説明

圧縮機およびこれを搭載した冷却システム

【課題】既存の圧縮機のままで、潤滑油だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能にし、大幅な工数削減と省スペース化を実現する圧縮機を提供することを目的とする。
【解決手段】密閉容器101または電動圧縮要素105と外気とを熱交換するように熱交換パイプを設け、熱交換パイプは高温部に配置される入熱側端部107と低温部に配置される放熱側端部108とを備えたヒートパイプ109で形成したもので、既存の圧縮機のままで、潤滑油102だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能大幅な工数削減と省スペース化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気冷蔵庫、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等の冷却システムに接続される圧縮機の耐久性向上およびこれを搭載した冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、圧縮機は、冷凍機・空調機用の圧縮機としてさまざまな分野で広く活用されており、小型化、高効率、高信頼性に対する要求がますます高まっている。
【0003】
従来の圧縮機としては、密閉容器内に圧縮要素と圧縮要素を駆動する電動要素とからなる電動圧縮要素を収容し、密閉容器内に貯留された潤滑油を軸受け部を通して強制的に循環する給油経路を設け、給油経路の一部を配管で形成して密閉容器外へ引き出して構成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、図面を参照しながら上記従来技術の圧縮機について説明する。
【0005】
図9は従来の圧縮機の縦断面図である。
【0006】
図9において、密閉容器1内には潤滑油2が貯留されており、圧縮要素3と圧縮要素3を駆動する電動要素4とからなる電動圧縮要素5が収容されている。
【0007】
電動圧縮要素5は軸部6で連結され、軸部6は上軸受け部7と下軸受け部8で支持されている。
【0008】
軸部6の内部には、軸部6の長手方向に貫通する給油孔9が設けられており、軸部6の下端の直下には、給油ポンプ10が設けられている。
【0009】
上軸受け部7の下部には連通孔11が設けられており、連通孔11の延長線上には連通孔11と連通するように排油配管12がシール固定されている。
【0010】
排油配管12は密閉容器1外へ引き出された後、湾曲を繰り返しながら下方に延長され、再び密閉容器1内の潤滑油2内に引き戻されている。
【0011】
以上のように構成された従来の圧縮機について、以下その動作を説明する。
【0012】
密閉容器1内に収容された圧縮要素3は、電動要素4が駆動することによって軸部6が回転し、圧縮作業を開始する。
【0013】
このとき、軸部6の回転に連動して、給油ポンプ10から潤滑油2がくみ上げられ、軸部6に設けられた給油孔9内に侵入する。
【0014】
その後、高温となった電動要素4や圧縮要素3によって加熱されながら、給油孔9内を上昇し、やがて軸部6の上端からあふれ出す。
【0015】
あふれ出した潤滑油2は軸部6周りの隙間を経由して、上軸受け部7を潤滑した後、さらに加熱されて高温となり連通孔11に流れ込む。
【0016】
高温となった潤滑油2は延長線上に連通する排油配管12に流れ込み、排油配管12を流れながら密閉容器1外へ出る。
【0017】
密閉容器1外では湾曲した排油配管12が熱交換器の役目を果たし、排油配管12内を流れる潤滑油2は外気と熱交換することにより冷却される。
【0018】
冷却された潤滑油2は再び密閉容器1内に戻されて、密閉容器1内に貯留した潤滑油2と混合されることにより、貯留した潤滑油2の温度が下がることになる。
【0019】
これにより密閉容器1内を循環する潤滑油2の温度上昇を抑制している。
【特許文献1】特開2006−291861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら上記従来の構成では、高温となった潤滑油2を外気と効果的に熱交換させるためには、排油配管12は直線距離の数倍の長さを要すると共に、湾曲させるための工数が多くなるという課題を有していた。
【0021】
また、圧縮機としてのサイズも大きくなり、輸送時の接触による変形や梱包性を低下させると共に、搭載するシステム側の収納性が低下するという課題を有していた。
