説明

圧縮機

【課題】圧縮機から発生する脈動(とくに、吸入脈動)を効果的に減衰・低減させることができ、しかも冷媒漏れのおそれのない高品質のマフラー装置を備えた圧縮機を提供する。
【解決手段】シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、シリンダブロックに、弁板の延長部の支持部を一体に形成した構造に構成されており、支持部が中実であることを特徴とする圧縮機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調装置等に使用される圧縮機に関し、とくに圧縮機の吸入通路または吐出通路に設けられるマフラー装置の内部空間のシール性の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば従来の車両空調用圧縮機として、図8に示すような多気筒往復動式圧縮機が知られている。この圧縮機100のシリンダヘッド101の内部には、たとえば、中央部に吐出室102、外周部にほぼ円環空洞形状の吸入室103が区画されて設置されている。吐出室102はシリンダヘッド吐出ポート104、吸入室103はシリンダヘッド吸入ポート105にそれぞれ連通されている。圧縮機100が駆動されると、エバポレータに接続された回路配管から、シリンダヘッド吸入ポート105を通して吸入室103に導かれた冷媒ガスは、シリンダボア106内のピストン107が吸入行程にある時、吸入弁108(リード弁)を押し開け、弁板109の各吸入孔110を通して順次吸入行程のシリンダボア106に吸入される。更にピストン107が圧縮行程にある時、吸入弁108は閉じられ、吐出弁111が押し開けられ、弁板109の各吐出孔112から順次吐出室102に吐出され、最終的に吐出室102内のガスは、シリンダヘッド吐出ポート104を通過してコンデンサに接続された空調装置の回路へと吐出される。
【0003】
可変容量コンプレッサの場合、熱負荷が小さい時、冷媒循環量も少なくなり、シリンダボア106内に取り込まれる冷媒ガス量も少なくなる。(ピストンストロークも小さくなる。)取り込まれる冷媒ガスが少ないと吸入弁108の開度も少なくなり、弁ストッパに当たったり当たらなかったりする。この状態で冷媒ガスを吸入する時、冷媒ガスには脈動が発生する。吸入弁108周りで発生した、ガス脈動は、吸入室103内および吸入ポート105に接続される配管内で共鳴し、振幅が増幅される。増幅された脈動は、吸入配管内を伝播し、エアコンシステムを振動させ異音を発生させることがしばしばある。
【0004】
これを防止するため、圧縮機のシリンダヘッド吸入ポートや吐出ポートの近傍には、とくに、吸入ポート近傍には、騒音・振動低減のために、図9に示すようなマフラー装置120が設置されることがある。マフラー装置120は、たとえばシリンダブロック121やシリンダヘッド122の側面に(シリンダブロックやシリンダヘッドの周囲に)シリンダブロック121やシリンダヘッド122と一体に設けられ、通常、弁板123の延長部124によってマフラー壁128の開口部125を閉じ、マフラー内部空間126が形成される仕組みになっている。あるいは、シリンダブロック121やシリンダヘッド122の側面にシリンダブロック121やシリンダヘッド122と一体に設けられ、このシリンダブロック121やシリンダヘッド122を組付けることによってマフラー空間を形成する提案もなされている(たとえば、特許文献1)。
【0005】
しかしながら、図10に示すようにマフラー内部空間126は、シリンダヘッド122の径方向に突設され、シリンダヘッド固定ボルトのボルト挿入孔127よりも外側に位置する。このため、片持ちはりのように形成されるマフラー壁128、延長部124に曲げモーメントが発生し、マフラー壁128と延長部124との面圧が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−254181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、圧縮機から発生する脈動(とくに、吸入脈動)を効果的に減衰・低減させることができ、しかも冷媒漏れのおそれのない高品質のマフラー装置を備えた圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る一の圧縮機は、シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記シリンダブロックに、前記弁板の延長部の支持部を一体に形成した構造に構成されており、該支持部が中実であることを特徴とするものからなる。このような構成においても、マフラー壁と弁板の延長部との接続状態が安定し、マフラー装置の内部空間のシール性が維持されるので、冷媒漏れのおそれを長期にわたり確実に解消することができる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る他の圧縮機は、シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記マフラー装置の内部空間を、圧縮機の径方向外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成した構造に構成されていることを特徴とするものからなる。