が形成された取付部を含む圧力計と、前記圧力計の前記取付部と管路とを接続する継手と、前記継手の内部通路に配置されていてオリフィスが形成されたオリフィス部材とを具備する圧力計組立体が提供される。
すなわち5番目の発明においては、管路の圧力が継手のオリフィスを通じて圧力計まで伝達される。このため、水撃作用などのような管路内の圧力変動現象に基づく衝撃が弱められ、圧力計の内部機構等が破損するのを抑制できる。さらに、5番目の発明においては、比較的高い精度が要求されるオリフィス部材を別途に作成した後で継手に組付けられる。
【0015】
6番目の発明によれば、圧力検出通路が形成された取付部を含む圧力計と、前記圧力計の前記取付部と管路とを接続する継手とを具備し、該継手の内部通路の一部にオリフィスが形成されている圧力計組立体が提供される。
すなわち6番目の発明においては、管路の圧力が継手およびオリフィスを通じて圧力測定表示部まで伝達される。このため、水撃作用などのような管路内の圧力変動現象に基づく衝撃が弱められ、圧力計の内部機構等が破損するのを抑制できる。さらに、5番目の発明においてはオリフィスを容易に形成することが可能となる。
【0016】
7番目の発明によれば、5番目または6番目の発明において、前記継手の内部通路に対して平行な前記オリフィスの長さはオリフィスの内径の約10倍から30倍である。
すなわち7番目の発明においては、このような寸法のオリフィスを用いた場合には圧力変動に基づく衝撃を弱めつつ、圧力計の応答性を維持することができる。
【0017】
8番目の発明によれば、5番目から7番目のいずれかの発明において、前記オリフィスが前記継手の内部通路において前記圧力計の前記取付部に隣接して配置されている。
すなわち8番目の発明においては、圧力測定される液体が圧力測定表示部とオリフィスとの間に溜まるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)本発明の第一の実施形態に基づく圧力計の正面図である。(b)本発明の第一の実施形態に基づく圧力計の側面図である。
【図2】オリフィス部材の側断面図である。
【図3】(a)〜(c)オリフィス部材を圧力計の取付部に挿入するのを説明するための図である。
【図4】(a)本発明の圧力計を使用する一つの例における正面図である。(b)本発明の圧力計を使用する一つの例における側面図である。
【図5】(a)本発明の第二の実施形態に基づく圧力計の正面図である。(b)本発明の第二の実施形態に基づく他の圧力計の正面図である。
【図6】(a)本発明に基づく圧力計組立体の正面図である。(b)本発明に基づく他の圧力計組立体の正面図である。
【図7】(a)従来技術の圧力計を示す図である。(b)図7(a)に示される圧力計の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一または同様の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1(a)および図1(b)はそれぞれ本発明の第一の実施形態に基づく圧力計の正面図および側面図である。これら図面に示されるように、圧力計10は、圧力を測定してそれを表示する圧力測定表示部11と、圧力測定表示部11から延びていて圧力検出通路22が形成された取付部21とを含んでいる。フッ素系材料から形成される取付部21は、流体が流れる管路(図示しない)に直接的に接続されるか、または後述する継手30に接続される。図1(a)および図1(b)においては、取付部21の先端には、製品出荷時に取付られる保護キャップ29が配置されている。
【0020】
圧力測定表示部11は、ハウジング12の下方部分内に配置される内部機構部13(図示しない)を含んでいる。この内部機構部13は公知の形式であるので説明を省略する。図示しない管路に圧力計10が取付けられると、管路内の流体の圧力は取付部21の圧力検出通路22を通じて内部機構部13に伝達される。内部機構部13においては圧力の値が測定され、次いで、圧力測定表示部11の前面に設けられた表示部15の表示針14が圧力値に応じて回動するようになっている。
【0021】
図1(b)に示されるように、本発明の圧力計10においては圧力検出通路22内にオリフィス部材60が挿入されている。図2はオリフィス部材60の側断面図である。オリフィス部材60は圧力検出通路22の内径よりもわずかに小さい外径を有する略円筒形状部材である。図示されるように、オリフィス部材60には長手方向に延びる貫通孔としてのオリフィス62が形成されている。オリフィス62の内径はオリフィス部材60の外径よりもかなり小さい。また、オリフィス62の長さはオリフィス62の内径の約10倍から30倍程度の範囲にありうる。
【0022】
