説明

圧縮機のリード線端子の接続装置

【課題】リード線端子や給電用ターミナルの製作上の寸法公差に関わらず、リード線端子を給電用ターミナルに自動的に接続できて、人手に頼らずにリード線端子を給電用ターミナルに正確かつ確実に接続できる圧縮機のリード線端子の接続装置を提供する。
【解決手段】テーブル152に載置されたリード線端子60は、位置合わせ機構181により、給電用ターミナルに対して位置合わせされる。そして、昇降機構182により、テーブル152を給電用ターミナルに接近するように上昇させて、リード線端子60の孔部に、給電用ターミナルの端子ピンを差し込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、エアコンや冷蔵庫等に用いられる圧縮機のモータコイルのリード線端子を、圧縮機の給電用ターミナルに接続する圧縮機のリード線端子の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、圧縮機のモータコイルのリード線端子を、圧縮機の給電用ターミナルに接続するには、人の手作業によって行われており、自動化が難しく、特別なリード線端子の接続装置は存在しなかった(特開2004−176682号公報:特許文献1参照)。
【0003】
ここで、リード線端子の接続装置として、単純に、リード線端子を、第1の位置から給電用ターミナルが配置された第2の位置まで移動して、リード線端子を給電用ターミナルに接続するものが考えられる。
【0004】
しかしながら、このような単純なリード線端子の接続装置では、リード線端子および給電用ターミナルの製作においてリード線端子や給電用ターミナルに寸法公差が生じると、リード線端子を給電用ターミナルに接続することができない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−176682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、リード線端子や給電用ターミナルの製作上の寸法公差に関わらず、リード線端子を給電用ターミナルに自動的に接続できて、人手に頼らずにリード線端子を給電用ターミナルに正確かつ確実に接続できる圧縮機のリード線端子の接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の圧縮機のリード線端子の接続装置は、
圧縮機の密閉容器の胴部と鏡板との間に配置されて、上記鏡板に取り付けられた給電用ターミナルに、圧縮機のモータコイルのリード線端子を接続する圧縮機のリード線端子の接続装置であって、
上記胴部と上記鏡板との間に設置される基台と、
上記基台に取り付けられると共に、上記リード線端子が載置されるテーブルと、
上記テーブルをこのテーブル面に沿って回転移動および/または並進移動させて、上記リード線端子を上記給電用ターミナルに対して位置合わせする位置合わせ機構と、
上記テーブルを上記給電用ターミナルに接近するように上昇させ、または、上記テーブルを上記給電用ターミナルに離隔するように下降させる昇降機構と、
上記鏡板を上記基台側に押さえ付ける押さえ機構と
を備えることを特徴としている。
【0008】
この発明の圧縮機のリード線端子の接続装置によれば、上記テーブルに載置された上記リード線端子は、上記位置合わせ機構により、上記給電用ターミナルに対して位置合わせされる。つまり、リード線端子や給電用ターミナルの製作において生じる寸法公差に合わせて、リード線端子の孔部は、給電用ターミナルの端子ピンに対応するように、位置合わせされる。
【0009】
そして、上記昇降機構により、テーブルを給電用ターミナルに接近するように上昇させて、リード線端子の孔部に、給電用ターミナルの端子ピンを差し込む。このとき、上記押さえ機構は、上記鏡板を上記基台側に押さえ付けているため、押さえ機構により、リード線端子を給電用ターミナルに取り付ける際の反力を受けることができる。
【0010】
このように、リード線端子や給電用ターミナルの製作上の寸法公差に関わらず、リード線端子を給電用ターミナルに自動的に接続できて、人手に頼らずにリード線端子を給電用ターミナルに正確かつ確実に接続できる。したがって、製造コストを低減しつつ信頼性を向上した圧縮機を製造できる。
【0011】
また、上記リード線端子を給電用ターミナルに接続する作業を自動化できるので、リード線端子を給電用ターミナルに接続するために鏡板を裏返しにする必要がない。これによって、リード線の長さを短くできて、リード線が圧縮機内の回転体(例えば、ロータ、回転軸、回転軸の先端に取り付けられる図示しないオイルセパレータなど)に接触することを防止し、リード線の断線や地絡といった不具合を防止できる。
【0012】
