地図データ、地図データの作成方法及び電子機器
【課題】地図データを区画単位で作成する場合に、区画内の特定データへのアクセス効率を向上させることができるようにする。
【解決手段】地図データは、地図収録エリアを分割して定められるメッシュ毎に、このメッシュ内の道路ネットワークに関するデータが格納されたメッシュ単位データを有する。メッシュ単位データの夫々は、該当メッシュ内の道路ネットワークに関するデータとして、各路線の属性を表す路線レコード、各リンクの属性を表すリンクレコード、リンク上の各点の座標を表す座標レコードを有すると共に、メッシュ内を複数区画に分割して定められる仮想小区画毎に、仮想小区画内の各路線に対応する路線レコード及び座標レコードの格納位置を表す参照用データとしての小区画路線レコードを備える。この地図データ構造によれば、小区画路線レコードの参照により、各仮想小区画に対応する路線のデータに効率的にアクセスすることができる。
【解決手段】地図データは、地図収録エリアを分割して定められるメッシュ毎に、このメッシュ内の道路ネットワークに関するデータが格納されたメッシュ単位データを有する。メッシュ単位データの夫々は、該当メッシュ内の道路ネットワークに関するデータとして、各路線の属性を表す路線レコード、各リンクの属性を表すリンクレコード、リンク上の各点の座標を表す座標レコードを有すると共に、メッシュ内を複数区画に分割して定められる仮想小区画毎に、仮想小区画内の各路線に対応する路線レコード及び座標レコードの格納位置を表す参照用データとしての小区画路線レコードを備える。この地図データ構造によれば、小区画路線レコードの参照により、各仮想小区画に対応する路線のデータに効率的にアクセスすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ及び地図データに基づいた処理を実行する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図データに基づいた処理を実行する電子機器としては、地図画像を表示デバイスに表示したり、目的地までの誘導経路を探索及び案内したりする車載型の電子機器(所謂ナビゲーション装置)が知られている。
【0003】
また、この種の電子機器としては、描画用の地図データ及び経路探索用の地図データを備える機器、縮尺に応じた階層毎の地図データを備える機器、並びに、地図収録エリアを複数区画に分割してなる区画毎に地図データ(以下、区画単位地図データと表現する。)を備える機器等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
地図収録エリア内を複数区画に分割し、区画単位地図データを作成する技術によれば、特定道路のデータにアクセスする際、該当する道路が存在する区画の区画単位地図データを選択的に参照して、目的データに効率的にアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−283777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者らは、電子機器に対して階層毎に地図データを設けず、更には、経路探索用及び描画用の夫々に対する地図データを設けずに、各処理に共通する単一層の地図データを設けることを考えている。層毎や処理毎の地図データを用意すると、地図データを更新する作業等の地図データの管理が煩雑になる等の理由からである。
【0007】
しかしながら、地図画像の描画に際しては、縮尺に応じて地図画像の表示エリアが変化し、これを原因として地図収録エリアにおけるデータアクセスが必要なエリアが変化する。即ち、区画単位地図データの作成単位である上記区画のサイズは、表示エリアのサイズに応じて最適サイズが異なる一方、単一層の地図データを作成する場合には、区画サイズが単一化されてしまう。このため、上述のように地図データを構成する場合、描画する地図画像の縮尺によってはデータアクセス効率が劣化する問題が生じる。
【0008】
例えば、地図データについては、これを区画毎にデータファイル化することで、地図データの管理や目的データへのアクセス効率を向上させることが考えられるが、細かく地図収録エリアを分割して、区画毎のデータファイルを作成すると、小縮尺で広い地域の地図画像を表示する場合には、地図画像の表示エリアが複数区画に及ぶことになり、ファイルオープン等に関する処理動作が増大する。
【0009】
一方、上記区画のサイズを大きくすると、大縮尺で狭い地域の地図画像を表示する場合に、この地図画像を表示するのにデータアクセスが必要なエリアに対し、区画単位地図データにおける地図の収録エリアが広すぎて、目的データを効率的に読み出すことができなくなる。
【0010】
また、細かく地図収録エリアを分割して、区画毎のデータファイルを作成すると、道路ネットワークが区画毎に断片的に表現されることになり、区画境界での道路の接続関係の記述や把握が難しくなる。
【0011】
このように、地図収録エリアを分割して区画単位地図データを作成する場合には、区画を小サイズ化すると、広い地域に対応するデータへのアクセス効率が、ファイルオープン等に関する処理動作の増大を伴って劣化し、更には、道路ネットワークが断片的に表現されることになって、道路の接続関係の把握等に不都合が生じる。
【0012】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素を表す区画単位地図データを作成して、区画単位地図データを構成部品とする地図データを作成する場合において、区画を小サイズ化しなくとも、区画内の特定データへのアクセス効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明の地図データは、地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素に関する情報が記述された区画単位地図データを有する地図データであって、区画単位地図データが次のように構成されたものである。
【0014】
即ち、区画単位地図データの夫々は、該当区画内の地図構成要素毎に、この地図構成要素の属性を表す属性データを有すると共に、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する上記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを有する(請求項1)。
【0015】
この地図データによれば、区画単位地図データ内に、地図構成要素毎の属性データを格納しているが、これとは別に、仮想的な小区画を定義して、区画単位地図データ内に、小区画毎の参照用データを格納している。即ち、本発明では、参照用データを通じて、各小区画の属性データに簡単にアクセスできるようにしている。
【0016】
従って、本発明によれば、区画単位地図データの作成単位である上記区画を小サイズ化しなくとも、区画内の特定データへのアクセス効率を向上させることができる。
尚、道路ネットワークを表現する地図データに本発明を適用する場合、上記区画単位地図データの夫々は、地図収録エリア内の道路ネットワークを細分化して得られる道路要素群であって複数道路が接続される地点で少なくとも区切られる道路要素群の内、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、この道路要素の属性を表す道路要素属性データを、上記地図構成要素毎の属性データとして有する一方、小区画毎に、上記参照用データとして、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する上記道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを有する構成にすることができる(請求項2)。
【0017】
ここで言う道路要素属性データとしては、道路の形状や座標・種類を表すデータを挙げることができる。また、道路ネットワークを構成する道路要素としては、所謂リンクが知られているが、ここで言う道路要素は、リンクに限られない。例えば、リンクには、形状補間点(座標点)が設けられるが、リンクにおける形状補間点で区切られる区間を、一つの道路要素と取り扱うことができる。
【0018】
このように地図データを構成すれば、区画単位地図データの作成単位である上記区画を小サイズ化しなくても、目的とする道路要素属性データへのアクセス効率を向上させることができ、本発明によれば、例えば、縮尺の異なる地図画像を、表示デバイスに表示するのに好適な地図データを構成することができる。
【0019】
例えば、地図画像の縮尺を大きくすると、拡大地図画像が表示されることになって地図画像の表示エリアが狭くなるが、この場合には、参照用データを通じて、単一区画内の表示エリアに対応する数個の小区画の道路要素属性データに対して簡単にアクセスすることができる。一方、地図画像の縮尺を小さくすると、縮小地図画像が表示されることになって表示エリアが広くなるが、予め、縮尺の可変範囲に応じて、区画単位データの作成単位である上記区画のサイズを決定しておけば、縮尺が小さくても、地図画像の描画に必要なデータを収集するために、多数の区画単位データに対してアクセスしなくても済む。
【0020】
また、道路ネットワークを表現する地図データについては、上記区画のサイズを小さくすると道路ネットワークが断片的に表現されて、道路の接続関係に関して記述及び把握が難しくなるが、本発明によれば、仮想的に小区画を設定しているので、小区画を設定することにより道路ネットワークが断片化するのを回避することができ、描画処理や経路探索処理等の複数の処理に適した地図データを構成することができる。
【0021】
また、区画単位地図データについては、道路ネットワークにおける各路線へのデータアクセスを簡単にするために、次のように構成されるとよい。即ち、区画単位地図データの夫々は、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する道路要素属性データが路線の流れに沿って順に配列された構成にされるとよい。
【0022】
更に、道路要素参照用データの夫々は、路線毎に、この路線を構成する道路要素群の内、路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データを備えた構成にされるとよい(請求項3)。
【0023】
具体的に、路線参照用データの夫々は、上記道路要素属性データ群を特定可能な情報として、上記第一の道路要素又は上記第二の道路要素に対応する道路要素属性データの格納位置、及び、該当路線における上記第一の道路要素から上記第二の道路要素までの道路要素群に対応する道路要素属性データの数が記述された構成にすることができる(請求項4)。
【0024】
地図画像の描画に際しては、路線毎に道路の表示形態を切り替えることが多い。例えば、有料道路に対応する路線については、青色、一般国道に対応する路線については、赤色といった具合に、道路の表示色を切り替えることが多い。従って、路線毎に、対応する道路要素属性データへのアクセスを可能とすると、描画処理の効率が向上する。
【0025】
また、有料道路、一般国道などの路線の属性については、道路要素属性データではなく、路線毎の路線属性データとして設けることができるが、この場合、路線参照用データは次のように構成することができる。
【0026】
即ち、区画単位地図データが、路線毎に、この路線の属性を表す路線属性データを備えた構成にされている場合、路線参照用データの夫々は、上記道路要素属性データ群を特定可能な情報に加えて、該当路線の路線属性データの格納位置を特定可能な情報が記述された構成にされるとよい(請求項5)。このような情報を記述すれば、路線属性データを設ける場合にも、路線属性データへの高速アクセスが可能となる。
【0027】
また、上述した発明は、区画単位地図データの夫々が個別のデータファイルとして構成された地図データに特に有効である(請求項6)。即ち、地図データが複数のデータファイルにより構成され、区画毎に、該当区画の区画単位地図データが格納されたデータファイルを備える構成にされている場合には、区画単位地図データ毎に、ファイルオープンの動作が必要になる。このような地図データに、上述した思想を適用すれば、データアクセス性の観点から好ましい地図データを構成することができる。
【0028】
また、本発明の地図データは、記録媒体に記録して又は電気通信回線を通じて、ユーザに提供することができる。
この他、本発明の地図データは、地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、区画単位地図データを作成する工程を含み、作成した区画単位地図データをまとめて、区画単位地図データを構成部品とする地図データを作成する方法であって、区画単位地図データを作成する工程では、上記区画毎に、該当区画内の各地図構成要素の属性を記述した地図構成要素毎の属性データを作成する一方、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する上記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを作成して、これら属性データ及び参照用データを構成部品とする該当区画の区画単位地図データを作成する方法によって、作成することができる(請求項7)。
【0029】
道路ネットワークを表現する地図データを作成する場合には、区画単位地図データを作成する工程において、上記区画毎に、上記地図構成要素毎の属性データとして、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、道路要素の属性を記述した道路要素属性データを作成し、上記小区画毎の参照用データとして、小区画毎に、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを作成すればよい(請求項8)。
【0030】
この他、区画単位地図データを作成する工程は、上記区画単位地図データとして、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する上記道路要素属性データを路線の流れに沿って順に配列するようにまとめたデータを作成する一方、上記道路要素参照用データとして、該当小区画内を通る路線毎に、この路線を構成する道路要素群の内、路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データを作成することによって、路線参照用データを構成部品とする道路要素参照用データを作成する工程とすることができる(請求項9)。
【0031】
また、記録媒体から本発明の地図データを読込可能な電子機器であって、地図データに基づく特定種類の処理を実行可能な構成にされた電子機器においては、上記特定種類の処理を実行する処理実行手段を、次のように構成することができる。
【0032】
即ち、処理実行手段は、地図収録エリア内におけるデータ読込対象エリアを上記小区画の単位で決定し、決定したデータ読込対象エリア内の各小区画に対応する上記参照用データに基づき、データ読込対象エリア内の各地図構成要素に対応する上記属性データの格納位置を特定して、該当する属性データを地図データから選択的に読み込み、読み込んだ属性データを用いて、上記特定種類の処理を実行する構成にすることができる(請求項10)。
【0033】
例えば、上記処理実行手段は、上記特定種類の処理として、表示デバイスに地図画像を表示する処理を実行する構成にすることができる。この場合、処理実行手段は、上記データ読込対象エリアとして、表示デバイスに表示する地図画像に対応するエリアを小区画の単位で決定し、このエリアに対応する上記属性データを、地図データから選択的に読み込み、読み込んだ属性データを用いて、表示デバイスに地図画像を表示する構成にすることができる。このように構成された電子機器によれば、上記地図データの構成を生かして、効率的に目的データにアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】地図データの基本構成図である。
【図2】メッシュ単位データの構成図である。
【図3】仮想メッシュに関する説明図である。
【図4】小区画路線数/小区画路線レコードに関する説明図である。
【図5】路線/セグメント/リンク/座標レコードの構成を表す図である。
【図6】路線、セグメント、リンク及び座標間の関係を示した図である。
【図7】路線/セグメント/リンク/座標レコードの配列順を表す図である。
【図8】リンクレコードで表現されるリンクの接続関係に関する説明図である。
【図9】ナビゲーション装置10の概略構成を表すブロック図である。
【図10】制御回路19が実行する道路線描画処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
<1 地図データの構造>
本実施例の地図データは、車両に搭載されるナビゲーション装置に組み込まれるものである。図1に示すように、この地図データは、地図収録エリアを複数区画に分割して定められるメッシュ(区画)毎のデータファイル(以下、単に、「メッシュ単位データ」と表現する。)と、メッシュ単位データ群を管理するための管理データファイルと、を含むデータファイル群で構成される。
【0036】
