説明

圧電デバイス、及び圧電発振器

【課題】 圧電デバイスに衝撃などが加わった際の圧電振動片を保持するリード板の変形を防止し、リード板の変形による検出感度の低下を防止することにより所望の検出を行うことができる圧電デバイスを提供する。
【解決手段】 圧電デバイスであるジャイロセンサ100は、パッケージ20内にジャイロ振動片10、複数のリード板15、および支持基板18を収納し、蓋体21をパッケージ20の固着面に固着している。リード板15には、支持基板18の一部が当該支持基板18の窓開き部25にそれぞれのリード板15に対応して張り出したリード板補強部16が接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロ振動片のような圧電振動片を有する圧電デバイス、及び当該圧電デバイスを備える圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されたような従来の圧電デバイスでは、図10に示すように、圧電振動片としてのジャイロ振動片110が、支持基板111に接合材112で固着されたリード板113a、113bによって保持され導電性接着材114等で接続されている。支持基板111は、パッケージ115に固着材116により固着されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−294450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の背景技術に示した圧電デバイスでは、圧電振動片を支持するリード板113a、113bの1つずつの強度が弱いため、圧電振動片に衝撃などが加わることによってリード板113a、113bが変形し、圧電振動片の保持姿勢が予期しない状態に変化することがある。この圧電振動片の保持姿勢の変化による特性への影響により、圧電振動片の一例としてのジャイロ振動片の検出感度が低下し所望の検出ができなくなるという問題を有していた。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、衝撃などが加わっても検出感度が低下しにくく、所望の検出を行うことができる圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる問題を解決するために、本発明の圧電デバイスは、圧電振動片と、支持基板と、前記圧電振動片と前記支持基板とに接続させて両者を導通させるとともに、前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間する状態に支持するリード板と、前記支持基板の一部が前記リード板に略沿って張り出して形成され、前記リード板と接合されたリード板補強部とを有することを特徴とする。
本発明の圧電デバイスによれば、支持基板から張り出したリード板補強部とリード板とが接合されていることから、リード板単体の剛性にリード板補強部の剛性が加算され、接合されたリード板の方が単体のリード板よりも剛性が高くなる。従って、圧電振動片に衝撃などが加わってもリード板の変形が起こりにくくなる。換言すれば、圧電振動片の保持姿勢の変化が起こりにくくなり、圧電振動片の一例としてのジャイロ振動片の検出感度の低下を防止することができる。
【0007】
また、前記リード板補強部は、前記支持基板の略中心に向かって張り出していることとしてもよい。
【0008】
また、前記リード板補強部の先端は、前記リード板と前記圧電振動片との接続部分までの間に形成されていることが望ましい。
このようにすれば、リード板補強部の長さを短くすることができるため、リード板補強部の剛性を確保することができる。即ち、接合されたリード板との剛性を高めることが可能となる。
【0009】
また、前記リード板は、折り曲げられた状態で前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間させていることが望ましい。
このようにすれば、他の部材を用いることなく簡単に前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間させることが可能となる。
【0010】
また、前記リード板と前記リード板補強部とは、両者が接合された状態で折り曲げられ、前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間させていることが望ましい。
このようにすれば、変形の起こり易いリード板の折り曲げ部分の剛性を増すことができるため、リード板の変形を起こりにくくすることが可能となる。
【0011】
また、前記支持基板と前記リード板とが折り曲げられた前記リード板補強部の面上で接続されていることが望ましい。
このようにすれば、リード板の一端がリード板補強部の面上にあるためリード板の高さ方向の調整が容易に行うことができる。従って、複数のリード板の圧電振動片の支持高さを均一にすることが可能となる。
【0012】
また、前記圧電振動片が、回転角速度を検出するためのジャイロセンサに用いるジャイロ振動片であることが望ましい。
