説明

圧延銅箔

【課題】銅箔表面近傍のせん断帯を抑制し、屈曲性が向上した圧延銅箔を提供する。
【解決手段】再結晶組織の面積率が50%未満(0%を含む)であり、かつ圧延平行断面から見て、銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線を横切って該表面に到達するせん断帯が表裏面の合計値で0.1本/μm以下である圧延銅箔である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPCに好適に用いられる圧延銅箔に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント回路基板(FPC)は、銅箔と樹脂とを積層した銅張積層板(CCL)からエッチングで不要な銅部を除去して回路加工して製造される。このFPC用銅箔としては、電解銅箔又は圧延銅箔が用いられるが、特に高い屈曲性が求められる用途では圧延銅箔が多く用いられる。圧延銅箔の組成としては、タフピッチ銅、無酸素銅又はこれらに微量の元素を添加したものが用いられる。又、CCLを製造する方法として、銅箔と樹脂とに350℃以上の熱を加えてラミネートする方法の他、接着剤を用いて140℃程度の比較的低温でラミネートする方法があり、後者の方法は銅箔が鈍らず、取り扱いが容易となる利点がある。
ところで、圧延銅箔の屈曲性を向上させる方法として、銅の再結晶集合組織である立方体方位(200面)を発達させることが広く知られている。そして、立方体方位を発達させるため、せん断帯の発達を抑制すべく、銅箔厚み中央を横切るせん断帯の本数を規定した技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-248331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際に銅箔を屈曲する際に最もひずみが大きくなるのは表面であるため、銅箔厚み中央を横切るせん断帯の本数が少なくても、表面近傍にせん断帯が発達すると屈曲性が低下することがある。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、屈曲性に優れた圧延銅箔の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは種々検討した結果、最終冷間圧延の総加工度と、最終冷間圧延でのパスごとの加工度を調整することで、銅箔表面近傍のせん断帯を抑制し、屈曲性が向上することを見出した。
上記の目的を達成するために、本発明の圧延銅箔は、再結晶組織の面積率が50%未満(0%を含む)であり、かつ圧延平行断面から見て、銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線を横切って該表面に到達するせん断帯が表裏面の合計値で0.1本/μm以下である。
【0006】
本発明の圧延銅箔は鋳塊を熱間圧延後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し、最後に最終冷間圧延を行って製造され、当該最終冷間圧延の総加工度が98.5%以下であることが好ましい。
前記最終冷間圧延において、最終5パスの中で前のパスより加工度が高いパスが存在し、当該5パス中のいずれかのパスの最大加工度が40%以上であり、かつ最終パスでの加工度が前記5パス中で最小となることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、銅箔表面近傍のせん断帯を抑制し、屈曲性が向上した圧延銅箔が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】せん断帯の本数を測定する方法を示す図である。
【図2】圧延平行方向の断面から見たときの組織のSEM像を示す図である。
【図3】屈曲試験装置により屈曲疲労寿命の測定を行う方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る圧延銅箔について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り、質量%を示すものとする。
【0010】
<組成>
