説明

地下エネルギー利用による水中有機物燃焼ボイラー

【課題】地下の超臨界水状態の領域を利用した有機物の水中水酸化反応熱による連続熱水創造技術を提供すること。
【解決手段】水と有機物の混合流体を配管に通して地下の超臨界水又は亜臨界水状態の領域まで送り込み、そこで有機物の水酸化反応(水中燃焼)をさせ熱水を作る。
水と有機物の混合流体と酸化剤を連続送給すれば超臨界水状態を保ちながら自力で燃焼が進行し連続熱水が出来る。
この熱水を利用して発電し、又は有機物の分解による資源(例えばエタノール等)作りに利用する方法を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
地下の超領域を利用した有機物の水中水酸化反応による連続熱水創造方法。
水と有機物の混合流体は超臨界水領域すなわち圧力218気圧、温度374℃になると分解される。そして水と有機物と酸化剤が共存すると秒単位の極めて短い時間でほぼ100%完全に分解し二酸化炭素を生成する。
この反応は▲1▼反応速度が非常に速い、▲2▼自らの反応熱で温度を維持する。
この高温高圧の水中燃焼させる領域を作るために先ず圧力218気圧以上を求めて地上から地下に向かって約2300m以上掘削しU字管を挿入する。
地上のU字管入口から水と有機物の混合流体を送給すると流体の自重により深さを増すにつれて水圧が増し深さ約2300m以上(掘削の深さで決まる)になるとU字管内は約218気圧以上の領域となる。
次に温度374℃以上を求めて更に地下へと掘り進める。自然界で出来ている374℃領域に達する。 尚、地熱が374℃に達しない場合でも酸化剤を注入する事により水酸化反応熱を起し、374℃周辺の温度を発生させる。
自然地下エネルギー利用の有機物の水中水酸化反応(有機物のカーボンニュートラル水中燃焼)による連続熱水創造する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在地上大気中で化石燃料を燃焼させ熱水を作りこの熱水を利用して発電や乾燥をしている。この種のボイラーは水管の内側は水で水管の外側は化石燃料の燃焼ガスである。 管壁をとおして熱エネルギー利用後は燃焼ガスが排ガスとなって大気中へ放出され、排ガス公害対策対応の処理コストも嵩んでいる。
農林廃棄物等の燃焼について熱エネルギー回収利用をしながらの焼却方法はあまり行われずほとんどが化石燃料による焼却であって排ガス処理対応の建設費が嵩んでいる。
有機物化学反応によるクリーン資源創造には超臨界水利用による分解研究が必要とされる。
一例を述べると廃木から有用物質を取り出すために超臨界技術を使う研究が京都大学大学院エネルギー科学研究課の坂志朗教授によって進められている。木の持つエネルギーを徹底的に利用し限りある地球の資源を大切にしていこうという研究である。 この超臨界水で処理すると大きな分子をバラバラにし、セルロース類が分解されて糖が出来る。(2007年9月10日読売新聞に記載)
【0003】
これらを応用して、化石燃料による大気中燃焼の熱水作りから地下エネルギー利用の水中燃焼(水酸化反応)による熱水創造に変える。
大気中への排ガス放出から無害なCO2、空気、水蒸気のみの排ガスに切り替えて環境に優しいクリーンなカーボンニュートラル燃焼に変える。
自然の地下エネルギー利用の有機物の水中水酸化反応による熱水創造はU字管内において水の中で直接熱水を作るので燃焼ガスはCO2と空気であって無害な流体ガスであるし、自然の地下エネルギーを十分に利用しての環境に優しい熱効率の良い方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大気中で化石燃料を燃焼させ熱水を作り発電等々に利用しているこの化石燃料の燃焼は排ガスを大気中に放出し公害処理対策設備も必要であり熱効率も悪い。 また地熱井からの熱水取り出しも地下熱水の汲み上げに関する諸問題や熱水枯渇問題が有る。
地上での超臨界水技術の利用においては、有機物を分解し有用物質を生成する等の装置は規模が大きくなる上、超臨界水状態が恒常的でなく熱源等膨大なエネルギーを要するので大量に処理する場合はランニングコストが高い等の課題が有る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は地下エネルギーと超領域におけるU字管内水中有機物燃焼による連続熱水創造技術として以下に示す内容を要旨構成とする連続熱水創造方法及び連続熱水創造装置を提案する。
