説明

地下タンクおよび配管構成体

【課題】本発明は、保護隔壁の内部に水が溜まりやすい環境の地下タンクおよび配管構成体であっても腐食を防止し得るような構成を得る。
【解決手段】鋼製地下タンクの円筒部上面に保護隔壁が設けられ、しかも、保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンク及び配管構成体において、前記保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触状態で地下タンクの円筒部上面に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、給油所等において用いられる地下タンクおよび配管構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所等に設けられている地下タンク及び配管構成体は次のような構成をとる。地下に埋設される鋼製地下タンクの円筒部上面に矩形の保護隔壁(プロテクタ)が設けられ、この保護隔壁により確定された空間内に鋼製の立ち上がり配管および横引き配管が設けられている。この保護隔壁は、地下タンク回りの土壌の圧力、所謂、土圧から配管接続部を保護するため、また、メンテナンスの容易さを確保するために設けられている。
【0003】
地下タンクは鋼製であるため、自然腐食や電気的あるいは化学的条件による腐食の脅威にさらされている。腐食の進行により地下タンクに穴があくと、土壌を汚染し、環境破壊を招くことになる。
【特許文献1】特開2006−076613
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地下タンクの腐食を防止する方法として、近年、地下タンクの近傍に電極を埋設し、この電極から微弱電流を流し、地下タンクを腐食から保護する外部電源方式や犠牲電極を用いる流電陽極方式の腐食防止手段が採用されつつある。しかし、この方法をもってしても、地下タンクの上部のプロテクタ内部は、保護隔壁で外部と遮断されており、前述の外部電源方式や流電陽極方式の防食効果が期待できない。また、この保護隔壁により確定された空間の下方側は極めて密閉度が高く、内部に水が溜まりやすい。つまり、常時水分に接していることから、腐食促進の環境におかれることから、腐食が起こりやすいというおそれをなしとしない。
そこで、本発明は、このような環境下におかれた地下タンクおよび配管構成体であっても腐食を防止し得る地下タンクおよび配管構成体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の地下タンクおよび配管構成体は、鋼製地下タンクの円筒部上面に保護隔壁が設けられ、しかも、保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンク及び配管構成体において、
前記保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触状態で地下タンクの円筒部上面に設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の地下タンクおよび配管構成体は、鋼製地下タンクの円筒部上面に保護隔壁が設けられ、しかも、保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンクおよび配管構成体において、
前記保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触させた状態で配管に設けたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の地下タンクおよび配管構成体は、鋼製地下タンクの円筒部上面に鋼製の保護隔壁が設けられ、しかも、鋼製の保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンクおよび配管構成体において、
前記鋼製の保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触させた状態で鋼製の保護隔壁に設けたことを特徴とするものである。
請求項4に記載した地下タンク及び配管構成体は、請求項1乃至3において、電解質を水、土、又は、ゲル状の物質で構成したものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、鋼製の地下タンクの保護隔壁に囲まれた円筒部表面(上面)の腐食を防止できる。請求項2、3によれば、配管または、鋼製保護隔壁の腐食の発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0008】
図1において、1は、円筒形状の両側が鏡板により閉塞された鋼製地下タンクである(全体図は省略)。地下タンク1の円筒部上面には、鋼製で、水平方向4方の周囲を囲む矩形形状のプロテクタガイド2が溶接にて設けられている。プロテクタガイド2にはプロテクタ3が設けられている。そして、プロテクタ3により確定された内部空間内には、地下タンク1から起立した立ち上がり配管4および横引き配管5が設けられている。
【0009】
