説明

地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法

【課題】地図情報と共に引込線工事の設備条件に関する算定との連系を図ることで、引込線の配線の長さを画面上に表示できると共に、その配線方向を変えたときに瞬時に表示でき、工事内容に変更があったとき、その計算も瞬時に表示でき、工事作業の効率化を図り、更に工事完了後の設備管理まで対応する。
【解決手段】低圧引込線の敷設ルート等の敷設設計に基づいて、データベース40に格納された必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面100に、該当する引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図位置情報4と共に表示し、更にコンピュータ処理画面100に、引込線の配線の長さ、電柱番号、電柱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報をレイヤー制御により表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧引込線を敷設する際の設計管理作業を支援する技術に係り、特に低圧引込線を敷設するために電柱と需要家の家屋との配電線の新設、移設、張替え、撤去工事を実施するための作業計画について、地図に関するコンピュータシステムを用いて設計管理する地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
引込線敷設には様々な種類の工事がある。例えば、需要家の新規契約に伴う引込線を新設する供給工事、電柱の建替え、引込線上空通過等の引込線を移設する支障工事、既設の引込線の劣化等による引込線を張替える不良工事、電圧改善による引込方法の変更、引込線張替え等の強化工事、需要家の契約廃止に伴う引込線を撤去する撤去工事などがある。
【0003】
引込線工事における工事方法にも、直接引込方式、間接引込方式、連接引込方式、柱間メッセンジャー引込方式、片側メッセンジャー引込方式、ラッシングワイヤー引込方式のような様々な種類のものがある。例えば、直接引込方式は、電柱から直接引き込む工事方法である。間接引込方式は、電話線の短柱等を経由して引き込む工事方法である。連接引込方式は、隣接家屋を経由して引き込む工事方法である。柱間メッセンジャー引込方式は、電柱間に鋼より線を張りハンガで支持して径間途中から引き込む工事方法である。片側メッセンジャー引込方式は、片方に家屋、電柱を利用して鋼より線を張り径間途中から引き込む工事方法である。ラッシングワイヤー引込方式は、ラッシングワイヤーで電線を束ねるもので美観に配慮した工事方法である。
【0004】
電柱と各需要家の家屋を繋ぐ引込線工事は、次のような方法で実施されている。例えば、図5に示すような引込線計器修理票兼工事票又は引込線計器工事票あるいは修理票と、図6に示すような地図を用いて、作業現場に行き引込線工事を実施する。このときコンピュータ端末を用いて引込線工事に関する記号、品目コード、数量を記入する。実費、許認可申請費用、特殊運搬費用含む施工工事費用を施工工事会社への支払い等についてが作業計画項目に含まれている。
【0005】
引込線工事の竣工後に、引込柱台帳と連係し需要家の引込柱が決定され、電柱単位の管理が可能となる。但し、その管理内容は、契約種別と電灯(単3、単2)、動力といった方式のみの内容についてである。なお、引込線の亘長、引込方法、種類、電柱から家屋までの経路、設年については不明であった。
【0006】
このように引込線を敷設する敷設工事設計の計画を立てるシステムに関する技術は種々提案されている。例えば、特許文献1の特開2006−113692号公報「地中電線路の地中引込線工事管理システム」のように、地中電線路の地中引込線を布設(敷設)するための地中電線路の地中引込線工事管理システムであって、地中電線路の既設設備を網羅した既設設備データベースと、地中電線路を布設するために検討すべき情報及び法令を網羅した布設情報データベースと、各種設備の工事基準及び法令を網羅した工事基準データベースと、前記地中電線路の他の設備の工事設計が蓄積された工事設計データベースとを少なくとも含むデータベースを具備すると共に、地中引込線の布設ルート、布設方式及び布設されるケーブルの太さ及び条数を少なくとも規定した布設設計に基づいて、前記データベースを参照しながら前記地中引込線の布設工事の設計を行うと共に、地中引込線工事設計が困難な場合には他の設備の工事設計を再検討させる段階に戻す地中引込線工事設計手段を具備する地中電線路の地中引込線工事管理システムが提案されている。
【特許文献1】特開2006−113692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した特許文献1の「地中電線路の地中引込線工事管理システム」は、過去の引込線工事の敷設設計及び他の工事設計に基づいて、新たな引込線の敷設工事の設計を効率的に且つ正確に行えるという点で優れているが、電算機による引込線設計のため工費、材料の記号設計品目コード入力設計となっているため入力に多大な労力がかかるという問題を有していた。
