説明

圧縮機装置および冷媒循環装置

【課題】圧縮機停止時において、潤滑油が低圧側へ流出するのを防止する圧縮機装置および冷媒循環装置を提供する。
【解決手段】冷媒の吸入圧力よりも高圧の潤滑油を溜める貯油室を有する圧縮機7、凝縮器3、減圧手段4、および蒸発器5を有し、圧縮機7、凝縮器3、減圧手段4、および蒸発器5に冷媒を循環する冷媒循環装置1に用いられ、
圧縮機7を停止する停止指令を検出する停止指令検出手段と、停止指令検出手段により停止指令を検出すると、圧縮機7より吐出される高圧側の冷媒圧力PHと、圧縮機7に吸入される低圧側の冷媒圧力PLとの差圧ΔPを縮小する差圧縮小手段と、差圧縮小手段により差圧ΔPaを小さくした後に圧縮機7を停止する停止手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機装置および冷媒循環装置に関し、例えば冷凍サイクル等のシステムに用いる冷媒を圧縮する圧縮機を備える装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば冷凍サイクル等のシステムにおいて、圧縮した冷媒の吐出圧力が供給される高圧側にセパレータを有し、圧縮機構部などの内部の潤滑を行う圧縮機がある。この種の圧縮機では、停止するときに、システムの冷媒循環回路において高圧と低圧の差圧が生じており、貯油室に溜められている潤滑油が圧縮機構部の吸入・圧縮する作動室へ流れ込むおそれがあるので、次回起動時に過大なオイル圧縮や、貯留室が空となる状態を回避する必要がある。
【0003】
特許文献1の開示する技術では、貯油室から作動室に至るオイル流路の開閉を行なう弁機構を設けることを提案している。この技術では、圧縮機の電動機部の停止時に、弁機構により貯油室内の潤滑油が作動室に溜まるのを防止するようにしている。
【0004】
特許文献2の開示する技術では、貯油室から圧縮機構部の給油機構に至る給油通路に、停止時に閉じるための弁機構(逆流防止弁)を設けている。
【特許文献1】特開平10−205475号公報
【特許文献1】特開2003−3971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2による従来技術では、圧縮機の停止時に、オイル流路を弁機構により閉塞することで上記状態を回避することは可能である。しかしながら、弁機構を追加することにより圧縮機構造を複雑化しているので、弁機構の信頼性の確保や、流出防止を確実に行える作動性を確保する必要があるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、圧縮機停止時において、潤滑油が低圧側へ流出するのを防止する圧縮機装置および冷媒循環装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を備える。
【0008】
即ち、請求項1乃至8に記載の発明では、冷媒の吸入圧力よりも高圧の潤滑油を溜める貯油室を有する圧縮機、凝縮器、減圧手段、および蒸発器を有し、圧縮機、凝縮器、減圧手段、および蒸発器に冷媒を循環する冷媒循環装置に用いられ、
圧縮機を停止する停止指令を検出する停止指令検出手段と、停止指令検出手段により停止指令を検出すると、圧縮機より吐出される高圧側の冷媒圧力と、圧縮機に吸入される低圧側の冷媒圧力との差圧を縮小する差圧縮小手段と、差圧縮小手段により差圧を小さくした後に圧縮機を停止する停止手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
これにより、圧縮機停止前に、冷媒循環装置における圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を小さくした後に、圧縮機を停止させることができる。したがって、圧縮機停止時において、潤滑油が低圧側へ流出するのを防止することができる。
【0010】
特に、請求項2に記載の発明では、冷媒循環装置に対する外部要求に基づいて冷媒の循環条件が満足しているか否かを判定し、循環条件が外部要求を満足しているとされるとき停止指令を発生する停止信号発生手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
これにより、冷媒循環装置として、例えば空調装置の冷凍サイクルや、給湯装置のヒートポンプサイクルに用いられる場合において、冷凍サイクルの目標空調温度や、ヒートポンプサイクルの目標沸き上げ温度等の外部要求を満足する冷媒の循環条件(高圧と低圧の差圧条件)になったとき、圧縮機を停止する停止指令を検出するので、圧縮機停止時に潤滑油が低圧側へ流出する不適切状態を確実に回避することができる。
【0012】