このようにすれば、圧電振動片の保持姿勢が検出感度に大きく影響されるジャイロ振動片においても、検出感度の低下を防止することができ、所望の検出が可能なジャイロセンサを提供することが可能となる。
【0013】
また、前述の圧電デバイスと、少なくとも前記圧電振動片を駆動するための機能を有する回路素子とを有することを特徴とする圧電発振器を提供することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る圧電デバイスの最良の形態について、以下に図面を用いて説明する。なお、本発明は、後述の実施形態に限定されるものではない。
(第一の実施形態)
【0015】
本発明に係る圧電デバイスの第一の実施形態として、圧電振動片の一例としてジャイロセンサ用水晶振動片(以下、「ジャイロ振動片」という。)を用いたジャイロセンサについて、図面を用いて説明する。図1は、第一の実施形態のジャイロセンサの概略を示す平面図である。図2は、第一の実施形態のジャイロセンサの概略を示し、図1のA−A断面図である。
==ジャイロセンサの構成==
【0016】
先ず、ジャイロセンサの構成について説明する。ジャイロセンサ100は、電子機器及び乗り物のような物体の姿勢や位置を検出するために前記物体に搭載されて使用される。
図1及び図2に示すように、ジャイロセンサ100は、パッケージ20内にジャイロ振動片10(図1では、図面を解り易くするため一部を破断し2点鎖線で示してある。)、リード板15および支持基板18を収納し、蓋体21をパッケージ20固着面に固着して密封されている。
【0017】
パッケージ20は、セラミック等で形成され、その凹部底面17に支持基板18の裏面が固着されている。支持基板18は、例えばポリイミド樹脂などの絶縁性材料で形成されており、その表面には導電パターン(図示せず)が形成されている。支持基板18の中央部には打ち抜かれた窓開き部25が形成されている。この窓開き部25の打ち抜きによって支持基板18が窓開き部25の内側へ延出するように張り出したリード板補強部16が形成され、このリード板補強部16にリード板15が固着されている。前述の導電パターンに、リード板15の長手方向の一端部が接続されている。リード板15の他端部には、ジャイロ振動片10が導電接着剤或いは金バンプなどの接合材(図示せず)で接続されている。
==リード板の説明==
【0018】
6本のリード板15は、一例として厚み18μm、幅30〜100μm、程度の銅薄板にニッケル金メッキが施され形成されている。リード板15は、パッケージ20の凹部の4側面方向から、パッケージ20の中心、即ち支持基板18の中心27に概ね向かって設けられている。リード板15は、一端部の接続部22により支持基板18の表面に設けられた導電パターン(図示せず)に接続されており、この接続部分の中心27側の部分で上方に折り曲げられて間隙形成部26が形成されている。この間隙形成部26は、ジャイロ振動片10と支持基板18との間に隙間を設け、ジャイロ振動片10と支持基板18との接触を防止する。
【0019】
リード板15は、間隙形成部26の先部で他端部がさらに折り曲げられてジャイロ振動片10の受け部23が形成されている。この受け部23にジャイロ振動片10の電極(図示せず)が導通を取って接続されている。
==リード板補強部の説明==
【0020】
リード板補強部16は、支持基板18の中央部に形成された窓開き部25に、支持基板18の一部が対応するリード板15に沿ってそれぞれ張り出して形成されている。リード板補強部16は、対応するリード板15の幅寸法よりやや幅広形状であり、その先端24はリード板15の間隙形成部26の中途に位置して形成されている。リード板補強部16には、対応するリード板15が固着されており、リード板補強部16は、リード板15の間隙形成部26とともに上方に折り曲げられている。即ち、間隙形成部26の中途までリード板15とリード板補強部16とは、固着されている。
【0021】
==ジャイロ振動片の説明==
次に、ジャイロ振動片について、図面を用いて詳細に説明する。図3は、駆動アームの動作を示す図である。図4は、駆動アームの動作とコリオリ力との関係を示す図である。図5は、検出アームの動作を示す図である。
【0022】
先ず、ジャイロ振動片の構成について説明する。
図1に示す、圧電振動片の一例であってジャイロセンサ100に用いられるジャイロ振動片10は、水晶を用いた薄板状に形成されている。ジャイロ振動片10は、従来知られた駆動モード、検出モード、及びスプリアスモードという3つのモードで動作すべく、駆動部を構成する第一の駆動腕部及び第二の駆動腕部である第1の駆動アーム11A及び第2の駆動アーム11Bと、検出部である検出アーム12と、腕支持部であるアーム支持部13と、支持部である支持板14とを有している。
【0023】
アーム支持部13は、一端が第1の駆動アーム11Aの中心に接続されており、他端が第2の駆動アーム11Bの中心に接続されており、検出アーム12は、その中心がアーム支持部13の中心と一致するように接続されている。支持板14は、アーム支持部13と検出アーム12との接続点を含む所定の面積を有する板状部である。