【0022】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、既存の圧縮機のままで、潤滑油だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能にし、大幅な工数削減と省スペース化を実現する圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記従来の課題を解決するために本発明の圧縮機は、密閉容器または電動圧縮要素と外気とを熱交換するように熱交換パイプを設け、熱交換パイプは高温部に配置される入熱側端部と低温部に配置される放熱側端部とを備えたヒートパイプで形成したもので、既存の圧縮機のままで、潤滑油だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、大幅な工数削減と省スペース化を実現するという作用を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の圧縮機は、密閉容器または電動圧縮要素と外気とを熱交換するように熱交換パイプを設け、熱交換パイプは高温部に配置される入熱側端部と低温部に配置される放熱側端部とを備えたヒートパイプで形成したもので、既存の圧縮機のままで、潤滑油だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能大幅な工数削減と省スペース化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに、圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素とからなる電動圧縮要素を収容し、前記密閉容器または前記電動圧縮要素と外気とを熱交換するように熱交換パイプを設け、前記熱交換パイプは高温部に配置される入熱側端部と低温部に配置される放熱側端部とを備えたヒートパイプで形成されたことを特徴としたもので、既存の圧縮機のままで、潤滑油だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能大幅な工数削減と省スペース化を実現することができるので、高性能かつ低コストで、生産性と信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0026】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ヒートパイプは、入熱側端部を密閉容器の内外表面または電動圧縮要素に固着し、放熱側端部は圧縮機を搭載する冷却システムの構造体またはヒートシンクに固着して放熱面積を拡大したことを特徴とするもので、密閉容器の冷却したい部位を自由に選択できると共に、密閉容器の外面に固着する場合は、圧縮機の組立完成品に後付け可能であり、より高い生産性を得ることができる。また放熱側の放熱性が高いため、より短いヒートパイプで対応できるので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、より低コストでより信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0027】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ヒートパイプの入熱側端部を密閉容器内の潤滑油中に配置し、放熱側端部は圧縮機を搭載する冷却システムの構造体またはヒートシンクに固着して放熱面積を拡大したことを特徴とするもので、潤滑油そのものを冷却することにより、圧縮機全体を効果的に冷却することができるので、請求項1に記載の発明の効果に加えて、より信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、ヒートパイプは、銅で形成された容器と、内部に空気よりも熱容量の大きい作動液を封入して構成されたもので、鉄製の密閉容器への固着性が高いので、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、より生産性が高く、より信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、作動液が水であるもので、内部に空気よりも熱容量の大きい作動液を封入して構成しているので、圧縮機の発熱温度帯としては最適な組合せであり、かつヒートパイプとしては最も主流となる標準仕様を採用するので、請求項4に記載の発明の効果に加えて、より低コストな圧縮機を提供することができる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧縮機を搭載した冷却システムに関するもので、低コストで小型化を実現しながら、生産性と信頼性の高い圧縮機を搭載しているので、同じ効果を有する冷却システムを提供することができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態における圧縮機の上面図、図3は、同実施の形態における圧縮機の右側面図、図4は、同実施の形態における圧縮機の下面図である。
