説明

地中に埋設された既設管の更新方法及びこれに使用する管の連結器具

【課題】 地中に埋設された既設管の更新作業が非開削で容易且つ短時間にできる既設管の更新方法及びこれに使用する連結器具を提供する。
【解決手段】 既設管の一端から既設管内にリード線を挿通するステップと、前記リード線の一端部を筒状連結器具内部に誘導し、該筒状連結器具にリード線連結部材によって連結するステップと、前記既設管の一端部を筒状連結器具内の一端部に締着部材によって締着固定し、前記新設管の一端部を筒状連結器具内の他端部に締着部材によって締着固定して既設管と新設管と筒状連結器具を筒状一体に連結するステップと、前記リード線の他端部を巻取機で引っ張ることによって、既設管をリード線とともに地上に引き出して巻き取り、同時に既設管を引き抜いた後の空洞に新設管を引き込むステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された既設管を新設管に交換する更新作業が非開削で容易且つ短時間にできる更新方法及びこの更新方法に使用する連結器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道の水道本管から各家庭へ分岐する給水用枝管には鉛管が使用されていたが、衛生上の観点から近年はポリエチレン製管やステンレススチール製管に交換する作業が行われている。既設の鉛管を前記新設管に交換するには、地表から配管の上方部を掘削して既設管を取り外し、新設管を布設するいわゆる開削工法が一般に行われていた。この開削工法は、かなりの工期と費用が嵩むばかりでなく、道路交通上の支障をきたし好ましくないことから、近年は掘削しないで管を交換する方法が試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、旧管の端部に係止具を固着して、新管の端部に別の係止具を固着し、その係止具に鋼線の先端を固定して巻き取る装置で旧管を巻き取って引き出し、新管を引き込む工法が記載されている。しかし、この工法に使用する係止具は、旧管と新管を固定する係止具が別々に設けられ、該係止具において楔部材とキャップ体及び楔コーンと楔支持体はいずれも嵌合するのみでネジ等で固着されていないので、障害物等に衝突して逆方向の力の作用で楔部材ないし楔コーンが外れるおそれがあり問題である。
【0004】
また、特許文献2には、地中に埋設された鉛製の給水用枝管の入れ替え工法であって、既設管内に弾性部材とこれを貫通する牽引索を挿通し、弾性部材を管長方向に圧縮し、半径方向にふくらませて管の内壁に密着させて発生する摩擦力によって既設管を引き出す工法が記載されている。しかし、前記弾性部材を管内に挿通するには困難が伴うばかりでなく、既設管が曲がっている場合など引き抜き時に管壁との摩擦力を超える大きな負荷がかかる場合には弾性部材の滑りが生じ、弾性部材の破壊強度よりも大きな負荷がかかる場合には弾性部材そのものが破壊するおそれがあり問題である。
【特許文献1】特開2001−271592号公報
【特許文献2】特開2004−300695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、前記既設管の一端部と新設管の一端部を連結し、既設管内を挿通したリード線を引っ張ることによって既設管を新設管に交換する従来の更新方法において、既設管が曲がった状態で地中に埋設されている場合等に、既設管内にリード線を挿通することが困難であること、リード線を引っ張る途中で管が外れやすいこと、連結器具に余分な負荷がかかりリード線が切れやすいこと、既設管、新設管及びリード線の連結器具への着脱が煩雑で長時間を要すること等の問題があることに気づき、鋭意研究した結果、前記構造からなる筒状連結器具を用い、既設管と新設管と筒状連結器具を筒状連結することによって前記問題点を解消することを知見して本発明に想到したものであり、本発明は、前記の問題点を解消し、更新作業が非開削で容易且つ短時間にできる既設管の更新方法及びこれに使用する連結器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明は、地中に埋設された既設管の一端部と新設管の一端部を連結器具を介して連結し、該連結器具を既設管内を挿通したリード線によって既設管の他端部側から引っ張ることによって既設管を新設管に交換する更新方法であって、前記連結器具として筒状連結器具を用いるものであり、既設管の一端から既設管内にリード線を挿通するステップと、前記リード線の一端部を前記筒状連結器具内部に誘導し、該筒状連結器具にリード線連結部材によって連結するステップと、前記既設管の一端部を筒状連結器具内の一端部に締着部材によって締着固定し、前記新設管の一端部を筒状連結器具内の他端部に締着部材によって締着固定して既設管と新設管と筒状連結器具を筒状一体に連結するステップと、前記リード線の他端部を巻取機で引っ張ることによって、筒状連結器具を移動させて既設管の端部を押し出す力の作用によって既設管をリード線とともに地上に引き出して巻き取り、同時に既設管を引き抜いた後の空洞に新設管を引き込むステップと、を有することを特徴とする既設管の更新方法とする(請求項1)。
