説明

圧電フィルム音響変換装置

【課題】 圧電フィルムを使用することによって、平面的でかつ薄型の圧電フィルム音響変換装置を提供する。
【解決手段】 圧電フィルム20aの伸縮方向の両端にテンションを与えてフレーム10aに固定し、一方、圧電フィルム20aに対向して、振動膜30aにテンションを与えてフレーム10aに固定し、さらに圧電フィルム20aと振動膜30aの間に駒40aを配置することにより、圧電フィルム20aに加えた音響的な電気信号による振動を、駒40aを介して振動膜30aに伝えることにより音響振動に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電フィルムを使用した音響変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電フィルムは、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の一軸延伸フィルムを、高電圧で分極処理したもので、フィルムの延伸方向と厚さ方向に大きな圧電性を持つ。
【0003】
このような圧電フィルムの特性を利用して、様々なスピーカが考案され、実際に販売されている。
【0004】
基本的には2つの方法に大別され、1つは図8に示されるように、圧電フィルム26を湾曲させて振動させる方法(下記特許文献1参照)で、韓国のFILS社が製品化している。
【0005】
もう一つは、図9に示されるように、圧電フィルム28を波板状(アコーディオン状)に折り曲げて、山谷の広がりと縮みを利用して振動させる方法(下記特許文献2や特許文献3参照)であって、エルメック社が製品化している。
【0006】
これらの方法は、いずれも圧電フィルム26や28そのものを振動させ、自身が振動膜として音を放出するという構造である。
【特許文献1】特開昭63−176098号
【特許文献2】特開昭60−160299号
【特許文献3】特許第3898716号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の圧電フィルムを使用したスピーカで、1つ目の圧電フィルム26を湾曲させる方式のものは、形状が湾曲したものしかできず、真っ平らで薄いスピーカにすることができなかった。
【0008】
また2つ目の圧電フィルム28が波板状に形成されたものは、山谷の高さが有る程度必要であるため、薄型(数mm程度)のスピーカにすることができなかった。
【0009】
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、前述の2つの方法によらず新しい構造で圧電フィルムを使用することによって、平面的でかつ薄型の圧電フィルム音響変換装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の構成は、
フレームと、
音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された圧電フィルムと、
該圧電フィルムに対向して、膜にテンションを与えて、同じく上記フレームに固定された振動膜と、
上記圧電フィルムと振動膜の間に配置された駒とを有すると共に、
音響的な電気信号を加えて、圧電フィルムを駆動させ生じさせた振動を、該駒を介して振動膜に伝え、音響振動に変換することを基本的特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、圧電フィルムに加えられた振動が、駒を介して振動膜に伝えられ、該振動膜によって楽音を響かせることになる。特に今回の方式は、ピアノやギター等の発音のように、弦の振動が駒を介して響板に伝えられて、音を響かせるという原理に基づいた発音方法に相似している。このような構造を取ることによって、平面的でかつ薄型の圧電フィルム音響変換装置を提供することが可能となる。
【0012】
後述するように、上記駒を、圧電フィルムと振動膜の間の2以上の箇所に、間隔を開けて並べて配置することで、2つの駒と駒の間は完全な平面波が生ずることになる。
【0013】
上記圧電フィルムと振動膜を任意の部分で接着し、該接着部分を駒として(或いは駒を極端に薄い物にしても同じ)、圧電フィルムに加えた音響的な電気信号により生じさせた振動を、該駒を介して振動膜に伝え、音響振動に変換するようにしても良い。最初の構成の物とは、圧電フィルムによって振動膜を押す動きなのか(最初の提案)、引っ張る動きなのか(2番目の提案)という点で異なるが、同様に圧電フィルムの振動は、駒部を介して振動膜に伝えることが可能である。