上記メッシュは、地図収録エリアを包含する矩形領域を複数区画に分割して定められるものであり、管理データファイルには、矩形領域内のメッシュ毎に、このメッシュに対応するメッシュ単位データが存在するか否かを表す情報が格納される。一方、メッシュ単位データには、メッシュ内の道路ネットワークに関する情報(道路データ)が格納される。各メッシュ単位データは、地図データ内において、メッシュの配列に対応した順序で配列される。
【0037】
このメッシュ単位データは、メッシュ内の道路ネットワークをリンクの接続により表現するものである。本実施例の地図データにおけるリンクは、隣接メッシュとの境界を跨ぐことなく、該当するメッシュの境界で必ず区切られており、各メッシュ単位データは、隣接するメッシュに対して閉じたデータとして構成され、隣接メッシュ間を跨ぐ道路は、各メッシュのリンクのメッシュ境界での接続により表現される。
【0038】
以下では、複数リンクが接続される点をノードと表現するが、本実施例の地図データでは、従来の地図データとは異なり、リンクの接続関係を表す情報等の従来ノードデータに記述されていた情報が、複数のリンクデータに分散して記述される。即ち、本実施例の地図データは、リンクデータとは別個のノードデータを保持していない点に注意されたい。
【0039】
また、本実施例の地図データは、メッシュ単位データを階層毎に備えるものではない点で、従来の地図データとは異なる。即ち、本実施例の地図データには、縮尺に応じた各層の道路ネットワークに対して従来階層毎に設けられていた道路データ(メッシュ単位データ)が、単一層の道路データ(メッシュ単位データ)として格納されている点に注意されたい。
<1.1 メッシュ単位データ>
本実施例の地図データを構成するメッシュ単位データは、メッシュ内の道路ネットワークを表すデータファイルとして、各メッシュに対して一つ設けられる。
【0040】
このメッシュ単位データは、図2に示すように、ヘッダと、小区画路線数レコード1〜B1群から構成される小区画路線数リストLb1と、小区画路線レコード1〜B2群から構成される小区画路線リストLb2と、路線レコード1〜B3群から構成される路線リストLb3と、セグメントレコード1〜B4群から構成されるセグメントリストLb4と、リンクレコード1〜B5群から構成されるリンクリストLb5と、座標レコード1〜B6群から構成される座標リストLb6と、道路名称IDレコード群1〜B7群から構成される道路名称IDリストLb7と、道路番号名称IDレコード群1〜B8群から構成される道路番号名称IDリストLb8と、道路/道路番号名称辞書Lb9と、を主に備える。
<1.2 メッシュ単位データの詳細>
<1.2.1 ヘッダ>
メッシュ単位データに格納されるヘッダは、当該メッシュ単位データの構成を定義するものであり、固定長で表現される。具体的に、ヘッダは、メッシュ単位データに格納されるデータリスト(Lb1〜Lb9)の配列順に、データリストの大きさを表す情報を有する。データリストの大きさは、固定長のレコード群から構成されるデータリスト(Lb1〜Lb8)の場合、データリスト内のレコード数の情報として記述される。一方、非固定長のレコード群から構成されるデータリスト(Lb9)の場合には、そのデータサイズ(バイト数)の情報として記述される。即ち、ヘッダには、図2に示すように、小区画路線数リストLb1のレコード数B1、小区画路線リストLb2のレコード数B2、路線リストLb3のレコード数B3、セグメントリストLb4のレコード数B4、リンクリストLb5のレコード数B5、座標リストLb6のレコード数B6等の情報がヘッダ内に順に記述される。
<1.2.2 小区画路線数レコード>
小区画路線数リストLb1を構成する小区画路線数レコードは、仮想小区画内の路線数を表す固定長のレコードである。
【0041】
ここで、仮想小区画について、その詳細を説明する。本実施例の地図データには、仮想メッシュの概念が用いられている。仮想メッシュは、各メッシュ単位データに対応するメッシュが更に複数区画に分割されて定められるメッシュ(区画)である。本実施例では、図3に示すように各メッシュ単位データに対応するメッシュを64分割して仮想メッシュを定義している。仮想メッシュは、例えば、20km四方のメッシュが64分割されて、2.5km四方に設定される。上記仮想小区画は、このように定義される仮想メッシュの一つから構成される。
【0042】
ここで「仮想」と表現しているのは、仮想メッシュに対応するデータについてはメッシュ単位データのように独立したデータファイルとして構成されていないこと、及び、リンクが仮想メッシュを境界として区切られておらず仮想メッシュの境界を基準に明確にデータが分離されて管理されていないこと等を理由とするものである。この点で仮想メッシュは、メッシュ単位データに対応するメッシュとは区別される。
【0043】
小区画路線数レコードは、このように定義される仮想小区画内の路線数を表すものであり、仮想小区画毎に設けられる。小区画路線リストには、図4(a)に示すように、メッシュ内の仮想小区画毎に、この小区画路線数レコードが表す路線数と同一数の小区画路線レコードが設けられる。図4(a)は、小区画路線レコードと小区画路線数レコードとの対応関係を示した図である。
<1.2.3 小区画路線レコード>
続いて、小区画路線リストLb2を構成する小区画路線レコードについて説明する。小区画路線レコードは、図4(a)に示すように、仮想小区画毎に、当該仮想小区画に存在する路線の一つ一つに対して設けられる。小区画路線リストLb2には、小区画路線数リストLb1における小区画路線数レコードに対応する順序で、該当仮想小区画の小区画路線レコード群が配列される。
【0044】
この小区画路線レコードは、図4(b)に示すように、このレコードが記述対象とする路線に対応する路線レコードの格納先を表す情報、この路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)の先頭に対応する座標レコードの格納先を表す情報、及び、この路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)に対応する座標点数(座標レコード数)の情報を有する固定長のレコードである。図4(b)は、小区画路線レコードの構成を表す図である。
【0045】
具体的に、上記「路線レコードの格納先を表す情報」は、該当路線レコードの路線リストLb3内での配列番号(以下、「路線リスト配列番号」と言う。)の情報によって記述される。例えば、該当路線レコードが路線リストLb3内で先頭からα番目に格納されている場合、小区画路線レコードには、上記「路線レコードの格納先を表す情報」として、値αが記述される。
【0046】
同様に、上記「座標レコードの格納先を表す情報」は、該当座標レコードの座標リストLb6内での配列番号(以下、座標リスト配列番号)と言う。)を表す。例えば、該当座標レコードが座標リストLb6内で先頭からβ番目に格納されている場合、小区画路線レコードには、上記「座標レコードの格納先を表す情報」として、値βが記述される。
【0047】
また、上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、次のように定義される。ここでは、図4(c)に示すように、リンクLk1,Lk2,Lk3が順に接続されてなる路線であって、仮想小区画BのリンクLk1に続くリンクLk2が仮想小区画A、仮想小区画B及び仮想小区画Cを通って、仮想小区画CのリンクLk3に接続される路線を例に挙げて説明する。図4(c)白丸は、リンクの接続点(ノード)を表す。リンクLk1とリンクLk2との接続点は仮想小区画Bに位置し、リンクLk2とリンクLk3との接続点は仮想小区画Cに位置する。また、図4(c)黒丸は、座標レコードとして地図データ内で座標が保持されている点を示す。但し、座標は、黒丸以外に白丸(リンクの接続点)に関しても保持される。ここでは、これらの点の夫々を座標保持点P1〜P5と表現する。
【0048】
上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、第一種類のエリア(路線部分)と、第二種類のエリア(路線部分)とに分類され、上記小区画路線レコードは、仮想小区画毎及び路線毎に、第一種類及び第二種類のエリアの夫々に対して設けられる。
【0049】
第一種類のエリアは、該当路線の該当仮想小区画内に位置する座標保持点を結ぶエリア(路線部分)と、このエリア(路線部分)の端点に位置する座標保持点から、当該座標保持点に隣接する座標保持点であって該当仮想小区画外の座標保持点までのエリア(路線部分)と、を結んだエリア(路線部分)によって定義される。要するに、第一種類の上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、この路線の該当仮想小区画内に位置する各座標保持点と仮想小区画外に一つ出た座標保持点とを結んだエリア(路線部分)によって定義される。
【0050】
一方、第二種類のエリア(路線部分)は、隣接する座標保持点が他の仮想小区画を跨いで接続される場合に、当該隣接する座標保持点間を結ぶエリア(路線部分)によって定義される。この第二種類の上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、当該跨がれる対象の仮想小区画(例えば、座標保持点P3及び座標保持点P4が跨ぐ仮想小区画B)についての上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」として定義される。
【0051】
詳述すると、図4(c)に示す例によれば、リンクLk1,Lk2,Lk3を結ぶ路線の仮想小区画Aを通るエリア(路線部分)は、座標保持点P1,P2,P3,P4を結ぶエリア(路線部分)に設定され、この路線の仮想小区画Aに対応する小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Aを通るエリアの先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報として、座標保持点P1,P2,P3,P4の内、座標リストLb6において座標リスト配列番号の最も若い座標保持点P1の座標リスト配列番号が記述され、上記座標レコードの総数を表す情報として値4が記述される。
【0052】
尚、本実施例の座標リストLb6には、路線レコードに対応する順序で、路線レコードが示す路線上の各点での座標を表す座標レコードが配列され、各路線に対応する座標レコード群は、当該路線の流れに沿って、座標レコードに対応する地点が該当路線を一方向に進むように配列されている。従って、この路線の仮想小区画Aを通るエリアの先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報と、このエリアにおける座標点数(座標レコード数)を表す情報とによって、このエリアに対応する各座標保持点に対応する座標レコードの格納位置は、特定される。
【0053】
一方、この路線の仮想小区画Bに対応する小区画路線レコードは、二つ用意される。第一の小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Bを通るエリア(路線部分)としての座標保持点P1,P2及び図示しない座標保持点P1より遡った地点を結ぶエリア(路線部分)の先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報(座標リスト配列番号)が記述される。また、第二の小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Bを通るエリア(路線部分)としての座標保持点P3,P4を結ぶエリアの先頭に対応する座標レコードの格納先を表す情報として、座標保持点P3に対応する座標リスト配列番号が記述され、座標レコードの総数を表す情報として値2が記述される。但し、始点〜P1、P2、P3、P4と一つにまとめて記述することもできる。
【0054】
また、この路線の仮想小区画Cに対応するエリア(路線部分)は、座標保持点P3,P4,P5及び同一路線の図示しない下流の座標保持点を結ぶエリア(路線部分)に設定され、小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Cを通るエリア(路線部分)の先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報として、座標リストLb6において座標リスト配列番号の最も若い座標保持点P3の座標レコードの配列番号が記述される。
【0055】
即ち、小区画路線レコードの夫々は、互いに隣接する二つの座標保持点を結ぶリンクの部位を一つと道路要素としてみたときに、路線の流れに沿って該当する仮想小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、この仮想小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する座標レコード群の格納位置、及び、該当する路線レコードの格納位置を特定可能なレコードとして構成される。
<1.2.4 路線レコード>
続いて、路線レコードについて説明する。路線レコードは、該当路線の属性情報を含むレコードであり、同一路線に属するリンク列を定義するレコードである。上述の「路線」とは、メッシュ内において、一条(ひとすじ)に接続されるリンク列でグループ化される道路区画のことを言う。路線は、例えば、一条に接続される同一道路名称及び同一道路番号のリンク列により定義することができる。
【0056】
この路線レコードは、図5(a)に示すように、記述対象とする路線の名称属性、この路線の道路属性、この路線先頭に対応する座標レコードの座標リスト配列番号、この路線に対応する座標レコード数、この路線先頭のセグメントに対応するセグメントレコードのセグメントリストLb4における配列番号(以下、セグメントリスト配列番号と言う。)、及び、路線を構成するセグメント数の情報を有する。図5(a)は、路線レコードの構成図である。
【0057】
具体的に、この路線レコードは、上記「名称属性」として、この路線に対応する道路名称IDレコード及び道路番号名称IDレコードの道路名称IDリストLb7及び道路番号名称IDリストLb8における格納位置を特定可能な情報を有する。道路名称IDレコードは、対応する道路名称が登録された道路/道路番号名称辞書上の位置を表し、道路名称番号IDレコードは、対応する道路番号名称が登録された道路/道路番号名称辞書上の位置を表すものである。道路名称IDレコード及び道路名称番号IDレコードは、固定長のレコードで構成され、道路/道路番号名称辞書内の登録語は、可変長のレコードで構成される。
【0058】
一方、路線レコードは、上記「道路属性」として、この路線が有料道路及び非有料道路のいずれであるかの情報やこの路線の道路ランク(所謂道路種別)の情報を有する。本実施例において各路線は、高速道路、一般国道、県道、細街路、それ以外の一般道のいずれかの道路ランクに分類されており、この情報は、上記「道路属性」として路線レコードに記述される。
【0059】
また、路線レコードに記述される上記「路線先頭に対応する座標レコードの座標リスト配列番号」及び「座標レコード数」の情報は、この路線に対応する各点での座標を表す座標レコード列を座標リストLb6内で特定するために用いられる。上述したように、座標リストLb6では、路線の流れに沿って路線上の各点での座標を表す座標レコードが配列されている。従って、「路線先頭に対応する座標レコードの座標リスト配列番号」及び「座標レコード数」の情報によって、路線に対応する各座標レコードは特定可能である。
【0060】
また、路線レコードに記述される上記「路線先頭のセグメントに対応するセグメントリスト配列番号」及び上記「路線を構成するセグメント数」の情報は、路線レコードを構成するセグメント列に対応する各セグメントレコードを、セグメントリストLb4内で特定するために用いられる。
【0061】
ここで、セグメントについて説明する。本実施例で言うセグメントは、道路ネットワークを構成するリンク群の内、主要道路に対応する複数リンクからなるリンク列であって、図6(a)に示すように、主要道路の交差点で少なくとも区切られるリンク列を一単位とするものである。このセグメントは、路線レコードで定義される一つの路線から他の路線へ跨がないように定義される。即ち、セグメントは、路線レコードで定義される一つの路線を構成するリンク列を分割したときの各グループに対応する。図6(b)には、路線レコードとセグメントレコードとの対応関係を示す。セグメントレコードは、通常、一つの路線レコードに対して複数設けられる。但し、セグメントは、路線レコードで定義される一つの路線を構成するリンク列の全てを含む場合もありうる。即ち、一つの路線レコードに対して一つのセグメントレコードが対応付けられる場合もありうる。
【0062】
このセグメントは、複数層のデータで構成される従来の地図データで用いられる所謂「上位リンク」に代わるものであり、主要道路ではない路線に対しセグメントは定義されない。即ち、上記「路線先頭のセグメントに対応するセグメントリスト配列番号」及び上記「路線を構成するセグメント数」の情報は、主要道路に対応する路線レコードに対してのみ記述され、セグメントの定義されない所謂主要道路ではない路線に対応する路線レコードには、セグメントリスト配列番号及びセグメント数の代わりに、この路線先頭のリンクに対応するリンクレコードのリンクリストLb5における配列番号(以下、リンクリスト配列番号と言う。)、及び、路線を構成するリンク数の情報が記述される。