本実施例では、地下タンク1および配管2には配線を介して、鋼よりも電位が卑なる金属、実施例ではマグネシュームの塊からなる犠牲陽極6を設けている。また、プロテクタ3内の空間内には、少なくとも犠牲陽極6が充分埋没する量の電解質で満たしている。通常、電解質としては水を用いているが、必ずしもこれに限定するわけでなく、水分を含んだ土、砂、土砂、あるいは、ゲル状の物質でもよい。
【実施例2】
【0010】
実施例2は配管に対するリード線の簡便な取り付け構造を示すものである。実施例2を図2乃至図4により説明する。犠牲陽極6に接続されたリード線7の先端には端子8が設けられている。図3の拡大図に示すように、立ち上がり配管4のフランジ4A同士を連結するボルト9、これに螺合されるナット10、およびナット10上に別途設けられた上部ナット11を有し、ナット10と上部ナット11との間で端子8をはさんで固定している。これにより、簡便に、しかも、強固に犠牲陽極6を取り付けることができる。図4は平面図を示す。
【実施例3】
【0011】
実施例3は、地下タンク1、立ち上がり配管4および横引き配管5へ直接犠牲陽極を取り付ける構造を示すものである。図5において、立ち上がり配管4または横引き配管5の何れか、あるいは双方にこの外周の半分を取り巻くように犠牲陽極6を設け、この犠牲陽極6をバンド手段12で固定したものである。
【実施例4】
【0012】
実施例4は、地下タンク1へ直接犠牲陽極6を取り付けた例を示す。図6のようにマグネシュームの塊である犠牲陽極6の下面にマグネットの板13と地下タンク1の表面に密に接触するように金属突起を設けている。図7は地下タンク1の上面に貼り付けた状態を示す。
【実施例5】
【0013】
前述までの実施例では、地下タンク1、立上げ配管4、横引き配管5に犠牲陽極6を取り付けたものを説明したが、プロテクタ3自体の内面に接続しても良い。これにより、プロテクタ3自体の腐食防止が図れる。
【実施例6】
【0014】
本実施例ではプロテクタ3内部に犠牲陽極6を設けたが、他の実施例としてプロテクタ内部に電解質を満たすと共に、不溶性電極(チタン製)を設け、この電極を直流電極に接続する。そして、この電極からプロテクタ3内に対して電流を流しつづけることにより地下タンク上面、立ち上がり配管4、横引き配管5、プロテクタ3の腐食発生を防止するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上の説明では、給油所の地下タンクへの適用例を示したが、一般給油取扱所や、自家用給油所、工場の地下タンクおよび配管構成体に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す部分側面図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示す一部分拡大側面図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す部分平面図である。
【図5】本発明の第3の実施例を示す部分平面図である。
【図6】本発明の第4の実施例を示す部分平面図である。
【図7】本発明の第4の実施例を示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 地下タンク
2 プロテクタガイド
3 プロテクタ
4 立ち上がり配管
5 横引き配管
6 犠牲陽極
7 リード線
8 端子
9 ボルト
10 ナット
11 上部ナット
12 バンド手段
13 マグネットの板
14 金属突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製地下タンクの円筒部上面に保護隔壁が設けられ、しかも、保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンク及び配管構成体において、
前記保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触状態で地下タンクの円筒部上面に設けたことを特徴とする地下タンク及び配管構成体。
【請求項2】
鋼製地下タンクの円筒部上面に保護隔壁が設けられ、しかも、保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンク及び配管構成体において、
前記保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触させた状態で配管に設けたことを特徴とする地下タンク及び配管構成体。
【請求項3】
鋼製地下タンクの円筒部上面に鋼製の保護隔壁が設けられ、しかも、鋼製の保護隔壁により確定された空間内に鋼製の配管が設けられた地下タンク及び配管構成体において、
前記鋼製の保護隔壁により確定された空間内に電解質を存在させ、鋼よりも電位が卑なる金属よりなる犠牲陽極を電解質に接触させた状態で鋼製の保護隔壁に設けたことを特徴とする地下タンク及び配管構成体。
【請求項4】
請求項1乃至3において、電解質は水、土、又は、ゲル状の物質からなる地下タンク及び配管構成体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−269323(P2007−269323A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93604(P2006−93604)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000110099)トキコテクノ株式会社 (264)
【Fターム(参考)】