これに対して、従来では、人の手作業によって、リード線端子を給電用ターミナルに接続していたので、視覚に頼るために鏡板を裏返しにする必要があった。そして、鏡板を裏返してリード線端子を給電用ターミナルに接続するには、リード線の長さを長くする必要があった。このように、リード線の長さが長くなることで、リード線が圧縮機内の回転体に接触して、リード線の断線や地絡といった不具合が生じる問題があった。
【0013】
また、一実施形態の圧縮機のリード線端子の接続装置では、上記基台を上記鏡板に対して位置決めする位置決め機構を備える。
【0014】
この実施形態の圧縮機のリード線端子の接続装置によれば、上記位置決め機構により、上記基台を上記鏡板に対して位置決めして設置できる。このため、基台と鏡板との相対的な位置ずれを防止して、リード線端子を給電用ターミナルに迅速かつ容易に接続できる。
【0015】
また、一実施形態の圧縮機のリード線端子の接続装置では、上記基台には、上記テーブルに上記リード線端子を載置したときに上記リード線が上記基台に接触することを回避する逃げ溝を設けている。
【0016】
この実施形態の圧縮機のリード線端子の接続装置によれば、上記リード線端子を、上記位置合わせ機構により、上記給電用ターミナルに対して位置合わせするとき、リード線は、逃げ溝により、基台に接触しないため、リード線端子を給電用ターミナルに迅速かつ容易に接続できる。
【0017】
また、一実施形態の圧縮機のリード線端子の接続装置では、
上記給電用ターミナルの端子ピンの位置を検出するピン位置検出センサと、
上記ピン位置検出センサの出力に基づいて、上記位置合わせ機構を制御して、上記リード線端子の上記給電用ターミナルに対する粗い位置合わせを行う制御部と
を備える。
【0018】
この実施形態の圧縮機のリード線端子の接続装置によれば、上記リード線端子を、上記制御部により、上記給電用ターミナルに対して予め粗い位置合わせを行ってから、リード線端子を、位置合わせ機構により、給電用ターミナルに対して位置合わせする。このため、リード線端子を給電用ターミナルに接続するのにかかる時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明の圧縮機のリード線端子の接続装置によれば、上記テーブルに載置された上記リード線端子は、上記位置合わせ機構により、上記給電用ターミナルに対して位置合わせされるので、リード線端子や給電用ターミナルの製作上の寸法公差に関わらず、リード線端子を給電用ターミナルに自動的に接続できて、人手に頼らずにリード線端子を給電用ターミナルに正確かつ確実に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の接続装置を用いて組み立てた圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】圧縮機の横断面図である。
【図3】本発明の接続装置を用いて圧縮機を組み立てる状態を示す簡略構成図である。
【図4】本発明の接続装置の下治具の平面図である。
【図5A】本発明の接続装置の位置合わせ機構の平面図である。
【図5B】本発明の接続装置の位置合わせ機構の側面図である。
【図6】本発明の接続装置の昇降機構の簡略構成図である。
【図7】昇降機構の上昇状態を示す簡略構成図である。
【図8】本発明の接続装置を用いて給電用ターミナルにリード線端子を接続する方法の第1工程を示す簡略構成図である。
【図9】本発明の接続装置を用いて給電用ターミナルにリード線端子を接続する方法の第2工程を示す簡略構成図である。
【図10】本発明の接続装置を用いて給電用ターミナルにリード線端子を接続する方法の第3工程を示す簡略構成図である。
【図11】本発明の接続装置を用いて給電用ターミナルにリード線端子を接続する方法の第4工程を示す簡略構成図である。
【図12】本発明の接続装置を用いて給電用ターミナルにリード線端子を接続する方法の第5工程を示す簡略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0022】
図1は、この発明の接続装置を用いて組み立てた圧縮機の断面図を示している。図1に示すように、この圧縮機は、密閉容器1と、この密閉容器1内に配置された圧縮機構部2と、上記密閉容器1内に配置されると共に圧縮機構部2を駆動するモータ3とを備えている。この圧縮機は、図示しない凝縮器、膨張部および蒸発器とともに、冷媒回路を構成する。
【0023】
上記密閉容器1は、円筒状の胴部15と、この胴部15の上部開口に取り付けられたドーム状の鏡板16とを有する。胴部15の下部側面に、吸込管11を接続する一方、鏡板16に吐出管12を接続している。吸込管11から供給される冷媒は、圧縮機構部2の吸込側に導かれる。
【0024】