(1)
本発明に関わる地下エネルギー利用の水中有機物燃焼による連続熱水創造技術の方法は水と有機物の混合流体を地上からU字管を通して送給しこのU字管において地下約2300m以上の超領域を通過後熱水が地上へ戻って来る。
水と有機物の混合流体をU字管の水管(地上から超領域に向かっている管を「水管」と言う)入口からポンプで送給する。
燃料(水と有機物の混合流体)は超領域に向かって自重により水圧を増しながら流動して行く、更に水管外の地熱を吸収しながら流動して行きUターンする。 Uターン周辺では水圧218気圧以上、地熱374℃程となっている。 この超臨界水状態周辺で酸化剤を注入すると蒸発管(Uターン後地上に戻ってくる管を「蒸発管」と言う)内は水酸化反応により熱ガス化して地上へ上昇しスチームヘッダーへ到達する。 水と有機物の混合流体は酸化剤注入後にCO2とH2Oとなり酸化剤が空気の場合はCO2と空気と水の熱ガスとなり、スチームヘッダーへ蓄えられる。創造された熱水はスチームヘッダーから発電や熱水利用先へ連続供給される。
水と有機物の混合流体を貯蔵しているチェストからU字管の水管入口へポンプで送給し、水管を通りUターンして蒸発管を通ってスチームヘッダーへ接続した一本の鉄管を主体として出来ている連続熱水創造装置である。
Uターン後酸化剤(例として過酸化水素水)を蒸発管へ注入する為の酸化剤配管が地上から超領域の注入箇所にまで伸びており圧送注入する。(酸化剤として過酸化水素水か空気か酸素かにより酸化剤の蒸発管への注入装置が異なる。)
鉄管は高圧高温化状態での管壁内外への熱伝導率が良く、耐腐食性に優れる金属製からなるパイプであることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上記課題を解決できる技術的手段として自然から得られる地下エネルギー(温度と圧力)を十分に利用した超領域に於ける有機物の水中燃焼であり、カーボンニュートラル燃焼である。更に自然の熱水とU字管内熱水と区別する事に着目して成されたものであり、その主たる目的は自然エネルギー利用のランニングコストの安い熱水を地上で利用する連続熱水創造技術を提供する事にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は有機物を超領域にU字管を使って送り込み熱水創造をする構成とした点に特徴がある。 超領域である圧力218気圧、温度374℃以上の領域まで掘削しU字管の底部が約2300m以上になるまで挿入する。
最近の掘削技術では4000m以上掘削可能である。建設費は嵩むが地下の自然エネルギーを利用するので総合的にランニングコストは安い。
【実施例】
以下、本発明の実施例を図−1に基づいて説明します。
図−1は例として製紙会社において活用された場合を想定し、3部に分けて概略図を説明する。
1)製紙会社において抄紙機へ送られている製紙原料(水と古紙の混合溶液)や製紙工程後にでるヘドロ排水等の配管先をチェストを通し本発明のU字管入口へ振り向けると、水と有機物の混合流体送給となる、図−1に示すAグループの’装置部分である。
2)本発明はU字管入口▲1▼からU字管の水管を通り地下の超領域であるUターン部▲2▼まで約2300m以上を通り抜ける。U字管▲3▼で酸化剤を▲4▼から注入する。その後熱水はU字管の蒸発管を通って地上のスチームヘッダー▲5▼へ到達する。
有機物である水とパルプの混合流体は地熱を吸収し、水圧を増しながら超領域に達し酸化剤注入後▲3▼はCO2と水に分解され、熱エネルギーを増した熱水となりスチームヘッダーへ集まる。熱水利用後の排ガス(熱水を含む)はチェストへ送られ水と有機物の混合流体の温度を上げる。更に余剰熱水はU字管入口に直接注入して熱効率を高める。図−1の本発明熱水創造の実施例である。
3)スチームヘッダーからの熱水は発電をはじめ利用方法は色々考えられる。
発電の場合、通常の地熱発電に於ける熱水をタービンへ送給し発電機を回して電気を作るのと同様に熱水利用する。尚、本発明では熱水利用後の熱水をチェストへ直に回収し再利用するため、排熱回収の効率を高めている。図−1のBグループ装置部分である。
本発明のU字管方式の連続高圧高温熱水循環により、農林廃棄物や下水等有機物を資源創造へと有効利用したい。
