説明

地図情報更新装置、地図情報更新システムおよび地図情報更新方法

【課題】インターネット等により配信される地図情報をユーザからの情報に基づいて、タイムリーに更新する地図情報更新装置、地図情報更新システムおよび地図情報更新方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ユーザ端末から既存の地図情報に対する更新情報とこの更新情報の真偽に関する投稿情報とを受信する。次に、既存の地図情報に、少なくとも受信した更新情報と投稿情報および更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコンを設けた画面を付加してユーザ端末に配信する。そして、ユーザ端末からの投稿情報を収集し、収集した投稿情報から更新情報の真偽を判断して、更新情報が正しい情報であると判断したときには、地図データサーバ内の地図情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報更新装置、地図情報更新システムおよび地図情報更新方法に関し、特に、既存の地図情報を格納した地図データサーバ内の地図情報をユーザからの情報により更新する地図情報更新装置、地図情報更新システムおよび地図情報更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IT(Information Technology)技術の進歩に伴い、インターネット等を利用して有用な情報を瞬時に取得することが可能となったことから、多くの家庭でパーソナルコンピュータ等をはじめとする端末が普及している。また、コミュニケーションツールとして携帯電話機に代表されるような携帯端末も目覚しい勢いで普及しており、携帯端末を用いたインターネットの利用も盛んに行われている。
【0003】
こうした状況のもと、インターネットによって利用可能なコンテンツも豊富に供給されているが、中でも、行き先の情報を確認したり、いわゆるナビゲーション機能を利用するために、地図情報を提供するコンテンツの利用頻度が高い。
【0004】
こうしたことから、例えば、携帯電話機においては、目的地までのナビゲーションを行うにあたって、ナビゲーションを視覚的あるいは直感的に行うことによりナビゲーションの利便性を高める技術等も開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−40321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の地図情報に基づいて目的地を目指す場合、通常は、目的地近傍のビルや店舗、公共施設等を頼りに目的地に向かうことになる。ところが、特に、都心部では、短期間に街並が変化してしまい、地図に表示されている目的地近傍のビルや店舗がなくなってしまったり、別のビルや店舗になってしまって、インターネット等から配信される地図情報を利用しても、目的地に正確に辿り着けない場合も考えられる。
【0006】
また、上記の問題点に対して、地図情報のコンテンツを提供する提供業者が最新の地図情報を独自に収集して、情報をタイムリーにアップデートすることも考えられるが、これには相当の期間と手間を要し、しかも、幹線道路や駅前等の主要地点以外の地域情報をも網羅するような細かな情報までも収集することは困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、インターネット等により配信される地図情報をユーザからの情報に基づいて、タイムリーに更新する地図情報更新装置、地図情報更新システムおよび地図情報更新方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の事項を提案している。
請求項1に係る発明は、ユーザ端末(例えば、図1のユーザ端末4a、携帯電話4b)からの情報により地図データサーバ(例えば、図1の地図データサーバ2)に格納された地図情報を更新する地図情報更新装置(例えば、図1の地図情報更新装置1)であって、既存の地図情報に対する更新情報と該更新情報の真偽に関する投稿情報とを受信する受信手段(例えば、図2の受信部11)と、既存の地図情報に、少なくとも該受信した更新情報と投稿情報および該更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコンを設けた情報画面を付加して前記ユーザ端末に配信する配信手段(例えば、図2の情報配信部17)と、前記受信手段が受信した前記投稿情報を収集する情報収集手段(例えば、図2の情報収集部12)と、該収集した投稿情報から前記更新情報の真偽を判断する判断手段(例えば、図2の判断部14)と、該判断手段が、前記更新情報を正しい情報であると判断したときに、前記地図データサーバ内の地図情報を更新する更新手段(例えば、図2の地図情報更新部15)とを備えることを特徴とする地図情報更新装置を提案している。