このような構成においても、マフラー壁と弁板の延長部との接続状態が安定し、マフラー装置の内部空間のシール性が維持されるので、冷媒漏れのおそれを長期にわたり確実に解消することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るさらに他の圧縮機は、シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記マフラー装置の内部空間内にリブを設けた構造に構成されていることを特徴とするものからなる。このような構成においても、マフラー壁と弁板の延長部との接続状態が安定し、マフラー装置の内部空間のシール性が維持されるので、冷媒漏れのおそれを長期にわたり確実に解消することができる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るさらに他の圧縮機は、シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記弁板の延長部をシリンダブロック側に厚肉化した構造に構成されていることを特徴とするものからなる。このような構成においては、マフラー壁と弁板の延長部との接続状態が安定し、マフラー装置の内部空間のシール性が維持されるので、冷媒漏れのおそれを長期にわたり確実に解消することができる。
【0012】
上記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造は、弁板の延長部をシリンダブロック側に厚肉化した構造から構成することが可能である。このような構成によれば、内部空間の内圧の上昇により変形され易い弁板の延長部の変形が確実に防止されるので、マフラー壁と弁板の延長部とのシール性が維持され内部空間からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0013】
また、上記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造は、シリンダブロックに、弁板の延長部の支持部を一体に形成した構造から構成することも可能である。このような構成においても、弁板の延長部の変形が確実に防止されるので、マフラー壁と弁板の延長部とのシール性が維持され内部空間からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0014】
さらに、上記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造は、マフラー装置の内部空間を、圧縮機の径方向外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成した構造から構成することができる。このような構成においては、径方向の外側に行くほどマフラー壁と弁板の延長部との受圧面積は小さくなり、径方向外側のシール性の低い部分に作用する曲げモーメント自体が低下する。また、このような構成においては、マフラー壁および弁板の延長部の曲げ剛性を向上することができる。マフラー壁と弁板の延長部とのシール性が維持され内部空間からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0015】
さらに、上記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造は、マフラー装置の内部空間内にリブを設けた構造から構成することができる。このような構成においては、内部空間を構成するマフラー壁の耐圧強度が向上され、マフラー壁の変形が防止されるので、マフラー壁と弁板の延長部とのシール性が維持され内部空間からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る圧縮機には、マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設けられ、マフラー装置の内部空間のシール性が維持可能な冷媒漏れのおそれのない高品質のマフラー装置が設けられているので、圧縮機から発生する脈動(とくに、吸入脈動)を長期にわたり確実に減衰・低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1参考態様に係る圧縮機の外観図である。
【図2】図1の圧縮機のII矢視図である。
【図3】本発明の第2実施態様に係る圧縮機のシリンダヘッドの正面図である。
【図4】本発明の第3実施態様に係る圧縮機のシリンダヘッドの正面図である。
【図5】本発明の第4実施態様に係る圧縮機のシリンダヘッドの正面図である。
【図6】本発明の第5実施態様に係る圧縮機の外観図である。
【図7】本発明の第6実施態様に係る圧縮機の外観図である。
【図8】従来の圧縮機の縦断面図である。
【図9】図8とは別の従来の圧縮機の概略側面図である。
【図10】図9の圧縮機のシリンダヘッドの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の圧縮機の望ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1、図2は、本発明の第1参考態様に係る圧縮機を示している。なお、以下の実施例および参考例における圧縮機は、車両用空調装置に利用される圧縮機を示している。図1において、1は圧縮機全体を示している。圧縮機1は、たとえば図8に示すような多気筒往復動式圧縮機に構成されている。圧縮機1は、周方向に複数のシリンダボアが設けられたシリンダブロック2を有している。シリンダブロック2の一端にはフロントハウジング3が接続されており、他端には弁板5およびシール部材6を介してシリンダヘッド4が接続されている。
【0019】