【図面の簡単な説明】
図−1は本発明である地下エネルギー利用の水中有機物燃焼ボイラーの一実施例を示す全体構成図である。
Aグループではパッカー車で回収した古紙をコンベアーでパルパー(水と古紙をミキサーで混合する設備)へ投入し水と有機物の混合流体を作る。
混合流体はチェストへ送り貯蔵、保温しながらクリーナーへ送り異物を除去する。これら装置は製紙会社の紙を抄く前のパルプ溶液製造設備である。この他製紙工程後に出るヘドロ排水も有機物混合流体としてチェストへ送る
クリーナーから本発明のU字管入口▲1▼へ送給する。
本発明の▲1▼からU字管の水管を通して地熱を吸収しながら▲2▼の超臨界水領域を通って超臨界水状態に持ち込む。
その後▲3▼の箇所へ酸化剤▲4▼を注入すると水と有機物の混合流体は水酸化反応熱を発生し自力で超臨界水温度を保ちながら熱水を作り続ける。
熱水は水管内と蒸発管内の流体密度差から自力で▲5▼のスチームヘッダーへ送られる。これまでが本発明の地下エネルギー利用による水中有機物燃焼ボイラー装置である。
スチームヘッダー▲5▼からは熱水を発電用に利用する。
Bグループはスチームヘッダー▲5▼から送られた熱水によりタービンを回転させ回転力を利用して発電機で発電する。一般的に行われている発電設備である。
【本発明の装置及び符号の説明】
本発明はU字管入口からスチームヘッダーまでの装置である。
イ)水と有機物の混合流体=燃料をAグループで製造する。
ロ)▲1▼はU字管入口
ハ)▲2▼は地下の超領域
ニ)▲3▼は超領域への酸化剤注入箇所
ホ)▲4▼は地上での酸化剤注入口
ヘ)▲5▼はスチームヘッダー
ト)Bグループで熱水は発電や製紙工程の乾燥に利用する。更に余った熱水はU字管入口又は再度チェストへ送給し循環させる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と有機物の混合流体をU字管に通して自然の地下熱エネルギーを吸収しながら超領域(地下の超臨界水又は亜臨界水状態の領域の事を以下『超領域』と呼ぶ)まで送給する。 Uターン後、酸化剤を注入し水酸化反応をさせ熱水が出来る。熱水は自力で流動し地上出口にまで上がって来る。
自然地下エネルギーを利用した有機物水中水酸化反応による連続熱水創造方法。
【請求項2】
地上から超領域までのU字管内を通る流体は水と有機物の混合流体であり超領域において酸化剤を注入し水酸化反応後はCO2(二酸化炭素)と空気と水の無害な流体である。U字管入口からU字管出口まで管内は無害の水、有機物、CO2、空気の流体が流れる請求項1に記載の連続熱水創造方法
【請求項3】
水と有機物の混合流体は地上のU字管入口から超領域に向かって下降し自重により水圧218気圧以上まで達する。その後Uターンし地熱と水酸化反応熱で作られた熱水は温度374℃程になる。
この熱水(熱ガス)は熱エネルギーで自力により地上へ流動する。
このU字管方式は、燃料である水と有機物の混合流体の送給ポンプ動力も、地下から熱水を汲み上げる動力も、自然エネルギーによりU字管内を流動する請求項1又は2に記載の連続熱水創造方法。
【請求項4】
超領域を利用した有機物の水中水酸化反応による熱水創造は地上から超領域に向かって地下約2300m以上進む間に熱エネルギーをU字管外から吸収するが地中の熱水とは混じらないので地中を汚染せず、自然に存在する地中の熱水も汲み上げない。
地上で熱水利用後は地上から燃料として送給する水と有機物の混合流体へ直接合流できる。
超領域での水酸化反応後、U字管内は無害な流体だけが流れるので排ガスの公害対応設備は不要であり熱回収の効率も良い請求項1〜3に記載の連続熱水創造方法。
【請求項5】
地下の超領域を利用した有機物の水中水酸化反応による連続熱水創造方法は地上から地下の超領域、地上のスチームヘッダー、そして再び地上から地下へと配管を循環する請求項1〜4記載の連続熱水創造方法

【公開番号】特開2009−297587(P2009−297587A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42157(P2008−42157)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(508055674)
【Fターム(参考)】