【0009】
請求項7に係る発明は、ユーザ端末(例えば、図1のユーザ端末4a、携帯電話4b)からの情報により地図データサーバ(例えば、図1の地図データサーバ2)に格納された地図情報を更新する地図情報更新方法であって、既存の地図情報に対する更新情報と該更新情報の真偽に関する投稿情報とを受信する第1のステップ(例えば、図5のステップS201)と、既存の地図情報に、少なくとも該受信した更新情報と投稿情報および該更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコンを設けた情報画面を付加して前記ユーザ端末に配信する第2のステップ(例えば、図5のステップS205、S206)と、前記第1のステップで受信した前記投稿情報を収集する第3のステップ(例えば、図5のステップS207)と、前記第3のステップで収集した投稿情報から前記更新情報の真偽を判断する第4のステップ(例えば、図5のステップS208、S210)と、第4のステップにおいて、前記更新情報を正しい情報であると判断したときに、前記地図データサーバ内の地図情報を更新する第5のステップ(例えば、図5のステップS209)とを備えることを特徴とする地図情報更新方法を提案している。
【0010】
これらの発明によれば、まず、ユーザ端末から既存の地図情報に対する更新情報と該更新情報の真偽に関する投稿情報とを受信する。次に、既存の地図情報に、少なくとも受信した更新情報と投稿情報および更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコンを設けた情報画面を付加してユーザ端末に配信する。そして、ユーザ端末からの投稿情報を収集し、収集した投稿情報から更新情報の真偽を判断して、更新情報が正しい情報であると判断したときには、地図データサーバ内の地図情報を更新する。したがって、地図に関する更新情報を広くユーザから収集し、この更新情報に対する真偽を二者択一形式の投票で判定して、既存の地図情報を更新することから、幹線道路や駅前等のユーザが頻繁に地図情報を利用するエリアの情報のみならず、これ以外の地域情報についても手間を掛けずに正確な情報を提供することができる。なお、本発明において、「更新情報」とは、既存の地図情報に対して最初に提供される地図情報の更新に関する情報であり、「投稿情報」とは、更新情報に対して、その真偽に関する他のユーザからの情報をいう。また、情報画面に付加するアイコンを「更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコン」としたが、これに限らず、星印等のレイティングであってもよい。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の地図情報更新装置について、前記配信手段が配信する情報画面にコメント記入欄(例えば、図6のコメント欄)が設けられていることを特徴とする地図情報更新装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、更新情報に対して情報を投稿するユーザが、詳細な情報をテキスト情報で送信することができる。したがって、後から情報を投稿するユーザは、このテキスト情報も参照しながら、更新情報に対して、より的確な投票を行うことができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の地図情報更新装置について、前記配信手段が配信する情報画面に前記投稿情報に関する画像情報を添付するアイコン(例えば、図6の「画像」アイコン)が設けられていることを特徴とする地図情報更新装置を提案している。
【0014】
この発明によれば、投稿情報に、例えば、交差点の状況を撮影した写真やCG(Computer Graphics)等の画像データを添付することができる。したがって、こうした情報を地図情報に添付すれば、例えば、携帯電話機におけるナビゲーションにおいて、ユーザが指定する交差点等の画像情報を提供でき、目的地までユーザを正確に誘導することが可能となる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1から3のいずれかに記載の地図情報更新装置について、前記情報収集手段において収集した投稿情報に、同一の前記更新情報に対する同一ユーザによる複数の投稿情報を検出したときに、重複する投稿情報を削除する重複投稿情報排除手段(例えば、図2の重複投稿情報排除部)をさらに備えたことを特徴とする地図情報更新装置を提案している。