【0063】
本実施例では、地図データを単一層としているので、道路ネットワークが細かく表現される。セグメントデータは、この道路ネットワークを仮想的に粗く表現するために用いられる。
【0064】
尚、セグメントリストLb4には、座標レコードと同様、路線の流れに従って各セグメントに対応するセグメントレコードが配列されている。具体的には、座標リストLb6における座標レコードの配列順及び路線リストLb3における路線レコードの配列順に対応する順序で、各セグメントに対応するセグメントレコードが配列されている。従って、路線レコードに記述される上記「路線先頭のセグメントに対応するセグメントリスト配列番号」及び上記「路線を構成するセグメント数」の情報によって、当該路線を構成する各セグメントのセグメントレコードは、特定可能である。
【0065】
また、セグメントリスト配列番号及びセグメント数の代わりに、リンクリスト配列番号及びリンク数が記述されているか否かは、後述する道路ランク順のレコード配列及びセグメントレコード数B4を利用することによって特定可能である(詳細後述)。
<1.2.5 セグメントレコード>
セグメントレコードは、上述したように、道路ネットワークを構成するリンク群の内、主要道路に対応する複数リンクからなるリンク列であって、主要道路の交差点で少なくとも区切られるリンク列を単位とするセグメント毎に設けられるものである。
【0066】
即ち、本実施例では、主要道路の道路ネットワークを、セグメントの接続により表現しており、主要道路の交差点は、セグメントの接続により表現される。このような主要道路の交差点で区切られるセグメントに関するセグメントデータは、対応するセグメントを構成するリンク列の各リンクレコードを特定可能な情報を有する。
【0067】
図5(b)は、セグメントレコードの構成図である。セグメントレコードは、該当するセグメントを構成するリンク列の先頭に位置するリンクに対応するリンクレコードのリンクリストLb5における配列番号(リンクリスト配列番号)と、セグメントを構成するリンク数の情報とからなる。
【0068】
リンクリストLb5には、座標レコードと同様、路線の流れに従って各リンクに対応するリンクレコードが配列されている。具体的には、座標リストLb6における座標レコードの配列順及び路線リストLb3における路線レコードの配列順に対応する順序で、各リンクに対応するリンクレコードが配列されている。従って、セグメントレコードに記述される上記「セグメントを構成するリンク列の先頭に位置するリンクに対応するリンクレコードのリンクリスト配列番号」及び「セグメントを構成するリンク数」の情報によって、当該セグメントを構成する各リンクのリンクレコードは、特定される。
【0069】
また、上記「主要道路」としては、例えば、道路ランクが「高速道路」「国道」「県道」のいずれかである道路を挙げることができる。この場合、セグメントは、「高速道路」「国道」「県道」に対応するリンク列に対して設定され、「一般道」「細街路」に対応するリンク列に対しては設定されない。即ち、セグメントリストLb4には、図7に示すように、道路ランクが「高速道路」「国道」「県道」の道路に対応するセグメントレコードが格納されるものの、道路ランクが「一般道」「細街路」である道路のセグメントレコードについては、格納されない。但し、ここで言う「主要道路」は、高速移動可能であるか否かの観点に従って道路ランクを二分したときの高速移動可能な道路ランク側の道路のことであり、基準次第では、「一般道」を主要道路に含ませることもできるし、「県道」等を主要道路から外すことも可能である。
<1.2.6 リンクレコード>
続いて、リンクレコードについて説明する。リンクレコードは、メッシュ内の各リンクに対して設けられ、該当するリンクの特徴を表すものである。本実施例のリンクレコードは、該当するリンク両端夫々に関して、当該リンク端点で接続される他リンクとの接続関係を表す情報を有する。
【0070】
図5(c)は、リンクレコードの構成を表す図である。同図に示すように、リンクレコードには、当該リンクの始点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報、当該リンクの終点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報、当該リンクにおける各点の座標を表す座標レコード群を座標リストLb6内で特定可能な情報、リンク長、及び、その他のリンクの道路属性(一方通行等の交通規制情報や車線数、法定速度、リンク端点に対応する交差点での信号機の有無など)を表す情報が格納される。
【0071】
各リンクには、対応する座標レコード群の座標リストLb6内の配列によって方向が定められており、上記リンクの始点とは、リンク両端の内、座標レコードの配列順の若い端点のことを言い、リンクの終点とは、リンク両端の内、始点に該当する端点とは反対側の端点のことを言う。
【0072】
また、「リンクの始点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」は、当該リンクの始点に接続される他リンクに対応するリンクレコードのリンクリスト配列番号である始点側接続リンク番号と、リンク始点側の接続属性を表す始点側接続属性情報とからなる。一方、「リンクの終点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」は、当該リンクの終点に接続される他リンクに対応するリンクレコードのリンクリスト配列番号である終点側接続リンク番号と、リンク終点側の接続属性を表す終点側接続属性情報とからなる。
【0073】
上記リンクレコードには、上記始点側接続リンク番号として、リンク始点に接続される他リンク(複数リンク)の内、所定の規則に従う単一のリンクのリンクリスト配列番号のみが記述される。同様に、上記終点側接続リンク番号として、リンク終点に接続される他リンク(複数リンク)の内、所定の規則に従う単一のリンクのリンクリスト配列番号のみが記述される。この点を含むリンク接続関係の記述方法の詳細については後述する。
【0074】
また、リンクレコードにおいて、上記始点側接続リンク番号と共に記述される始点側接続属性情報は、自リンクが、その始点において、始点側接続リンク番号に対応するリンクの始点及び終点のいずれに接続されるかを表すものである。即ち、始点側接続属性情報は、「始点」又は「終点」のいずれかを表す値を採る。尚、リンクの始点側端点に接続される同一メッシュ内の他リンクがない場合には、始点側接続リンク番号として自リンクのリンクリスト配列番号が記述され、始点属性情報として「始点」を表す値が記述される。リンクの始点に接続される同一メッシュ内の他リンクがない場合としては、行き止まりである場合や、リンクの始点が隣接メッシュとの境界に位置するノード(境界ノード)であって隣接メッシュのリンクにのみに接続される場合などが挙げられる。本実施例では、メッシュ単位データを閉じたデータとするため、隣接メッシュとの境界に位置する境界ノードを挟むリンクの接続関係については、自己のメッシュ内のリンク接続関係についてのみを記述する。
【0075】
同様に、上記終点側接続リンク番号と共に記述される終点側接続属性情報は、自リンクが、その終点において、終点側接続リンク番号に対応するリンクの始点及び終点のいずれに接続されるかを表すものである。リンクの終点に接続される同一メッシュ内の他リンクがない場合には、終点側接続リンク番号として自リンクのリンクリスト配列番号が記述され、終点属性情報として「終点」を表す値が記述される。
【0076】
また、リンクレコードに記述される「各点の座標を表す座標レコード群を座標リストLb6内で特定可能な情報」としては、例えば、リンクレコードを構成する座標点数の情報を挙げることができる。このような情報を用いる場合には、座標リストLb6に、各座標レコードが、リンクリストLb5におけるリンクレコードに対応した順序で配列されていることが前提となる。リンクリストLb5におけるリンクレコードの配列と、座標リストLb6における座標レコードの配列との間にこのような関係があれば、リンクリストLb5の先頭から各リンクレコードに記述された座標点数の情報を参照することで、各リンクレコードに対応する座標レコードを特定することが可能である。
【0077】
但し、「各点の座標を表す座標レコード群を座標リストLb6内で特定可能な情報」としては、リンクレコードに対応するリンク先頭の座標レコードに対応する座標リスト配列番号及びこのリンクに対応する座標レコード数の情報を採用されてもよい。この記述によっても、各リンクレコードに対応する座標レコード群を特定することが可能である。
<1.2.7 座標レコード>
座標リストLb6は、各リンクの端点及び形状補間点毎に、その地点の位置座標(緯度・経度)を表す座標レコードを備える。図5(d)は、座標レコードの構成図である。具体的に、座標レコードは、対応する地点の位置座標としてのX座標(緯度)及びY座標(経度)の情報を有すると共に、この地点の属性情報を有する。座標レコードに記述される属性情報は、対応する点の種類を表す情報を含み、この情報によって、対応する点は、形状補間点、ノード、メッシュ境界に設けられる境界ノード等の予め定められた種類のいずれかに分類される。
<1.2.8 データ配列>
ここで、路線リストLb3における路線レコード1〜B3の配列、セグメントリストLb4におけるセグメントレコード1〜B4の配列、リンクリストLb5におけるリンクレコード1〜B5の配列、座標リストLb6における座標レコード1〜B6の配列について図7を用いてまとめる。
【0078】
本実施例において、路線リストLb3には、メッシュ内の各路線に対応する路線レコードが、道路ランク順に配列される。具体的には、高速道路、一般国道、県道、一般道及び細街路の順に、対応する道路ランクの路線レコードが配列される。このような道路ランク順のデータ配列は、セグメントリストLb4やリンクリストLb5や座標リストLb6に対しても同様に適用される。
【0079】
また、セグメントリストLb4には、上述したように路線レコードに対応した配列順で、当該路線レコードに対応する路線を構成する各セグメントのセグメントレコードが路線の流れに沿う順序で配列される(図6(b)及び図7参照)。
【0080】
また、リンクリストLb5には、セグメントレコードと同様に、路線レコードに対応した配列順で、当該路線レコードに対応する路線を構成する各リンクのリンクレコードが路線の流れに沿う順序で配列される。よって、リンクリストLb5には、セグメントリストLb4に登録されたセグメントの配列順に、当該セグメントを構成するリンク列の各リンクレコードが配列される(図6(b)及び図7参照)。尚、セグメントを構成しない所謂主要道路でない路線については、その路線を構成するリンク列に対応した順序で、当該路線に対応する各リンクレコードが配列されることになる。
【0081】
ちなみに、上記道路ランク順の配列により、セグメントを構成しないリンクのリンクレコードについては、図7に示すように、リンクリストLb5の後半に配置される。一方、セグメントを構成するリンクのリンクレコードについては、リンクリストLb5の前半に配置される。このため、路線レコードにおいて、上述したように、セグメントリスト配列番号及びセグメント数の代わりに、リンクリスト配列番号及びリンク数を記述しても、その記述が、セグメントリスト配列番号及びセグメント数であるのか、リンクリスト配列番号及びリンク数であるのかは、セグメントレコード数B4から特定できる。即ち、配列番号として、セグメントレコード数B4以下の番号が記述されていれば、その記述は、セグメントリスト配列番号ということになり、セグメントレコード数B4を超える番号が記述されいれば、その記述は、リンクリスト配列番号ということになる。
【0082】
また、座標リストLb6には、セグメントレコードやリンクレコードと同様に、路線レコードに対応した配列順で、当該路線レコードに対応する路線上の各点の座標レコードが路線の流れに沿う順序で配列される(図6(b)及び図7参照)。
<1.2.9 リンク接続関係>
続いて、リンクの接続関係の記述方法について説明する。本実施例では、上述したように、「リンクの始点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」及び「リンクの終点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」として、夫々、対応する端点(始点/終点)に接続される単一リンクに関する情報のみしかリンクレコードには記述しない。この点は、ノードデータにより、該当ノードに接続される全てのリンクに関する情報を記述する従来の地図データ(例えばKIWIフォーマット)とは異なる点である。
【0083】
具体的に、本実施例では、同一ノードに接続される複数リンクの接続関係を、同一ノードに接続される各リンクのリンクレコードにおいて、時計回りに記述する。即ち、ノードを中心に時計回りに、隣接するリンクのリンクリスト配列番号を、接続リンク番号(始点側接続リンク番号又は終点側接続リンク番号)として記述する。そして、地図データを使用する際には、これらリンクレコードを、ノードを中心として時計回りに参照することにより、同一ノードに接続された複数のリンクを特定する。
【0084】
図8(a)には、リンクの接続関係の一例と共に、接続リンク番号の記述方向を示す。この例では、注目リンクL0の始点及び終点での他リンクとの接続関係を、次のように記述する。図8(b)は、図8(a)に示す注目リンクL0のリンクレコードに記述する始点側接続リンク番号及び終点側接続リンク番号を示した図である。この例において、注目リンクL0の始点に接続される他リンクは、リンクL1,L2,L3である。そして、これらリンクL1,L2,L3の内、注目リンクL0から見て時計回りに隣接するリンクは、リンクL1である。このため、注目リンクL0のリンクレコードには、始点側接続リンク番号として、リンクL1のリンクリスト配列番号を記述する。
【0085】
また、注目リンクL0の終点に接続される他リンクは、リンクR1,R2である。そして、これらリンクR1,R2の内、注目リンクL0から見て時計回りに隣接するリンクは、リンクR1である。このため、注目リンクL0のリンクレコードには、終点側接続リンク番号として、リンクR1のリンクリスト配列番号を記述する。
【0086】
図8(c)は、図8(a)の例を前提に、リンクL1,L2,L3のリンクレコードに記述する接続リンク番号を示すものである。注目リンクL0の始点を中心とした時計回り方向において、リンクL1に隣接するリンクは、リンクL2である。このためリンクL1のリンクレコードには、注目リンクL0の始点と一致するリンクL1の始点又は終点の接続リンク番号(始点側接続リンク番号又は終点側接続リンク番号)として、リンクL2のリンクリスト配列番号を記述する。また、時計回り方向において、リンクL2に隣接するリンクは、リンクL3である。このためリンクL2のリンクレコードには、注目リンクL0の始点と一致するリンクL2の始点又は終点の接続リンク番号として、リンクL3のリンクリスト配列番号を記述する。また、時計回り方向において、リンクL3に隣接するリンクは、注目リンクL0である。このためリンクL3のリンクレコードには、注目リンクL0の始点と一致するリンクL3の始点又は終点の接続リンク番号として、注目リンクL0のリンクリスト配列番号を記述する。本実施例では、このような記述によって、注目リンクL0始点のリンク接続関係を表現する。
<1.3 地図データのまとめ>
以上に地図データ構造について説明したが、本実施例によれば、路線レコードの配列順、セグメントレコードの配列順、リンクレコードの配列順、及び、座標レコードの配列順を揃えて、各レコードを一連の路線の流れに沿って配列する一方で、異なるデータリスト間のレコードの対応付けを、従来の地図データのようにリンクIDやノードIDを用いずに、データリスト内における該当レコードの配列番号やレコード数の情報を用いて行うようにした。従って、この地図データ構造によれば、各データリストのレコードに対して効率的にアクセスすることができ、更には、地図データの編集性が向上する。
【0087】
また、本実施例によれば、従来の地図データのようにリンクデータとノードデータとを別個に管理せずに、リンクデータによって各ノードでのリンクの接続関係を表す情報を管理する地図データ構造を採用しているので、地図データを編集して、新規道路を追加する際に、リンクデータとノードデータとの対応付けを採る必要がなく、この対応付けに係る作業の煩雑さを解消することができる。
【0088】
更に、本実施例によれば、階層毎に道路データを設ける従来の地図データ構造の採用を止めて地図データを単層化することで、地図データの編集性を向上させる一方、地図データを単一層とすることによる不利益を、仮想メッシュの概念を導入することで回避するようにした。
【0089】