銅箔の成分組成としては、JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅(TPC)又はJIS−H3100(C1020)無酸素銅(OFC)を好適に用いることができる。
又、上記したタフピッチ銅又は無酸素銅に対し、添加元素としてAg、Sn、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Te、Cr、Nb、及びVからなる群から選ばれる一種以上を合計で20〜1500質量ppm含有してもよい。例えば、上記したタフピッチ銅又は無酸素銅に対し、添加元素としてSnを10〜500質量ppm、及び/又はAgを10〜500質量ppm含有することができる。
上記元素の合計含有量が20質量ppm未満であると、軟化温度が低く、常温での保管性が低下する場合がある。
なお、FPCに用いられる圧延銅箔は屈曲性を要求されることから、圧延銅箔の厚みは20μm以下が好ましい。また、圧延銅箔の厚みの下限は特には限定されないが、製造性等を考慮すると、圧延銅箔の厚みは4μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、6μm以上が更に好ましい。
【0011】
<再結晶組織>
(以下の200℃で30分間焼鈍する前の)再結晶組織の面積率が50%未満(0%を含む)であり、好ましくは42%未満(0%を含む)であり、より好ましくは32%未満(0%を含む)であり、更に好ましくは22%未満であり、更に好ましくは12%未満である。この面積率が50%以上になると、圧延銅箔の強度が低くなるため取り扱いが困難である。
又、200℃で30分間焼鈍後において、再結晶組織の面積率が50%以上であると、銅箔が柔らかくなり、高い屈曲性が得られるため好ましい。
なお、200℃で30分間加熱することは圧延銅箔に樹脂を積層する工程を模擬したものである。
【0012】
なお、再結晶組織の面積率は、銅箔表面を電解研磨し、SEM(走査電子顕微鏡)像のうち、明瞭な結晶粒界で囲まれた結晶粒を再結晶粒とし、観察面積に占める再結晶粒の面積率(%)を画像解析により算出する。画像解析は、市販の画像解析ソフトウェアを用いればよい。又、観察視野は500μm×500μm以上とする。
【0013】
<せん断帯>
上記した200℃で30分間焼鈍前の圧延平行断面から見て、銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線を横切って該表面に到達するせん断帯が表裏面の合計値で0.1本/μm以下である。
金属材料は圧延加工されるとすべり変形を起こすが、高加工度で変形すると塑性不安定による不均一変形がおこり、せん断帯が発生する。せん断帯とは、圧延板面に対して30〜60度傾いた、薄い面状の組織を言う(例えば「鉄と鋼」第70年(1984)第15号P.18)。せん断帯は周囲の母相とほぼ類似の結晶方位を持っているが、密なセル組織を持っており、再結晶核生成が起こりやすい。そのため、せん断帯が発達した材料ではせん断帯部と母相とで再結晶が不均一に起こり、その結果として再結晶集合組織の発達が妨げられる。又、せん断帯は圧延平行方向に銅箔厚みを横切るように発達するため、圧延平行方向と圧延直角とに異方性が生じる。そこで、せん断帯を0.1本/μm以下に少なくすることで、異方性を小さくできる。
【0014】
なお、実際に銅箔を屈曲する際に最もひずみが大きくなるのは表面であるため、銅箔厚み中央を横切るせん断帯の本数が少なくても、表面近傍にせん断帯が発達すると屈曲性が低下する傾向にある。そこで、本発明では、銅箔表面近傍のせん断帯を反映するよう、銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線を横切って表面に達するものをせん断帯とみなす。
このせん断帯を0.1本/μm以下とする方法としては、後述する最終冷間圧延の総加工度を98.5%以下とし、最終冷間圧延の最終5パス(最終パス前4パスから最終パスまでの5つのパスのことを意味する。)の中で前のパスより加工度が高いパスを存在させ、当該5パス中の最終パスを除くいずれかのパスの最大加工度が40%以上であり、最終パスでの加工度が最終5パス中で最小とすることが挙げられる。
【0015】
<せん断帯の測定>