また、請求項3から請求項6に記載の発明では、差圧縮小手段は、冷媒状態を変化させる部材(機器)を制御することにより、冷媒循環装置における高圧側の冷媒圧力と低圧側の冷媒圧力が均圧するように、差圧を小さくすることができる。具体的には、請求項3に記載の発明では、減圧手段は、圧縮機から吐出する冷媒を減圧する膨張弁であって、差圧縮小手段は、高圧側の冷媒圧力が低下するように、膨張弁を制御することを特徴とする。また、請求項4に記載の発明では、凝縮器内の冷媒の凝縮を促進する送風手段を備え、差圧縮小手段は、凝縮器への送風量を増加するように、送風手段を制御することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、凝縮器は、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器であって、冷媒水熱交換器に水を供給する水循環通路に水ポンプを有しており、差圧縮小手段は、冷媒水熱交換器へ流入する水の流量を増加するように、水ポンプを制御することを特徴とする。また、請求項6に記載の発明では、圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、圧縮機構部を駆動する電動機部とを備え、差圧縮小手段は、圧縮機に吸入、吐出される冷媒流量が低下するように、電動機部の回転数を制御することを特徴とする。
【0014】
なお、請求項3から請求項6に記載の発明において、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の発明によって、冷媒循環装置における高圧側の冷媒圧力と低圧側の冷媒圧力が均圧するように、差圧を小さくすることができる。また、請求項3から請求項6に記載の発明を組合せることによって効果的に素早く差圧を小さくすることができる。
【0015】
また、請求項7に記載の発明では、差圧縮小手段は、差圧を縮小する経過時間が所定時間を過ぎると、均圧のための差圧縮小を中止する強制停止手段を備えていることを特徴とする。
【0016】
例えば冷媒循環装置に対する外部要求によっては停止指令検出前の差圧が比較的大きい場合がある。また、差圧をある程度小さくする時間に比較して、その差圧を完全均圧するための時間が相当長くなる場合がある。差圧を小さくする時間が比較的長くなると、圧縮機の消費電力や圧縮機へのダメージ等の悪影響を生じるおそれがある。
【0017】
これに対して請求項7に記載の発明では、差圧縮小手段は、差圧を縮小する経過時間が所定時間を過ぎると均圧のための差圧縮小を中止するので、例えば完全均圧化に費やす過大な時間により生じる悪影響を防止することができる。
【0018】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の圧縮機に用いる冷媒は、二酸化炭素(CO)であることを特徴とする。
【0019】
これによると、冷媒として二酸化炭素(CO)を用いる圧縮機では、上記差圧が大きくなるため、潤滑油が低圧側へ流出するのを有効に防止することができる。
【0020】
また、請求項9に記載の発明では、冷媒の吐出圧力を利用して内部の潤滑を行なう圧縮機を有し、圧縮機を含む冷媒循環回路に冷媒を循環する冷媒循環装置の制御方法において、
圧縮機を停止する前に、冷媒循環回路における圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を小さくした後に、圧縮機を停止させる手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項10乃至17に記載の発明では、冷媒の吸入圧力よりも高圧の潤滑油を溜める貯油室を有する圧縮機、凝縮器、減圧手段、および蒸発器を備え、圧縮機、凝縮器、減圧手段、および蒸発器に冷媒を循環する冷媒循環装置において、
圧縮機の停止指令を検出し、検出した停止指令に基づいて、圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を縮小する差圧縮小手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0022】
例えば冷凍サイクルやヒートポンプサイクル等の冷媒循環装置において、目標とする空調温度や給湯温度を満足し、冷媒循環のシステム性能が確保されると、システム駆動源である圧縮機が停止される。
【0023】
これに対して請求項10乃至17に記載の発明では、圧縮機の停止指令に基づいて圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を縮小する差圧縮小手段を備えているので、従来の圧縮停止時における差圧特性(停止直後の差圧およびその後の差圧が時間経過と共に解消する差圧経過特性)に比べて、圧縮機停止に生じる差圧を小さくすることができる。したがって、システム駆動源の圧縮機停止時において、潤滑油が低圧側へ流出するのを防止することができる。
【0024】
また、請求項15に記載の発明では、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載に冷媒循環装置において、
差圧縮小手段は、圧縮機の停止後に、圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力の差圧が素早く均圧するように、差圧の縮小を行なうことを特徴とする。
【0025】
これによると、圧縮機の停止後に、圧縮機以外の冷媒循環装置の各機器の少なくともいずれかを駆動させることで冷媒状態を強制的に変化させることができる。例えば、圧縮機停止後に圧縮機の回転数制御以外の手段である、請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の発明によって、差圧が素早く均圧するように、差圧縮小を行なうことができる。
【0026】
また、請求項16に記載の発明では、請求項10から請求項14のいずれか一項に記載に冷媒循環装置において、