【0008】
また、従来の地図システムのデータを活用した設計方法では、供給方式について単相2線式、単相3線式等は営業端末より確認できるが、引込線の種類、長さ、家屋側支持点までの引込線経路については管理できていなかった。特に、電柱又は供給用配電箱から需要家の家屋に配線した引込線工事完了後の設備管理までは対応していなかった。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、地図情報と共に引込線工事の設備条件に関する算定との連系を図ることで、引込線の配線の長さを画面上に表示できると共に、その配線方向を変えたときに瞬時に表示でき、工事内容に変更があったとき、その計算も瞬時に表示でき、工事作業の効率化を図り、更に工事完了後の設備管理まで対応できる地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、低圧引込線を敷設するために電柱と需要家の家屋との配電線の新設、移設、張替え、撤去工事を実施するための作業計画について、地図に関するコンピュータシステムを用いて設計管理する地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法であって、低圧引込線を接続する需要家の家屋と電柱の位置に関する地図位置情報(41)と、前記電柱に低圧引込線を接続するための、低圧引込線施設の有無、引込線・台付線施設の有無という設備条件に関する電柱設備情報(42)と、低圧引込線のケーブルの太さ及び条数に関する引込線種類情報(43)と、引込線を敷設するために検討すべき、需要家の家屋と電柱との距離、支障物の有無、家屋の高さといった電柱と需要家の家屋の周囲環境の情報に関する引込線敷設情報(44)と、各種設備の工事基準、設計施工費用及び遵守する法令に関する工事基準情報(45)と、過去における他の低圧引込線を敷設する工事設計に関する情報が蓄積された工事設計管理情報(46)と、をコンピュータのデータベース(40)に格納し、前記低圧引込線の敷設ルート、敷設の工事の種類、方式及び敷設されるケーブルの太さ及び条数に関する敷設設計に基づいて、前記データベース(40)に格納された必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面(100)に、該当する引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図位置情報(41)と共に表示し、更に前記コンピュータ処理画面(100)に、引込線の配線の長さ、電柱番号、電柱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報をレイヤー制御により表示する、ことを特徴とする地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法が提供される。
前記電柱設備情報(42)に基づき引込線が接続できる設備条件に適合するかどうかを算定する際に、最初に低圧引込線が施設済みかどうか、次に引込線・台付線が施設済みかどうか、最後に引込用腕金が施設済みかどうかの順番で設備条件を算定することができる。
【0011】
または、地中電線路の低圧地中引込線を敷設するために地中電線路と需要家の家屋との配電線の新設、移設、張替え、撤去工事を実施するための作業計画について、地図に関するコンピュータシステムを用いて設計管理する地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法であって、低圧地中引込線を接続する需要家の家屋と地中電線路電柱の位置に関する地図位置情報(41)と、需要家の家屋に低圧引込線を接続するための、低圧引込線の供給用配電箱の有無といった設備条件に関する供給用配電設備情報(47)と、低圧引込線のケーブルの太さ及び条数に関する引込線種類情報(43)と、引込線を敷設するために検討すべき、需要家の家屋と低圧分岐装置・供給用配電箱との間隔、支障物の有無といった供給用配電箱と需要家の家屋の周囲環境の情報に関する引込線敷設情報(44)と、各種設備の工事基準、設計施工費用及び遵守する法令に関する工事基準情報(45)と、過去における他の低圧引込線を敷設する工事設計に関する情報が蓄積された工事設計管理情報(46)と、をコンピュータのデータベース(40)に格納し、前記低圧引込線の敷設ルート、敷設の工事の種類、方式及び敷設されるケーブルの太さ及び条数に関する敷設設計に基づいて、前記データベース(40)に格納された必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面(100)に、該当とする引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図位置情報(41)と共に表示し、前記コンピュータ処理画面(100)に、更に低圧分岐装置の位置、供給用配電箱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報をレイヤー制御により表示する、ことを特徴とする。
