地図データ更新装置及び地図データ更新方法
【目的】新地図ファイルのリンク番号の付け替えをしなくても、隣接メッシュのリンクとの接続関係を維持する「地図データ更新装置及び地図データ更新方法」を提供する。
【構成】地図データ更新に際して地図更新処置部63は、(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報LPTBを取得し、該対応情報を参照し、新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加し、地図データにおける旧地図ファイルを、パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する。
【構成】地図データ更新に際して地図更新処置部63は、(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報LPTBを取得し、該対応情報を参照し、新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加し、地図データにおける旧地図ファイルを、パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ更新装置及び地図データ更新方法に係り、特に、所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新装置及び地図データ更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経路探索用の地図データは、所定サイズのメッシュ毎に、該メッシュ内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成される。図7はメッシュの説明図であり、地図はカバーするエリアの広さから1次メッシュ地図、2次メッシュ地図・・・と階層化されており、1次メッシュは多数の2次メッシュで構成されている。1次メッシュは約80km×80km四方のエリアであり、8×8個の2次メッシュで構成され、2次メッシュは約10km×10km四方のエリアである。1次メッシュ番号(図7では5339)により所定のエリアが特定され、2次メッシュ番号により該エリア内の所定のサブエリアが特定される。
【0003】
新道路建設等による地形データの変更、施設のオープン/閉鎖、宅地整備その他の理由で記録媒体に記憶されている地図データは時間の経過と共に陳腐化する。このため、地図データを適宜更新する必要がある。地図更新の従来技術として、ユーザは新地図データと旧地図データの差分を記録した差分DVDを購入してハードディスクHDD等に記憶されている旧地図データを新地図データに更新するようにしている(特許文献1参照)。
【0004】
図8は地図差分データ作成装置による差分DVD作成の概略説明図である。地図データはメッシュ毎に地図ファイルを備えているから、地図差分データ作成装置(図示せず)は、地図ファイル毎に新バージョン(Ver 2)の新地図ファイルNMFと旧バージョン(Ver 1)の旧地図ファイルOMFの差分を抽出する処理を行なって差分データファイルDFD1〜DFDNを作成し、しかる後、全差分データファイルをまとめて差分データを作成し、該差分データをDVDに書込んで差分DVD 1を作成する。
【0005】
図9は地図ファイル毎の差分データファイル作成方法説明図であり、新地図ファイルNMFと旧地図ファイルOMFをバイト単位で比較し、(1)新地図ファイルのデータ領域と一致する旧地図ファイルのデータ領域MR1〜MR3を検索し、該旧地図データ領域MR1〜MR3の先頭アドレスとサイズ、(2)旧地図データと一致しない新地図データA〜Dの組を順番に配列して前記差分データファイルを作成する。図9において、矢印で双方を指し示している個所が新旧ファイルで同一の領域である。旧地図ファイルOMFにおける不一致領域データDLTMは破棄され、新地図ファイルNMFにおける不一致領域データA〜Dは差分データとして追加される。同一の旧地図データ領域MR1〜MR3は、該領域の先頭アドレスADiとサイズSiで特定される。図9の例では、差分データファイルは図10に示すようになる。すなわち、
差分データファイルの構成は、
・新地図ファイル:Aデータ
・旧地図ファイル:領域MR1指定(領域MR1の先頭アドレスAD1,サイズS1)
・新地図ファイル:Bデータ
・旧地図ファイル:領域MR3指定(領域MR3の先頭アドレスAD3,サイズS3)
・新地図ファイル:Cデータ
・旧地図ファイル:領域MR2指定(領域MR2の先頭アドレスAD2,サイズS2)
・新地図ファイル:Dデータ
となる。
【0006】
図11は差分DVDを用いてハードディスクHDDの旧地図データを新地図データに更新するナビゲーション装置の更新処理説明図である。地図更新に際して、ナビゲーション装置のハードディスク読取部2はハードディスク3からバージョン1(Ver 1)の旧地図ファイルOMFを読み取って更新処理部4に入力し、DVD再生部5は差分DVD 1から差分データファイルを読み取って更新処理部4に入力する。更新処理部4は、差分データファイルとVer 1の旧地図ファイルOMFを用いてファイル毎にVer 2の新地図ファイルNMFを生成し、ハードディスク書込み部6は該新地図ファイルNMFで旧地図ファイルOMFを書き替える。
以上では2次メッシュ毎に図10の差分データファイルを作成して地図更新する場合であるが、新地図ファイルを差分データファイルと見なして旧地図ファイルを更新することもできる。
【0007】
ところで、リンクIDは新地図ファイルNMFと旧地図ファイルOMFで同じにしなければならない。図12の(A)を参照すると二次メッシュにおいて3本の道路リンクが1つのノードに接続されており、旧地図ファイルではこの3本のリンクにリンクIDとして0,1,2を付与している。この二次メッシュにおいてノードに新たに1本の道路リンクが追加された場合、(B)に示すように、新地図ファイルにおいて既存の3本のリンクにリンクIDとして旧地図ファイルと同一の0,1,2を付与し、新たなリンクに0,1,2以外の別のリンクID例えば3を付与する必要がある。このようにリンクIDを同じにする理由は、リンクIDが異なると、地図更新する2次メッシュのリンクと地図更新しない隣接二次メッシュのリンクとの接続関係が維持できなくなり、経路探索やマップマッチング処理が不可能になるからである。
【0008】