上記モータ3は、圧縮機構部2の上側に配置され、圧縮機構部2を回転軸4を介して駆動する。モータ3は、圧縮機構部2から吐出された高圧の冷媒が満たされる密閉容器1内の高圧領域に配置されている。
【0025】
上記密閉容器1内の下部には、潤滑油が溜められた油溜まり部10が形成されている。この潤滑油は、油溜まり部10から、回転軸4に設けられた(図示しない)油通路を通って、圧縮機構部2や回転軸4のベアリング等の摺動部に移動して、この摺動部を潤滑する。
【0026】
上記圧縮機構部2は、シリンダ20と、このシリンダ20の上下の開口端のそれぞれに取り付けられた上端部8および下端部9とを備える。
【0027】
上記回転軸4は、上端部8および下端部9を貫通して、シリンダ20の内部に挿入されている。回転軸4は、上端部8の軸受21と下端部9の軸受22とにより、回転自在に支持されている。
【0028】
上記シリンダ20内の回転軸4にクランクピン5が設けられ、このクランクピン5には、ローラ6が嵌合され、ローラ6とシリンダ20との間に形成された圧縮室7により、圧縮を行う。ローラ6は、偏芯した状態で回転し、または、公転運動を行い、圧縮室7の容積を変化させる。
【0029】
図1と図2に示すように、上記モータ3は、ロータ30とステータ40とを有する。ロータ30は、円筒形状であり、上記回転軸4に固定されている。ステータ40は、ロータ30の径方向外側に配置されている。つまり、上記モータ3は、インナーロータ型のモータである。
【0030】
上記ロータ30は、ロータコア31と、このロータコア31に軸方向に埋め込まれると共に周方向に配列された複数(本実施形態では6つ)の磁石32とを有する。
【0031】
上記ステータ40は、上記密閉容器1の内面に接触するステータコア41と、このステータコア41に巻回されたコイル42とを有する。
【0032】
上記ステータコア41は、積層された複数の電磁鋼板を含み、円筒部45と、複数(本実施形態では9つ)のティース部46とを有する。ティース部46は、円筒部45の内周面から径方向内側に突出すると共に周方向に配列されている。
【0033】
上記コイル42は、複数の上記ティース部46に渡って巻かれておらず各ティース部46に巻かれている集中巻きである。コイル42は、U相、V相、W相に分けられている。
【0034】
上記コイル42に電流を流すことで、電磁力により、上記ロータ30が回転し、このロータ30が回転することで、回転軸4を介して、ローラ6を公転させて、圧縮動作を行う。そして、圧縮機構部2から吐出された冷媒は、ロータ30とステータ40の間の空間を通って、吐出管12側へ流れる。
【0035】
上記密閉容器10の上記鏡板16には、給電用ターミナル50が、取り付けられている。給電用ターミナル50は、外部の電源を、モータ3のコイル42に供給する。給電用ターミナル50は、鏡板16の内側に向かって突出する3つの端子ピン51,52,53を有する。
【0036】
上記モータ3のコイル42からのリード線42aには、リード線端子60が、取り付けられている。このリード線端子60は、3つの端子ピン接続用の孔部61,62,63を有する。
【0037】
上記給電用ターミナル50の上記3つの端子ピン51,52,53は、上記リード線端子60の上記3つの孔部61,62,63に挿入されている。つまり、第1の端子ピン51は、第1の孔部61に挿入され、第2の端子ピン52は、第2の孔部62に挿入され、第3の端子ピン53は、第3の孔部63に挿入されている。3つの端子ピン51,52,53は、コイル42のU相、V相、W相のそれぞれに対応して、接続されている。
【0038】
図3に示すように、本発明の接続装置100は、上記圧縮機の密閉容器1の胴部15と鏡板16との間に配置されて、上記鏡板16に取り付けられた上記給電用ターミナル50に、上記圧縮機のモータ3のコイル42のリード線端子60を接続する。接続装置100は、上治具110と下治具150とを有する。上治具110と下治具150とは、一体に固定されてもよく、または、別体であってもよい。なお、図3では、分かりやすくするために、リード線端子60をハッチングにて示す。
【0039】
図3と図4に示すように、上記下治具150は、基台151と、上記リード線端子60が載置されるテーブル152と、上記テーブル152が載置される載置台153と、上記載置台153に連結されるアーム部154A,154Bと、上記アーム部154A,154Bを駆動する駆動部155A,155Bと、上記基台151に設けられるストッパー部156,157とを有する。
【0040】
上記基台151は、上記胴部15と上記鏡板16との間に設置される。なお、図4では、鏡板16の内面を仮想線にて示している。
【0041】
上記基台151の鏡板16側の上面に、上側の上記ストッパー部156が2つ設けられている。この上側のストッパー部156は、鏡板16の内面に接触して、基台151を鏡板16に対して位置決めする。