【0016】
この発明によれば、重複情報排除手段が、収集した投稿情報から同一ユーザによる複数の投稿情報を検出したときに、重複した投稿情報を削除する。すなわち、ある特定のユーザが作為的に送信した誤った更新情報に対して、同一ユーザが複数の投稿情報を送信して投票を行った場合であっても、この投稿情報が、あたかも真の情報であるといった誤判定を防止することができる。したがって、これにより、投票によって確定される情報の信頼性を向上させることができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれかに記載の地図情報更新装置について、前記配信手段が配信する地図情報に、該配信する地図情報に対応する過去の更新情報および該更新情報に対する投稿情報のリストが添付されていることを特徴とする地図情報更新装置を提案している。
【0018】
この発明によれば、配信される地図に、これに対応する過去の更新情報およびこの更新情報に対する投稿情報のリストが添付されていることから、このリストによりどのような更新情報、投稿情報が送信されているのかを容易に把握することができる。また、このようなリストを添付することにより、新たな更新情報の提供や更新情報に対する新たな投稿情報の提供を促すことができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、ユーザ端末と、地図情報を格納する地図データサーバと、前記請求項1から5のいずれかに記載の地図情報更新装置とを備えたことを特徴とする地図情報更新システムを提案している。
【0020】
この発明によれば、前記請求項1から5のいずれかに記載の地図情報更新装置に、更新情報あるいは投稿情報を送信するユーザ端末と、地図情報を格納する地図データサーバとを付加し、これらをネットワークを介して接続することによって、地図情報更新システムを構築することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、既存の地図情報に対するユーザからの更新情報およびこれに対する投稿情報により、手間を掛けることなく、タイムリーに既存の地図情報を正確な地図情報に更新することができるという効果がある。
また、本発明によれば、既存の地図情報の更新をユーザからの投稿情報による投票により行うため、特に、コンビニエンスストア等の店舗情報などに関しては、情報を投稿することによって、他のユーザに対する広告宣伝効果を見込めることから、より多くの情報の投稿を促して、より正確で詳細な地図情報を提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0023】
本実施形態に係る地図情報更新システムは、図1に示すように、地図情報更新装置1と、地図データサーバ2と、ネットワーク3と、ユーザ端末4aと、携帯電話4bとから構成されている。ここで、地図情報更新装置1は、ユーザ端末4a、携帯電話4bから送信されてきた既存の地図情報の更新に関する情報(更新情報およびこれに対する投稿情報)にもとづいて、地図データサーバ2内に格納された地図情報を管理、更新する。なお、具体的な構成および機能については、後述する。
【0024】
地図データサーバ2は、図示しない地図情報を格納するデータベースと、地図情報更新装置1との間で地図情報を送受信する通信手段と、データベースの制御手段とを有し、地図情報更新装置1からの要求に応じてデータベース内の地図情報を地図情報更新装置1に送信するほか、更新された地図情報を受信して、元の地図情報との置き換えを行う。なお、データベースは、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)であってもよく、また、単一のハードウェアで構成されている必要はなく、個別の記録部や専用装置であってもよい。
【0025】
ネットワーク3は、例えば、インターネット網であり、地図情報更新装置1とユーザ端末4a、携帯電話4bとを接続し、地図情報の更新情報およびこの更新情報に対する投稿情報のやりとりを行う。なお、通信プロトコルは、TCP/IP等のインターネットプロトコルをはじめとして、本発明を実施するために必要な情報通信を実現する様々な通信プロトコルを採用することができる。
【0026】
ユーザ端末4a、携帯電話4bは、地図情報更新装置1に対して、地図情報の更新情報を送信し、あるいは、地図情報更新装置1から配信される地図の更新情報に対して、その更新情報の真偽に関する投稿情報を送信する。なお、ユーザ端末4aは、ディスクトップ型あるいはノート型のパーソナルコンピュータ等であってもよく、携帯電話4bは、これに限らずPDA(Personal Digital Assistant)等の通信機能と情報の表示機能を備えた携帯情報端末であってもよい。