【0033】
図1から図4において、密閉容器101内には、潤滑油102が貯留されており、回転する軸部106を有する圧縮要素103と、軸部106を介して圧縮要素103を駆動する電動要素104とを一体に固定した電動圧縮要素105を収容している。
【0034】
密閉容器101の下部の外表面には、2本のヒートパイプ109が平行に固着されている。
【0035】
2本のヒートパイプ109は共に、厚さ(T)1.5mm、幅(W)15mm、長さ(L)160mmの平面型で、熱伝達性の良い銅で形成された密閉され容器114と、内部には蒸発潜熱の大きい少量の水のみが作動液(図示せず)として封入されている。
【0036】
さらに、銅で形成された容器114の内壁にはウィックと呼ばれる細かいグルーブ(図示せず)が形成されている。
【0037】
ヒートパイプ109の一端は、高温の熱を吸収する入熱側端部107で、多端は入熱側端部107で吸収した熱を発散する放熱側端部108で構成されている。
【0038】
次にヒートパイプ109の固定方法について記述する。
【0039】
2つの入熱側端部107は、密閉容器101の下部の外表面に密着させた状態で、2本のヒートパイプ109が平行になるように銀ロー付けにより固着されている。
【0040】
放熱側端部108は、アルミ材で形成したヒートシンク110に形成され、ヒートパイプ109の厚さ(T)と幅(W)に略等しい深さ(D)と幅(W1)のくぼみ部111と冷却システム(図示せず)の本体を形成する鉄板製の構造体113との間に挟みこむ形で、固定ねじ112によって締結固定されている。
【0041】
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
上記固定方法で形成したヒートパイプ109は、密閉容器101の外表面に密着した状態で銀ロー付けされているので、密閉容器101の高温の熱を効率良く入熱側端部107に伝達することができる。
【0043】
ヒートパイプ109は熱伝達性の良い銅で形成しているので、入熱側端部107に伝達された高温の熱は、速やかに内部の水に伝えることができる。
【0044】
この高温の熱により、ヒートパイプ109の内部に封入された水は気化して水蒸気となるので、入熱側端部107の内部の蒸気圧が上昇し、この蒸気は放熱側端部108へ素早く移動する。
【0045】
放熱側端部108は、放熱性の高いアルミ材で形成したヒートシンク110と放熱性の良い鉄板製の構造体113に直付けされているので、放熱側端部108に到達した水蒸気はヒートパイプ109の容器114内壁で凝縮し、液化する。
【0046】
液化した水は内壁に形成されたウィックの毛細管現象により入熱側端部107に還流する。
【0047】
以上のように、入熱側端部107の熱吸収と、放熱側端部108からの熱発散のサイクルを繰り返すことによって、ヒートパイプ109の入熱側端部107を固着した密閉容器101の下部周辺の熱は常に吸収され、密閉容器101や潤滑油102の温度を低下させることができる。
【0048】
また、2つの入熱側端部107は、密閉容器101の下部の外表面に密着させた状態で銀ロー付けにより固着させる工法を採用しているので、圧縮機の完成品に後付け改造することが可能であり、従来の圧縮機を流用することができ、高い経済性を実現することができる。
【0049】
また、放熱側端部108は、アルミ材で形成したヒートシンク110に形成され、ヒートパイプ109の厚さと幅に略等しいくぼみ部111と冷却システムの本体を形成する鉄板製の構造体113との間に挟みこむ形で、固定ねじ112によって締結固定されているので、冷却システムの構造体113にねじ孔を形成するだけで、従来の冷却システムを流用することができ、高い経済性を実現することができる。
【0050】
以上の構成の圧縮機において、電動圧縮要素105は、電動要素104が駆動することによって軸部106は回転し、圧縮要素103は所定の圧縮仕事を始める。このとき、潤滑油102に浸っている軸部106が回転することによって、軸部106から潤滑油102が連続的に汲み上げられる。
【0051】
汲み上げられた潤滑油102は、圧縮要素103の各摺動部(図示せず)に循環し、各摺動部の潤滑と冷却の役割を果たすものであるが、潤滑油102はヒートパイプ109によって低温に保たれているので、一定の粘度を保持することにより高い潤滑性能を維持することで、各摺動部の摩耗を防ぐことができる。
【0052】