しかし、リンク番号を同じにした新地図を作成するものとすると、地図作成の工数が大きくなる。このため、地図提供業者は旧地図ファイルのリンク番号を考慮せずに新地図ファイルを作成して提供する。この結果、地図提供業者から提供される新地図ファイルと旧地図ファイルのリンクIDが異なる。そこで、ナビゲーション地図データ作成業者は、図12の(C)に示すように、地図提供業者より取得した新地図ファイルのリンク番号を付け替えて旧地図ファイルのリンク番号と同じにしている(リンク番号のパーマネント化)。しかし、新地図ファイルのリンク番号の付け替えは面倒な作業であり、ナビゲーション地図データ作成業者側の負担が大きい問題がある。
【0009】
又、図13に示すように、ナビゲーション地図作成業者は、リンク3が追加された時点で、バージョン1(Ver 1)の地図ファイルを、バージョン2(Ver 2)の地図ファイルに更新するための差分データDFD1を用意する。ユーザは該差分データDFD1を用いてバージョン2(Ver 2)の地図ファイルを作成することができる。その後、ナビゲーション地図作成業者は、リンク3が追加された時点で、バージョン2(Ver 2)の地図ファイルをバージョン3(Ver 3)の地図ファイルに更新するための差分データDFD2を用意する。ユーザは該差分データを用いてバージョン2(Ver 2)の地図ファイルよりバージョン3(Ver 3)の地図ファイルを作成することができる。しかし、ユーザは差分データDFD2を用いてバージョン1(Ver 1)の地図ファイルよりバージョン3(Ver 3)の地図ファイルを作成することができない。このため、ナビゲーション地図作成業者はバージョン1(Ver 1)の地図ファイルを、バージョン3(Ver 3)の地図ファイルに更新するための別の差分データを用意する必要があり、負担が大きい問題がある。たとえば、新規路線が開通する毎にあるいは一定期間毎に各バージョンの地図データを新バージョンに更新するための差分データを用意する必要があり、用意する差分データの数が多くなり、ナビゲーション地図作成業者の負担が大きくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−251768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上から、本発明の目的は、新地図ファイルのリンク番号の付け替えを不要にすることである。
本発明の別の目的は、新地図ファイルのリンク番号の付け替えをしなくても隣接メッシュのリンク間の接続関係を維持し、経路探索を行なえるようにすることである。
本発明の別の目的は、差分データを不要にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新装置および地図データ更新方法である。
・地図データ更新装置
本発明地図データ更新装置は、(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得する手段、前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリア内のリンクのパーマネントリンクID を追加するパーマネントリンク情報追加手段、地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する地図更新手段を備えている。
前記パーマネントリンク情報追加手段によりパーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルを記憶媒体に出力し、前記地図更新手段は該記憶媒体に記録されている新地図ファイルを用いてナビゲーション装置の地図データを更新する。
【0013】
・地図データ更新方法
本発明の地図データ更新方法は、 (1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得するステップ、前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加するステップ、地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新するステップ、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パーマネントリンクIDを使用するシステムにおける該パーマネントリンクID を新地図ファイルの各リンクレコードに追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加するようにしたから、新地図ファイルと旧地図ファイルのリンクIDが異なっていても、パーマネントリンクIDにより隣接メッシュのリンク間の接続関係を維持することが可能となり、経路探索を行なうことができる。すなわち、本発明によれば、新地図ファイルのリンク番号の付け替えを不要にでき、しかも、新地図ファイルのリンク番号の付け替えをしなくても隣接メッシュのリンク間の接続関係を維持することができる。
また、本発明によれば、地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新するため、新規路線が開通する毎にあるいは一定期間毎に新バージョンの新地図ファイルを作成して用意するだけでよい。すなわち、従来技術のように、各バージョンの地図データを新バージョンに更新するための差分データを用意する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の地図データ更新方法の概要説明図である。
【図2】本発明のリンクレコードLRDとノードレコードNRDの説明図である。
【図3】本発明の新旧地図ファイルにより隣接メッシュのリンク間の接続性が維持される理由を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例の地図データ更新装置の構成図である。
【図5】本発明の地図更新処理フローである。
【図6】地図データ更新装置の変形例である。
【図7】メッシュの説明図である。
【図8】地図差分データ作成装置による差分DVD作成の概略説明図である。
【図9】地図ファイル毎の差分データファイル作成方法説明図である。
【図10】差分データファイルの説明図である。
【図11】差分DVDを用いてハードディスクHDDの旧地図データを新地図データに更新するナビゲーション装置の更新処理説明図である。
【図12】従来技術の問題点説明図である。