【0007】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記既設管にリード線を挿通するステップにおいて、前記リード線連結部材を取り外した状態で既設管にリード線を挿通し、リード線を挿通した後でリード線先端部にリード線連結部材を取り付けることを特徴とし、前記リード線の他端部を巻取機で引っ張るテップにおいて、地面掘削用機器の油圧装置に接続した油圧モータによって油圧式巻取機を駆動し、前記油圧モータの回転数を油圧モータのトルクと連動させて制御することによって、巻取機の捲き取り速度をトルクに応じて調整することを特徴とする請求項1記載の既設管の更新方法とすることが好ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、地中に埋設された既設管を新設管に交換する更新方法に用いる管の連結器具であって、筒状体の両端に形成された雄ネジ部に既設管または新設管が挿通可能な貫通孔を有するナット部が螺着可能に設けられた本体と、既設管の一端部を締着可能とする第一締着部と、新設管の一端部を締着可能とする第二締着部と、既設管に挿通されるリード線の一端部を連結可能とする連結部と、先端部がやや細く、中心部に既設管が挿通可能な大きさの貫通孔を有し、後端部が本体の先端部と着脱自在に嵌合可能な円錐状カバーと、を備えることを特徴とする筒状連結器具とする(請求項3)。
【0009】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、地中に埋設された既設管を新設管に交換する更新方法に用いる管の連結器具であって、筒状体の両端に形成された雄ネジ部に既設管または新設管が挿通可能な貫通孔を有するナット部が螺着可能に設けられた本体と、既設管の一端部を締着可能とする第一締着部と、新設管の一端部を締着可能とする第二締着部と、既設管に挿通されるリード線の一端部を連結可能とする連結部と、を備え、前記既設管側の本体の端部がやや細い円錐状に形成されてなることを特徴とする筒状連結器具とする(請求項4)。
【0010】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記第一締着部又は第二締着部は、前記ナット部とナット部の内側にある弾性割リング状からなる締着部材を備え、前記締着部材はナット部に対向する側がテーパー状に形成してあり、テーパー状の先端部がナット部の内側に係合して、ナット部を緊緩するのに応じて内径が縮小拡大可能に設けられており、前記締着部によって既設管または新設管が着脱可能となることを特徴とする前記の筒状連結器具とすることが好ましい(請求項5)。
【0011】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記筒状体の両端部の内壁には、弾性部材が嵌合する溝が形成されており、この溝に弾性部材が嵌合し、弾性部材に隣接させて座金及び締着部材が配置され、その上からナット部を被せて螺合する構成からなることを特徴とする前記の筒状連結器具とすることが好ましい(請求項6)。
【0012】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記リード線は可撓性を有する撚り線からなり、該リード線の一端部を筒状連結器具に連結可能とする前記連結部は、リード線の先端部に着脱自在に固着されるリード線連結部材と、ピン部材とを備え、前記リード線連結部材に設けられたピン部材挿通孔と筒状体の中間部に設けられたピン部材挿通孔にピン部材を嵌入してリード線の一端部と筒状体とが連結可能に構成されてなることを特徴とする前記の筒状連結器具とすることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の既設管の更新方法及びこれに使用する管の連結器具は、前記構成からなる筒状連結器具を使用することにより、既設管と新設管とリード線を本体内部に取り付けることによって、既設管と新設管が筒状連結器具に筒状一体に連結され、リード線を引っ張ることによって、前記筒状連結したものが既設管の形跡に沿って進行するので、地中での負荷を受けにくく、リード線の切断を防止できる。管は筒状連結器具に直結しており、該筒状連結器具をリード線で引っ張ることによって、既設管を後端部から押し出すように作用し、しかも管はナット部によって螺着されているので、引っ張る途中で障害物に当接しても既設管が連結器具から簡単に外れることはない。