【0027】
次に、図2を用いて、地図情報更新装置の構成について説明する。
本実施形態に係る地図情報更新装置1は、図2に示すように、受信部11と、情報収集部12と、重複投稿情報排除部13と、判断部14と、地図情報更新部15と、制御部16と、情報配信部17と、配信情報記憶部18とから構成されている。
【0028】
ここで、受信部11は、ユーザ端末4a、携帯電話4bから送信される地図情報の更新情報や配信された地図の更新情報に対する真偽に関する投稿情報を受信する。
【0029】
情報収集部12は、地図情報に対する更新情報およびこの更新情報に対する投稿情報に付加されたユーザID等のユーザ識別情報を抽出して、ユーザの個人情報を検閲するとともに、受信部11が受信した更新情報および投稿情報のフィルタリングを行い、いたずら情報やごみ情報を除去する。そして、フィルタリングを行った更新情報および投稿情報を制御部16に送信するとともに、投稿情報を重複投稿情報排除部13に送信する。
【0030】
重複投稿情報排除部13は、投稿情報に付加されたユーザID等のユーザ識別情報を抽出して、アップロードした同一の地図の更新情報に対する投稿情報のうち、同一ユーザから複数の投稿情報が送信されている場合には、その重複する投稿情報を削除する。これは、本実施形態に係る地図情報更新装置1がユーザからの投稿情報による、いわば、投票により、提供された更新情報の信憑性を判断するものであることから、提供された更新情報を真の情報とする同一ユーザからの作為的な投稿情報をそのまま認めてしまうと、実際には誤った更新情報を真の情報と誤判定する場合が生じるのを防止するためである。
【0031】
判断部14は、収集したユーザ端末4a、携帯電話4bからの投稿情報に基づいて、アップロードした地図の更新情報に関する真偽を判定する。具体的には、図示しないタイマーやカウンタを備え、例えば、地図のアップロードから所定の期間が経過し、各地図の更新情報に対する投稿情報が所定数以上収集され、かつ、その投稿情報のうち、アップロードした地図の更新情報を真の情報であるとする投稿情報が所定数以上あったときに、このアップロードした地図の更新情報を真の情報であると判定する。地図情報更新部15は、判断部14において、アップロードした地図の更新情報が真の情報であると判定された場合、既存の地図情報をアップロードした地図の更新情報に更新するために、アップロードした地図の更新情報を地図データサーバ2に送信する。
【0032】
制御部16は、図示しない記憶装置内に格納された制御プログラムにしたがって、地図情報更新装置1全体の動作を制御する。特に、本実施形態においては、情報収集部12から送信された投稿情報と後述する配信情報記憶部18内に格納された配信情報とを比較して、情報収集部12から送信された情報を更新情報とこの更新情報に対する投稿情報とに分類し、更新情報については、該当する地図情報を地図データサーバから取得して、これに、その更新情報を付加する。また、アップロードした地図の更新情報に対する投稿情報については、対応するアップロードした地図の更新情報を配信情報記憶部18から取得して、これに、その投稿情報を付加して、情報配信部17に送信する。さらに、更新情報およびこの更新情報に対する投稿情報を地図情報のエリアごとに分類してリスト化し、このリストを各地図情報に付加して、情報配信部17に送信する。また、キーワード検索時に、キーワード(例えば、「港区六本木6丁目」や「さいたま市」等)に対応した更新情報およびこの更新情報に対する投稿情報のリストを情報配信部17に送信してもよい。
【0033】
情報配信部17は、制御部16から受信した地図情報に更新情報および投稿情報を付加した情報をユーザ端末4a、携帯電話4bに向けてネットワーク3上にアップロードする。配信情報記憶部18は、情報配信部17が配信した配信情報を格納するデータベースである。なお、データベースは、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)であってもよく、また、単一のハードウェアで構成されている必要はなく、個別の記録部や専用装置であってもよい。
【0034】
次に、図3から図6を用いて、本実施形態における地図情報の更新方法を地図情報に対する更新情報の提供方法と提供された更新情報に対する投稿情報により更新情報の真偽を判断し、地図情報を更新する方法とに分けて説明する。
【0035】
<地図情報の更新に関する情報を提供する方法>