【図13】従来技術の別の問題点説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)本発明の概要
図1は本発明の地図データ更新方法の概要説明図であり、(A)は2次メッシュA〜Dにおける旧地図である。2次メッシュの地図ファイルに含まれる各リンクレコードLRDは、図2に示すように従来の情報(リンク番号、リンク属性、リンク長、始点ノード番号、終点ノード番号)に加えて、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおけるパーマネントリンクID 11を有している。リンクIDがパーマネント化されているシステムとしては、渋滞状況や交通規制情報を提供する道路交通情報通信システム(VICS:VICSは登録商標)があり、該システムは旧地図ファイルと新地図ファイルとで同一リンクに同一のリンク番号を付与し、リンク番号が不変となっている(パーマネント化されている)。したがって、本発明ではパーマネントリンクID 11としてVICSリンク番号がリンクレコードLRDに追加されている。
【0017】
又、地図ファイルに含まれるノードレコードNRDは、図2に示すように従来の情報(ノード番号、ノード属性、座標、接続リンク数、ノードに接続する全リンクのリンク番号)に加えて、メッシュ境界上に存在するノードであるか否かを示すフラグ(境界ノードフラグ)12、隣接メッシュのメッシュ番号13、該ノードに接続する隣接メッシュ内のリンクのVICSリンク番号14、該リンクの向き(上り、下りの別)15を有している。なお、メッシュ境界上に存在しないノードのノードレコードには、隣接メッシュのメッシュ番号13、該ノードに接続する隣接メッシュ内のリンクのVICSリンク番号14、該リンクの向き15の情報は不要である。
【0018】
図1の(B)は2次メッシュB,Cに太線で示す新たな道路が追加された新地図であり、地図作成業者より提供される地図データにおいて、メッシュB、Cの新地図ファイルは旧地図ファイルとは別のリンク番号が使用されている。そこで、ナビゲーション地図作成業者あるいはユーザは、メッシュB,Cの新地図ファイルにおける全リンクレコードLRDにVICSリンク番号11を図2に示すように追加し、かつ、また、全ノードレコードNRDに境界ノードフラグ12、隣接メッシュのメッシュ番号13、該ノードに接続する隣接メッシュ内のリンクのVICSリンク番号14、該リンクの向き15を追加する。これらの情報の追加は、地図作成業者よりメッシュ毎に新地図ファイルに含まれるリンクレコードのリンク番号とVICSリンク番号との対応テーブルが提供されるから、この対応テーブルを用いて簡単に行なうことができる。以上により、図1の(C)に示すようにメッシュB,Cの新地図ファイルにVICSリンク情報が追加される。
【0019】
メッシュB,Cの新地図ファイルにVICSリンク情報の追加が完了すれば、図1の(D)に示すように、該メッシュB,Cの新地図ファイル((C))で、ナビゲーション装置の旧地図((A)参照)におけるメッシュB,Cの旧地図ファイルを置き換えれば地図データの更新が終了する。以上により、ナビゲーション装置の地図データは新旧の地図ファイルが混在したものとなるが、VICSリンク番号により隣接メッシュのリンク間の接続性が維持される。なお、ユーザによってはメッシュBあるいはメッシュCのみを更新する場合もあり、その場合には、メッシュBあるいはメッシュCの新地図ファイルでメッシュBあるいはメッシュCの旧地図ファイルを置き換える。
【0020】
図3は本発明により新旧地図ファイルによりメッシュ間のリンク接続性が維持される理由を説明する説明図であり、(A)はVICSリンク番号を追加しない場合にリンク接続性が維持されない従来技術の説明図、(B)はリンク接続性が維持される本発明の説明図である。旧地図ファイルではメッシュA,Bのリンク21,22にリンク番号L1,L2が付けられ、新地図ファイルではリンク番号L3,L4が付けられている。すなわち、メッシュAの旧地図ファイルではンクL1がリンクL2に接続されていることが記述され、メッシュBの旧地図ファイルではンクL2がリンクL1に接続されていることが記述されている。又、メッシュAの新地図ファイルではンクL3がリンクL4に接続されていることが記述され、メッシュBの新地図ファイルではンクL4がリンクL3に接続されていることが記述されている。ここで、旧地図データにおけるメッシュBの地図ファイルのみ更新するものとして、該メッシュBの旧地図ファイルを新地図ファイルで置き換えると図3(A)の(3)に示すようになる。この結果、リンク21とリンク22の接続性が維持できなくなり経路探索が不可能となる。
【0021】
一方、本発明では、各地図ファイルに図2で説明したVICSリンク情報が追加される。このため、メッシュA,Bにおけるリンク21,22のVICSリンク番号をV101,V102とすれば、旧地図ファイルにおけるリンク21,22はそれぞれL1:V101,L2:V102により特定され、新地図ファイルにおけるリンク21,22はそれぞれL3:V101,L4:V102により特定される。
すなわち、メッシュAの旧地図ファイルではリンクL1がリンクL2:V102に接続されていることが記述され、メッシュBの旧地図ファイルではンクL2がリンクL1:V101に接続されていることが記述され、メッシュAの新地図ファイルではリンクL3がリンクL4:V102に接続されていることが記述され、メッシュBの新地図ファイルではリンクL4がリンクL3:V101に接続されていることが記述されている。この結果、旧地図データにおけるメッシュBの地図ファイルのみ更新するものとして、該メッシュBの旧地図ファイルを新地図ファイルで置き換えると図3(B)の(3)に示すようになり、VICSリンク番号に着目することによりリンク21とリンク22の接続性が維持されることになり、経路探索が可能になる。
【0022】
以上のように経路探索に使用する2次メッシュの地図ファイルではVICSリンク情報を追加することにより、隣接する新旧地図ファイルのリンク間の接続性を維持することが可能となる。なお、細街路などの地図表示用に使用する3次メッシュは2次メッシュを8×8に分割した約1Km×1Kmのエリアであり、この3次メッシュの地図データも地図作成業者より供給されるが、3次メッシュの地図データは経路探索に使用するものでないためリンクの接続性を維持する必要はなくリンクIDの付け替えは不要である。
【0023】
(B)実施例
