説明

圧電素子及び圧電素子の製造方法

【課題】素体の表面から結晶粒が脱落するのを防ぐことができると共に、素体と電極との間での剥離の発生を防ぐことが可能な圧電素子及び圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】圧電素子1は、素体3、一対の電極5,7、及び樹脂9を備える。素体3は、一対の主面3a,3bと、一対の主面3a,3bを連結するように一対の主面3a,3bの対向方向に延びる端面3cと、を有すると共に、圧電セラミック材料からなる。一対の電極5,7は、一対の主面3a,3b上にそれぞれ配置されている。樹脂9は、端面3c全体を覆うと共に、一対の電極5,7に接するように配置されている。樹脂9は、対向方向での両縁9a,9bが、各電極5,7よりも対向方向で外側に突出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子及び圧電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子として、互いに対向する一対の主面と、一対の主面を連結するように一対の主面の対向方向に延びる端面と、をすると共に、圧電セラミック材料からなる素体と、一対の主面上にそれぞれ配置された一対の電極と、を備えているものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−192010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている圧電素子は、以下のような問題点を有している。
【0005】
素体が圧電セラミック材料からなるため、素体の端面から結晶粒が脱落する懼れがある。圧電素子が、特許文献1に記載されたようなディスク装置用のヘッドサスペンションに用いられている場合、ディスクと磁気ヘッドを構成するスライダとの間に脱落した結晶粒が入り込み、ディスクやスライダが損傷する要因となる。
【0006】
また、素体と電極との間で剥離が生じ易い。素体と電極とでは異材質(素体が圧電セラミック材料からなり、電極が金属材料からなる)であるため、素体と電極との界面での剥離の発生は避け難い。
【0007】
本発明は、素体の端面から結晶粒が脱落するのを防ぐことができると共に、素体と電極との間での剥離の発生を防ぐことが可能な圧電素子及び圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る圧電素子は、互いに対向する一対の主面と、一対の主面を連結するように一対の主面の対向方向に延びる端面と、を有すると共に、圧電セラミック材料からなる素体と、一対の主面上にそれぞれ配置された一対の電極と、端面全体を覆うと共に、一対の電極に接するように配置された樹脂と、を備えており、樹脂は、対向方向での両縁が、各電極よりも対向方向で外側に突出していることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る圧電素子では、素体の端面全体が樹脂で覆われている。このため、素体の端面から結晶粒が脱落するのを防ぐことができる。本発明では、一対の電極が樹脂と接している。このため、電極が素体から剥離するのを防ぐことができる。
【0010】
ところで、本発明では、素体の端面全体を覆っている樹脂の上記両縁が、各電極よりも対向方向で外側に突出している。このため、圧電素子を他の部材に接着剤により固定する場合、圧電素子は、いずれの主面(電極)が他の部材側となるように配置される。このとき、樹脂の両縁が上述したように突出していることから、電極の表面と他の部材との間に比較的大きな間隙が形成されることとなる。この間隙を接着剤溜まりとして利用することで、圧電素子と他の部材との接着強度が向上できる。
【0011】
樹脂の両縁のうち少なくとも一方の縁が、電極の表面における端面寄りの領域を電極の縁に沿って覆っていてもよい。この場合、電極と樹脂との接触面積が大きくなり、電極が素体から剥離するのをより一層防ぐことができる。
【0012】
素体の端面と一対の電極の各端面とは、切断面として、その位置が揃えられていてもよい。この場合、電極と樹脂の接触が容易となる。
【0013】