また、潤滑油102はヒートパイプ109によって低温に保たれているので、各摺動部を効果的に冷却することで、圧縮部の熱効率を改善し、圧縮機の性能を向上させることができる。
【0053】
以上のように本実施の形態によれば、密閉容器の温度が効果的に冷却され、密閉容器のだけでなく、密閉容器に大きく接している潤滑油や圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能大幅な工数削減と省スペース化を実現することができるので、高性能かつ低コストで、生産性と信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0054】
また、以上の圧縮機における効果は、そのままその圧縮機を搭載する冷却システムにおいても適用され、冷却システムの特性が向上し信頼性も向上する。
【0055】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における圧縮機の縦断面図、図6は、同実施の形態における圧縮機の上面図、図7は、同実施の形態における圧縮機の右側面図、図8は、同実施の形態における圧縮機の下面図である。
【0056】
図5から図8において、密閉容器201内には、潤滑油202が貯留されており、回転する軸部106を有する圧縮要素203と、軸部106を介して圧縮要素203を駆動する電動要素204とを一体に固定した電動圧縮要素205を収容している。
【0057】
2本のヒートパイプ209は密閉容器201の下部を貫通し、入熱側端部207は潤滑油202の中に配置されている。
【0058】
2本のヒートパイプ209は共に、厚さ(t)1.5mm、幅(W)15mmで、長さ160mm(L1)と120mm(L2)の2種類の長さで構成したもので、軸部106との距離を確保するために一方を短くしている。
【0059】
またヒートパイプ209は共に平面型で、熱伝達性の良い銅で形成され密閉された容器214と、内部には蒸発潜熱の大きい少量の水のみが作動液(図示せず)として封入されている。
【0060】
さらに、銅で形成された容器214の内壁にはウィックと呼ばれる細かいグルーブ(図示せず)が形成されている。
【0061】
ヒートパイプ209の一端は、高温の熱を吸収する入熱側端部207で、多端は入熱側端部207で吸収した熱を発散する放熱側端部208で構成されている。
【0062】
次にヒートパイプ209の固定方法について記述する。
【0063】
2つの入熱側端部207は、密閉容器201の下部の横方向から貫通して固定されている。
【0064】
固定部は密閉容器201に設けた横穴に2本のヒートパイプ209を貫通させた後、水平を保ったまま、密閉容器201の横穴とヒートパイプ209とを銀ロー付けにより溶接し、密閉固定されている。
【0065】
放熱側端部208は、アルミ材で形成したヒートシンク210に形成され、ヒートパイプ209の厚さ(T)と幅(W)に略等しい深さ(D)と幅(W1)のくぼみ部111と冷却システム(図示せず)の本体を形成する鉄板製の構造体213との間に挟みこむ形で、固定ねじ112によって締結固定されている。
【0066】
以上のように構成された圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
【0067】
上記固定方法で形成したヒートパイプ209は、入熱側端部207が密閉容器201内に貯留された潤滑油202に直接接触しているので、潤滑油202の高温の熱を効率良く入熱側端部207に伝達することができる。
【0068】
ヒートパイプ209は熱伝達性の良い銅で形成しているので、入熱側端部207に伝達された高温の熱は、速やかに内部の水に伝えることができる。
【0069】
この高温の熱により、ヒートパイプ209の内部に封入された水は気化して水蒸気となるので、入熱側端部207の内部の蒸気圧が上昇し、この蒸気は放熱側端部208へ素早く移動する。
【0070】
放熱側端部208は、放熱性の高いアルミ材で形成したヒートシンク210と放熱性の良い鉄板製の構造体213に直付けされているので、放熱側端部208に到達した水蒸気はヒートパイプ209の容器214内壁で凝縮し、液化する。
【0071】
液化した水は内壁に形成されたウィックの毛細管現象により入熱側端部207に還流する。
【0072】
以上のように、入熱側端部207の熱吸収と、放熱側端部208からの熱発散のサイクルを繰り返すことによって、ヒートパイプ209の入熱側端部207が直接接触する潤滑油202の熱は常に効果的に吸収され、効率よく温度を低減することができる。
【0073】
また、放熱側端部208は、アルミ材で形成したヒートシンク210に形成され、ヒートパイプ209の厚さと幅に略等しいくぼみ部111と冷却システムの本体を形成する鉄板製の構造体213との間に挟みこむ形で、固定ねじ112によって締結固定されているので、冷却システムの構造体213にねじ穴を形成するだけで、従来の冷却システムを流用することができ、高い経済性を実現することができる。