【0042】
上記上側のストッパー部156は、基台151の上面から突出し、または、基台151内に収容される。このストッパー部156の動作は、例えば、基台151内の流路を流れる(図示しない)流体の圧力により、制御される。つまり、ストッパー部156に圧力をかけることにより、ストッパー部156を基台151の上面から突出させる一方、ストッパー部156にかかる圧力を抜くことにより、ストッパー部156を基台151内に収容する。なお、このストッパー部156の動作は、回転運動であってもよく、または、直進運動であってもよい。
【0043】
上記上側のストッパー部156および上記基台151内の流路は、上側の位置決め機構184を構成する。この位置決め機構184は、基台151を鏡板16に対して位置決めする。なお、ストッパー部156の数量を増減してもよい。
【0044】
上記基台151の胴部15側の下面に、下側の上記ストッパー部157が2つ設けられている。この下側のストッパー部157は、胴部15の内面に接触して、基台151を胴部15に対して位置決めする。
【0045】
上記下側のストッパー部157は、基台151の下面から突出し、または、基台151内に収容される。このストッパー部157の動作は、例えば、基台151内の流路を流れる(図示しない)流体の圧力により、制御される。つまり、ストッパー部157に圧力をかけることにより、ストッパー部157を基台151の下面から突出させる一方、ストッパー部157にかかる圧力を抜くことにより、ストッパー部157を基台151内に収容する。なお、このストッパー部157の動作は、回転運動であってもよく、または、直進運動であってもよい。
【0046】
上記下側のストッパー部157および上記基台151内の流路は、下側の位置決め機構185を構成する。この位置決め機構185は、基台151を胴部15に対して位置決めする。なお、ストッパー部157の数量を増減してもよい。
【0047】
上記基台151には、切欠状の逃げ溝151aを設けており、この逃げ溝151aは、テーブル152にリード線端子60を載置したときに、リード線42aが基台151に接触することを回避する。
【0048】
上記アーム部154A,154Bは、2つあり、第1のアーム部154Aの一端は、載置台153の第1端部に連結され、第2のアーム部154Bの一端は、載置台153の第2端部に連結されている。載置台153の第1端部と、載置台153の第2端部とは、互いに反対側の位置にある。
【0049】
上記駆動部155A,155Bは、2つあり、それぞれ、基台151に固定されている。第1の駆動部155Aは、第1のアーム部154Aの他端に連結され、第2の駆動部155Bは、第2のアーム部154Bの他端に連結されている。
【0050】
上記テーブル152は、載置台153、アーム部154A,154Bおよび駆動部155A,155Bを介して、基台151に取り付けられる。
【0051】
図5Aと図5Bに示すように、上記テーブル152は、円板状に形成されている。テーブル152は、リード線端子60の外形に対応して形成された嵌合溝152aを有し、この嵌合溝152aに、リード線端子60が移動しないように嵌合される。
【0052】
上記載置台153は、上記テーブル152の外形よりも大きく形成された調整溝153aを有し、この調整溝153aに、テーブル152が遊嵌状に嵌合される。つまり、調整溝153aの内面とテーブル152の外面との間に隙間を有しており、テーブル152は、調整溝153a内で、テーブル面152b(上面)に沿って回転移動および並進移動可能となる。
【0053】
上記載置台153には、テーブル152をテーブル面152bに沿って(平面方向に)並進移動する4つの並進用モータ161と、テーブル152をテーブル面152bに沿って(平面方向に)かつテーブル面152bと直交する方向を軸心として回転移動する回転用モータ162とを有する。
【0054】
上記並進用モータ161は、テーブル152の外周面に対向する位置に、配置されている。並進用モータ161は、例えば、伸縮自在なピストンロッドを有し、このピストンロッドを、テーブル152の外周面に押し当てて、テーブル152を並進移動する。
【0055】
上記回転用モータ162は、テーブル152の下面に対向する位置に、配置されている。回転用モータ162は、例えば、回転ロッドを有し、この回転ロッドを、テーブル152の下面に押し当てて、テーブル152を回転移動する。
【0056】
上記載置台153、上記並進用モータ161および上記回転用モータ162は、位置合わせ機構181を構成する。この位置合わせ機構181は、テーブル152をこのテーブル面152bに沿って(平面上において)回転移動および並進移動させて、リード線端子60を給電用ターミナル50に対して位置合わせする。つまり、位置合わせ機構181は、リード線端子60の第1、第2、第3の孔部61,62,63の位置を、給電用ターミナル50の第1、第2、第3の端子ピン51,52,53の位置に一致させる。