前記差圧縮小手段により前記差圧を小さくした後に、前記圧縮機を停止する停止手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0027】
これによると、圧縮機を停止する前に、冷媒循環回路における圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を小さくした後に、圧縮機を停止させる。これにより、圧縮機停止前に、請求項12から請求項14の少なくともいずれか一項に記載の発明による差圧縮小手段によって、差圧が素早く均圧するように、例えば所定差圧以下とする差圧縮小を行なえるとともに、圧縮機停止後も、更なる均圧化のために差圧縮小手段による差圧縮小を継続可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の圧縮機装置を、冷凍サイクル装置に適用して具体化した実施形態を図面に従って説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態による冷凍サイクル装置の構成を示す構成図である。図2は、本実施形態による冷凍サイクル装置において、圧縮機を停止制御する場合の、冷凍サイクル内の冷媒圧力の変動を示すタイムチャートである。図3は、本実施形態による冷凍サイクル装置において、圧縮機を停止指令を検出した場合に圧縮機の回転数を制御して冷媒高低圧差の縮小を図る処理手順を示す制御フロー図である。なお、図6は、図1中の圧縮機の一例を示す断面図である。
【0030】
冷凍サイクル装置1は、二酸化炭素(CO)を主成分とする冷媒を使用する冷凍サイクルにおける圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を小さくした後に、圧縮機を停止させる特有の制御を行うものである。特に車両用冷凍サイクル装置においては、その冷媒圧力の差圧は、定置式冷凍サイクル装置と異なり、車両エンジンの運転により発生する熱の影響によるところが大きい、という点で特異である。
【0031】
冷凍サイクル装置1は、圧縮機7と、高圧側の冷媒圧力PHを検出する圧力検出手段の一例である吐出圧センサ9と、高圧側熱交換器に相当する凝縮器3と、減圧手段である膨張弁4と、低圧側熱交換器に相当する蒸発器5と、冷凍サイクルの低圧側の冷媒圧力PLを検出する低圧側圧力センサ9aとが、順次環状に配管接続されて形成されたものである。また、凝縮器3には、対向するように送風手段としてのファン(以下、クーリングファン)2が設けられている。
【0032】
圧縮機7は、例えばエンジンに連動したベルトで駆動され、吸入した気相冷媒を臨界圧力以上に圧縮して吐出する。この圧縮機7は、電動機により駆動するものであっても、電動機とエンジン駆動を併用するハイブリットのものであってもよい。以下の本実施形態の説明では、圧縮機7は、圧縮機構部と電動機部とが一体になった電動圧縮機とする。
【0033】
なお、圧縮機7は後述する制御装置10によって制御され、圧縮機7の回転は、車載バッテリーにより電気駆動される。
【0034】
また、圧縮機7は、可変容量コンプレッサで構成してもよく、この場合には、制御装置10が、可変容量コンプレッサに供給される電流を制御することで可変容量コンプレッサの吐出容量を制御して冷媒圧力の制御を行うことになる。
【0035】
吐出圧センサ8は、圧縮機7と凝縮器3の間に設けられ、冷凍サイクル装置1内の高圧側の冷媒圧力PHを検出するセンサである。また、吸入圧センサ9は、蒸発器5と圧縮機7の間に設けられ、冷凍サイクル装置1内の低圧側の冷媒圧力PLを検出するセンサである。冷凍サイクル装置1の停止指令もしくは圧縮機7の停止指令を検出するとき、吐出圧センサ8と吸入圧センサ9の各検出値が制御装置10に送信され、PHとPLの差圧ΔPを低下させるように、冷凍サイクル装置1の冷媒状態を変化させる各部材(各機器)を制御する。
【0036】
差圧ΔPを低下させる差圧縮小手段の一例としては、圧縮機7の冷媒吐出量を低下させるように、圧縮機7の回転数Nの低下度合いを徐変させるように制御する。また、圧縮機7の回転数Nの低下の代わりに、クーリングファン2を起動もしくは増速し、凝縮器3を冷却することにより、凝縮器3内の冷媒を冷やして冷凍サイクルの差圧Δを縮小する制御を行う。
【0037】
また、上記の圧縮機7の回転数Nの低下度合いの制御において、検出した差圧ΔPに基づいて回転数Nの低下度合いを決定するようにしてもよい。なお、検出した差圧ΔPに基づいて差圧ΔPを縮小する制御を行う場合において、例えば圧縮機7の回転数Nの制御と、クーリングファン2の送風量の制御とを組合せることは、差圧Δを素早く縮小することが可能となるので、差圧Δを縮小する手段として有効である。
【0038】
凝縮器3は、圧縮機7より吐出された高圧・高温冷媒と、クーリングファン2で送風される空気との間で熱交換を行い、前記冷媒は凝縮液化されることになる。
【0039】
クーリングファン2は、凝縮器3を冷却するものであり、電動式のクーリングファンで構成し、または、エンジン直結式のカップリングファンや油圧駆動モータで駆動するファンで構成している。なお、クーリングファン2は、図示しないラジエータ冷却ファンと共用する形式であってもよいし、凝縮器3専用のファンとしてもよい。また、クーリングファン2は、凝縮器3と一体化して取付けられる構成としてもよいし、図示しない車両側部品に固定される構成としてもよい。
