説明

地上/BS一体型テレビジョンチューナ

【課題】 分配機能や合成機能を内蔵して共同受信用としても、また一般家庭での受信用としても対応できる地上/BS一体型テレビジョンチューナを提供する
【解決手段】 共同受信用の第1の入力端子21と、BS−IF信号を入力する第2の入力端子22と、地上波テレビ受信用チューナ回路25と、BS−IF受信用チューナ回路28とを備え、第1の入力端子21と地上波テレビ受信用チューナ回路25との間に地上波テレビ信号の最高周波数以下を通過するローパスフィルタ23を介挿すると共に、第1の入力端子21とBS−IF受信用チューナ回路28との間にBS−IF信号の最低周波数以上を通過するハイパスフィルタ26を介挿し、第2の入力端子22をBS−IF受信用チューナ回路28に結合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上波テレビ信号と、BSコンバータから出力されるBS−IF信号とを共同受信又は個別受信の何れにも使用できる地上/BS一体型テレビジョンチューナに関する。
【背景技術】
【0002】
図3を参照して、衛星テレビ放送と地上波テレビ放送とを受信するシステムを説明する。図3において、1はBSアンテナ、2はUHFアンテナ、3はVHFアンテナ、4はBSコンバータ、5はUHF/VHF混合器、6はBSチューナ、7はUHF/VHF分波器、8はテレビ受信機、9及び10は同軸ケーブルである。
【0003】
また、図4は他の構成を示し、11は分配器、12はBS/UHF、VHF混合器、13はBS−IFラインブースタで、該ブースタ13及びBSコンバータ4にはBSチューナ6から同軸ケーブル14を介して15V乃至18Vの直流電圧が供給されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録公報第2552230号公報(図6、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成では、BSチューナとUHFチューナとVHFチューナとがそれぞれ独立していたので、一般家庭のように地上波及び衛星波がそれぞれ別のケーブルで送られてくる場合は図3のシステムで受信し、共同受信用として全ての放送波が1本のケーブルで送られて来る場合は図4のシステムで受信することとなり、信号の分配と合成のために独立した機器が必要であった。
【0006】
本発明は、分配機能や合成機能を内蔵して共同受信用としても、また一般家庭での受信用としても対応できる地上/BS一体型テレビジョンチューナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのための第1の解決手段として、共同受信用の第1の入力端子と、BS−IF信号を入力する第2の入力端子と、地上波テレビ受信用チューナ回路と、BS−IF受信用チューナ回路とを備え、前記第1の入力端子と前記地上波テレビ受信用チューナ回路との間に地上波テレビ信号の最高周波数以下を通過するローパスフィルタを介挿すると共に、前記第1の入力端子と前記BS−IF受信用チューナ回路との間に前記BS−IF信号の最低周波数以上を通過するハイパスフィルタを介挿し、前記第2の入力端子を前記BS−IF受信用チューナ回路に結合した。
【0008】
また、第2の解決手段として、屋外に設置されたBSコンバータに電源を供給するための電源回路を設け、前記電源回路から前記第2の入力端子にDC電圧を重畳した。
【0009】
また、第3の解決手段として、前記第1の入力端にその入力端が接続された分配器を設け、前記分配器の一方の出力端を前記ローパスフィルタの入力端に接続すると共に、他方の入力端を前記ハイパスフィルタの入力端に接続し、前記BS−IF受信用チューナ回路にその出力端が接続された合成器を設け、前記合波器の一方の入力端に前記ハイパスフィルタの出力端を接続すると共に、他方の入力端を前記第2の入力端子に結合した。
【0010】
また、第4の解決手段として、前記分配器の他方の出力端と前記ハイパスフィルタの入力端との間に第1のスイッチ手段を介挿し、前記第2の入力端子と前記合成器の他方の入力端との間に第2のスイッチ手段を介挿し、前記第1のスイッチ手段と前記第2のスイッチ手段との開閉を互いに逆とした。
【0011】
また、第5の解決手段として、前記分配器の前段に第1の広帯域増幅器を設け、前記第2のスイッチ手段の前段に第2の広帯域増幅器を設けた。
【発明の効果】
【0012】