【0057】
なお、上記並進用モータ161の数量は、少なくとも2つあればよい。また、上記回転用モータ162としては、例えば、伸縮自在なピストンロッドを有し、このピストンロッドを、テーブル152の外周面の接線方向に延在するように配置しつつテーブル152の外周面に押し当てて、ピストンロッドの伸縮によって、テーブル152を回転移動するようにしてもよい。
【0058】
図6に示すように、上記第1のアーム部154Aの一端と、上記載置台153の第1端部とは、揺動自在に連結されている。上記第2のアーム部154Bの一端と、上記載置台153の第2端部とは、揺動自在に連結されている。
【0059】
上記第1の駆動部155Aは、例えば、伸縮自在なピストンロッドを有し、このピストンロッドは、第1のアーム部154Aの他端に揺動自在に連結されている。上記第2の駆動部155Bは、例えば、伸縮自在なピストンロッドを有し、このピストンロッドは、第2のアーム部154Bの他端に揺動自在に連結されている。
【0060】
そして、上記第1の駆動部155Aのピストンロッドと、上記第2の駆動部155Bのピストンロッドとが、短縮した場合、図6に示すように、載置台153が下降した状態となり、一方、上記第1の駆動部155Aのピストンロッドと、上記第2の駆動部155Bのピストンロッドとが、伸長した場合、図7に示すように、載置台153が上昇した状態となる。
【0061】
上記アーム部154A,154Bおよび上記駆動部155A,155Bは、昇降機構182を構成する。つまり、この昇降機構182は、テーブル152を給電用ターミナル50に接近するように上昇させ、または、テーブル152を給電用ターミナル50に離隔するように下降させる。
【0062】
なお、上記アーム部154A,154Bおよび上記駆動部155A,155Bの数量を、増減してもよい。
【0063】
図3に示すように、上記上治具110は、基板111と、上記基板111に取り付けられる駆動部112と、上記駆動部155に取り付けられる押さえ部113と、上記基板111に取り付けられるピン位置検出センサ114および制御部115とを有する。
【0064】
上記基板111は、上記鏡板16の上側に配置される。基板111の鏡板16側の下面に、2つの上記記駆動部112が取り付けられる。駆動部112は、例えば、伸縮自在なピストンロッドを有し、このピストンロッドの先端に、上記押さえ部113が取り付けられている。そして、駆動部112の作動により、押さえ部113を、鏡板16に対して接近または離隔する。
【0065】
上記駆動部112および上記押さえ部113は、押さえ機構183を構成する。この押さえ機構183は、鏡板16を上記下治具150の基台151側に押さえ付ける。
【0066】
上記ピン位置検出センサ114は、基板111の下面に配置され、給電用ターミナル50の端子ピン51,52,53の位置を検出する。
【0067】
上記制御部115は、上記ピン位置検出センサ114の出力に基づいて、上記位置合わせ機構181を制御して、リード線端子60の給電用ターミナル50に対する予備的な粗い位置合わせを行う。つまり、制御部115は、リード線端子60の第1、第2、第3の孔部61,62,63の位置を、給電用ターミナル50の第1、第2、第3の端子ピン51,52,53の位置の近くに合わせる。
【0068】
次に、上記構成の接続装置100を用いて、給電用ターミナル50にリード線端子60を接続する方法を説明する。
【0069】
図8に示すように、密閉容器1の胴部15に下治具150を設置する。このとき、下治具150の上下のストッパー部156,157を、基台151から突出させる。下側のストッパー部157は、胴部15の内面に接触して、基台151を胴部15に対して位置決めしている。
【0070】
そして、図9に示すように、下治具150のテーブル152にリード線端子60を載置する。なお、図9〜図11では、分かりやすくするために、リード線端子60をハッチングにて示す。このとき、リード線端子60は、テーブル152に対して、位置決めされている。リード線42aは、基台151の逃げ溝151aを通過して、基台151に接触しない。
【0071】
その後、図10に示すように、密閉容器1の鏡板16を下治具150に設置する。このとき、上側のストッパー部156は、鏡板16の内面に接触して、基台151を鏡板16に対して位置決めする。
【0072】
そして、上治具110を鏡板16の上側に配置し、駆動部112の作動により、押さえ部113を鏡板16に押し当て、押さえ部113により、鏡板16を基台151側に押さえ付ける。
【0073】