図4は本発明の第1実施例の地図データ更新装置の構成図である。
新地図配信センター51は、地図作成業者が作成した新地図を保持し、要求により新地図ファイルをインターネットなどの通信網を介して要求元に提供する。
地図データ更新装置52の通信部61は新地図配信センター51との間で通信して所定の2次メッシュの新地図ファイルを受信する。2次メッシュ特定部62は地図更新すべき2次メッシュ(例えば新規開通した路線を含む2次メッシュ)を特定し、地図更新処理部63は該特定された2次メッシュの新地図ファイルを通信部61を介して新地図配信センター51に要求し、新地図配信センター51より、(1)要求した2次メッシュの新地図ファイルと、(2) 該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDとVICSリンク番号との対応情報をそれぞれ受信する。新地図ファイル保存部64は新地図配信センター51より配信された2次メッシュの新地図ファイルを2次メッシュ番号に対応させて保存し、対応情報保存部65は、新地図配信センター51より配信された地図リンクIDとVICSリンク番号との対応情報LPTBを保存する。
【0024】
また、地図更新処理部63は前記対応情報LPTBを参照し、新地図ファイル保存部64に保存されている各新地図ファイルに含まれるリンクレコードとノードレコードにVICSリンク情報を追加する。すなわち、地図更新処理部63は各新地図ファイルに含まれるリンクレコードにVICSリンク番号を追加し(図2のリンクレコードLRD参照)、かつ、ノードレコードであってエリア(2次メッシュエリア)の境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接2次メッシュを特定する情報(2次メッシュ番号)および該ノードに接続する隣接2次メッシュ内のリンクのVICSリンク番号を追加する(図2のノードレコードNRD参照)。
しかる後、地図更新処理部63はハードディスク制御部66を介して、ナビゲーション装置のハードディスク(HDD)67に保存されている地図データMPにおける旧地図ファイルを、VICSリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する。
【0025】
図5は本発明の地図更新処理フローである。
地図データ更新装置52の地図更新処置部63は新地図配信センター51へ更新すべき1以上の2次メッシュの新地図ファイルを要求する(ステップ101)。この要求に応答して新地図配信センター51より(1)新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDとVICSリンク番号との対応情報LPTBをそれぞれ受信して保存する(ステップ102)。
更新すべき全2次メッシュの新地図ファイルを取得すれば(ステップ103で「YES」)、地図更新処理部63はリンクIDとVICSリンク番号の対応情報LPTBを参照し、新地図ファイル保存部64に保存されている各新地図ファイルに含まれるリンクレコードとノードレコードにVICSリンク情報を追加する(ステップ104)。
【0026】
全新地図ファイルについてVICSリンク情報の追加処理が終了すれば(ステップ105で「YES」)、地図更新処理部63はハードディスク制御部66を制御して、VICSリンク情報が追加された各新地図ファイルで、ハードディスク(HDD)67に保存されている地図データMPの旧地図ファイルを置き替え、地図更新処理を終了する(ステップ106)。なお、所定2次メッシュの新地図ファイルで、該2次メッシュに対応する旧地図ファイルを置き換えるものとする。
以上の実施例では、地図データ更新装置52の地図更新処置部63が、ナビゲーション装置のハードディスクHDD 67に記録されている地図データを更新する場合であるが、新地図ファイルをDVDなどの記録媒体に出力することもできる。
【0027】
図6はかかる場合の地図データ更新装置52の構成図であり、新地図ファイル出力部71がDVD 72に新地図ファイルを記録して出力する構成になっており、他の構成は図4の実施例と同じである。ユーザは該DVDを購入してナビゲーション装置にセットすれば、ナビゲーション装置の地図更新処理部はDVD 72より読み取った所定2次メッシュの新地図ファイルで対応する2次メッシュの旧地図ファイルを置き換えて地図更新する。
【符号の説明】
【0028】
51 新地図配信センター
52 地図データ更新装置
61 通信部
62 2次メッシュ特定部
63 地図更新処理部
64 新地図ファイル保存部
65 リンクIDとVICSリンク番号の対応情報保存部
66 ハードディスク制御部
67 ハードディスク(HDD)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ更新装置及び地図データ更新方法に係り、特に、所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新装置及び地図データ更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経路探索用の地図データは、所定サイズのメッシュ毎に、該メッシュ内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成される。図7はメッシュの説明図であり、地図はカバーするエリアの広さから1次メッシュ地図、2次メッシュ地図・・・と階層化されており、1次メッシュは多数の2次メッシュで構成されている。1次メッシュは約80km×80km四方のエリアであり、8×8個の2次メッシュで構成され、2次メッシュは約10km×10km四方のエリアである。1次メッシュ番号(図7では5339)により所定のエリアが特定され、2次メッシュ番号により該エリア内の所定のサブエリアが特定される。
【0003】
新道路建設等による地形データの変更、施設のオープン/閉鎖、宅地整備その他の理由で記録媒体に記憶されている地図データは時間の経過と共に陳腐化する。このため、地図データを適宜更新する必要がある。地図更新の従来技術として、ユーザは新地図データと旧地図データの差分を記録した差分DVDを購入してハードディスクHDD等に記憶されている旧地図データを新地図データに更新するようにしている(特許文献1参照)。
【0004】