地図情報に対する更新情報を提供するユーザは、図3に示すように、まず、ユーザ端末4a、携帯電話4bからブラウザを起動して、地図情報を提供するコンテンツにアクセスを行う(ステップS101)。地図情報を提供するコンテンツにアクセスを行ったら、地図情報に対する更新情報を提供しようとするエリアを表示する詳細地図をユーザ端末4a、携帯電話4bの表示画面上に表示する(ステップS102)。
【0036】
そして、ユーザ端末4a、携帯電話4bの表示画面上で情報を提供したい地図の位置をクリックする(ステップS103)。この情報を提供したい地図の位置をクリックすると、例えば、図4に示すような画面が表示される。ユーザは新たに見つけた施設の名前を入力し(例えば、図4では、「コンビニエンスストア」)、該当する施設の種類(例えば、図4では、「コンビニ」)をクリックする。そして、情報の内容を例えば、図4のように「六本木ビル△△タワーにコンビニエンスストアの六本木ビル店がオープンしました。オープンは、2005年9月3日です。六本木通り沿いにあります。」といったように具体的に記入する。
【0037】
続いて、更新情報を発見した状況を画面に表示されたもの(例えば、図4では、「自宅や職場の近くでよく知っている場所」、「偶然見つけた場所」、「その他」を表示)の中から選択してクリックし、施設の場所を地図画面上(図4では、東京都港区六本木6丁目付近の地図上)でクリックする。そして、「投稿」ボタンのアイコンをクリックすることにより、更新情報の提供が完了する(ステップS104)。
【0038】
<情報の投稿方法>
アップロードされた地図の更新情報に対する情報の投稿方法を図6を用いて説明する。
更新情報に対して情報の投稿を行うユーザは、ユーザ端末4a、携帯電話4bからブラウザを起動して、地図情報を提供するコンテンツにアクセスを行い、投稿情報を提供しようとするエリアを表示する詳細地図をユーザ端末4a、携帯電話4bの表示画面上に表示する。そして、地図上の任意の地点をクリックする。その地点に更新情報および投稿情報が存在すれば、図6に示すような吹き出しが表示される。
【0039】
この吹き出しには、更新情報として、図6に示すように、「コンビニエンスストア ここに新しくできました。」という情報とこの情報に対して既に送信された投稿情報、例えば、「○ 正しい」や「× 確かもうちょっと東」、「× 交差点の角だよ」のメッセージが表示されている。また、この下段には、投稿者の意見を「○」と「×」で選択するアイコンと、この意見に対するコメント欄が設けられている。さらに、コメントによる文字情報以外に、画像情報を提供するユーザのために、画像情報を添付できるアイコンも用意されている。特に、画像情報の提供は、ユーザがルート検索を行う際に、例えば、交差点における画像情報と進行方向を示す矢印とを一緒に表示させることにより、ユーザを目的地まで正確に誘導できるという利点があるため、有用な情報といえる。
【0040】
したがって、情報を投稿するユーザは、「コンビニエンスストア ここに新しくできました。」という更新情報に対する真偽を「○」または「×」のアイコンで選択し、必要に応じて文字情報、画像情報を添付して、「投稿」のアイコンをクリックすることにより、情報の投稿を行うことができる。
【0041】
なお、ユーザが投稿情報の入力を誤った場合でも、一度投稿した情報については、修正できないようになっており、正しい情報については新規に投稿を行うことが必要となる。なお、この際、先に投稿した情報と新規に投稿した情報とは関連付けられない状態で扱われる。これは、既に投稿した情報に対する修正を認めてしまうと、他のユーザからの投稿情報がどの時点の更新情報あるいは投稿情報に対するものなのかが不明確となって、情報の信憑性を正確に判断できないためである。
【0042】
<地図情報の更新方法>
次に、図5を用いて、地図情報の更新方法について説明する。
地図情報更新装置1の受信部11は、まず、地図情報に対する更新に関して提供された更新情報およびこれに対する投稿情報を受信する(ステップS201)。受信した情報は、情報収集部12に送信され、提供された更新情報および投稿情報に付加されたユーザIDやユーザの氏名、コメント欄の中に記載されたユーザに関する情報等の個人情報を抽出して、これを除去することにより検閲を行う(ステップS202)。次に、情報収集部12は、更新情報および投稿情報についてフィルタリングを実施する。フィルタリングの方法としては、予めNGワードやNGのユーザID情報等を登録しておき、登録した情報を含む更新情報や投稿情報をいたずら情報やごみ情報とみなして除去する(ステップS203)。
【0043】