【0040】
膨張弁4は、凝縮器3から流出された冷媒を弁開度に応じて等エンタルピ的に減圧する減圧手段であり、具体的には弁開度を小さくすることで、より大きな減圧を行う。膨張弁4は、凝縮器3の出口冷媒温度により高圧側冷媒圧力PHを機械的に制御されるもの、または圧縮機7の停止前に制御装置10の制御により弁開度を可変にできるものでもよい。
【0041】
なお、膨張弁4が、制御装置10の制御により弁開度を可変にできるものの場合において、差圧Δを縮小する一つの手段として、圧縮機7の停止前に、弁開度を大きくする制御を行なうようにしてもよい。
【0042】
蒸発器5は、凝縮器3で冷却され、膨張弁4で低温低圧状態となった液冷媒を外気から吸熱して蒸発させる熱交換器である。蒸発器5の外部を通過した空気は、熱を奪われ冷却されるとともに除湿されて、送風ファン6により冷房風として図示しない車室内に送り込まれる。
【0043】
本実施形態の制御手段である制御装置10には、図示しないイグニッションスイッチの動作、吐出圧センサ8の検出値、吸入圧センサ9の検出値、圧縮機7の動作状態、クーリングファン2の動作状況、および膨張弁4の動作状態が入力され、また、図示しないエアコンスイッチの動作も入力される。
【0044】
また、制御装置10は、タイマー機能を有し、冷凍サイクル装置1を構成する各機器における特定の動作状態の経過時間などをカウントすることができる。ここで、各機器における特定の動作状態とは、例えば圧縮機7、クーリングファン2、および膨張弁4のいずれかにおいて、差圧ΔPを縮小するための動作を行なう状態である。
【0045】
そして、制御装置10は、各種入力データ、および予め設定されたプログラムに従って、圧縮機7、クーリングファン2、膨張弁4などを制御する。
【0046】
なお、本実施形態の図1には、高圧側の冷媒圧力PHを検出する吐出圧センサ8、および低圧側の冷媒圧力PLを検出する吸入圧センサ9の両方を有する冷凍サイクル装置が記載されているが、各発明の作用効果を奏している構成であれば、どちらか一方のセンサを圧力検出手段として有する冷凍サイクル装置であってもよい。また、吐出圧センサ8と吸入圧センサ9の両方を有しない冷凍サイクル装置であってもよい。
【0047】
なお、本発明を適用する圧縮機7の一例としては、図6に示す一例のように、冷媒を吸入、圧縮する冷媒を吸入、圧縮する圧縮機構部30と、圧縮機構部30を回転駆動する電動機部(以下、モータ部)20と、圧縮機構部30およびモータ部20を収容する密閉容器60とを備え、密閉容器60が、圧縮機構部30より吐出された冷媒ガスによる高圧力に耐える耐圧容器からなるいわゆる高圧シェルタイプの圧縮機である。なお、圧縮機7は、これに限らず、密閉容器内が吸気圧雰囲気になるいわゆる低圧シェルタイプのものであっても、吐出圧力が供給される高圧側にオイルセパレータを有する圧縮機でもよい。
【0048】
なお、上記高圧シェルタイプの圧縮機7において、具体的には、モータ部20は、ロータ部21と、ステータ部22とから構成されており、密閉容器60内に形成されたモータ室64に収容されている。モータ室64は、後述する吐出室62と連通しており、密閉容器60の下部に設けられた貯油室65に溜められている潤滑油に、冷媒の吐出圧力が作用する。
【0049】
圧縮機構部30は、固定スクロール部材36と、可動スクロール部材35と、固定スクロール部材36と可動スクロール部材35が噛み合いを形成することにより内部に冷媒を吸入・圧縮する作動空間(以下、作動室)42とを備えている。可動スクロール部材35は、固定スクロール部材36に対して旋回することにより、作動室42の体積を拡大・縮小させて冷媒を吸入・圧縮する。圧縮された冷媒は、固定スクロール部材36に形成された吐出ポート36aを介して、吐出室62へ吐出される。
【0050】
可動スクロール部材35の反固定スクロール部材36側には、駆動シャフト31の先端部に設けられた偏心部31aが図示しない軸受けを介して挿入されている。可動スクロール部材35は、自転防止機構(図示せず)によって駆動シャフト31の回転駆動に伴ない固定スクロール部材36に対して公転する。そして、駆動シャフト31内にはオイル流路66が設けられており、貯油室65内に溜まっている潤滑油は、吐出冷媒ガス噴囲気が作用することにより、オイル流路66を通過して駆動シャフト31の各軸受けや、圧縮機構部30へ吸上げられる構造となっている。
【0051】
次に、本実施形態の冷凍サイクル装置1の動作について説明する。冷凍サイクル装置の主な動作手順は、イグニッションスイッチがオン、またはエンジン起動中で、かつ圧縮機7が作動している状態において作動する。
【0052】
S101(Sはステップ)では、圧縮機7の停止要求(停止指令)があるか否かを判定する。すなわち、冷凍サイクル装置1における圧縮機7の停止指令を検出し、この検出に基づいて圧縮機7を停止する前にあるかを判断する。圧縮機7の停止指令を検出した場合には、S102に進み差圧ΔPの縮小制御を行なう。圧縮機7の停止指令を検出しない場合には、圧縮機7の停止指令を検出するまで、S101の判定処理を繰り返す。
【0053】