図8は地図差分データ作成装置による差分DVD作成の概略説明図である。地図データはメッシュ毎に地図ファイルを備えているから、地図差分データ作成装置(図示せず)は、地図ファイル毎に新バージョン(Ver 2)の新地図ファイルNMFと旧バージョン(Ver 1)の旧地図ファイルOMFの差分を抽出する処理を行なって差分データファイルDFD1〜DFDNを作成し、しかる後、全差分データファイルをまとめて差分データを作成し、該差分データをDVDに書込んで差分DVD 1を作成する。
【0005】
図9は地図ファイル毎の差分データファイル作成方法説明図であり、新地図ファイルNMFと旧地図ファイルOMFをバイト単位で比較し、(1)新地図ファイルのデータ領域と一致する旧地図ファイルのデータ領域MR1〜MR3を検索し、該旧地図データ領域MR1〜MR3の先頭アドレスとサイズ、(2)旧地図データと一致しない新地図データA〜Dの組を順番に配列して前記差分データファイルを作成する。図9において、矢印で双方を指し示している個所が新旧ファイルで同一の領域である。旧地図ファイルOMFにおける不一致領域データDLTMは破棄され、新地図ファイルNMFにおける不一致領域データA〜Dは差分データとして追加される。同一の旧地図データ領域MR1〜MR3は、該領域の先頭アドレスADiとサイズSiで特定される。図9の例では、差分データファイルは図10に示すようになる。すなわち、
差分データファイルの構成は、
・新地図ファイル:Aデータ
・旧地図ファイル:領域MR1指定(領域MR1の先頭アドレスAD1,サイズS1)
・新地図ファイル:Bデータ
・旧地図ファイル:領域MR3指定(領域MR3の先頭アドレスAD3,サイズS3)
・新地図ファイル:Cデータ
・旧地図ファイル:領域MR2指定(領域MR2の先頭アドレスAD2,サイズS2)
・新地図ファイル:Dデータ
となる。
【0006】
図11は差分DVDを用いてハードディスクHDDの旧地図データを新地図データに更新するナビゲーション装置の更新処理説明図である。地図更新に際して、ナビゲーション装置のハードディスク読取部2はハードディスク3からバージョン1(Ver 1)の旧地図ファイルOMFを読み取って更新処理部4に入力し、DVD再生部5は差分DVD 1から差分データファイルを読み取って更新処理部4に入力する。更新処理部4は、差分データファイルとVer 1の旧地図ファイルOMFを用いてファイル毎にVer 2の新地図ファイルNMFを生成し、ハードディスク書込み部6は該新地図ファイルNMFで旧地図ファイルOMFを書き替える。
以上では2次メッシュ毎に図10の差分データファイルを作成して地図更新する場合であるが、新地図ファイルを差分データファイルと見なして旧地図ファイルを更新することもできる。
【0007】
ところで、リンクIDは新地図ファイルNMFと旧地図ファイルOMFで同じにしなければならない。図12の(A)を参照すると二次メッシュにおいて3本の道路リンクが1つのノードに接続されており、旧地図ファイルではこの3本のリンクにリンクIDとして0,1,2を付与している。この二次メッシュにおいてノードに新たに1本の道路リンクが追加された場合、(B)に示すように、新地図ファイルにおいて既存の3本のリンクにリンクIDとして旧地図ファイルと同一の0,1,2を付与し、新たなリンクに0,1,2以外の別のリンクID例えば3を付与する必要がある。このようにリンクIDを同じにする理由は、リンクIDが異なると、地図更新する2次メッシュのリンクと地図更新しない隣接二次メッシュのリンクとの接続関係が維持できなくなり、経路探索やマップマッチング処理が不可能になるからである。
【0008】
しかし、リンク番号を同じにした新地図を作成するものとすると、地図作成の工数が大きくなる。このため、地図提供業者は旧地図ファイルのリンク番号を考慮せずに新地図ファイルを作成して提供する。この結果、地図提供業者から提供される新地図ファイルと旧地図ファイルのリンクIDが異なる。そこで、ナビゲーション地図データ作成業者は、図12の(C)に示すように、地図提供業者より取得した新地図ファイルのリンク番号を付け替えて旧地図ファイルのリンク番号と同じにしている(リンク番号のパーマネント化)。しかし、新地図ファイルのリンク番号の付け替えは面倒な作業であり、ナビゲーション地図データ作成業者側の負担が大きい問題がある。
【0009】
又、図13に示すように、ナビゲーション地図作成業者は、リンク3が追加された時点で、バージョン1(Ver 1)の地図ファイルを、バージョン2(Ver 2)の地図ファイルに更新するための差分データDFD1を用意する。ユーザは該差分データDFD1を用いてバージョン2(Ver 2)の地図ファイルを作成することができる。その後、ナビゲーション地図作成業者は、リンク3が追加された時点で、バージョン2(Ver 2)の地図ファイルをバージョン3(Ver 3)の地図ファイルに更新するための差分データDFD2を用意する。ユーザは該差分データを用いてバージョン2(Ver 2)の地図ファイルよりバージョン3(Ver 3)の地図ファイルを作成することができる。しかし、ユーザは差分データDFD2を用いてバージョン1(Ver 1)の地図ファイルよりバージョン3(Ver 3)の地図ファイルを作成することができない。このため、ナビゲーション地図作成業者はバージョン1(Ver 1)の地図ファイルを、バージョン3(Ver 3)の地図ファイルに更新するための別の差分データを用意する必要があり、負担が大きい問題がある。たとえば、新規路線が開通する毎にあるいは一定期間毎に各バージョンの地図データを新バージョンに更新するための差分データを用意する必要があり、用意する差分データの数が多くなり、ナビゲーション地図作成業者の負担が大きくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−251768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上から、本発明の目的は、新地図ファイルのリンク番号の付け替えを不要にすることである。
本発明の別の目的は、新地図ファイルのリンク番号の付け替えをしなくても隣接メッシュのリンク間の接続関係を維持し、経路探索を行なえるようにすることである。
本発明の別の目的は、差分データを不要にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新装置および地図データ更新方法である。
・地図データ更新装置