オリフィス部材60はフッ素系材料から形成されるのが好ましく、腐食性の高い薬液の圧力を計測する場合にはオリフィス部材60が薬液により腐食するのが防止される。また、後述するようにオリフィス部材60は取付部21を形成するフッ素系材料よりも強度の高いフッ素系材料から形成されるのがさらに好ましい。
【0023】
オリフィス62の前方側および後方側には外方に向かって直径が大きくなるようにテーパ部63、64がそれぞれ形成されている。これらテーパ部63、64は流体がオリフィス62に流入および流出するのを助勢する。さらに、オリフィス部材60の周面には、環状突出部67が設けられている。環状突出部67の外径は圧力検出通路22の内径に概ね等しいかまたはこれよりもわずかに大きい。また、環状突出部67はオリフィス部材60の中心よりも前方側、つまりテーパ部63側に形成されている。さらに、図示されるように、オリフィス部材60の前方面および後方面にはオリフィス部材60の挿入を容易にするための面取部65、66がそれぞれ形成されている。
【0024】
図3(a)から図3(c)はオリフィス部材を圧力計の取付部に挿入するのを説明するための図である。オリフィス部材60を取付部21の圧力検出通路22に挿入するために、第一治具50および第二治具55が使用される。図3(a)に示されるように、第一治具50はハンドル51とハンドル51から延びるロッド52とを備えており、ロッド52の外径は圧力検出通路22の内径よりもわずかに小さい。また、略円筒形状部材である第二治具55の両端面のそれぞれには、凹部56、57が互いに同軸に形成されている。これら凹部56、57の内径は圧力検出通路22の内径に概ね等しい。さらに、図示されるように、これら凹部56、57の間にはストッパ58が設けられている。
【0025】
図3(b)に示されるように、操作者が第一治具50のハンドル51を把持し、ストッパ58に押当たるまでロッド52を第二治具55の凹部56に挿入する。次いで、第二治具55の凹部57にオリフィス部材60をその後方側から挿入する。凹部57は、オリフィス部材60の環状突出部67から後方側端面までを受容するのに十分に深く形成されている。環状突出部67はオリフィス部材60の中心よりも前方側に設けられているので、第二治具55によってオリフィス部材60を支持したときに、オリフィス部材60は容易に脱落しない。
【0026】
この状態で、ハンドル51を押込み、それにより、オリフィス部材60を圧力検出通路22に挿入する。オリフィス部材60を圧力検出通路22の入口に残しつつ、第一治具50および第二治具55を引抜き、第一治具50と第二治具55とを分離する。次いで、図3(c)に示されるように、第一治具50のロッド52を圧力検出通路22に押込んでオリフィス部材60を圧力検出通路22内の所望の位置まで挿入する。
【0027】
図1(b)を参照して分かるように、オリフィス部材60は圧力測定表示部11の直下に配置、言い換えればオリフィス部材60は圧力測定表示部に隣接して配置されるのが好ましい。このような圧力計10の使用時において水撃作用などによりオリフィス部材60のオリフィス62を通過した薬液が圧力測定表示部11とオリフィス部材60との間に溜まるのが回避される。
【0028】
オリフィス部材60を圧力検出通路22内の所望の位置まで挿入すると、ロッド52を引抜いた後で取付部21の外部から熱と圧力とを加えてオリフィス部材60を圧力検出通路22内に熱融着させる。これにより、圧力検出通路22が半径方向内側に向かって収縮し、オリフィス部材60は圧力検出通路22内に密封状態で固定されるようになる。このため、オリフィス部材60と圧力検出通路22の内面との間の隙間がなくなり、管路(図示しない)からの圧力はオリフィス部材60のオリフィス62のみを通じて内部機構部13に伝達される。なお、当然のことながら、治具50、55を用いる方法とは異なる方法によりオリフィス部材60を圧力検出通路22に取付るようにしてもよい。
【0029】
オリフィス部材60は熱融着時に変形しない程度に十分な強度および耐熱性を備えているのが好ましく、特に取付部21の材料よりも強度および耐熱性が高いのが好ましい。これにより、オリフィス部材60のオリフィス62の寸法が熱融着時に変化するのが防止される。このようなオリフィス部材60の好ましい材料は、例えばPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)であり、取付部21の好ましい材料は、例えばPFA(パーフルオロアルコキシエチレン)である。
【0030】
図4(a)および図4(b)はそれぞれ本発明に基づく圧力計10を使用する一つの例における正面図および側面図である。この例においては、圧力計10の取付部21をT字継手30の一つの接合部31に接続し、ネジ付きキャップ31aにより固定している。従って、この場合には、一直線に並んだ他の接合部32、33の間を流れる流体の圧力が圧力計10によって測定される。なお、図面には示さないものの、T字継手30を介することなしに、圧力計10を管路(図示しない)に直接的に取付けるようにしてもよい。