情報収集部12は、フィルタリングした更新情報および投稿情報を分類し(ステップS204)、更新情報である場合(ステップS204の「No」)には、制御部16が該当する地図情報に、この更新情報を付加して情報配信部17を介して、ネットワーク3上に公開する(ステップS205)。
【0044】
一方で、フィルタリングした投稿情報については、制御部16がアップロードしている地図の更新情報に、この投稿情報を付加して情報配信部17を介して、ネットワーク3上に公開する(ステップS206)。なお、投稿情報については、所望の地図情報の画面上で、いままでの更新情報のリストを閲覧することもできる。また、地名等のキーワードを入力して検索を行うと、該当する地図情報に関する更新情報のリストを閲覧することもできる。
【0045】
判断部14は、アップロードした各地図の更新情報について、当初公開をした日からの経過日数を検出して(ステップS207)、予め定めた日数を経過したものについて、第1の判断基準、例えば、アップロードした特定の地図の更新情報に対して、投稿情報が所定数以上収集され、かつ、その投稿情報のうち、アップロードした地図の更新情報を真の情報であるとする投稿情報が所定数以上あって、多くのユーザにとって利用価値の高いものと判断された場合(ステップS208)には、地図情報更新部15に対して、地図情報の更新を指示する(ステップS209)。なお、上記所定の条件を満たさなくとも、名称の変更や店舗の廃止あるいは建物の消失等、精度が高いと思われる更新情報については、即座に地図情報の更新を行ってもよい。また、二者択一式の「○」、「×」による投票結果を、例えば、「○」ひとつについて3ポイント、「×」ひとつについて−10ポイントというようなポイントに換算し、各ポイントの合算値が10ポイント以上になったものを正しい情報として採用するようにしてもよい。
【0046】
一方で、アップロードした特定の地図の更新情報について、第1の判断基準を満たしていないと判断した場合(ステップS208)、次に、第2の判断基準、例えば、アップロードした特定の地図の更新情報に対して、投稿情報が所定数以上収集され、かつ、その投稿情報のうち、アップロードした地図の更新情報を真の情報であるとする投稿情報が所定数以上あるが、ユーザからのアクセスが少ないエリアの地図情報であって、ユーザにとっての利用価値があまり高いとは認められないものと判断された場合(ステップS210)には、POIデータとして保存する(ステップS211)。
【0047】
また、第2の判断基準を満たさない場合には、この情報を廃棄する(ステップS212)。なお、投稿情報の数が所定値を満たしていないが、この更新情報を真の情報とする投稿情報の割合が一定以上の場合には、確定待ち情報として、公開期間を延長するなどの措置をとってもよい。
【0048】
なお、投稿情報を提供したユーザは、その投稿情報が現在、どのようなステータスになっているのかを確認できる機能を付加してもよい。具体的には、「確定中 確定待ちです。」というメッセージや「確定済み 地図情報として採用します。」、「確定済み 地図情報としては採用できませんが、POI(Point of Interest)として利用します。」、「残念ながら不採用です。」というようなメッセージを確認することができる。こうした機能を付加することにより、ユーザからの投稿情報を積極的に促すという効果が期待できる。また、積極的な情報提供を促す方策として、情報を提供したユーザに対して、その特典としてポイントを付加してもよい。なお、POIとは、地図上のアイコンデータのことを指す。また、地図情報として採用された場合には、例えば、対象となる建物等のポイントデータと建物名等が表示されるが、POIデータとして利用される場合には、ポイントデータのみで、建物名等は表示されない点で相違する。
【0049】
したがって、本実施形態によれば、既存の地図情報に対して、ユーザからの更新情報およびこれに対する投稿情報により、地図情報の更新を行うことから、従来の方法に比べて手間を掛けることなく、タイムリーに既存の地図情報を正確な地図情報に更新することができる。また、ユーザからの更新情報およびこれに対する投稿情報により、地図情報の更新を行うことから、従来は網羅できなかったエリアの情報についても収集することが可能となる。また、情報を投稿すること自体に広告的な要素があるため、積極的にユーザからの情報を収集することが期待できる。
【0050】