【0014】
さらに、
フレームと、
音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第1の圧電フィルムと、
第1の圧電フィルムに対向して、膜にテンションを与えて、同じく上記フレームに固定された振動膜と、
上記第1の圧電フィルムと振動膜の間に配置された駒と、
上記振動膜の内側であって、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第2の圧電フィルムとを有すると共に、
第1の圧電フィルムと逆の電気極性で第2の圧電フィルムを駆動することで、第1の圧電フィルムの伸縮と逆の伸縮動作を行わせて、駒を介して振動膜に伝わる第1の圧電フィルムの振動を、増強せしめることを特徴とするものも提案する。
【0015】
上記構成によれば、第1の圧電フィルムの伸縮と逆の伸縮動作を第2の圧電フィルムに行わしめることによって、平面的に見た場合、両フィルムが同じ方向に振動することになるため、駒を介して振動膜に伝わる第1の圧電フィルムの振動が、増強せしめられることになる。
【0016】
もちろん、そのような第2の圧電フィルムと振動膜とを一体としても良い(振動膜を無くしても良い)。この場合、圧電フィルムが振動膜として動作する。
【0017】
加えて、
フレームと、
音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第1の圧電フィルムと、
第1の圧電フィルムに対向して、その反対側に、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第2の圧電フィルムと、
第1及び第2の圧電フィルムの間に、膜にテンションを与えて、同じく上記フレームに固定された振動膜と、
上記第1及び第2の圧電フィルムと振動膜との間に夫々配置された駒とを有すると共に、
第1の圧電フィルムと逆の電気極性で第2の圧電フィルムを駆動することで、第1の圧電フィルムの伸縮と逆の伸縮動作を行わせて、上記夫々の駒を介して振動膜に伝わる第1及び第2の圧電フィルムの振動を、増強せしめることについても提案する。
【0018】
上記構成によれば、第1の圧電フィルムと逆の電気極性で第2の圧電フィルムを駆動することで、第1の圧電フィルムの伸縮と逆の伸縮動作を第2の圧電フィルムに行わしめることによって、平面的に見た場合、両フィルムが同じ方向に振動することになるため、上記夫々の駒を介して振動膜に伝わる第1及び第2の圧電フィルムの振動が、増強せしめられることになる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明の構成によれば、薄型で軽量な音響変換装置を提供することが可能となるという優れた効果を奏し得る。
【0020】
以上の効果はもとより、圧電フィルムを振動膜として使用しないため、振動膜の材質や形状、張り方(テンション)を変えたり、駒の位置や形状を変えることで、音質や音量を変更することができるようになる。
【0021】
また、一般的に圧電フィルムの製造が難しいことから非常に高価であるが、圧電フィルムの大きさを振動膜より小さくできるため使用量を少なく出来、製造コストを安くすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0023】
図1〜図3は、本発明の圧電フィルム音響変換装置に係る薄型スピーカの一実施例を示している。
【0024】
同1に示すように、本実施例に係る圧電フィルム音響変換装置の構成は、フレーム10aと、圧電フィルム20aと、振動膜30aと、駒40aとを有している。
【0025】
そして、圧電フィルム20aに音響的な電気信号を加えて、該圧電フィルム20aを駆動させ、そこで生じさせた振動を、上記駒40aを介して、振動膜30aに伝え、音響振動に変換させ、振動膜30aから、楽音を生ぜしめることになる。
【0026】
上記フレーム10aは、例えば鉄やアルミニウム、木、プラスチック、発泡スチロールなどの強度を保てる素材で作られており、本実施例では、図2に示すように、穴の空いた長方形のフレームで構成されている。
【0027】