本発明地図データ更新装置は、(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得する手段、前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリア内のリンクのパーマネントリンクID を追加するパーマネントリンク情報追加手段、地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する地図更新手段を備えている。
前記パーマネントリンク情報追加手段によりパーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルを記憶媒体に出力し、前記地図更新手段は該記憶媒体に記録されている新地図ファイルを用いてナビゲーション装置の地図データを更新する。
【0013】
・地図データ更新方法
本発明の地図データ更新方法は、 (1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得するステップ、前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加するステップ、地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新するステップ、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パーマネントリンクIDを使用するシステムにおける該パーマネントリンクID を新地図ファイルの各リンクレコードに追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加するようにしたから、新地図ファイルと旧地図ファイルのリンクIDが異なっていても、パーマネントリンクIDにより隣接メッシュのリンク間の接続関係を維持することが可能となり、経路探索を行なうことができる。すなわち、本発明によれば、新地図ファイルのリンク番号の付け替えを不要にでき、しかも、新地図ファイルのリンク番号の付け替えをしなくても隣接メッシュのリンク間の接続関係を維持することができる。
また、本発明によれば、地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新するため、新規路線が開通する毎にあるいは一定期間毎に新バージョンの新地図ファイルを作成して用意するだけでよい。すなわち、従来技術のように、各バージョンの地図データを新バージョンに更新するための差分データを用意する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の地図データ更新方法の概要説明図である。
【図2】本発明のリンクレコードLRDとノードレコードNRDの説明図である。
【図3】本発明の新旧地図ファイルにより隣接メッシュのリンク間の接続性が維持される理由を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例の地図データ更新装置の構成図である。
【図5】本発明の地図更新処理フローである。
【図6】地図データ更新装置の変形例である。
【図7】メッシュの説明図である。
【図8】地図差分データ作成装置による差分DVD作成の概略説明図である。
【図9】地図ファイル毎の差分データファイル作成方法説明図である。
【図10】差分データファイルの説明図である。
【図11】差分DVDを用いてハードディスクHDDの旧地図データを新地図データに更新するナビゲーション装置の更新処理説明図である。
【図12】従来技術の問題点説明図である。
【図13】従来技術の別の問題点説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(A)本発明の概要
図1は本発明の地図データ更新方法の概要説明図であり、(A)は2次メッシュA〜Dにおける旧地図である。2次メッシュの地図ファイルに含まれる各リンクレコードLRDは、図2に示すように従来の情報(リンク番号、リンク属性、リンク長、始点ノード番号、終点ノード番号)に加えて、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおけるパーマネントリンクID 11を有している。リンクIDがパーマネント化されているシステムとしては、渋滞状況や交通規制情報を提供する道路交通情報通信システム(VICS:VICSは登録商標)があり、該システムは旧地図ファイルと新地図ファイルとで同一リンクに同一のリンク番号を付与し、リンク番号が不変となっている(パーマネント化されている)。したがって、本発明ではパーマネントリンクID 11としてVICSリンク番号がリンクレコードLRDに追加されている。
【0017】
又、地図ファイルに含まれるノードレコードNRDは、図2に示すように従来の情報(ノード番号、ノード属性、座標、接続リンク数、ノードに接続する全リンクのリンク番号)に加えて、メッシュ境界上に存在するノードであるか否かを示すフラグ(境界ノードフラグ)12、隣接メッシュのメッシュ番号13、該ノードに接続する隣接メッシュ内のリンクのVICSリンク番号14、該リンクの向き(上り、下りの別)15を有している。なお、メッシュ境界上に存在しないノードのノードレコードには、隣接メッシュのメッシュ番号13、該ノードに接続する隣接メッシュ内のリンクのVICSリンク番号14、該リンクの向き15の情報は不要である。
【0018】
図1の(B)は2次メッシュB,Cに太線で示す新たな道路が追加された新地図であり、地図作成業者より提供される地図データにおいて、メッシュB、Cの新地図ファイルは旧地図ファイルとは別のリンク番号が使用されている。そこで、ナビゲーション地図作成業者あるいはユーザは、メッシュB,Cの新地図ファイルにおける全リンクレコードLRDにVICSリンク番号11を図2に示すように追加し、かつ、また、全ノードレコードNRDに境界ノードフラグ12、隣接メッシュのメッシュ番号13、該ノードに接続する隣接メッシュ内のリンクのVICSリンク番号14、該リンクの向き15を追加する。これらの情報の追加は、地図作成業者よりメッシュ毎に新地図ファイルに含まれるリンクレコードのリンク番号とVICSリンク番号との対応テーブルが提供されるから、この対応テーブルを用いて簡単に行なうことができる。以上により、図1の(C)に示すようにメッシュB,Cの新地図ファイルにVICSリンク情報が追加される。
【0019】