なお、停止指令とは、エアコンスイッチのオフ動作などによる外部からのシステム停止要求や、冷凍サイクル装置1に対する外部要求の例えば要求空調温度を満足するように、制御装置10により冷媒循環のシステム性能が確保されたときに制御装置10内で発生する圧縮機停止信号である。具体的には、制御装置10は、冷凍サイクル装置1の各機器(凝縮器3のクーリングファン2、膨張弁4、蒸発器6、および圧縮機7等)を制御することで冷媒状態(冷媒循環条件)を変化させ、冷媒循環条件を要求空調温度(目標空調温度)に満足するものにすると、圧縮機停止指令を発生する圧縮機停止信号手段を備えている。
【0054】
S102では、差圧ΔPを低下させる差圧縮小手段として、圧縮機7の冷媒吐出流量を低下させるように、圧縮機7の回転数Nの低下度合いを徐変させるように制御する(図3参照)。具体的には、実験等により予め求めた所定の回転数Nの低下度合いで、回転数Nを徐変制御する。圧縮機7の回転数Nを徐々に低下させることにより、圧縮機7の吸入、吐出される冷媒流量を小さくするので、圧縮機7の停止前に差圧ΔPを小さくすることができる。
【0055】
なお、図3において、停止指令を検出時の差圧をΔPbとし、差圧縮小制御を実施後の差圧をΔPaとして表している(ΔPb>ΔPa)。
【0056】
S103では、所定の回転数Nの低下度合いで回転数Nを徐変制御している経過時間Tが、所定時間T1を経過したか否かを判定する。なお、所定時間T1は、上記所定の回転数Nの低下度合いに対応して、実験等により予め求めた縮小予測時間であり、例えば差圧ΔPaが所定差圧ΔPac以下となる時間である。
【0057】
所定時間T1を経過した場合には、S104へ進み、制御装置10は、圧縮機7のモータ部20を駆動制御する駆動信号により圧縮機7の作動を停止させる。所定時間T1を経過していない場合には、所定時間T1が経過するまで圧縮機7の上記徐変制御を継続する。これにより、従来技術では圧縮機停止時に差圧ΔPbを生じていた(図8参照)のに比べて、圧縮機7停止指令の検出すると、圧縮機停止前の差圧ΔPaを縮小制御した後に、圧縮機7を作動停止することができる。
【0058】
以上説明した本実施形態では、冷凍サイクル装置1の停止指令もしくは圧縮機7の停止指令を検出するとき、冷凍サイクル内の高圧側の冷媒圧力PHと低圧側の冷媒圧力PLの差圧ΔPを低下させるように、冷凍サイクル装置1の冷媒状態を変化させる圧縮機7の回転数Nを制御する。この制御により圧縮機7の停止前の差圧ΔPaを、所定経過時間T1に対応する所定差圧ΔPac以下にした後、圧縮機7の作動を実際に停止する。したがって、圧縮機7停止時において潤滑油の低圧側への流出を防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記停止指令を検出する方法として、冷凍サイクル装置1において、冷凍サイクルの目標空調温度を満足する冷媒の循環条件(高圧と低圧の差圧ΔP条件)になったとき、圧縮機7を停止する停止指令を検出するので、圧縮機7の停止時に差圧ΔPにより潤滑油が低圧側へ流出する不適切状態を確実に回避することができる。
【0060】
また、本実施形態では、冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル内を循環させる冷媒として、COを用いている。このような冷媒を用いる圧縮機では、差圧ΔPが大きくなるため、潤滑油が低圧側へ流出するのを有効に防止することができる。
【0061】
また、本実施形態では、停止指令を検出したとき、予め設定した圧縮機7を制御する条件と、その条件で制御を行なう、予め設定した経過時間T1とによって縮小制御を行なっている。これにより、吐出圧センサ8と吸入圧センサ9の両方を有しない冷凍サイクル装置であってもよいので、冷凍サイクル装置の簡素化が可能である。
【0062】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰返さない。
【0063】
第2の実施形態では、図4に示すように、検出した差圧ΔPaが所定値ΔPac以下か否かを判定し、判定が成立する場合に、圧縮機7の作動停止するようにする。図4は、本実施形態に係わる冷媒高低圧差の縮小を図る処理手順を示す制御フロー図である。
【0064】
図4に示すように、S203では、吐出圧センサ8と吸入圧センサ9の検出値に基づいて差圧縮小制御による差圧ΔPaを算出し、この差圧ΔPaが所定の差圧ΔPac以下(ΔPa<ΔPac)か否かを判定する。
【0065】
このように差圧縮小制御を行なう構成にすることにより、圧縮機7の停止前の差圧ΔPaを、確実にΔPac以下にすることができる。したがって、圧縮機7停止時において潤滑油の低圧側への流出を効果的に防止することができる。
【0066】
(第3の実施形態)
第2の実施形態では、検出した差圧ΔPaが所定値ΔPac以下となる判定が成立するまでは、圧縮機7の作動を継続した。
【0067】
これに対して第3の実施形態では、図5に示すように、差圧縮小制御を行なう経過時間Tが所定時間T2を超える場合には、その差圧縮小制御を中止するようにする。図5は、本実施形態に係わる冷媒高低圧差の縮小を図る処理手順を示す制御フロー図である。
【0068】
S203において、差圧ΔPaが所定の差圧ΔPac以下(ΔPa<ΔPac)か否かを判定し、差圧ΔPaが所定の差圧ΔPac以下でない場合には、S303に進む。
【0069】
S303では、差圧縮小制御を行なっている時間Tが所定経過時間T2を経過したか否かを判定する。所定経過時間T2を経過していない場合には、差圧縮小制御を継続してS203の判定を繰り返す。逆に、S203の差圧ΔPaが所定の差圧ΔPac以下となる判定が成立しないまま、所定経過時間T2が経過した場合には、差圧縮小制御を中止する。