【0031】
このような圧力計10を使用した場合には、管路を流れる圧力はオリフィス部材60のオリフィス62を通じて圧力測定表示部11の内部機構部13まで伝達されることになる。このため、圧力変動現象に基づく衝撃、例えば水撃作用はオリフィス62通過時に弱められ、従って、本発明においては内部機構部13が破損するのが抑制される。なお、圧力が通過する通路の有効断面積はオリフィス62通過時に低下するものの、圧力自体は変化せず、圧力計10の圧力測定表示部11において適切な圧力値を測定および表示できる。
【0032】
オリフィス部材60を配置することによって圧力測定表示部11における応答性がわずかながら低下するものの、オリフィス62の長さをオリフィス62の内径の約10倍から30倍の範囲にした場合には応答性の低下はほとんど問題とならない。すなわち、オリフィス62の寸法を前述した範囲に設定した場合には、圧力変動現象に基づく衝撃を弱めつつ、圧力計10の応答性を維持することができる。
【0033】
また、オリフィス62が形成されたオリフィス部材60を作成するためには比較的高い精度が必要とされるが、本実施形態においてはこのようなオリフィス部材60は圧力計10とは別途に作成される。このため、本実施形態においては取付部21の歩留まりは低下しない。
【0034】
さらに、オリフィス部材60は既存の圧力計の圧力検出通路に後付けで挿入してもよい。つまり、本発明に基づくオリフィス部材60を既存の圧力計に組み付けることにより、既存の圧力計を水撃作用などの圧力変動現象から容易に保護することもできる。
【0035】
図5(a)は本発明の第二の実施形態に基づく圧力計の正面図である。図5(a)においては圧力計10はT字継手30に接続されており、接合部31の接合部先端31cが取付部21の先端に係合している。さらに、ネジ付きキャップ31aが取付部21を接合部先端31cに螺合している。
【0036】
図示されるように、第二の実施形態においては、取付部21の圧力検出通路22の内面が内側に向かって部分的に湾曲しており、それにより、オリフィス69が形成されている。オリフィス69は前述したオリフィス部材60のオリフィス62と概ね同様の寸法を有している。このオリフィス69は取付部21の成型時に同時に形成されるのが好ましく、それにより、オリフィス69を容易に形成することができる。このような場合であっても、管路(図示しない)の圧力はT字継手30およびオリフィス69を通じて内部機構部13(図示しない)に伝達されるので、前述したのと概ね同様な効果が得られる。
【0037】
また、第二の実施形態においては、オリフィス69が圧力検出通路22の内面により形成されているので、オリフィス部材60を圧力検出通路22に挿入する工程およびこれらを熱融着する工程を排除でき、その結果、製造時間の短縮を図ることも可能である。前述した第一の実施形態においてはオリフィス部材60が圧力検出通路22に良好に熱融着しない場合もありうるが、熱融着工程を必要としない第二の実施形態においてはこのような熱融着不良に基づく不具合が事前に回避される。
【0038】
また、図5(b)は本発明の第二の実施形態に基づく他の圧力計の正面図である。圧力計10の圧力検出通路22にはオリフィス69が図5(a)の場合と同様に形成されている。この圧力計10はT字継手30とは異なる構成のT字継手40に接続されている。具体的には、貫通路が形成された挿入ピース41bが圧力検出通路22の入口に挿入保持され、次いで、挿入ピース41bを備えた圧力検出通路22が接合部先端41cに挿入される。図5(b)から分かるように、接合部先端41cの内部流路と挿入ピース41bの貫通路とは同軸でかつそれらの内径は互いに概ね等しい。その後、ネジ付きキャップ41aが取付部21を接合部先端41cに螺合する。このような構成であっても、前述したのと同様な効果が得られるのは明らかであろう。
【0039】
図6(a)は本発明に基づく圧力計組立体の正面図である。図6(a)に示される圧力計組立体1は取付部21を含む圧力計10と、圧力計10の取付部21に接続されたT字継手30とを主に含んでいる。図6(a)に示される圧力計10の圧力検出通路22にはオリフィス62、69が形成されていない点で前述した圧力計とは異なる。また、T字継手30は図5(a)に示されるT字継手30と概ね同様の構成であるものとする。
【0040】