【0024】
次に、ジャイロ振動片の動作について説明する。
図3(a)に示すように、第1の駆動アーム11Aは、図示のY方向に延在する所定長を有する板状部である。第1の駆動アーム11Aは、図示のX方向に沿った振動中に、前記した物体の姿勢の変動の一つである、図示のZ方向を回転軸として与えられる回転に応じて、当該回転角速度の大きさに対応するコリオリ力を生成する。なお、第2の駆動アーム11Bは、図示しないが第1の駆動アーム11Aと相互に平行する所定長を有する板状部であり、第1の駆動アーム11Aと同様にコリオリ力を生成する。
【0025】
第1の駆動アーム11Aは、図3(a)〜(c)に示されるように、その中心を軸とする屈曲動作により振動し、より詳細には、その端部に近い部位ほどX方向に沿って大きく変位するという凹凸型に変形することにより振動する。第2の駆動アーム11Bは、第1の駆動アーム11Aが変形する凹凸形状とは線対称な関係にある形状に屈曲動作により振動する。
【0026】
図4に示すように、第1の駆動アーム11Aが2点鎖線で示された形状から実線で示された形状へ変化しており、第2の駆動アーム11Bも2点鎖線で示された形状から実線で示された形状へ変化しているとき、紙面内時計回り方向の回転が加えられると、コリオリ力は、図4の矢印19A、19Bで示される方向に発生する。他方で、第1の駆動アーム11Aが実線で示された形状から2点鎖線で示された形状へ変化し、第2の駆動アーム11Bが実線で示された形状から2点鎖線で示された形状へ変化しているとき、紙面内時計回り方向の回転が加えられると、コリオリ力は、図4の矢印19A、19Bとは反対方向に発生する。
【0027】
検出アーム12は、第1の駆動アーム11A及び第2の駆動アーム11Bと同様に、図示のY方向に沿って延在している、所定長を有する板部材である。即ち、第1の駆動アーム11A、第2の駆動アーム11B、及び検出アーム12は、相互に平行である。検出アーム12は、第1の駆動アーム11A及び第2の駆動アーム11Bに働く前記コリオリ力を検出すべく、第1の駆動アーム11A及び第2の駆動アーム11Bからアーム支持部13を経て伝播される前記コリオリ力に応答して、当該コリオリ力の大きさに対応する振動を行う。
【0028】
検出アーム12は、図5(a)〜(c)に示すように、図3(a)〜(c)で示した第1の駆動アーム11A及び第2の駆動アーム11Bの屈曲動作と同期して、概ねS字状及び逆S字状に変形するという屈曲動作を行う。検出アーム12による前記屈曲動作により発生する電気信号を検出することにより前記コリオリ力の大きさを知得し、これにより、前記物体に加えられた回転角速度の大きさを認識する。
【0029】
上述の第一の実施形態によれば、支持基板18から張り出したリード板補強部16とリード板15とが接合されていることから、リード板15単体の剛性にリード板補強部16の剛性が加算される。これにより当該接合部分、即ちリード板15が変形し易い立ち上がり部分の剛性が見かけ上高くなることから圧電振動片の一例としてのジャイロ振動片10に衝撃などが加わってもジャイロ振動片10を支持しているリード板15の変形が起こりにくくなる。従って、ジャイロ振動片10の保持姿勢の変化が起こりにくくなり、ジャイロ振動片10の検出感度の低下を防止したジャイロセンサ100を提供することが可能となる。
また、リード板補強部16が支持基板18の一部を張り出して形成されていることから、他の材料を用いることなく、即ち、部品数を増やすことなくリード板補強部16を形成することができ、特性を向上させたジャイロセンサ100を安価に提供することが可能となる。
(第二の実施形態)
【0030】
本発明に係る圧電デバイスの第二の実施形態として、圧電振動片としてジャイロ振動片を用いたジャイロセンサについて、図面を用いて説明する。図6は、第二の実施形態のジャイロセンサの概略を示す平面図である。図7は、第二の実施形態のジャイロセンサの概略を示し、図6のB−B断面図である。
【0031】
第二の実施形態におけるジャイロセンサ100の構成、及びジャイロ振動片10については、先述した第一の実施形態と同様であるため詳細の説明を省略し、第二の実施形態の特徴点であるリード板35、及びリード板補強部36について詳細を説明する。
【0032】
図6及び図7によれば、ジャイロセンサ100は、パッケージ40の凹部底面37に固着された支持基板39と、支持基板39の張り出し部36に接続されたリード板35と、リード板35に接続されたジャイロ振動片10と、パッケージ40の上面に固着された蓋体41とから構成されている。
【0033】
例えばポリイミド樹脂などの絶縁体で形成された支持基板39は、その表面に導電パターン(図示せず)が形成され、中央部は打ち抜かれた窓開き部38が形成されている。支持基板39の中央部に向かって支持基板39が張り出したリード板補強部36は窓開き部38に突出して形成されている。リード板補強部36は、リード板35と対応して設けられており、支持基板39から突出する基部付近で斜め上方に折り曲げらている。
【0034】