【0070】
冷凍サイクル装置1の目標空調温度によっては、これを満足する冷媒循環条件となる差圧ΔPが比較的大きくなる場合がある。比較的大きい差圧ΔPを小さくするために差圧縮小制御を行なう時間が長くなると、圧縮機7の消費電力や圧縮機7へのダメージ等の悪影響が生じるおそれがある。
【0071】
これに対して本実施形態では、差圧縮小制御を行なう経過時間が所定経過時間T2を過ぎると、上記差圧縮小を行なうのを中止するので、差圧縮小のための過大な制御時間を費やすことにより生じる悪影響を防止することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
第1の実施形態では、圧縮機装置を、冷凍サイクル装置に適用した。
【0073】
これに対して第4の実施形態では、図7に示すように、ヒートポンプサイクル装置に適用する。図7は、本実施形態によるヒートポンプサイクル装置の構成を示す構成図である。
【0074】
図7に示すように、ヒートポンプサイクル装置1は、圧縮機7と、吐出圧センサ8と、冷媒と水を熱交換する冷媒水熱交換器3と、膨張弁4と、蒸発器5と、冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒を圧縮機7の吸入部に送るアキュムレータ11と、吸入圧センサ9とが、順次環状に配管接続されて形成されたものである。
【0075】
冷媒水熱交換器3は、圧縮機7より吐出された高温冷媒と、水ポンプ12により図示しない貯湯タンク内から供給される水とを熱交換するもので、冷媒が流れる冷媒通路(図示せず)と、水が流れる水通路(図示せず)とを有し、冷媒通路を流れる冷媒の流れ方向と水通路を流れる水の流れ方向とが対向するように構成されている。なお、冷媒は圧縮機7で臨界圧力以上に加圧されているので、冷媒水熱交換器3を流通する水に放熱して温度低下しても凝縮することはない。
【0076】
アキュムレータ11は、蒸発器5より流出された冷媒を気液分離して、気相冷媒のみを圧縮機7に吸入させるとともに、冷凍サイクル中の余剰冷媒を蓄えるレシーバの働きをしている。
【0077】
差圧ΔPを低下させる差圧縮小手段の一例としては、圧縮機7の冷媒吐出量を低下させるように、圧縮機7の回転数Nの低下度合いを徐変させるように制御する。また、圧縮機7の回転数Nの低下の代わりに、冷媒水熱交換器3の水通路に水を流す水ポンプ12を起動もしくは水量を増加し、冷媒水熱交換器3を冷却することにより、冷媒水熱交換器3内の冷媒を冷やして、ヒートポンプサイクルの冷媒流れの差圧Δを縮小する制御を行う。
【0078】
また、上記の圧縮機7の回転数Nの低下度合いの制御において、検出した差圧ΔPに基づいて回転数Nの低下度合いを決定するようにしてもよい。なお、検出した差圧ΔPに基づいて差圧ΔPを縮小する制御を行う場合において、例えば圧縮機7の回転数Nの制御と、水ポンプ12の水流量の制御とを組合せることは、差圧Δを素早く縮小することが可能となるので、差圧Δを縮小する手段として有効である。
【0079】
また、膨張弁4が、制御装置10の制御により弁開度を可変にできるものの場合において、差圧Δを縮小する一つの手段として、圧縮機7の停止前に、弁開度を大きくする制御を行なうようにしてもよい。
【0080】
このような構成にしても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0081】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定して解釈されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用可能である。
【0082】
(1)例えば以上説明した本実施形態では、差圧ΔPを低下させる差圧縮小手段の一例として、固定スクロール部材36と可動スクロール部材35を有する圧縮機構部30と電動機部20を備えた圧縮機7の回転数Nの低下度合いを徐変させるように制御した。圧縮機7をこのように回転数制御するものに限らず、圧縮機に吸入、吐出される冷媒流量を低下させるものであればいずれの圧縮機であってもよい。
【0083】
例えばストロークを可変にする斜板式圧縮機などの可変容量圧縮機では、容量を低下させるように圧縮機を制御する。この場合、圧縮機7の上記回転制御による差圧を小さくした後、圧縮機を停止させることに代えて、可変容量圧縮機の容量を低下させた後、圧縮機を停止させてもよい。
【0084】
(2)また、以上説明した本実施形態では、差圧ΔPを低下させる差圧縮小手段の一例として、圧縮機7の回転数Nの低下度合いを徐変させるように制御した。この差圧縮小手段は、これに限らず、圧縮機7以外の冷媒循環装置の機器である、高圧側熱交換器としての凝縮器3または冷媒水熱交換3、膨張弁4において、凝縮器3を冷却するようにクーリングファン2の送風量を増加するようにするもの、あるいは冷媒水熱交換3の水通路へ水を流す水ポンプ12の水流量を増加させるもの、膨張弁4の弁開度を大きくするもののいずれであってもよい。
【0085】
(3)なお、上記各差圧縮小手段を組合せることは、差圧Δを素早く縮小することが可能となるので、差圧Δを縮小する手段として有効である。
【0086】