図6(a)に示される圧力計組立体1においては、T字継手30の接合部31における接合部先端31cにオリフィス49が形成されている。このオリフィス49は前述したオリフィス62等と概ね同様な内径を有しており、接合部31全体にわたって形成されている。このオリフィス49はT字継手30の製造時に同時に形成されうるので、オリフィス49を容易に形成することができる。また、図示されるように、圧力計10がT字継手30に接続された状態においては、オリフィス49は圧力測定表示部11に比較的近い場所に位置決めされることになる。
【0041】
このような場合においても、管路(図示しない)を流れる圧力はT字継手30およびオリフィス49を通じて圧力測定表示部11の内部機構部13まで伝達されることになる。このため、圧力変動現象に基づく衝撃、例えば水撃作用はオリフィス62通過時に弱められ、従って、内部機構部13が破損するのを抑制できる。前述したように、オリフィス49通過時に有効断面積は低下するものの、圧力自体は変化せず、圧力計10の圧力測定表示部11において適切な圧力値を測定および表示できる。
【0042】
図6(b)は本発明に基づく他の圧力計組立体の正面図である。図6(b)に示される圧力計組立体1は取付部21を含む圧力計10と、圧力計10の取付部21に接続されたT字継手40とを主に含んでいる。T字継手40は図5(b)に示されるT字継手40と概ね同様の構成であるものとする。
【0043】
図6(b)に示される圧力計組立体1においては、T字継手40の接合部41における挿入ピース41bにオリフィス49が形成されている。このオリフィス49は挿入ピース41bの製造時に同時に形成されうるものとする。また、図示されるように、圧力計10がT字継手40に接続された状態においては、オリフィス49は圧力測定表示部11に比較的近い場所に位置決めされることになる。図6(b)に示される圧力計組立体1においても、前述したのと同様な効果が得られるのは明らかであろう。
【0044】
前述した実施形態に基づく圧力計の特徴および圧力計組立体の特徴を適宜組み合わせることは本発明の範囲に含まれる。従って、圧力計10とこの圧力計10に接続されたT字継手30とを含む、図4(a)および図4(b)に示されるような圧力計組立体は本発明の範囲に含まれるものとする。
【0045】
また、図面には示さないものの、例えば接合部先端31cに対応した形状のオリフィス部材60が接合部31の接合部先端31cに挿入されて固定された圧力計組立体も本発明の範囲に含まれる。この場合、圧力計に接続された既存の継手にオリフィス部材60を挿入することにより、この圧力計を圧力変動現象から同様に保護できるのは当業者であれば明らかであろう。
【0046】
さらに、本発明は圧力計の形式について限定するものではなく、あらゆる形式の圧力計、例えばベローズ式の圧力計であっても前述したオリフィスを備えた構成である限りにおいては本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0047】
1 圧力計組立体
10 圧力計
11 圧力測定表示部
12 ハウジング
13 内部機構部
14 表示針
15 表示部
21 取付部
22 圧力検出通路
29 保護キャップ
30 T字継手
31 接合部
31a ネジ付きキャップ
31c 接合部先端
32、33 接合部
40 T字継手
41 接合部
41a ネジ付きキャップ
41b 挿入ピース
41c 接合部先端
60 オリフィス部材
62、69、49 オリフィス
63、64 テーパ部
65、66 面取部
67 環状突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力検出通路が形成された取付部を含む圧力計と、
前記圧力計の前記取付部と管路とを接続する継手とを具備し、
前記取付部に取付けられる前記継手の先端部分にオリフィスが形成されている圧力計組立体。
【請求項2】
前記継手の内部通路に対して平行な前記オリフィスの長さはオリフィスの内径の約10倍から30倍である請求項1に記載の圧力計組立体。
【請求項3】
前記オリフィスが前記継手の内部通路において前記圧力計の前記取付部に隣接して配置されている請求項1または2に記載の圧力計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−209297(P2011−209297A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137582(P2011−137582)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【分割の表示】特願2005−251561(P2005−251561)の分割
【原出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(591257111)サーパス工業株式会社 (60)
【Fターム(参考)】