例えば、階層毎の道路データを設けずに、地図データを単層化する場合、道路ネットワークの断片化を抑える目的や、広域地図画像を表示する際に多数のメッシュ単位データをファイルオープンしなくて済むように、各メッシュ単位データを、従来の上位層でのメッシュ単位データと同様に、広域エリアの地図を収録した区画の大きいメッシュ単位データとすることが考えられる。しかしながら、この場合には、狭域地図画像を表示する際に、メッシュ単位データにおける地図収録エリアに対して、描画に必要な目的データの量が少ないため、目的データのアクセス効率が、従来のままでは悪化する。
【0090】
そこで、本実施例では、メッシュを更に複数区画に分割して小区画を設定する一方、メッシュ単位データ内で、小区画毎に路線レコード等をまとめることはせずに、路線レコードや座標レコード等を参照するための参照用データである小区画路線レコードを小区画毎に設けることで、各小区画に対応する路線レコードや座標レコードに効率的にアクセスすることができるようにした。
【0091】
従って、本実施例によれば、メッシュ単位データの作成単位であるメッシュのサイズが大きいことにより、狭い地域のデータを読み出す際に、データアクセス効率が劣化するのを回避することができ、地図データを単層化しても、描画に必要なデータに効率よくアクセスして、効率的に縮尺の異なる地図画像(広域/狭域地図画像)を表示することができる。
【0092】
特に、本実施例によれば、路線毎に、参照用データとしての小区画路線レコードを設けて、各小区画路線レコードには、路線レコードの格納位置及び座標レコードの格納位置を表す情報を記述しているので、仮想小区画を通る各路線の道路属性及び座標を効率的に読み出し、路線毎に、路線の道路属性に応じた道路画像を効率的に描画することができる。
【0093】
尚、以上には、道路データの構成について説明したが、地図画像を表示する際には、背景画像の描画が通常必要になる。よって、上述の地図データには、背景画像のデータについても格納することができる。そして、背景画像データについても、道路データと同様、メッシュ単位のデータを地図データに設けることができ、又、背景画像のメッシュ単位データに対しても、仮想小区画を設定して、背景画像を構成する要素の属性データと、この属性データの格納先を表す仮想小区画毎の参照用データとを、道路データと同様の思想で設けることができる。
<2 ナビゲーション装置の構成>
続いて、上記構成の地図データを搭載するナビゲーション装置10の構成を説明する。
<2.1 基本構成>
図9に示すナビゲーション装置10は、位置検出装置11、地図データ入力装置13、操作デバイス15、音声出力デバイス16、表示デバイス17、及び、制御回路19を備える。位置検出装置11は、ナビゲーション装置10を搭載した車両の現在位置を検出するためのものであり、例えば、周知のジャイロスコープ、距離センサ及びGPS受信機等を有した構成にされる。
【0094】
一方、地図データ入力装置13は、上述の地図データが格納された記録媒体(具体的にはハードディスクやDVD)を有するものであり、この記録媒体に格納された地図データを制御回路19に入力可能に構成されている。
【0095】
操作デバイス15は、ユーザからの指示を制御回路19に入力するためのものであり、表示デバイス17に配置されたタッチパネルや、ナビゲーション装置10の本体表面やリモートコントローラに設けられた操作スイッチ群等により構成される。この操作デバイス15を通じて、ユーザは、地図の縮尺変更やスクロール等の操作や目的地設定などナビゲーション装置10のあらゆる操作を行うことが可能である。
【0096】
また、音声出力デバイス16は、スピーカ等から構成され、制御回路19からの信号を受けてユーザへの案内音声等を出力するものである。この他、表示デバイス17は、フルカラー表示が可能なものであり、この表示デバイス17には、例えば、位置検出装置11により検出された車両の現在位置を表す現在位置マークや誘導経路等が、地図データ入力装置13より入力された地図データに基づく地図画像に重ねて表示される。
【0097】
また、制御回路19は、周知のマイクロコンピュータと同様の構成にされ、内部にCPU19a、ROM19b、RAM19c、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備える。そして、CPU19aは、ROM19bに記憶されているプログラムに従って、位置検出装置11、地図データ入力装置13、及び、操作デバイス15から入力された信号(情報)に基づく処理を実行する。具体的に、制御回路19は、CPU19aによるプログラムの実行により、地図データ入力装置13から地図データを読み込んで、地図の描画処理や経路探索・経路案内等の処理を実行する。
<2.2 描画処理>
続いては、制御回路19が実行する描画処理の一例について説明する。図10は、道路線描画処理の一例を表すフローチャートである。この道路線描画処理は、地図の描画処理の一つとして制御回路19により繰返し実行される。
【0098】
道路線描画処理を開始すると、制御回路19は、表示デバイス17に地図画像を表示する地域(表示エリア)の位置座標を特定する(S110)。例えば、車両の現在位置周辺の地図画像を表示デバイス17に表示する場合には、位置検出装置11により検出された車両の現在位置座標を取得し、この位置座標を中心とする表示エリアの位置座標を、画面サイズ及び表示する地図画像の縮尺に基づいて、特定する。
【0099】
この処理を終えると、制御回路19は、特定した上記表示エリアを包含する仮想小区画の一群、及び、これら仮想小区画の道路データが格納されたメッシュ単位データを特定する(S120)。そして、特定したメッシュ単位データの一つについて、これをファイルオープンし(S130)、ファイルオープンしたメッシュ単位データが備える小区画路線数リストLb1(図2参照)を参照して、表示エリアの仮想小区画夫々に対応する小区画路線レコードの格納位置を特定する(S140)。尚、上記仮想小区画夫々に対応する小区画路線レコードの格納位置は、小区画路線数レコードが表す路線数(小区画路線レコード数)を、小区画路線数リストLb1の先頭から積算していくことにより特定することができる。
【0100】
その後、制御回路19は、上記格納位置を特定した小区画路線レコードの一つを処理対象に選択し(S150)、処理対象の小区画路線レコードを上記メッシュ単位データから読み出し、読み出した小区画路線レコードに記述された路線リスト配列番号に基づき、この小区画路線レコードに対応する路線の路線レコードを、メッシュ単位データから読み出す。更には、この路線レコードが示す道路属性から、該当路線の道路ランク(道路種別)等を特定する(S160)。
【0101】
この他、上記読み出した小区画路線レコードに記述された座標リスト配列番号及び座標点数(座標レコード数)から、この小区画路線レコードに対応する路線が仮想小区画を通るエリアの座標レコード群を、メッシュ単位データから読み出す。そして、この座標レコード群から、仮想小区画を通る該当路線部分の道路形状を特定する(S170)。
【0102】
制御回路19は、その後、上記特定した道路種別等に対応する色の道路線であって、上記特定した道路形状の道路線を、表示デバイス17に表示する地図画像に組み込む。これによって、該当する道路線を、表示デバイス17に表示する(S180)。
【0103】
また、この処理を終えると、制御回路19は、現在ファイルオープンしているメッシュ単位データから表示エリアに対応する読出可能な小区画路線レコードの全てを読み出したか否かを判断し(S190)、読み出していないと判断すると(S190でNo)、S150に移行し、未選択の小区画路線レコードの一つを処理対象に選択して、S160以降の処理を実行する。
【0104】
このような処理動作の繰返しによって、該当する小区画路線レコードの全てを読み出したと判断すると(S190でYes)、制御回路19は、S120で特定したメッシュ単位データの全てについて、これをファイルオープンしてS140以降の処理を実行したか否かを判断し(S200)、ファイルオープンしていないと判断すると(S200でNo)、現在ファイルオープンしているメッシュ単位データに代えて、S120で特定したメッシュ単位データの内、未オープンのメッシュ単位データについて、これをファイルオープンし(S130)、S140以降の処理を実行する。
【0105】
このような処理動作の繰返しによって、該当する全てメッシュ単位データについてS140以降の処理を終えると(S200でYes)、制御回路19は、道路線描画処理を終了する。この道路線描画処理によって、表示デバイス17には、S110で位置座標を特定した地域に対応する道路線が地図画像として表示される。
【0106】
このように本実施例のナビゲーション装置10によれば、地図画像の描画に際して、仮想小区画単位で、地図収録エリアにおけるデータ読出エリアを決定しているので、描画に必要なデータへのアクセスを効率よく行うことができ、その結果、描画処理に係る負荷を抑えることができる。
【0107】
尚、以上には、道路線の描画処理について説明したが、地図画像の表示に際しては、その他の背景画像に関する描画処理が同様に行われる。
<3 対応関係>
以上に、地図データ及びナビゲーション装置10の構成について説明したが、地図データにおける座標レコードは、本発明の道路要素属性データの一例に対応し、座標レコードが設けられた地点で区切られるリンクの部位は、本発明の道路要素の一例に対応する。また、小区画路線レコードは、本発明の路線参照用データの一例に対応し、仮想小区画毎の小区画路線レコードの一群は、本発明の道路要素参照用データの一例に対応する。また、路線レコードは、本発明の路線属性データの一例に対応する。また、ナビゲーション装置10の制御回路19が実行する道路線描画処理によって実現される機能は、本発明の処理実行手段にて実現される機能の一例に対応する。
<4 最後に>
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上述した構成の地図データ構造は、車両に搭載されるナビゲーション装置用の地図データ以外の地図データにも適用することができる。具体的には、携帯電話等の携帯端末にインストールされる地図データにも適用することが可能である。
【0108】
また、上記実施例では、道路線描画処理における地図データへのアクセス態様について説明したが、仮想小区画単位のデータ読出は、経路探索時にも行うことができる。このようにデータを読み出せば、経路探索時においても効率的に目的データにアクセスすることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
10…ナビゲーション装置、11…位置検出装置、13…地図データ入力装置、15…操作デバイス、16…音声出力デバイス、17…表示デバイス、19…制御回路、19a…CPU、19b…ROM、19c…RAM、La1…小区画路線数リスト、Lb2…小区画路線リスト、Lb3…路線リスト、Lb4…セグメントリスト、Lb5…リンクリスト、Lb6…座標リスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ及び地図データに基づいた処理を実行する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図データに基づいた処理を実行する電子機器としては、地図画像を表示デバイスに表示したり、目的地までの誘導経路を探索及び案内したりする車載型の電子機器(所謂ナビゲーション装置)が知られている。
【0003】
また、この種の電子機器としては、描画用の地図データ及び経路探索用の地図データを備える機器、縮尺に応じた階層毎の地図データを備える機器、並びに、地図収録エリアを複数区画に分割してなる区画毎に地図データ(以下、区画単位地図データと表現する。)を備える機器等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
地図収録エリア内を複数区画に分割し、区画単位地図データを作成する技術によれば、特定道路のデータにアクセスする際、該当する道路が存在する区画の区画単位地図データを選択的に参照して、目的データに効率的にアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−283777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本発明者らは、電子機器に対して階層毎に地図データを設けず、更には、経路探索用及び描画用の夫々に対する地図データを設けずに、各処理に共通する単一層の地図データを設けることを考えている。層毎や処理毎の地図データを用意すると、地図データを更新する作業等の地図データの管理が煩雑になる等の理由からである。
【0007】
しかしながら、地図画像の描画に際しては、縮尺に応じて地図画像の表示エリアが変化し、これを原因として地図収録エリアにおけるデータアクセスが必要なエリアが変化する。即ち、区画単位地図データの作成単位である上記区画のサイズは、表示エリアのサイズに応じて最適サイズが異なる一方、単一層の地図データを作成する場合には、区画サイズが単一化されてしまう。このため、上述のように地図データを構成する場合、描画する地図画像の縮尺によってはデータアクセス効率が劣化する問題が生じる。
【0008】
例えば、地図データについては、これを区画毎にデータファイル化することで、地図データの管理や目的データへのアクセス効率を向上させることが考えられるが、細かく地図収録エリアを分割して、区画毎のデータファイルを作成すると、小縮尺で広い地域の地図画像を表示する場合には、地図画像の表示エリアが複数区画に及ぶことになり、ファイルオープン等に関する処理動作が増大する。
【0009】
一方、上記区画のサイズを大きくすると、大縮尺で狭い地域の地図画像を表示する場合に、この地図画像を表示するのにデータアクセスが必要なエリアに対し、区画単位地図データにおける地図の収録エリアが広すぎて、目的データを効率的に読み出すことができなくなる。
【0010】
また、細かく地図収録エリアを分割して、区画毎のデータファイルを作成すると、道路ネットワークが区画毎に断片的に表現されることになり、区画境界での道路の接続関係の記述や把握が難しくなる。
【0011】
このように、地図収録エリアを分割して区画単位地図データを作成する場合には、区画を小サイズ化すると、広い地域に対応するデータへのアクセス効率が、ファイルオープン等に関する処理動作の増大を伴って劣化し、更には、道路ネットワークが断片的に表現されることになって、道路の接続関係の把握等に不都合が生じる。
【0012】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素を表す区画単位地図データを作成して、区画単位地図データを構成部品とする地図データを作成する場合において、区画を小サイズ化しなくとも、区画内の特定データへのアクセス効率を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明の地図データは、地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素に関する情報が記述された区画単位地図データを有する地図データであって、区画単位地図データが次のように構成されたものである。
【0014】
即ち、区画単位地図データの夫々は、該当区画内の地図構成要素毎に、この地図構成要素の属性を表す属性データを有すると共に、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する上記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを有する(請求項1)。
【0015】
この地図データによれば、区画単位地図データ内に、地図構成要素毎の属性データを格納しているが、これとは別に、仮想的な小区画を定義して、区画単位地図データ内に、小区画毎の参照用データを格納している。即ち、本発明では、参照用データを通じて、各小区画の属性データに簡単にアクセスできるようにしている。
【0016】
従って、本発明によれば、区画単位地図データの作成単位である上記区画を小サイズ化しなくとも、区画内の特定データへのアクセス効率を向上させることができる。
尚、道路ネットワークを表現する地図データに本発明を適用する場合、上記区画単位地図データの夫々は、地図収録エリア内の道路ネットワークを細分化して得られる道路要素群であって複数道路が接続される地点で少なくとも区切られる道路要素群の内、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、この道路要素の属性を表す道路要素属性データを、上記地図構成要素毎の属性データとして有する一方、小区画毎に、上記参照用データとして、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する上記道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを有する構成にすることができる(請求項2)。
【0017】
ここで言う道路要素属性データとしては、道路の形状や座標・種類を表すデータを挙げることができる。また、道路ネットワークを構成する道路要素としては、所謂リンクが知られているが、ここで言う道路要素は、リンクに限られない。例えば、リンクには、形状補間点(座標点)が設けられるが、リンクにおける形状補間点で区切られる区間を、一つの道路要素と取り扱うことができる。