せん断帯の測定は、図1に示すように、銅箔の圧延平行方向RDの断面Rを研磨し、RD方向の幅W=200μm以上とし、銅箔の厚みtを高さとする観察視野Vを決め、走査型電子顕微鏡(SEM)の像を得る。そして、銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線Cを横切って銅箔表面に到達するせん断帯Shの本数を、視野幅Wで除したものをせん断帯の本数(本/μm)とする。又、銅箔の表裏の面からそれぞれ線Cを引くことができるので、せん断帯の本数は、銅箔の表裏につきそれぞれ測定した値の合計値とする。
なお、有意なせん断帯Shは、その一端が銅箔表面に至り、他端が線Cと交差する線であり、これ以外のせん断帯(銅箔表面に到達しないか、又は線Cと交差しないせん断帯)は、再結晶集合組織発達、及び屈曲性への影響が小さいため、本発明ではせん断帯としてカウントしない。
【0016】
<せん断帯の特定>
せん断帯は、強加工による塑性不安定によって圧延面と30〜60度傾いた面上でせん断変形が集中的に起こって形成される組織が観察面に現れたものである。したがって、せん断帯は圧延組織の不連続面として観察される。せん断帯部の結晶方位は母相と差がないために、結晶方位測定でせん断帯を規定することはできない。一方、せん断帯は深さ方向に広がっているため、材料の断面を観察して特定することができる。従って、最終圧延後の銅箔の圧延平行方向の断面を観察したとき、圧延面と30〜60度傾いた圧延組織の不連続部分をせん断帯とする。具体的には、上記断面の顕微鏡(金属顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査イオン顕微鏡(SIM)等)の像を得て、圧延面と30〜60度傾いた線を画像解析や目視によりせん断帯と判定することができる。銅箔の断面加工はFIBやCPで行うのが好ましいが、機械研磨等の方法を用いても良い。
図2は、圧延平行方向の断面から見たときの組織のSEM像を示す。この図において、符号Shで表した2つの矢印を結ぶ線がせん断帯である。又、白色の矢印は、線Cに到達しないせん断帯である。
【0017】
次に、本発明の圧延銅箔の製造方法の一例について説明する。まず、銅及び必要な合金元素、さらに不可避不純物からなる鋳塊を熱間圧延後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し、最後に最終冷間圧延で所定厚みに仕上げる。
ここで、最終冷間圧延の総加工度を98.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは98.3%以下である。又、最終冷間圧延の総加工度は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。さらに最終冷間圧延において、最終5パスの中で前のパスより加工度が高いパスが存在し、当該5パス中の最終パスを除くいずれかのパスの最大加工度が40%以上であり、かつ最終パスでの加工度が前記5パス中で最小となるように設定する。
このように最終冷間圧延の総加工度を98.5%以下とすることで、せん断帯の発達を抑制できる。又、最終5パスの中で前のパスより加工度が高いパスが存在し、かつ最終パスを除くいずれかのパスの最大加工度を40%以上とすることで、厚み方向に均一に銅箔を変形させて局部的な変形を抑制し、せん断帯の発達を防止することができる。又、圧延中の材料表面とワークロールとの摩擦によって材料表面にせん断変形組織が発達することから、最終パスを低い加工度で圧延することで、材料表面にせん断加工層ができるのを抑制し、材料特性(寸法変化)の異方性を低減することができる。ただし、材料が厚い段階で高い加工度をかけると、材料厚み方向に均一に変形せず、材料表面近傍にせん断帯ができやすいため、最大加工度となるパスは最終パスの2〜4パス前が好ましい。
【実施例】
【0018】
JIS−H3100(合金番号C1100)に規格するタフピッチ銅(TPC)又はJIS−H3100(合金番号C1020)無酸素銅(OFC)に対し、表1に記載の元素を添加してインゴットを鋳造した。作製したインゴットを800℃以上で厚さ10mmまで熱間圧延を行い、表面の酸化スケールを面削した後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返した後、さらに最終冷間圧延で厚み0.006〜0.017mm(表1参照)に仕上げた。