また圧電フィルム20aは、音響的な電気信号により伸縮する性質を有しており、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレーム10aに固定されている。すなわち、上述したように、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)の一軸延伸フィルムを高電圧で分極処理したもので、フィルムの延伸方向と厚さ方向に大きな圧電性を持つ素材で構成されており、音響的な電気信号により伸縮する性質を有している。本実施例では、厚さ方向に電圧を加えることで、延伸方向に伸び縮みするフィルムであって、電圧をかけるために、フィルム表面に電極をコーティング(スパッタリングや、シルクスクリーン印刷により形成されたもの)したものが使用されている。
【0028】
振動膜30aは、プラスチックフィルムなどの薄くて軽くて伸縮性のある素材が使用されており、上記圧電フィルム20aに対向して、膜にテンションが与えられて、同じく上記フレーム10aに固定されている。
【0029】
駒40aは、発泡スチロール、段ボール紙或いはバルサ材などの軽くて強度のある素材が使用されており、上記圧電フィルム20aと振動膜30aとの間に配置される。
【0030】
上記圧電フィルム20aと振動膜30aのフレーム10aへの固定については、圧電フィルム20aにつき、該フィルムの伸縮方向の両端を張力を持ってフレーム10aに固定し、その背面に振動膜30aの両端(圧電フィルムの固定端側)をテンションをかけて張力を持って、同じくフレーム10aに固定している。また、振動膜30aの固定していない両端(図2では上辺と下辺)は、フレーム10aに、不織布や薄手のスポンジなどの柔らかい素材が貼り付けられたり、スピーカエッジなどに使用されるウレタンやダンパ素材でフレーム10aに取り付けられており、それによって、ビリなどが起きないように工夫されている。
【0031】
これらの動作原理について、次に説明する。圧電フィルム20aに、アンプなどから音響的な電気信号(電圧)が加えられると、該圧電フィルム20aは、電圧に応じて伸縮する。この伸縮により、圧電フィルム20aの平面に対して垂直方向に振動が起きる。取り付けられた駒40aは、圧電フィルム20aが縮む時には、駒40aを押し上げ、伸びる時には、駒40aを押し下げるように動く。この振動は、駒40aを介して振動膜30aに伝えられる。振動膜30aは、駒40aの振動により、振動膜全体が振動し音として放音する。このような動作原理は、ピアノやギター等の発音のように、弦の振動が駒を介して響板に伝えられて、音を響かせるという原理に基づいた発音方法に相似している。
【0032】
図3は、図1の圧電フィルム20aと振動膜30aのフレーム10aへの固定の仕方につき、2つ割のフレーム10aの間に、圧電フィルム20aと振動膜30aの両端を挟んで固定した構成のものを示している。
【実施例2】
【0033】
図4は、本発明に係る圧電フィルム音響変換装置の別の実施例構成を示している。実施例1と異なるところは、圧電フィルム20bと振動膜30bの間の2つの箇所に、駒42b及び42cを、間隔を開けて並べて配置している点である。このような構成とすることで、2つの駒42bと駒42cの間からは、完全な平面波が生ずることになる。
【実施例3】
【0034】
図5は、本発明に係る圧電フィルム音響変換装置の他の実施例構成を示している。実施例1と異なるところは、圧電フィルム20cと振動膜30cを任意の部分で接着し、該接着部分を駒40cとして(或いは駒40cを極端に薄い物にして)、圧電フィルム20cに加えた音響的な電気信号により生じさせた振動を、該駒40cを介して振動膜30cに伝え、音響振動に変換するようにしている点である。実施例1の構成とは、圧電フィルムによって振動膜を押す動きなのか(実施例1の構成)、引っ張る動きなのか(本実施例構成)という点で異なるが、同様に圧電フィルム20cの振動は、駒部40cを介して振動膜に伝えることが可能である。
【実施例4】
【0035】
図6は、本発明に係る圧電フィルム音響変換装置のさらに別の実施例構成を示している。本実施例と次の実施例構成は、2枚の圧電フィルムを組み合わせたバイモルフタイプの構成である。
【0036】
本実施例構成では、フレーム10dと、音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレーム10dに固定された第1の圧電フィルム22dと、第1の圧電フィルム22dに対向して、膜にテンションを与えて、同じく上記フレーム10dに固定された振動膜30dと、上記第1の圧電フィルム22dと振動膜30dの間に配置された駒40dと、上記振動膜30dの内側であって、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレーム10dに固定された第2の圧電フィルム22eとを有している。