本発明に係る圧電素子の製造方法は、互いに対向する一対の主面を有すると共に一対の主面に電極が形成された圧電素子基板を準備する準備工程と、圧電素子基板の一方の主面に粘着性を有するテープを貼り付ける貼付工程と、圧電素子基板の他方の主面側から圧電素子基板を切断すると共に、テープの一部を除去する基板切断工程と、樹脂を、各電極に接すると共に他方の主面に形成された電極よりも一対の主面の対向方向で外側に突出するように切断工程による切溝に充填する樹脂充填工程と、他方の主面側から樹脂を切断する樹脂切断工程と、テープを圧電素子基板から剥離する剥離工程と、を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る圧電素子の製造方法では、基板切断工程にてテープの一部を除去し、樹脂充填工程にて樹脂を各電極に接すると共に他方の主面に形成された電極よりも上記対向方向で外側に突出するように切溝に充填し、樹脂切断工程にて樹脂を切断している。これにより、圧電素子基板の切断面全体が樹脂により覆われることとなる。このため、圧電素子基板の切断面から結晶粒が脱落するのを防ぐことができる。そして、樹脂が一対の電極と接することとなるため、電極が圧電素子基板から剥離するのを防ぐことができる。
【0015】
また、本発明では、テープの一部が除去されていることから、樹脂は、他方の主面に形成された電極だけでなく、一方の主面に形成された電極よりも上記対向方向で外側に突出することとなる。このため、上述されたように、製造された圧電素子他の部材との接着強度が向上できる。
【0016】
樹脂充填工程では、他方の主面に形成された電極の表面における切断面寄りの領域を電極の縁に沿って覆うように樹脂を充填してもよい。この場合、他方の主面に形成された電極と樹脂との接触面積が大きくなり、当該電極が素体から剥離するのをより一層防ぐことができる。
【0017】
基板切断工程では、一方の主面に形成された電極の表面における切断面寄りの領域とテープとの間に空間が形成されるようにテープの一部を除去し、樹脂充填工程では、形成された上記空間に樹脂を充填してもよい。この場合、一方の主面に形成された電極と樹脂との接触面積が大きくなり、当該電極が素体から剥離するのをより一層防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、素体の表面から結晶粒が脱落するのを防ぐことができると共に、素体と電極との間での剥離の発生を防ぐことが可能な圧電素子及び圧電素子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る圧電素子の断面構成を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る圧電素子の製造方法を示すフロー図である。
【図4】本実施形態に係る圧電素子の製造方法を説明するための模式図である。
【図5】本実施形態に係る圧電素子を他の部材に固定した例を示す図である。
【図6】本実施形態の変形例に係る圧電素子の断面構成を説明する図である。
【図7】本実施形態の変形例に係る圧電素子の製造方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る圧電素子1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る圧電素子の断面構成を説明する図である。
【0022】
圧電素子1は、図1に示されるように、素体3と、一対の第一電極5及び第二電極7と、樹脂9と、を備えている。圧電素子1は、例えば、磁気ディスクを備えたディスク装置などに適用される。すなわち、デュアル・アクチュエータ方式のディスク装置において、ボイスコイルモータ以外の第二のアクチュエータとして、圧電素子1が用いられる。
【0023】
素体3は、互いに対向する一対の第一主面3a及び第二主面3bと、第一主面3aと第二主面3bとを連結するように第一主面3aと第二主面3bとの対向方向(以下、単に「対向方向」と称する場合もある)に延びる端面3cと、を有している。本実施形態では、素体3は、直方体形状を呈していることから、すなわち、平面形状が矩形を呈していることから、4つの端面3cを有している。素体3は、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料としては、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb、La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)などが挙げられる。
【0024】
第一電極5は、第一主面3a上に配置されており、第一主面3a全体を覆っている。第二電極7は、第二主面3b上に配置されており、第二主面3b全体を覆っている。端面3cは、電極で覆われていない。第一電極5及び第二電極7は、Auなどの金属材料からなる。第一電極5及び第二電極7は、たとえば、スパッタリング法や蒸着法などにより形成することができる。
【0025】
樹脂9は、端面3c全体を覆っている。樹脂9は、第一電極5と第二電極7とに、それぞれ接するように端面3cに配置されている。樹脂9の材料として、エポキシ樹脂が用いられる。エポキシ樹脂の他に、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を使用することができる。エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などの紫外線硬化樹脂を使用することもできる。ポリ酢酸ビニルなどのホットメルト樹脂を用いてもよい。