なお、最終冷間圧延は10〜15パスで行い、最終冷間圧延の総加工度を表1に示す値とした。又、最終冷間圧延の最終5パス(最終パスの4パス前から最終パスまで)の各加工度を表1に示す値とした。加工度は以下の式で求めた。
(加工度)={(圧延前厚み)−(圧延後厚み)}/(圧延前厚み)×100(%)
なお、実施例6については最終冷間圧延の後、得られた銅箔を120℃で30分間加熱した。実施例7については最終冷間圧延の後、得られた銅箔を200℃で30分間加熱した。実施例8については最終冷間圧延の後、得られた銅箔を120℃で30分間加熱した。比較例4については最終冷間圧延の後、得られた銅箔を100℃で30分間加熱した。比較例5については最終冷間圧延の後、得られた銅箔を120℃で1時間加熱した。
【0019】
このようにして得られた各銅箔試料について、諸特性の評価を行った。
(1)再結晶組織の面積率
以下の200℃で30分間焼鈍前に、試料表面を電解研磨し、SEM(走査電子顕微鏡)像のうち、明瞭な結晶粒界で囲まれた結晶粒を再結晶粒とし、観察面積に占める再結晶粒の面積率を画像解析により算出した。なお、実施例7については、最終冷間圧延後の200℃で30分間加熱した直後の銅箔試料につき(つまり、実施例7については最終冷間圧延後の200℃で30分間加熱した後、さらに2回目の200℃で30分間焼鈍を行ったが、1回目の200℃で30分間加熱の直後をいう)再結晶粒の面積率を算出した。画像解析は、市販の画像解析ソフトウェア(ソフトウェア名「ImageNos」、以下のウェブサイトで入手可能なフリーソフトウェア)を用いて2値化した。
http://www. geocities.jp/baruth0/software.html
http://www. vector.co.jp/soft/win95/art/se065425.html
さらに、市販のソフトウェア(ソフトウェア名「PixelCounter s」、以下のウェブサイトで入手可能なフリーソフトウェア)を用いて面積率を算出した。
(http://www. vector.co.jp/soft/win95/art/se385899.html
又、観察視野は500μm×500μm以上とした。再結晶組織の面積率は以下の式で求めた。
(再結晶組織の面積率)=(再結晶粒の面積)/(観察視野の面積)×100 (%)
【0020】
(2)せん断帯の本数(表裏面の合計値)(頻度)
図1に示すように、上記200℃で30分焼鈍する前の試料の圧延平行RDの断面Rを研磨(機械研磨またはCP(クロスセクションポリッシャー法))し、RD方向の幅W=200μm以上とし、銅箔の厚みtを高さとする観察視野Vを決め、走査型電子顕微鏡(SEM)の像を得た。そして、図1の線Cを横切って、銅箔表面に到達するせん断帯Shの本数を、視野幅Wで除したものをせん断帯の本数(本/μm)として目視で数えた。なお、実施例7については、最終冷間圧延後の200℃で30分間加熱した直後の銅箔試料につき(つまり、実施例7については最終冷間圧延後の200℃で30分間加熱した後、さらに2回目の200℃で30分間焼鈍を行ったが、1回目の200℃で30分間加熱の直後をいう)、上記と同様にせん断帯の本数を測定した。
なお、銅箔の表裏の面からそれぞれ線Cを引き、銅箔の表裏につきそれぞれせん断帯の本数を測定し、{(表面のせん断帯の本数)+(裏面のせん断帯の本数)}÷視野幅Wにより、せん断帯の本数を求めた。
【0021】
(3)屈曲性
試料を200℃で30分間加熱した後、図3に示す屈曲試験装置により、屈曲疲労寿命の測定を行った。この装置は、発振駆動体4に振動伝達部材3を結合した構造になっており、被試験銅箔1は、矢印で示したねじ2の部分と3の先端部の計4点で装置に固定される。振動部3が上下に駆動すると、銅箔1の中間部は、所定の曲率半径rでヘアピン状に屈曲される。本試験では、以下の条件下で屈曲を繰り返した時の破断までの回数を求めた。