前記電柱設備情報(42)に基づき引込線が接続できる設備条件に適合するかどうかを算定する際に、最初に低圧引込線が施設済みかどうか、次に引込線・台付線が施設済みかどうか、最後に引込用端子箱,引込分岐電線が施設済みかどうかの順番で設備条件を算定することができる。
前記コンピュータ処理画面(100)に、低圧引込線の配線方向を変えたとき、工事内容に変更があったとき、その引込線の配線の長さを計算した算定結果を地図位置情報(41)と共に表示することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の方法では、低圧引込線を敷設するために電柱、供給用配電箱と需要家の家屋との配電線の新設、移設、張替え、撤去工事を実施するための作業計画についての作業計画をコンピュータシステムを用いて迅速に処理することができる。特に、引込線の新設工事の際に、コンピュータ処理画面(100)において、配線の長さを表示でき、配線方向を変えたときに瞬時に表示でき、その工事内容に変更があったときも、その計算も瞬時に表示でき、その工事を正確かつ容易に実施することができる。予め、データベース(40)に必要な情報が格納されているために、引込線設計の際に、新たに工費、材料の記号設計品目コード入力をする必要がなく労力の軽減が図れる。
【0013】
更に、本発明では、工事に関する種々の情報をデータベース化しているために、工事完了後における引込線の種類、長さ、家屋側支持点までの引込線経路等の設備管理についても実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法は、低圧引込線の敷設ルート、敷設の工事の種類、方式及び敷設されるケーブルの太さ及び条数に関する敷設設計に基づいて、データベースに格納された地図位置情報、電柱設備情報、引込線種類情報等の必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面に、該当する引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図情報と共に表示し、更にコンピュータ処理画面に、電柱番号、電柱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報をレイヤー制御により表示する設計管理方法である。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は実施例1の電柱による地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法を実施するシステムを示すブロック図である。
本発明の実施例1の電柱による低圧引込線設計管理方法を実施するシステムは、低圧引込線を敷設するために電柱と需要家の家屋との配電線の工事の作業計画に関する条件、データ等を入力する入力装置10と、低圧引込線工事に必要な付帯工事の有無、配電線の長さ、必要なケーブルの種類などを算定する中央処理装置30と、地図位置情報41と、電柱設備情報42と、引込線種類情報43と、引込線敷設情報44と、工事基準情報45と、工事設計管理情報46などの情報を記憶するデータベース40と、中央処理装置30によって算出された低圧引込線工事に関する地図情報を表示する表示装置20と、メインメモリを制御するメインメモリ制御装置50とを備えたシステムである。
【0016】
入力装置10は、例えばキーボードやマウスなどの情報入力装置によって構成され、ユーザインタフェースとして用いられる。表示装置20は、例えば液晶表示装置などの情報表示装置によって構成される。これらの入力装置10と表示装置20は作業現場に携帯端末として持参できるものが好ましい。
【0017】
中央処理装置30は、例えばCPUなどの情報処理装置によって構成され、電柱に低圧引込線を接続するための電柱・道路、需要家、電線入力処理装置31と、低圧引込線工事をする際に必要な設備が揃っているかを判定する設備条件判定処理装置32と、設計施工費用及材料費等について算定する工事設計費用算定処理装置33と表示装置20に表示させるデータを生成する表示データ生成処理装置34とを含む。
【0018】
データベース40は、情報記憶装置によって構成され、工事対象となる低圧引込線を接続する需要家の家屋と電柱の位置に関する地図位置情報41と、電柱に低圧引込線を接続するための設備条件に関する電柱設備情報42と、低圧引込線のケーブルに関する引込線種類情報43と、引込線を敷設するために検討すべき周囲環境の情報に関する引込線敷設情報44と、各種設備の工事基準、設計施工費用及び遵守する法令に関する工事基準情報45と、過去における他の低圧引込線を敷設する工事設計に関する情報が蓄積された工事設計管理情報46を含む。更に、各種の処理プログラムと処理データファイルとを含む。
【0019】
地図位置情報データファイル41の「地図位置情報」とは、地図に表示されている低圧引込線を引き込む需要家の家屋の位置、形状、道路の状態の形状、幅員、電柱の位置に関する各種の情報を意味する。この「地図位置情報」は、例えば県、市のような地方自治体が作成し、又は県知事、市長の承認を得て、所管の測量結果を使用した都市計画図のような地図に基づいて作成したものである。