【0026】
樹脂9は、対向方向での両縁9a,9bが、各電極5,7よりも対向方向で外側に突出している。すなわち、樹脂9の両縁9a,9bは、対向方向で、各電極5,7から離れるように突出している。樹脂9の縁9aは、第一電極5の表面における端面3c寄りの領域を第一電極5の縁に沿って覆っている。
【0027】
次に、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る圧電素子1の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る圧電素子の製造方法を示すフロー図である。図4の(a)〜(f)は、本実施形態に係る圧電素子の製造方法を説明するための模式図である。
【0028】
まず、圧電素子基板11を準備する(準備工程:S101)。圧電素子基板11は、圧電セラミック材料からなる基板部分13と、第一電極15及び第二電極17と、を備えている(図4の(a)を参照)。すなわち、圧電素子基板11は、個片化された状態の複数の圧電素子1(ただし、樹脂9を除く)が繋がった状態であり、板状を呈している。
【0029】
基板部分13は、互いに対向する一対の第一主面13a及び第二主面13bを有している。第一主面13aには第一電極15が形成され、第二主面13bには第二電極17が形成されている。圧電素子基板11が個片化されることにより、第一電極15は上記第一電極5となり、第二電極17は上記第二電極7となる。第一電極15及び第二電極17は、Auなどの金属材料からなり、スパッタリング法や蒸着法などにより形成される。
【0030】
次に、紫外線硬化型ダイシングテープからなるテープ21を準備する(テープ準備工程:S103)。テープ21は、表面に紫外線で硬化する粘着層21aを含んでおり、粘着性を有している。
【0031】
次に、圧電素子基板11の第二電極17にテープ21を貼り付ける(貼付工程:S105)。貼付工程S105では、テープ21の粘着層21aに第二電極17を貼り付ける(図4の(b)を参照)。
【0032】
次に、圧電素子基板11を切断する(基板切断工程:S107)。基板切断工程S107では、圧電素子基板11を、ブレードW1によって第一電極15側からダイシングし、圧電素子基板11に切溝CH1を形成する(図4の(c)を参照)。このとき、圧電素子基板11は切断されるとともに、テープ21はハーフカットされ、粘着層21a側からテープ21の一部が除去される。ブレードW1の厚み(すなわち切溝CH1の幅)は、たとえば、1〜30μm程度に設定される。テープ21のハーフカットの深さは、特に限定されないが、切溝CH1の部分において粘着層21aの一部が残る深さであることが好ましい。
【0033】
基板部分13の切断面は、上記端面3cとなる。第一電極15の切断面は第一電極5の端面となり、第二電極17の切断面は第二電極7の端面となる。第一電極15及び第二電極17も基板部分13と共に切断されるため、各電極15,17の切断面(各電極5,7の端面)の位置と基板部分13の切断面(端面3c)の位置とが揃えられることとなる。
【0034】
次に、切溝CH1に樹脂19を充填する(樹脂充填工程:S109)。樹脂19の充填方法としては、たとえば、印刷法、ディップ法、ディスペンサによる塗布法、又はスピンコート法などが採用される。切溝CH1全域に樹脂19を充填することによって各電極15,17の切断面及び基板部分13の切断面を覆った後に、樹脂19を硬化させる(図4の(d)を参照)。
【0035】
樹脂充填工程S109では、切溝CH1に充填された樹脂19は、テープ21に接触する。これにより、樹脂19は、第二電極17よりも第一主面13aと第二主面13bとの対向方向で外側に突出するように充填され、当該突出した状態で硬化されることとなる。また、樹脂充填工程S109では、樹脂19は、第一電極15の表面における切断面寄りの領域を第一電極15の縁に沿って覆うように充填される。これにより、樹脂19は、第一電極15よりも上記対向方向で外側に突出するように充填され、当該突出した状態で硬化されることとなる。
【0036】
次に、第一電極15側から樹脂19を切断する(樹脂切断工程:S111)。樹脂切断工程S111では、樹脂19を、第一電極15側からブレードW2によってダイシングし、切溝CH2を形成する(図4の(e)を参照)。これにより、樹脂19が切断されるとともに、圧電素子基板11は、よって各電極15,17の切断面及び基板部分13の切断面が樹脂19で覆われている状態にて個片化されることとなる。
【0037】