なお、板厚が0.012mmである場合、試験条件は次の通りである:試験片幅:12.7mm、試験片長さ:200mm、試験片採取方向:試験片の長さ方向が圧延方向と平行になるように採取、曲率半径r:2.5mm、振動ストローク:25mm、振動速度:1500回/分。なお、屈曲疲労寿命が5万回以上の場合に、優れた屈曲性を有していると判断し、「○」とした。また、屈曲疲労寿命が5万回未満の場合は屈曲性を「×」とした。
また、それぞれ板厚が0.017mm、0.009mm、0.006mmである場合、板厚が0.012mmの場合の屈曲試験と曲げ歪が同じとなるよう、曲率半径rをそれぞれ3.8mm、2mm、1.3mmに変更したが、他の試験条件は同一とした。
【0022】
(4)取扱い性
ポリイミド樹脂を銅箔表面に塗布乾燥した後に200℃で30分加熱し、キャスト法でCCL積層板を作成した。得られたCCLを100mの長さにわたって目視で観察した。CCLに長さ10cm以上のシワが存在した場合は「×」、長さ10cm以上のシワが存在しなかった場合は「○」とした。
【0023】
得られた結果を表1に示す。なお、表1の組成の欄の「190ppmAg- TPC」は、JIS-H3100(合金番号C1100)のタフピッチ銅(TPC)に190wt ppmのAgを添加したこと意味する。また表1の組成の欄の「80ppmSn−OFC」はJIS−H3100(合金番号C1020)の無酸素銅(OFC)に80wtppmのSnを添加したことを意味する。
【0024】
【表1】

【0025】
表1から明らかなように、各実施例の場合、(200℃で30分間焼鈍前に)再結晶組織の面積率が50%未満であり、圧延平行断面から見て、線Cを横切って表面に到達するせん断帯が0.1本/μm以下であった。
【0026】
一方、最終冷間圧延の総加工度が98.5%を超え、最終冷間圧延の最終5パスのいずれのパスの最大加工度も40%未満である比較例1の場合、せん断帯が0.1本/μmを超え、屈曲性が劣った。
最終冷間圧延の総加工度が98.5%を超え、最終冷間圧延の最終パスでの加工度が5パス中で最小とならなかった比較例2、6の場合、線Cを横切るせん断帯が0.1本/μmを超え、屈曲性が劣った。
なお、表1には、銅箔表面から厚み方向の中心線を横切って該表面に到達するせん断帯の表裏面の合計値も表示した。
【0027】
最終冷間圧延の総加工度が98.5%以下であるものの、最終冷間圧延の最終パスでの加工度が5パス中で最小とならなかった比較例3の場合も、線Cを横切るせん断帯が表裏面の合計値で0.1本/μmを超え、屈曲性が劣った。
最終冷間圧延において、最終5パスの中で前のパスより加工度が高いパスが存在しない(つまり、最終パスに向かって加工度が単調減少する)比較例4の場合も、線Cを横切るせん断帯が0.1本/μmを超え、屈曲性が劣った。
200℃で30分間焼鈍前に再結晶組織の面積率が50%以上である比較例5の場合、線Cを横切るせん断帯が0.1本/μm以下であったが、取扱い性に劣った。
【符号の説明】
【0028】
t 銅箔の厚み
C 銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線
Sh せん断帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再結晶組織の面積率が50%未満(0%を含む)であり、かつ圧延平行断面から見て、銅箔表面から厚み方向に銅箔厚みの1/10の深さの線を横切って該表面に到達するせん断帯が表裏面の合計値で0.1本/μm以下である圧延銅箔。
【請求項2】
鋳塊を熱間圧延後、冷間圧延と焼鈍とを繰り返し、最後に最終冷間圧延を行って製造され、当該最終冷間圧延の総加工度が98.5%以下である請求項1に記載の圧延銅箔。
【請求項3】
前記最終冷間圧延において、最終5パスの中で前のパスより加工度が高いパスが存在し、当該5パス中のいずれかのパスの最大加工度が40%以上であり、かつ最終パスでの加工度が前記5パス中で最小となる請求項2記載の圧延銅箔。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−96006(P2013−96006A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243215(P2011−243215)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】