【0018】
このように地図データを構成すれば、区画単位地図データの作成単位である上記区画を小サイズ化しなくても、目的とする道路要素属性データへのアクセス効率を向上させることができ、本発明によれば、例えば、縮尺の異なる地図画像を、表示デバイスに表示するのに好適な地図データを構成することができる。
【0019】
例えば、地図画像の縮尺を大きくすると、拡大地図画像が表示されることになって地図画像の表示エリアが狭くなるが、この場合には、参照用データを通じて、単一区画内の表示エリアに対応する数個の小区画の道路要素属性データに対して簡単にアクセスすることができる。一方、地図画像の縮尺を小さくすると、縮小地図画像が表示されることになって表示エリアが広くなるが、予め、縮尺の可変範囲に応じて、区画単位データの作成単位である上記区画のサイズを決定しておけば、縮尺が小さくても、地図画像の描画に必要なデータを収集するために、多数の区画単位データに対してアクセスしなくても済む。
【0020】
また、道路ネットワークを表現する地図データについては、上記区画のサイズを小さくすると道路ネットワークが断片的に表現されて、道路の接続関係に関して記述及び把握が難しくなるが、本発明によれば、仮想的に小区画を設定しているので、小区画を設定することにより道路ネットワークが断片化するのを回避することができ、描画処理や経路探索処理等の複数の処理に適した地図データを構成することができる。
【0021】
また、区画単位地図データについては、道路ネットワークにおける各路線へのデータアクセスを簡単にするために、次のように構成されるとよい。即ち、区画単位地図データの夫々は、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する道路要素属性データが路線の流れに沿って順に配列された構成にされるとよい。
【0022】
更に、道路要素参照用データの夫々は、路線毎に、この路線を構成する道路要素群の内、路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データを備えた構成にされるとよい(請求項3)。
【0023】
具体的に、路線参照用データの夫々は、上記道路要素属性データ群を特定可能な情報として、上記第一の道路要素又は上記第二の道路要素に対応する道路要素属性データの格納位置、及び、該当路線における上記第一の道路要素から上記第二の道路要素までの道路要素群に対応する道路要素属性データの数が記述された構成にすることができる(請求項4)。
【0024】
地図画像の描画に際しては、路線毎に道路の表示形態を切り替えることが多い。例えば、有料道路に対応する路線については、青色、一般国道に対応する路線については、赤色といった具合に、道路の表示色を切り替えることが多い。従って、路線毎に、対応する道路要素属性データへのアクセスを可能とすると、描画処理の効率が向上する。
【0025】
また、有料道路、一般国道などの路線の属性については、道路要素属性データではなく、路線毎の路線属性データとして設けることができるが、この場合、路線参照用データは次のように構成することができる。
【0026】
即ち、区画単位地図データが、路線毎に、この路線の属性を表す路線属性データを備えた構成にされている場合、路線参照用データの夫々は、上記道路要素属性データ群を特定可能な情報に加えて、該当路線の路線属性データの格納位置を特定可能な情報が記述された構成にされるとよい(請求項5)。このような情報を記述すれば、路線属性データを設ける場合にも、路線属性データへの高速アクセスが可能となる。
【0027】
また、上述した発明は、区画単位地図データの夫々が個別のデータファイルとして構成された地図データに特に有効である(請求項6)。即ち、地図データが複数のデータファイルにより構成され、区画毎に、該当区画の区画単位地図データが格納されたデータファイルを備える構成にされている場合には、区画単位地図データ毎に、ファイルオープンの動作が必要になる。このような地図データに、上述した思想を適用すれば、データアクセス性の観点から好ましい地図データを構成することができる。
【0028】
また、本発明の地図データは、記録媒体に記録して又は電気通信回線を通じて、ユーザに提供することができる。
この他、本発明の地図データは、地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、区画単位地図データを作成する工程を含み、作成した区画単位地図データをまとめて、区画単位地図データを構成部品とする地図データを作成する方法であって、区画単位地図データを作成する工程では、上記区画毎に、該当区画内の各地図構成要素の属性を記述した地図構成要素毎の属性データを作成する一方、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する上記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを作成して、これら属性データ及び参照用データを構成部品とする該当区画の区画単位地図データを作成する方法によって、作成することができる(請求項7)。
【0029】
道路ネットワークを表現する地図データを作成する場合には、区画単位地図データを作成する工程において、上記区画毎に、上記地図構成要素毎の属性データとして、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、道路要素の属性を記述した道路要素属性データを作成し、上記小区画毎の参照用データとして、小区画毎に、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを作成すればよい(請求項8)。
【0030】
この他、区画単位地図データを作成する工程は、上記区画単位地図データとして、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する上記道路要素属性データを路線の流れに沿って順に配列するようにまとめたデータを作成する一方、上記道路要素参照用データとして、該当小区画内を通る路線毎に、この路線を構成する道路要素群の内、路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データを作成することによって、路線参照用データを構成部品とする道路要素参照用データを作成する工程とすることができる(請求項9)。
【0031】
また、記録媒体から本発明の地図データを読込可能な電子機器であって、地図データに基づく特定種類の処理を実行可能な構成にされた電子機器においては、上記特定種類の処理を実行する処理実行手段を、次のように構成することができる。
【0032】
即ち、処理実行手段は、地図収録エリア内におけるデータ読込対象エリアを上記小区画の単位で決定し、決定したデータ読込対象エリア内の各小区画に対応する上記参照用データに基づき、データ読込対象エリア内の各地図構成要素に対応する上記属性データの格納位置を特定して、該当する属性データを地図データから選択的に読み込み、読み込んだ属性データを用いて、上記特定種類の処理を実行する構成にすることができる(請求項10)。
【0033】
例えば、上記処理実行手段は、上記特定種類の処理として、表示デバイスに地図画像を表示する処理を実行する構成にすることができる。この場合、処理実行手段は、上記データ読込対象エリアとして、表示デバイスに表示する地図画像に対応するエリアを小区画の単位で決定し、このエリアに対応する上記属性データを、地図データから選択的に読み込み、読み込んだ属性データを用いて、表示デバイスに地図画像を表示する構成にすることができる。このように構成された電子機器によれば、上記地図データの構成を生かして、効率的に目的データにアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】地図データの基本構成図である。
【図2】メッシュ単位データの構成図である。
【図3】仮想メッシュに関する説明図である。
【図4】小区画路線数/小区画路線レコードに関する説明図である。
【図5】路線/セグメント/リンク/座標レコードの構成を表す図である。
【図6】路線、セグメント、リンク及び座標間の関係を示した図である。
【図7】路線/セグメント/リンク/座標レコードの配列順を表す図である。
【図8】リンクレコードで表現されるリンクの接続関係に関する説明図である。
【図9】ナビゲーション装置10の概略構成を表すブロック図である。
【図10】制御回路19が実行する道路線描画処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の実施例について、図面と共に説明する。
<1 地図データの構造>
本実施例の地図データは、車両に搭載されるナビゲーション装置に組み込まれるものである。図1に示すように、この地図データは、地図収録エリアを複数区画に分割して定められるメッシュ(区画)毎のデータファイル(以下、単に、「メッシュ単位データ」と表現する。)と、メッシュ単位データ群を管理するための管理データファイルと、を含むデータファイル群で構成される。
【0036】
上記メッシュは、地図収録エリアを包含する矩形領域を複数区画に分割して定められるものであり、管理データファイルには、矩形領域内のメッシュ毎に、このメッシュに対応するメッシュ単位データが存在するか否かを表す情報が格納される。一方、メッシュ単位データには、メッシュ内の道路ネットワークに関する情報(道路データ)が格納される。各メッシュ単位データは、地図データ内において、メッシュの配列に対応した順序で配列される。
【0037】
このメッシュ単位データは、メッシュ内の道路ネットワークをリンクの接続により表現するものである。本実施例の地図データにおけるリンクは、隣接メッシュとの境界を跨ぐことなく、該当するメッシュの境界で必ず区切られており、各メッシュ単位データは、隣接するメッシュに対して閉じたデータとして構成され、隣接メッシュ間を跨ぐ道路は、各メッシュのリンクのメッシュ境界での接続により表現される。
【0038】
以下では、複数リンクが接続される点をノードと表現するが、本実施例の地図データでは、従来の地図データとは異なり、リンクの接続関係を表す情報等の従来ノードデータに記述されていた情報が、複数のリンクデータに分散して記述される。即ち、本実施例の地図データは、リンクデータとは別個のノードデータを保持していない点に注意されたい。
【0039】
また、本実施例の地図データは、メッシュ単位データを階層毎に備えるものではない点で、従来の地図データとは異なる。即ち、本実施例の地図データには、縮尺に応じた各層の道路ネットワークに対して従来階層毎に設けられていた道路データ(メッシュ単位データ)が、単一層の道路データ(メッシュ単位データ)として格納されている点に注意されたい。
<1.1 メッシュ単位データ>
本実施例の地図データを構成するメッシュ単位データは、メッシュ内の道路ネットワークを表すデータファイルとして、各メッシュに対して一つ設けられる。
【0040】
このメッシュ単位データは、図2に示すように、ヘッダと、小区画路線数レコード1〜B1群から構成される小区画路線数リストLb1と、小区画路線レコード1〜B2群から構成される小区画路線リストLb2と、路線レコード1〜B3群から構成される路線リストLb3と、セグメントレコード1〜B4群から構成されるセグメントリストLb4と、リンクレコード1〜B5群から構成されるリンクリストLb5と、座標レコード1〜B6群から構成される座標リストLb6と、道路名称IDレコード群1〜B7群から構成される道路名称IDリストLb7と、道路番号名称IDレコード群1〜B8群から構成される道路番号名称IDリストLb8と、道路/道路番号名称辞書Lb9と、を主に備える。
<1.2 メッシュ単位データの詳細>
<1.2.1 ヘッダ>
メッシュ単位データに格納されるヘッダは、当該メッシュ単位データの構成を定義するものであり、固定長で表現される。具体的に、ヘッダは、メッシュ単位データに格納されるデータリスト(Lb1〜Lb9)の配列順に、データリストの大きさを表す情報を有する。データリストの大きさは、固定長のレコード群から構成されるデータリスト(Lb1〜Lb8)の場合、データリスト内のレコード数の情報として記述される。一方、非固定長のレコード群から構成されるデータリスト(Lb9)の場合には、そのデータサイズ(バイト数)の情報として記述される。即ち、ヘッダには、図2に示すように、小区画路線数リストLb1のレコード数B1、小区画路線リストLb2のレコード数B2、路線リストLb3のレコード数B3、セグメントリストLb4のレコード数B4、リンクリストLb5のレコード数B5、座標リストLb6のレコード数B6等の情報がヘッダ内に順に記述される。
<1.2.2 小区画路線数レコード>
小区画路線数リストLb1を構成する小区画路線数レコードは、仮想小区画内の路線数を表す固定長のレコードである。
【0041】
ここで、仮想小区画について、その詳細を説明する。本実施例の地図データには、仮想メッシュの概念が用いられている。仮想メッシュは、各メッシュ単位データに対応するメッシュが更に複数区画に分割されて定められるメッシュ(区画)である。本実施例では、図3に示すように各メッシュ単位データに対応するメッシュを64分割して仮想メッシュを定義している。仮想メッシュは、例えば、20km四方のメッシュが64分割されて、2.5km四方に設定される。上記仮想小区画は、このように定義される仮想メッシュの一つから構成される。
【0042】
ここで「仮想」と表現しているのは、仮想メッシュに対応するデータについてはメッシュ単位データのように独立したデータファイルとして構成されていないこと、及び、リンクが仮想メッシュを境界として区切られておらず仮想メッシュの境界を基準に明確にデータが分離されて管理されていないこと等を理由とするものである。この点で仮想メッシュは、メッシュ単位データに対応するメッシュとは区別される。
【0043】
小区画路線数レコードは、このように定義される仮想小区画内の路線数を表すものであり、仮想小区画毎に設けられる。小区画路線リストには、図4(a)に示すように、メッシュ内の仮想小区画毎に、この小区画路線数レコードが表す路線数と同一数の小区画路線レコードが設けられる。図4(a)は、小区画路線レコードと小区画路線数レコードとの対応関係を示した図である。
<1.2.3 小区画路線レコード>
続いて、小区画路線リストLb2を構成する小区画路線レコードについて説明する。小区画路線レコードは、図4(a)に示すように、仮想小区画毎に、当該仮想小区画に存在する路線の一つ一つに対して設けられる。小区画路線リストLb2には、小区画路線数リストLb1における小区画路線数レコードに対応する順序で、該当仮想小区画の小区画路線レコード群が配列される。
【0044】
この小区画路線レコードは、図4(b)に示すように、このレコードが記述対象とする路線に対応する路線レコードの格納先を表す情報、この路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)の先頭に対応する座標レコードの格納先を表す情報、及び、この路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)に対応する座標点数(座標レコード数)の情報を有する固定長のレコードである。図4(b)は、小区画路線レコードの構成を表す図である。
【0045】
具体的に、上記「路線レコードの格納先を表す情報」は、該当路線レコードの路線リストLb3内での配列番号(以下、「路線リスト配列番号」と言う。)の情報によって記述される。例えば、該当路線レコードが路線リストLb3内で先頭からα番目に格納されている場合、小区画路線レコードには、上記「路線レコードの格納先を表す情報」として、値αが記述される。
【0046】
同様に、上記「座標レコードの格納先を表す情報」は、該当座標レコードの座標リストLb6内での配列番号(以下、座標リスト配列番号)と言う。)を表す。例えば、該当座標レコードが座標リストLb6内で先頭からβ番目に格納されている場合、小区画路線レコードには、上記「座標レコードの格納先を表す情報」として、値βが記述される。
【0047】
また、上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、次のように定義される。ここでは、図4(c)に示すように、リンクLk1,Lk2,Lk3が順に接続されてなる路線であって、仮想小区画BのリンクLk1に続くリンクLk2が仮想小区画A、仮想小区画B及び仮想小区画Cを通って、仮想小区画CのリンクLk3に接続される路線を例に挙げて説明する。図4(c)白丸は、リンクの接続点(ノード)を表す。リンクLk1とリンクLk2との接続点は仮想小区画Bに位置し、リンクLk2とリンクLk3との接続点は仮想小区画Cに位置する。また、図4(c)黒丸は、座標レコードとして地図データ内で座標が保持されている点を示す。但し、座標は、黒丸以外に白丸(リンクの接続点)に関しても保持される。ここでは、これらの点の夫々を座標保持点P1〜P5と表現する。
【0048】