第1の解決手段によれば、共同受信用の第1の入力端子と、BS−IF信号を入力する第2の入力端子と、地上波テレビ受信用チューナ回路と、BS−IF受信用チューナ回路とを備え、第1の入力端子と地上波テレビ受信用チューナ回路との間に地上波テレビ信号の最高周波数以下を通過するローパスフィルタを介挿すると共に、第1の入力端子とBS−IF受信用チューナ回路との間にBS−IF信号の最低周波数以上を通過するハイパスフィルタを介挿し、第2の入力端子をBS−IF受信用チューナ回路に結合したので、共同受信用及び一般家庭での受信用のいずれにも対応できるチューナが構成できる。
【0013】
また、第2の解決手段によれば、屋外に設置されたBSコンバータに電源を供給するための電源回路を設け、電源回路から第2の入力端子にDC電圧を重畳したので、一般家庭での受信の際にBSコンバータに電源を供給できる。
【0014】
また、第3の解決手段によれば、第1の入力端にその入力端が接続された分配器を設け、分配器の一方の出力端をローパスフィルタの入力端に接続すると共に、他方の入力端を前記ハイパスフィルタの入力端に接続し、BS−IF受信用チューナ回路にその出力端が接続された合成器を設け、合波器の一方の入力端にハイパスフィルタの出力端を接続すると共に、他方の入力端を第2の入力端子に結合したので、共同受信用及び一般家庭での受信用のいずれにも対応できるチューナが構成できる。
【0015】
また、第4の解決手段によれば、分配器の他方の出力端とハイパスフィルタの入力端との間に第1のスイッチ手段を介挿し、第2の入力端子と合成器の他方の入力端との間に第2のスイッチ手段を介挿し、第1のスイッチ手段と第2のスイッチ手段との開閉を互いに逆としたので、BS−IF受信用チューナ回路には共同受信用のテレビ信号及びBS−IF信号の両方が入力されることがない。
【0016】
また、第5の解決手段によれば、分配器の前段に第1の広帯域増幅器を設け、第2のスイッチ手段の前段に第2の広帯域増幅器を設けたので、分配器や合成器の挿入損失によるレベル低下やNFの悪化が抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1実施形態を図1に従って説明する。第1の端子21は、BS−IF信号と地上波のUHFテレビ信号及びVHFテレビ信号とが重畳された共同受信用テレビ信号が図示しないケーブルを介して入力される端子であり、また、第2の入力端子22は、屋外に設置されたBSコンバータ(LNBともいう(図示せず))によってほぼ1GHz〜2GHzに変換されたBS−IF信号が図示しないケーブルを介して入力される端子である。
【0018】
第1の入力端子21には、縦続接続されたローパスフィルタ23、第1の広帯域増幅器24を介して地上波テレビ受信用チューナ回路25が接続される。ローパスフィルタ23は、UHF帯テレビ信号の最高周波数以下を伝送し、第1の広帯域増幅器24はVHF帯乃至UHF帯のテレビ信号を増幅する。
【0019】
また、第1の入力端子21には、縦続接続されたハイパスフィルタ26、第2の広帯域増幅器27を介してBS−IF受信用チューナ回路28が接続される。ハイパスフィルタ26はBS−IF信号を通過し、第2の広帯域増幅器27はBS−IF信号を増幅する。
【0020】
さらに、第2の入力端子22は、第2の広帯域増幅器27の入力端に結合され、第2の入力端子22には電源回路34からインダクタ29を介して直流電圧が重畳される。この直流電圧はBSコンバータに供給するためのものである。
なお、地上波テレビ受信用チューナ回路25及びBS−IF受信用チューナ回路28にはそれぞれ受信すべきチャンネルを選択するための選局機能が備えられている。
【0021】
以上の構成によれば、例えば、共同受信のための設備が整っているアパート等においては、共同受信用ケーブルが各部屋に引き込まれているので、このケーブルを第1の入力端子21に接続することによって、BS−IF信号、又は/及び地上波のUHFテレビ信号及びVHFテレビ信号の受信が可能となる。また、一般家庭のように、BS−IF信号と地上波のUHFテレビ信号及びVHFテレビ信号とが別々のケーブルで引き込まれていれば、地上波のUHFテレビ信号及びVHFテレビ信号が重畳されたケーブルを第1の入力端子21に接続し、BS−IF信号のケーブルを第2の入力端子22に接続することで、地上波のUHFテレビ信号及びVHFテレビ信号とBS−IF信号とを受信できる。
【0022】
図2は第2の実施形態を示す。図2においては、第1の入力端子21に、第1の広帯域増幅器24を介して分配器30の入力端が接続される。そして、分配器30の一方の出力端にローパスフィルタ23が接続される。ここでの第1の広帯域増幅器24はVHF帯のテレビ信号の最低周波数からBS−IF信号の最高周波数までを増幅する。
【0023】