圧縮機1には、マフラー装置7が一体に設けられている。マフラー装置7は、内部空間8を有している。内部空間8は、図1、図2に示すように圧縮機1の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部10を持つマフラー壁9と、該マフラー壁9の開口部10を閉じる、シリンダヘッド4とシリンダブロック2の間に介装された弁板5の延長部5aとシール部材6とによって形成されている。内部空間8は、弁板10と共働して吸入室を形成するためのシリンダヘッド4内の空間4aに連通されおり、空間4aの内側には、弁板10と共働して吐出室を形成するための空間4bが設けられている。なお、図2において、15はシリンダヘッド4をシリンダブロック2に接続するためのボルト(図示略)が挿通されるボルト孔を示している。
【0020】
マフラー装置7のマフラー壁9と弁板5の延長部5aとの間には両者の接続の安定を図るための安定構造が採用されている。本参考態様における安定構造は、図1に示すようにマフラー壁9の開口部10の端縁に設けられ、延長部5aとシール部材6の先端を挟持するコ字状部11から構成されている。
【0021】
本参考態様においては、マフラー装置7の内部空間8の内圧が上昇しても弁板5の延長部5aの先端がコ字状部11挟持され、弁板5の延長部5aの変形のおそれが解消されるので、マフラー壁9と延長部5aとのシール性が維持され内部空間8からの冷媒漏れのおそれを確実に解消することができる。
【0022】
図3は、本発明の第2実施態様に係る圧縮機のシリンダヘッド12を示している。なお、上記第1参考態様と同一の部材には同一の番号を付しその説明は省略する。本実施態様においては、内部空間8は、圧縮機1の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部14を持つマフラー壁13と、該マフラー壁13の開口部14を閉じる、弁板5の延長部5aとシール部材6とによって形成されている。また、開口部14は、圧縮機の径方向の外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成されているので、内部空間8も圧縮機の径方向の外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成されている。そして、本実施態様においては、該構造がマフラー壁13と弁板5の延長部5aとの間の両者の接続の安定を図るための安定構造に構成されている。
【0023】
本実施態様においては、径方向の外側に行くほどマフラー壁13と弁板5の延長部5aとの受圧面積は小さくなり、径方向外側のシール性の低い部分に作用する曲げモーメント自体が低下する。また、このような構成においては、マフラー壁13および延長部5aの曲げ剛性を向上することができる。したがって、マフラー壁13と延長部5aとのシール性が維持され内部空間8からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0024】
図4は、本発明の第3実施態様に係る圧縮機のシリンダヘッド16を示している。なお、上記第1参考態様と同一の部材には同一の番号を付しその説明は省略する。本実施態様においては、内部空間8は、圧縮機1の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部18を持つマフラー壁17と、該マフラー壁17の開口部18を閉じる、弁板5の延長部5aとシール部材6とによって形成されている。また、開口部18は、圧縮機の径方向の外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成されているので、内部空間8も圧縮機の径方向の外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成されている。そして、本実施態様においても、該構造がマフラー壁17と延長部5aとの間の両者の接続の安定を図るための安定構造に構成されている。
【0025】
本実施態様においては、径方向の外側に行くほどマフラー壁17と弁板5の延長部5aとの受圧面積は小さくなり、径方向外側のシール性の低い部分に作用する曲げモーメント自体が低下する。また、このような構成においては、マフラー壁17および延長部5aの曲げ剛性を向上することができる。とくに、本実施態様においては、マフラー壁17は円弧状に形成されているので、マフラー壁17の変形をより確実に防止できる。したがって、マフラー壁17延長部5aとのシール性が維持され内部空間8からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0026】
図5は、本発明の第4実施態様に係る圧縮機のシリンダヘッド19を示している。なお、上記第1参考態様と同一の部材には同一の番号を付しその説明は省略する。本実施態様においては、内部空間8は、圧縮機1の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部21を持つマフラー壁20と、該マフラー壁20の開口部21を閉じる、弁板5の延長部5aとシール部材6とによって形成されている。また、開口部21は、圧縮機の径方向の外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成されているので、内部空間8も圧縮機の径方向の外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成されている。そして、本実施態様においても、該構造がマフラー壁20と延長部5aとの間の両者の接続の安定を図るための安定構造に構成されている。さらに本実施態様においては、内部空間8内にはリブ22、23が設けられており、該リブ22、23が、マフラー壁20と延長部5aとの間の両者の接続の安定を図るためのもう一つの安定構造に構成されている。なお、本実施態様においては、リブ22、23の高さ(圧縮機軸方向の長さ)はマフラー壁20の高さより若干低く設定されており、シール部材6との間に隙間が形成されるようになっている。そして、該隙間を介して内部空間8と吸入室が連通されるようになっている。また、リブ22、23の形状、個数は図5に示す態様に限定されるものではなく適宜最適な形状等に設定することができる。