上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、第一種類のエリア(路線部分)と、第二種類のエリア(路線部分)とに分類され、上記小区画路線レコードは、仮想小区画毎及び路線毎に、第一種類及び第二種類のエリアの夫々に対して設けられる。
【0049】
第一種類のエリアは、該当路線の該当仮想小区画内に位置する座標保持点を結ぶエリア(路線部分)と、このエリア(路線部分)の端点に位置する座標保持点から、当該座標保持点に隣接する座標保持点であって該当仮想小区画外の座標保持点までのエリア(路線部分)と、を結んだエリア(路線部分)によって定義される。要するに、第一種類の上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、この路線の該当仮想小区画内に位置する各座標保持点と仮想小区画外に一つ出た座標保持点とを結んだエリア(路線部分)によって定義される。
【0050】
一方、第二種類のエリア(路線部分)は、隣接する座標保持点が他の仮想小区画を跨いで接続される場合に、当該隣接する座標保持点間を結ぶエリア(路線部分)によって定義される。この第二種類の上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」は、当該跨がれる対象の仮想小区画(例えば、座標保持点P3及び座標保持点P4が跨ぐ仮想小区画B)についての上記「路線の該当仮想小区画を通るエリア(路線部分)」として定義される。
【0051】
詳述すると、図4(c)に示す例によれば、リンクLk1,Lk2,Lk3を結ぶ路線の仮想小区画Aを通るエリア(路線部分)は、座標保持点P1,P2,P3,P4を結ぶエリア(路線部分)に設定され、この路線の仮想小区画Aに対応する小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Aを通るエリアの先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報として、座標保持点P1,P2,P3,P4の内、座標リストLb6において座標リスト配列番号の最も若い座標保持点P1の座標リスト配列番号が記述され、上記座標レコードの総数を表す情報として値4が記述される。
【0052】
尚、本実施例の座標リストLb6には、路線レコードに対応する順序で、路線レコードが示す路線上の各点での座標を表す座標レコードが配列され、各路線に対応する座標レコード群は、当該路線の流れに沿って、座標レコードに対応する地点が該当路線を一方向に進むように配列されている。従って、この路線の仮想小区画Aを通るエリアの先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報と、このエリアにおける座標点数(座標レコード数)を表す情報とによって、このエリアに対応する各座標保持点に対応する座標レコードの格納位置は、特定される。
【0053】
一方、この路線の仮想小区画Bに対応する小区画路線レコードは、二つ用意される。第一の小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Bを通るエリア(路線部分)としての座標保持点P1,P2及び図示しない座標保持点P1より遡った地点を結ぶエリア(路線部分)の先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報(座標リスト配列番号)が記述される。また、第二の小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Bを通るエリア(路線部分)としての座標保持点P3,P4を結ぶエリアの先頭に対応する座標レコードの格納先を表す情報として、座標保持点P3に対応する座標リスト配列番号が記述され、座標レコードの総数を表す情報として値2が記述される。但し、始点〜P1、P2、P3、P4と一つにまとめて記述することもできる。
【0054】
また、この路線の仮想小区画Cに対応するエリア(路線部分)は、座標保持点P3,P4,P5及び同一路線の図示しない下流の座標保持点を結ぶエリア(路線部分)に設定され、小区画路線レコードには、この路線の仮想小区画Cを通るエリア(路線部分)の先頭に対応する上記座標レコードの格納先を表す情報として、座標リストLb6において座標リスト配列番号の最も若い座標保持点P3の座標レコードの配列番号が記述される。
【0055】
即ち、小区画路線レコードの夫々は、互いに隣接する二つの座標保持点を結ぶリンクの部位を一つと道路要素としてみたときに、路線の流れに沿って該当する仮想小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、この仮想小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する座標レコード群の格納位置、及び、該当する路線レコードの格納位置を特定可能なレコードとして構成される。
<1.2.4 路線レコード>
続いて、路線レコードについて説明する。路線レコードは、該当路線の属性情報を含むレコードであり、同一路線に属するリンク列を定義するレコードである。上述の「路線」とは、メッシュ内において、一条(ひとすじ)に接続されるリンク列でグループ化される道路区画のことを言う。路線は、例えば、一条に接続される同一道路名称及び同一道路番号のリンク列により定義することができる。
【0056】
この路線レコードは、図5(a)に示すように、記述対象とする路線の名称属性、この路線の道路属性、この路線先頭に対応する座標レコードの座標リスト配列番号、この路線に対応する座標レコード数、この路線先頭のセグメントに対応するセグメントレコードのセグメントリストLb4における配列番号(以下、セグメントリスト配列番号と言う。)、及び、路線を構成するセグメント数の情報を有する。図5(a)は、路線レコードの構成図である。
【0057】
具体的に、この路線レコードは、上記「名称属性」として、この路線に対応する道路名称IDレコード及び道路番号名称IDレコードの道路名称IDリストLb7及び道路番号名称IDリストLb8における格納位置を特定可能な情報を有する。道路名称IDレコードは、対応する道路名称が登録された道路/道路番号名称辞書上の位置を表し、道路名称番号IDレコードは、対応する道路番号名称が登録された道路/道路番号名称辞書上の位置を表すものである。道路名称IDレコード及び道路名称番号IDレコードは、固定長のレコードで構成され、道路/道路番号名称辞書内の登録語は、可変長のレコードで構成される。
【0058】
一方、路線レコードは、上記「道路属性」として、この路線が有料道路及び非有料道路のいずれであるかの情報やこの路線の道路ランク(所謂道路種別)の情報を有する。本実施例において各路線は、高速道路、一般国道、県道、細街路、それ以外の一般道のいずれかの道路ランクに分類されており、この情報は、上記「道路属性」として路線レコードに記述される。
【0059】
また、路線レコードに記述される上記「路線先頭に対応する座標レコードの座標リスト配列番号」及び「座標レコード数」の情報は、この路線に対応する各点での座標を表す座標レコード列を座標リストLb6内で特定するために用いられる。上述したように、座標リストLb6では、路線の流れに沿って路線上の各点での座標を表す座標レコードが配列されている。従って、「路線先頭に対応する座標レコードの座標リスト配列番号」及び「座標レコード数」の情報によって、路線に対応する各座標レコードは特定可能である。
【0060】
また、路線レコードに記述される上記「路線先頭のセグメントに対応するセグメントリスト配列番号」及び上記「路線を構成するセグメント数」の情報は、路線レコードを構成するセグメント列に対応する各セグメントレコードを、セグメントリストLb4内で特定するために用いられる。
【0061】
ここで、セグメントについて説明する。本実施例で言うセグメントは、道路ネットワークを構成するリンク群の内、主要道路に対応する複数リンクからなるリンク列であって、図6(a)に示すように、主要道路の交差点で少なくとも区切られるリンク列を一単位とするものである。このセグメントは、路線レコードで定義される一つの路線から他の路線へ跨がないように定義される。即ち、セグメントは、路線レコードで定義される一つの路線を構成するリンク列を分割したときの各グループに対応する。図6(b)には、路線レコードとセグメントレコードとの対応関係を示す。セグメントレコードは、通常、一つの路線レコードに対して複数設けられる。但し、セグメントは、路線レコードで定義される一つの路線を構成するリンク列の全てを含む場合もありうる。即ち、一つの路線レコードに対して一つのセグメントレコードが対応付けられる場合もありうる。
【0062】
このセグメントは、複数層のデータで構成される従来の地図データで用いられる所謂「上位リンク」に代わるものであり、主要道路ではない路線に対しセグメントは定義されない。即ち、上記「路線先頭のセグメントに対応するセグメントリスト配列番号」及び上記「路線を構成するセグメント数」の情報は、主要道路に対応する路線レコードに対してのみ記述され、セグメントの定義されない所謂主要道路ではない路線に対応する路線レコードには、セグメントリスト配列番号及びセグメント数の代わりに、この路線先頭のリンクに対応するリンクレコードのリンクリストLb5における配列番号(以下、リンクリスト配列番号と言う。)、及び、路線を構成するリンク数の情報が記述される。
【0063】
本実施例では、地図データを単一層としているので、道路ネットワークが細かく表現される。セグメントデータは、この道路ネットワークを仮想的に粗く表現するために用いられる。
【0064】
尚、セグメントリストLb4には、座標レコードと同様、路線の流れに従って各セグメントに対応するセグメントレコードが配列されている。具体的には、座標リストLb6における座標レコードの配列順及び路線リストLb3における路線レコードの配列順に対応する順序で、各セグメントに対応するセグメントレコードが配列されている。従って、路線レコードに記述される上記「路線先頭のセグメントに対応するセグメントリスト配列番号」及び上記「路線を構成するセグメント数」の情報によって、当該路線を構成する各セグメントのセグメントレコードは、特定可能である。
【0065】
また、セグメントリスト配列番号及びセグメント数の代わりに、リンクリスト配列番号及びリンク数が記述されているか否かは、後述する道路ランク順のレコード配列及びセグメントレコード数B4を利用することによって特定可能である(詳細後述)。
<1.2.5 セグメントレコード>
セグメントレコードは、上述したように、道路ネットワークを構成するリンク群の内、主要道路に対応する複数リンクからなるリンク列であって、主要道路の交差点で少なくとも区切られるリンク列を単位とするセグメント毎に設けられるものである。
【0066】
即ち、本実施例では、主要道路の道路ネットワークを、セグメントの接続により表現しており、主要道路の交差点は、セグメントの接続により表現される。このような主要道路の交差点で区切られるセグメントに関するセグメントデータは、対応するセグメントを構成するリンク列の各リンクレコードを特定可能な情報を有する。
【0067】
図5(b)は、セグメントレコードの構成図である。セグメントレコードは、該当するセグメントを構成するリンク列の先頭に位置するリンクに対応するリンクレコードのリンクリストLb5における配列番号(リンクリスト配列番号)と、セグメントを構成するリンク数の情報とからなる。
【0068】
リンクリストLb5には、座標レコードと同様、路線の流れに従って各リンクに対応するリンクレコードが配列されている。具体的には、座標リストLb6における座標レコードの配列順及び路線リストLb3における路線レコードの配列順に対応する順序で、各リンクに対応するリンクレコードが配列されている。従って、セグメントレコードに記述される上記「セグメントを構成するリンク列の先頭に位置するリンクに対応するリンクレコードのリンクリスト配列番号」及び「セグメントを構成するリンク数」の情報によって、当該セグメントを構成する各リンクのリンクレコードは、特定される。
【0069】
また、上記「主要道路」としては、例えば、道路ランクが「高速道路」「国道」「県道」のいずれかである道路を挙げることができる。この場合、セグメントは、「高速道路」「国道」「県道」に対応するリンク列に対して設定され、「一般道」「細街路」に対応するリンク列に対しては設定されない。即ち、セグメントリストLb4には、図7に示すように、道路ランクが「高速道路」「国道」「県道」の道路に対応するセグメントレコードが格納されるものの、道路ランクが「一般道」「細街路」である道路のセグメントレコードについては、格納されない。但し、ここで言う「主要道路」は、高速移動可能であるか否かの観点に従って道路ランクを二分したときの高速移動可能な道路ランク側の道路のことであり、基準次第では、「一般道」を主要道路に含ませることもできるし、「県道」等を主要道路から外すことも可能である。
<1.2.6 リンクレコード>
続いて、リンクレコードについて説明する。リンクレコードは、メッシュ内の各リンクに対して設けられ、該当するリンクの特徴を表すものである。本実施例のリンクレコードは、該当するリンク両端夫々に関して、当該リンク端点で接続される他リンクとの接続関係を表す情報を有する。
【0070】
図5(c)は、リンクレコードの構成を表す図である。同図に示すように、リンクレコードには、当該リンクの始点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報、当該リンクの終点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報、当該リンクにおける各点の座標を表す座標レコード群を座標リストLb6内で特定可能な情報、リンク長、及び、その他のリンクの道路属性(一方通行等の交通規制情報や車線数、法定速度、リンク端点に対応する交差点での信号機の有無など)を表す情報が格納される。
【0071】
各リンクには、対応する座標レコード群の座標リストLb6内の配列によって方向が定められており、上記リンクの始点とは、リンク両端の内、座標レコードの配列順の若い端点のことを言い、リンクの終点とは、リンク両端の内、始点に該当する端点とは反対側の端点のことを言う。
【0072】
また、「リンクの始点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」は、当該リンクの始点に接続される他リンクに対応するリンクレコードのリンクリスト配列番号である始点側接続リンク番号と、リンク始点側の接続属性を表す始点側接続属性情報とからなる。一方、「リンクの終点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」は、当該リンクの終点に接続される他リンクに対応するリンクレコードのリンクリスト配列番号である終点側接続リンク番号と、リンク終点側の接続属性を表す終点側接続属性情報とからなる。
【0073】
上記リンクレコードには、上記始点側接続リンク番号として、リンク始点に接続される他リンク(複数リンク)の内、所定の規則に従う単一のリンクのリンクリスト配列番号のみが記述される。同様に、上記終点側接続リンク番号として、リンク終点に接続される他リンク(複数リンク)の内、所定の規則に従う単一のリンクのリンクリスト配列番号のみが記述される。この点を含むリンク接続関係の記述方法の詳細については後述する。
【0074】
また、リンクレコードにおいて、上記始点側接続リンク番号と共に記述される始点側接続属性情報は、自リンクが、その始点において、始点側接続リンク番号に対応するリンクの始点及び終点のいずれに接続されるかを表すものである。即ち、始点側接続属性情報は、「始点」又は「終点」のいずれかを表す値を採る。尚、リンクの始点側端点に接続される同一メッシュ内の他リンクがない場合には、始点側接続リンク番号として自リンクのリンクリスト配列番号が記述され、始点属性情報として「始点」を表す値が記述される。リンクの始点に接続される同一メッシュ内の他リンクがない場合としては、行き止まりである場合や、リンクの始点が隣接メッシュとの境界に位置するノード(境界ノード)であって隣接メッシュのリンクにのみに接続される場合などが挙げられる。本実施例では、メッシュ単位データを閉じたデータとするため、隣接メッシュとの境界に位置する境界ノードを挟むリンクの接続関係については、自己のメッシュ内のリンク接続関係についてのみを記述する。
【0075】
同様に、上記終点側接続リンク番号と共に記述される終点側接続属性情報は、自リンクが、その終点において、終点側接続リンク番号に対応するリンクの始点及び終点のいずれに接続されるかを表すものである。リンクの終点に接続される同一メッシュ内の他リンクがない場合には、終点側接続リンク番号として自リンクのリンクリスト配列番号が記述され、終点属性情報として「終点」を表す値が記述される。
【0076】