樹脂切断工程S111では、テープ21もハーフカットされる。ブレードW2の厚み(すなわち切溝CH2の幅)は、ブレードW1よりも小さく、たとえば、0.8〜10μm程度に設定される。これによって、上記切断面を被覆する樹脂19の厚みは、0.4〜5μm程度とされる。
【0038】
次に、テープ21を圧電素子基板11から剥離する(剥離工程:S113)。ここでは、紫外線の照射により粘着層21aの粘着力を低下させ、テープ21を圧電素子基板11から剥離させる。これにより、個片化された圧電素子1が得られることとなる(図4の(f)を参照)。すなわち、基板部分13が素体3となり、各電極15,17がそれぞれ電極5,7となり、樹脂19が樹脂9となる。紫外線の照射は、基板切断工程S107の後に、実施しておいてもよい。この場合は、粘着層21aの粘着力が低下された状態で、基板切断工程S107以降の工程が実施されることとなる。
【0039】
以上のように、本実施形態の圧電素子1では、素体3の端面3c全体が樹脂9で覆われている。このため、素体3の端面3cから結晶粒が脱落するのを防ぐことができる。圧電素子1では、第一電極5及び第二電極7が樹脂9と接している。このため、第一電極5及び第二電極7が素体3から剥離するのを防ぐことができる。
【0040】
圧電素子1では、素体3の端面3c全体を覆っている樹脂9の両縁9a,9bが、各電極5,7よりも対向方向で外側に突出している。このため、図5に示されるように、圧電素子1を他の部材(たとえば、ヘッドサスペンション)31に接着剤33により固定する場合、圧電素子1は、いずれの主面3a,3b(電極5,7)が他の部材31側となるように配置される。図5では、圧電素子1は、第二主面3b(第二電極7)が他の部材31側となるように配置されている。このとき、樹脂9の縁9bが上述したように突出していることから、第二電極7の表面と他の部材31との間に比較的大きな間隙が形成されることとなる。この間隙を接着剤溜まりとして利用することで、圧電素子1と他の部材31との接着強度が向上できる。
【0041】
ところで、他の部材31が導電性を有する部材からなる場合、圧電素子1の電極5,7と他の部材31との間での絶縁性を確保しなければならない。このため、従来、接着剤33としてフィラーを含む接着剤を用いている。フィラーにより、他の部材31側となる電極5又は7と他の部材31との距離を調整している。
【0042】
しかしながら、フィラーを含む接着剤を用いる場合、フィラーのサイズにはばらつきが存在するため、他の部材31側となる電極5又は7と他の部材31との距離を適切な値に調整することは難しく、絶縁性を確保することは困難であった。また、フィラー入りの接着剤は、フィラーが含まれない接着剤に比して、高価である。これに対して、本実施形態では、樹脂9の縁9a,9bが上述したように突出していることから、電極5,7の表面と他の部材31との間の距離が適切に且つ容易に調整されることとなる。したがって、圧電素子1と他の部材31との絶縁性を良好に且つ安価に確保することができる。
【0043】
圧電素子1では、樹脂9の縁9aが、第一電極5の表面における端面3c寄りの領域を第一電極5の縁に沿って覆っている。これにより、第一電極5と樹脂9との接触面積が大きくなり、第一電極5が素体3から剥離するのをより一層防ぐことができる。
【0044】
素体3の端面3cと各電極5,7の各端面とは、切断面として、その位置が揃えられている。これにより、各電極5,7と樹脂9の接触が容易となる。
【0045】
続いて、図6を参照して、本実施形態の変形例に係る圧電素子1の構成を説明する。図6は、本実施形態の変形例に係る圧電素子の断面構成を説明する図である。
【0046】
変形例に係る圧電素子1では、樹脂9の縁9bが、第二電極7の表面における端面3c寄りの領域を第二電極7の縁に沿って覆っている。
【0047】
次に、図7を参照して、変形例に係る圧電素子1の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る圧電素子の製造方法を示すフロー図である。図7の(a)〜(c)は、本実施形態の変形例に係る圧電素子の製造方法を説明するための模式図である。
【0048】
変形例に係る圧電素子1も、上述した準備工程S101〜剥離工程S113により得られるが、樹脂9の縁9bが以下のようにして形成される点で上記実施形態とは相違する。
【0049】
基板切断工程S107にて、粘着層21aの一部を除去する際に、図7の(a)に示されるように、粘着層21aのブレードW1に隣接する部分(第二電極17における切断面寄りの領域に貼り付けられていた部分)が、ブレードW1の進行に伴って変形する。これにより、第二電極17の表面における切断面寄りの領域とテープ21との間に空間Sが形成されることとなる。
【0050】