メッシュB,Cの新地図ファイルにVICSリンク情報の追加が完了すれば、図1の(D)に示すように、該メッシュB,Cの新地図ファイル((C))で、ナビゲーション装置の旧地図((A)参照)におけるメッシュB,Cの旧地図ファイルを置き換えれば地図データの更新が終了する。以上により、ナビゲーション装置の地図データは新旧の地図ファイルが混在したものとなるが、VICSリンク番号により隣接メッシュのリンク間の接続性が維持される。なお、ユーザによってはメッシュBあるいはメッシュCのみを更新する場合もあり、その場合には、メッシュBあるいはメッシュCの新地図ファイルでメッシュBあるいはメッシュCの旧地図ファイルを置き換える。
【0020】
図3は本発明により新旧地図ファイルによりメッシュ間のリンク接続性が維持される理由を説明する説明図であり、(A)はVICSリンク番号を追加しない場合にリンク接続性が維持されない従来技術の説明図、(B)はリンク接続性が維持される本発明の説明図である。旧地図ファイルではメッシュA,Bのリンク21,22にリンク番号L1,L2が付けられ、新地図ファイルではリンク番号L3,L4が付けられている。すなわち、メッシュAの旧地図ファイルではンクL1がリンクL2に接続されていることが記述され、メッシュBの旧地図ファイルではンクL2がリンクL1に接続されていることが記述されている。又、メッシュAの新地図ファイルではンクL3がリンクL4に接続されていることが記述され、メッシュBの新地図ファイルではンクL4がリンクL3に接続されていることが記述されている。ここで、旧地図データにおけるメッシュBの地図ファイルのみ更新するものとして、該メッシュBの旧地図ファイルを新地図ファイルで置き換えると図3(A)の(3)に示すようになる。この結果、リンク21とリンク22の接続性が維持できなくなり経路探索が不可能となる。
【0021】
一方、本発明では、各地図ファイルに図2で説明したVICSリンク情報が追加される。このため、メッシュA,Bにおけるリンク21,22のVICSリンク番号をV101,V102とすれば、旧地図ファイルにおけるリンク21,22はそれぞれL1:V101,L2:V102により特定され、新地図ファイルにおけるリンク21,22はそれぞれL3:V101,L4:V102により特定される。
すなわち、メッシュAの旧地図ファイルではリンクL1がリンクL2:V102に接続されていることが記述され、メッシュBの旧地図ファイルではンクL2がリンクL1:V101に接続されていることが記述され、メッシュAの新地図ファイルではリンクL3がリンクL4:V102に接続されていることが記述され、メッシュBの新地図ファイルではリンクL4がリンクL3:V101に接続されていることが記述されている。この結果、旧地図データにおけるメッシュBの地図ファイルのみ更新するものとして、該メッシュBの旧地図ファイルを新地図ファイルで置き換えると図3(B)の(3)に示すようになり、VICSリンク番号に着目することによりリンク21とリンク22の接続性が維持されることになり、経路探索が可能になる。
【0022】
以上のように経路探索に使用する2次メッシュの地図ファイルではVICSリンク情報を追加することにより、隣接する新旧地図ファイルのリンク間の接続性を維持することが可能となる。なお、細街路などの地図表示用に使用する3次メッシュは2次メッシュを8×8に分割した約1Km×1Kmのエリアであり、この3次メッシュの地図データも地図作成業者より供給されるが、3次メッシュの地図データは経路探索に使用するものでないためリンクの接続性を維持する必要はなくリンクIDの付け替えは不要である。
【0023】
(B)実施例
図4は本発明の第1実施例の地図データ更新装置の構成図である。
新地図配信センター51は、地図作成業者が作成した新地図を保持し、要求により新地図ファイルをインターネットなどの通信網を介して要求元に提供する。
地図データ更新装置52の通信部61は新地図配信センター51との間で通信して所定の2次メッシュの新地図ファイルを受信する。2次メッシュ特定部62は地図更新すべき2次メッシュ(例えば新規開通した路線を含む2次メッシュ)を特定し、地図更新処理部63は該特定された2次メッシュの新地図ファイルを通信部61を介して新地図配信センター51に要求し、新地図配信センター51より、(1)要求した2次メッシュの新地図ファイルと、(2) 該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDとVICSリンク番号との対応情報をそれぞれ受信する。新地図ファイル保存部64は新地図配信センター51より配信された2次メッシュの新地図ファイルを2次メッシュ番号に対応させて保存し、対応情報保存部65は、新地図配信センター51より配信された地図リンクIDとVICSリンク番号との対応情報LPTBを保存する。
【0024】
また、地図更新処理部63は前記対応情報LPTBを参照し、新地図ファイル保存部64に保存されている各新地図ファイルに含まれるリンクレコードとノードレコードにVICSリンク情報を追加する。すなわち、地図更新処理部63は各新地図ファイルに含まれるリンクレコードにVICSリンク番号を追加し(図2のリンクレコードLRD参照)、かつ、ノードレコードであってエリア(2次メッシュエリア)の境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接2次メッシュを特定する情報(2次メッシュ番号)および該ノードに接続する隣接2次メッシュ内のリンクのVICSリンク番号を追加する(図2のノードレコードNRD参照)。
しかる後、地図更新処理部63はハードディスク制御部66を介して、ナビゲーション装置のハードディスク(HDD)67に保存されている地図データMPにおける旧地図ファイルを、VICSリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する。
【0025】
図5は本発明の地図更新処理フローである。
地図データ更新装置52の地図更新処置部63は新地図配信センター51へ更新すべき1以上の2次メッシュの新地図ファイルを要求する(ステップ101)。この要求に応答して新地図配信センター51より(1)新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDとVICSリンク番号との対応情報LPTBをそれぞれ受信して保存する(ステップ102)。
更新すべき全2次メッシュの新地図ファイルを取得すれば(ステップ103で「YES」)、地図更新処理部63はリンクIDとVICSリンク番号の対応情報LPTBを参照し、新地図ファイル保存部64に保存されている各新地図ファイルに含まれるリンクレコードとノードレコードにVICSリンク情報を追加する(ステップ104)。