【0020】
電柱設備情報データファイル42の「電柱設備情報」とは、電柱に既に低圧線が施設済みかどうか、低圧引下線・台付線が施設済みかどうか、引込用腕金が施設済みかどうかの設備条件に関する情報である。この設備条件に適合しないときは、外線工事を実施し、引込線を接続できるように工事する必要があるからである。
【0021】
また、「電柱設備情報」には、1軒の需要家で電灯、動力等の複数の引込線がある場合は、同一バンクから引込むようになっているかどうか、交差或いは飛島にならず停電区画が明確にできるようになっているかどうか、引込線が他の架空電線路、電車線路又は架空弱電流電線路の支持物を挟み、あるいは他の架空弱電流電線路の電線の間を貫通して施設してないかどうかの設備条件に関する情報が含まれる。
【0022】
更に、「電柱設備情報」には、建造物建設予定地の上方がどのようになっているか、直接引込まない需要家の建造物の上方がどのようになっているか、樹木接近個所かどうか、窓、ベランダ、屋外階段等人が常に出入りし、容易に触れるおそれのある場所の側方かどうかについての情報も含まれる。引込線の経過地は、経済上および保安上のみならず、将来、支障移転工事を生じるおそれがない場所を選定し、そのようなおそれがある場所は極力避ける必要があるからである。なお、この設備条件については、工事する主体(電力会社、設備会社)が設けている基準により決定される。
【0023】
引込線種類情報データファイル43の「引込線種類情報」とは、低圧引込線のケーブルの太さ及び条数に関する情報である。例えば架空引込線の場合は、その種類では、DV2F,DV3Rの別がある。太さでは、2.6mm、3.2mm、14mm、22mm、38mm、60mmがある。
【0024】
引込線敷設情報データファイル44の「引込線敷設情報」とは、引込線を敷設するために検討すべき、需要家の家屋と電柱との距離、支障物の有無、家屋の高さといった電柱と需要家の家屋の周囲環境の情報に関する情報である。因み、引込線施設には引込線から分岐する点から100mをこえる地域にわたらないこと、幅5mをこえる道路を横断しないこと、屋内は通過しないという制限がある。
【0025】
工事基準情報データファイル45の「工事基準情報」とは、各種設備の工事基準、設計施工費用及び遵守する法令に関する情報である。例えば、上述した設備条件を充足するように引込線工事とその付帯工事を実施するときに必要な設計費用、施工費用とその工事をする際に遵守すべき法令が含まれている。
【0026】
工事設計管理情報データファイル46の「工事設計管理情報」とは、過去における他の低圧引込線を敷設する工事設計に関する情報が蓄積された情報である。例えば、過去の様々な工事のデータを蓄積すると共に、その維持管理に必要な情報が含まれる。これらの各情報は、例えば低圧引込線工事の作業担当による入力装置10の操作によって、あらかじめデータベース40に記憶される。
【0027】
図2は低圧引込線設計管理方法の一例を示すフローチャートである。
このフローチャートに示すように、新たに低圧引込線を敷設する工事設計を実施する際に、その工事する低圧引込線の敷設ルートを入力することにより、敷設の工事の種類、方式及び敷設されるケーブルの太さ及び条数に関する敷設設計に基づいて、上述したデータベース40に格納された必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面100に、該当する引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図位置情報41と共に表示される。
【0028】
低圧引込線設計管理システムで低圧引込線工事を計画する際に、作業員の操作によって入力装置10から入力された電柱に関する条件、例えば柱間、メッセンジャー方式といった方式の選択について、中央処理装置30における設備条件判定処理装置32は、電柱設備情報データファイル42に格納されている電柱設備情報を読み出し、地図位置情報データファイル41に格納されている地図位置情報と共に、低圧引込線工事に必要な施設、低圧線、低圧引下線・台付線又は引込用腕金が既に設けらているかを判別し、設けらていないときは他の工事、付帯工事の要請をする。
【0029】
このときは、需要家の新規契約に伴う引込線を新設する供給工事、支障工事、不良工事、強化工事、撤去工事の種類に応じて、引込線工事における工事方法を判別する。それぞれの需要家の家屋の状況とその周囲環境を地図位置情報から読取り、直接引込方式、間接引込方式、連接引込方式、柱間メッセンジャー引込方式、片側メッセンジャー引込方式又はラッシングワイヤー引込方式の別を表示して作業の効率化を図るようになっている。
【0030】
電柱設備情報42に基づき引込線が接続できる設備条件に適合するかどうかを算定する際に、例えば最初に低圧引込線が施設済みかどうか、次に引込線・台付線が施設済みかどうか、最後に引込用腕金が施設済みかどうかの順番で設備条件を算定する。
【0031】