【0014】
また、リード線は可撓性を有する鋼製線条からなり、リード線の先端部に短いネジ固定具を介してボルトネジを固着したので、リード線を既設管に挿通する際にリード線の先端部が既設管の管壁に沿って進行しやすく、曲がった既設管でも短時間に挿通することができる上、挿通後にボルトネジにピン挿通部材を取り付けてピン部材を差し込むだけで連結が完了する。更に、管を連結器具に取り付けるにはナット部を筒状体の端部に螺合して締めつけるするだけでよく、管に孔を開けたり切断する等の無駄な現場作業は一切不要であり手間がかからない。
【0015】
また、筒状連結器具の先端部に円錐状カバーを取り付けるか、円錐状ナット部を用いることによって、地中における負荷抵抗をより小さくし作業の円滑化を図ることができ、リード線の捲き取り速度をトルクと連動させることによって、より高い効果が得られる。本発明に係る更新方法によれば、既設管の更新時に騒音や振動が発生せず、無駄な繰り返し作業をすることがなく、工費と工期の更なる削減ができ、且つ、本発明に係る筒状連結器具は構造がシンプルなので取り扱いやすく故障もしにくいので、安全且つ経済的にも極めて優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態について、以下図に基づいて詳細に説明する。しかし、本発明は、かかる実施の形態ないし他の実施の形態に限定されるものではない。本発明の特徴を列挙すると、1)既設管が埋設されている2箇所をバックホーにより掘削して、既設管の一部を露出し、切断する。2)その後既設管にリード線(ワイヤー)をスムーズに挿入し、既設管と新設管とを強固に連結する。また、連結器具は、牽引時に接合部が牽引の抵抗とならないようにをカバー形状(円筒状)に接合した形状とする。3)前記1)によって既設管と新設管が強固に連結され、バックホーの油圧ホースを巻取機に接続して、前記巻取機によって既設管が巻き取られ、コンパクトにできると同時に新設管を布設する。以下に本発明にかかる実施の形態を更に詳細に説明する。
【0017】
この実施の形態に係る筒状連結器具は請求項3,5〜7に記載の発明を含むものである。図1は、本発明の実施形態に係る筒状連結器具を構成する要素の組立分解斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る筒状連結器具にリード線を連結し、既設管と新設管を締着固定した一部切断正面図である。図1または図2に示すように、筒状連結器具1は、筒状体10の両端に形成された雄ネジ部14,14にナット部20,20が螺着可能に設けられた本体と、既設管41の一端部を締着可能とする第一締着部21aと、新設管42の一端部を締着可能とする第二締着部21bと、既設管41に挿通されるリード線30の一端部を連結可能とするピン部材11と、先端部に既設管41が挿通可能な大きさの孔を有し、後端部が連結器具の先端部と着脱自在に嵌合可能な円錐状カバー43とを備える。
【0018】
本実施の形態に係る筒状体10は接続部13において、2本のパイプ材の端部にナットをそれぞれ螺着した状態で接合した構成からなり、両端に雄ネジ部14,14が形成されている。前記筒状体10の中間部には筒の中心を貫通するピン挿通孔12が穿設されている。筒状体10の両端部の内壁には、ゴム製の弾性部材23,23が嵌合する溝が形成されており、この溝に弾性部材23,23が嵌合し、座金22,22、締着部材21,21がこの順に配置され、その上から八角状のナット部20,20を被せて螺合する構成となっている。筒状体10は1本のパイプ材で構成してもよく、また、太さの異なるパイプ材を接合して、既設管と異なる新設管に更新できるように構成してもよい(図示せず)。筒状体10の大きさは既設管と新設管の太さに応じて適宜設計され、地中を進行する際に受ける負荷抵抗を小さくするために、できる限り小型に設計することが好ましい。
【0019】
締着部材21,21は弾性を有する鋼鉄製部材からなり、周壁の一部を切り欠いた割リング状の内側には滑り止め用の螺旋溝24が形成されている。ナット部に対向する側をやや細いテーパー状にして、テーパー状の先端部がナット部の内側ないし貫通孔に係合可能に形成され、ナット部を緊緩するのに応じて内径が縮小拡大可能に設けられてなる。ナット部20,20を緩めて管を筒状体10の内部に挿通した後、再びナット部20,20を締めると、締着部材21,21は、テーパー状の外周部からの押圧力を受けて内径が縮小し、管を緊締することによって螺旋溝24が管壁に食い込み、管は所定位置に固定される。締着部材21,21に隣接させて座金22,22と弾性部材23,23を配設することによって、ナット部20,20をより強固に安定して締め付けることができるとともに、筒状連結器具1が地中を進行中に障害物に触れても、衝撃を緩和する役割を果し好ましい。
【0020】
