説明

圧電体素子とプリンターヘッドとインクジェットプリンター

【課題】信頼性の向上が十分に得られる圧電体素子などを提供する。
【解決手段】基板230と、基板230の上に形成された下部電極層242と、この下部電極層242の上に形成された圧電体層243と、この圧電体層243の上に形成された上部電極層244とを備えた圧電体素子240であって、下部電極層242が化学式ABO3で示され、AサイトとBサイトの比率(A/B)が1.1以上でなる導電性酸化物からなり、圧電体層243がCSD法により形成された、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするペロブスカイト型酸化物強誘電体材料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気機械変換機能を有する圧電体素子と、この圧電体素子を用いたプリンターヘッドと、このプリンターヘッドを用いたインクジェットプリンターとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インクジェットプリンターのプリンターヘッドに使用する圧電体素子が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる圧電体素子は、基板と、この基板の上に形成された下部電極層と、この下部電極層の上に形成された圧電体層と、この圧電体層の上に形成された上部電極層とを有する。
【0004】
この圧電体素子は、上下部の電極を介して圧電体層に電界を印加することで薄膜アクチュエータとなり、これらはインクジェットヘッドに使われる。
【0005】
ところで、チタン酸ジルコン酸鉛(PZTと略す)系薄膜は、高い圧電性を有することから圧電センサや圧電アクチュエータなどの圧電素子に利用されている。
【0006】
PZT薄膜をCSD法で形成する場合、電極材料の種類により素子特性が変化し、近年、信頼性の観点から酸化物電極が注目されている。
【0007】
酸化物電極の候補としてコバルト酸ランタンストロンチウム、ルテニウム酸ストロンチウムやニッケル酸ランタンの薄膜が知られている。構成元素が単純であること、高価な元素を用いないことから、特にニッケル酸ランタン薄膜が有望である。
【0008】
ニッケル酸ランタンは、化学式NiLaO3と記述される材料であり、その結晶はペロブスカイト型を持つ。このペロブスカイト型構造は一般式ABO3で表される。
【0009】
従来、PTZ圧電素子の電極として白金が用いられている。そして、CSD(Chemical Solution Deposition)法によるPTZ膜形成はPt電極上では約650〜750°Cの熱処理で圧電性を示すPZT結晶化膜が得られている。
【0010】
一般的に、この結晶化温度の上昇に伴い圧電性は向上し、750°Cで飽和、さらに温度があがるとPZT構成成分の鉛が酸化鉛として膜系外に蒸発し、特性は低下する。これらは所謂鉛抜けと呼ばれる。
【0011】
鉛抜けは酸素を伴い抜けるので、PZT膜中に酸素欠陥が発生し、信頼性に関して問題となっていた。
【0012】
結晶化処理における鉛抜けを防ぐ対策として処理温度の低温化が有効であり、特定の酸化物電極膜は低い鉛との反応性やPZTと同じ結晶構造を持つ場合、下地の結晶構造をなぞって低温で結晶化する現象が確認されている。
特定の酸化物電極とは、既報より
ニッケル酸ランタン(LaNiO3: 以下LNOと略す)
コバルト酸ランタンストロンチウム((La,Sr)CoO3:以下LSCOと略す)
ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO3:以下SROと略す)
がある。
【0013】
LNOを主成分とする導電性酸化物には、LNOと、ニッケルの一部を他の属で置換した材料、例えば、鉄で置換したLaNiO3・LaFeO3系材料、アルミニウムで置換したLaNiO3・LaAlO3系材料、マンガンで置換したLaNiO3・LaMnO3系材料、コバルトで置換したLaNiO3・LaCoO3系材料とが含まれる。
【0014】
一般式で記述するとABO3となり、AサイトはLa、BサイトはNi,Al,Mn,Coが相当する。
【0015】
LNOを主成分とする導電性酸化物で、AサイトとBサイトの比率は1:1になっているのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、PZT薄膜をアクチュエータをLNO電極で構成した場合、従来のPt電極と比較して特性が改善されるが、信頼性(繰り返し電界印加回数の増加にともない、圧電特性が劣化する)の面で不十分であった。
【0017】
この発明の目的は、信頼性の向上が十分に得られる圧電体素子と、この圧電体素子を用いたプリンターヘッドと、このプリンターヘッドを用いたインクジェットプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、基板と、前記基板の上に形成された下部電極層と、この下部電極層の上に形成された圧電体層と、この圧電体層の上に形成された上部電極層とを備えた圧電体素子であって、