以上、この本発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、本実施形態においては、ユーザからの投稿情報による投票により、所定数以上の支持を受けた更新情報を真の情報として更新する例について説明したが、投稿情報内のコメント内容(文字情報)を分析して、同様の否定的なコメントが所定数以上存在する場合には、この否定的なコメントが提示する情報を真の情報としてもよいし、この情報を新規の情報としてアップロードさせて、さらに投稿情報を収集するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態に係る地図情報更新システムの構成図である。
【図2】本実施形態に係る地図情報更新装置の構成図である。
【図3】地図情報の更新に関する新規の投稿情報を提供する場合の処理フローである。
【図4】地図情報の更新に関する新規の投稿情報を提供する場合のユーザ端末の表示画面を示した図である。
【図5】ユーザからの投稿情報により地図情報を更新する場合の処理フローである。
【図6】情報の投稿を行う場合のユーザ端末の表示画面を示した図である。
【符号の説明】
【0052】
1 地図情報更新装置
2 地図データサーバ
3 ネットワーク
4a ユーザ端末
4b 携帯電話
11 受信部
12 情報収集部
13 重複投稿情報排除部
14 判断部
15 地図情報更新部
16 制御部
17 情報配信部
18 配信情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からの情報により地図データサーバに格納された地図情報を更新する地図情報更新装置であって、
既存の地図情報に対する更新情報と該更新情報の真偽に関する投稿情報とを受信する受信手段と、
既存の地図情報に、少なくとも該受信した更新情報と投稿情報および該更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコンを設けた情報画面を付加して前記ユーザ端末に配信する配信手段と、
前記受信手段が受信した前記投稿情報を収集する情報収集手段と、
該収集した投稿情報から前記更新情報の真偽を判断する判断手段と、
該判断手段が、前記更新情報を正しい情報であると判断したときに、前記地図データサーバ内の地図情報を更新する更新手段とを備えることを特徴とする地図情報更新装置。
【請求項2】
前記配信手段が配信する情報画面にコメント記入欄が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の地図情報更新装置。
【請求項3】
前記配信手段が配信する情報画面に前記投稿情報に関する画像情報を添付するアイコンが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の地図情報更新装置。
【請求項4】
前記情報収集手段において収集した投稿情報に、同一の前記更新情報に対する同一ユーザによる複数の投稿情報を検出したときに、重複する投稿情報を削除する重複投稿情報排除手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の地図情報更新装置。
【請求項5】
前記配信手段が配信する地図情報に、該配信する地図情報に対応する過去の更新情報および該更新情報に対する投稿情報のリストが添付されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の地図情報更新装置。
【請求項6】
ユーザ端末と、地図情報を格納する地図データサーバと、前記請求項1から5のいずれかに記載の地図情報更新装置とを備えたことを特徴とする地図情報更新システム。
【請求項7】
ユーザ端末からの情報により地図データサーバに格納された地図情報を更新する地図情報更新方法であって、
既存の地図情報に対する更新情報と該更新情報の真偽に関する投稿情報とを受信する第1のステップと、
既存の地図情報に、少なくとも該受信した更新情報と投稿情報および該更新情報の真偽を二者択一形式で選択するアイコンを設けた情報画面を付加して前記ユーザ端末に配信する第2のステップと、
前記第1のステップで受信した前記投稿情報を収集する第3のステップと、
前記第3のステップで収集した投稿情報から前記更新情報の真偽を判断する第4のステップと、
第4のステップにおいて、前記更新情報を正しい情報であると判断したときに、前記地図データサーバ内の地図情報を更新する第5のステップとを備えることを特徴とする地図情報更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−166161(P2007−166161A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358989(P2005−358989)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】