(4)本実施形態では、冷凍サイクル装置またはヒートポンプサイクル装置の冷媒として二酸化炭素(CO)を用いていた。このような冷媒を用いる圧縮機に限らず、比較的高い高圧側冷媒圧力PHを用いる冷媒であればいずれでもよい。差圧ΔPが大きくなるため、潤滑油が低圧側へ流出するのを有効に防止することができる。
【0087】
(5)上記差圧縮小手段において、差圧ΔPを低下させるため、膨張弁4の弁開度を制御するとしたが、冷凍サイクルにこの膨張弁とは別に、バイパス弁を設けてバイパス弁の開度を制御するようにしてもよい。
【0088】
(6)上記差圧縮小手段において、冷凍サイクルにおける凝縮器3を冷却するように、クーリングファン2の送風量を増加するようにするもの、あるいはヒートポンプサイクルにおける冷媒水熱交換3の水通路へ水を流す水ポンプ12の水流量を増加させるものとした。これに限らず、熱交換器3の熱交換を助長して高圧側の冷媒圧力を下げる手段であればいずれの手段であってもよい。
【0089】
(7)また、以上説明した本実施形態において、圧縮機停止前に、圧縮機7を上記回転数制御することにより差圧ΔPを低下させた後、圧縮機を停止させるようにした。これに対して、圧縮機7以外の冷媒循環装置の機器である、凝縮器3のクーリングファン2、冷媒水熱交換3の水ポンプ12、および膨張弁4においては、圧縮機7の停止前後に係わらず、差圧ΔPを小さくするために、それぞれ、クーリングファン2、水ポンプ12、膨張弁4を制御装置10により独立して制御することが可能である。
【0090】
(8)例えば具体的には、差圧縮小手段は、圧縮機7停止後(例えば10秒以内)に制御装置10によって膨張弁4を開く制御を行なうことによって実現してもよい。
【0091】
また、差圧縮小手段は、圧縮機7停止後に凝縮器3に送風するようにクーリングファン2を制御して実現してもよい。
【0092】
さらにまた、差圧縮小手段は、圧縮機7停止後に冷媒水熱交換3への水(冷却水)供給を行なうように水ポンプ12を制御して実現してもよい。
【0093】
(9)また、以上説明した本実施形態の圧縮機では、外郭ハウジング自体が吐出高圧を受けるいわゆる高圧シェルタイプとしたが、外郭ハウジング自体は吸入圧力を受けるいわゆる低圧シェルタイプで吐出側にオイルセパレータを有する型式に使用しても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1の実施形態による冷凍サイクル装置の構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態による冷凍サイクル装置において、圧縮機を停止制御する場合の、冷凍サイクル内の冷媒圧力の変動を示すタイムチャートである。
【図3】第1の実施形態による冷凍サイクル装置において、圧縮機を停止指令を検出した場合に圧縮機の回転数を制御して冷媒高低圧差の縮小を図る処理手順を示す制御フロー図である。
【図4】第2の実施形態に係わる冷媒高低圧差の縮小を図る処理手順を示す制御フロー図である。
【図5】第3の実施形態に係わる冷媒高低圧差の縮小を図る処理手順を示す制御フロー図である。
【図6】図1中の圧縮機の一例を示す断面図である。
【図7】第4の実施形態によるヒートポンプサイクル装置の構成を示す構成図である。
【図8】従来例の冷凍サイクル内の冷媒圧力の変動を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 冷凍サイクル装置(冷媒循環装置)
2 ファン(送風手段)
3 凝縮器(高圧側熱交換器)
4 膨張弁(減圧手段)
5 蒸発器(低圧側熱交換器)
6 ファン
7 圧縮機
8 吐出圧センサ(高圧側の冷媒圧力の圧力検出手段)
9 吸入圧センサ(低圧側の冷媒圧力の圧力検出手段)
10 制御装置(制御手段)
20 モータ部(電動機部)
30 圧縮機構部
60 密閉容器
61 吸入管
62 吐出室
64 モータ室
65 貯油室
66 オイル流路
67 吐出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の吸入圧力よりも高圧の潤滑油を溜める貯油室を有する圧縮機、凝縮器、減圧手段、および蒸発器を備え、前記圧縮機、前記凝縮器、前記減圧手段、および前記蒸発器に冷媒を循環する冷媒循環装置に用いられ、
前記圧縮機を停止する停止指令を検出する停止指令検出手段と、
前記停止指令検出手段により停止指令を検出すると、前記圧縮機より吐出される高圧側の冷媒圧力と、前記圧縮機に吸入される低圧側の冷媒圧力との差圧を縮小する差圧縮小手段と、
前記差圧縮小手段により前記差圧を小さくした後に前記圧縮機を停止する停止手段と、
を備えていることを特徴とする圧縮機装置。
【請求項2】
前記冷媒循環装置に対する外部要求に基づいて冷媒の循環条件が満足しているか否かを判定し、前記循環条件が前記外部要求を満足しているとされるとき停止指令を発生する停止信号発生手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機装置。
【請求項3】
前記減圧手段は、前記圧縮機から吐出する冷媒を減圧する膨張弁であって、
前記差圧縮小手段は、高圧側の冷媒圧力が低下するように、前記膨張弁を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧縮機装置。
【請求項4】