リード線30は、筒状連結器具1を引っ張る強度に耐える限りにおいて特に限定されるものではないが、合成繊維製のワイヤーなどでもよく、特に可撓性を有する鋼製の線条を撚り合わせた撚り線は、S字状等に曲がった既設管にリード線を挿通するような場合でもリード線の先端部が管壁に沿って撓みつつリード線全体が追随して進行するので好ましい。図6に示すようにリード線30の先端部にはネジ固定具33を介してボルトネジ34が固着され、該ボルトネジ34にリード線連結部材31が着脱自在に取り付けられている。リード線連結部材31は高六角ナット状等からなり、先端部にピン挿通孔32が貫通している。また、前記ネジ固定具33とボルトネジ34は、なるべく短かい方が、リード線の可撓性に基づく先端部の自在な動きを封じることなく、曲がった既設管にリード線をよりスムーズに挿通できることから、ネジ固定具33の長さは5〜20mm、好ましくは5〜15mm、ボルトネジ34の長さは10〜30mm、好ましいくは15〜25mmの範囲がよい。
【0021】
一方、前記筒状体10の中間部には、前記リード線連結部材31のピン挿通孔32と係合する位置にピン挿通孔12が穿設されてなり、前記両者のピン挿通孔32,12にピン部材11を嵌入してリード線の一端部と筒状体10とが連結可能に構成されてなる。ピン部材11は鋼鉄製棒状部材の一端部をやや太く且つ扁平状に形成されており、ピン部材11をピン挿通孔32,12に通した後でピン頭を槌で打ち付けて固定することができる。筒状連結器具1が地中を進行中に進行を阻害しないように、ピン部材11は、ピン挿通孔に係合した状態でナット部20,20の高さよりも突出しないように構成することが好ましい。
【0022】
既設管側のナット部20に着脱自在に嵌合される円錐状カバー43は、先細端部が既設管41を挿通可能な大きさで、且つ、後端部がナット部20と着脱自在に嵌合可能な大きさの貫通孔を備える鋼鉄製の円錐状物からなる。係る円錐状カバー43を既設管側のナット部20に着脱自在に嵌合することによって、筒状連結器具1を地中に埋設された既設管41とともにリード線30で引っ張るときに、筒状連結器具1が地中の障害物と衝突するのを避けてスムーズな進行を補助する作用をなす。
【0023】
次に、他の実施の形態に係る筒状連結器具1について説明する。他の実施の形態に係る筒状連結器具は請求項4〜7に記載の発明を含むものである。図3は、本発明の他の実施形態に係る筒状連結器具を構成する要素の組立分解斜視図である。図4は、本発明の他の実施形態に係る筒状連結器具にリード線を連結し、既設管と新設管を締着固定した一部切断正面図である。図3または図4に示すように、他の実施の形態に係る筒状連結器具1は、前記実施の形態に係る筒状連結器具1において、円錐状カバー25に代えて、前記第一締着部側のナット部に、先端部がやや細く、中心に既設管が挿通可能な大きさの貫通孔を有する円錐部26が形成されたナット部20を用いる以外は前記実施の形態に係る筒状連結器具1と同じである。本発明は円錐状カバーの取り付け作業が必要ないので、作業効率がより向上する。
【0024】
前記実施の形態及び他の実施の形態について、本体及びその他の部品が鋼鉄製の部材を使用する場合を例にして記載したが、本発明の筒状連結器具が鋼鉄製に限定されるものではなく、例えば、本体を耐衝撃性と強度を備えたポリカーボネート、ABS樹脂、ガラス繊維強化樹脂またはその他の公知の合成樹脂材料を用いてもよく、或いは、本体を鋼鉄部材とし、締着部材を可撓性を有する合成樹脂製部材として、合成樹脂製部材と鋼鉄部材を組み合わせて用いてもよい。また、本発明は、水道管の更新に限定されるものではなく、例えば、ガス管や電線の配管など、その他広く利用できる。本発明の精神に反しない限りにおいて、改良した発明も広く含まれるものとする。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例について以下に説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。先ず、図5に示すように、上水道の既設鉛管が埋設してある道路面の2箇所をバックホーの油圧ショベルにより掘削し、掘削部50,50に露出した既設管の一部を切断する。切断した既設管41の一端部41aから他端部41b側にリード線30を挿入する。この時リード線先端部のリード線連結部材31は取り外しておく。
【0026】
次に、前記リード線30の一端部に円錐状カバー25、ナット部20、締着部材21、座金22及び弾性部材23をこの順序に通し、リード線30の先端部にリード線連結部材31を螺着する。リード線連結部材31を螺着したリード線の一端部を筒状連結器具1の内部に誘導し、リード線連結部材31に穿設されたピン挿通孔32と筒状体10に穿設されたピン挿通孔12の位置が重なる状態でピン部材11を打ち込み、筒状連結器具1にリード線30を連結する。次に、前記既設管41の一端部を筒状体10の内部に引き込み、ナット部20を締めて既設管41を筒状連結器具1内の一端部に締着固定する。同様にして、前記新設管42の一端部を筒状連結器具1内の他端部に締着固定し、斯くして既設管41と新設管42と筒状連結器具1が筒状一体に連結される。