樹脂充填工程S109では、図7の(b)に示されるように、樹脂19が、テープ21に接触するまで、切溝CH1に充填される。したがって、樹脂19が空間Sにも充填され、樹脂19が空間Sに充填された状態で硬化される。これにより、樹脂19は、第二電極17の表面における切断面寄りの領域を第二電極17の縁に沿って覆うように充填され、硬化されることとなる。
【0051】
その後、樹脂切断工程S111及び剥離工程S113を経て、図7の(c)に示されるように、個片化された圧電素子1が得られることとなる。
【0052】
本変形例においても、上述したように、素体3の端面3cから結晶粒が脱落するのを防ぐことができると共に、第一電極5及び第二電極7が素体3から剥離するのを防ぐことができる。また、圧電素子1と他の部材31との接着強度が向上できる。
【0053】
更に、本変形例では、樹脂9の縁9bが、第二電極7の表面における端面3c寄りの領域を第二電極7の縁に沿って覆っている。これにより、第二電極7と樹脂9との接触面積が大きくなり、第二電極7が素体3から剥離するのをより一層防ぐことができる。
【0054】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0055】
たとえば、圧電素子1(素体3)の平面形状は、図1に示される矩形に限定されず、圧電素子1を適用する箇所にあわせて適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、ディスク装置用のヘッドサスペンションに搭載される圧電アクチュエータに利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1…圧電素子、3…素体、3a…第一主面、3b…第二主面、3c…端面、5…第一電極、7…第二電極、9…樹脂、9a,9b…縁、11…圧電素子基板、13…基板部分、13a…第一主面、13b…第二主面、15…第一電極、17…第二電極、19…樹脂、21…テープ、S…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の主面と、前記一対の主面を連結するように前記一対の主面の対向方向に延びる端面と、を有すると共に、圧電セラミック材料からなる素体と、
前記一対の主面上にそれぞれ配置された一対の電極と、
前記端面全体を覆うと共に、前記一対の電極に接するように配置された樹脂と、を備えており、
前記樹脂は、前記対向方向での両縁が、各前記電極よりも前記対向方向で外側に突出していることを特徴とする圧電素子。
【請求項2】
前記樹脂の前記両縁のうち少なくとも一方の縁が、前記電極の表面における前記端面寄りの領域を前記電極の縁に沿って覆っていることを特徴とする請求項1に記載の圧電素子。
【請求項3】
前記素体の前記端面と前記一対の電極の各端面とは、切断面として、その位置が揃えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電素子。
【請求項4】
互いに対向する一対の主面を有すると共に前記一対の主面に電極が形成された圧電素子基板を準備する準備工程と、
前記圧電素子基板の一方の前記主面に粘着性を有するテープを貼り付ける貼付工程と、
前記圧電素子基板の他方の前記主面側から前記圧電素子基板を切断すると共に、前記テープの一部を除去する基板切断工程と、
樹脂を、各前記電極に接すると共に前記他方の主面に形成された前記電極よりも前記一対の主面の対向方向で外側に突出するように前記切断工程による切溝に充填する樹脂充填工程と、
前記他方の主面側から前記樹脂を切断する樹脂切断工程と、
前記テープを前記圧電素子基板から剥離する剥離工程と、を備えていることを特徴とする圧電素子の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂充填工程では、前記他方の主面に形成された前記電極の表面における切断面寄りの領域を前記電極の縁に沿って覆うように前記樹脂を充填することを特徴とする請求項4に記載の圧電素子の製造方法。
【請求項6】
前記基板切断工程では、前記一方の主面に形成された前記電極の表面における切断面寄りの領域と前記テープとの間に空間が形成されるように前記テープの一部を除去し、
前記樹脂充填工程では、形成された前記空間に前記樹脂を充填することを特徴とする請求項4又は5に記載の圧電素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21075(P2013−21075A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152107(P2011−152107)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】