次に、中央処理装置30における工事設計費用算定処理装置33は、引込線敷設情報データファイル44に格納されている引込線敷設情報、工事基準情報データファイル45に格納されている工事基準情報と工事設計管理情報データファイル46に格納されている工事設計管理情報とを読み出し、地図位置情報データファイル41に格納されている地図位置情報と共に、需要家の家屋周囲の引込施設に関する条件は充足しているかどうかを判別し、そのまま必要な演算処理を実行する。
【0032】
更に、配電線の長さ種類について決定する。その決定された配電線の長さ、種類に基づき、設計費用、敷設工事費用等の工事費用を算定する。
【0033】
これら地図位置情報と共に、配電線の長さ種類、工事費用から、工事設計管理計画を生成する。それをコンピュータ処理画面100に表示する。
【0034】
図3はコンピュータ処理画面の一例を示すものである。
本発明の低圧引込線設計管理方法は、コンピュータ処理画面100に、引込線の配線の長さ、電柱番号、電柱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報102をレイヤー制御により地図情報101は別に表示する。これにより、コンピュータ処理画面100上で、電柱の周囲(需要家の周囲)について拡大、縮小でき、地図上の工事上の容易にチェックすることができる。
【0035】
コンピュータ処理画面100には、電柱始点、即ち電源側の発変電所の位置が表示される。ここで、低圧引込線の配電線の亘長については、コンピュータ処理画面100における縮尺サイズにあった長さを表示する。引込方式が選択され、引込線の始点、中間点及び終点が地図上に表示される。このとき更に、材料の種類「C型スリーブ」、「C型スリーブカバー」等の補足を入力し、併せて計器位置を入力する。電柱の終点が決定される。
【実施例2】
【0036】
図4は実施例2の地中設備による地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法を実施するシステムを示すブロック図である。
本発明の実施例2の地中設備による低圧引込線設計管理方法を実施するシステムは、実施例1と略同様であるが、実施例2では若干空中設備の場合と異なる。電柱設備情報42に代えて供給用配電設備情報47がデータベース40に記憶される。
【0037】
供給用配電設備情報データファイル47の「供給用配電設備情報」とは、需要家の家屋に低圧引込線を接続するための、低圧引込線の供給用配電箱の有無といった設備条件に関する情報である。即ち、地中設備における引込用端子箱、引込分岐電線が施設済みかどうかの設備条件に関する情報である。この設備条件に適合しないときは、外線工事を実施し、引込線を接続できるように工事する必要があるからである。
【0038】
地中引込線の場合は、その種類では、CVQ,CVT,CV電線の別がある。太さでは、14mm、22mm、38mm、60mm、100mm、150mm、200mm、250mm、325mm、400mmがある。
【0039】
低圧引込線設計管理方法の処理については、上述した架空低圧引込線の場合と同様である。電柱からの引込線に代えて、供給用配電箱からの引込線になるだけである。実施例2の地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法でも、この引込線を需要家の家屋に配線するときの周囲の条件等については同様な判断、算定を行なう。
【0040】
なお、本発明は、地図情報と共に引込線工事の設備条件に関する算定との連系を図ることで、引込線の配線の長さを画面上に表示できると共に、その配線方向を変えたときに瞬時に表示でき、工事内容に変更があったとき、その計算も瞬時に表示でき、工事作業の効率化を図り、更に工事完了後の設備管理まで対応することができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法は、電柱、供給用配電箱から需要家の家屋に引込線を配線するときに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施例1の電柱による地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法を実施するシステムを示すブロック図である。
【図2】低圧引込線設計管理方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】コンピュータ処理画面の一例を示すものである。
【図4】実施例2の地中設備による地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法を実施するシステムを示すブロック図である。
【図5】従来の引込線計器修理票兼工事票である。
【図6】コンピュータ処理画面に表示した地図の一例である。
【符号の説明】
【0043】
10 入力装置
20 表示装置
30 中央処理装置
40 データベース
41 地図位置情報
42 電柱設備情報
43 引込線種類情報
44 引込線敷設情報
45 工事基準情報
46 工事設計管理情報
47 供給用配電設備情報