【0037】
そのような構成で、第1の圧電フィルム22dと逆の電気極性で第2の圧電フィルム22eを駆動することで、第1の圧電フィルム22dの伸縮と逆の伸縮動作を第2の圧電フィルム22eに行わせて、駒40dを介して振動膜30dに伝わる第1の圧電フィルム22dの振動を、増強せしめる構成としている。
【0038】
本構成では、振動膜30dに圧電フィルム22eが貼り付けられ、圧電フィルム22dと逆の振動を起こすように電圧がかけられる。すなわち、圧電フィルム22dと逆の方向に電圧がかけれられるようにする。圧電フィルムは、厚み方向に分極されており、圧電フィルム22dと圧電フィルム22eに加える電圧の電極を逆にすることで、逆の振動、つまり圧電フィルム22dが伸びる時には、圧電フィルム22eは縮み、圧電フィルム22dが縮む時には、圧電フィルム22eは伸びるという、動きとなる。これは、バイモルフと呼ばれる構造である。また、圧電フィルム22eの大きさを、振動膜30dと同じにして、該振動膜30dを無くしても良い。この場合、圧電フィルム22eが振動膜30dとして動作する。
【0039】
上記構成によれば、第1の圧電フィルム22dの伸縮と逆の伸縮動作を第2の圧電フィルム22eに行わしめることによって、平面的に見た場合、両フィルムが同じ方向に振動することになるため、駒40dを介して振動膜30dに伝わる第1の圧電フィルム22dの振動が、増強せしめられることになる。
【実施例5】
【0040】
図7は、本発明に係る圧電フィルム音響変換装置のさらに他の実施例構成を示している。本実施例は、上記実施例構成と同じ、2枚の圧電フィルムを組み合わせたバイモルフタイプの構成である。ただし、後述するように、振動膜30eを第1の圧電フィルム24fと第2の圧電フィルム24gで挟むような形式で構成している。
【0041】
本実施例構成では、フレーム10eと、音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレーム10eに固定された第1の圧電フィルム24fと、第1の圧電フィルム24fに対向して、その反対側に、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレーム10eに固定された第2の圧電フィルム24gと、第1及び第2の圧電フィルム24f、24gの間に、膜にテンションを与えて、同じく上記フレーム10eに固定された振動膜30eと、上記第1及び第2の圧電フィルム24f、24gと振動膜30eとの間に夫々配置された駒42e及び42fとを有している。
【0042】
そして、第1の圧電フィルム24fと逆の電気極性で第2の圧電フィルム24gを駆動することで、第1の圧電フィルム24fの伸縮と逆の伸縮動作を第2の圧電フィルム24gに行わせて、上記夫々の駒42e及び42fを介して振動膜30eに伝わる第1及び第2の圧電フィルム24f、24gの振動を、増強せしめる構成としている。
【0043】
以上の構成では、第1の圧電フィルム24fと逆の電気極性で第2の圧電フィルム24gを駆動することで、第1の圧電フィルム24fの伸縮と逆の伸縮動作を第2の圧電フィルム24gに行わしめることによって、平面的に見た場合、両フィルムが同じ方向に振動することになるため、上記夫々の駒42e及び42fを介して振動膜30eに伝わる第1及び第2の圧電フィルム24f、24gの振動が、増強せしめられることになる。
【0044】
以上詳述したこれらの実施例構成によれば、薄型で軽量な音響変換装置を提供することはもとより、圧電フィルムを振動膜として使用しないため(実施例4の圧電フィルムと振動膜とを同じにした場合を除く)、振動膜の材質や形状、張り方(テンション)を変えたり、駒の位置や形状を変えることで音質や音量を変更することができる。また、一般的に圧電フィルムの製造が難しいことから非常に高価であるが、圧電フィルムの大きさを振動膜より小さくできるため使用量を少なく出来、製造コストを安くすることが可能となる。
【0045】
尚、本発明の圧電フィルム音響変換装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の圧電フィルム音響変換装置は、通常の平面スピーカとしての使用のみならず、各空間をしけるパーティションや部屋の壁材としても使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の圧電フィルム音響変換装置に係る薄型スピーカの実施例1の構成を示す平面図である。