このとき、ピン位置検出センサ114により、給電用ターミナル50の端子ピン51,52,53の位置を検出する。そして、制御部115により、ピン位置検出センサ114の出力に基づいて、テーブル152を回転移動および並進移動させて、リード線端子60を給電用ターミナル50に対して予備的な粗い位置合わせを行う。
【0074】
その後、図11に示すように、アーム部154A,154Bにより、載置台153を上昇させ、テーブル152上のリード線端子60を給電用ターミナル50に接触させる。そして、再度、テーブル152を回転移動および並進移動させて、リード線端子60を給電用ターミナル50に対して正確な位置合わせを行う。つまり、リード線端子60の第1、第2、第3の孔部61,62,63の位置を、給電用ターミナル50の第1、第2、第3の端子ピン51,52,53の位置に一致させる。
【0075】
そして、アーム部154A,154Bにより、載置台153を再度上昇させ、リード線端子60の第1、第2、第3の孔部61,62,63に、給電用ターミナル50の第1、第2、第3の端子ピン51,52,53を差し込み、リード線端子60を給電用ターミナル50に接続する。リード線端子60を給電用ターミナル50に押し込むときに、鏡板16に反力が生じるが、押さえ部113により鏡板16を押さえ付けているため、押さえ部113により反力を受けることができる。
【0076】
その後、図12に示すように、上治具110を鏡板16から退避させ、下治具150のストッパー部156,157を基台151内に収容し、基台151を矢印に示す横方向に引き抜く。すると、図1に示すように、鏡板16は、胴部15に接触して、鏡板16は、胴部15に取り付けられる。
【0077】
上記構成の接続装置100によれば、上記テーブル152に載置された上記リード線端子60は、上記位置合わせ機構181により、上記給電用ターミナル50に対して位置合わせされる。つまり、リード線端子60や給電用ターミナル50の製作において生じる寸法公差に合わせて、リード線端子60の孔部61,62,63は、給電用ターミナル50の端子ピン51,52,53に対応するように、位置合わせされる。
【0078】
そして、上記昇降機構182により、テーブル152を給電用ターミナル50に接近するように上昇させて、リード線端子60の孔部61,62,63に、給電用ターミナル50の端子ピン51,52,53を差し込む。このとき、上記押さえ機構183は、上記鏡板16を上記基台151側に押さえ付けているため、押さえ機構183により、リード線端子60を給電用ターミナル50に取り付ける際の反力を受けることができる。
【0079】
このように、リード線端子60や給電用ターミナル50の製作上の寸法公差に関わらず、リード線端子60を給電用ターミナル50に自動的に接続できて、人手に頼らずにリード線端子60を給電用ターミナル50に正確かつ確実に接続できる。したがって、製造コストを低減しつつ信頼性を向上した圧縮機を製造できる。
【0080】
また、上記リード線端子60を給電用ターミナル50に接続する作業を自動化できるので、リード線端子60を給電用ターミナル50に接続するために鏡板16を裏返しにする必要がない。これによって、リード線42aの長さを短くできて、リード線42aが圧縮機内の回転体(例えば、ロータ30、回転軸4、回転軸4の先端に取り付けられる図示しないオイルセパレータなど)に接触することを防止し、リード線42aの断線や地絡といった不具合を防止できる。
【0081】
これに対して、従来では、人の手作業によって、リード線端子を給電用ターミナルに接続していたので、視覚に頼るために鏡板を裏返しにする必要があった。そして、鏡板を裏返してリード線端子を給電用ターミナルに接続するには、リード線の長さを長くする必要があった。このように、リード線の長さが長くなることで、リード線が圧縮機内の回転体に接触して、リード線の断線や地絡といった不具合が生じる問題があった。
【0082】
また、上記構成の接続装置100によれば、上記位置決め機構184により、上記基台151を上記鏡板16に対して位置決めして設置できる。このため、基台151と鏡板16との相対的な位置ずれを防止して、リード線端子60を給電用ターミナル50に迅速かつ容易に接続できる。
【0083】
また、上記構成の接続装置100によれば、上記リード線端子60を、上記位置合わせ機構181により、上記給電用ターミナル50に対して位置合わせするとき、リード線は、逃げ溝151aにより、基台151に接触しないため、リード線端子60を給電用ターミナル50に迅速かつ容易に接続できる。
【0084】
また、上記構成の接続装置100によれば、上記リード線端子60を、上記制御部115により、上記給電用ターミナル50に対して予め粗い位置合わせを行ってから、リード線端子60を、位置合わせ機構181により、給電用ターミナル50に対して位置合わせする。このため、リード線端子60を給電用ターミナル50に接続するのにかかる時間を短縮できる。