100 処理画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧引込線を敷設するために電柱と需要家の家屋との配電線の新設、移設、張替え、撤去工事を実施するための作業計画について、地図に関するコンピュータシステムを用いて設計管理する地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法であって、
低圧引込線を接続する需要家の家屋と電柱の位置に関する地図位置情報(41)と、
前記電柱に低圧引込線を接続するための、低圧引込線施設の有無、引込線・台付線施設の有無という設備条件に関する電柱設備情報(42)と、
低圧引込線のケーブルの太さ及び条数に関する引込線種類情報(43)と、
引込線を敷設するために検討すべき、需要家の家屋と電柱との距離、支障物の有無、家屋の高さといった電柱と需要家の家屋の周囲環境の情報に関する引込線敷設情報(44)と、
各種設備の工事基準、設計施工費用及び遵守する法令に関する工事基準情報(45)と、
過去における他の低圧引込線を敷設する工事設計に関する情報が蓄積された工事設計管理情報(46)と、をコンピュータのデータベース(40)に格納し、
前記低圧引込線の敷設ルート、敷設の工事の種類、方式及び敷設されるケーブルの太さ及び条数に関する敷設設計に基づいて、前記データベース(40)に格納された必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面(100)に、該当する引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図位置情報(41)と共に表示し、
更に前記コンピュータ処理画面(100)に、引込線の配線の長さ、電柱番号、電柱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報をレイヤー制御により表示する、ことを特徴とする地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法。
【請求項2】
前記電柱設備情報(42)に基づき引込線が接続できる設備条件に適合するかどうかを算定する際に、最初に低圧引込線が施設済みかどうか、次に引込線・台付線が施設済みかどうか、最後に引込用腕金が施設済みかどうかの順番で設備条件を算定する、ことを特徴とする請求項1の地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法。
【請求項3】
地中電線路の低圧地中引込線を敷設するために地中電線路と需要家の家屋との配電線の新設、移設、張替え、撤去工事を実施するための作業計画について、地図に関するコンピュータシステムを用いて設計管理する地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法であって、
低圧地中引込線を接続する需要家の家屋と地中電線路電柱の位置に関する地図位置情報(41)と、
需要家の家屋に低圧引込線を接続するための、低圧引込線の供給用配電箱の有無といった設備条件に関する供給用配電設備情報(47)と、
低圧引込線のケーブルの太さ及び条数に関する引込線種類情報(43)と、
引込線を敷設するために検討すべき、需要家の家屋と低圧分岐装置・供給用配電箱との間隔、支障物の有無といった供給用配電箱と需要家の家屋の周囲環境の情報に関する引込線敷設情報(44)と、
各種設備の工事基準、設計施工費用及び遵守する法令に関する工事基準情報(45)と、
過去における他の低圧引込線を敷設する工事設計に関する情報が蓄積された工事設計管理情報(46)と、をコンピュータのデータベース(40)に格納し、
前記低圧引込線の敷設ルート、敷設の工事の種類、方式及び敷設されるケーブルの太さ及び条数に関する敷設設計に基づいて、前記データベース(40)に格納された必要な情報を参照しながら、コンピュータ処理画面(100)に、該当とする引込線が接続設備条件に適合するかどうかの算定結果を地図位置情報(41)と共に表示し、
前記コンピュータ処理画面(100)に、更に低圧分岐装置の位置、供給用配電箱の位置、需要家の家屋及び道路に関する詳細な情報をレイヤー制御により表示する、ことを特徴とする地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法。
【請求項4】
前記電柱設備情報(42)に基づき引込線が接続できる設備条件に適合するかどうかを算定する際に、最初に低圧引込線が施設済みかどうか、次に引込線・台付線が施設済みかどうか、最後に引込用端子箱,引込分岐電線が施設済みかどうかの順番で設備条件を算定する、ことを特徴とする請求項3の地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法。
【請求項5】
前記コンピュータ処理画面(100)に、低圧引込線の配線方向を変えたとき、工事内容に変更があったとき、その引込線の配線の長さを計算した算定結果を地図位置情報(41)と共に表示する、ことを特徴とする請求項1又は3の地図情報システムを用いた低圧引込線設計管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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