【図2】上記実施例1の構成を説明する斜視図である。
【図3】上記実施例1の変形した態様を示す説明図である。
【図4】実施例2の構成を示す説明図である。
【図5】実施例3の構成を示す説明図である。
【図6】実施例4の構成を示す説明図である。
【図7】実施例5の構成を示す説明図である。
【図8】圧電フィルム26を湾曲させて振動させる従来構成の一例を示す従来図である。
【図9】圧電フィルム28を波板状に折り曲げて、山谷の広がりと縮みを利用して振動させる従来構成の他の例を示す従来図である。
【符号の説明】
【0048】
10a、10b、10c、10d、10e フレーム
20a、20b、20c、22d、22e、24f、24g 圧電フィルム
26、28 圧電フィルム
30a、30b、30c、30d、30e 振動膜
40a、40c、40d、42b、42c、42e、42f 駒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された圧電フィルムと、
該圧電フィルムに対向して、膜にテンションを与えて、同じく上記フレームに固定された振動膜と、
上記圧電フィルムと振動膜の間に配置された駒とを有すると共に、
音響的な電気信号を加えて、圧電フィルムを駆動させ生じさせた振動を、該駒を介して振動膜に伝え、音響振動に変換することを特徴とする圧電フィルム音響変換装置。
【請求項2】
上記駒を、圧電フィルムと振動膜の間の2以上の箇所に、間隔を開けて並べて配置したことを特徴とする請求項1記載の圧電フィルム音響変換装置。
【請求項3】
上記圧電フィルムと振動膜を任意の部分で接着し、該接着部分を駒として、圧電フィルムに加えた音響的な電気信号により生じさせた振動を、該駒を介して振動膜に伝え、音響振動に変換することを特徴とする請求項1記載の圧電フィルム音響変換装置。
【請求項4】
フレームと、
音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第1の圧電フィルムと、
第1の圧電フィルムに対向して、膜にテンションを与えて、同じく上記フレームに固定された振動膜と、
上記第1の圧電フィルムと振動膜の間に配置された駒と、
上記振動膜の内側であって、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第2の圧電フィルムとを有すると共に、
第1の圧電フィルムと逆の電気極性で第2の圧電フィルムを駆動することで、第1の圧電フィルムの伸縮と逆の伸縮動作を行わせて、駒を介して振動膜に伝わる第1の圧電フィルムの振動を、増強せしめることを特徴とする圧電フィルム音響変換装置。
【請求項5】
第2の圧電フィルムと振動膜とを一体とすることを特徴とする請求項4記載の圧電フィルム音響変換装置。
【請求項6】
フレームと、
音響的な電気信号により伸縮する、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第1の圧電フィルムと、
第1の圧電フィルムに対向して、その反対側に、フィルム伸縮方向の両端にテンションを与えて、上記フレームに固定された第2の圧電フィルムと、
第1及び第2の圧電フィルムの間に、膜にテンションを与えて、同じく上記フレームに固定された振動膜と、
上記第1及び第2の圧電フィルムと振動膜との間に夫々配置された駒とを有すると共に、
第1の圧電フィルムと逆の電気極性で第2の圧電フィルムを駆動することで、第1の圧電フィルムの伸縮と逆の伸縮動作を行わせて、上記夫々の駒を介して振動膜に伝わる第1及び第2の圧電フィルムの振動を、増強せしめることを特徴とする圧電フィルム音響変換装置。
【請求項7】
ポリフッ化ビニリデン樹脂を、圧電フィルム素材として用いることを特徴とする請求項1〜6いずれか1つに記載の圧電フィルム音響変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−54851(P2012−54851A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−197361(P2010−197361)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】