分配器30の他方の出力端は第1のスイッチ手段31を介してハイパスフィルタ26に接続され、ハイパスフィルタ26の出力端は合成器32の一方の入力端に接続される。合成器32の出力端にはBS−IF受信用チューナ回路28が接続される。また、第2の入力端子22には第2の広帯域増幅器27が結合され、その出力端と合成器32の他方の入力端との間には第2のスイッチ手段33が接続される。
【0024】
ここで、第1のスイッチ手段31と第2のスイッチ手段33とは開閉動作が互いに逆となり、第1の入力端子21にBS−IF信号と地上波のUHFテレビ信号及びVHFテレビ信号とを入力するときには第1のスイッチ手段31を閉じ、第2のスイッチ手段33を開く。また、第2の入力端子22にBS−IF信号を入力するときには、第1のスイッチ手段31を開き、第2のスイッチ手段33を閉じる。この実施形態においても、共同受信用と一般家庭での受信用とに共用できる。なお、分配器30の前段に第1の広帯域増幅器24を設け、合成器32の前段に第2の広帯域増幅器27を設けることでNFの悪化を防止している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の地上/BS一体型テレビジョンチューナにおける第1の実施形態の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の地上/BS一体型テレビジョンチューナにおける第2の実施形態の構成を示す回路図である。
【図3】従来の衛星テレビ放送と地上波テレビ放送とを受信するシステムの構成図である。
【図4】従来の衛星テレビ放送と地上波テレビ放送とを受信するシステムの他の構成図である。
【符号の説明】
【0026】
21:第1の入力端子
22:第2の入力端子
23:ローパスフィルタ
24:第1の広帯域増幅器
25:地上波テレビ受信用チューナ回路
26:ハイパスフィルタ
27:第2の広帯域増幅器
28:BS−IF受信用チューナ回路
29:インダクタ
30:分配器
31:第1のスイッチ手段
32:合成器
33:第2のスイッチ手段
34:電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共同受信用の第1の入力端子と、BS−IF信号を入力する第2の入力端子と、地上波テレビ受信用チューナ回路と、BS−IF受信用チューナ回路とを備え、前記第1の入力端子と前記地上波テレビ受信用チューナ回路との間に地上波テレビ信号の最高周波数以下を通過するローパスフィルタを介挿すると共に、前記第1の入力端子と前記BS−IF受信用チューナ回路との間に前記BS−IF信号の最低周波数以上を通過するハイパスフィルタを介挿し、前記第2の入力端子を前記BS−IF受信用チューナ回路に結合したことを特徴とする地上/BS一体型テレビジョンチューナ。
【請求項2】
屋外に設置されたBSコンバータに電源を供給するための電源回路を設け、前記電源回路から前記第2の入力端子にDC電圧を重畳したことを特徴とする請求項1に記載の地上/BS一体型テレビジョンチューナ。
【請求項3】
前記第1の入力端にその入力端が接続された分配器を設け、前記分配器の一方の出力端を前記ローパスフィルタの入力端に接続すると共に、他方の入力端を前記ハイパスフィルタの入力端に接続し、前記BS−IF受信用チューナ回路にその出力端が接続された合成器を設け、前記合波器の一方の入力端に前記ハイパスフィルタの出力端を接続すると共に、他方の入力端を前記第2の入力端子に結合したことを特徴とする請求項1又は2に記載の地上/BS一体型テレビジョンチューナ。
【請求項4】
前記分配器の他方の出力端と前記ハイパスフィルタの入力端との間に第1のスイッチ手段を介挿し、前記第2の入力端子と前記合成器の他方の入力端との間に第2のスイッチ手段を介挿し、前記第1のスイッチ手段と前記第2のスイッチ手段との開閉を互いに逆としたことを特徴とする請求項3に記載の地上/BS一体型テレビジョンチューナ。
【請求項5】
前記分配器の前段に第1の広帯域増幅器を設け、前記第2のスイッチ手段の前段に第2の広帯域増幅器を設けたことを特徴とする請求項4に記載の地上/BS一体型テレビジョンチューナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−304016(P2006−304016A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124283(P2005−124283)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】