【0027】
次に、巻取機51を油圧ジャッキ53に配置して前記リード線30の他端部を油圧式巻取機51に連結するとともに、バックホーの油圧ホース52を油圧式巻取機51に接続し、バックホーの油圧により巻取機51を駆動させてリード線30を引っ張り、リード線30と既設管41を巻き取る。既設管41が巻き取られると同時に既設管を引き抜いた後の空洞に新設管42が引き込まれる。既設管41と新設管42が交換された時点で、既設管41、新設管42及びリード線30を筒状連結器具1から取り外して更新作業が完了する。このように、作業用のたて坑の掘削に使用するバックホー等の地面掘削用機器の油圧装置によって油圧式巻取機の油圧モータを駆動すれば、巻取機専用の油圧機を別途現場に搬入しなくてもよく、設置場所と手間が省けて好ましい。既設管41はリード線30から分離されて廃棄処分又は再利用され、リード線30は巻き取って繰り返し利用される。既設管41を地中から引き抜いた後で切断等にてリード線30と分離し、リード線を既設管と別個に捲き取ってもよい。
【0028】
また、前記油圧式巻取機51は、油圧モータで駆動する巻取機であって、油圧モータには定容量形油圧モータと可変容量形油圧モータを含み、例えば、歯車モータ、ベーンモータ又はピストンモータ等が使用される。更に、前記油圧モータと油圧ポンプを組み合わせて使用してもよい。油圧モータと油圧ポンプの組み合わせには、可変容量形ポンプと定容量形モータ、定容量形ポンプと可変容量形モータ又は可変容量形ポンプと可変容量形モータの組み合わせが使用される。本実施例においては、巻取機の捲き取り速度、即ち油圧モータの回転数を油圧モータにかかるトルクと連動させて制御するように構成される。例えば、リード線30を捲き取り中に、筒状連結器具1が障害物のために進行が妨げられると、油圧モータにかかるトルクが上昇する。そのために、油圧モータにかかるトルクが所期設定値をオーバーすると、油量と油の供給圧力が制御され、油圧モータの回転数が低下し、捲き取り速度が遅くなるので、筒状連結器具1は障害物を避けてゆっくりと進行するようになる。更に、リード線にかかる力がリード線の強度を超える場合には事前に巻取機が停止するように安全弁が設けられている。前記構成により、更に作業の効率化と安全が確保される。
【0029】
<実験結果>
前記実施例について、発明者は、千葉県内において非公開で既に約10数件の作業を行った結果、既設管、新設管又はリード線が切断ないし外れることは1回もなかった。リード線の既設管への挿通もスムーズに行われ、作業が中断したり無駄な作業を繰り返し行うこともなく、従来の公知の更新方法に比較して作業効率が格段に向上した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る地中に埋設された既設管の更新方法及びこれに使用する管の連結器具は、既設管と新設管と筒状連結器具を筒状一体に連結することによって、更新作業が非開削で容易且つ短時間にでき、しかも安全で経済的にも極めて優れた効果を奏するので極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る筒状連結器具を構成する要素の組立分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る筒状連結器具にリード線を連結し、既設管と新設管を締着固定した一部切断正面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る筒状連結器具を構成する要素の組立分解斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る筒状連結器具にリード線を連結し、既設管と新設管を締着固定した一部切断正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る地中に埋設された既設管の更新方法の概略を示す説明図である。
【図6】(a)は、本発明の実施形態に係る筒状連結器具のリード線先端部とリード線連結部材を示す斜視図であり、(b)は、リード線先端部にリード線連結部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1:筒状連結器具、
10:筒状体、11:ピン部材、12:ピン挿通孔、13:筒接続部、14:雄ネジ部、
20:ナット部、21:締着部材、21a:第一締着部、21b:第二締着部、22:座金、23:弾性部材、24:螺旋溝、25:円錐状カバー、26:円錐部、