本例のリード板35は、6本設けられており、第一の実施形態と同様に一例として厚み18μm、幅30〜100μm、程度の銅薄板にニッケル金メッキが施され形成されている。リード板35は、一端42近傍をリード板補強部36内の導電パターンと導電性接着剤、又は半田などを用いて電気的に接合されている。さらに、リード板35には、その他端部を支持基板39とほぼ平行となるように折り曲げたジャイロ振動片10の受け部43が形成されている。6本のリード板35に形成された受け部43は、支持基板39の面とジャイロ振動片10が平行となるように高さを合わせて設けられる。この受け部43にジャイロ振動片10の電極(図示せず)が導電性接着剤、又は金バンプなどの接合材(図示せず)で接続されリード板35とジャイロ振動片10の電極との電気的導通が取られている。
【0035】
上述の第二の実施形態によれば、前述した第一の実施形態の効果に加え、リード板35の一端42がリード板補強部36の面上にあるためリード板35の高さ方向の調整を容易に行うことができる。従って、複数のリード板35の受け部43の高さを均一にすることができる。よって、支持基板39とジャイロ振動片10の平行を容易に実現することが可能となる。
【0036】
なお、前述の実施形態では6本のリード板の構成で説明したが、リード板の数はこれに限らず、必要とされる数量であれば何本の構成でもよい。
また、リード板と支持基板の導電パターンとの接続は、導電パターンを形成する金属層とリード板とを導電材で接合する構成、或いは導電パターンを形成する金属層をそのまま延伸してリード板とする構成のどちらを用いてもよい。
(リード板補強部の変形例)
【0037】
ここで、リード板補強部の変形例を説明する。図8(a)〜(c)は、リード板補強部の形状を示す平面図である。
【0038】
図8(a)に示すように、リード板補強部56は、支持基板59の一部がリード板55の脇に沿って張り出した部分56Aと、張り出した部分56Aに交差する部分56Bとで形成されている。リード板55は折り曲げ部57で斜め上方(本図では手前方向)に折り曲げられており、リード板補強部56も折り曲げ部58でリード板55と同じく斜め上方に折り曲げられている。両者の折り曲げ部57、58は、支持基板59の窓開き部の辺60の延長上に形成されている。なお、リード板55とリード板補強部56とは、重なり合った部分で接合されている。
【0039】
また、図8(b)に示すように、リード板補強部56は、支持基板59の一部がリード板55の両脇に沿って2本張り出し、その先端を結ぶ形状に形成されている。即ち、張り出し部の中央に窓開き部が形成されている。前述と同様に、リード板55とリード板補強部56とは、支持基板59の窓開き部の辺60の延長上に形成された折り曲げ部57で、斜め上方に折り曲げられている。また、リード板55とリード板補強部56とは、重なり合った部分で接合されている。
【0040】
また、図8(c)に示すように、リード板補強部56は、支持基板59との接続部分の幅が広く、張り出した先端部の幅が狭い形状に形成されている。なお、リード板55とリード板補強部56とは接合されており、支持基板59の窓開き部の辺60の延長上で両者とも斜め上方に折り曲げられている。
【0041】
なお、前述の変形例では、両者の折り曲げ位置が支持基板59の中心部に設けられた窓開き部の辺の延長上に設けられた例で説明したが、折り曲げは、支持基板の窓開き部の中、即ちリード板が支持基板から離れた箇所で行ってもよい。
また、リード板とリード板補強部とは接合されておらず、接触している構成でもリード板の下方への変形を防止することができる。
【0042】
上述の補強部の変形例によれば、リード板55にリード板補強部56が接合されることにより当該接合部分の剛性が増す。即ち、見かけ上リード板55の剛性が増したことになり、ジャイロ振動片に衝撃などが印加されてもリード板55の変形が起こりにくくなる。
(第三の実施形態)
【0043】
本発明の圧電振動片を用いた圧電発振器を、図を用いて説明する。図9は、本発明の圧電振振器の概略正断面図である。
【0044】
本発明の圧電発振器80は、圧電発振片の一例としての水晶片であるジャイロ振動片10、ジャイロ振動片10を保持するための複数のリード板65、複数のリード板65を支持する支持基板69、少なくともジャイロ振動片10を駆動させる機能を有する回路素子の一例としての半導体装置66、前述したそれぞれの構成部品を収納するためのパッケージ70、及び蓋体71から構成される。
【0045】
詳述すると、セラミック等で形成されたパッケージ70の凹部底面に、支持基板69が固着されている。支持基板69は、例えば、ポリイミド樹脂などで形成されている。支持基板69の上面には、各方向から中心部に向かって伸びる複数のリード板65が接合材(図示せず)によって固着されている。複数のリード板65には一端にてジャイロ振動片10が導電接着剤或いは金バンプなどの接合材(図示せず)で接合されている。さらに、複数のリード板65のパッケージの中央部に向かって斜め上方に折り曲げられて形成された立ち上がり形状の間隙形成部67には、支持基板69の一部が張り出したリード板補強部68が接合されている。このリード板補強部68はリード板65の強度を補強し剛性を高める。