前記下部電極層が化学式ABO3で示され、AサイトとBサイトの比率(A/B)が1.1以上でなる導電性酸化物からなり、前記圧電体層がCSD法により形成された、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするペロブスカイト型酸化物強誘電体材料からなる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、圧電体素子の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明に係るインクジェット記録装置の主要部の外観を示した斜視図であり。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の構成を示した断面図である。
【図3】圧電体素子を用いたインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの構成を示した断面図である。
【図4】図3に示すインクジェットヘッドを集積化した構成を示した説明図である。
【図5】表1は、ターゲット組成と膜組成(比率)の関係を示した表である。
【図6】表2は、膜組成の比率と圧電特性の評価(変化率)とを示した表である。
【図7】出発材料比率と膜組成と圧電特性の評価(変化率)とを示した表である。
【図8】LNO膜の作製フローを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明に係る圧電体素子を用いたインクジェット記録装置(インクジェットプリンター)の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0022】
[第1実施例]
[インクジェット記録装置]
図1および図2に示すインクジェット記録装置80は、装置本体81の内部に設けた印字機構部82等を備えている。この印字機構部82は、主走査方向に移動可能なキャリッジ93と、このキャリッジ93に搭載したインクジェットヘッドである記録ヘッド(プリンターヘッド)94と、この記録ヘッド94へインクを供給するインクカートリッジ95等を有している。
【0023】
また、装置本体81の下方部には、前方側から多数枚の用紙83を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)84が抜き差し自在に装着されている。また、装置本体81の前部には、用紙83を手差しで給紙するための手差しトレイ85が開倒可能に取り付けられている。
【0024】
給紙カセット84或いは手差しトレイ85から給送される用紙83は、装置本体81へ取り込まれ、印字機構部82によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ86に排紙されるようになっている。
【0025】
印字機構部82は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド91および従ガイドロッド92と、この主ガイドロッド91および従ガイドロッド92によって主走査方向に摺動自在に保持されているキャリッジ93とを有している。このキャリッジ93には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドである複数の記録ヘッド94が装着され、各記録ヘッド94は、主走査方向と交差する方向に配列したインク吐出口(ノズル)を有し、インク滴吐出方向は下方に向けられている。
【0026】
また、キャリッジ93には、各記録ヘッド94に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ95がそれぞれ交換可能に装着されている。
【0027】
インクカートリッジ95は、上方に大気と連通する大気口(図示せず)と、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口(図示せず)とを有し、内部にはインクが充填された多孔質体が設けられており、この多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクがわずかな負圧に維持されている。
【0028】
ここでは、記録ヘッドとして各色のヘッド94を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0029】
キャリッジ93を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ97で回転駆動される駆動プーリ98と従動プーリ99との間にタイミングベルト100を張装し、このタイミングベルト100をキャリッジ93に固定している。そして、主走査モータ97の正逆回転によりキャリッジ93が往復駆動される。
【0030】
一方、給紙カセット84にセットした用紙83をヘッド94の下方側に搬送するために、給紙カセット84から用紙83を分離給装する給紙ローラ101及びフリクションパッド102と、用紙83を案内するガイド部材103と、給紙された用紙83を反転させて搬送する搬送ローラ104と、この搬送ローラ104の周面に押し付けられる搬送コロ105及び搬送ローラ104からの用紙83の送り出し角度を規定する先端コロ106とが装置本体81に設けられている。
【0031】
搬送ローラ104は、副走査モータ107によってギヤ列(図示せず)を介して回転駆動される。
【0032】
そして、キャリッジ93の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ104から送り出された用紙83を記録ヘッド94の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材109を設けている。この印写受け部材109の用紙搬送方向下流側には、用紙83を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ111、拍車112を設け、さらに用紙83を排紙トレイ86に送り出す排紙ローラ113及び拍車114と、排紙経路を形成するガイド部材115,116とを配設している。