30:リード線、31:リード線連結部材、32:ピン挿通孔、33:ネジ固定具、34:ボルトネジ、
41:既設管、41a:既設管の一端部、41b:既設管の他端部、42:新設管、
50:掘削部、51:巻取機、52:油圧ホース、53:油圧ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された既設管の一端部と新設管の一端部を連結器具を介して連結し、該連結器具を既設管内を挿通したリード線によって既設管の他端部側から引っ張ることによって既設管を新設管に交換する更新方法であって、前記連結器具として筒状連結器具を用いるものであり、既設管の一端から既設管内にリード線を挿通するステップと、前記リード線の一端部を前記筒状連結器具内部に誘導し、該筒状連結器具にリード線連結部材によって連結するステップと、前記既設管の一端部を筒状連結器具内の一端部に締着部材によって締着固定し、前記新設管の一端部を筒状連結器具内の他端部に締着部材によって締着固定して既設管と新設管と筒状連結器具を筒状一体に連結するステップと、前記リード線の他端部を巻取機で引っ張ることによって、筒状連結器具を移動させて既設管の端部を押し出す力の作用によって既設管をリード線とともに地上に引き出して巻き取り、同時に既設管を引き抜いた後の空洞に新設管を引き込むステップと、を有することを特徴とする既設管の更新方法。
【請求項2】
前記既設管にリード線を挿通するステップにおいて、前記リード線連結部材を取り外した状態で既設管にリード線を挿通し、リード線を挿通した後でリード線先端部にリード線連結部材を取り付けることを特徴とし、前記リード線の他端部を巻取機で引っ張るテップにおいて、地面掘削用機器の油圧装置に接続した油圧モータによって油圧式巻取機を駆動し、前記油圧モータの回転数を油圧モータのトルクと連動させて制御することによって、巻取機の捲き取り速度をトルクに応じて調整することを特徴とする請求項1記載の既設管の更新方法。
【請求項3】
地中に埋設された既設管を新設管に交換する更新方法に用いる管の連結器具であって、筒状体の両端に形成された雄ネジ部に既設管または新設管が挿通可能な貫通孔を有するナット部が螺着可能に設けられた本体と、既設管の一端部を締着可能とする第一締着部と、新設管の一端部を締着可能とする第二締着部と、既設管に挿通されるリード線の一端部を連結可能とする連結部と、先端部が細く中心部に既設管が挿通可能な大きさの貫通孔を有し、後端部が本体の先端部と着脱自在に嵌合可能な円錐状カバーと、を備えることを特徴とする筒状連結器具。
【請求項4】
地中に埋設された既設管を新設管に交換する更新方法に用いる管の連結器具であって、筒状体の両端に形成された雄ネジ部に既設管または新設管が挿通可能な貫通孔を有するナット部が螺着可能に設けられた本体と、既設管の一端部を締着可能とする第一締着部と、新設管の一端部を締着可能とする第二締着部と、既設管に挿通されるリード線の一端部を連結可能とする連結部と、を備え、前記既設管側の本体の端部が細い円錐状に形成されてなることを特徴とする筒状連結器具。
【請求項5】
前記第一締着部又は第二締着部は、前記ナット部とナット部の内側にある弾性割リング状からなる締着部材を備え、前記締着部材はナット部に対向する側がテーパー状に形成してあり、テーパー状の先端部がナット部の内側に係合して、ナット部を緊緩するのに応じて内径が縮小拡大可能に設けられており、前記締着部によって既設管または新設管が着脱可能となることを特徴とする請求項3または4記載の筒状連結器具。
【請求項6】
前記筒状体の両端部の内壁には、弾性部材が嵌合する溝が形成されており、この溝に弾性部材が嵌合し、弾性部材に隣接させて座金及び締着部材が配置され、その上からナット部を被せて螺合する構成からなることを特徴とする請求項5記載の筒状連結器具。
【請求項7】
前記リード線は可撓性を有する撚り線からなり、該リード線の一端部を筒状連結器具に連結可能とする前記連結部は、リード線の先端部に着脱自在に固着されるリード線連結部材と、ピン部材とを備え、前記リード線連結部材に設けられたピン部材挿通孔と筒状体の中間部に設けられたピン部材挿通孔にピン部材を嵌入してリード線の一端部と筒状体とが連結可能に構成されてなることを特徴とする請求項3または4記載の筒状連結器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−92508(P2007−92508A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35617(P2006−35617)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(505371793)共瑩工業有限会社 (1)
【Fターム(参考)】