【0046】
なお、前述では、圧電振動片の一例として、水晶片によるジャイロ振動片を用いて説明したが、これに限らず、例えば、矩形、音叉型、円盤状などの水晶振動片、リチウムタンタレート(LiTaO3)振動片など他の圧電材料を用いた振動片でもよい。
【0047】
上述の第三の実施形態によれば、ジャイロ振動片10を保持し接続を行うリード板65にリード板補強部68が接合されることによりリード板65の剛性が増し、ジャイロ振動片10に衝撃などが加わってもリード板65の変形が起こりにくくなる。従って、ジャイロ振動片10の保持姿勢の変化が起こりにくくなり、ジャイロ振動片10と、パッケージ70の底面との平行度が変化することから発生するジャイロ振動片10の検出感度の低下を防止することができる圧電発振器を提供することが可能となる。
【0048】
なお、リード板補強部は、リード板の長手方向のうち、支持基板との接続部分と圧電振動片との接続部分とを除く全ての領域に設けられていても良い。
【0049】
また、前述では圧電振動片が支持基板に対して複数のリード板により支持された構造で説明したがこれに限らず、圧電振動片が支持基板に対して1つのリード板により支持された片持ち構造でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第一の実施形態のジャイロセンサの概略を示す平面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】(a)〜(c)は、ジャイロ振動片の駆動アームの動作を示す平面図。
【図4】ジャイロ振動片の駆動アームの動作とコリオリ力との関係を示す平面図。
【図5】(a)〜(c)は、ジャイロ振動片の検出アームの動作を示す平面図。
【図6】第二の実施形態のジャイロセンサの概略を示す平面図。
【図7】図6のB−B断面図。
【図8】(a)〜(c)は、リード板補強部の変形例を示す平面図。
【図9】第三の実施形態の圧電振振器の正断面図。
【図10】従来の圧電デバイスを示す正断面図。
【符号の説明】
【0051】
10…圧電振動片としてのジャイロ振動片、11A…第一の駆動アーム、11b…第二の駆動アーム、12…検出アーム、13…アーム支持部、14…支持板、15…リード板、16…リード板補強部、17…凹部底面、18…支持基板、20…パッケージ、21…蓋体、22…接続部、23…受け部、24…リード板補強部先端、25…窓開き部、26…間隙形成部、27…支持基板の中心、66…回路素子としての半導体装置、80…圧電発振器、100…圧電デバイスとしてのジャイロセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片と、
支持基板と、
前記圧電振動片と前記支持基板とに接続させて両者を導通させるとともに、前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間する状態に支持するリード板と、
前記支持基板の一部が前記リード板に略沿って張り出して形成され、前記リード板と接合されたリード板補強部と、を有することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記リード板補強部は、前記支持基板の略中心に向かって張り出していることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記リード板補強部の先端は、前記リード板と前記圧電振動片との接続部分までの間に形成されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記リード板は、折り曲げられた状態で前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間させていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の圧電デバイスにおいて、
前記リード板と前記リード板補強部とは、両者が接合された状態で折り曲げられ、前記支持基板に対して前記圧電振動片を離間させていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記支持基板と前記リード板とが折り曲げられた前記リード板補強部の面上で接続されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の圧電デバイスにおいて、
前記圧電振動片が、回転角速度を検出するためのジャイロセンサに用いるジャイロ振動片であることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の圧電デバイスと、
少なくとも前記圧電振動片を駆動するための機能を有する回路素子と、を有することを特徴とする圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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