【0074】
以上の構成の圧縮機において、電動圧縮要素205は、電動要素204が駆動することによって軸部106は回転し、圧縮要素203は所定の圧縮仕事を始める。このとき、潤滑油202に浸っている軸部106が回転することによって、軸部106から潤滑油202が連続的に汲み上げられる。
【0075】
汲み上げられた潤滑油202は、圧縮要素203の各摺動部(図示せず)に循環し、各摺動部の潤滑と冷却の役割を果たすものであるが、潤滑油202はヒートパイプ209によって低温に保たれているので、一定の粘度を保持することにより高い潤滑性能を維持することで、各摺動部の摩耗を防ぐことができる。
【0076】
また、潤滑油202はヒートパイプ209によって低温に保たれているので、各摺動部を効果的に冷却することで、圧縮部の熱効率を改善し、圧縮機の性能を向上させることができる。
【0077】
以上のように本実施の形態によれば、潤滑油の温度が効果的に冷却され、潤滑油だけでなく圧縮機各部の温度を効果的に冷却することを可能にすると同時に、圧縮機各部の冷却を可能大幅な工数削減と省スペース化を実現することができるので、高性能かつ低コストで、生産性と信頼性の高い圧縮機を提供することができる。
【0078】
また、以上の圧縮機における効果は、そのままその圧縮機を搭載する冷却システムにおいても適用され、冷却システムの特性が向上し信頼性も向上する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかる圧縮機は、高い生産性を確保しながら、耐久性の高い圧縮機が可能になるため、家庭用冷蔵庫を初めとして、除湿機やショーケース、自販機等の冷凍サイクルに用いる圧縮機に適用できるとともに、これを搭載した冷却システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1における圧縮機の縦断面図
【図2】同実施の形態における圧縮機の上面図
【図3】同実施の形態における圧縮機の右側面図
【図4】同実施の形態における圧縮機の下面図
【図5】本発明の実施の形態2における圧縮機の縦断面図
【図6】同実施の形態における圧縮機の上面図
【図7】同実施の形態における圧縮機の右側面図
【図8】同実施の形態における圧縮機の下面図
【図9】従来の圧縮機の縦断面図
【符号の説明】
【0081】
101,201 密閉容器
102,202 潤滑油
103,203 圧縮要素
104,204 電動要素
105,205 電動圧縮要素
107,207 入熱側端部
108,208 放熱側端部
109,209 ヒートパイプ(熱交換パイプ)
110,210 ヒートシンク
113,213 冷却システムの構造体
114,214 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器内に潤滑油を貯留するとともに、圧縮要素と前記圧縮要素を駆動する電動要素とからなる電動圧縮要素を収容し、前記密閉容器または前記電動圧縮要素と外気とを熱交換するように熱交換パイプを設け、前記熱交換パイプは高温部に配置される入熱側端部と低温部に配置される放熱側端部とを備えたヒートパイプで形成されたことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
ヒートパイプは、入熱側端部を密閉容器の内外表面または電動圧縮要素に固着し、放熱側端部は圧縮機を搭載する冷却システムの構造体またはヒートシンクに固着して放熱面積を拡大したことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
ヒートパイプは、入熱側端部を密閉容器内の潤滑油中に配置し、放熱側端部は圧縮機を搭載する冷却システムの構造体またはヒートシンクに固着して放熱面積を拡大したことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
ヒートパイプは、銅で形成された容器と、内部に空気よりも熱容量の大きい作動液を封入して構成された請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機。
【請求項5】
作動液は水である請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の圧縮機を搭載した冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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