【0027】
本実施態様においては、径方向の外側に行くほどマフラー壁20と弁板5の延長部5aとの受圧面積は小さくなり、径方向外側のシール性の低い部分に作用する曲げモーメント自体が低下する。また、このような構成においては、マフラー壁20および延長部5aの曲げ剛性を向上することができる。さらに、本実施態様においては、内部空間8内にはリブ22、23が設けられているので、マフラー壁20の曲げ剛性をより向上することができる。したがって、マフラー壁20と延長部5aとのシール性が維持され内部空間8からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0028】
図6は、本発明の第5実施態様に係る圧縮機を示している。なお、上記第1参考態様と同一の部材には同一の番号を付しその説明は省略する。本実施態様においては、弁板24の延長部24aがシリンダブロック側に厚肉化した構造に構成されており、該構造がマフラー壁9と延長部24aとの間の両者の接続の安定を図るための安定構造に構成されている。
【0029】
本実施態様においては、内部空間8の内圧の上昇により変形され易い弁板24の延長部24aの変形が確実に防止されるので、マフラー壁9と弁板24の延長部24aとのシール性が維持され内部空間8からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【0030】
図7は、本発明の第6実施態様に係る圧縮機を示している。なお、上記第1参考態様と同一の部材には同一の番号を付しその説明は省略する。本実施態様においては、シリンダブロック25には,弁板26の延長部26aを支持するための支持部27が設けられている。該支持部27は圧縮機の径方向に突設され圧縮機の周方向に延在されている。
【0031】
本実施態様においても、内部空間8の内圧の上昇により変形され易い弁板26の延長部26aの変形が確実に防止されるので、マフラー壁9と延長部26aとのシール性が維持され内部空間8からの冷媒漏れのおそれを解消することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る圧縮機は、あらゆる多気筒往復動式圧縮機に適用可能である。とくに車両用空調装置の圧縮機に好適なものである。
【符号の説明】
【0033】
1 圧縮機
2、25 シリンダブロック
3 フロントハウジング
4、12、16、19 シリンダヘッド
4a、4b 空間
5、24,26 弁板
5a、24a,26a 弁板の延長部
6 シール部材
7 マフラー装置
8 内部空間
9、13、17、20 マフラー壁
10、14、18、21 開口部
11 コ字状部
15 ボルト孔
22、23 リブ
27 弁板の延長部の支持部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記シリンダブロックに、前記弁板の延長部の支持部を一体に形成した構造に構成されており、該支持部が中実であることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記マフラー装置の内部空間を、圧縮機の径方向外側に向かって徐々に周方向の長さが短くなる形状に形成した構造に構成されていることを特徴とする圧縮機。
【請求項3】
シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記マフラー装置の内部空間内にリブを設けた構造に構成されていることを特徴とする圧縮機。
【請求項4】
シリンダヘッドと一体に形成されたマフラー装置が設けられ、該マフラー装置の内部空間が、圧縮機の径方向に突設されるとともに周方向に延在しシリンダブロック側に開口部を持つマフラー壁と、該マフラー壁の開口部を閉じる、シリンダヘッドとシリンダブロックの間に介装された弁板の延長部とシール部材とによって形成された圧縮機において、前記マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造を設け、該マフラー壁と弁板の延長部との接続の安定化構造が、前記弁板の延長部をシリンダブロック側に厚肉化した構造に構成されていることを特徴とする圧縮機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−72776(P2012−72776A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7161(P2012−7161)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2007−185435(P2007−185435)の分割
【原出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】