また、リンクレコードに記述される「各点の座標を表す座標レコード群を座標リストLb6内で特定可能な情報」としては、例えば、リンクレコードを構成する座標点数の情報を挙げることができる。このような情報を用いる場合には、座標リストLb6に、各座標レコードが、リンクリストLb5におけるリンクレコードに対応した順序で配列されていることが前提となる。リンクリストLb5におけるリンクレコードの配列と、座標リストLb6における座標レコードの配列との間にこのような関係があれば、リンクリストLb5の先頭から各リンクレコードに記述された座標点数の情報を参照することで、各リンクレコードに対応する座標レコードを特定することが可能である。
【0077】
但し、「各点の座標を表す座標レコード群を座標リストLb6内で特定可能な情報」としては、リンクレコードに対応するリンク先頭の座標レコードに対応する座標リスト配列番号及びこのリンクに対応する座標レコード数の情報を採用されてもよい。この記述によっても、各リンクレコードに対応する座標レコード群を特定することが可能である。
<1.2.7 座標レコード>
座標リストLb6は、各リンクの端点及び形状補間点毎に、その地点の位置座標(緯度・経度)を表す座標レコードを備える。図5(d)は、座標レコードの構成図である。具体的に、座標レコードは、対応する地点の位置座標としてのX座標(緯度)及びY座標(経度)の情報を有すると共に、この地点の属性情報を有する。座標レコードに記述される属性情報は、対応する点の種類を表す情報を含み、この情報によって、対応する点は、形状補間点、ノード、メッシュ境界に設けられる境界ノード等の予め定められた種類のいずれかに分類される。
<1.2.8 データ配列>
ここで、路線リストLb3における路線レコード1〜B3の配列、セグメントリストLb4におけるセグメントレコード1〜B4の配列、リンクリストLb5におけるリンクレコード1〜B5の配列、座標リストLb6における座標レコード1〜B6の配列について図7を用いてまとめる。
【0078】
本実施例において、路線リストLb3には、メッシュ内の各路線に対応する路線レコードが、道路ランク順に配列される。具体的には、高速道路、一般国道、県道、一般道及び細街路の順に、対応する道路ランクの路線レコードが配列される。このような道路ランク順のデータ配列は、セグメントリストLb4やリンクリストLb5や座標リストLb6に対しても同様に適用される。
【0079】
また、セグメントリストLb4には、上述したように路線レコードに対応した配列順で、当該路線レコードに対応する路線を構成する各セグメントのセグメントレコードが路線の流れに沿う順序で配列される(図6(b)及び図7参照)。
【0080】
また、リンクリストLb5には、セグメントレコードと同様に、路線レコードに対応した配列順で、当該路線レコードに対応する路線を構成する各リンクのリンクレコードが路線の流れに沿う順序で配列される。よって、リンクリストLb5には、セグメントリストLb4に登録されたセグメントの配列順に、当該セグメントを構成するリンク列の各リンクレコードが配列される(図6(b)及び図7参照)。尚、セグメントを構成しない所謂主要道路でない路線については、その路線を構成するリンク列に対応した順序で、当該路線に対応する各リンクレコードが配列されることになる。
【0081】
ちなみに、上記道路ランク順の配列により、セグメントを構成しないリンクのリンクレコードについては、図7に示すように、リンクリストLb5の後半に配置される。一方、セグメントを構成するリンクのリンクレコードについては、リンクリストLb5の前半に配置される。このため、路線レコードにおいて、上述したように、セグメントリスト配列番号及びセグメント数の代わりに、リンクリスト配列番号及びリンク数を記述しても、その記述が、セグメントリスト配列番号及びセグメント数であるのか、リンクリスト配列番号及びリンク数であるのかは、セグメントレコード数B4から特定できる。即ち、配列番号として、セグメントレコード数B4以下の番号が記述されていれば、その記述は、セグメントリスト配列番号ということになり、セグメントレコード数B4を超える番号が記述されいれば、その記述は、リンクリスト配列番号ということになる。
【0082】
また、座標リストLb6には、セグメントレコードやリンクレコードと同様に、路線レコードに対応した配列順で、当該路線レコードに対応する路線上の各点の座標レコードが路線の流れに沿う順序で配列される(図6(b)及び図7参照)。
<1.2.9 リンク接続関係>
続いて、リンクの接続関係の記述方法について説明する。本実施例では、上述したように、「リンクの始点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」及び「リンクの終点に接続される他リンクとの接続関係を表す情報」として、夫々、対応する端点(始点/終点)に接続される単一リンクに関する情報のみしかリンクレコードには記述しない。この点は、ノードデータにより、該当ノードに接続される全てのリンクに関する情報を記述する従来の地図データ(例えばKIWIフォーマット)とは異なる点である。
【0083】
具体的に、本実施例では、同一ノードに接続される複数リンクの接続関係を、同一ノードに接続される各リンクのリンクレコードにおいて、時計回りに記述する。即ち、ノードを中心に時計回りに、隣接するリンクのリンクリスト配列番号を、接続リンク番号(始点側接続リンク番号又は終点側接続リンク番号)として記述する。そして、地図データを使用する際には、これらリンクレコードを、ノードを中心として時計回りに参照することにより、同一ノードに接続された複数のリンクを特定する。
【0084】
図8(a)には、リンクの接続関係の一例と共に、接続リンク番号の記述方向を示す。この例では、注目リンクL0の始点及び終点での他リンクとの接続関係を、次のように記述する。図8(b)は、図8(a)に示す注目リンクL0のリンクレコードに記述する始点側接続リンク番号及び終点側接続リンク番号を示した図である。この例において、注目リンクL0の始点に接続される他リンクは、リンクL1,L2,L3である。そして、これらリンクL1,L2,L3の内、注目リンクL0から見て時計回りに隣接するリンクは、リンクL1である。このため、注目リンクL0のリンクレコードには、始点側接続リンク番号として、リンクL1のリンクリスト配列番号を記述する。
【0085】
また、注目リンクL0の終点に接続される他リンクは、リンクR1,R2である。そして、これらリンクR1,R2の内、注目リンクL0から見て時計回りに隣接するリンクは、リンクR1である。このため、注目リンクL0のリンクレコードには、終点側接続リンク番号として、リンクR1のリンクリスト配列番号を記述する。
【0086】
図8(c)は、図8(a)の例を前提に、リンクL1,L2,L3のリンクレコードに記述する接続リンク番号を示すものである。注目リンクL0の始点を中心とした時計回り方向において、リンクL1に隣接するリンクは、リンクL2である。このためリンクL1のリンクレコードには、注目リンクL0の始点と一致するリンクL1の始点又は終点の接続リンク番号(始点側接続リンク番号又は終点側接続リンク番号)として、リンクL2のリンクリスト配列番号を記述する。また、時計回り方向において、リンクL2に隣接するリンクは、リンクL3である。このためリンクL2のリンクレコードには、注目リンクL0の始点と一致するリンクL2の始点又は終点の接続リンク番号として、リンクL3のリンクリスト配列番号を記述する。また、時計回り方向において、リンクL3に隣接するリンクは、注目リンクL0である。このためリンクL3のリンクレコードには、注目リンクL0の始点と一致するリンクL3の始点又は終点の接続リンク番号として、注目リンクL0のリンクリスト配列番号を記述する。本実施例では、このような記述によって、注目リンクL0始点のリンク接続関係を表現する。
<1.3 地図データのまとめ>
以上に地図データ構造について説明したが、本実施例によれば、路線レコードの配列順、セグメントレコードの配列順、リンクレコードの配列順、及び、座標レコードの配列順を揃えて、各レコードを一連の路線の流れに沿って配列する一方で、異なるデータリスト間のレコードの対応付けを、従来の地図データのようにリンクIDやノードIDを用いずに、データリスト内における該当レコードの配列番号やレコード数の情報を用いて行うようにした。従って、この地図データ構造によれば、各データリストのレコードに対して効率的にアクセスすることができ、更には、地図データの編集性が向上する。
【0087】
また、本実施例によれば、従来の地図データのようにリンクデータとノードデータとを別個に管理せずに、リンクデータによって各ノードでのリンクの接続関係を表す情報を管理する地図データ構造を採用しているので、地図データを編集して、新規道路を追加する際に、リンクデータとノードデータとの対応付けを採る必要がなく、この対応付けに係る作業の煩雑さを解消することができる。
【0088】
更に、本実施例によれば、階層毎に道路データを設ける従来の地図データ構造の採用を止めて地図データを単層化することで、地図データの編集性を向上させる一方、地図データを単一層とすることによる不利益を、仮想メッシュの概念を導入することで回避するようにした。
【0089】
例えば、階層毎の道路データを設けずに、地図データを単層化する場合、道路ネットワークの断片化を抑える目的や、広域地図画像を表示する際に多数のメッシュ単位データをファイルオープンしなくて済むように、各メッシュ単位データを、従来の上位層でのメッシュ単位データと同様に、広域エリアの地図を収録した区画の大きいメッシュ単位データとすることが考えられる。しかしながら、この場合には、狭域地図画像を表示する際に、メッシュ単位データにおける地図収録エリアに対して、描画に必要な目的データの量が少ないため、目的データのアクセス効率が、従来のままでは悪化する。
【0090】
そこで、本実施例では、メッシュを更に複数区画に分割して小区画を設定する一方、メッシュ単位データ内で、小区画毎に路線レコード等をまとめることはせずに、路線レコードや座標レコード等を参照するための参照用データである小区画路線レコードを小区画毎に設けることで、各小区画に対応する路線レコードや座標レコードに効率的にアクセスすることができるようにした。
【0091】
従って、本実施例によれば、メッシュ単位データの作成単位であるメッシュのサイズが大きいことにより、狭い地域のデータを読み出す際に、データアクセス効率が劣化するのを回避することができ、地図データを単層化しても、描画に必要なデータに効率よくアクセスして、効率的に縮尺の異なる地図画像(広域/狭域地図画像)を表示することができる。
【0092】
特に、本実施例によれば、路線毎に、参照用データとしての小区画路線レコードを設けて、各小区画路線レコードには、路線レコードの格納位置及び座標レコードの格納位置を表す情報を記述しているので、仮想小区画を通る各路線の道路属性及び座標を効率的に読み出し、路線毎に、路線の道路属性に応じた道路画像を効率的に描画することができる。
【0093】
尚、以上には、道路データの構成について説明したが、地図画像を表示する際には、背景画像の描画が通常必要になる。よって、上述の地図データには、背景画像のデータについても格納することができる。そして、背景画像データについても、道路データと同様、メッシュ単位のデータを地図データに設けることができ、又、背景画像のメッシュ単位データに対しても、仮想小区画を設定して、背景画像を構成する要素の属性データと、この属性データの格納先を表す仮想小区画毎の参照用データとを、道路データと同様の思想で設けることができる。
<2 ナビゲーション装置の構成>
続いて、上記構成の地図データを搭載するナビゲーション装置10の構成を説明する。
<2.1 基本構成>
図9に示すナビゲーション装置10は、位置検出装置11、地図データ入力装置13、操作デバイス15、音声出力デバイス16、表示デバイス17、及び、制御回路19を備える。位置検出装置11は、ナビゲーション装置10を搭載した車両の現在位置を検出するためのものであり、例えば、周知のジャイロスコープ、距離センサ及びGPS受信機等を有した構成にされる。
【0094】
一方、地図データ入力装置13は、上述の地図データが格納された記録媒体(具体的にはハードディスクやDVD)を有するものであり、この記録媒体に格納された地図データを制御回路19に入力可能に構成されている。
【0095】
操作デバイス15は、ユーザからの指示を制御回路19に入力するためのものであり、表示デバイス17に配置されたタッチパネルや、ナビゲーション装置10の本体表面やリモートコントローラに設けられた操作スイッチ群等により構成される。この操作デバイス15を通じて、ユーザは、地図の縮尺変更やスクロール等の操作や目的地設定などナビゲーション装置10のあらゆる操作を行うことが可能である。
【0096】
また、音声出力デバイス16は、スピーカ等から構成され、制御回路19からの信号を受けてユーザへの案内音声等を出力するものである。この他、表示デバイス17は、フルカラー表示が可能なものであり、この表示デバイス17には、例えば、位置検出装置11により検出された車両の現在位置を表す現在位置マークや誘導経路等が、地図データ入力装置13より入力された地図データに基づく地図画像に重ねて表示される。
【0097】
また、制御回路19は、周知のマイクロコンピュータと同様の構成にされ、内部にCPU19a、ROM19b、RAM19c、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備える。そして、CPU19aは、ROM19bに記憶されているプログラムに従って、位置検出装置11、地図データ入力装置13、及び、操作デバイス15から入力された信号(情報)に基づく処理を実行する。具体的に、制御回路19は、CPU19aによるプログラムの実行により、地図データ入力装置13から地図データを読み込んで、地図の描画処理や経路探索・経路案内等の処理を実行する。
<2.2 描画処理>
続いては、制御回路19が実行する描画処理の一例について説明する。図10は、道路線描画処理の一例を表すフローチャートである。この道路線描画処理は、地図の描画処理の一つとして制御回路19により繰返し実行される。
【0098】
道路線描画処理を開始すると、制御回路19は、表示デバイス17に地図画像を表示する地域(表示エリア)の位置座標を特定する(S110)。例えば、車両の現在位置周辺の地図画像を表示デバイス17に表示する場合には、位置検出装置11により検出された車両の現在位置座標を取得し、この位置座標を中心とする表示エリアの位置座標を、画面サイズ及び表示する地図画像の縮尺に基づいて、特定する。
【0099】
この処理を終えると、制御回路19は、特定した上記表示エリアを包含する仮想小区画の一群、及び、これら仮想小区画の道路データが格納されたメッシュ単位データを特定する(S120)。そして、特定したメッシュ単位データの一つについて、これをファイルオープンし(S130)、ファイルオープンしたメッシュ単位データが備える小区画路線数リストLb1(図2参照)を参照して、表示エリアの仮想小区画夫々に対応する小区画路線レコードの格納位置を特定する(S140)。尚、上記仮想小区画夫々に対応する小区画路線レコードの格納位置は、小区画路線数レコードが表す路線数(小区画路線レコード数)を、小区画路線数リストLb1の先頭から積算していくことにより特定することができる。
【0100】
その後、制御回路19は、上記格納位置を特定した小区画路線レコードの一つを処理対象に選択し(S150)、処理対象の小区画路線レコードを上記メッシュ単位データから読み出し、読み出した小区画路線レコードに記述された路線リスト配列番号に基づき、この小区画路線レコードに対応する路線の路線レコードを、メッシュ単位データから読み出す。更には、この路線レコードが示す道路属性から、該当路線の道路ランク(道路種別)等を特定する(S160)。
【0101】
この他、上記読み出した小区画路線レコードに記述された座標リスト配列番号及び座標点数(座標レコード数)から、この小区画路線レコードに対応する路線が仮想小区画を通るエリアの座標レコード群を、メッシュ単位データから読み出す。そして、この座標レコード群から、仮想小区画を通る該当路線部分の道路形状を特定する(S170)。
【0102】
制御回路19は、その後、上記特定した道路種別等に対応する色の道路線であって、上記特定した道路形状の道路線を、表示デバイス17に表示する地図画像に組み込む。これによって、該当する道路線を、表示デバイス17に表示する(S180)。
【0103】
また、この処理を終えると、制御回路19は、現在ファイルオープンしているメッシュ単位データから表示エリアに対応する読出可能な小区画路線レコードの全てを読み出したか否かを判断し(S190)、読み出していないと判断すると(S190でNo)、S150に移行し、未選択の小区画路線レコードの一つを処理対象に選択して、S160以降の処理を実行する。
【0104】
このような処理動作の繰返しによって、該当する小区画路線レコードの全てを読み出したと判断すると(S190でYes)、制御回路19は、S120で特定したメッシュ単位データの全てについて、これをファイルオープンしてS140以降の処理を実行したか否かを判断し(S200)、ファイルオープンしていないと判断すると(S200でNo)、現在ファイルオープンしているメッシュ単位データに代えて、S120で特定したメッシュ単位データの内、未オープンのメッシュ単位データについて、これをファイルオープンし(S130)、S140以降の処理を実行する。
【0105】