【0085】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、位置合わせ機構、昇降機構、押さえ機構、位置決め機構およびピン位置検出センサの構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、駆動部を、ピストンロッドを有するアクチュエータ以外に、モータ等を用いてもよい。
【0086】
また、位置決め機構として、ストッパー部以外に、基台に、鏡板の端面や胴部の端面を嵌合する溝を設けるようにしてもよい。また、押さえ機構、ピン位置検出センサまたは制御部を、上治具に設けず、下治具に設けてもよい。また、基台の逃げ溝、位置決め機構、ピン位置検出センサまたは制御部を、設けなくてもよい。
【0087】
また、位置合わせ機構は、リード線端子を給電用ターミナルに対して位置合わせする際、テーブルに対して、回転移動または並進移動の少なくとも何れか一方の移動を行うようにしてもよい。つまり、位置合わせ機構は、回転移動手段および並進移動手段を有するが、少なくとも何れか一方の手段を機能させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 密閉容器
2 圧縮機構部
3 モータ
4 回転軸
15 胴部
16 鏡板
30 ロータ
40 ステータ
42 コイル
42a リード線
50 給電用ターミナル
51,52,53 端子ピン
60 リード線端子
61,62,63 孔部
100 接続装置
110 上治具
112 駆動部
113 押さえ部
114 ピン位置検出センサ
115 制御部
150 下治具
151 基台
151a 逃げ溝
152 テーブル
152b テーブル面
153 載置台
154A,154B アーム部
155A,155B 駆動部
156,157 ストッパー部
161 並進用モータ
162 回転用モータ
181 位置合わせ機構
182 昇降機構
183 押さえ機構
184 位置決め機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の密閉容器(1)の胴部(15)と鏡板(16)との間に配置されて、上記鏡板(16)に取り付けられた給電用ターミナル(50)に、圧縮機のモータコイル(42)のリード線端子(60)を接続する圧縮機のリード線端子の接続装置であって、
上記胴部(15)と上記鏡板(16)との間に設置される基台(151)と、
上記基台(151)に取り付けられると共に、上記リード線端子(60)が載置されるテーブル(152)と、
上記テーブル(152)をこのテーブル面(152b)に沿って回転移動および/または並進移動させて、上記リード線端子(60)を上記給電用ターミナル(50)に対して位置合わせする位置合わせ機構(181)と、
上記テーブル(152)を上記給電用ターミナル(50)に接近するように上昇させ、または、上記テーブル(152)を上記給電用ターミナル(50)に離隔するように下降させる昇降機構(182)と、
上記鏡板(16)を上記基台(151)側に押さえ付ける押さえ機構(183)と
を備えることを特徴とする圧縮機のリード線端子の接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機のリード線端子の接続装置において、
上記基台(151)を上記鏡板(16)に対して位置決めする位置決め機構(184)を備えることを特徴とする圧縮機のリード線端子の接続装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧縮機のリード線端子の接続装置において、
上記基台(151)には、上記テーブル(152)に上記リード線端子(60)を載置したときにリード線(42a)が上記基台(151)に接触することを回避する逃げ溝(151a)を設けていることを特徴とする圧縮機のリード線端子の接続装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一つに記載の圧縮機のリード線端子の接続装置において、
上記給電用ターミナル(50)の端子ピン(51,52,53)の位置を検出するピン位置検出センサ(114)と、
上記ピン位置検出センサ(114)の出力に基づいて、上記位置合わせ機構(181)を制御して、上記リード線端子(60)の上記給電用ターミナル(50)に対する粗い位置合わせを行う制御部(115)と
を備えることを特徴とする圧縮機のリード線端子の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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