【0033】
記録時には、キャリッジ93を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド94を駆動することにより、停止している用紙83にインクを吐出して1行分を記録し、用紙83を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙83の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙83を排紙する。
【0034】
また、キャリッジ93の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド94の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ93は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピング手段でヘッド94をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0035】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド94の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0036】
このように、このインクジェット記録装置においては後述する圧電体素子を用いたインクジェットヘッドを搭載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上することになる。
[インクジェットヘッド]
図3は、インクジェットヘッドである記録ヘッド94の構成を示す。この記録ヘッド94は、圧力室221を形成するとともに下部が開口された断面コ字状の圧力室基板200と、圧力室基板200の下部の開口を閉塞したノズル板210とを有し、この圧力室基板200はSi基板で形成されるとともに、Si基板からなる振動板(基板)230を有している。ノズル板210には、インクの吐出口であるノズル孔211が形成されている。
【0037】
振動板230の上には密着層241が形成され、この密着層241の上に下部電極層242が形成されている。下部電極層242の上の中央部には圧電体層243が形成され、この圧電体層243の周囲にはSAM(自己組織化単分子膜:Self-Assembled Monolayer)用膜421が形成され、圧電体層243の上には上部電極層244が形成されている。
【0038】
そして、振動板230と下部電極層242と圧電体層243と上部電極層244とで圧電体素子240が構成され、下部電極層242と圧電体層243と上部電極層244とで電気−機械変換素子が構成されている。
【0039】
図4は、図3に示すインクジェットヘッド(単ビット)を集積化したものの一例を示す。
[圧電体層]
圧電体層243を形成するPTZはペロブスカイト構造を持ち、Aサイトに鉛、Bサイトにジルコニウム、チタンが配置される。
【0040】
結晶構造中の元素イオン半径の関係からLNOを構成しているランタンはPTZのAサイトに置換可能な元素である。
【0041】
電気光学材料として知られているPLZT(ジルコン酸チタン酸ランタン鉛)が示すようにAサイトにLaを置換した固溶体が存在する。La置換は結晶化温度の低温化に寄与する。また、鉛抜けに対しても程度を軽減させる。
【0042】
後者は結晶化処理のプロセスマージンを稼ぐことに寄与する。前者は、従来の熱処理温度を下げる働きがあるので、鉛抜け不良の発生を低減させる。
【0043】
下部電極層242であるLNO上に、CSD法(化学溶液法)でPZT膜を形成する場合、LaがPZTに拡散し、PZT結晶に取り込まれる。従って、LNOを化学量論組成(AサイトとBサイトの比率が1:1)で形成しておくより、むしろ意図的にLa割合を増やし(換言すれば、Ni量を減らす)ておき、LNOの結晶を不安定にさせ、後のCSD法によるPZT膜の結晶化において、余剰LaをPZTに反応させることにより低温下が実行できる。
[下部電極層]
下部電極層242は、少なくとも最上膜がLNOでその組成でLaリッチにさせる。
【0044】
下部電極層242であるLNO膜はスパッタ法で形成する。このスパッタ法で使用するスパッタリングターゲットにLNO焼結ターゲットを用いる。このターゲット組成をLaリッチにしておけば、LNO膜をLaリッチにできることが実験で分かった。
【0045】
具体的には、La/Ni=1.5/1.0、1.25/1.0、1.0/1.0(化学量論組成)、1.0/1.25、1.0/1.5のLNO焼結ターゲットを用意する。
【0046】
そして、Ar/O2混合ガスをスパッタリング装置に導入し、それぞれのLNO焼結ターゲットによって基板温度300°CでLNO膜を形成させ、各LNO膜の組成分析を蛍光X線分析で定量化して測定した。その結果を図5の表1に示す。
【0047】
ここでLNO膜を形成する基板は、熱酸化膜付きSiウェハ上にチタン密着膜を形成し、さらにその上にPt膜を積層したものである。
【0048】
表1の結果から分かるように、ターゲット組成に応じてLNO膜の組成も変化し、膜組成(La/Ni)を「1」以上にするには、ターゲット組成をLa/Ni=1.0/1.0以上のものを使用すればよい。