前記凝縮器内の冷媒の凝縮を促進する送風手段を備え、
前記差圧縮小手段は、前記凝縮器への送風量を増加するように、前記送風手段を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項5】
前記凝縮器は、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器であって、
前記冷媒水熱交換器に水を供給する水循環通路に、水ポンプを有しており、
前記差圧縮小手段は、前記冷媒水熱交換器へ流入する水の流量を増加するように、前記水ポンプを制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項6】
前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する電動機部とを備え、
前記差圧縮小手段は、前記圧縮機に吸入、吐出される冷媒流量が低下するように、前記電動機部の回転数を制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項7】
前記差圧縮小手段は、
差圧を縮小する経過時間が所定時間を過ぎると、均圧のための差圧縮小を中止する強制停止手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧縮機装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の圧縮機に用いる冷媒は、二酸化炭素(CO)であることを特徴とする圧縮機装置。
【請求項9】
冷媒の吐出圧力を利用して内部の潤滑を行なう圧縮機を有し、前記圧縮機を含む冷媒循環回路に冷媒を循環する冷媒循環装置の制御方法において、
前記圧縮機を停止する前に、前記冷媒循環回路における前記圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を小さくした後に、前記圧縮機を停止させる手段を備えていることを特徴とする冷媒循環装置の制御方法。
【請求項10】
冷媒の吸入圧力よりも高圧の潤滑油を溜める貯油室を有する圧縮機、凝縮器、減圧手段、および蒸発器を備え、前記圧縮機、前記凝縮器、前記減圧手段、および前記蒸発器に冷媒を循環する冷媒循環装置において、
前記圧縮機の停止指令を検出し、当該検出した停止指令に基づいて、前記圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力との差圧を縮小する差圧縮小手段と、
を備えていることを特徴とする冷媒循環装置。
【請求項11】
請求項10に記載の冷媒循環装置において、
外部要求に基づいて冷媒の循環条件が満足しているか否かを判定し、前記循環条件が前記外部要求を満足しているとされるとき停止指令を発生する停止信号発生手段と、
を備えていることを特徴とする冷媒循環装置。
【請求項12】
前記減圧手段は、前記圧縮機から吐出する冷媒を減圧する膨張弁であって、
前記差圧縮小手段は、高圧側の冷媒圧力が低下するように、前記膨張弁を制御することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の冷媒循環装置。
【請求項13】
前記凝縮換器内の冷媒の凝縮を促進する送風手段を備え、
前記差圧縮小手段は、前記凝縮器への送風量を増加するように、前記送風手段を制御することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の冷媒循環装置。
【請求項14】
前記凝縮器は、冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器であって、
前記冷媒水熱交換器に水を供給する水循環通路に、水ポンプを有しており、
前記差圧縮小手段は、前記冷媒水熱交換器へ流入する水の流量を増加するように、前記水ポンプを制御することを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の冷媒循環装置。
【請求項15】
請求項10から請求項14のいずれか一項に記載に冷媒循環装置において、
前記差圧縮小手段は、前記圧縮機の停止後に、前記圧縮機の吐出側の冷媒圧力と吸入側の冷媒圧力の差圧が素早く均圧するように、前記差圧の縮小を行なうことを特徴とする冷媒循環装置。
【請求項16】
請求項10から請求項14のいずれか一項に記載に冷媒循環装置において、
前記差圧縮小手段により前記差圧を小さくした後に、前記圧縮機を停止する停止手段と、
を備えていることを特徴とする冷媒循環装置。
【請求項17】
前記圧縮機は、冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する電動機部とを備え、
前記差圧縮小手段は、前記圧縮機に吸入、吐出される冷媒流量が低下するように、前記電動機部の回転数を制御することを特徴とする請求項16に記載の冷媒循環装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−322022(P2007−322022A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150489(P2006−150489)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】