このような処理動作の繰返しによって、該当する全てメッシュ単位データについてS140以降の処理を終えると(S200でYes)、制御回路19は、道路線描画処理を終了する。この道路線描画処理によって、表示デバイス17には、S110で位置座標を特定した地域に対応する道路線が地図画像として表示される。
【0106】
このように本実施例のナビゲーション装置10によれば、地図画像の描画に際して、仮想小区画単位で、地図収録エリアにおけるデータ読出エリアを決定しているので、描画に必要なデータへのアクセスを効率よく行うことができ、その結果、描画処理に係る負荷を抑えることができる。
【0107】
尚、以上には、道路線の描画処理について説明したが、地図画像の表示に際しては、その他の背景画像に関する描画処理が同様に行われる。
<3 対応関係>
以上に、地図データ及びナビゲーション装置10の構成について説明したが、地図データにおける座標レコードは、本発明の道路要素属性データの一例に対応し、座標レコードが設けられた地点で区切られるリンクの部位は、本発明の道路要素の一例に対応する。また、小区画路線レコードは、本発明の路線参照用データの一例に対応し、仮想小区画毎の小区画路線レコードの一群は、本発明の道路要素参照用データの一例に対応する。また、路線レコードは、本発明の路線属性データの一例に対応する。また、ナビゲーション装置10の制御回路19が実行する道路線描画処理によって実現される機能は、本発明の処理実行手段にて実現される機能の一例に対応する。
<4 最後に>
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、上述した構成の地図データ構造は、車両に搭載されるナビゲーション装置用の地図データ以外の地図データにも適用することができる。具体的には、携帯電話等の携帯端末にインストールされる地図データにも適用することが可能である。
【0108】
また、上記実施例では、道路線描画処理における地図データへのアクセス態様について説明したが、仮想小区画単位のデータ読出は、経路探索時にも行うことができる。このようにデータを読み出せば、経路探索時においても効率的に目的データにアクセスすることが可能である。
【符号の説明】
【0109】
10…ナビゲーション装置、11…位置検出装置、13…地図データ入力装置、15…操作デバイス、16…音声出力デバイス、17…表示デバイス、19…制御回路、19a…CPU、19b…ROM、19c…RAM、La1…小区画路線数リスト、Lb2…小区画路線リスト、Lb3…路線リスト、Lb4…セグメントリスト、Lb5…リンクリスト、Lb6…座標リスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素に関する情報が記述された区画単位地図データを有する地図データであって、
前記区画単位地図データの夫々は、該当区画内の地図構成要素毎に、この地図構成要素の属性を表す属性データを有する一方、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する前記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを有する構成にされていること
を特徴とする地図データ。
【請求項2】
前記地図データは、前記地図収録エリア内の道路ネットワークを表現するものであり、
前記区画単位地図データの夫々は、前記地図収録エリア内の道路ネットワークを細分化して得られる道路要素群であって複数道路が接続される地点で少なくとも区切られる道路要素群の内、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、この道路要素の属性を表す道路要素属性データを、前記地図構成要素毎の前記属性データとして有する一方、前記小区画毎に、前記参照用データとして、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する前記道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを有すること
を特徴とする請求項1記載の地図データ。
【請求項3】
前記区画単位地図データの夫々は、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する前記道路要素属性データが前記路線の流れに沿って順に配列された構成にされ、
前記道路要素参照用データの夫々は、前記路線毎に、
この路線を構成する道路要素群の内、前記路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データ
を備えること
を特徴とする請求項2記載の地図データ。
【請求項4】
前記路線参照用データの夫々は、前記道路要素属性データ群を特定可能な情報として、前記第一の道路要素又は前記第二の道路要素に対応する前記道路要素属性データの格納位置、及び、該当路線における前記第一の道路要素から前記第二の道路要素までの道路要素群に対応した前記道路要素属性データの数が記述された構成にされていること
を特徴とする請求項3記載の地図データ。
【請求項5】
前記区画単位地図データの夫々は、前記路線毎に、この路線の属性を表す路線属性データを備え、
前記路線参照用データの夫々は、前記道路要素属性データ群を特定可能な情報に加えて、該当路線の前記路線属性データの格納位置を特定可能な情報が記述された構成にされていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の地図データ。
【請求項6】
前記地図データは、複数のデータファイルにより構成され、前記区画毎に、該当区画の前記区画単位地図データが格納されたデータファイルを備えること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の地図データ。
【請求項7】
地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素に関する情報を記述した区画単位地図データを作成する工程を含み、前記作成した前記区画単位地図データをまとめて、前記区画単位地図データを構成部品とする地図データを作成する方法であって、
前記区画単位地図データを作成する工程では、前記区画毎に、
該当区画内の各地図構成要素の属性を記述した前記地図構成要素毎の属性データを作成する一方、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する前記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを作成して、これら属性データ及び参照用データを構成部品とする該当区画の前記区画単位地図データを作成すること
を特徴とする地図データ作成方法。
【請求項8】
地図収録エリア内の道路ネットワークを表現する地図データの作成方法であって、
前記区画単位地図データを作成する工程では、前記区画毎に、
前記地図構成要素毎の前記属性データとして、前記地図収録エリア内の道路ネットワークを細分化して得られる道路要素群であって複数道路が接続される地点で少なくとも区切られる道路要素群の内、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、道路要素の属性を記述した道路要素属性データを作成する一方、
前記小区画毎の前記参照用データとして、前記小区画毎に、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する前記道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを作成すること
を特徴とする請求項7記載の地図データ作成方法。
【請求項9】
前記区画単位地図データを作成する工程では、前記区画毎に、
前記区画単位地図データとして、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する前記道路要素属性データを前記路線の流れに沿って順に配列するようにまとめたデータを作成する一方、
前記道路要素参照用データとして、該当小区画内を通る前記路線毎に、この路線を構成する道路要素群の内、前記路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データを作成して、前記路線参照用データを構成部品とする前記道路要素参照用データを、前記小区画毎に作成すること
を特徴とする請求項8記載の地図データ作成方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の地図データを備える記録媒体から前記地図データを読込可能な電子機器であって、
前記地図データに基づき、特定種類の処理を実行する処理実行手段を備え、
前記処理実行手段は、前記地図収録エリア内におけるデータ読込対象エリアを前記小区画の単位で決定し、前記決定したデータ読込対象エリア内の各小区画に対応する前記参照用データに基づき、前記データ読込対象エリア内の各地図構成要素に対応する前記属性データの格納位置を特定して、該当する前記属性データを前記地図データから選択的に読み込み、読み込んだ前記属性データを用いて、前記特定種類の処理を実行すること
を特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記処理実行手段は、前記特定種類の処理として、表示デバイスに地図画像を表示する処理を実行する構成にされ、前記データ読込対象エリアとして、前記表示デバイスに表示する地図画像に対応するエリアを前記小区画の単位で決定し、このエリアに対応する前記属性データを、前記地図データから選択的に読み込み、読み込んだ前記属性データを用いて、前記表示デバイスに地図画像を表示する処理を実行すること
を特徴とする請求項10記載の電子機器。
【請求項1】
地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素に関する情報が記述された区画単位地図データを有する地図データであって、
前記区画単位地図データの夫々は、該当区画内の地図構成要素毎に、この地図構成要素の属性を表す属性データを有する一方、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する前記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを有する構成にされていること
を特徴とする地図データ。
【請求項2】
前記地図データは、前記地図収録エリア内の道路ネットワークを表現するものであり、
前記区画単位地図データの夫々は、前記地図収録エリア内の道路ネットワークを細分化して得られる道路要素群であって複数道路が接続される地点で少なくとも区切られる道路要素群の内、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、この道路要素の属性を表す道路要素属性データを、前記地図構成要素毎の前記属性データとして有する一方、前記小区画毎に、前記参照用データとして、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する前記道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを有すること
を特徴とする請求項1記載の地図データ。
【請求項3】
前記区画単位地図データの夫々は、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する前記道路要素属性データが前記路線の流れに沿って順に配列された構成にされ、
前記道路要素参照用データの夫々は、前記路線毎に、
この路線を構成する道路要素群の内、前記路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データ
を備えること
を特徴とする請求項2記載の地図データ。
【請求項4】
前記路線参照用データの夫々は、前記道路要素属性データ群を特定可能な情報として、前記第一の道路要素又は前記第二の道路要素に対応する前記道路要素属性データの格納位置、及び、該当路線における前記第一の道路要素から前記第二の道路要素までの道路要素群に対応した前記道路要素属性データの数が記述された構成にされていること
を特徴とする請求項3記載の地図データ。
【請求項5】
前記区画単位地図データの夫々は、前記路線毎に、この路線の属性を表す路線属性データを備え、
前記路線参照用データの夫々は、前記道路要素属性データ群を特定可能な情報に加えて、該当路線の前記路線属性データの格納位置を特定可能な情報が記述された構成にされていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の地図データ。
【請求項6】
前記地図データは、複数のデータファイルにより構成され、前記区画毎に、該当区画の前記区画単位地図データが格納されたデータファイルを備えること
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の地図データ。
【請求項7】
地図収録エリアを複数区画に分割して定められる区画毎に、この区画内の地図構成要素に関する情報を記述した区画単位地図データを作成する工程を含み、前記作成した前記区画単位地図データをまとめて、前記区画単位地図データを構成部品とする地図データを作成する方法であって、
前記区画単位地図データを作成する工程では、前記区画毎に、
該当区画内の各地図構成要素の属性を記述した前記地図構成要素毎の属性データを作成する一方、該当区画を更に複数区画に分割して定められる小区画毎に、該当小区画内の地図構成要素及び該当小区画の境界を跨ぐ地図構成要素の夫々に対応する前記属性データの格納位置を特定可能な参照用データを作成して、これら属性データ及び参照用データを構成部品とする該当区画の前記区画単位地図データを作成すること
を特徴とする地図データ作成方法。
【請求項8】
地図収録エリア内の道路ネットワークを表現する地図データの作成方法であって、
前記区画単位地図データを作成する工程では、前記区画毎に、
前記地図構成要素毎の前記属性データとして、前記地図収録エリア内の道路ネットワークを細分化して得られる道路要素群であって複数道路が接続される地点で少なくとも区切られる道路要素群の内、該当区画内の道路ネットワークを構成する道路要素毎に、道路要素の属性を記述した道路要素属性データを作成する一方、
前記小区画毎の前記参照用データとして、前記小区画毎に、該当小区画内の道路要素及び該当小区画の境界を跨ぐ道路要素の夫々に対応する前記道路要素属性データの格納位置を特定可能な道路要素参照用データを作成すること
を特徴とする請求項7記載の地図データ作成方法。
【請求項9】
前記区画単位地図データを作成する工程では、前記区画毎に、
前記区画単位地図データとして、該当区画内において一条に接続される道路要素群から構成される路線毎に、この路線を構成する各道路要素に対応する前記道路要素属性データを前記路線の流れに沿って順に配列するようにまとめたデータを作成する一方、
前記道路要素参照用データとして、該当小区画内を通る前記路線毎に、この路線を構成する道路要素群の内、前記路線の流れに沿って該当小区画の外部から内部へ延びる第一の道路要素から、該当小区画の内部から外部へ延びる第二の道路要素まで、の一連の道路要素に対応する道路要素属性データ群を特定可能な路線参照用データを作成して、前記路線参照用データを構成部品とする前記道路要素参照用データを、前記小区画毎に作成すること
を特徴とする請求項8記載の地図データ作成方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項6のいずれか一項記載の地図データを備える記録媒体から前記地図データを読込可能な電子機器であって、
前記地図データに基づき、特定種類の処理を実行する処理実行手段を備え、
前記処理実行手段は、前記地図収録エリア内におけるデータ読込対象エリアを前記小区画の単位で決定し、前記決定したデータ読込対象エリア内の各小区画に対応する前記参照用データに基づき、前記データ読込対象エリア内の各地図構成要素に対応する前記属性データの格納位置を特定して、該当する前記属性データを前記地図データから選択的に読み込み、読み込んだ前記属性データを用いて、前記特定種類の処理を実行すること
を特徴とする電子機器。
【請求項11】
前記処理実行手段は、前記特定種類の処理として、表示デバイスに地図画像を表示する処理を実行する構成にされ、前記データ読込対象エリアとして、前記表示デバイスに表示する地図画像に対応するエリアを前記小区画の単位で決定し、このエリアに対応する前記属性データを、前記地図データから選択的に読み込み、読み込んだ前記属性データを用いて、前記表示デバイスに地図画像を表示する処理を実行すること
を特徴とする請求項10記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−163909(P2012−163909A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26064(P2011−26064)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]