[PZT膜の形成]
PZT膜は、一般的に知られているCSD法(化学溶液法)によって形成する。
このCSD法は、基板上に従来と同様な組成の塗工液を滴下しスピンコート法によって均一な被膜(塗工膜)を形成させ、この後、塗工膜に含まれる溶剤を除去するために、200°C程度の温度で塗工膜を乾燥させる。さらに、乾燥した塗工膜に含まれる有機成分を除去するために、400〜500°C程度の温度で加熱処理する。この後、700〜750°C程度の温度で1〜60分程度熱処理することにより結晶化させる。これら処理を複数回繰り返すことにより、所望するPTZ膜を得る。
【0049】
そして、各LNO膜の組成毎の圧電体素子を作成し、これら圧電体素子の圧電特性の評価を行った結果を図6の表2に示す。
【0050】
圧電特性の評価は、P−Eヒステリシス曲線(電界強度に対する分極量の曲線、横軸に電界強度、縦軸に分極量)を測定し、残留分極値を代用特性として用いる。そして、初期値に対し、±15kV/cmの両電界を印加し、印加回数に対する残留分極値の変化率(初期の残留分極値に対する変化率)を求め、Pt電極を用いた場合を比較例として記す。
【0051】
表2から分かるように、LNO膜の下部電極を用いることで、Pt電極と比較して特性が向上していることが確認できる。また、La/Niの比率は1.1以上であればさらに変化率が小さくなることが分かる。すなわち、La/Niの比率は1.1以上で圧電体層(圧電体素子)の信頼性が向上することが分かる。
【0052】
つまり、PZT膜の形成にニッケル酸ランタンを用いた場合、A/B=1:1より少しずれた場合(Laリッチの場合)、PTZ膜の圧電特性が向上することが分かった。
[第2実施例]
LNO膜をCSD法で作成した電極の場合について説明する。
【0053】
図8にCSD法によるLNO膜の作製フローを示す。
【0054】
まず、ニッケルアセチルアセトナート2水和物を減圧乾燥してニッケルアセチルアセトナートにする。次に、イソプロポキシドランタンとニッケルアセチルアセトナートを2−メトキシエタノールに溶解する。
【0055】
これを130°Cで還流することでLNO前駆体溶液(濃度0.1〜0.5モル/リットル)を調整する。
【0056】
この調整したLNO前駆体溶液をPt/Ti/SiO2/Si基板上にスピンコート法で塗布する。塗膜は200°Cで溶媒乾燥し、400〜500°Cで熱分解し、700〜750°Cで結晶化の各熱処理を実施する。
【0057】
前駆体溶液濃度0.1モル/リットルを用い、上記成膜工程を3回繰り替えして、膜厚120nmのLNO膜を作製する。
【0058】
Ni,Laの出発材料の比率を変化させることで成膜後のLNO組成を変化させ、これらLNO膜の圧電特性を実施例1と同様に求めた。その結果を図7の表3に示す。
【0059】
表3から分かるように、出発材料比率を変化させることでLNO組成を変化させることができ、La/Ni比率が1.0以上(表3では1.4)で変化率に優位な差が認められ、変化率の少ないこと、すなわち圧電体層(圧電体素子)の信頼性が向上することが分かる。
【0060】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0061】
80 インクジェット記録装置(インクジェットプリンター)
94 記録ヘッド(プリンターヘッド)
230 基板(振動板)
240 圧電体素子(電気−機械変換素子)
242 下部電極層
243 圧電体層
244 上部電極層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2009・54934号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の上に形成された下部電極層と、この下部電極層の上に形成された圧電体層と、この圧電体層の上に形成された上部電極層とを備えた圧電体素子であって、
前記下部電極層が化学式ABO3で示され、AサイトとBサイトの比率(A/B)が1.1以上でなる導電性酸化物からなり、前記圧電体層がCSD法により形成された、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするペロブスカイト型酸化物強誘電体材料からなる圧電体素子。
【請求項2】
前記導電性酸化物がLNO膜であることを特徴とする請求項1に記載の圧電体素子。
【請求項3】
前記LNO膜がスパッタリングで生膜されたことを特徴とする請求項2に記載の圧電体素子。
【請求項4】
前記LNO膜がCSD法で生膜されたことを特徴とする請求項2に記載の圧電体素子。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかの1つに記載の圧電体素子を備えたことを特徴とするインクジェットプリンター用のプリンターヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンターヘッドを備えたことを特徴とするインクジェットプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−129382(P2012−129382A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280183(P2010−280183)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】