【0026】
全新地図ファイルについてVICSリンク情報の追加処理が終了すれば(ステップ105で「YES」)、地図更新処理部63はハードディスク制御部66を制御して、VICSリンク情報が追加された各新地図ファイルで、ハードディスク(HDD)67に保存されている地図データMPの旧地図ファイルを置き替え、地図更新処理を終了する(ステップ106)。なお、所定2次メッシュの新地図ファイルで、該2次メッシュに対応する旧地図ファイルを置き換えるものとする。
以上の実施例では、地図データ更新装置52の地図更新処置部63が、ナビゲーション装置のハードディスクHDD 67に記録されている地図データを更新する場合であるが、新地図ファイルをDVDなどの記録媒体に出力することもできる。
【0027】
図6はかかる場合の地図データ更新装置52の構成図であり、新地図ファイル出力部71がDVD 72に新地図ファイルを記録して出力する構成になっており、他の構成は図4の実施例と同じである。ユーザは該DVDを購入してナビゲーション装置にセットすれば、ナビゲーション装置の地図更新処理部はDVD 72より読み取った所定2次メッシュの新地図ファイルで対応する2次メッシュの旧地図ファイルを置き換えて地図更新する。
【符号の説明】
【0028】
51 新地図配信センター
52 地図データ更新装置
61 通信部
62 2次メッシュ特定部
63 地図更新処理部
64 新地図ファイル保存部
65 リンクIDとVICSリンク番号の対応情報保存部
66 ハードディスク制御部
67 ハードディスク(HDD)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新装置において、
(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得する手段、
前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクIDを追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリア内のリンクのパーマネントリンクID を追加するパーマネントリンク情報追加手段、
地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する地図更新手段、
を備えたことを特徴とする地図データ更新装置。
【請求項2】
前記パーマネントリンク情報追加手段により、パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルを記憶媒体に出力する新地図ファイル出力手段、
を備え、前記地図更新手段は該記憶媒体に記録されている新地図ファイルを用いてナビゲーション装置の地図データを更新することを特徴とする請求項1記載の地図データ更新装置。
【請求項3】
所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新方法において、
(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得するステップ、
前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加するステップ、
地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新するステップ、
を備えたことを特徴とする地図データ更新方法。
【請求項1】
所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新装置において、
(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得する手段、
前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクIDを追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリア内のリンクのパーマネントリンクID を追加するパーマネントリンク情報追加手段、
地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新する地図更新手段、
を備えたことを特徴とする地図データ更新装置。
【請求項2】
前記パーマネントリンク情報追加手段により、パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルを記憶媒体に出力する新地図ファイル出力手段、
を備え、前記地図更新手段は該記憶媒体に記録されている新地図ファイルを用いてナビゲーション装置の地図データを更新することを特徴とする請求項1記載の地図データ更新装置。
【請求項3】
所定サイズのエリア毎に該エリア内に存在する道路をリンクとノードで表現してなる地図ファイルで構成された地図データを更新する地図データ更新方法において、
(1)所定エリアの新地図ファイルと、(2)該新地図ファイルに含まれるリンクレコードにより特定されるリンクのリンクIDと、リンクIDがパーマネント化されているシステムにおける前記リンクのパーマネントリンクIDとの対応情報を取得するステップ、
前記対応情報を参照し、前記新地図ファイルの各リンクレコードにパーマネントリンクID を追加し、かつ、ノードレコードであってエリア境界上に存在するノードのノードレコードに、隣接エリアを特定する情報および該ノードに接続する隣接エリアのリンクのパーマネントリンクID を追加するステップ、
地図データにおける旧地図ファイルを、前記パーマネントリンク情報が追加された新地図ファイルで置き換えて地図を更新するステップ、
を備えたことを特徴とする地図データ更新方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−266640(P2010−266640A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117358(P2009−117358)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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